Microsoft Word - 被災地の感染症予防 詳細版 final as of docx

Similar documents
00_ _令和元年8月前線大雨関連感染予防_統合フル_Final

pdf0_1ページ目

pdf0_1ページ目

pdf0_1ページ目

pdf0_1ページ目

Microsoft Word - H300717【プレスリリース】夏休みの感染症対策について

Microsoft Word - WIDR201839

Microsoft Word - WIDR201826

熊本県感染症情報 ( 第 50 週 ) 報告期間 インフルエンザ 水 痘 突発性発しん ヘルパンギーナ マイコプラズマ肺炎 クラミジア肺炎 ( ロタウイルス ) 第 43 週第 44 週第 45 週第 46 週第 47 週第 48 週第 49 週第 50 週第 47 週第 48 週第 49 週 7

報告は 523 人 (14. 5) で前週比 9 と減少した 例年同時期の定点あたり平均値 * (16. ) の約 9 割である 日南 (37. 3) 小林(26. 3) 保健所からの報告が多く 年齢別では 1 歳から 4 歳が全体 の約 4 割を占めた 発生状況 ( 宮崎県 ) 定

<B 型肝炎 (HBV)> ~ 平成 28 年 10 月 1 日から定期の予防接種になりました ~ このワクチンは B 型肝炎ウイルス (HBV) の感染を予防するためのワクチンです 乳幼児感染すると一過性感染あるいは持続性感染 ( キャリア ) を起こします そのうち約 10~15 パーセントは

pdf0_1ページ目

pdf0_1ページ目


今週前週今週前週 2/18~2/24 インフルエンザ ヘルパンギーナ 4 4 RS ウイルス感染症 流行性耳下腺炎 ( おたふくかぜ ) 7 4 咽頭結膜熱 急性出血性結膜炎 0 0 A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎 流行性角結膜炎 ( はやり目

A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎 第 50 週の報告数は 前週より 39 人減少して 132 人となり 定点当たりの報告数は 3.00 でした 地区別にみると 壱岐地区 上五島地区以外から報告があがっており 県南地区 (8.20) 佐世保地区 (4.67) 県央地区 (4.67) の定点当たり報告数は

マイコプラズマ肺炎 第 30 週の報告数は 前週より 1 人減少して 14 人となり 定点当たりの報告数は 1.17 でした 対馬地区 (3.00) 県央地区 (2.00) 及び県北地区 (2.00) の定点当たり報告数は 他の地区より多いため注意が必要です 本疾患は 5~12 歳に特に多く 初秋か

第14巻第27号[宮崎県第27週(7/2~7/8)全国第26週(6/25~7/1)]               平成24年7月12日

02別添:日本脳炎ワクチン接種に関するQ&A[H28.3月版]

2019 年 7 月 4 日 ( 木 ) 愛知県保健医療局健康医務部健康対策課感染症グループ担当内田 久野内線 ダイヤルイン 手足口病警報を発令します!! 愛知県では 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律 に基づき 県内の小児科を標榜する

BV+mFOLFOX6 療法について 2 回目以降 ( アバスチン +5-FU+ レボホリナート + エルプラット ) 薬の名前アロキシ注吐き気止めです デキサート注 アバスチン注 エルプラット注 レボホリナート注 作用めやすの時間 5-FU の効果を強める薬です 90 分 2 回目から点滴時間が短

Q2 蚊媒介感染症 にはどんな病気があるの? A2 蚊媒介感染症は世界的に数多く存在しますが, 海外から日本国内へ持ち込まれ, 流行する可能性のある感染症としては, ウエストナイル熱, ジカウイルス感染症, チクングニア熱, デング熱, 日本脳炎, マラリアの6つがあります 海外から持ち込まれる可能

~~ 各種感染症の流行状況について ~~~ R 更新愛媛県感染症情報センター 文中第 35 週 (8/26 ~ 9/1) ( 第 35 週 8 /26~ 9 / 1) < 手足口病 > 手足口病の定点あたり報告数は 第 34 週 2.2 人 第 35 週 2.2 人と横ばいに推移していま

Microsoft PowerPoint - 感染対策予防リーダー養成研修NO4 インフルエンザ++通所

インフルエンザ、鳥インフルエンザと新型インフルエンザの違い

(Microsoft PowerPoint \217\254\216\231\227\\\226h\220\332\216\355\202\314\214\273\217\363.ppt)

蚊を介した感染経路以外にも 性交渉によって男性から女性 男性から男性に感染したと思われる症例も報告されていますが 症例の大半は蚊の刺咬による感染例であり 性交渉による感染例は全体のうちの一部であると考えられています しかし 回復から 2 ヵ月経過した患者の精液からもジカウイルスが検出されたという報告

次の人は 医師が健康状態や体質に基づいて 接種の適否を判断します 心臓や血管 腎臓 肝臓 血液の障害や発育の障害などの基礎疾患がある人 他のワクチンの接種を受けて 2 日以内に発熱があった人や全身性の発疹などアレルギーが疑われる症状が出たことがある人 過去にけいれんをおこしたことがある人 過去に免疫

1

Ⅰ 第 30 週の発生動向 (2017/7/24~2017/7/30) 1. 手足口病については むつ保健所管内で警報が発令されました 東地方 + 青森市保健所管内 弘前保健所管内 上十三保健所管内で警報が継続しています 三戸地方 + 八戸市保健所管内では 定点当たり報告数の増加が続いており 警報レ

(Microsoft Word \212\264\220\365\217\307\217T\225\361.doc)

<89FC B9E93738E7382B182DD292E786C7378>

BD( 寛解導入 ) 皮下注療法について お薬の名前と治療のスケジュール ( 副作用の状況を考慮して 抗がん剤の影響が強く残っていると考えられる場合は 次回の治療開始を延期することがあります ) 薬の名前作用めやすの時間 1 日目

AC 療法について ( アドリアシン + エンドキサン ) おと治療のスケジュール ( 副作用の状況を考慮して 抗がん剤の影響が強く残っていると考えられる場合は 次回の治療開始を延期することがあります ) 作用めやすの時間 イメンドカプセル アロキシ注 1 日目は 抗がん剤の投与開始 60~90 分

PowerPoint プレゼンテーション


10/3~10/9 今週前週今週前週 インフルエンザ 7 1 百日咳 1 0 RS ウイルス感染症 ヘルパンギーナ 咽頭結膜熱 A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎 感染性胃腸炎 流行性耳下腺炎 ( おたふくかぜ ) 急性出

熊本県感染症情報 ( 第 31 週 ) 県内 170 観測医の患者数 (7 月 28 日 ~8 月 3 日 ) 今週前週今週前週 インフルエンザ 0 1 百日咳 0 0 RS ウイルス感染症 7 0 ヘルパンギーナ 咽頭結膜熱 A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎 感染性胃腸炎

Taro-入所マニュアル.jtd

untitled

衛生管理マニュアル 記載例

にしわが.indd

第14巻第27号[宮崎県第27週(7/2~7/8)全国第26週(6/25~7/1)]               平成24年7月12日

B 型肝炎 予防接種予診票 * 接種希望の方へ : 太ワク内にご記入ください * お子さんの場合には 健康状態をよく把握している保護者がご記入ください 記入日年月日 男 ふ り が な 住 所 ける人の氏名女受 保護者の氏名 生年月日 大正昭和平成 年月日生 ( 満歳ヵ月 ) 診察前の体温度分 電話

 宇宙vol.61.indd

2018 年 5 月 11 日 岡山県感染症週報 2018 年第 17 週 ( 4 月 23 日 ~ 4 月 29 日 ) 2018 年第 17 週 ( 4 / 23~ 4 / 29) の感染症発生動向 ( 届出数 ) 全数把握感染症の発生状況 第 16 週 3 類感染症 腸管出血性大腸菌感染症 3

事務連絡 令和元年 6 月 21 日 ( 公社 ) 岡山県医師会 ( 一社 ) 岡山県病院協会 御中 岡山県保健福祉部健康推進課 手足口病に関する注意喚起について このことについて 厚生労働省健康局結核感染症課から別添のとおり事務連絡が ありましたので 御了知いただくとともに 貴会員への周知をお願い

糖尿病診療における早期からの厳格な血糖コントロールの重要性

サーバリックス の効果について 1 サーバリックス の接種対象者は 10 歳以上の女性です 2 サーバリックス は 臨床試験により 15~25 歳の女性に対する HPV 16 型と 18 型の感染や 前がん病変の発症を予防する効果が確認されています 10~15 歳の女児および

熊本県感染症情報 ( 第 14 週 ) 県内 165 観測医の患者数 (4 月 4 日 ~4 月 10 日 ) 今週前週今週前週 インフルエンザ 百日咳 0 0 RS ウイルス感染症 10 8 ヘルパンギーナ 6 5 咽頭結膜熱 A 群溶血性連鎖球菌咽頭炎 感染性胃腸炎

6/10~6/16 今週前週今週前週 インフルエンザ 2 10 ヘルパンギーナ RS ウイルス感染症 1 0 流行性耳下腺炎 ( おたふくかぜ ) 8 10 咽頭結膜熱 急性出血性結膜炎 0 0 A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎 流行性角結膜炎 ( はやり目 )

syuho_51.xls

横浜市感染症発生状況 ( 平成 30 年 ) ( : 第 50 週に診断された感染症 ) 二類感染症 ( 結核を除く ) 月別届出状況 該当なし 三類感染症月別届出状況 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月計 細菌性赤痢

<4D F736F F D2089FC92F95F8BD98B7D D8FEE95F191E634358F >

<89FC89FC B9E93738E7382B182DD292E786C7378>

<89FC89FC B9E93738E7382B182DD292E786C7378>

<89FC89FC B9E93738E7382B182DD292E786C7378>

<4D F736F F D208DC489FC92F981518BD98B7D D8FEE95F191E634388F >

はじめに 海外に出国する日本人の数は年々増加しており 2006 年には 1700 万人に達しています この中には現地で感染症にかかり 医療施設を受診するケースも少なくありません こうした海外でかかりやすい感染症の予防対策として 旅行者への予防接種の普及が提唱されているところです このパンフレットは


プール

肝臓の細胞が壊れるる感染があります 肝B 型慢性肝疾患とは? B 型慢性肝疾患は B 型肝炎ウイルスの感染が原因で起こる肝臓の病気です B 型肝炎ウイルスに感染すると ウイルスは肝臓の細胞で増殖します 増殖したウイルスを排除しようと体の免疫機能が働きますが ウイルスだけを狙うことができず 感染した肝

<< インフルエンザ >> 区別 別報告定点当り. 平成 3 年 2 月 5 日 ~ 3 月 日 [ 平成 3 年 ~ ] 鶴見神奈川 西 中 南 港南保土ケ谷 旭 磯子金沢港北 緑 青葉都筑戸塚 栄 泉 瀬谷 定点数

<4D F736F F D208BD98B7D D8FEE95F191E635318F54>

<4D F736F F D208DC489FC92E85F CFA984A8F4390B35F89FC92F994C55F8BD98B7D D8FEE95F191E634398F >

B 型肝炎 予防接種予診票 * 接種希望の方へ : 太ワク内にご記入ください * お子さんの場合には 健康状態をよく把握している保護者がご記入ください 記入日年月日 男 ふ り が な 住 所 ける人の氏名女受 保護者の氏名 生年月日 大正昭和平成 年月日生 ( 満歳ヵ月 ) 診察前の体温度分 電話


Infectious Diseases Weekly Report FUKUSHIMA IDWR 2017 年 第 35 週 (8 月 28 日 ~9 月 3 日 ) 福島県感染症発生動向調査週報 福島県感染症情報センター ( 福島県衛生研究所 ) 福島市方木田字水戸内 16 番

ロタウイルスワクチンは初回接種を1 価で始めた場合は 1 価の2 回接種 5 価で始めた場合は 5 価の3 回接種 となります 母子感染予防の場合のスケジュール案を示す 母子感染予防以外の目的で受ける場合は 4 週間の間隔をあけて2 回接種し 1 回目 の接種から20~24 週あけて3 回目を接種生

<8AB490F58FC78F5495F16E65772E707562>


2017 年 25 週 (06 月 19 日 ~06 月 25 日 ) 2 類感染症 3 類感染症 都道府県 結核 ジフテリア 重症急性呼吸器症候群 中東呼吸器症候群 鳥インフルエンザ (H5N1) 鳥インフルエンザ (H7N9) コレラ 細菌性赤痢 総数北海道青森県岩手県宮城県秋田県山形県福島県茨

Ⅲ 全把握対象疾患 結核 ( 二類全把握対象疾患 ): 東地方 人 三戸地方 人 上十三 人 (8 年計 : 人 ) 腸管出血性大腸菌感染症 ( 三類全把握対象疾患 ): 弘前 人 (8 年計 :5 人 ) アメーバ赤痢 ( 五類全把握対象疾患 ): 八戸市 人 (8 年計 : 人 ) カルバペネム

Ⅲ 全把握対象疾患 結核 ( 二類全把握対象疾患 ): 青森市 人 (8 年計 :3 人 ) 腸管出血性大腸菌感染症 ( 三類全把握対象疾患 ): 弘前 人 八戸市 人 上十三 人 むつ 人 (8 年計 : 人 ) 百日咳 ( 五類全把握対象疾患 ): 弘前 3 人 (8 年計 :3 人 ) Ⅳ 病

2018 年 47 週 (11 月 19 日 ~11 月 25 日 ) 2 類感染症 3 類感染症 都道府県 結核 ジフテリア 重症急性呼吸器症候群 中東呼吸器症候群 鳥インフルエンザ (H5N1) 鳥インフルエンザ (H7N9) コレラ 細菌性赤痢 総数北海道青森県岩手県宮城県秋田県山形県福島県茨

第14巻第27号[宮崎県第27週(7/2~7/8)全国第26週(6/25~7/1)]               平成24年7月12日

<< インフルエンザ >> 区別 別報告定点当り 2. 平成 3 年 月 29 日 ~ 3 月 4 日 [ 平成 3 年 ~ ] 鶴見神奈川 西 中 南 港南保土ケ谷 旭 磯子金沢港北 緑 青葉都筑戸塚 栄 泉 瀬谷 定点数

疾患名 平均発生規模 ( 単位 ; 人 / 定点 ) 全国 県内 前期 今期 増減 前期 今期 増減 県内の今後の発生予測 (5 月 ~6 月 ) 発生予測記号 感染性胃腸炎 水痘

Microsoft PowerPoint - 51w 梅毒

生ワクチン 不活化ワクチン ジフテリア 百日咳 破傷風 不活化ポリオ混合ワクチン の接種から20~24 週あけて3 回目を接種 別の種類のワクチンを接種する場合は 中 27 日 ( いわゆる4 週間 ) 以上あけて受けます 別の種類のワクチンを接種する場合は 中 6 日 ( いわゆる1 週間 ) 以

<593A5C30388AEB8B408AC7979D837D836A B5C8CC295CA8AEB8B408AC7979D837D836A B5C378AB490F58FC796688E7E91CE8DF4837D836A B5C FE18ED243817A8AB490F596688E7E91CE8DF4837D836A B816989FC92F994C5816A2E786C7



別紙 1 新型インフルエンザ (1) 定義新型インフルエンザウイルスの感染による感染症である (2) 臨床的特徴咳 鼻汁又は咽頭痛等の気道の炎症に伴う症状に加えて 高熱 (38 以上 ) 熱感 全身倦怠感などがみられる また 消化器症状 ( 下痢 嘔吐 ) を伴うこともある なお 国際的連携のもとに


このワクチンの接種前に 確認すべきことは? ワクチン接種を受ける人または家族の方などは このワクチンの効果や副反応などの注意すべき点について十分理解できるまで説明を受けてください 説明に同意した上で接種を受けてください 医師が問診 検温および診察の結果から 接種できるかどうか判断します 次の人は こ

. A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎は 県全体で 8 名 ( 定点あたり.. 人 ) の報告があり 前週からわずかに減少しました 地域別では 岡山市および美作地域 (.00 人 ) 倉敷市(.7 人 ) の順で定点あたり報告数が多くなっています この感染症は 就学前から学童期にかけての小児に多く 学校な

ロタテック内用液ワクチン接種を受ける人へのガイド

9 予防接種

感染拡大攻略法 ~流行前から備えるべし~

Microsoft Word - 最終_緊急風疹情報2019年第10週.docx

2. 定期接種ンの 接種方法等について ( 表 2) ンの 種類 1 歳未満 生 BCG MR 麻疹風疹 接種回数接種方法接種回数 1 回上腕外側のほぼ中央部に菅針を用いて2か所に圧刺 ( 経皮接種 ) 1 期は1 歳以上 2 歳未満 2 期は5 歳以上 7 歳未満で小学校入学前の 1 年間 ( 年

定点報告疾患 ( 定点当たり報告数の上位 3 疾患の発生状況 ) (1) インフルエンザ 第 51 週のインフルエンザの報告数は 1025 人で, 前週より 633 人多く, 定点当たりの報告数は であった 年齢別では,10~14 歳 (240 人 ),7 歳 (94 人 ),8 歳 (

スライド 1

Microsoft Word - トピックス.doc

山梨県週別発生動向 疾病推移状況定点報告数定点報告数定点報告数定点報告数 インフルエンザ横ばいです 平年並みです RS ウイルス感染症減少しています平年並みです 咽頭結膜熱

インフルエンサ 及び小児感染症の疾病別推移グラフ 平成 9 年 京都市 _ 本年 全国 _ 本年 京都市 _ 過去 5 年平均値 全国 _ 過去 5 年平均値 5 インフルエンザ 手足口病 RS ウイルス感染症.6 伝染性紅斑 りんご病

<4D F736F F D208F4390B38CE38AB490F58FC782C982C282A282C42E646F63>

卒業研究 谷田貝ゼミ 子どもにおきる病気 3G 岡田瞳

海外勤務健康プラザ 大阪(OHAP-OSAKA)のご案内      2001

Transcription:

九州北部豪雨災害における感染予防被災地 避難所で生活されている皆様へ被災地で瓦礫の撤去や復旧復興作業を行う皆様へ 2017 年 7 月 20 日 被災地 避難所での生活が長期化すると 様々な感染症が発生しやすくなります また 瓦礫の撤去や復旧復興作業において 注意が必要な感染症もあります ここでは 個人でできる感染症の予防を中心にお伝えします 被災地 避難所で生活する際の感染予防 < 食事と衛生食事と下痢 嘔吐 > 夏は食あたり ( 食中毒や急性胃腸炎 ) が発生しやすい季節です 細菌等で汚染された食べ物で腹痛 下痢 嘔吐 発熱などを起こします 暑いところに放置された食事 ( おにぎり おかず ) や 中まで火がよく通っていない肉などを食べることは控えましょう また食事の前には必ず石鹸と流水で手を洗いましょう 擦り込み式のアルコール手指消毒薬がある場合には 使用しましょう < トイレと感染症 > 急性胃腸炎や食中毒などで 嘔吐や下痢などがあると 手や共用タオルの汚染を介して 他の人に感染することがあります トイレで用を足した後は必ず流水と石鹸で手を洗いましょう 擦り込みのアルコール手指消毒薬がある場合には 使用しましょう また タオルの貸し借りは避けましょう < 風邪 感冒 > 避難所で人が沢山いる状態が長く続くと いわゆる風邪 ( 気道感染症 ) が被災地の人々に広がっていくことがあります 手足口病 咽頭結膜熱など夏によく見られる感染症や A 群溶血レンサ球菌感染症にも注意が必要です 咳などがある時には咳エチケット ( くしゃみや咳の症状がある時はマスクをする とっさのくしゃみの時はティッシュや肘の内側で口と鼻を覆う 鼻水や痰が手に付いた時は手を洗う ) をしましょう 手足口病の症状は 口 手 足などの水疱のような発疹が特徴です 咽頭結膜熱 ( プール熱 ) の症状は 結膜炎 のどの痛み 発熱などです A 群溶

血レンサ球菌感染症の症状は 急な発熱とのどの腫れなどです 嘔気や嘔吐が見られることもあります また 舌にイチゴのような粒々ができることもあります < ワクチンの接種 > 被災地 避難所などで起きる感染症 人が多いところで蔓延する感染症にはワクチンで予防できる感染症があります ( 麻疹 風疹 水痘 おたふくかぜ 破傷風 百日咳 日本脳炎など ) 特にお子さんは定期予防接種をきちんと受けるようにしましょう < 暑さ ストレス 熱中症 > 感染症以外にも 夏は気温が上がり 暑さ 身体的なストレスで体調を崩すことがあります 熱中症は 屋外だけでなく屋内でも起きます こまめに水分と適度な塩分を補給し 適宜涼しい場所で休みましょう めまいや顔のほてり 頭痛 筋肉のけいれん だるさ 大量に汗をかくなどの症状があるときは早めに医療機関へ相談しましょう

瓦礫の撤去 復旧復興作業における感染予防 瓦礫の撤去などの作業の際には 熱中症対策や食中毒予防はもちろんですが 以下のような感染症に対する注意が必要です < 傷と感染症 > 被災地では がれきの撤去などで手や足に傷を負うことがありますので 作業の際には 丈夫な靴や手袋で予防しましょう 傷があるときは流水できれいに洗いましょう また傷口が膿んだ時 赤く腫れて熱感や痛みがある時は 皮膚の深いところまで感染が及んでしまう蜂窩織炎 ( ほうかしきえん ) の可能性もあるので 医療機関へ相談しましょう 破傷風も 傷の汚染から起きます 症状は 口が開けにくくなる 顔 首 全身の筋肉の硬直 痙攣発作などです ワクチンで予防できますが 約 10 年で効果は切れてしまいます けがをする可能性がある作業に従事する場合は 事前のワクチン接種をお勧めします けがをした時に接種することも可能です < 土壌や環境水への接触と感染症 > 露出した皮膚が土壌や環境水に接触すると レプトスピラ菌に感染し レプトスピラ症にかかることがあります 症状は 発熱 頭痛 筋肉痛などですが 重症化すると 黄疸 腎臓の障害 出血 意識障害などが起こります レプトスピラ菌は主にネズミ類が感染し 尿と共に菌が排出されることで 土壌や環境水が汚染されて増殖します 犬 イノシシ シカ 牛などの様々な哺乳動物も感染します 屋外での作業の際には 長靴やゴム手袋などを着用しましょう < ダニと感染症 > 日本紅斑熱や重症熱性血小板減少症候群 (SFTS) は 西日本で発生の多い マダニに刺されて起こる感染症です 日本紅斑熱の症状は 発熱 頭痛 倦怠感 発疹などです SFTS の症状は 発熱 消化器症状 ( 悪心嘔吐 腹痛 下痢 ) 頭痛 筋肉痛 意識障害 出血症状などです マダニは初夏 秋にかけて多く見られ イノシシなどの野生動物が出没する環境 民家の裏庭 畑 あぜ道などに多く生息します 屋外の作業の際には 皮膚の露出面を少くする 虫よけスプレーを用いるなどし マダニに刺されないようにしましょう もし刺されてしまったら 無理に取り除こうとするとマダニの頭部が皮膚に残ることがありますので できるだけ医療機関で取り除いてもらいましょう 屋外での作業後 発熱と発疹などの症状が出た場合には 医療機関へ相談しましょう

< 蚊と感染症 > 日本脳炎は 西日本に多い 蚊に刺されることで起きる感染症です 日本脳炎ウイルスの感染で起こります 症状は 発熱 頭痛 悪心嘔吐 めまい 意識障害 麻痺 痙攣などです 日本脳炎ウイルスは 豚やイノシシなどにも感染します 蚊は 感染した動物を吸血することで日本脳炎ウイルスに感染し さらに感染していない動物や人を刺すことで感染させます 日本脳炎ウイルスをうつす蚊 ( コガタアカイエカ ) は日没から夜に活発に活動します 日没から夜は特に肌の露出を少なくしたり 虫除けスプレーを使って蚊に刺されないようにしましょう ワクチンで予防できますが 接種から 10 年を経過すると効果は切れてしまいます 被災地へ支援に行く皆様へ 被災地に向かう際には 感染症を持ち込まない またご自身が感染しないため 以下の点に注意し感染予防にご留意下さい 体調が悪い場合には無理をしない 特に 発熱 咳 発疹 下痢などの感染症が疑われる症状がある時には 体調を整えてから現地に向かう 必要に応じワクチンを接種しておく 麻しん :2 回の麻しん含有ワクチン接種が終了していない場合は 麻しん風しん混合ワクチンを推奨します 破傷風 :45 歳以上の方は 破傷風に対する免疫を持っていないことが多いですので 創傷を負う可能性が予想される時には 事前に破傷風トキソイドを推奨します 日本環境感染学会広報委員会

参考文献日本環境感染学会豪雨災害へのお見舞いと支援について http://www.kankyokansen.org/modules/news/index.php?content_id=196 国立感染症研究所台風第 3 号及び梅雨前線による大雨等被害関連で注意すべき感染症 (2017 年 7 月 7 日現在 ) https://www.niid.go.jp/niid/ja/id/2420-disaster/kyusyu-hokubu2017/idsc/7367- typhoon1703-20170707.html 破傷風とは https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/466-tetanis-info.html レプトスピラ症とは https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/531-leptospirosis.html マダニ対策今できること https://www.niid.go.jp/niid/ja/sfts/2287-ent/3964-madanitaisaku.html 日本紅斑熱とは https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/448-jsf-intro.html 重症熱性血小板減少症候群 (SFTS) https://www.niid.go.jp/niid/ja/sfts/3143-sfts.html 日本脳炎とは https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/449-je-intro.html 被災地 避難所でボランティアを計画されている皆様の感染症予防について http://idsc.nih.go.jp/earthquake2011/idsc/20110317volunteer.html