管理標準と 原単位の 見える化 による 省エネ事例 ユアサ商事株式会社 ユアサエナジーソリューション室 広瀬薫 1 Yuasa Trading CO., LTD.
すべての事業者 ( 企業 ) の責務 省エネ法第 3 条告示第 57 号エネルギーの使用の合理化に関する基本方針 1 工場等においてエネルギーを使用して事業を行う者が講ずべき措置 (1) 工場等においてエネルギーを使用して事業を行う者は 次の各項目の実施を通じ エネルギー消費原単位の改善を図るものとする 3 エネルギー管理統括者及びエネルギー管理企画推進者を中心として 工場等全体の総合的なエネルギー管理を実施すること 6 エネルギーを消費する設備の運転並びに保守及び点検その他の項目に関し 管理標準を設定し これに準拠した管理を行うこと 7 エネルギー管理統括者及びエネルギー管理企画推進者によるエネルギー管理者及びエネルギー管理員の的確かつ十分な活用その他工場等全体における総合的なエネルギー管理体制の充実を図ること 法第 4 条 : エネルギーを使用する者は 基本方針に定めるところに留意して エネルギーの使用の合理化に努めなければならない 2
特定事業者の義務及び遵守すべき事項 3
平成 22 年度工場現地調査の実施方針 4
行政によるチェックと罰則 ( 省エネ法の厳正な執行 ) 工場現地調査 5
管理体制 組織の整備と省エネ推進フロー エネルギー管理体制 組織整備 エネルギー管理者統括者 ( 責任者 ) がリーダー 体制の整備 組織の役割 権限の分担 全員の参画 エネルギー使用状況の把握 現状エネルギー使用量の把握 原単位管理 見える化 目標の設定 エネルキ ー管理統括者 ( 責任者 ) による明確な目標 方針 具体的な個別目標の設定 省エネ型設備導入の検討 管理標準の設定 運用による日常の改善 省エネ型設備導入による改善 運用 設備の改善 実績評価 PDCA を回して次のステージへ 効果の確認 6
管理の体制と運用改善 設備改善の模式図 省エネ推進は 省エネ法 の趣旨の理解がキーポイント 7
定期報告書の作成と提出 8
管理標準 作成 遵守によるメリット 運用による改善により 5% 以上の省エネが可能 原油換算量からエネルギーコストを算出し 運用改善により 5% 削減できたと想定した場合のエネルギーコスト削減額を試算 ( 条件 ) 年間原油換算量 3,500kL/ 年エネルギー使用割合として電気 85% 都市ガス 15% と想定 ( 電力熱量換算値 9.97GJ/ 千 kwh 都市ガス熱量換算値 45GJ/ 千 m3 原油換算値 0.0258kL/GJ) 電力料金単価 15 円 /kwh 都市ガス料金単価 70 円 /m3 とし 想定削減率 5% とします 電力 3,500kL/ 年 85% (9.97GJ/ 千 kwh 0.0258kL/GJ) 15 円 /kwh = 173,486 千円 / 年 173,486 千円 / 年 5% = 8,674 千円 / 年 1( 電力料金削減金額 ) ガス 3,500kL/ 年 15% (45GJ/ 千 m3 0.0258kL/GJ) 70 円 /m3 = 31,654 千円 / 年 31,654 千円 / 年 5% = 1,583 千円 / 年 2( ガス料金削減金額 ) 年間電力 ガス料金削減金額 = 1 + 2 = 10,257 千円 / 年 省エネ運用改善等によるコスト削減試算額は 千円 / 年 9
判断基準 管理標準 について エネルギー使用設備の運転管理マニュアルのこと 管理標準 は省エネ 判断基準 ( ガイドライン ) に基づき エネルギー使用設備の といった管理要領を定めたマニュアルのこと 10
判断基準(ガイドライン)の遵守(管理標準の設定) 省エネ法第5条 告示第66号 判断基準 Ⅰ エネルギーの使用の合理化の基準 (抜粋) 事業者としての取り組み 管理標準の設定 遵守 11
中長期的にみて年平均1 以上のエネルギー消費原単位の低減 省エネ法第5条 告示第66号 判断基準 Ⅱ エネルギーの使用の合理化の目標及び計画的に取り組むべき措置 (抜粋) 計画的に取り組むべき措置 12
判断基準の改正 ( 告示第 66 号 ) 事業者及び連鎖化事業者が全体を俯瞰して取組むべき事項については前段に規定 判断の基準となる事項を 専ら事務所その他これに類する用途に供するもの に関する事項と それ以外の 工場等 に関する事項とに分割して規定 改正前 ( 告示第 65 号 ) 改正後 ( 告示第 66 号 ) Ⅰ. エネルギーの使用の合理化の基準 Ⅰ. エネルギーの使用の合理化の基準前段 : 事業者及び連鎖化事業者が全体を俯瞰して取り組むべき事項 1. 専ら事務所その他これに類する用途に供するものに関する事項 (1) 空気調和設備 換気設備 (2) ボイラー設備 給湯設備 (3) 照明設備 昇降機 動力設備 (4) 受変電設備 BEMS (5) 発電専用設備及びコージェネレーション設備 (6) 事務用機器 民生用機器 (7) 業務用機器 (8) その他エネルギーの使用の合理化に関する事項 2. 工場等 (1. に該当するものを除く ) に関する事項 1 燃料の燃焼の合理化 (1) 燃料の燃焼の合理化 2 加熱及び冷却並びに伝熱の合理化 (2) 加熱及び冷却並びに伝熱の合理化 3 廃熱の回収利用 (3) 廃熱の回収利用 4 熱の動力等への変換の合理化 (4) 熱の動力等への変換の合理化 5 放射 伝導 抵抗等によるエネルギーの損失の防止 (5) 放射 伝導 抵抗等によるエネルギーの損失の防止 6 電気の動力 熱等への変換の合理化 (6) 電気の動力 熱等への変換の合理化 Ⅱ. エネルギーの使用の合理化の目標及び Ⅱ. エネルギーの使用の合理化の目標及び計画的に取り組むべき措置 以下略 以下略 13
1 専ら事務所その他これに類する用途に供するものに関する事項の模式図 ( ) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) 14
工場等におけるエネルギーの使用の合理化に関する事業者の判断の基準 ( 基準部分 ) 1 専ら事務所その他これに類する用途に供する工場等における法定 8 区分の項目の中で 管理標準 の作成は 47 項目 守るべき 基準 は 2 項目を要求 (2),(3),(4),(5),(6),(7),(8) は省略 15
2 工場等 (1. に該当するものを除く ) に関する事項の模式図 ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) 16
2 工場等におけるエネルギーの使用の合理化に関する事項における法定 6 区分の項目の中で 管理標準 の作成は 74 項目 守るべき 基準 は 5 項目を要求 (3),(4-1),(4-2),(5-1),(5-2),(6-1),(6-2) は省略 17
管理標準 の設定 運用ステップ 現場の実情に合った 管理標準 の設定を 判断基準に基づくエネルギー管理体制の整備 ( エネルギー管理委員会等の設置 役割 権限の分担等 ) 取組方針の設定 ( 中長期計画 原単位管理目標等 ) 全員の参画 判断基準の熟読 要求内容の理解 個表 群分け作業 ( 設備別 ライン別 ) エネルギー使用設備の仕様 計測 記録 保守 点検表類などの確認 エネルギーフロー図の作成 エネルギー使用設備 ライン別ごとの判断番号の設定 管理値の設定 計測 点検間隔の設定 及び計測 記録 保守点検表類の確認 手直し 管理値の見直し 再設定による改善 計測異常値への対応 及び保守 点検の実施による損失の回避 運用 PDCA の実施 設定後の運用 PDCA の実施が大切 18
管理標準 は健康マニュアル 原単位管理 はものさし 19
管理標準 の作成例 1 専ら事務所その他これに類する用途に供するものに関する事項 ( パッケージ型ヒートポンプエアコン ) 2 工場等 (1. に該当するものを除く ) に関する事項 ( 殺菌装置 ) 20
パッケージ型ヒートポンプエアコン 1 21
パッケージ型ヒートポンプエアコン 2 22
殺菌装置 1 23
殺菌装置 2 24
殺菌装置システム図 25
管理標準 作成上の留意点 省エネ法との関連性を明記すること 設備 システム等が判断基準のどの項目に該当しているか 判断基準の要求内容を理解して作成する 生きた 管理標準 を作成すること 実施できない形式的なものでなく 実質的に役立つものを作成する 分かり易い 管理標準 を作成すること システム図等で管理する範囲を明確にする 日常 運転管理者等が行っている運転管理 計測記録を生かす 26
原単位の 見える化 について 27
エネルギー消費原単位とは? エネルギー消費原単位 = エネルギー使用量 (kl) エネルギー使用量と密接な関係を持つ値 エネルギー使用量 (kl) =( 燃料使用量 他からの熱 電気の使用量 ) - 外販したエネルギー量 エネルギー使用量と密接な関係を持つ値例 ( 生産数量 生産トン数 延床面積 入場者数 ベット数 等 ) 原単位の考え方 同じ原単位を継続して使うことが原則 原単位はエネルギー使用合理化の進捗を経年的に評価する指針 真の省エネ努力が評価できる値で除すること 定量的に把握可能で妥当性のあること 原単位が悪化した時 : 外的要因か内的要因かを分析すること論理的 計数的に分析した数値を把握すること 28
原単位悪化時の把握の方法は? 原単位計算例 H19 年度 H20 年度 13.58 (kl/ 人 ) = 8,246(kL) 607( 人 ) 13.64 (kl/ 人 ) = 8,455(kL) 620( 人 ) 原単位が悪化した時 どの様な把握の方法があるのか? エネルギーは 必ず 目的 があって使用されているはず 全体 を把握し 正しく評価するには 構成要素ごとの特性を把握しておくことが必要に 29
原単位悪化時の把握例 1 30
原単位の 見える化 とは 個別原単位 を設定すれば 実態に即した管理が可能に 設備 機器の状態や運用の実態がデータにあらわれる ( 見える化 ) 機器 ( 設備 ) 更新などの対策の効果を検証する 給油量 給油量 機器 ( 設備 ) 更新の効果 走行距離 運用上の課題を抽出する ( 事務所ビルの例 ) 走行距離 基準からのズレ ムダ = 改善余地の可能性 ( 例 ) 未使用時の電源消し忘れ ムダが発生する原因 ( 毎日 省エネ運用ができた場合 ) ( 例 ) 空調設定温度が適正でない 31
管理標準 運用の先にある 個別原単位管理 32
個別原単位管理 による 見える化 33
見える化 による 分析 34
個別原単位管理 で更なる省エネの深堀りを 35
省エネ PDCA サイクルにおける 個別原単位管理 の活用 - 個別原単位の設定 - - 個別原単位の設定 - 導入時は すでにある 過去の実績データを使用 現有データを 有効に活用できるように整理することも一種の 見える化 実態に合わせた管理単位の見直しおよび効果的な計測 ( 見える化 ) 実施項目の抽出 具体的な省エネ対策 運用改善 設備改善 省エネ CO2 削減 対策効果検証 基準値等の見直し 計画等の見直し - 基準値と実績値の差異分析 - 差異の要因を調査 分析 要対策個所の抽出と優先順位付け 運用改善 ( 実際に設備 エネルギーを使用する人が ) 設備改善 ( 保守管理者が ) 設備更新 ( メーカーが ) について多角的に検討を実施 36
まとめ : 管理標準 と 原単位管理 確実な実施 ( 遵守 ) で 37
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