記載例[成果情報名]○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○[要約]・・・・・・・・・・・・・・・・

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搾乳関連排水 ( パーラー排水 ) 処理施設管理のポイント 栃木県農政部畜産振興課 環境飼料担当技師加藤大幾 掲載されている情報は平成 30 年 7 月 19 日現在のものです

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平成28年度家畜ふん尿処理利用研究会資料

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活性汚泥の固液分離を促進するバクテリアの分離とその利用 宇都宮大学院工学研究科  物質環境化学専攻  教授  柿井 一男

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排水の処理方法と日常の維持管理(1)

消化汚泥 ( 脱水機棟汚泥貯留タンクへ ) φ150 DCIP DCIP VP φ150 φ150 φ150 DCIP 重力濃縮汚泥 (No.1 消化タンク ( 既設 ) へ ) 消化汚泥 ( 脱水機棟汚泥貯留タンクへ ) φ150 DCIP( 将来 ) φ150 φ150 φ150 DCIP( 将

0702分

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置である沈殿池, 砂ろ過池が不要になるとともに, 活性汚泥濃度 ( 以下,MLSS と呼ぶ ) を mg/l に高濃度化 ( 従来の高度処理の3~5 倍程度に ) できるため反応タンクを小型化できる また,MF 膜は大腸菌をも通さない孔径 0.1 μm 程度のものであるため, 消毒装置が

7. 点検等の概要 (1) 点検等にあたっては ポートビルについては別紙により実施するものとする 千歳事務所及び千歳庁舎については国土交通省官房官庁営繕部監修 建築保全業務共通仕様書 平成 25 年度第 2 編第 4 章第 8 節浄化槽に従い実施するものとする (2) 小修繕点検等の結果 甲乙協議に

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秩父広域市町村圏組合 浄水課 浄水

第1編 春日井市下水道事業の現状と課題

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養豚で発生する汚水に含まれるリンを除去回収し再利用する技術 ( 独 ) 農業 食品産業技術総合研究機構畜産草地研究所企画管理部研究調整役鈴木一好 1. 養豚経営とリンわが国には6,890 戸の養豚農家 ( 養豚事業所 ) があり 戸数の比較的多い関東 東山地方 (1,860 戸 ) および九州 沖縄

接触材特長 触面積流量計接材合併 産排 農集合併 産排 農集浄化槽用部材浄化槽用部材ダクト関連商品ダクト関連商品膜ユニット関連商114 物処理水処理関連商品ロハス関連商品サクションホース トヨックス 面積流量計 サクションホース D2 D1 バキューム OK トヨリング F バキューム OK トヨシ

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田辺市役所環境白書 < 平成 9 年度版 > より抜粋 背戸川水質検査結果まとめ 背戸川排水路水質浄化対策事業水質検査結果を平成 3 年 10 月より平成 8 年 7 月まで の水質検査結果をまとめた (1) 背戸川排水路の水質結果 BOD 除去率 61% BOD の除去率を単純に平均してみると 浄

品目 1 四アルキル鉛及びこれを含有する製剤 (1) 酸化隔離法多量の次亜塩素酸塩水溶液を加えて分解させたのち 消石灰 ソーダ灰等を加えて処理し 沈殿濾過し更にセメントを加えて固化し 溶出試験を行い 溶出量が判定基準以下であることを確認して埋立処分する (2) 燃焼隔離法アフターバーナー及びスクラバ

Water Circulation (Water in Japan is circulated as follows)

た回分試験の開始から終了までの間 N 2 O 連続測定計 (FT-IR) を用いてガス態 N 2 O 濃度の連続測定を行った また 条件 1 3( 表 1) について 東京工業大学との共同研究により アイソトポマー技術を用いて N 2 O の生成機構の解明も合わせて行った (4) 活性汚泥採取場所本

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参考資料

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3 エアロゾルの飛散の抑制 第二 入浴設備における衛生上の措置 一入浴設備における衛生上の措置に関する基本的考え方近年 入浴設備は 湯水を再利用し これを節約するため ろ過器を中心とする設備 湯水を一時的に貯留する槽及びこれらの設備をつなぐ配管を含め 複雑な循環構造を形成することが多くなっている こ

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施設名施設住所項目一般埋め立てた廃棄物廃棄物 (ton) 擁壁の点検 遮水効果低下するおそれが認められた場合の措置 遮水工の点検 遮水効果低下するおそれが認められた場合の措置 周縁地下水の水質検査結果 斜里町清掃センター最終処分場斜里町以久科北 破砕ごみ 内容 生ごみ残差 合計 点検を行った年月日

目次 別冊 Ⅰ 付属資料 膜処理技術の導入検討にあたっての技術情報 膜を利用した処理技術 BR 一般評価 JS 技術評価 膜コストに関する資料 再生処理施設の費用関数の例 BR

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株式会社 T 百貨店東京支店 様 社員食堂厨房グリーストラップ消臭試験報告書 平成 27 年 2 月 0

様式処 3 号 最終処分場水質検査の記録 最終処分場名 : 船見処分場 測定対象 : 放流水 試料採取場所 : 放流水槽 試料採取年月日 H H H H H 測定結果の得られた年月日 H H H30.6.6

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PC農法研究会

反応槽 1m 3 あたりの余剰汚泥発生量 (kg/m 3 / 日 ) 2-(3)-2 高負荷運転による水質改善および省エネルギー効果について 流域下水道本部技術部北多摩二号水再生センター葛西孝司 須川伊津代 渡瀬誠司 松下勝一 1. はじめに 21 年度の制限曝気 A2O 法の調査 1 ) の過程で

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図 -1 汚泥減量設備外観 4. 技術の概要 4.1 原理本技術は, 酸化力を持つ薬剤 ( 酸化剤 ) を用いて, 余剰汚泥中の微生物の細胞を破壊し, 微生物の可溶化処理を行う この時の可溶化率 ( 可溶化による汚泥の固形物 (SS) の減少率 (%)) は, 処理前汚泥の固形物に対して 25% を

埋立てた一般廃棄物の種類及び数量の記録 ( 平成 30 年度 ) 最終処分場名 : 第二処分場 単位 : トン 種 類 数量 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 搬入量一般廃棄物焼却灰 1, , , 合計

大栄環境 ( 株 ) 和泉リサイクルセンター平井 5 工区管理型最終処分場 / 処理実績平成 26 年度契約処理 : 管理型埋立区分品目 平成 26 年 平成 27 年 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 1 月 2 月 3 月 燃え殻

埋立てた一般廃棄物の種類及び数量の記録 ( 平成 30 年度 ) 最終処分場名 : 第二処分場 単位 : トン 種 類 数量 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 搬入量一般廃棄物焼却灰 1, , , 合計

散気管アクアブラスターを使用してビルピットの硫化水素をゼロに

様式処 3 号 最終処分場水質検査の記録 最終処分場名 : 守山南部処分場 測定対象 : 放流水 試料採取場所 : 調整槽放流水試料採取口 試料採取年月日 H H H H H H 測定結果の得られた年月日 H30.5.7

維持管理要領書 合併処理浄化槽 BMM 型 (15~335 人槽 ) 株式会社アールエコ ver

ビジネスグリッドコンピューティングプロジェクト 事後評価の概要について

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中性はpH=7ですが、pHによる塩素系薬剤の消毒効果は、殺菌力の強い次亜塩素酸(HCLO)と、殺菌力がその1/100程度に過ぎない次亜塩素酸イオン(CLO_)の比率により異なります。 pH7〜8の間でこの比率は大きく異なり、塩素の中の次亜塩素酸の占める比率はpH=7で76%あるものが、pH=8で24

第1編 春日井市下水道事業の現状と課題

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第26号 技術報告集

PowerPoint プレゼンテーション

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2009年度業績発表会(南陽)

第0版 2005

実習科目回 テーマ 授業内容および学習課題 担当者 酸塩基反応及び抽出法による薬毒物混合物の系統 グループ 薬毒物の系統分離と確認 分離法を実施できる 薬毒物の化学構造や反応性を理解し 薄層クロマ 森本 敦司 トグラフィーや各種確認試験を利用して 含有成分 を同定できる C2-(3) A

第 55 回日本透析医学会 2010 年 6 月 18 日 ~ 20 日 熱湯消毒用洗浄剤 Citrix-50H とクエン酸における 実機適用性 薬剤適用性の比較 東急病院臨床工学科 大貫隆裕中根清二矢野眞司西川成美根津竹哉

北清掃工場 平成 28 年度環境測定結果 1 排ガス測定結果 1 (1) 煙突排ガス 1 (2) 煙道排ガス 2 2 排水測定結果 3 3 焼却灰等測定結果 5 (1) 主灰 ( 含有 性状試験 ) 5 (2) 飛灰処理汚泥 ( 含有 溶出試験 ) 6 (3) 汚水処理汚泥 ( 含有試験 ) 7 4

練馬清掃工場 平成 28 年度環境測定結果 1 排ガス測定結果 1 (1) 煙突排ガス 1 (2) 煙道排ガス 2 2 排水測定結果 3 3 焼却灰等測定結果 5 (1) 主灰 ( 含有 性状試験 ) 5 (2) 飛灰処理汚泥 ( 含有 溶出試験 ) 6 (3) 汚水処理汚泥 ( 含有試験 ) 7

表 活性汚泥法の運転条件 項目 BOD 負荷空気量 MLSS 濃度 (m 3 /m 3 滞留時返送汚泥 BOD 除去容積負荷汚泥負荷 排 (mg/l) 間 (h) 率 (%) 率 (%) (BOD-kg/m 3 日 ) (BOD-kg/kg-SS) 水量 ) 標準活性汚泥法

品川清掃工場 平成 28 年度環境測定結果 1 排ガス測定結果 1 (1) 煙突排ガス 1 (2) 煙道排ガス 2 2 排水測定結果 3 3 焼却灰等測定結果 5 (1) 主灰 ( 含有 性状試験 ) 5 (2) 飛灰処理汚泥 ( 含有 溶出試験 ) 6 (3) 汚水処理汚泥 ( 含有試験 ) 7

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[ 廃棄物の最終処分場 ( 管理型 )] 平成 29(2017) 年度 1 施設名称 1 号管理型処分場 (1) 埋立てた廃棄物の各月ごとの種類及び数量 規則第 12 条の 7 の 2 第 8 項イ 種類汚泥燃え殻紙くずばいじん 合計 単位 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月

第 13 回衛生工学シンポジウム 北海道大学クラーク会館 6-14 前凝集 /MF 膜処理において凝集条件が膜ファウリングに及ぼす影響 前田智宏 木村克輝 渡辺義公 ( 北海道大学大学院工学研究科 ) 1. はじめに膜ろ過は良質なろ過水質の確保, 維持管理の容易性, 省スペース性,

キレート滴定

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形状 処理状況 表 1 各系列の反応タンクの形状と処理状況 ( 平成 27 年度 ) 深槽東系 深槽西系 浅槽系 西系 東系 有効容積 (m 3 ) 寸法 ( 長さ 幅 水深 : m)

下水道計画に用いる諸元は 原則として計画策定時点の諸元とする 計画人口については 近年の人口減少傾向を踏まえ適切に考慮する なお 確定した開発計画等がある場合は それを考慮する (4) 小規模下水道の特性や地域特性 一般に流入水の水量 水質の年間変動 日間変動が大きい 維持管理が大中規模の処理場に比

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平成 29 年度 一般廃棄物最終処分場の維持管理記録 施設の名称 : 弘前市埋立処分場第 2 次 ( 第 1 区画 第 2 区画 ) 施設の位置 : 弘前市大字十腰内字猿沢 埋立廃棄物の種類及び数量 ( 単位 :kg) 区分 種類 平成 29 年平成 30 年 4 月 5 月 6 月

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★02レジオネラ指針【新旧・案文】日付・番号入り

体の完全保持によって アナモックス活性の低下を菌体数でカバーすることが可能となり アナモックスプロセスで必要不可欠な加温 (37 が最適 ) が不要となり コスト削減につながると考えられる さらに 完全混合によって槽内の各態窒素濃度を低濃度に保つことができ アナモックス細菌に対する高濃度亜硝酸阻害を

足立清掃工場 平成 28 年度環境測定結果 1 排ガス測定結果 1 (1) 煙突排ガス 1 (2) 煙道排ガス 2 2 排水測定結果 3 3 焼却灰等測定結果 5 (1) 主灰 ( 含有 性状試験 ) 5 (2) 飛灰処理汚泥 ( 含有 溶出試験 ) 6 (3) 汚水処理汚泥 ( 含有試験 ) 7

国土技術政策総合研究所 研究資料

解説 好気性生物処理技術の特徴と発展の流れ * 北川政美 Characteristics and Chronology of Development in Aerobic Bio-treatment Technology by Masayoshi KITAGAWA Aerobic bio-treat

有明清掃工場 平成 28 年度環境測定結果 1 排ガス測定結果 1 (1) 煙突排ガス 1 (2) 煙道排ガス 2 2 排水測定結果 3 3 焼却灰等測定結果 5 (1) 主灰 ( 含有 性状試験 ) 5 (2) 飛灰処理汚泥 ( 含有 溶出試験 ) 6 (3) 汚水処理汚泥 ( 含有試験 ) 7

練馬清掃工場 平成 29 年度環境測定結果 1 排ガス測定結果 1 (1) 煙突排ガス 1 (2) 煙道排ガス 2 2 排水測定結果 3 3 焼却灰等測定結果 5 (1) 主灰 ( 含有 性状試験 ) 5 (2) 飛灰処理汚泥 ( 含有 溶出試験 ) 6 (3) 汚水処理汚泥 ( 含有試験 ) 7

世田谷清掃工場 平成 27 年度環境測定結果 1 排ガス測定結果 1 (1) 煙突排ガス 1 (2) 煙道排ガス 2 2 排水測定結果 3 3 焼却灰等測定結果 5 (1) 不燃物 ( 含有 性状試験 ) 5 (2) 飛灰処理汚泥 ( 含有 溶出試験 ) 6 (3) スラグ ( ガス化溶融 )( 含

品目 1 エチルパラニトロフェニルチオノベンゼンホスホネイト ( 別名 EPN) 及びこれを含有する製剤エチルパラニトロフェニルチオノベンゼンホスホネイト (EPN) (1) 燃焼法 ( ア ) 木粉 ( おが屑 ) 等に吸収させてアフターバーナー及びスクラバーを具備した焼却炉で焼却する ( イ )

氏名 ( 本籍 ) あんよんみ 安英美 ( 韓国 ) 学位の種類博士 ( 工学 ) 報告番号乙第 1525 号 学位授与の日付 平成 26 年 9 月 30 日 学位授与の要件学位規則第 4 条第 2 項該当 ( 論文博士 ) 学位論文題目 A Study on Enhanced Anaerobic

中央清掃工場 平成 29 年度環境測定結果 1 排ガス測定結果 1 (1) 煙突排ガス 1 (2) 煙道排ガス 2 2 排水測定結果 3 3 焼却灰等測定結果 5 (1) 主灰 ( 含有 性状試験 ) 5 (2) 飛灰処理汚泥 ( 含有 溶出試験 ) 6 (3) 汚水処理汚泥 ( 含有試験 ) 7


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第26号 技術報告集

0.45m1.00m 1.00m 1.00m 0.33m 0.33m 0.33m 0.45m 1.00m 2


公共下水道 私たちは 日常の生活や社会生活の活動のなかで たくさんの水を使っています ここで使われた水をそのまま自然に流し続けると 川や海は汚れを増していくこととなり やがて生活に必要なきれいな水が欲しいときに 手に入れることがむずかしくなってしまうようになります 必要な水を いつまでもきれいなまま

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畜環研式 膜分離活性汚泥法 既設浄化槽の水質向上用外付け型膜分離装置 平成 30 年 3 月 一般財団法人畜産環境整備機構

1. 開発の目的 既設の養豚用浄化槽では 沈殿処理の不具合による水質悪化に悩まされることがあります 一方で 良好な水質の維持はますます重要性が増しています 膜分離の導入は対応の選択肢の一つですが 既存浄化槽では 簡単に設置できないケースもあります そこで 設置の簡単な外付け型膜分離技術を開発しました 2. 外付け型膜分離とは? 畜産分野で現在利用されている一般の膜分離では 膜の組み込まれたろ過器 ( 膜モジュール ) を曝気槽に水没させてろ過を行います ( 浸漬型と言います )( 図 1 左 ) この形式は 新設浄化槽には好適ですが 既設浄化槽に膜を導入する際には構造的な面で採用が難しいこともあります このような場合でも利用できるのが外付け型膜分離です ( 図 1 右 ) 従来の浸漬型の一例 ( 曝気槽に水没させ使用 ) 開発した外付け型 ( 曝気槽の外側に取付けて使用 ) 図 1. 膜分離装置の分類 3. 外付け型膜分離用膜モジュール 外付け型膜分離で使用するろ過器 ( 膜モジュール ) は 直径 24 cm 長さ 2 m のプラスチック筒に 外径 2 mm の細い TFE( ポリテトラフルオロエチレン ) 製チューブ ( 中空糸膜と言います ) を束ねて挿入した構造です ( 図 2) この膜モジュール 1 個で 膜面積 32 m2 1 日当たりろ過量は約 7 トンです この膜モジュールを 曝気槽の横に必要本数設置するだけで 浄化槽を膜分離活性汚泥法に高度化できます プラスチック製外筒 挿入する中空糸の束 図 2. 外付け用膜モジュール

4. 外付け型膜分離を導入した浄化槽 図 3 は 窒素低減型の循環式硝化脱窒法浄化槽に膜分離を組込む場合のフロー例です 青色が膜分離組込みに伴う新設部分を示します 既設の硝化液循環ラインに膜モジュールを組込むだけで浄化槽を膜分離活性汚泥法にレベルアップできます 取付けた膜モジュールの下方から 水中ポンプで曝気液を ブロワで空気を送り込みます ろ液は 小型ポンプで吸引し放流します 沈殿槽は不要になりますが 膜分離装置のトラブルの際には沈殿槽を再利用することで容易に以前の処理フローに戻すことができます 吸引ポンプ豚舎 返水 汚水 膜モジュール 汚水貯槽 固液分離機 循環水 ブロア B 膜使用時にはこのバルブを閉じる 脱窒槽 膜ろ過水 余剰汚泥 処理水 硝化槽 沈殿槽 ( 不使用 ) ( 膜トラブル時は使用 ) 図 3. 外付け型膜分離装置の設置フロー例 ( 青色が膜分離導入に伴う新設部分 ) 放流槽 図 4 は 実際に処理能力 20 m3 / 日 ( 母豚 200 頭一貫経営 ) の浄化槽に設置した装置 です 処理水は濁りが完全に除去されています 膜分離導入前は 沈殿槽に常時汚泥 が浮上し その流出防止対応に悩まされていましたが ( 図 5 左 ) 導入後はその悩み が解消されました ( 図 5 右 ) 現状では常に良好な処理水が放流されています ( 図 6) 膜分離装置全景ろ液 ( 処理水 ) 図 4. 外付け型膜分離装置の設置事例

膜分離導入前の沈殿槽の状況導入後の沈殿槽の状況 ( 放流槽として使用 ) 図 5. 外付け型膜分離の設置による沈殿槽の変化 図 6. 放流先の道路側溝 5. 外付け型膜分離設置の効果 1 沈殿槽のような汚泥流出トラブルが発生しないので 見た目の良い安定した水質を維持できます 2 大腸菌等の細菌 およびクリプトスポリジウム等の病原性原虫がほぼ完全に除去されるので衛生面も向上します 塩素消毒は不要です 3 既存浄化槽は特段の改造を行わないので 膜分離装置のトラブルの際には 容易に元の運転に戻せます 3 曝気槽内の硝化菌密度を高めることができるので 窒素除去の第一段階であるアンモニアの硝酸 亜硝酸への酸化が促進できます 6. 使用にあたっての留意点 1 膜面に有機物が蓄積してろ過性能が低下しないように 市販の 12% 次亜塩素酸ソーダ ( 図 7) を 1 日に 1 回自動的に希釈しながらモジュールに注入して 1 時間浸漬洗浄する機構が組み込まれています それでもろ過性能が低下する場合は カルシウム成分の付着の可能性があるため 時々クエン酸溶液に変えて自動洗浄を行います

図 7. 自動洗浄に使用する市販 12% 次亜塩素酸ソーダ 2 大量の豚毛がモジュールに流入すると モジュール内に蓄積し 最終的にろ過不能になる場合があります このため 豚毛が浄化槽に流入しないように傾斜スクリーン 振動篩等で除去してください 万一豚毛で閉塞した場合は 4~5% 苛性ソーダ溶液をモジュール 1 本あたり約 40 lモジュールに注入し 一晩浸漬することで豚毛の溶解を行います 3 曝気槽の消泡剤にシリコン系を使うと 膜のろ過性能に悪影響を及ぼします 必ずアルコール系消泡剤を使ってください 4 固液分離に高分子凝集剤 ( ポリマー ) を使用している場合 使用量が過剰になると膜のろ過性能に悪影響がでます 必要最低限の注入量になるよう調整してください なお これは薬剤コストの節約にもつながります 5 茶色の着色 ( 色度 ) は除去できません 7. 今後の課題 水質汚濁防止法では アンモニア アンモニウム化合物 亜硝酸化合物及び硝酸化合物 ( 略称 : 硝酸性窒素等 ) が規制項目となっており 排水量の大小にかかわらず適用されています 現状では 通常の基準 ( 一般基準 ) より緩やかな暫定基準が適用されていますが 今後は一般基準を目標として努力していくことが求められています ( 図 8) 図 8. アンモニア アンモニウム化合物 亜硝酸化合物及び硝酸化合物 ( 略称 : 硝酸性窒素等 ) の暫定基準値の推移

窒素除去のためには 2 種類の工程を確実に進めることが大事です 最初の工程では 好気的にアンモニアを硝酸 亜硝酸に酸化します 次の工程では 無酸素条件下で 硝酸 亜硝酸を有機物と反応させ 窒素ガスにして大気中に放散します ( 図 9) 大気中へ放散 硝化工程 脱窒工程 アンモニア酸素 窒素ガス (N2) 汚水 ( 有機物 アンモニア ) 硝化菌硝酸 亜硝酸 溶存酸素の多い条件 脱窒細菌 硝酸 亜硝酸有機物溶存酸素の無い条件 処理水 図 9. 窒素除去の原理膜分離の導入は 第一段階のアンモニアの硝化工程に促進効果がありますが 第 2 段階の脱窒工程を促進するには浄化槽本体の運転調整が不可欠です 2 つの工程を効率よく進める手法としては間欠曝気法や循環式硝化脱窒法 ( 図 10) があります 硝化液循環 汚水 ( 有機物 アンモニア ) 脱窒槽硝化槽膜分離 撹拌機 曝気 処理水 ブロワ 余剰汚泥 図 10. 循環式硝化脱窒法のフローと実例 ( 写真中の上方が脱窒槽 下方が硝化槽 脱窒槽では水中攪拌機による撹拌 硝化槽では曝気が行われている )

このような対応がなされている浄化槽であっても 流入汚水の有機物濃度と窒素濃度のバランス (BOD/N 比と呼ばれます ) が適当でないと 窒素のガス化に必要な有機物が不足し 窒素除去率が下がってしまいます 図 11 に示したように 窒素除去率 90% 程度を目指すには BOD/N 比が 3 以上であることが必要です この条件を安定して実現するための技術的対応法は今後の課題となっています 図 11. 汚水の BOD/N 比と窒素除去率の関係の事例 ( 循環式硝化脱窒法式浄化槽での調査結果 ) 8. おわりに ここに紹介した技術は 日本中央競馬会特別振興資金助成事業 により平成 27~29 年度の 3 年間にわたって実施した 硝酸性窒素等規制強化対応高度浄化処理技術開発普及事業 で開発しました

本パンフレットの内容に関するお問い合わせ等は以下にお願いいたします 一般財団法人畜産環境整備機構畜産環境技術研究所 961-8061 福島県西白河郡西郷村大字小田倉字小田倉原 1 TEL 0248-25-7777/ FAX 0248-25-7540 メールアドレス :ilet@chikusan-kankyo.jp また 本パンフレットに紹介した技術の詳細は 研究所のホームページ中に掲載されている 畜産汚水の高度処理技術マニュアル に記載されておりますのでご参照ください ホームページ :http://www.chikusan-kankyo.jp 畜産環境技術研究所では堆肥成分の分析を受託しています 詳細はホームページでご確認ください 発行 : 一般財団法人畜産環境整備機構 105-0001 東京都港区虎ノ門 5-12-1 ( ワイコービル 3 階 ) TEL 03-3459-6300/ FAX 03-3459-6315