いじめ防止等のための基本的な方針 ( 平成 27 年 12 月 ) 浜松市立麁玉中学校 1 はじめに 平成 2 5 年 6 月に成立した いじめ防止対策推進法 ( 以下 いじめ防止法 ) によって 中学校は 早期発見 早期解決の体制整備が迫られています 特に 深刻な危害 重大事態 については 調査と報告が義務付けられました 同年の大津事件が起因とされているのは周知のことですが 学校ではいじめはなかったとして適切な対応を取らなかったことで最悪の結果になったことを考えれば 当然のことかもしれません いじめはこれまで 1 9 8 6 年に第 1 次 1 9 9 4 年に第 2 次 2 0 0 6 年に第 3 次 そして現在の第 4 次と 4 つの大きな波がありました これは あくまでも 社会問題化 のピークであり いじめのピークではありません 学校では いじめの状態はずっと続いていたが 事件に伴い話題になった時期と話題にならなかった時期があるにすぎません いじめの実態を明らかにしようと いじめの定義が変化し いじめの発生件数が認知件数となってきています そして今 いじめは 本校でも どの学級でも どの生徒にも起こりうる と考えられています 次に いじめと暴力を区別することです 暴力は法律によって禁じられている行為であり犯罪です 犯罪であるから見逃すわけにいかず 暴力を先ず止めさせなければなりません また必要に応じて警察等の協力も必要になります しかし 見えやすい 暴力 にだけ対応し 見えにくい いじめ を見逃すことがないようにすることが大切です さらに いじめ では どのような生徒も被害者になり得るし また加害者にもなり得ると考えます グループの中で順に仲間はずれにされる人が変わってくることなどが典型です 以上のような現状認識から 本校ではいじめの発見や解決だけでなく むしろいじめが起きにくい風土を作ることをねらいとします 具体的には一人一人の生徒の居場所づくりに心掛け 生徒の自己有用感を高めることを最終目標に 以下の基本方針を立てます 2 いじめ防止等のための基本的な方向 ( 1 ) いじめの定義 いじめ とは 当校生徒に対して 当該生徒以外の当校の生徒等 当該生徒と一定の人的関係にある生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為 ( インターネットを通じて行われるものを含む ) であって 当該行為の対象となっている生徒が心身の苦痛を感じているもの ( いじめ防止対策推進法 ( 以下 法 という ) 第 2 条 ) をいいます 1
いじめの表れとして 以下のようなものが考えられます 冷やかしやからかい 悪口や脅し文句 嫌なことを言われる 仲間はずれ 集団から無視をされる 軽く体を当てられたり 遊ぶふりをして叩かれたり 蹴られたりする 体当たりされたり 叩かれたり 蹴られたりする 金品をたかられる 金品を隠されたり 盗まれたり 壊されたり 捨てられたりする 嫌なことや恥ずかしいこと 危険なことをされたり させられたりする パソコンや携帯電話等で 誹謗中傷や嫌なことをされる等個々の行為がいじめに当たるか否かの判断は いじめを受けた子どもの立場に立つことが必要です また いじめには多様な表れがあることに留意して いじめに該当するかを判断する際に 心身の苦痛を感じているもの だけでなく 本人が気付いていなくても その子が いじめられている状況にないか という視点で周辺の状況等を客観的に確認することも必要です ( 2 ) いじめの理解 1 いじめは どの子供にも どの学校でも 起こり得ます 2 嫌がらせや いじわる等の 暴力を伴わないいじめ は 多くの児童生徒が入れ替わりながら被害も加害も経験します 3 暴力を伴わないいじめ であっても 何度も繰り返されたり 多くの者から集中的に行われたりすることで 暴力を伴ういじめ とともに 生命又は身体に重大な危険を生じさせます 4 いじめの加害 被害という二者関係だけでなく 学級や部活動等の所属集団の秩序がなかったり 閉鎖的だったりする問題があります 観衆 としてはやし立てたり 面白がったりする存在や 周辺で暗黙の了解を与えている 傍観者 の存在にも注意を払い 集団全体にいじめを許容しない雰囲気が形成されるようにします ( 3 ) いじめの考え方いじめは どのような理由があろうとも絶対に許されない行為です しかし どの子供にも どこにでも起こりうることを踏まえ 全ての子どもを対象とした対応が求められています いじめが起きたとき 被害者が傷ついているだけでなく 加害者も 周囲にいる人々も傷ついています いじめが重篤になればなるほど 状況は深刻さを増し その解消は難しくなります そのため いじめを未然に防止することが重要です いじめの未然防止には いじめが起こらない人間関係を構築していくことが求められます 社会全体で 健やかでたくましい子どもを育成し 心の通い合う温かな人間関係を築き いじめに向かわない子どもを育てることが重要です 学校や家庭だけでなく 地域とも連携をとり 社会全体でいじめの未然防止に取り組みます 2
3 いじめ防止等の対策 ( 1 ) 校内委員会の設置いじめ防止等の対策のため いじめ対策委員会を組織します 1 いじめ対策委員会の構成委員長校長委員教頭 教務主任 生徒指導主事 各学年生徒指導担当 養護教諭特別委員スクールカウンセラー スクールサポータースクールソーシャルワーカー 2 実施方法基本的に 毎週 1 回開催します 必要に応じて特別委員を加えます ( 2 ) いじめの未然防止いじめ防止のためには 最終的には いじめが起きにくい風土 をつくることを目指しますが それと同時にいつでも起こり得るという視点で 次のような取組をします 1 中学校区人づくり教育推進事業 2 道徳教育の推進 3 生徒会による防止活動 4 保護者や地域への啓発 5 教職員の資質向上 ( 3 ) いじめの早期発見いじめの早期発見には いじめはどの子共にも どこでも起こりうるとの観点から 家庭 学校 地域が一体となって子供を見守る体勢を整えることが必要です 周りの大人が常に子供に寄り添い 子供たちのわずかな変化を見逃さず いじめを認知します 1 子どもの実態把握 ( アンケート 日記指導 ) 2 相談体制の整備 ( 個別面談 スクールカウンセラー スクールワーカー ) 3 いじめ対策委員会の定期開催 3
( 4 ) 麁玉中学校いじめの早期対応 いじめ対応の流れ いじめ対策委員会委員長 校長委員 教頭 教務主任 生徒指導主事 各学年生活担当 養護教諭特別委員 スクールカウンセラー スクールソーシャルワーカー スクールサポーター いじめの事案 学年 学校での共通認識 対応 実態の調査 アンケート 日記 日々の様子 子供の訴え 担任 学年 生徒指導主事 アンケート 個別面談 対応 保護者連絡 市教委への報告 重大事態 生命の危険 重大な傷害 金品等重大な被害 精神性の疾患 いじめが原因の長期の欠席 いじめの重大事態 調査主体の判断 指示 ( 市教委 ) 市教委への報告 いじめ防止等の対策のための組織に よる調査 ( 初期調査 ) ( 学校 ) 必要な指導 支援 ( 市教委 ) 市教委が設置する組織による調査 ( 初期調査 ) 必要な指導 支援 ( 市教委 ) 4
(5) 関係機関との連携学校には 相談しにくいケースの場合 生徒や保護者の声に耳を傾ける以下のような外部機関を紹介し 相談や対応について 連携をとりながら協議していきます 教育相談支援センターいじめに関することも含めた学校生活に関した相談に応じています 浜松市いじめ子どもホットライン (053-451-0022) 学校等に通う子どもとその保護者を対象に 2 4 時間いつでも相談できる体制でいじめに関する相談に応じています 家庭児童相談室地域に寄り添う教育相談員を区役所内に配置し いじめを含めた家庭と子どもに関する相談に応じています 4 重大事態への対処 (1) 重大事態の意味重大事態とは次のような場合を言います いじめにより 子どもの生命 心身または財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき ( 自殺 傷害 金品の被害 精神疾患 ) いじめが原因で 欠席が続いたり 不登校になったりしたとき ( 不登校は年間 3 0 日程度の欠席が目安となります ) 子どもや保護者から いじめを受けて重大事態に至ったという申し立てがあったとき (2) 重大事態についての調査重大事態と思われる場合は 情報を収集するとともに 教育委員会に報告します 教育委員会の指導の下 調査のための組織を設けます (3) 調査を行うための組織学校と浜松市教育委員会は その事案が重大事態であると判断した時には 当該重大事態に係わる調査を行うために 速やかに連携して組織を設けます なお 子どもの命にかかわる場合には 精神保健福祉センターと連携し 心の緊急支援を同時に行います (4) 調査の実施 事実関係を明確にする とは 重大事態に至る要因となったいじめ行為が いつ ( いつ頃から ) 誰が関わり どのような表れであったか いじめを生んだ背景事情としてどのような問題があったか 学校 教職員がどのように対応したか等の事実関係を 可能な限り網羅的に明確にします (5) 調査結果の提供及び報告調査によって明らかになった事実関係について いじめに関わった子どもやその保護者に対して説明します これらの情報提供に当たっては 子どものプライバシーや関係者の個人情報に十分配慮し 適切に提供します 調査結果について 学校は浜松市教育委員会に報告します 5
(6) 相談体制の整備いじめに直接かかわった子どもだけでなく 身近にいじめがあり またいじめをとめることができなかった子どもやその保護者並びに教職員が 心身の苦痛をかんじてしまうことがあるため カウンセリング等を行うことができる体制を整備します (7) 報道への対応情報発信 報道対応については 個人情報保護の配慮の上 正確で一貫した情報提供をします 初期の段階でトラブルや不適切な対応がなかったと決めつけたり 断片的な情報で誤解を与えたりすることのないように留意します また 自殺については 亡くなった子どもの尊厳の保持や連鎖 ( 後追い ) の可能性があること等を踏まえ W H O( 世界保健機関 ) による自殺報道への提言を参考にし 報道の在り方に特別の注意 ( 倫理観を持った取材等 ) を求めていきます 6