北海道における日本脳炎に係る定期の予防接種を実施することについての検討(概要)

Similar documents
行政苦情救済推進会議の意見を踏まえたあっせん

Microsoft PowerPoint - 【配布資料】28予防接種従事者研修

個人住民税の特別徴収税額決定通知書(納税義務者用)の記載内容に係る秘匿措置の促進(概要)

介護保険制度における通院等乗降介助の適用範囲の拡大(概要-行政苦情救済推進会議の意見を踏まえた通知-

<4D F736F F F696E74202D208E9197BF375F90DA8EED94EF977082CC82A082E895FB82C982C282A282C42E B93C782DD8EE682E890EA97705D>

00【議連提出資料】B型肝炎ワクチンの定期接種化について

H30_業務の概要18.予防接種

第1 入間市の概要

健康保険及び厚生年金保険の滞納保険料に過誤納付が判明した場合の延滞金の取扱い(概要)-行政苦情救済推進会議の意見を踏まえたあっせん-

報道資料

ロタウイルスワクチンは初回接種を1 価で始めた場合は 1 価の2 回接種 5 価で始めた場合は 5 価の3 回接種 となります 母子感染予防の場合のスケジュール案を示す 母子感染予防以外の目的で受ける場合は 4 週間の間隔をあけて2 回接種し 1 回目 の接種から20~24 週あけて3 回目を接種生

ヒブ ( インフルエンザ菌 b 型 ) 対象者 : 生後 2ヶ月から5 歳未満までのお子さん標準的な接種開始期間は 生後 2ヶ月から7ヶ月未満です 生後 2ヶ月を過ぎたら 早目に接種しましょう 接種方法 : 接種開始時の年齢により接種方法が異なります 接種開始が生後 2ヶ月から7ヶ月未満の場合 (

衆議院議員総選挙及び最高裁判所裁判官国民審査の期日前投票日の統一(概要)

地縁団体名義への所有権移転登記手続の改善促進 ( 概要 ) - 行政苦情救済推進会議の意見を踏まえたあっせん - 平成 25 年 2 月 15 日 総務省行政評価局は 次の行政相談を受け 行政苦情救済推進会議 ( 座長 : 大森彌東京大学名誉教授 ) に諮り 認可を受けた地縁団体名義への所有権の移転

事務連絡平成 28 年 2 月 5 日 各都道府県衛生主管部 ( 局 ) 御中 厚生労働省健康局健康課 厚生科学審議会予防接種 ワクチン分科会基本方針部会の審議について 本日開催された厚生科学審議会予防接種 ワクチン分科会基本方針部会における審議の結果 B 型肝炎ワクチンの定期接種化について 以下の

スライド 1

年金受給権者死亡後に支給された年金の返納通知の改善(概要)

健康保険料と国民健康保険料の二重払いの解消(概要)

身体障害者等に対する軽自動車税の減免に係る申請期限の見直し(概要)

日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール 014 年 10 月 1 日版日本小児科学会 乳児期幼児期学童期 / 思春期 ワクチン 種類 直後 6 週 以上 インフルエンザ菌 b 型 ( ヒブ )

平成 24 年 7 月改定版 すべての予防接種につきましては 次のページに記載してあります 平成 24 年度予防接種日程表 ( 国の通知により 内容が変わる場合があります 毎月の 広報みなみちた でご確認ください 新 麻しん風しん混合 3 期 4 期 ( 個別 ) 対象 :3 期 ( 中学 1 年生

( 行政苦情救済推進会議の意見 ) 保険料を負担する者の負担の公平性を図る観点から 保険料の定時決定のみならず 随時改定においても報酬実態に即した標準報酬月額を決定することができるよう 標準報酬月額の算定の方法を見直す必要がある ( あっせん要旨 ) 厚生労働省は 保険料を負担する者の負担の公平性を

日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール

9 予防接種

<B 型肝炎 (HBV)> ~ 平成 28 年 10 月 1 日から定期の予防接種になりました ~ このワクチンは B 型肝炎ウイルス (HBV) の感染を予防するためのワクチンです 乳幼児感染すると一過性感染あるいは持続性感染 ( キャリア ) を起こします そのうち約 10~15 パーセントは

第91回行政苦情救済推進会議資料

年管発 0331 第 1 号 平成 29 年 3 月 31 日 日本年金機構理事長殿 厚生労働省大臣官房年金管理審議官 ( 公印省略 ) 国民年金の保険料を追納する場合に納付すべき額を定める件等について 国民年金の保険料を追納する場合に納付すべき額を定める件 ( 平成 29 年厚生労働省告示第 12

2. 定期接種ンの 接種方法等について ( 表 2) ンの 種類 1 歳未満 生 BCG MR 麻疹風疹 接種回数接種方法接種回数 1 回上腕外側のほぼ中央部に菅針を用いて2か所に圧刺 ( 経皮接種 ) 1 期は1 歳以上 2 歳未満 2 期は5 歳以上 7 歳未満で小学校入学前の 1 年間 ( 年

第2章

●子宮頸がん予防措置の実施の推進に関する法律案

02別添:日本脳炎ワクチン接種に関するQ&A[H28.3月版]

子宮頸がん予防措置の実施の推進に関する法律案要綱

( 賦課期日 ) 第 4 条都市計画税の賦課期日は 当該年度の初日の属する年の1 月 1 日とする ( 納期 ) 第 5 条都市計画税の納期は 次のとおりとする 第 1 期 4 月 1 日から同月 30 日まで第 2 期 7 月 1 日から同月 31 日まで第 3 期 12 月 1 日から同月 25

日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュールの主な変更点 2014 年 1 月 12 日 1)13 価結合型肺炎球菌ワクチンの追加接種についての記載を訂正 追加しました 2)B 型肝炎母子感染予防のためのワクチン接種時期が 生後 か月 から 生直後 1 6 か月 に変更と なりました (

通知(写入)

あっせん文(国民健康保険における限度額適用・標準負担額減額認定証 の申請に係る被保険者の負担軽減)

アレルギー疾患対策基本法 ( 平成二十六年六月二十七日法律第九十八号 ) 最終改正 : 平成二六年六月一三日法律第六七号 第一章総則 ( 第一条 第十条 ) 第二章アレルギー疾患対策基本指針等 ( 第十一条 第十三条 ) 第三章基本的施策第一節アレルギー疾患の重症化の予防及び症状の軽減 ( 第十四条

Microsoft Word - 土壌汚染対策法施行規則の一部を改正する省令

瑞穂町福祉会館条例施行規則の一部を改正する規則を公布する

- 2 - 定を改正後欄に掲げるもののように改め 改正後欄に掲げる対象規定で改正前欄にこれに対応するものを掲げていないものは これを加える

平成13年度税制改正(租税特別措置)要望事項(新設・拡充・延長)

議案第49号-医療福祉費支給に関する条例の一部改正【確定】

【資料1】結核対策について

すまい給付金事業の概要 1 消費税率引上げへの対応 平成 26 年 4 月 1 日からの消費税率の 5% から 8% への引上げに合わせて 消費税率の引上げの前後における駆け込み需要及びその反動等による影響が大きいことを踏まえ 一時の税負担の増加による影響を平準化する観点等から 平成 25 年度税制

当該イ又はロに定める者 に改め 同号に次のように加える イ製造業者等であつて その主たる事務所並びに事業所 工場及び店舗が一の都道府県の区域内のみにあるもの(ロに規定する指定都市内製造業者等を除く 以下この条において 都道府県内製造業者等 という )当該都道府県の知事ロ製造業者等であつて その主たる

生ワクチン 不活化ワクチン ジフテリア 百日咳 破傷風 不活化ポリオ混合ワクチン の接種から20~24 週あけて3 回目を接種 別の種類のワクチンを接種する場合は 中 27 日 ( いわゆる4 週間 ) 以上あけて受けます 別の種類のワクチンを接種する場合は 中 6 日 ( いわゆる1 週間 ) 以

六十五歳以上七十歳未七十歳以上 三 九三〇円一五 二九一円 三 九三〇円一三 二八四円 附則 1 この告示は 平成四年四月一日から施行し この告示の施行の日 ( 以下 施行日 という ) 以後の期間に係る年金たる補償に係る平均給与額及び施行日以後に支給すべき事由が生じた休業補償に係る平均給与額につい

(頭紙)公布通知

綾瀬市インフルエンザ予防接種実施要領

●アレルギー疾患対策基本法案

軽自動車税 ( 種別割 ) 減免に関する取扱基準 ( 趣旨 ) 第 1 条この基準は 船橋市市税条例第 89 条及び第 90 条の規定に基づき 軽自動車税 ( 種別割 ) の減免の取り扱いに関し 必要な事項を定める ( 公益のために直接専用するものの範囲 ) 第 2 条条例第 89 条第 1 項第

Microsoft Word - 【施行】180406無低介護医療院事業の税制通知

承認第03号-都市計画税条例の一部改正(専決処分)【確定】

( 補助金の交付申請 ) 第 4 条補助金の交付を受けようとする保護者 ( 以下 申請者 という ) は 大阪狭山市私立幼稚園就園奨励費補助金交付申請書 ( 様式第 1 号 ) を市長に提出しなければならない ( 補助金の交付決定 ) 第 5 条市長は 前条の申請があった場合は 内容を審査し適当と認

<4D F736F F D208D82944E97EE8ED CC8CD CC88C092E C98AD682B782E A B A2E646F63>

伊丹市市民福祉金条例の一部を改正する条例(平成12年  伊丹市条例第  号)

<4D F736F F D E63188C4816A8D4C93878CA78BC696B18AC7979D91CC90A78A6D94468C9F8DB88EC08E7B97768D6A816989FC90B38CE3816A2E646F63>

<8F5A96AF8AEE967B91E492A082C98AD682B782E98E9696B181408AEE91628D8096DA955D89BF8F912E786C7378>

(2) 区域内の主要な道路が 環境の保全上 災害の防止上 通行の安全上又は事業活動の効率上支障がないような規模及び構造で適当に配置されており かつ 区域外の相当規模の道路と接続していること (3) 区域内の排水路その他の排水施設が その区域内の下水を有効に排出するとともに その排出によって区域及びそ

<4D F736F F D2095F18D9091E682518D E7390EC8E E738C7689E690C58FF097E182CC88EA959482F089FC90B382B782E98FF097E EA8C88816A B8C91CE8FC6955C E646F6378>

法律 出典 医薬品 医療機器等の品質 有効性及び安全性の確保等に関する法律 ( 昭和 35 年 8 月 10 日法律第 145 号 ) 政令 医薬品 医療機器等の品質 有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令 ( 昭和 36 年 1 月 26 日政令第 11 号 ) 省令 医薬品 医療機器等の品質

災害弔慰金の支給等に関する法律施行令(昭和四十八年十二月二十六日政令第三百七十四号)内閣は 災害弔慰金の支給及び災害援護資金の貸付けに関する法律(昭和四十八年法律第八十二号)第三条第一項 第五条 第八条第一項から第三項まで 第九条第二項 第十条第二項 第十一条第一項 第十二条及び第十三条の規定に基づ

平成20年度税制改正(地方税)要望事項

個人情報の保護に関する規程(案)

国民年金法による改定率の改定等に関する政令

Taro-(番号入り)案文・理由

<4D F736F F D E7392AC91BA8CF095748BE08CF095748AEE8F802E646F63>

建築計画概要書の閲覧制度の見直し(概要)

富士見市都市計画法に基づく開発許可等の基準に関する条例

<4D F736F F D F955C8E CC093788A7A934B F A7A8CB88A7A944692E88FD8816A>

小児用肺炎球菌ワクチン 対象者 : 生後 2カ月 ~5 歳未満の方接種費用 : 無料ただし 接種開始が2 歳以上の場合は自己負担あり (1100 円 ) 接種回数 : 接種開始年齢によって異なります 接種開始月 年齢接種回数 接種間隔接種費用 生後 2 月から 7 月未満 生後 7 月から 12 月

麻しん 2

に該当する者については 同項の規定にかかわらず受給資格者とする 3 病院等に入院等したことにより 本市の区域内に住所を変更したと認められる第 1 項各号に該当する者については 同項の規定にかかわらず受給資格者としない 4 第 1 項及び第 2 項の規定にかかわらず 次の各号のいずれかに該当する者は

Microsoft Word - 意見募集の結果

郵便貯金の払戻金に関する権利消滅の防止について(概要)                     

3 市長は 第 1 項の規定により指定した土地の区域を変更し 又は廃止しようとするときは あらかじめ久喜市都市計画審議会 ( 以下 審議会 という ) の意見を聴くものとする 4 第 1 項及び第 2 項の規定は 第 1 項の規定により指定した土地の区域の変更又は廃止について準用する ( 環境の保全

第 5 条市長は 前条に規定する申請書等に基づいて健康管理費を受けることができる者であることを確認したときは 当該資格を認定する 2 市長は 前項により資格を認定した者 ( 以下 受給者 という ) に対し 重障老人健康管理事業対象者証 ( 以下 対象者証 という ) を交付する ( 不認定の通知

保育所に入所できないことを事由とする育児休業手当金の延長要件の見直し(地方公務員の「パパ・ママ育休プラス」の場合)(あっせん)

( 救済給付の要件 ) 第 3 条この要綱による救済給付の要件とする県単独補助事業は 次の各号に掲げる要綱に基づく事業とする 一山梨県子宮頸がん予防ワクチン接種促進事業費補助金交付要綱 ( 平成 22 年 6 月 16 日から平成 23 年 3 月 31 日まで ) 二平成 23 年度山梨県子宮頸が

<4D F736F F D208E9197BF E88E68EE58CA C490BA96BE95B62E444F43>

( 権限の委任等 ) 第十五条内閣総理大臣は, この法律の規定による権限 ( 政令で定めるものを除く ) を消費者庁長官に委任する 2 及び3 略 4 この法律に規定する農林水産大臣の権限に属する事務の一部は, 政令で定めるところにより, 都道府県知事又は地方自治法 ( 昭和二十二年法律第六十七号

厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付の支払の遅延に係る加算金の支給に関する法律

出時に必要な援助を行うことに関する知識及び技術を習得することを目的として行われる研修であって 別表第四又は別表第五に定める内容以上のものをいう 以下同じ ) の課程を修了し 当該研修の事業を行った者から当該研修の課程を修了した旨の証明書の交付を受けた者五行動援護従業者養成研修 ( 知的障害又は精神障

万八千六百円 ) 3 現に機関登録を受けている者が他の機関登録を受けようとする場合における法第十四条第一項の政令で定める額は 前二項の規定にかかわらず 同条第一項の農林水産省令で定める各区分について 当該各区分が次の各号に掲げる区分のいずれに該当するかに応じ当該各号に定める額とする 一法第二条第二項

●空家等対策の推進に関する特別措置法案

寝屋川市母子家庭等自立支援教育訓練給付金事業実施要綱 ( 目的 ) 第 1 条この要綱は 雇用の安定及び就職の促進を図るために必要な教育訓練に係る講座 ( 以下 講座 という ) を受講する母子家庭の母 又は父子家庭の父に対し 母子及び父子並びに寡婦福祉法 ( 昭和 39 年法律第 129 号 以下

承認第03号-都市計画税条例の一部改正(専決処分)【確定】

足利市妊産婦医療費助成条例 昭和 48 年 3 月 23 日条例第 2 号改正昭和 49 年 6 月 11 日条例第 38 号昭和 59 年 12 月 20 日条例第 32 号昭和 62 年 3 月 23 日条例第 7 号平成 6 年 12 月 21 日条例第 35 号平成 10 年 3 月 24

1市町村の選挙管理委員会は 政令で定めるところにより 登録月の一日現在により 当該市町村の選挙人名簿に登録される資格を有する者を同日(同日が地方公共団体の休日に当たる場合(登録月の一日が選挙の期日の公示又は告示の日から当該選挙の期日の前日までの間にある場合を除く )には 登録月の一日又は同日の直後の

スライド 1

(Microsoft Word -

報告風しん

資料 4 医療等に関する個人情報 の範囲について 検討事項 医療等分野において情報の利活用と保護を推進する観点から 医療等に関する個人情報 の範囲をどのように定めるべきか 個別法の対象となる個人情報としては まずは 医療機関などにおいて取り扱われる個人情報が考えられるが そのほかに 介護関係 保健関

 

及びその周辺の地域における自然的条件 建築物の建築その他の土地利用の状況等を勘案し 集落の一体性を確保するために特に必要と認められるときは この限りでない (2) 区域内の主要な道路が 環境の保全上 災害の防止上 通行の安全上又は事業活動の効率上支障がないような規模及び構造で適当に配置されており か

第 3 条条例第 3 条第 2 項第 2 号の所得割の額 ( 以下 所得割の額 という ) の算定は 次の各号に掲げる場合に応じ 当該各号に定める方法により行うものとする (1) 地方税法第 314 条の7 並びに附則第 5 条の4 第 6 項及び第 5 条の4の2 第 6 項の規定による控除をされ

48

をしていないもの と読み替えた場合に同号イに該当する所得割の納税義務者又は同項第 12 号中 妻と死別し 若しくは妻と離婚した後婚姻をしていない者又は妻の生死の明らかでない者で政令で定めるもの とあるのを 婚姻によらないで父となった男子であって 現に婚姻をしていないもの と読み替えた場合に同号に該当

Microsoft Word ①概要(整備令)

Microsoft Word - (発番)医療機器の製造販売承認申請について

Transcription:

平成 26 年 8 月 22 日 北海道における日本脳炎に係る定期の予防接種を実施することについての検討 ( 概要 ) - 行政苦情救済推進会議の意見を踏まえたあっせん - 総務省行政評価局は 次の行政相談を受け 行政苦情救済推進会議 ( 座長 : 大森彌東京大学名誉教授 ) に諮り 同会議からの 北海道のみ日本脳炎に係る定期の予防接種が行われていないことは 国民の利便性や全国的な移動を考慮した場合 不合理な対応と思われる 等の意見を踏まえて 平成 26 年 8 月 22 日 厚生労働省にあっせんしました ( 行政相談の要旨 ) 青森から函館に家族で転居したが 幼児への日本脳炎の予防接種の案内が市役所から来ないため 函館市のホームページを確認したところ 北海道は日本脳炎の予防接種を行う必要のない区域に指定されているため 函館市では実施していないと掲載されていた 北海道で生まれ育った子供であっても 将来的には仕事等で国内の日本脳炎発生地域や海外で生活することも考えられるので 国は国内全ての市町村で日本脳炎の予防接種を無料で実施してほしい ( 注 ) 本件は 平成 24 年 6 月に北海道管区行政評価局函館行政評価分室が受け付けた相談である 予防接種法に基づく定期の予防接種の実施伝染のおそれがある疾病の発生及びまん延を予防するため 予防接種法 ( 昭和 23 年法律第 68 号 以下 法 という ) 第 5 条により 市町村長は 当該市町村の住民に対し 政令で定める疾病の予防に有効であることが確認されているワクチンを人体に注射又は接種することとされている この政令で定める疾病としては 予防接種法施行令 ( 昭和 23 年政令第 197 号 以下 施行令 という ) 第 1 条の 2 により 日本脳炎 百日せき 風しん等 12 の疾病が定められている ( 参考 1 参照 ) これら疾病のうち 政令で定めるものについては 都道府県知事が予防接種を行う必要がない区域を指定することができることとされており 現在は日本脳炎のみが当該施行令で定められている これを受け 現在 全都道府県の中で 北海道知事のみが北海道全域を日本脳炎の予防接種を行う必要のない区域に指定している ( 法第 5 条第 2 項及び施行令第 2 条 ) 定期の予防接種に係る費用は市町村が支弁することとされているが 当該費用は普通交付税による地方財政措置 ( 公費負担の 9 割分 ) が講じられており ほとんどの市区町村において接種費用は無料となっている 北海道において日本脳炎の定期の予防接種が実施されていない理由北海道知事は 道内に日本脳炎のウイルスを保有 ( 媒介 ) する蚊 ( コガタアカイエカ ) がほとんどいないこと及び日本脳炎の発症者がいないことを理由に 法第 5 条第 2 項に基づき 北海道全域を予防接種を行う必要がない区域に指定している このため 道内の市町村では 日本脳炎の定期の予防接種が行われていない 1

( あっせん要旨 ) 厚生労働省は 法第 5 条第 2 項に基づき都道府県知事が当該疾病の発生状況等を勘案して予防接種を行うことを要しない疾病に指定することができることとされている疾病として 施行令第 2 条において日本脳炎を規定していることの是非等について 厚生科学審議会において調査審議する必要がある ( あっせんの効果 ) このあっせんに基づく改善措置が講じられた場合 北海道在住の方も日本脳炎に係る定期の予防接種を受けることができる 2

資料 1 本件に係る制度の概要 1 日本脳炎の概要 現状等について ⑴ 日本脳炎の症状等日本脳炎は ウイルス感染によって起こる脳等の中枢神経疾患であり 人から人への感染はなく 豚などの体内でウイルスが増殖した後 その豚を刺した蚊 ( コガタアカイエカなど ) が人を刺すことにより感染する 発症者は 東アジア 南アジアに広く分布し 脳炎を発症した場合は 20~40% が死亡に至る 患者の年齢は 65~69 歳が最も多く 40 歳以上が全体の約 85% を占める 日本においては 表 -1のとおり 平成 15~24 年の 10 年間で 51 人が発症している 表 -1 日本脳炎の発症者数 ( 単位 : 人 ) 年発症者数 発生地域北海道東北関東中部近畿中国四国九州沖縄 平成 15 年 1 0 0 0 0 0 0 0 1 1 16 5 0 0 0 0 1 0 0 3 0 17 7 0 0 0 2 0 3 0 2 0 18 7 0 0 0 0 0 2 1 4 0 19 10 0 0 0 3 0 3 0 4 0 20 3 0 0 2 1 0 0 0 0 0 21 3 0 0 0 0 1 0 1 1 0 22 4 0 0 0 1 0 0 1 2 0 23 9 0 0 1 0 0 1 0 6 1 24 2 0 0 0 0 0 0 0 2 0 計 51 0 0 3 7 2 9 3 25 2 ( 注 ) 感染症発生動向調査年報 ( 国立感染症研究所編 ) に基づき作成した ⑵ 法における日本脳炎の位置付け法第 5 条第 1 項により 政令で定める疾病について 市町村長は予防接種を行わなければならないとされており 当該政令で定める疾病については 施行令第 1 条の2により 日本脳炎 百日せき及び風しんなど 12 の疾病が定められている ただし 法第 5 条第 2 項において 当該 12 の疾病のうち厚生労働省が政令で定める疾病は 都道府県知事が市町村長による予防接種を行う必要がない区域に指定することができることとされており 施行令で定める疾病は 現在 日本脳炎のみとなっている ( 施行令第 2 条 ) また 上記の知事による指定があった場合 市町村長は 上記の疾病 ( 日本脳炎 ) に 3

ついて 予防接種を行うことを要しないこととされている ( 法第 5 条第 3 項 ) ⑶ 北海道において日本脳炎に係る予防接種が行われていない理由北海道は 毎年 北海道感染症危機管理対策協議会を開催し 同会議において 北海道に日本脳炎のウイルスを保有 ( 媒介 ) する蚊がほとんどいないこと及び日本脳炎の発症者がいないことを理由に日本脳炎に係る定期の予防接種を行う必要がないと結論付けている これを受け 北海道知事は 北海道全域を日本脳炎の予防接種を行う必要がない区域として指定しており このため 北海道の全市町村では 日本脳炎の定期の予防接種が行われていない なお 現在のところ 北海道以外で日本脳炎の予防接種を行う必要がない区域が指定されている都府県はない 2 日本脳炎の定期予防接種の対象者の道内への転入及び道外への転出状況平成 23 年から 25 年までの直近 3か年における定期予防接種対象年齢となる者の道内への転入及び道外への転出状況は表 -2のとおり おおむね4 万 9,000 人 ~5 万 7,000 人で推移している 日本脳炎の定期の予防接種は 予防接種法実施規則 ( 昭和 33 年厚生省令第 27 号 ) に基づき 第 1 期 (4 歳まで ) の3 回と第 2 期 ( 標準として9 歳 ) の1 回の計 4 回にわたって実施することとされており 第 1 期は日本脳炎の基礎的な免疫をつけるためのもので 第 2 期は脳炎の発症を予防することが可能なレベルの抗体を維持することが期待されるとされている 特に 基礎的な免疫をつけることができる第 1 期の予防接種をせずに予防接種の第 2 期に当たる年齢の者が道外に転出した場合 道外の市町村で定期予防接種を4 回することは困難であるといった不利益が想定される 表 -2 北海道の人口移動の状況年平成 23 年 24 年 25 年 年齢別 区分 人口 ( 千人 ) 転入者 転出者 人口 ( 千人 ) 転入者 転出者 人口 ( 千人 ) 転入者 転出者 0~4 歳 198 3,435 3,104 200 3,899 2,919 201 3,174 3,033 5~9 歳 210 2,050 2,094 215 2,337 1,838 219 1,980 2,081 10~14 歳 231 1,214 1,243 234 1,305 1,202 237 1,159 1,324 15~19 歳 249 3,115 4,453 255 3,131 4,905 259 3,287 4,487 計 (0~19 歳 ) 888 9,814 10,894 904 10,672 10,864 916 9,600 10,925 全年齢 5,460 49,367 56,112 5,486 51,998 54,480 5,506 48,784 57,421 ( 注 )1 本表は総務省統計局の人口推計の結果の概要及び住民基本台帳人口移動報告に基づき作成した 2 人口は各年 10 月 1 日現在の数で 転入者及び転出者数は年間の数である 4

参考 1 法第 5 条第 1 項において定期予防接種の対象となっている疾病 疾病名接種時期接種回数備考 ジフテリア 百日せき 破傷風 急性灰白髄炎 ( ポリオ ) 生後 3 か月から生後 90 か月未満の間に 4 回初回 3 回 :1 回ごとに 20 日以上の間隔をおいて接種追加 1 回 : 初回接種終了後 6 月以上の間隔をおいて接種 4 回 4 種混合 <DPT - IPV> ワクチン 麻しん ( はしか ) 風しん 生後 12 か月から生後 24 か月に 1 回 小学校入学 1 年前 (6 歳頃 ) に 1 回 2 回 2 種混合ワクチン (MR) 日本脳炎 第 1 期 (3 回 ) 初回接種 (2 回 ): 生後 6 か月以上 90 か月未満 ( 標準として 3 歳 ) 追加接種 (1 回 ): 初回接種後おおむね 1 年後 ( 標準として 4 歳 ) 第 2 期 (1 回 ):9 歳以上 13 歳未満 ( 標準として 9 歳 ) 4 回 結核生後 1 歳までに 1 回 1 回 BCG Hib 感染症 おおむね生後 12 か月までに 3 回 初回接種終了後 7 月以上の間隔をおいて 1 回 4 回 小児の肺炎球菌感染症 おおむね生後 12 か月までに 3 回 月齢 15 か月までに 1 回 4 回 ヒトパピローマウイルス感染症 おおむね中学 1 年から高校 1 年相当の女子に対して 3 回 3 回 現在 積極的な勧奨は行っていない インフルエンザ 65 歳以上の高齢者等に対して毎年度 1 回 1 回 ( 注 ) 国立感染症研究所感染症疫学センターのホームページ等より作成した 参考 2 日本脳炎について予防接種を行うことを要しない区域としての指定状況 平成 6 年 予防接種法の改正により日本脳炎が定期予防接種の対象となる 平成 7~10 年度まで 北海道知事及び青森県知事が 北海道全域及び青森全域について予防接種を行うことを要しない区域に指定する 平成 11 年度 ~ 現在に至るまで 北海道知事のみが 北海道全域について予防接種を行うことを要しない区域に指定する 5

参考 3 関係法令 予防接種法 ( 昭和 23 年法律第 68 号 ) 抜粋 ( 定義 ) 第 2 条 ( 略 ) 2 この法律において A 類疾病 とは 次に掲げる疾病をいう 一 ~ 四 ( 略 ) 五風しん六日本脳炎七 ~ 十二 ( 略 ) 3 この法律において B 類疾病 とは 次に掲げる疾病をいう 一インフルエンザ二 ( 略 ) 4 この法律において 定期の予防接種 とは 次に掲げる予防接種をいう 一第五条第一項の規定による予防接 ( 市町村長が行う予防接種 ) 二 ( 略 ) 第 5 条市町村長は A 類疾病及び B 類疾病のうち政令で定めるものについて 当該市町村の区域内に居住する者であって政令で定めるものに対し 保健所長 ( 特別区及び地域保健法 ( 昭和 22 年法律第 101 号 ) 第 5 条第 1 項の規定に基づく政令で定める市 ( 第 10 条において 保健所を設置する市 という ) にあっては 都道府県知事 ) の指示を受け期日又は期間を指定して 予防接種を行わなければならない 2 都道府県知事は 前項に規定する疾病のうち政令で定めるものについて 当該疾病の発生状況等を勘案して 当該都道府県の区域のうち当該疾病に係る予防接種を行う必要がないと認められる区域を指定することができる 3 前項の規定による指定があったときは その区域の全部が当該指定に係る区域に含まれる市町村の長は 第 1 項の規定にかかわらず 当該指定に係る疾病について予防接種を行うことを要しない ( 注 ) 下線は 当局が付した 6

予防接種法施行令 ( 昭和 23 年政令第 197 号 ) 抜粋 ( 市町村長が予防接種を行う疾病及びその対象者 ) 第 1 条の 2 法第 5 条第 1 項の政令で定める疾病は 次の表の上欄に掲げる疾病とし 同項 ( 予防接種法の一部を改正する法律 ( 平成 13 法律第 116 号 ) 附則第 3 条第 1 項 ( 予防接種法の一部を改正する法律 ( 平成 25 年法律第 8 号 ) 附則第 7 条の規定により読み替えられる場合を含む ) の規定により読み替えられる場合を含む ) の政令で定める者は 同表の上欄に掲げる疾病ごとにそれぞれ同表の下欄に掲げる者 ( 当該疾病にかかっている者又はかかったことのある者 ( インフルエンザにあっては インフルエンザにかかったことのある者を除く ) その他厚生労働省令で定める者を除く ) とする 疾病ジフテリア 百日せき急性灰白髄炎麻しん 風しん 日本脳炎 破傷風 結核 Hib 感染症肺炎球菌感染症 ( 小児がかかるものに限る ) ヒトパピローマウイルス感染症インフルエンザ 定期の予防接種の対象者一生後三月から生後九十月に至るまでの間にある者二 ( 略 ) 生後三月から生後九十月に至るまでの間にある者生後三月から生後九十月に至るまでの間にある者一生後十二月から生後二十四月に至るまでの間にある者二 ( 略 ) 一生後十二月から生後二十四月に至るまでの間にある者二 ( 略 ) 一生後六月から生後九十月に至るまでの間にある者二九歳以上十三歳未満の者一生後三月から生後九十月に至るまでの間にある者二 ( 略 ) 生後一歳に至るまでの間にある者生後二月から生後六十月に至るまでの間にある者生後二月から生後六十月に至るまでの間にある者 十二歳となる日の属する年度の初日から十六歳となる日の属する年度の末日までの間にある女子一六十五歳以上の者二 ( 略 ) ( 市町村長が予防接種を行うことを要しない疾病 ) 第 2 条法第 5 条第 2 項の政令で定める疾病は 日本脳炎とする 7

資料 2 本件相談に係る厚生労働省の意見 1 北海道において 日本脳炎に係る定期の予防接種が行われていない理由等日本脳炎は 予防接種法 ( 昭和 23 年法律第 68 号 ) 第 5 条第 2 項及び予防接種法施行令 ( 昭和 23 年政令第 197 号 ) 第 2 条の規定に基づき 都道府県知事は日本脳炎については地域における発生状況等を勘案して 当該地域において定期の予防接種として実施しなくてもよいこととされている 定期の予防接種は 疾病のまん延防止や罹患した場合の重症化防止等を目的として 疾病の発生及びまん延防止のために必要であることなどの諸事情を総合的に勘案して まれに発生する副反応による健康被害を合理化できる程度の政策的必要性を有すると判断される場合に実施されるものであるため このような観点から 各地域の状況によって定期の予防接種として実施しないことができるとする規定を設けることは合理的と考えられる 北海道では毎年度 疫学調査の実施や感染症危機管理対策協議会の開催を通じて 定期の予防接種を実施するか必要性を検討した上で 日本脳炎を定期の予防接種として実施しないという施策判断が行われている このように 科学的知見に基づき定期の予防接種として実施しないという判断を行っている北海道に対し 国が定期の予防接種の実施義務を課し 接種勧奨を行うことを求めることや 被接種者本人やその保護者に対して接種を受ける努力義務を課すことは 感染症の流行状況と一定の副反応が不可避的に発生するワクチン接種の特性を勘案すれば 施策判断として適当とは言えないと考えられる 2 厚生科学審議会での検討について北海道において日本脳炎に係る定期の予防接種を実施することについては 国民の利便性等といった観点からは一定程度理解することはできる 一方 厚生科学審議会 ( 予防接種 ワクチン分科会 以下 審議会 という ) は予防接種法に基づき疾病のまん延防止や予防接種の効果等の観点から予防接種及びワクチンに関する調査審議 ( 特に定期接種の対象疾病の検討 ワクチンの有効性 リスクなどの評価等 ) を行っている 仮に 被接種者個人の利便性を考慮することや地域ごとで定期接種の実施状況が異なること等について 審議会で議題としたとしても 感染症対策 あるいは予防接種施策という観点から専門家が評価することになるため 感染症の流行状況など 疫学的な点でも引き続き北海道が日本脳炎を定期の予防接種として実施しないことや 科学的根拠に基づき日本脳炎を全国一律に定期の予防接種として実施する必要性がないことについて 議題とする利益は乏しいと考えられる 8

参考 行政苦情救済推進会議 総務省に申出のあった行政相談事案の処理に民間有識者の意見を反映させる ための総務大臣の懇談会 ( 昭和 62 年 12 月発足 ) メンバーは 次のとおり ( 座長 ) 大森彌東京大学名誉教授 秋山收元内閣法制局長官 加賀美幸子加藤陸美小早川光郎関口一郎松尾邦弘 千葉市男女共同参画センター名誉館長元環境事務次官成蹊大学法科大学院教授公益社団法人全国行政相談委員連合協議会会長弁護士 元検事総長 9