課題研究の進め方 これは,10 年経験者研修講座の各教科の課題研究の研修で使っている資料をまとめたものです 課題研究の進め方 と 課題研究報告書の書き方 について, 教科を限定せずに一般的に紹介してありますので, 校内研修などにご活用ください

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3 特別支援学級における学習指導案 特別支援学級においても 学習指導案は授業の設計図としての働きに変わりはありません しかし 特別支援学級では 児童生徒の実態から指導の内容や計画を考えることに大きな意味があります 通常の学級の学習指導案では 例えば 単元について は学習指導要領に沿った指導計画に基づ

Ⅰ 評価の基本的な考え方 1 学力のとらえ方 学力については 知識や技能だけでなく 自ら学ぶ意欲や思考力 判断力 表現力などの資質や能力などを含めて基礎 基本ととらえ その基礎 基本の確実な定着を前提に 自ら学び 自ら考える力などの 生きる力 がはぐくまれているかどうかを含めて学力ととらえる必要があ

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必要性 学習指導要領の改訂により総則において情報モラルを身に付けるよう指導することを明示 背 景 ひぼう インターネット上での誹謗中傷やいじめ, 犯罪や違法 有害情報などの問題が発生している現状 情報社会に積極的に参画する態度を育てることは今後ますます重要 目 情報モラル教育とは 標 情報手段をいか

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2 研究の歩みから 本校では平成 4 年度より道徳教育の研究を学校経営の基盤にすえ, 継続的に研究を進めてきた しかし, 児童を取り巻く社会状況の変化や, 規範意識の低下, 生命を尊重する心情を育てる必要 性などから, 自己の生き方を見つめ, 他者との関わりを深めながらたくましく生きる児童を育てる

7 本時の指導構想 (1) 本時のねらい本時は, 前時までの活動を受けて, 単元テーマ なぜ働くのだろう について, さらに考えを深めるための自己課題を設定させる () 論理の意識化を図る学習活動 に関わって 考えがいのある課題設定 学習課題を 職業調べの自己課題を設定する と設定する ( 学習課題

1. 研究主題 学び方を身につけ, 見通しをもって意欲的に学ぶ子どもの育成 ~ 複式学級における算数科授業づくりを通して ~ 2. 主題設定の理由 本校では, 平成 22 年度から平成 24 年度までの3 年間, 生き生きと学ぶ子どもの育成 ~ 複式学級における授業づくり通して~ を研究主題に意欲的

考え 主体的な学び 対話的な学び 問題意識を持つ 多面的 多角的思考 自分自身との関わりで考える 協働 対話 自らを振り返る 学級経営の充実 議論する 主体的に自分との関わりで考え 自分の感じ方 考え方を 明確にする 多様な感じ方 考え方と出会い 交流し 自分の感じ方 考え方を より明確にする 教師

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平成 28 年度全国学力 学習状況調査の結果伊達市教育委員会〇平成 28 年 4 月 19 日 ( 火 ) に実施した平成 28 年度全国学力 学習状況調査の北海道における参加状況は 下記のとおりである 北海道 伊達市 ( 星の丘小 中学校を除く ) 学校数 児童生徒数 学校数 児童生徒数 小学校

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(2) 国語科 国語 A 国語 A においては 平均正答率が平均を上回っている 国語 A の正答数の分布では 平均に比べ 中位層が薄く 上位層 下位層が厚い傾向が見られる 漢字を読む 漢字を書く 設問において 平均正答率が平均を下回っている 国語 B 国語 B においては 平均正答率が平均を上回って

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刊行に寄せて 青森県教育委員会では 小 中 高等学校 1 2 年間を見通した 縦の連携 を基軸とした学校教育を推進し 児童生徒の学力向上について取り組むべき方策を検討することを目的に 学力向上庁内戦略会議 を設置し 算数 数学 理科 英語の 3 教科について 児童生徒の学力向上に関する専門的な事項に

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はじめに 我が国においては 障害者の権利に関する条約 を踏まえ 誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合い 人々の多様な在り方を相互に認め合える 共生社会 を目指し 障がいのある者と障がいのない者が共に学ぶ仕組みである インクルーシブ教育システム の理念のもと 特別支援教育を推進していく必要があります

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総合的な探究の時間 は 何を 何のために学ぶ学習なのか? 総合的な探究の時間 は与えられたテーマから みなさんが自分で 課題 を見つけて調べる学習です 総合的な探究の時間 ( 総合的な学習の時間 ) には教科書がありません だから 自分で調べるべき課題を設定し 自分の力で探究学習 ( 調べ学習 )

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解禁日時新聞平成 30 年 8 月 1 日朝刊テレビ ラジオ インターネット平成 30 年 7 月 31 日午後 5 時以降 報道資料 年月日 平成 30 年 7 月 31 日 ( 火 ) 担当課 学校教育課 担当者 義務教育係 垣内 宏志 富倉 勇 TEL 直通 内線 5

作品の情景をよりわかりやすく伝える手だてともなる 指導にあたって 1 では まず 俳句は17 音で作ることや季語を入れることと言ったきまりをおさえる そして 教科書の例を読み 想像した情景や作者の思いを想像し 良いと思うところ 工夫されていると思うところを発表できるようにする 2 の俳句を作る場面で

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主語と述語に気を付けながら場面に合ったことばを使おう 学年 小学校 2 年生 教科 ( 授業内容 ) 国語 ( 主語と述語 ) 情報提供者 品川区立台場小学校 学習活動の分類 B. 学習指導要領に例示されてはいないが 学習指導要領に示される各教科 等の内容を指導する中で実施するもの 教材タイプ ビジ

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平成29年度 小学校教育課程講習会 総合的な学習の時間

子葉と本葉に注目すると植物の成長の変化を見ることができるという見方や, 植物は 葉 茎 根 からできていて, それらからできているものが植物であるという見方ができるようにしていく また, 学んだことを生かして科学的なものの見方を育てるために, 生活の中で口にしている野菜も取り上げて観察する活動を取り

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3 調査結果 1 平成 30 年度大分県学力定着状況調査 学年 小学校 5 年生 教科 国語 算数 理科 項目 知識 活用 知識 活用 知識 活用 大分県平均正答率 大分県偏差値

資料1 児童生徒の学習評価に関するワーキンググループ(第1~第3回)における主な意見等

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学習指導要領の領域等の平均正答率をみると 各教科のすべての領域でほぼ同じ値か わずかに低い値を示しています 国語では A 問題のすべての領域で 全国の平均正答率をわずかながら低い値を示しています このことから 基礎知識をしっかりと定着させるための日常的な学習活動が必要です 家庭学習が形式的になってい

未来教育 1 プロジェクト学習とポートフォリオ 文部科学省採択事業 確かな学力の育成に係る実践的調査研究 課題解決能力の獲得を可能とするプロジェクト学習とポートフォリオ教員研修プログラムの開発 コーチング指導による コンピテンシー育成 を目指して 報告書 (H22) より シンクタンク未来教育ビジョ

4 本単元と情報リテラシーの関わり 課題設定担任による 説明会におけるデモンストレーションを見ることを通して 本単元を貫く言語活動としての これぞ和の文化! おすすめの 和の文化 を調べて説明会を開こう を知り 見通しを持たせ学校司書による関連図書紹介を通して 和の文化への関心を高め 進んで調べよう

し, 定期的に評価することで 自己の考え を自覚する場面を意図的に設定している 本教材の学習においては, 様々な情報の中から必要な情報を取り出し, 整理 分析し, それに基づいた自分の考えを表現する活動を通して, 自己の考えの深まりや広がり を実感させることによって, 課題改善につなげたいと考えてい

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以上, 歴史的事象の知識 理解 の段階を基礎とした (1)~(3) の力を踏まえて, 本研究では, 授業ワークシートの工夫や効果的な資料の提示, 個 から グループ を意識した話し合い活動の工夫を通して, 生徒の 歴史的思考力 の育成を目指す世界史授業のあり方について考えた 図 1. 歴史的思考力

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群教セ G04-03 平 集 理科 - 中 生徒が解決の見通しを持って実験方法を立案する理科授業 モデル図やグラフを使った予想の共有と タブレット端末の活用を通して 特別研修員奈良達也 Ⅰ 研究テーマ設定の理由 平成 29 年 3 月公示の新学習指導要領では 内容のイとして思考 判断

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課題研究の進め方 これは,10 年経験者研修講座の各教科の課題研究の研修で使っている資料をまとめたものです 課題研究の進め方 と 課題研究報告書の書き方 について, 教科を限定せずに一般的に紹介してありますので, 校内研修などにご活用ください

課題研究の進め方 Ⅰ 課題研究の進め方 1 課題研究 のねらい日頃の教育実践を通して研究すべき課題を設定し, その究明を図ることにより, 教員としての資質の向上を図る 2 研究の内容及び方法 仮説 検証による実践的研究 授業の改善 充実を図るために, 仮説を立て, その仮説に基づいて授業等を実践し, 仮説の有効性を検証する研究 (1) 教科指導上の実践研究として研究報告をまとめる (2) 自分の教科の単元 題材を通して, 具体的な授業研究を行う (3) 最終的な見通しを立てながら研究を進める 留意点ア今までの様々な授業実践 経験を整理することで授業実践上の問題点を洗い出し, それらの問題の中から研究主題を絞り込む 児童生徒の変容や成長に直接かかわるもの 教科のねらいに照らし合わせてどのような能力を育てるか焦点を明確にする 教育実践の質を高め, その方向付けを行うもの 研究に修正を加えながら進めるという可変性, 柔軟性のあるもの 手立てなどは途中で改変することも考えてよい また, 結果が思わしくなくても正確な分析をし, 課題を明確にする イ主題に迫るために仮説を設けて検証していく場合は, 検証の客観性に留意する 理論的, 実証的な裏打ちをもつもの 理論的な裏付けとは 児童生徒の発達段階や理論的な面については, 様々な研究書に当たる 学習指導要領に示されている児童生徒の傾向, あるべき姿などを基にする 実証的な裏付けとは 児童生徒に対する実態調査の実施と分析 3 課題の設定 研究課題の設定 日常の教育実践 ずれ 問題意識 身に付けさせたい力 学校教育目標児童生徒の実態学習指導要領等 問題の発見 手立て等の立案 焦点化 問題のもつ価値の吟味 問題の重要性 社会性 解決の緊急性 可能性 研究課題の設定 - 1 -

4 課題研究の構想 1 日常の授業における問題点は何か 課題研究の構想 2 授業で改善したいと思うことは何か 3 児童生徒のどのような変容を期待するか 4 改善のためにどのような手立てを講じるか 5 どの単元 ( 題材 ) で実践するか 6 学習指導要領, 中央教育審議会, 教育課程審議会, 専門家による研究書など, 研究の考え方の支えになるものは何か 7 研究主題 研究主題 副主題 ( 案 ) 副主題 8 研究の仮説 9 仮説検証の計画 どの場面で実践するか と方法 どのような手立ての工夫をするか 手立ての有効性をどのように確かめるか - 2 -

5 研究の進め方の例 実態の把握 学習指導要領の指導事項等と比較し, 児童生徒の実態を洗い出し, 課 題を分析する 研究目的の設定 課題について, 児童生徒にどういう姿を目指したいのか, 何を明らか にしたいのかをまとめる 研究仮説の設定 実態の把握を研究の目的設定にするために, 何をどのように すれば良いと考えるかを明確にする 実践方法の設定 研究仮説の設定を, 具体的にはどのように実践や追究するのかを 検討する 検証方法の設定 研究仮説の設定が立証されたかどうかを判断する方法を考える 実践 追究 研究仮説の設定に基づいた教育活動を実践方法の設定に従っ て行う 結果の検証 実践 追究の結果をまとめ, 研究仮説の設定が立証された かどうかを検証方法の設定によって検討する 考察 研究仮説の設定が機能したのはなぜか, 機能しなかったのはなぜ かを検討する 研究のまとめと今後の課題 この研究で何が明らかになったか, また実践上の課題や, さ らにどのような教育活動が必要かをまとめる - 3 -

Ⅱ 課題研究報告書の書き方 1 研究主題研究主題は, その研究内容を端的に表したものであり, 一見して研究全体のイメ - ジが浮かぶ表現であることが理想である 研究のキャッチコピーあるいは看板のつもりで 研究主題の表現の仕方 主題児童生徒の何を育てようとするのか 副主題 ( そのために )* 学校の第 * 学年のどの単元 ( 教材 題材 ) でどのような工夫を中心にして指導するのか 主 題 : を育てる の学習指導 A B 副主題 : における の工夫を通して B C 研究主題に含まれる三要素 A 研究の目指す姿 ( ねらい 方向性 ) があること ~を目指す ~を育てる B 研究の対象領域 分野があること ~における ~の分野 C 研究の方法 ( 手立て ) を示すこと ~を通して ~による 2 主題設定の理由実践 経験上の問題意識から出発し, 児童生徒の実態把握を経て, 問題解決のための研究仮説に至る経過を簡潔に整理する 研究期間を踏まえて, 研究計画の見通しを立て, 研究のねらいを示す 留意点 (1) なぜこの研究テーマを設定したか, 問題意識の確立をポイントに書く (2) 社会的 学問的背景など研究の基盤とどう結び付くかを書く (3) 学校の実態や課題など現実の児童生徒の姿を深く読み取って書く ( 実態認識 ) (4) 研究の目的や意味を明確にして書く 例 主題設定の理由の書き方 ( 必要に応じて, 研究の指針 児童生徒の実態 研究主題に迫るための手立て ( 研究の方向性 ) のような小項目を立てて, 内容を整理して書く ) 研究の指針 が大切である( と考える ) 文部科学省や県教育委員会等の考え方 求めていること 現在の教育課題等( 広い視点 ) 実態 という実態である 実態調査等客観的データを示す グラフや表にし, 分かりやすく示す 調査結果を正確に分析する 調査方法を考える( 質問紙法, 観察法, 面接法, ソシオメトリー等 ) 実践 反省 が十分でなかった( と考えられる ) 学校 児童生徒の現状, 活動をしての問題点など 研究に迫るための手立て ( 研究の方向性 ) そこで, ではないかと考える 具体的な解決 調査方法, 方向性を書く 主題設定の理由 私は, の考えから, を主題と設定した 最後に簡単にまとめる - 4 -

3 研究のねらいこの研究によって期待される成果, 目指している事柄を簡潔にまとめる 研究のねらい の書き方例 における の工夫を通して, を育てる の学習指導方法を追究する 研究副主題研究主題 4 研究の仮説研究の内容を最も簡潔に, 最小限の形に凝縮して表現したもの とにかくやってみてどうなるか結果をみよう ではなく たぶんこうだから, こうなるはずだ という結果の予測 ( 想定 ) 仮説設定の留意点 (1) 研究の領域を限定する どこで ( 何で ) 対象 場 (2) 研究の重点を決める 何をどのようにするか 手立て ( 方法 ) の工夫 (3) 研究の具体的結果を予測する どう変えようとするか 変容の姿, こういう児童生徒にしたい (4) 研究主題, 主題設定の理由, 研究のねらい との整合をする 研究の仮説の書き方 ( 例 1) において, の をすれば, になるであろう (1) 内容 場等 (2) 手立て ( 方法 ) の工夫 (3) 児童生徒の変容 ( 目指す児童生徒像 ) 研究対象の限定 研究のポイント 検証方法の確立 ( 例 2) に, を することによって, することができる (1) 対象 場等 (2) 手立て ( 方法 ) の工夫 (3) 期待される結果 研究対象の限定 研究のポイント 検証方法の確立 5 仮説検証の方法 研究のねらい を達成, あるいは 研究の仮説 を確認するために, いつ, どこで, 誰 ( 何 ) に対して, 何を使って, どのような方策を行うのか また成果をどうやって確かめるか 研究計画は授業検証を経てまとめるように方向付けをする 授業検証は 1 回の授業で結果を出したりしないよう慎重に進める 検証の観点 ( 何を検証するのか ) 検証の場面, 方法の明確化 ( 意識調査 実態調査等 ) 処理と解釈の方法の選定 - 5 -

6 研究の内容 等の書き方 1 主題設定の理由 2 研究のねらい p.4,5 にて解説済み 3 研究の仮説 4 研究の内容 ( 仮説についてどのような結果が得られたかの理由の分析をする ) (1) 基本的な考え方 研究主題や副主題のキーワードを詳しく述べ, 定義する 学習指導要領解説, 指導資料, 先行研究等の文献を理論的背景にするとよい ア イ (2) 主題に迫るために 研究主題, ねらい, 仮説との整合性をとる ア: 実態調査, イ : 指導上の重要な手立て ( 指導法や学習形態の工夫などとするとよい ア イ (3) 授業実践 ( 調査研究の場合は, ウ以降もある ) ア単元 教材 題材についてイ指導の実際 指導の工夫改善のポイントを明確にする 指導と評価の計画( 学習指導案 ) 授業実践の様子を具体的に 観察記録( 必要に応じて ) (4) 分析と考察 仮説の適否を生徒の変容や学習活動の事実によって検証する ア について ( ア ) ( イ ) イ について ( ア ) ( イ ) 研究の仮説や検証方法で取り上げた手立てと整合するように書く 5 研究のまとめ ねらいは達成できたか 研究を通してどのようなことが分かったか, また, 明らかになったかをまとめる (1) を行ったことで (2) を行ったことで 6 今後の課題 研究を進める上で, 研究のねらいの何が追究できて, 何が未解決なのかを明らかにする 研究の反省点を, 研究の仮説, 研究の内容と方法の両面から明らかにする 特に, 研究の事実から言えるものを中心に挙げる 参考文献 引用文献 ( 区別して必ず明記すること ) 著者名 書名 発行所発行年 * 参考文献 ( 研究を進める上で参考にした文献 ) * 引用文献 ( 本論で引用した文献 ) - 6 -