< 図表 1> 米国の仕出し国 地域別自動車部品輸入実績 ( 単位 :100 万ドル ) 輸出国 シェア 1 メキシコ 11,740 13,692 16,045 17,056 19, % 2 カナダ 7,638 8,253 8,932

Similar documents
特集 平成 30 年分成田空港貿易概況 ( 速報 ) 平成 31 年 1 月 23 日 ( 水 ) 東京税関 本資料における 2018 年 の数値は速報値 本資料における 伸率 とは前年との比較によるもの 本資料における対中国の貿易額には対香港及び対マカオの貿易額を含む

1.ASEAN 概要 (1) 現在の ASEAN(217 年 ) 加盟国 (1カ国: ブルネイ カンボジア インドネシア ラオス マレーシア ミャンマー フィリピン シンガポール タイ ベトナム ) 面積 449 万 km2 日本 (37.8 万 km2 ) の11.9 倍 世界 (1 億 3,43

1.ASEAN 概要 (1) 現在の ASEAN(216 年 ) 加盟国 (1カ国: ブルネイ カンボジア インドネシア ラオス マレーシア ミャンマー フィリピン シンガポール タイ ベトナム ) 面積 449 万 km2 日本 (37.8 万 km2 ) の11.9 倍 世界 (1 億 3,43

1. 世界における日 経済 人口 (216 年 ) GDP(216 年 ) 貿易 ( 輸出 + 輸入 )(216 年 ) +=8.6% +=28.4% +=36.8% 1.7% 6.9% 6.6% 4.% 68.6% 中国 18.5% 米国 4.3% 32.1% 中国 14.9% 米国 24.7%

( 億円 ) ( 億円 ) 営業利益 経常利益 当期純利益 2, 15, 1. 金 16, 額 12, 12, 9, 営業利益率 経常利益率 当期純利益率 , 6, 4. 4, 3, 2.. 2IFRS 適用企業 1 社 ( 単位 : 億円 ) 215 年度 216 年度前年度差前年度

平成18年8月31日

平成28年 成田空港貿易概況(速報)

( 億円 ) ( 億円 ) 営業利益 経常利益 当期純利益 金 25, 2, 15, 12, 営業利益率 経常利益率 額 15, 9, 当期純利益率 6. 1, 6, 4. 5, 3, 2.. 2IFRS 適用企業 8 社 214 年度 215 年度前年度差 ( 単位 : 億円 ) 前年

平成18年8月31日

目 次 Ⅰ. 総括編 1. 世界各地域の人口, 面積, 人口密度の推移と予測およびGDP( 名目 ) の状況 ( 1) 2. 世界の自動車保有状況と予測 ( 5) 3. 世界の自動車販売状況と予測 ( 9) 4. 世界の自動車生産状況と予測 ( 12) 5. 自動車産業にとって将来魅力のある国々 (

Microsoft Word - 04_data_product_4

輸入動向平成 29 年の横浜税関における 自動車の輸入実績は 数量が 153,835 台 ( 対前年同期比 0.7% 増 ) 金額が 6,154 億 19 百万円 ( 同 12.5% 増 ) でした また 全国においては 数量が 359,907 台 ( 対前年同期比 2.4% 増 ) 金額が 1 兆

<4D F736F F F696E74202D B837E814095F18D908E9197BF>

[000]目次.indd

住宅宿泊事業の宿泊実績について 令和元年 5 月 16 日観光庁 ( 平成 31 年 2-3 月分及び平成 30 年度累計値 : 住宅宿泊事業者からの定期報告の集計 ) 概要 住宅宿泊事業の宿泊実績について 住宅宿泊事業法第 14 条に基づく住宅宿泊事業者から の定期報告に基づき観光庁において集計

Ⅰ. 世界海運とわが国海運の輸送活動 1. 主要資源の対外依存度 わが国は エネルギー資源のほぼ全量を海外に依存し 衣食住の面で欠くことのでき ない多くの資源を輸入に頼っている わが国海運は こうした海外からの貿易物質の安定輸送に大きな役割を果たしている 石 炭 100% 原 油 99.6% 天然ガ

第4章 日系家電メーカーにおけるグローバル化の進展と分業再編成

【東南アジア経済】ASEANの貿易統計(1月号)~輸出の好調続くも新型スマホ関連がピークアウトへ

化繊輸入は 近年上昇を続けており 2016 年は前年比 10% 増の 43 万トンとなりました 素材別には ポリエステル F 長繊維不織布が中心ですが 2016 年はポリエステル S の輸入も大幅増となりました 化学繊維輸出推移 化学繊維輸入推移 生産が微減 輸出が横ばい 輸

2017 電波産業調査統計

Microsoft Word - 10 統計 参考.doc

近畿圏における電気機器の貿易動向 平成 24 年 10 月 22 日大阪税関調査統計課 貿易額推移 近畿圏における電気機器の貿易額は 2000 年に初めて輸出額が 3 兆円を突破し 輸入額が 1 兆円を突破しました 輸出額は 2001 年に一旦減尐しますが その後は右肩上がりで増加し 2005 年に

特集 切花の輸入 平成 29 年 2 月 24 日東京税関 成田空港の輸入品にも春が来る! 輸入される切花は 菊 と カーネーション で 6 割を占める 毎年 3 月は ばら が輸入のピークを迎える 3 月が最初のピーク 春が近づき 花の話題が増える季節となりました 輸入品においても季節ごとの商品が

Microsoft Word ミル消費報告2014

ASEAN、中国のFTA と自動車・自動車部品貿易

第 3 章九州の産業別貿易動向 1. 自動車 自動車の部分品 2017 年の九州の自動車輸出額は 1 兆 7,006 億円 ( 前年比 27.4% 増 ) で前年より増加し 4 年連続の増加となった 輸出先は 米国が最も多く 次いで中国 アラブ首長国連邦等であった 2017 年の九州の自動車生産台数

Kozuka Gothic Pro AJ14 OpenType Regular Adobe Japan1 4

42

平成18年8月31日

【東南アジア経済】ASEANの貿易統計(10月号)~輸出はスマホ用電子部品を中心に高水準を維持

日本 中国間コンテナ荷動きの動向について 掲載誌 掲載年月 : 日刊 CARGO1206 日本海事センター企画研究部研究員松田琢磨 はじめに ( 公財 ) 日本海事センターでは 日本 中国間コンテナ荷動き ( 以下日中航路 ) のトンベース荷動き量を算出し 11 年 5 月から毎月発表している 今回

untitled


摂南経済研究第 4 巻第 1 2 号 (2014) 較検討するのも興味深いことであるが ここではあくまでも 2011 年のデータの提示のみに終始し 分析 検討は改めて順次おこなってみたい 後者の目的にかかわる国際観光輸出 輸入 収支については 前掲の 国際観光論 において 2000 年から 2008

財務省貿易統計

財務省貿易統計

輸送量 (kg) 海上分担率 図 1 に 07~14 年の日本発米国向けトランジスタ輸送の海上 航空輸送量と海上分担 率の推移を示す 800, , , , , , , ,

財務省貿易統計

【東南アジア経済】ASEANの貿易統計(5月号)~輸出は好調も、旧正月の影響を均せば増勢鈍化

Microsoft Word - 世界のエアコン2014 (Word)

2007年12月10日 初稿

特集 平成 2 5 年 5 月 2 2 日東京税関調査部調査統計課 金の輸出入 2012 年の世界の金需要は 4,405 トン 2012 年に合金も含む金を日本は 132 トン輸出し 11 トン輸入しています 日本の 2006 年から 2010 年の平均年間金産出量は 10 トン足らずですが 200

地域別世界のエアコン需要の推定について 年 月 一般社団法人 日本冷凍空調工業会 日本冷凍空調工業会ではこのほど 年までの世界各国のエアコン需要の推定結果を まとめましたのでご紹介します この推定は 工業会の空調グローバル委員会が毎年行 なっているもので 今回は 年から 年までの過去 ヵ年について主

財務省貿易統計

財務省貿易統計

1. 沖縄県における牛肉の輸出動向 2015 年は 輸出額が過去最高 数量 金額 2015 年は数量が 18,424 KG( 前年比 97.0%) 金額が 87 百万円 ( 同 111.8%) となり 輸出額が過去最高を記録しました 沖縄県の輸出額シェアは 1.1% となっています 国別金額シェア

四校

財務省貿易統計

財務省貿易統計

財務省貿易統計

<4D F736F F D E937890AC96F18EC090D195F18D C A E646F63>

米国鉄鋼輸入制限の米国外向け輸出への影響

牛田論文ブック.indb

財務省貿易統計


アジア近隣 5 カ国における牛乳乳製品の輸入動向 資料 5-2 各国とも輸入額全体に占める脱脂粉乳及び全脂粉乳の割合が高い 高付加価値商品の販売が見込めるチーズ 育児用粉乳等についても各国で一定の割合を輸入 中国の輸入市場は規模が大きく 最近伸びているが割合の小さい LL 牛乳 (2.6%) 市場で

仕出国別 中国来の知財侵害物品の差止件数は 1,131 件であり 仕出国別の構成比では 前年に続き全体の約 8 割 (78.7%) を占めるに至っています 一方 2 位のフィリピン来が構成比 9.7% 3 位の香港来が同 4.8% を占めるにとどまっており 中国来への一極化の傾向にあると言えます な

輸入バイオマス燃料の状況 2019 年 10 月 株式会社 FT カーボン 目 次 1. 概要 PKS PKS の輸入動向 年の PKS の輸入動向 PKS の輸入単価 木質ペレット

インド 12 3 エビ イカ オーストラリア 13 3 マグロ エビ フィリピン 14 1 マグロ カツオ エビ アイスランド 15 1 その他の魚 ハリバット 魚卵 スペイン 16 1 マグロ タコ マルタ 17 1 モロッコ 18 1 タコ イカ モーリタニア 19 1 タコ ニュージーランド

年 年 に設定した 世界合計 の輸出金額は 年 3 兆 2,310 億ドルから 年 6 兆 1,930 億ドル 年 14 兆 6,520 億ドルと 4.5 倍に拡大した後 年秋のリーマンショックを契機として 2009 年には前年の約 3/4 に急激に落ち込み その後 徐々に回復が進み 年 16 兆

地域別世界のエアコン需要の推定について 2018 年 4 月一般社団法人日本冷凍空調工業会日本冷凍空調工業会ではこのほど 2017 年までの世界各国のエアコン需要の推定結果をまとめましたのでご紹介します この推定は 工業会の空調グローバル委員会が毎年行なっているもので 今回は 2012 年から 20

財務省貿易統計

目次はじめに 第 1 章 世界の工場 から 世界の市場 へ 第 2 章 中国の輸入構造の変化 1 2 第 3 章 ASEAN は中国のどこに何を輸出しているのか 1 ASEAN 2 ASEAN 3 ASEAN 第 4 章 ASEAN 中国 FTA の活用 はじめに 21 GDP 212 GDP GD

財務省貿易統計

財務省貿易統計

財務省貿易統計

部品メーカーの状況 自動車部品メーカー 75 社の 2017 年度通期 (2017 年 年 3 月 ) の業績は 以下のとおりとなった 1. 決算状況 1 日本基準適用企業 63 社 ( ) 前年同期差 前年同期比 売上高 14,135,817 15,044, ,912 +

本日の説明内容 総括 2019 年 3 月期第 1 四半期実績 2019 年 3 月期通期見通し 主要施策の進捗 1

第13章 インドネシアの自動車産業と二輪車産業-中国の影響と分業再編の展望-

目次はじめに 第 1 章 新興国 途上国の経済成長と輸出市場の拡大 ASEAN 第 2 章 ASEAN の貿易構造の変化 ASEAN 第 3 章 新興国 途上国向け輸出生産拠点としての課題 ASEAN はじめに ASEAN 28 ASEAN ASEAN RIM 213

ITI

Microsoft Word - N_ _2030年の各国GDP.doc

第 3 章九州の産業別貿易動向 1. 自動車 自動車の部分品 2016 年の九州の自動車輸出額は 1 兆 3,346 億円 ( 前年比 15.6% 増 ) と 3 年連続の増加となった 輸出先は 米国が最も多く 次いで中国 アラブ首長国連邦等となっている 2016 年の九州の自動車生産台数は 135

財務省貿易統計

2017 年訪日外客数 ( 総数 ) 出典 : 日本政府観光局 (JNTO) 総数 2,295, ,035, ,205, ,578, ,294, ,346, ,681, ,477

2017年度 JTI業績報告資料

通期 連結の売上高 営業利益 経常利益としては 過去最高 のれん及び固定資産に係る減損損失を特別損失として 517 億円計上 当期純利益が 3 月 30 日付での予想数値より増加したのは 予想数値公表時の見込み額と比べ 最終決算数値により確定した減損損失額が 53 億円 減少したことによる 事業環境

第9章 タイの二輪車産業-好調な国内市場と中国の影響-

先進国、新興国向けともに国際与信は増加

ロシア 3節 第 第3節 ロシア 1 マクロ経済動向 ロシア経済は 緩やかな回復基調にある 2014 年 7 以下 輸出 個人消費 消費者物価 金融市場の動 月以降のウクライナ危機発生及びクリミア併合に伴う 向を中心に概観する 欧米からの経済制裁に加え 2015 年以降 原油価格 の下落を主因として

第 3 章 東アジアにおける貿易投資の深化と成長モデル転換に向けた我が国の貢献 第 1 節 第 2 節 第 3 節 東アジアにおける貿易投資動向 我が国企業と東アジアの関わり 我が国の貢献可能性

スライド 0

Microsoft Word - 5_‚æ3ŁÒ.doc

JNTO

IT ASG 22

Economic Trends    マクロ経済分析レポート

ASEAN との経済関係が再び強まる韓国 ASEAN ASEAN ASEAN ASEAN ASEAN1 16 RCEP 1. ほぼピークに達した対中輸出依存度 (1) 上昇傾向にある対 ASEAN 輸出依存度 ASEAN 2 WTO 21 RIM 213 Vol.13 No.49

平成 30 年 12 月 19 日特集東京税関 2012 年から輸出金額 数量ともに増加中! 2017 年の輸出金額は 2012 年の 2 倍以上に増加! 2017 年の輸出金額 数量ともに東京税関管内が全国税関で 1 位 はじめに クリスマスパーティーや年末年始 みなさんお菓子を食べる機会がこれか

けた この間 生産指数は 上昇傾向で推移した (2) リーマン ショックによる大きな落ち込みとその後の回復局面平成 20 年年初から年央にかけては 米国を中心とする金融不安 景気の減速 原油 原材料価格の高騰などから 景気改善の動きに足踏みが見られたが 生産指数は 高水準で推移していた しかし 平成

Microsoft PowerPoint - Itoh_IEEJ(150410)_rev

スライド 0

仕出国別 来の知財侵害物品の差止件数は 660 件であり 仕出国別の構成比では 前年に続き全体の 8 割 (79.6%) を占めるに至っている 一方 2 位の来が構成比 9.0% 3 位の来が同 4.9% を占めるにとどまっており 来への一極化の傾向にあると言える なお 前年同期 2 位であった来は

訪日数 JNTO 日本政府観光局統計より〇 2 月の訪日外客数 138 万 7,000 人 ( 前年同月 157.6%) 〇中国が月間過去最高 史上初単月で 35 万 9 千人 (359,100 人前年同月 259.8%) 〇東アジア ( 中国 台湾 韓国 香港 ) だけで構成比が約 8 割 ( 前

平成28年版高齢社会白書(概要版)

輸入差止件数及び点数の推移 輸入差止件数は 前年に比べ 61.4% 増加の 7,923 件であり 年ベースでは過去 7 番目となりました ( 年ベースの過去最高は平成 25 年の 10,468 件 ) 輸入差止点数は 前年に比べ 31.0% 減少の 165,804 点であり 年ベースでは過去 16

2017年12月期 第3四半期 JTI業績報告資料

<4D F736F F D D CB997AC92CA97CA92B28DB8616D>

報道発表 ( 速報 ) 平成 31 年 3 月 18 日沖縄地区税関 輸入差止点数が 5 年連続で 3,000 点越え著作権侵害物品の輸入差止点数が前年比 12.3 倍と増加 ( 平成 30 年の沖縄地区税関における知的財産侵害物品の差止状況 ) 沖縄地区税関は 平成 30 年の偽ブランド品などの知

40号表1

印刷用統計表_ xls

Transcription:

米国向け自動車部品の荷動き動向について 掲載誌 掲載年月 : 日本海事新聞 201511 日本海事センター企画研究部 次長臼井潔人 アジア発米国向けコンテナ貨物のなかで最も重要な貨物の一つであり 今回の TPP( 環太平洋経済連携協定 ) 交渉でも日米が激しい攻防を繰り広げた自動車部品の荷動き動向に関し 輸出入金額とトン数に注目して調査した 今回の調査の対象とした自動車部品は 乗用車 貨物トラック バスの他にトラクター ゴルフカートや特殊用途車 ( クレーン車 消防車 コンクリートミキサー車 清掃車など ) の部品も含まれている 統計品目番号 (HS コード ) では 8708.10~8708.99 に該当するボディー ギアボックス 駆動軸 懸架装置 ( ショックアブソーバーを含む ) ラジエーター ステアリングボックス ( ハンドルなど ) ブレーキ 車軸( ロードホイール ) ブレーキ クラッチ 消音装置 排気管やエアバックなどである エンジンとその部品は機械類 (HS コード :8407 ~8409) に分類されているため今回の調査には含まれていない 1. 米国の自動車部品輸入実績 ( 金額ベース ) 2014 年の米国の自動車部品輸入総額は 620 億ドルで 自動車生産 販売の好調を反映して前年比 8.2% 増加している 仕出し国 地域としては メキシコのシェアが最も大きく 30.6% に上り 2 位はカナダの 15.5% で NAFTA( 北米自由貿易協定 ) を構成する 2 ヵ国で米国輸入額の 45% 強のシェアを占めている 3 位以下では アジア勢は中国 日本 韓国 台湾とインドが上位 10 ヵ国 地域に入っており 欧州ではドイツ イタリアとフランスの 3 ヵ国のシェアが大きい 他のアジア勢では タイが 3.1 億ドル (2014 年 ) で 11 位に付けている タイには 2,200 社の部品メーカーが集積しており 2012 年以降退潮著しい 10 位のフランスを追い上げる存在となっている 2010 年の輸入額は 44.8% と大幅に増加しており 2011 年と 2012 年も 2 年連続で 15% 以上の伸びを記録している 2013 年は 1.4% の増加にとどまったが 2014 年は 8.2% の増加となっている 日本からの輸入額は 2012 年の 101.9 億ドルをピークに 2013 年以降 2 年連続で減少しており 2014 年には中国に抜かれている 上位 10 ヵ国 地域で 2014 年の米国輸入額が前年割れしたのは日本のみであった

< 図表 1> 米国の仕出し国 地域別自動車部品輸入実績 ( 単位 :100 万ドル ) 輸出国 2010 2011 2012 2013 2014 シェア 1 メキシコ 11,740 13,692 16,045 17,056 19,014 30.6% 2 カナダ 7,638 8,253 8,932 9,198 9,592 15.5% 3 中国 4,556 5,589 6,406 6,992 8,326 13.4% 4 日本 7,240 8,047 10,185 8,793 8,266 13.3% 5 ドイツ 2,989 3,871 4,477 4,874 5,293 8.5% 6 韓国 2,554 3,099 3,849 4,224 4,496 7.2% 7 台湾 1,064 1,215 1,365 1,361 1,451 2.3% 8 インド 572 689 746 654 826 1.3% 9 イタリア 554 684 780 668 759 1.2% 10 フランス 611 639 364 378 398 0.6% 11 タイ 226 213 240 232 305 0.5% 12 英国 276 287 298 253 294 0.5% 13 ブラジル 351 401 429 301 293 0.5% 14 スペイン 135 178 217 230 254 0.4% 15 チェコ 114 174 227 219 247 0.4% その他 1,489 1,772 1,978 1,891 2,225 3.6% 総計 42,108 48,803 56,537 57,323 62,038 増減率 44.8% 15.9% 15.8% 1.4% 8.2% ( 注 ) シェアは 2014 年時点 ( データ ) 米国 GTI 社 :Global Trade Atlas( 航空輸送を含む ) 2. アジアからの米国向け自動車部品輸出量アジアからの自動車部品輸出量では 1 位の中国が圧倒的な存在であり 日本と韓国以下を大きく引き離している 特に 2013 年と 2014 年は 2 年連続で 15% 以上輸出量が増加している さらに 中国の場合ギアボックスとラジエーターの 2 品目は輸出個数だけが計上されており 同国の輸出量実績にはこの 2 品目のトン数が含まれていないので 中国と日韓との差はさらに拡大していることになる 日本からの輸出量は 2012 年に 64.0 万トンまで増加したが 2013 年は 59.8 万トンと 4 万トン以上減少し 2014 年は 60.7 万トンと若干増加している このため 日本の輸出量は 2011 年に韓国に抜かれ 以後韓国の後塵を拝している 韓国からの輸出量増加は 現代自動車と起亜自動車の米国生産台数が 2010 年の 45.3 万台 ( 乗用車と小型トラックの合計 ) だったものが 2012 年に 70 万台を突破し 2014 年には 76.8 万台まで増加したことが大きく寄与していると考えられる 2014 年の品目別輸出量をみると 日本からの輸出ではギアボックスが 19.6 万トンで 32.3% を占め 2 位が その他部品 の 12.6 万トン (20.7%) 3 位が駆動軸の 6.2 万トン (10.2%) となっている 韓国は その他部品 が 31.0 万トンで

< 図表 2> アジア - 米国間の自動車部品輸出量推移 ( 単位 :1,000 トン ) 輸出国 2010 2011 2012 2013 2014 1 中国 1,352 1,496 1,575 1,830 2,116 2 韓国 501 609 659 680 733 3 日本 571 560 640 598 607 小計 2,424 2,664 2,874 3,108 3,456 増減 44.6% 9.9% 7.9% 8.1% 11.2% 4 台湾 164 168 172 176 192 5 インド 1,105 140 148 122 155 6 タイ 21 19 22 26 39 総計 2,991 3,217 3,431 3,842 増減 7.5% 6.7% 12.0% ( 注 ) インドの 2010 年輸出量は異常値と判断したので 総計は算出せず ( データ ) 米国 GTI 社 :World Trade Atlas( 航空輸送を含む ) 42.3% のシェアを占めており 2 位がボディーの 12.9 万トン (17.6%) 3 位がギアボックスの 6.9 万トン (9.5%) となっている ボリュームで他を圧倒する中国においては ブレーキが 85.0 万トンと 40.2% を占め 2 位が車軸の 61.1 万トン (28.9%) 3 位が その他部品 の 28.9 万トン (13.7%) であった 中国からの輸出動向に関しては 輸出金額と輸出量で大きな差異が見て取れる そこで 品目別に 1 キログラム当たりの輸出金額を米国 GTI 社の World Trade Atlas のデータを基に日韓と比較してみた 中国からの輸出第 2 位である車軸の輸出単価は 中国が 4.09 ドルに対し 日本 (2014 年の輸出量 2.7 万トン ) が 4.86 ドル 韓国 ( 同 4.0 万トン ) が 4.61 ドルとほば横並びであるが 第 1 位のブレーキの輸出単価は 中国が 2.05 ドルに対し 日本 ( 同 4.2 万トン ) が 10.17 ドル 韓国 ( 同 5.1 万トン ) が 7.34 ドルと大きな価格差が生じている 第 3 位の その他部品 においても 中国が 3.80 ドルに対し 日本が 12.57 ドル ( 同 12.6 万トン ) 韓国が 9.16 ドル ( 同 31.0 万トン ) であり 中国と日本の価格差は 3 倍以上となっている 中国出しのブレーキ部品は主にブレーキシューまたはブレーキパッドと呼ばれる安価な修理部品であり 日本製品とは直接競合はしないと考えられるが この先中国の地場メーカーが高級部品にまで進出し 日系メーカーとの競合 棲み分けにまで発展するのか興味深いところである 3. 日系自動車部品メーカーの動向日本からの米国向け自動車部品輸出が伸び悩んでいる理由の一つとして 北米に進出した日系自動車部品メーカーの現地生産の増加が挙げられる 日本自動車部品工業会が会員 444 社 (2014 年 10 月現在 ) に毎年実施している

< 図表 3> 日系部品メーカー北米売上高と自動車米国内生産台数の推移 億円 40,000 35,000 30,000 25,000 20,000 15,000 10,000 5,000 0 1,000 台 4,000 3,500 3,000 2,500 2,000 1,500 1,000 500 0 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 日系部品メーカー北米売上高 ( 億円 - 左軸 ) 日本から米国向け輸出額 ( 億円 - 左軸 ) 日系メーカー米国内自動車生産台数 (1,000 台 ) ( データ ) 日系部品メーカー北米売上高 - 日本自動車部品工業会 米国内自動車生産台数 - マークラインズ 米国向け輸出額 - 日本貿易会 アンケートの集計結果 ( 海外事業概要調査報告書 ) に基づき 2004 年以降の日系部品メーカーの北米での売上高 ( カナダを含む ) の推移について 日系完成車メーカーの米国内自動車生産台数 ( マークラインズ集計 ) と日本からの米国向け自動車部品輸出額 ( 日本貿易会集計 ) と対比させてみた この場合の自動車部品は自動車関連のすべての部品 資材を対象としている 最初に トヨタグループを筆頭とする日系完成車メーカーの米国における現地生産台数 ( 乗用車と小型トラックの合計 ) をみると 2007 年に 334.6 万台まで拡大した現地生産は 同年末に顕在化したサブプライム住宅ローン危機や 2008 年 9 月に発生したリーマン ショックによる景気後退の影響を受け 2009 年には 211.5 万台まで減少したが 2010 年は 265.7 万台と増加に転じ 2011 年はいったん足踏みしたが 2012 年は 333.7 万台と 2007 年の水準まで戻し 2013 年は 363.7 万台 2014 年は 382.8 万台と生産を拡大している この間の日系部品メーカーの売上高は 2006 年は 3.6 兆円に対し その後は現地生産台数の増減に比例して 2011 年には 1.5 兆円まで減少したが 2012 年には 2.8 兆円に急回復 2013 年には 3.0 兆円を突破している 2011 年と 2012 年を比較すると 現地生産台数が 37.2% 増加したのに対し 日系部品メーカーの北米売上高は 83.2% も増加している 一方 日本からの自動車部品輸出額は

2011 年の 6,460 億円から 2012 年の 7,674 億円へと 18.8% の増加にとどまっており 日系部品メーカーの北米売上高の伸びが際立っているといえる 同工業会によれば 会員企業の北米売上高のうち日系完成車メーカーに対する売り上げシェアは 2011 年の 69.8% から 2012 年には 71.4% 2013 年は 74.5% まで上昇している 日系部品メーカーは米国に進出した完成車メーカーの要請に応えて現地生産を増やし 完成車メーカーとの最短のサプライチェーンを構築してきた結果だといえる さらに 中国や ASEAN( 東南アジア諸国連合 ) に進出した日系部品メーカーの輸出売上高が大幅に増加している 中国拠点からの輸出額 ( 日本向けを除く全世界合計 ) は 2011 年に 984 億円だったが 2012 年 1,664 億円 2013 年には 2,063 億円まで拡大している ASEAN 進出企業の輸出額も同様に 2011 年の 3,049 億円が 2013 年には 6,002 億円と倍増しており 2013 年度の中国と ASEAN の合計輸出額 8,065 億円は 日本から米国向け輸出額 8,386 億円に匹敵する規模になっている 日系部品メーカーのアジア現地法人の 2013 年の総売上に占める輸出比率 ( 日本向けを除く ) をみると 中国の輸出比率は 9.7% で ASEAN は 21.8% となっている ASEAN の輸出比率が高いのは タイ-インドネシア タイ -インド間などのアジア域内の部品物流が活発なためと考えられる かつて 日本の電機メーカーが中国や ASEAN に進出して日本や欧米向けの製造拠点を構築し進出先の輸出増加に大きく貢献したように 日系自動車部品メーカーもアジアの製造拠点からの米国向け輸出を今後も拡大させていくものと見込まれる 以上