__________________

Similar documents
__________________

IBIS Quality Framework IBIS モデル品質向上のための枠組み

Microsoft PowerPoint - Renesas_AdvancedPPmL(2010_11_11_rev).ppt [互換モード]

2STB240AA(AM-2S-H-006)_01

IBIS

等価回路図 絶対最大定格 (T a = 25ºC) 項目記号定格単位 入力電圧 1 V IN 15 V 入力電圧 2 V STB GND-0.3~V IN+0.3 V 出力電圧 V GND-0.3~V IN+0.3 V 出力電流 I 120 ma 許容損失 P D 200 mw 動作温度範囲 T o

2STB240PP(AM-2S-G-005)_02

PIC の書き込み解説 PICライターを使うときに間違った使い方を見受ける 書き込み失敗の原因は知識不足にある やってはいけないことをしている 単に失敗だけならまだしも部品を壊してしまう 正しい知識を身に着けよう 書き込みに必要なピンと意味 ICSPを意識した回路設計の必要性 ICSP:In Cir

図 2.Cat2 ケーブルの減衰特性 通常伝送線路の減衰特性は 1-1) 式のように 3つのパラメータで近似されます DC 抵抗表皮効果誘電損失 A + f*b + f*c 1-1) ところが仕様書の特性を見ると0~825MHz までは-5dB でフラット 5.1GHz までは直線的な減衰になってい

NJM78L00S 3 端子正定電圧電源 概要 NJM78L00S は Io=100mA の 3 端子正定電圧電源です 既存の NJM78L00 と比較し 出力電圧精度の向上 動作温度範囲の拡大 セラミックコンデンサ対応および 3.3V の出力電圧もラインアップしました 外形図 特長 出力電流 10

USER'S GUIDE

絶対最大定格 (T a =25 ) 項目記号定格単位 入力電圧 V IN 消費電力 P D (7805~7810) 35 (7812~7815) 35 (7818~7824) 40 TO-220F 16(T C 70 ) TO (T C 25 ) 1(Ta=25 ) V W 接合部温度

光変調型フォト IC S , S6809, S6846, S6986, S7136/-10, S10053 外乱光下でも誤動作の少ない検出が可能なフォト IC 外乱光下の光同期検出用に開発されたフォトICです フォトICチップ内にフォトダイオード プリアンプ コンパレータ 発振回路 LE

Microsoft Word - TC74HC245_640AP_AF_P8_060201_.doc

RMS(Root Mean Square value 実効値 ) 実効値は AC の電圧と電流両方の値を規定する 最も一般的で便利な値です AC 波形の実効値はその波形から得られる パワーのレベルを示すものであり AC 信号の最も重要な属性となります 実効値の計算は AC の電流波形と それによって

NJM78L00 3 端子正定電圧電源 概要高利得誤差増幅器, 温度補償回路, 定電圧ダイオードなどにより構成され, さらに内部に電流制限回路, 熱暴走に対する保護回路を有する, 高性能安定化電源用素子で, ツェナーダイオード / 抵抗の組合せ回路に比べ出力インピーダンスが改良され, 無効電流が小さ

Microsoft Word - SPARQアプリケーションノートGating_3.docx

フロントエンド IC 付光センサ S CR S CR 各種光量の検出に適した小型 APD Si APD とプリアンプを一体化した小型光デバイスです 外乱光の影響を低減するための DC フィードバック回路を内蔵していま す また 優れたノイズ特性 周波数特性を実現しています

LTspice/SwitcherCADⅢマニュアル

MPPC 用電源 C 高精度温度補償機能を内蔵した MPPC 用バイアス電源 C は MPPC (Multi-Pixel Photon Counter) を駆動するために最適化された高電圧電源です 最大で90 Vを出力することができます 温度変化を伴う環境においても M

elm1117hh_jp.indd

Microsoft Word - NJM7800_DSWJ.doc

USER'S GUIDE

PQ200WN3MZPH

HL SI & HL FWS Script Control

名称 型名 SiC ゲートドライバー SDM1810 仕様書 適用 本仕様書は SiC-MOSFET 一体取付形 2 回路ゲートドライバー SDM1810 について適用いたします 2. 概要本ドライバーは ROHM 社製 2ch 入り 180A/1200V クラス SiC-MOSFET

NJM78M00 3 端子正定電圧電源 概要 NJM78M00 シリーズは,NJM78L00 シリーズを更に高性能化した安定化電源用 ICです 出力電流が 500mA と大きいので, 余裕ある回路設計が可能になります 用途はテレビ, ステレオ, 等の民生用機器から通信機, 測定器等の工業用電子機器迄

NJU72501 チャージポンプ内蔵 圧電用スイッチングドライバ 概要 NJU72501はチャージポンプ回路を内蔵し 最大で3V 入力から 18Vppで圧電サウンダを駆動することができます このチャージポンプ回路には1 倍 2 倍 3 倍昇圧切り替え機能を備えており 圧電サウンダの音量を変更すること

Microsoft Word - TC74HCT245AP_AF_J_P8_060201_.doc

Microsoft PowerPoint pptx

EcoSystem 5 Series LED Driver Overview (369754)

回路シミュレーションと技術支援ツール

TC74HC245,640AP/AF

3.5 トランジスタ基本増幅回路 ベース接地基本増幅回路 C 1 C n n 2 R E p v V 2 v R E p 1 v EE 0 VCC 結合コンデンサ ベース接地基本増幅回路 V EE =0, V CC =0として交流分の回路 (C 1, C 2 により短絡 ) トランジスタ

RA-485実習キット

CCD リニアイメージセンサ用駆動回路 C CCD リニアイメージセンサ (S11155/S ) 用 C は 当社製 CCDリニアイメージセンサ S11155/S 用に開発された駆動回路です S11155/S11156-

フォト IC ダイオード S SB S CT 視感度に近い分光感度特性 視感度特性に近い分光感度特性をもったフォトICダイオードです チップ上には2つの受光部があり 1つは信号検出用受光部 もう1つは近赤外域にのみ感度をもつ補正用受光部になっています 電流アンプ回路中で2

スライド 1

回路シミュレーションに必要な電子部品の SPICE モデル 回路シミュレータでシミュレーションを行うためには 使用する部品に対応した SPICE モデル が必要です SPICE モデルは 回路のシミュレーションを行うために必要な電子部品の振る舞い が記述されており いわば 回路シミュレーション用の部

CMOS リニアイメージセンサ用駆動回路 C CMOS リニアイメージセンサ S 等用 C は当社製 CMOSリニアイメージセンサ S 等用に開発された駆動回路です USB 2.0インターフェースを用いて C と PCを接続

(3) E-I 特性の傾きが出力コンダクタンス である 添え字 は utput( 出力 ) を意味する (4) E-BE 特性の傾きが電圧帰還率 r である 添え字 r は rrs( 逆 ) を表す 定数の値は, トランジスタの種類によって異なるばかりでなく, 同一のトランジスタでも,I, E, 周

TC74HCT245AP/AF

共通部機器仕様構造 : 壁取付シャーシに避雷器 モデム 入出力ユニットをマウント接続方式 回線 :M4 ねじ端子接続 入出力 電源 :M3.5 ねじ端子接続 接地 :M4 ねじ端子接続シャーシ材質 : 鋼板に黒色クロメート処理ハウジング材質 : 難燃性黒色樹脂アイソレーション : 回線 - 入出力

ディエンベディングとは冶具やケーブルによる観測信号の劣化を S パラメータデータを利用して計算により補正する TX 冶具ケーブル 被測定物の出力 De-Embedding 冶具 ケーブル等の影響を受けた波形 冶具 ケーブル等の S パラメータデータ TX 被測定物の出力 冶具 ケーブル等の影響のない

TC74HC00AP/AF

SC-S21 デジタル指示調節計 特長 奥行き 63mm のコンパクトサイズ 新型オートチューニングにより 素早い応答性と収束を実現 スタートアップチューニングを搭載し オートチューニング実行時間を削減 付加仕様として 上位システムとの通信機能を選択可能 4 種類の設定値を登録可能 大きく見やすい表

形式 :AEDY 直流出力付リミッタラーム AE UNIT シリーズ ディストリビュータリミッタラーム主な機能と特長 直流出力付プラグイン形の上下限警報器 入力短絡保護回路付 サムロータリスイッチ設定方式 ( 最小桁 1%) 警報時のリレー励磁 非励磁が選択可能 出力接点はトランスファ形 (c 接点

p ss_kpic1094j03.indd

Microsoft Word - TC74HC107AP_AF_J_P9_060201_.doc

TC74HC4017AP/AF

Microsoft PowerPoint - ADS2009_SI._Intro_U.ppt

25mm LED DISPLAY UNIT PD SERIES [ フォトカプラ内蔵型表示器 ] 文字高 25mm 表示器 1 桁幅寸法 27mm LED 発光色 2 色用意 ワンタッチ取り付け フォトカプラ / 0~9 表示ドライバー内蔵型 フォトカプラ / 0~F 表示ドライバー内蔵型 形名の呼

測定器の持つ誤差 と 使い方による誤差

C プログラミング演習 1( 再 ) 2 講義では C プログラミングの基本を学び 演習では やや実践的なプログラミングを通して学ぶ

電子回路I_8.ppt

FS_handbook.indd

Jan/25/2019 errata_c17m11_10 S1C17 マニュアル正誤表 項目 リセット保持時間 対象マニュアル発行 No. 項目ページ S1C17M10 テクニカルマニュアル システムリセットコントローラ (SRC) 特性 19-3 S1C17M20/M

Microsoft Word - N-TM307取扱説明書.doc

形式 :KAPU プラグイン形 FA 用変換器 K UNIT シリーズ アナログパルス変換器 ( レンジ可変形 ) 主な機能と特長 直流入力信号を単位パルス信号に変換 オープンコレクタ 5V 電圧パルス リレー接点出力を用意 出力周波数レンジは前面から可変 ドロップアウトは前面から可変 耐電圧 20

正転時とは反対に回転する これが逆転である 図 2(d) の様に 4 つのスイッチ全てが OFF の場合 DC モータには電流が流れず 停止する ただし 元々 DC モータが回転していた場合は 惰性でしばらく回転を続ける 図 2(e) の様に SW2 と SW4 を ON SW1 と SW3 を O

Power.indb

TC74HC14AP/AF

Product News (IAB)

TC74HC109AP/AF

形式 :WYPD 絶縁 2 出力計装用変換器 W UNIT シリーズ パルスアイソレータ ( センサ用電源付 2 出力形 ) 主な機能と特長 パルス入力信号を絶縁して各種のパルス出力信号に変換 オープンコレクタ 電圧パルス リレー接点パルス出力を用意 センサ用電源内蔵 耐電圧 2000V AC 密着

機器仕様構造 : プラグイン構造接続方式 入出力信号 供給電源 :M3.5 ねじ端子接続 ( 締付トルク 0.8N m) NestBus RUN 接点出力 : コネクタ形ユーロ端子台 ( 適用電線サイズ :0.2~2.5mm 2 剥離長 7mm) 端子ねじ材質 : 鉄にクロメート処理ハウジング材質

Taro-82ADAカ.jtd

TC74HC112AP/AF

New_Sogo_Cat_2.indd

Microsoft PowerPoint - TLP184,185_TLP290,291 比較表 ppt

NJM 端子負定電圧電源 概要 NJM7900 シリーズは, シリーズレギュレータ回路を 1 チップ上に集積した負出力 3 端子レギュレータ IC です 放熱板を付けることにより,1A 以上の出力電流にて使用可能です 用途はテレビ, ステレオ等の民生用機器から通信機, 測定器等の工業用電

形式 :TMS テレメータ テレメータ変換器 (300bps 専用回線用 ) 主な機能と特長 アナログ 1 点または 2 点 接点 2 点を送受信するテレメータ変換器 帯域品目 3.4kHz 300bps アプリケーション例 小規模テレメータシステム 符号品目 50bps 用テレメータ ( 形式 :

反転型チャージポンプ IC Monolithic IC MM3631 反転型チャージポンプ IC MM3631 概要 MM3631XN は反転型のチャージポンプ IC です 入力電圧範囲の 1.8V ~ 3.3V を 2 個の外付けコンデンサを使用して負電圧を生成します パッケージは 6 ピンの S

CMOS リニアイメージセンサ用駆動回路 C10808 シリーズ 蓄積時間の可変機能付き 高精度駆動回路 C10808 シリーズは 電流出力タイプ CMOS リニアイメージセンサ S10111~S10114 シリーズ S10121~S10124 シリーズ (-01) 用に設計された駆動回路です セン

形式 :W2VS 絶縁 2 出力小形信号変換器みにまる W2 シリーズ 直流入力変換器 ( アナログ形 ) 主な機能と特長 直流信号を入力とするコンパクト形プラグイン構造の変換器 アナログ回路により直流信号を統一信号に変換 高速応答形を用意 ワールド電源を用意 密着取付可能 アプリケーション例 プロ

ベースライトのスタンダード 色を自然に引き立てる Ra95 スタンダードタイプも光束維持率を向上 HIDタイプは約 6 万時間のロングライフ 1

降圧コンバータIC のスナバ回路 : パワーマネジメント

レベルシフト回路の作成

推奨条件 / 絶対最大定格 ( 指定のない場合は Ta=25 C) 消費電流絶対最大定格電源電圧 Icc 容量性負荷出力抵抗型名 Vcc Max. CL 電源電圧動作温度保存温度 Zo (V) 暗状態 Min. Vcc max Topr* 2 Tstg* 2 Min. Max. (ma) (pf)

トランスの利用率の話 トランスの利用率の話をします この書き込みをお読みの方は トランスの容量が下記の様に示される事はご存じだと思います ( ご存じでない方は 下図を見て納得して下さい ) 単相 2 線式トランスの容量を P[VA] とすれば 単相負荷は P[VA] 接続できます この単相トランスを

elm73xxxxxxa_jp.indd

EC-1 アプリケーションノート 高温動作に関する注意事項

Microsoft PowerPoint - EMPro_ADS_co_design_draft.ppt [互換モード]

形式 :R3-NC1 リモート I/O 変換器 R3 シリーズ 通信カード (CC-Link 用 Ver.1.10 アナログ 16 点対応 ) /CE:CE 適合品 三菱製 PLC の 2 重化システム無記入 : 非対応品 /W: 対応品 オプション仕様無記入 : なし /Q: あり ( オプション

Microsoft PowerPoint - 9.Analog.ppt

HA17458シリーズ データシート

形式 :KS2TR2 プラグイン形 FA 用変換器 K UNIT シリーズ 温度センサ入力警報器 ( デジタル設定 2 点警報形 ) 主な機能と特長 指示計機能 全ての設定を前面パネルにより設定可能 アプリケーション例 アナログ値警報接点 機器の異常警報 R:24V DC( 許容範囲 ±10% リッ

電気的特性 (Ta=25 C) 項目 記号 条件 Min. Typ. Max. 単位 読み出し周波数 * 3 fop khz ラインレート * Hz 変換ゲイン Gc ゲイン =2-5 - e-/adu トリガ出力電圧 Highレベル Vdd V -

電子回路I_6.ppt

enus MLD-030-ST ブラシレス DC モータドライバ スイッチ詳細 内蔵ポテションメータ ピーク出力設定 ( モータ保護機能 ) 配線説明 ドライバ側マーク Ref+ Hu Hv Hw Ref- モータ配線色黄色茶色オレンジ青色灰色緑黒赤 安心のフェニックスコンタクト社製コネクターを搭載

スライド 1

製品仕様書 製品名 インターフェース基板 製品型番 TR3-IF-U1A 発行日 2016/4/1 仕様書番号 TDR-SPC-IF-U1A-102 Rev 1.02

形式 :R3-NCIE1 リモート I/O 変換器 R3 シリーズ 通信カード (CC-Link IE Field ネットワーク用 ) 関連機器 コンフィギュレータソフトウェア ( 形式 :R3CON) コンフィギュレータソフトウェアは 弊社のホームページよりダウンロードして下さい 本器をパソコンに

7-1 Digital IC のライブラリの準備について [ 目的 ] 実験では 74HC00 を使用するので SPICE モデルを入手する [ 方法 ] LTspice User site からライブラリとシンボルを Download します

BD9328EFJ-LB_Application Information : パワーマネジメント

TC7SZU04AFS_J_

形式 :PDU 計装用プラグイン形変換器 M UNIT シリーズ パルス分周変換器 ( レンジ可変形 ) 主な機能と特長 パルス入力信号を分周 絶縁して単位パルス出力信号に変換 センサ用電源内蔵 パルス分周比は前面のスイッチで可変 出力は均等パルス オープンコレクタ 電圧パルス リレー接点パルス出力

CR-USB 仕様書 株式会社測商技研 JS カード用データ転送用カードリーダー CR-USB 仕様書 取扱説明書 2012 年 07 月 31 日版 株式会社測商技研 1. 概要 本器は当社製自動観測装置で記録した JS カードデータ

Microsoft Word - AK8133_MS0930_J_05.doc

Layout 1

Transcription:

第 1 回シミュレータとモデル第 3 回伝送線路シミュレータの検証 1. シミュレーション結果の検証電卓で計算をするとき みなさんは その結果を確認しますか? またどのような確認をするでしょう たとえば 108 x 39 = 5215 となった場合 5215 をそのまま答えとして書きますか? 多分 何らかの検算をして 答えはおかしいと思うでしょう もう一度 計算をしなおすか 暗算で大体の答えの予想を付けておいて その答えとの確認をするのか 一番下の桁の計算をして 確認するのか など いろいろな方法で確認するでしょう 特にお金の計算など 大事な計算では 何度かの確認をするはずです しかし 伝送線路解析の結果については同でしょう もちろんシミュレーションですから 条件を変えて何度ものシミュレーションを行うでしょう しかし これは解析作業の業務としての条件を変化させるパラメトリック解析手法であって シミュレーションの検算ではないと思います 結果が分からないからシミュレーションを行うのであって 結果が分かっていれば シミュレーションは行わない 結果が分からないものに対して 結果が合っているのかの検証は不可能だ これは よく言われることです しかし これまで何回か説明したように シミュレータは電卓と同程度の ( それにしては高価ですが ) 道具です 結果を保証するものでは有りません 結果は シミュレーションを実行した人が検証し 責任を追うものです 結果の検証は重要です ここでは 正しい解析結果を得るための手法と 結果の検証について説明しましょう 2. スペック検証まず シミュレーションを実行する前に IC のスペック 回路図 シミュレーションする回路が何らかの規格に基づいているのならば その規格について検証しましょう 特に 最近の高速信号の規格では シミュレーションの条件 期待されるシミュレーション結果などが詳しく記述されている場合もあります また インターネットで 規格やシミュレーションの情報を探すと多くの参考になる資料が見つかります ASIC など 高機能 LSI では IC ベンダの資料に解析に関するものが多くあります 1/4

第 1 回シミュレータとモデル DDR2 Simulation Manual (Micron 社資料より ) ほら もうこれで 期待される解析結果が入手できたでしょう あとは 実際の回路でシミュレーションした結果を この理想的な解析結果と比較すればよいのです また これらの規格やスペックは 解析結果を評価するときには必ず必要となります 解析を実行する前に これらの資料を整理して 規格をまとめておきます IC の規格は多くの場合 DC スペックと AC スペックに分かれています DC スペックは 定格電圧や スレッショルドレベル 信号電圧など 多くは電圧に関する定格です AC スペックは タイミングなど動作信号に対する定格です DC Spec AC Spec DDR3 DC Spec, AC Spec (Micron DDR2 Spec より抜粋 ) 3. モデル検証伝送線路解析に限らず シミュレータにとっては 入力してやるデータが解析結果の全てです 電卓で言えば 入力する数が シミュレータの入力データすなわちモデルです 伝送線路解析では 3 種類のモデルが使われます I/O モデル パッケージモデル 基板配線モデルの 3 つです IBIS モデルは この I/O モデルとパッケージモデルの 2 つを一体 ( たまに別ファイルとして 2 つのファイル ) としたモデルです 一般に基板配線モデルは 伝送線路シミュレータが基板レイアウ 2/4

第 1 回シミュレータとモデルト CAD の基板情報を読み込んで 自動的にモデルを作成して IBIS モデルと接続して 解析を実行してくれます 解析を実行する前に 必ず この 3 つのモデルの検証をします これらのモデルが間違えていれば 解析結果が違ってしまうのはもちろんですが 場合によっては 解析エラーとなって 解析が実行できない場合もあります ( こうなった方が エラーがはっきりして 一見 良さそうな結果が出るよりもよいのですが ) モデルの検証は一応 IBIS モデルの場合を主に説明しますが Spice モデルについても その都度説明します まず I/O モデルを検証します これは 多くのシミュレータに付属している IBIS ビューアー機能を使うと便利です また 有償 無償の IBIS ビューアーが出回っていますので 持っていなければ是非 入手しておくことをお勧めします IBIS Viewer (HyperLynx Visual IBIS Editor) まず I-V 特性を調べます まず特性がモノトニック ( 単調増加 単調減少 ) になっていることを確認します IBIS 規格では I-V 特性は 単調に変化することが条件となっています Non-Monotonic 次に I-V 特性から ドライバの出力特性 ( ドライバストレングス 出力インピーダンス ) が分かります 大体 Vcc/2 程度の電圧での電 3/4

第 1 回シミュレータとモデル流地を読みます この結果から 立ち上りと立ち下りのどちらのドライバが強いかも分かります Pull-down I-V Curve Pull-up モデルの Typ, Min, Max の確認もします 通常 Typ, Min, Max は原点で交差し 他では交差しないのですが 悪いモデルでは 特性が交差したり ひどいときには Min と Max が逆になっているようなものもあります 次に V-T 特性を調べます V-T 特性と I-V 特性はお互いに関連があるので I-V 特性に負荷直線を追加して V-T 特性との関係が正しいことを確認します 電流 (I ) 10 0mA YmA 50Ω の負荷直線 I-V 特性 一致を確認 0 Xm V 100Ωの負荷直線電圧 (V ) 5V V- T特性 V-T Curve vs. I-V Curve また IBIS の I-V 特性と [Ramp] 定義を使って解析すれば V-T 特性が得られます シミュレーションで得られた V-T 特性と IBIS モデルに書かれている V-T 特性は 完全には一致しません ( 完全に一致するならば IBIS モデルに V-T 特性を定義する必要性は有りません ) が モデルがある程度正確が 誤差が大きいかの判断は出来ます 4/4

第 1 回シミュレータとモデル IBIS Model の I-V 特性を 使ってシミュレートした V-T 特性 Simulated V-T Curve IBIS Model の V-T 特性 パッケージモデルは通常 IBIS モデルから与えられます. しかし 高速信号の解析では S パラメータとか Spice モデル等で与えられる事もあります. このため 伝送線路シミュレータの中には IBIS モデルだけでなく S パラメータや Spice モデルが使えるものもあります S パラメータは今後重要な解析モデルになるので S パラメータについては 回を改めてじっくりと説明します. 基板のモデルは やはり 高速信号の解析では 専用の 3 次元フィールドソルバーを使って S パラメータや Spice モデルを作成して使います しかし 一般には 通常は伝送線路解析シミュレータが CAD の設計データを使って自動的に計算するので 解析の時はあまり気にされません. しかし ここで 注意差しなければならない事は 基板の層校正です 一般に 基板レイアウト設計 CAD では レイアウト設計のため 基板の層データは持っていますが 基板の 3 次元的な正確な層校正のデータは持っていません. CAD の層データ (Allegro) 伝送線路解析には 各層の厚さや 材料の誘電率 誘電損失やレジストの情報が必要です. 基板は基板メーカーによって 層の厚さや配線幅のコントロールに少しずつ異なった経験値に基づくノウハウがあります このため 基板設計者が 100 ミクロン幅で 50Ω と特性インピーダンスとして設計した基板でも 実際の基板は 90 ミクロン幅となっている などということは普通です このため 基板メーカーからは 実際の出来上がり寸法が書かれた 基板仕様書が出されます 5/4

第 1 回シミュレータとモデル 基板仕様書 シミュレーションで基板モデルを定義する場合 実際の基板情報である 基板仕様書に基づいて モデリングした方が精度が高くなります しかし CAD データは設計値なので 注意が必要です 4. 結果検証解析結果が得られたら 必ず この結果も検証します 実際の解析を標準値 (Typ.) だけしか行っていないときには 境界条件での解析も行い 結果を確認します 具体的には Min 条件と Max 条件での解析をします IBIS モデルは通常 Typ, Min, Max の 3 条件が定義されています また この Min, Max 解析では 基板の Min, Max なども付加して解析すると一層 正確になります 次に 検証済みの他の IBIS モデルを使って検証してみます 当然 このときのモデルは 同じロジック (C-MOS や LVDS など ) や 同じ規格 (DDR2 や PCIe など ) のものを使います このような 検算 を行うことにより 解析結果に対して 信頼性をあげると同時に 結果に対する自信や責任を持てるようになります 6/4