01 表紙

Similar documents
目 次 第 1 趣旨 目的 1 第 2 ガイドラインの適用 1 1. 対象給付 1 2. 対象傷病 1 3. ガイドラインの運用 1 第 3 障害等級の判定 2 1. 障害等級の目安 2 2. 総合評価の際に考慮すべき要素の例 2 3. 等級判定にあたっての留意事項 2 (1) 障害等級の目安 2

11総法不審第120号

11総法不審第120号

もあり 安全で問題のない生活を送るためには家庭の中で請求人一人の力だけでは難しく 周りの大人の支援を必要としている状況である 現在も上記のような状況から 仕事ができずにいる また 本件処分は本件診断書に基づいて行われているが その後本件児童の状態が変わっているので 平成 30 年 3 月 26 日付

11総法不審第120号

( 参考 ) 国民年金法施行令別表 厚生年金保険法施行令別表第 及び第

11総法不審第120号

11総法不審第120号

< F2D90B8905F8EE892A08EC08E7B977697CC B8C292E6A7464>

公的医療保険が対象とならない治療 投薬などの費用 ( 例 : 病院や診療所以外でのカウンセリング ) 精神疾患 精神障害と関係のない疾患の医療費 医療費の自己負担ア ) 世帯 ( 1) における家計の負担能力 障害の状態その他の事情をしん酌した額 ( しん酌した額が自立支援医療にかかった費用の 10

要件の判定に必要な事項 1. 患者数約 400 人 ( 徐波睡眠期持続性棘徐波を示すてんかん性脳症及びランドウ クレフナー症候群の総数 ) 2. 発病の機構不明 ( 先天性あるいは早期の後天性脳病変がみられることはあるが発病にかかわる機序は不明 遺伝子異常が関係するという報告もあり ) 3. 効果的

( 別紙 ) 精神障害者保健福祉手帳障害等級判定基準 精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定は ⑴ 精神疾患の存在の確認 ⑵ 精神疾患 ( 機 能障害 ) の状態の確認 ⑶ 能力障害の状態の確認 ⑷ 精神障害の程度の総合判定という順 を追って行われる 障害の状態の判定に当たっての障害等級の判定基準を

3) 適切な薬物療法ができる 4) 支持的関係を確立し 個人精神療法を適切に用い 集団精神療法を学ぶ 5) 心理社会的療法 精神科リハビリテーションを行い 早期に地域に復帰させる方法を学ぶ 10. 気分障害 : 2) 病歴を聴取し 精神症状を把握し 病型の把握 診断 鑑別診断ができる 3) 人格特徴

精神障害者保健福祉手帳障害等級判定基準

11総法不審第120号

11総法不審第120号

kisaihouhou

第1 総 括 的 事 項

11総法不審第120号

のもの 7 発達障害によるものにあっては その主症状とその他の精神神経症状が高度のもの 8 その他の精神疾患によるものにあっては 上記の 1 ~ 7 に準ずるもの 2 級 1 統合失調症によるものにあっては ( 精神障 残遺状態又は病状があるため 人害であっ格変化 思考障害 その他の妄想幻て 日常生

はじめに 精神障害者保健福祉手帳の障害等級判定 ( 診断書による申請の場合 ) は 書面審査であり 精神保健指定医その他精神障害の診断又は治療に従事する医師が記入した診断書を (1) 精神疾患の存在の確認 (2) 精神疾患 ( 機能障害 ) の状態の確認 (3) 能力障害 ( 活動制限 ) の状態の

スライド 1

11総法不審第120号

職業訓練実践マニュアル 発達障害者編Ⅰ

26 年度後期時間割 時限は下記の通り 11 8:50~10: :30~12: :00~14: :50~14: :40~16: :30~16: :20~17:50 時限の例 開始時限が11で終了時限が11の場合は8:

日本内科学会雑誌第98巻第12号

(4) 3 発病からから現在現在までのまでの病歴及病歴及び治療治療の経過経過 内容内容 欄 3 発病から現在までの病歴及び治療の経過 内容 ( 推定発病年月 発病状況 初発症状 治療の経過 治療内容等を記入 ) ( 推定発病時期年月頃 不詳 ) 受診頻度 : 月平均回 * 器質性精神障害の ( 認知

Microsoft Word - ① 鏡.docx

Microsoft PowerPoint - 参考資料

(4) 3 発病から現在までの病歴及び治療の経過 内容 欄 3 発病から現在までの病歴及び治療の経過 内容 ( 推定発病年月 受診頻度 発病状況 初発症状 治療の経過 治療内容などを記入する ) ( 推定発病時期年月頃 不詳 ) ( 受診頻度 : 月平均回 ) * 器質性精神障害の ( 認知症を除く

専門)精神医学 単位数履修方法配当学年 4 単位 R or SR 3 年以上 科目コード CQ4140 担当教員松江克彦 ( 上 ) 平成 26 年度より R or SR 科目に変更され スクーリングが開講されています スクーリングは別教員 ( 滝井泰孝先生 左 西尾雅明先生 中 高野毅久先生 右

2. 身体障がいの状況 (1) 身体障がいの種別 ( 主な障がいの部位 ) 平成 28 年 6 月 30 日現在の身体障害者手帳所持者の身体障がいの種別 ( 主な障がいの部位 ) をみると 肢体不自由が 27,619 人 (53.3%) と全体の過半数を占めて最も多く 次いで 内部障がいが 15,9

回数テーマ学習内容学びのポイント 2 精神医学の概念 精神医学の方法論と 精神障害の成 因と分類を理解する 3 精神疾患の診断法 診断の手順と方法 症状把握 検査 法について理解する 4 精神疾患の理解 1 症状性および器質性精神疾患 5 精神疾患の理解 2 精神作用物質による精神障害 6 精神疾患

障害福祉アンケート調査結果 1. 調査実施期間 平成 26 年 6 月 ~7 月 2. 調査対象者 精神保健福祉手帳交付者 3. 調査方法 郵送によるアンケート送付 回収 無記名 4. 送付数と回収数 送付数 回収数 回収率 送付数 回収数 回収率 (%) 身体障がい者 2,732 1,499 54

「手術看護を知り術前・術後の看護につなげる」

- 12 -

平成15年(厚)第175号

と見なされ 第 1 級 9 号後段の 労働能力が 以下が 終身常時介護を要するもの と読み替えられるとしても 被共済者の症状は 読み替え後の第 1 級 9 号に該当する 被共済者は 国民年金障害基礎年金障害等級 1 級 10 号の認定を受けているが 国民年金 障害認定基準 によれば 精神の障害のうち

1 障害の原因となった傷病名 ~6 傷病が治ったかどうか ( 再認定のための障害状態確認届では 3 傷病名 欄以外はありません ) 1 障害の原因となった傷病名 統合失調症 ICD-10 コード ( F20 ) 2 傷病の発生年月日 3 1 のため初めて医師の診療を受けた日 昭和平成 20 年 6

2013_ここからセンター_発達障害

平成 28 年度診療報酬改定情報リハビリテーション ここでは全病理に直接関連する項目を記載します Ⅰ. 疾患別リハビリ料の点数改定及び 維持期リハビリテーション (13 単位 ) の見直し 脳血管疾患等リハビリテーション料 1. 脳血管疾患等リハビリテーション料 (Ⅰ)(1 単位 ) 245 点 2

年管管発 0928 第 6 号平成 27 年 9 月 28 日 日本年金機構年金給付業務部門担当理事殿 厚生労働省年金局事業管理課長 ( 公印省略 ) 障害年金の初診日を明らかにすることができる書類を添えることができない場合の取扱いについて 厚生年金保険法施行規則等の一部を改正する省令 ( 平成 2

<8CA788E389EF95F D E717870>

01 表紙

(別添様式)

Ⅰ 向精神薬の合理的な用い方 ④ 3 理学的および生化学的検査 身長 体重 体温 脈拍 血圧などの測定とともに 心電図およ び血液生化学的検査を施行し生体の病的状態の有無を評価してお く 脳波 CT MRI SPECT PET NIRS 等も必要に応じて施行 する 2 薬物療法の実際 ① 適切な薬剤

出時に必要な援助を行うことに関する知識及び技術を習得することを目的として行われる研修であって 別表第四又は別表第五に定める内容以上のものをいう 以下同じ ) の課程を修了し 当該研修の事業を行った者から当該研修の課程を修了した旨の証明書の交付を受けた者五行動援護従業者養成研修 ( 知的障害又は精神障

(詳細版)精神障害者雇用促進キャンペーンリーフレット

平成24年5月17日

アレルギー疾患対策基本法 ( 平成二十六年六月二十七日法律第九十八号 ) 最終改正 : 平成二六年六月一三日法律第六七号 第一章総則 ( 第一条 第十条 ) 第二章アレルギー疾患対策基本指針等 ( 第十一条 第十三条 ) 第三章基本的施策第一節アレルギー疾患の重症化の予防及び症状の軽減 ( 第十四条

居宅介護支援事業者向け説明会

Taro 情緒障害のある児童生徒の理解

医療事故防止対策に関するワーキング・グループにおいて、下記の点につき協議検討する

Taro-別紙2

千葉県身体障害認定基準

就労不能障就労不能障就労不能障就労不能障害年(30 万円 ) 金年金年金特定障害特定障害特定障害年金(30 万円 ) ご契約例 契約年齢 保険期間 30 万円 保険料払込期間 就労不能障害年金のお支払事由に該当した場合 ( 保険年度始にお支払事由に該当した場合 ) 害害害年金保険料払込免除 40 歳

<82B582A882E A6D92E894C5816A2E786477>

障害程度等級表 級別じん臓機能障害 1 級 じん臓の機能の障害により自己の身辺の日常生活活動が極度に制限されるもの 2 級 3 級 じん臓の機能の障害により家庭内での日常生活活動が著しく制限されるもの 4 級 じん臓の機能の障害により社会での日常生活活動が著しく制限されるもの

精神障害・発達障害のある方の雇用促進・キャリアアップに取り組んだ職場改善好事例集(平成30年度)

解約返戻金抑制型就労不能障害保険 ( 無配当 ) 所定の就労不能状態になった場合 毎月一定額の年金で生活を保障する保険です 特長 1 国民年金法に基づき 障害等級 1 級または 2 級に認定された場合等に 就労不能障害年金をお支払いします ( 精神障害状態を除きます ) 被保険者が保険期間中につぎの

もくじ 目的 目標 支援体制図 4 運用規準 ) 運用地域 ) 運用開始時期 ) 実施方法 4) 実施手順 5) 個人情報の取扱い 6) 運用に関する留意事項 5 資料 精神障害者の治療中断 4 精神障害者の治療中断の アセスメント項目 適用例 考え方 6

統合失調症患者の状態と退院可能性 (2) 自傷他害奇妙な姿勢 0% 20% 40% 60% 80% 100% ないない 0% 20% 40% 60% 80% 100% 尐ない 中程度 高い 時々 毎日 症状なし 幻覚 0% 20% 40% 60% 80% 100% 症状

1/5 第 19 回介護福祉士国家試験問題 解説 ( やまだ塾 ) =10 精神保健 = ( 問題 69~ 問題 72) (2007 年 5 月 24 日ホームページ掲載 ) 精神保健 問題 69 精神障害とその症状に関する次の組み合わせのうち適切なものの組み合わせを一つ選びな さい A. 神経症

長期家族介護者援護金 2 補償の内容 (1) 療養補償負傷又は疾病が治ゆするまでの間 必要な治療を行い 又は療養の費用を支給します 療養の範囲は次に掲げるもので 認定された傷病又は疾病の療養上相当と認められるものに限ります ア診察イ薬剤又は治療材料の支給ウ処置 手術その他治療エ居宅における療養上の管

2. 平成 9 年遠隔診療通知の 別表 に掲げられている遠隔診療の対象及び内 容は 平成 9 年遠隔診療通知の 2 留意事項 (3) イ に示しているとお り 例示であること 3. 平成 9 年遠隔診療通知の 1 基本的考え方 において 診療は 医師又は歯科医師と患者が直接対面して行われることが基本

Q1 診断書等がない子どもへの合理的配慮はどう考えたらよいのか A1 診断書や障がい者手帳等の有無が 合理的配慮の提供に関する判断の基準ではありません 教育支援資料 ( 文部科学省平成 25 年 10 月 ) において 各障がいは以下のように定義されています ( 参考 ) 教育支援資料における各障が

(2) 等級の目安について御意見の概要ガイドライン案では 日常生活能力の程度 が (2) の場合に2 級の目安を設けないなど 現在障害基礎年金 2 級を受給している者の多くが不支給になる可能性が大きいため 見直すべきである 同旨 27 件 診断書の 日常生活能力の程度 及び 日常生活能力の判定 の項

別様式診断書 呼吸器の機能障害の状況及び所見 の所見欄に記載された内容は適宜省略してよいが 現状の固定 永続性の認定の参考となる治療内容等についても具体的に記載すること (4) 総合所見 について経過及び現症から障害認定に必要な事項 特に換気の機能 動脈血ガス値 活動能力の程度を明記し 併せて 障害

000-はじめに.indd

支援マニュアル No.10 発達障害者のためのリラクゼーション技能トレーニング ~ ストレス 疲労のセルフモニタリングと対処方法 ~ 別添 1 支援マニュアルの構成 1 トレーニングの概要 2 トレーニングの進め方 3 トレーニングの解説 資料集トレーニングのガイドブックアセスメントツール集講座用ス

<4D F736F F D2089EE8CEC95F18F5682CC89FC92E882C982C282A282C A836E A816A8F4390B394C52E646F63>

道路交通法に基づく一定の症状を呈する病気等にある者を診断した医師から公安委員会への任意の届出ガイドライン

wslist01

ICD-11 β draft の訳について ( 要点のみ ) ICD-11 β draft の依存領域の全体的翻訳は別添資料 2 をご覧ください この資料 1 で は 先生方のご意見をいただきたいポイントを 7 項目にしぼって記載しています 1. 大項目について ICD-11 β draft では

障害年金認定の地域間格差是正に関する意見書

Microsoft Word - 目次.docx

Microsoft Word - 【資料3-1】表紙.docx

介護における尊厳の保持 自立支援 9 時間 介護職が 利用者の尊厳のある暮らしを支える専門職であることを自覚し 自立支援 介 護予防という介護 福祉サービスを提供するにあたっての基本的視点及びやってはいけ ない行動例を理解している 1 人権と尊厳を支える介護 人権と尊厳の保持 ICF QOL ノーマ

障害について、用語解説

手当 年金 4-1 障害基礎年金 身 知 精 難 窓口 : 保険年金課国民年金係 ( 電話 FAX ) 病気やケガで障がいがあり 日常生活が困難な方に支給される国民年金です 支給条件( 次のいずれにも該当 ) 1 障がいの原因となった病気 ケガについての初診日に国民年金に

久保:2011高次脳機能障害研修会:HP掲載用.pptx

1 経 緯

標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会

Microsoft Word - 退院後生活環境相談員

はじめに 現代では うつ病 は誰でもかかる可能性のある 心の病 であり 決して特別な病気でも恥ずかしい病気でもありません うつ病にかかる方は年々増えており 今では 10 人に 1 人がうつ病とまで言われています 4 ~5 人に 1 人は生涯に一度はかかると言われる程 その発症頻度は高く また 誰もが

英和対照表

発達障害

A4見開き

神経発達障害診療ノート

特別な支援を必要とする 子どもの受け入れと対応

Microsoft PowerPoint - 2.医療費プロファイル 平成25年度(長野県・・

障害共済年金に係る事務

<4D F736F F D2089BB8A7797C C B B835888E790AC8C7689E6>

みんなの健康ラジオ

障害厚生年金 厚生年金に加入している間に初診日 ( 障害のもととなった病気やけがで初めて医者にかかった日 ) がある病気やけがによって 65 歳になるまでの間に 厚生年金保険法で定める障害の状態になったときに 受給要件を満たしていれば支給される年金です なお 障害厚生年金に該当する状態よりも軽い障害

Microsoft Word - (HP用) _記者会見_文書_final.docx

からコントロールが不良の年長児では 前述の精神神経障害により生活面でトラブル となる場合もある 3. 成人期の主な臨床症状 治療と生活上の障害コントロール良好例では 通常の進学 就労や結婚が可能であり 生活上問題となるほどの明確な精神神経症状はない その他の問題としては 骨粗鬆症をきたしやすい 酸化

リハビリテーションを受けること 以下 リハビリ 理想 病院でも自宅でも 自分が納得できる 期間や時間のリハビリを受けたい 現実: 現実: リ ビリが受けられる期間や時間は制度で リハビリが受けられる期間や時間は制度で 決 決められています いつ どこで どのように いつ どこで どのように リハビリ

精神疾患・精神障害のある方に特化した訪問看護の利用

untitled

Transcription:

第 8 節 / 精神の障害 精神の障害による障害の程度は 次により認定する 1 認定基準 精神の障害については 次のとおりである 令別表 国年令別表 厚別表第 1 年令別表第 2 障害手当金 精神の障害であって 前各号と同程度以上と認められる程度のもの精神の障害であって 前各号と同程度以上と認められる程度のもの精神に 労働が著しい制限を受けるか 又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの精神に 労働が制限を受けるか 又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの精神に 労働が制限を受けるか 又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの 精神の障害の程度は その原因 諸症状 治療及びその病状の経過 具体的な日常生活状況等により 総合的に認定するものとし 日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものをに 日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものをに 労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの 及び労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するものをに また 労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すものを障害手当金に該当するものと認定する 精神の障害は 多種であり かつ その症状は同一原因であっても多様である したがって 認定に当たっては具体的な日常生活状況等の生活上の困難を判断するとともに その原因及び経過を考慮する 2 認定要領精神の障害は 統合失調症 統合失調症型障害及び妄想性障害 気分 ( 感情 ) 障害 症状性を含む器質性精神障害 てんかん 知的障害 発達障害 に区分する 症状性を含む器質性精神障害 てんかんであって 妄想 幻覚等のあるものについては A 統合失調症 統合失調症型障害及び妄想性障害並びに気分 ( 感情 ) 障害 に準じて取り扱う - 47 -

A 統合失調症 統合失調症型障害及び妄想性障害並びに気分 ( 感情 ) 障害 (1) 各等級に相当すると認められるものを一部例示すると次のとおりである 1 統合失調症によるものにあっては 高度の残遺状態又は高度の病状があるため高度の人格変化 思考障害 その他妄想 幻覚等の異常体験が著明なため 常時の援助が必要なもの 2 気分 ( 感情 ) 障害によるものにあっては 高度の気分 意欲 行動の障害及び高度の思考障害の病相期があり かつ これが持続したり ひんぱんに繰り返したりするため 常時の援助が必要なもの 1 統合失調症によるものにあっては 残遺状態又は病状があるため人格変化 思考障害 その他妄想 幻覚等の異常体験があるため 日常生活が著しい制限を受けるもの 2 気分 ( 感情 ) 障害によるものにあっては 気分 意欲 行動の障害及び思考障害の病相期があり かつ これが持続したり又はひんぱんに繰り返したりするため 日常生活が著しい制限を受けるもの 1 統合失調症によるものにあっては 残遺状態又は病状があり 人格変化の程度は著しくないが 思考障害 その他妄想 幻覚等の異常体験があり 労働が制限を受けるもの 2 気分 ( 感情 ) 障害によるものにあっては 気分 意欲 行動の障害及び思考障害の病相期があり その病状は著しくないが これが持続したり又は繰り返し 労働が制限を受けるもの (2) 統合失調症 統合失調症型障害及び妄想性障害並びに気分 ( 感情 ) 障害の認定に当たっては 次の点を考慮のうえ慎重に行う ア統合失調症は 予後不良の場合もあり 国年令別表 厚年令別表第 1に定める障害の状態に該当すると認められるものが多い しかし 罹病後数年ないし十数年の経過中に症状の好転を見ることもあり また その反面急激に増悪し その状態を持続することもある したがって 統合失調症として認定を行うものに対しては 発病時からの療養及び症状の経過を十分考慮する イ気分 ( 感情 ) 障害は 本来 症状の著明な時期と症状の消失する時期を繰り返すものである したがって 現症のみによって認定することは不十分であり 症状の経過及びそれによる日常生活活動等の状態を十分考慮する また 統合失調症等とその他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは 併合 ( 加重 ) 認定の取扱いは行わず 諸症状を総合的に判断して認定する (3) 日常生活能力等の判定に当たっては 身体的機能及び精神的機能を考慮の上 社会的な適応性の程度によって判断するよう努める また 現に仕事に従事している者については 労働に従事していることをもって 直ちに日常生活能力が向上したものと - 48 -

捉えず その療養状況を考慮するとともに 仕事の種類 内容 就労状況 仕事場で受けている援助の内容 他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力を判断すること (4) 人格障害は 原則として認定の対象とならない (5) 神経症にあっては その症状が長期間持続し 一見重症なものであっても 原則として 認定の対象とならない ただし その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては 統合失調症又は気分 ( 感情 ) 障害に準じて取り扱う なお 認定に当たっては 精神病の病態がICD-10による病態区分のどの区分に属す病態であるかを考慮し判断すること B 症状性を含む器質性精神障害 (1) 症状性を含む器質性精神障害 ( 高次脳機能障害を含む ) とは 先天異常 頭部外傷 変性疾患 新生物 中枢神経等の器質障害を原因として生じる精神障害に 膠原病や内分泌疾患を含む全身疾患による中枢神経障害等を原因として生じる症状性の精神障害を含むものである なお アルコール 薬物等の精神作用物質の使用による精神及び行動の障害 ( 以下 精神作用物質使用による精神障害 という ) についてもこの項に含める また 症状性を含む器質性精神障害とその他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは 併合 ( 加重 ) 認定の取扱いは行わず 諸症状を総合的に判断して認定する (2) 各等級等に相当すると認められるものを一部例示すると次のとおりである 高度の認知障害 高度の人格変化 その他の高度の精神神経症状が著明なため 常時の援助が必要なもの認知障害 人格変化 その他の精神神経症状が著明なため 日常生活が著しい制限を受けるもの 1 認知障害 人格変化は著しくないが その他の精神神経症状があり 労働が制限を受けるもの 2 認知障害のため 労働が著しい制限を受けるもの 障害手当金認知障害のため 労働が制限を受けるもの (3) 脳の器質障害については 精神障害と神経障害を区分して考えることは その多岐にわたる臨床症状から不能であり 原則としてそれらの諸症状を総合して 全体像から総合的に判断して認定する (4) 精神作用物質使用による精神障害アアルコール 薬物等の精神作用物質の使用により生じる精神障害について認定 - 49 -

するものであって 精神病性障害を示さない急性中毒及び明らかな身体依存の見られないものは 認定の対象とならない イ精神作用物質使用による精神障害は その原因に留意し 発病時からの療養及び症状の経過を十分考慮する (5) 高次脳機能障害とは 脳損傷に起因する認知障害全般を指し 日常生活又は社会生活に制約があるものが認定の対象となる その障害の主な症状としては 失語 失行 失認のほか記憶障害 注意障害 遂行機能障害 社会的行動障害などがある なお 障害の状態は 代償機能やリハビリテーションにより好転も見られることから療養及び症状の経過を十分考慮する また 失語の障害については 本章 第 6 節音声又は言語機能の障害 の認定要領により認定する (6) 日常生活能力等の判定に当たっては 身体的機能及び精神的機能を考慮の上 社会的な適応性の程度によって判断するよう努める また 現に仕事に従事している者については 労働に従事していることをもって 直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず その療養状況を考慮するとともに 仕事の種類 内容 就労状況 仕事場で受けている援助の内容 他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力を判断すること C てんかん (1) てんかん発作は 部分発作 全般発作 未分類てんかん発作などに分類されるが 具体的に出現する臨床症状は多彩である また 発作頻度に関しても 薬物療法によって完全に消失するものから 難治性てんかんと呼ばれる発作の抑制できないものまで様々である さらに てんかん発作は その重症度や発作頻度以外に 発作間欠期においても それに起因する様々な程度の精神神経症状や認知障害などが 稀ならず出現することに留意する必要がある (2) 各等級に相当すると認められるものを一部例示すると次のとおりである 十分な治療にかかわらず てんかん性発作のA 又はBが月に1 回以上あり かつ 常時の援助が必要なもの十分な治療にかかわらず てんかん性発作のA 又はBが年に2 回以上 もしくは C 又はDが月に1 回以上あり かつ 日常生活が著しい制限を受けるもの十分な治療にかかわらず てんかん性発作のA 又はBが年に2 回未満 もしくは C 又はDが月に1 回未満あり かつ 労働が制限を受けるもの - 50 -

( 注 1) 発作のタイプは以下の通り A: 意識障害を呈し 状況にそぐわない行為を示す発作 B: 意識障害の有無を問わず 転倒する発作 C: 意識を失い 行為が途絶するが 倒れない発作 D: 意識障害はないが 随意運動が失われる発作 ( 注 2) てんかんは 発作と精神神経症状及び認知障害が相まって出現することに留意が必要 また 精神神経症状及び認知障害については 前記 B 症状性を含む器質性精神障害 に準じて認定すること (3) てんかんの認定に当たっては その発作の重症度 ( 意識障害の有無 生命の危険性や社会生活での危険性の有無など ) や発作頻度に加え 発作間欠期の精神神経症状や認知障害の結果 日常生活動作がどの程度損なわれ そのためにどのような社会的不利益を被っているのかという 社会的活動能力の損減を重視した観点から認定する 様々なタイプのてんかん発作が出現し 発作間欠期に精神神経症状や認知障害を有する場合には 治療及び病状の経過 日常生活状況等によっては さらに上位等級に認定する また てんかんとその他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは 併合 ( 加重 ) 認定の取扱いは行わず 諸症状を総合的に判断して認定する (4) てんかん発作については 抗てんかん薬の服用や 外科的治療によって抑制される場合にあっては 原則として認定の対象にならない D 知的障害 (1) 知的障害とは 知的機能の障害が発達期 ( おおむね18 歳まで ) にあらわれ 日常生活に持続的な支障が生じているため 何らかの特別な援助を必要とする状態にあるものをいう (2) 各等級に相当すると認められるものを一部例示すると次のとおりである 知的障害があり 食事や身のまわりのことを行うのに全面的な援助が必要であって かつ 会話による意思の疎通が不可能か著しく困難であるため 日常生活が困難で常時援助を必要とするもの知的障害があり 食事や身のまわりのことなどの基本的な行為を行うのに援助が必要であって かつ 会話による意思の疎通が簡単なものに限られるため 日常生活にあたって援助が必要なもの 知的障害があり 労働が著しい制限を受けるもの - 51 -

(3) 知的障害の認定に当たっては 知能指数のみに着眼することなく 日常生活のさまざまな場面における援助の必要度を勘案して総合的に判断する また 知的障害とその他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは 併合 ( 加重 ) 認定の取扱いは行わず 諸症状を総合的に判断して認定する (4) 日常生活能力等の判定に当たっては 身体的機能及び精神的機能を考慮の上 社会的な適応性の程度によって判断するよう努める (5) 就労支援施設や小規模作業所などに参加する者に限らず 雇用契約により一般就労をしている者であっても 援助や配慮のもとで労働に従事している したがって 労働に従事していることをもって 直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず 現に労働に従事している者については その療養状況を考慮するとともに 仕事の種類 内容 就労状況 仕事場で受けている援助の内容 他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力を判断すること E 発達障害 (1) 発達障害とは 自閉症 アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害 学習障害 注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものをいう (2) 発達障害については たとえ知能指数が高くても社会行動やコミュニケーション能力の障害により対人関係や意思疎通を円滑に行うことができないために日常生活に著しい制限を受けることに着目して認定を行う また 発達障害とその他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは 併合 ( 加重 ) 認定の取扱いは行わず 諸症状を総合的に判断して認定する (3) 発達障害は 通常低年齢で発症する疾患であるが 知的障害を伴わない者が発達障害の症状により 初めて受診した日が 20 歳以降であった場合は 当該受診日を初診日とする (4) 各等級に相当すると認められるものを一部例示すると次のとおりである 発達障害があり 社会性やコミュニケーション能力が欠如しており かつ 著しく不適応な行動がみられるため 日常生活への適応が困難で常時援助を必要とするもの発達障害があり 社会性やコミュニケーション能力が乏しく かつ 不適応な行動がみられるため 日常生活への適応にあたって援助が必要なもの発達障害があり 社会性やコミュニケーション能力が不十分で かつ 社会行動に問題がみられるため 労働が著しい制限を受けるもの - 52 -

(5) 日常生活能力等の判定に当たっては 身体的機能及び精神的機能を考慮の上 社会的な適応性の程度によって判断するよう努める (6) 就労支援施設や小規模作業所などに参加する者に限らず 雇用契約により一般就労をしている者であっても 援助や配慮のもとで労働に従事している したがって 労働に従事していることをもって 直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず 現に労働に従事している者については その療養状況を考慮するとともに 仕事の種類 内容 就労状況 仕事場で受けている援助の内容 他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力を判断すること - 53 -