PYT & Associates 弁護士 カンボジアコーポレート ガバナンス Potim YUN 代表 弁護士 2017 年 9 月 12 日大阪
目次 - カンボジア法下におけるコーポレート ガバナンス 1. 序論 2. 株主の権利と公平な取扱い 3. その他の利害関係者の利益 4. 取締役会の役割と責務 5. 真摯さと倫理行動 6. 開示と透明性 PYT & Associates 2
1. 序論
1.1 定義 コーポレート ガバナンスは 会社を管理し 指揮する仕組み 手順 および関係である ガバナンスの構造と原則は 会社の様々な参加者 ( 取締役会 経営者 株主 債権者 監査人 監督者その他の利害関係者など ) の間の権利や責務の配分を特定し 会社の業務に関する意思決定の規則や手続を含む PYT & Associates 4
1.2 コーポレート ガバナンス規則 2005 年 5 月 17 日付会社法 ( LCE ) 2007 年 3 月 20 日付保険会社のコーポレート ガバナンスの Prakas( PGIC ) 2008 年 11 月 25 日付銀行および金融機関におけるガバナンスの Prakas( 規則 )( PGBFI ) PYT & Associates 5
1.2 コーポレート ガバナンス規則 2010 年 12 月 15 日付上場国営企業のコーポレート ガバナンスの Prakas( PGSE ) 2009 年 12 月 31 日付上場公開有限責任会社のコーポレート ガバナンスの Prakas ( PGPlc ) 2012 年 4 月 27 日付企業情報開示の Prakas ( PCD ) PYT & Associates 6
2. 株主の権利と公平な取扱い
2.1 株主の公平な取扱い 同じ種類の株式の保有者はあらゆる点で公平である (LCE 第 144 条 ) 会社の株主総会での議決権 会社が宣言した配当を受ける権利 解散時に会社の残余財産を受領する権利 PYT & Associates 8
2.1 株主の公平な取扱い 種類株式の保有者はあらゆる点で平等である (LCE 第 144 条 ) 解散時に会社の残余財産を受領する権利 種類株式に付属する先取特権 (LCE 第 151 条 ) 株主総会の通知を受ける権利 PYT & Associates 9
2.2 情報にアクセスする権利 会社の記録にアクセスする権利 (LCE 第 110 条 ) 年次財務諸表を無償で調査し 徴求する権利 (LCE 第 225 条 ) 上場会社は ウェブサイトを持つことを義務付けられる 監査済年次財務諸表 営業成績 四半期および年次財務報告書 取締役および上級役員に関する情報その他は 上場会社 SECCおよびCSXのウェブサイトに記載するものとする PYT & Associates 10
2.3 株主の保護 インサイダー取引の規制 (PGPlc 第 11 条 ) 取締役および従業員による会社の証券の取引を管理する方針は 会社が採用するものとする 少数株主の権利は 保護されるものとする 主要株主および支配株主は その株式保有に変更があった場合公表するものとする PYT & Associates 11
3. その他の利害関係者の利益
3.1 LCE 第 106 条に基づく第三者の保護 会社の義務を保証する企業または個人は 会社と取引を行う第三者 または会社から権利を取得する第三者に対して以下の点を主張することはできない 定款および付属定款が遵守されていないこと 登記官に送付された取締役の最新通知に記名された者が 会社の取締役ではないこと ただし これらの点は 第三者がその地位または会社との関係により知っていたか 知るべきであった場合には 主張することができる PYT & Associates 13
3.2 PGPlc 第 44 条に基づく利害関係者の権利の保護 利害関係者の権利を保護するため 会社は以下を行うものとする (PGPlc 第 44 条 ) 利害関係者の権利を支持し 保護する明確な戦略的経営方針を持つこと カンボジア労働法の遵守を徹底すること 顧客保護や環境保護などの会社の社会的責任 (CSR) を怠らないこと PYT & Associates 14
3.2 PGPlc 第 44 条に基づく利害関係者の権利の保護 利害関係者であり株主でもある者の個別の権利を認識し 保護すること 利害関係者 債権者および従業員は LPlcの履行を監視し自らの権利を保護することができるよう 必要な関連情報をすべて提供されるものとする (PGPlc 第 45 条 ) PYT & Associates 15
3.3 会社の記録へのアクセス LCE 第 110 条 登記官または債権者は 会社の記録を調査することができる PLCについては いかなる者も会社の記録を抜粋することができる PYT & Associates 16
4. 取締役会の役割と責務
4.1 取締役会の構成 一般 :LCE 第 118 条 :1 名以上の取締役 PLC は 3 名以上の取締役 保険会社 :PGIC 第 7 条 : 非業務執行役会長 +2 名の独立非業務執行取締役 銀行 :PGBFI 第 6 条 : 商業銀行は 2 名以上の独立取締役 特殊銀行は取締役会の 3 分の 1 以上が独立取締役 PYT & Associates 18
4.1 取締役会の構成 LPlc:PGPlc 第 14 条 :5 名から 15 名の間の取締役で構成され また 5 分の 1 は独立取締役 ( カンボジアで 6 カ月の経験 ) でなければならない LSE:PGSE 第 11 条 : 民間株主によって任命された 1 名の独立取締役兼非業務執行取締役を含む 7 名の取締役 PYT & Associates 19
4.2 取締役の資格 一般 :LCE 第 120 条 : 法的能力がある 18 歳以上の自然人は 会社の取締役または役員を務めることができる 定款が別途要求する場合を除き 取締役が株主であること またはその他の資格に適合することを必要としない LPlc:PGPlc 第 28 条 ~ 第 29 条は さらに特別な要件および規制を定める 経験 指導力 チームワークその他 独立取締役 : 銀行 保険会社 LPlc または LSE について 異なる要件が定められている 非業務執行役員 :LSE についてのみ 過去に悪い履歴がないこと等を定めている ( 第 26 条 ~ 第 27 条 ) PYT & Associates 20
4.3 取締役会委員会 一般 :LCE 第 131 条 : 取締役会委員会は 義務ではなく 必要に応じて設置できる 保険会社 : 監査委員会のみ設置できる (PGIC 第 8 条 ~ 第 9 条 ) 銀行 : 監査委員会およびリスク管理委員会のみが義務付けられる (PGBFI 第 7 条 ~ 第 9 条 ) LPlc: 監査委員会のみが義務付けられ その他の委員会は SECC によって義務付けられる場合がある (PGPlc 第 33 条 ) LSE: 監査委員会のみが義務付けられ その他は SECC によって義務付けられる場合がある (PGLSE 第 32 条 ) PYT & Associates 21
4.4 取締役会の権限と責務 LCE 第 118 条 : 取締役会は 会社の業務執行を管理するものとする ただし 株主に留保された権限は除く 取締役は 取締役会に参加することを義務付けられ 取締役会に欠席した場合 ( 銀行は3 回 LPlcは50%) 解任される場合がある PYT & Associates 22
4.5 会社秘書役 LCE は 会社秘書役を任命することを会社に明確に義務付けていない 第 130 条 第 132 条 第 142 条は 事務的業務に関して取締役会を補佐する会社秘書役を会社が有することを述べているようである LSE は 会社秘書役を任命するものとする (PGSE 第 22 条 ) LPlc は 会社秘書役を任命するものとする (PGPlc 第 22 条 ) 銀行または保険会社を含むその他の会社については 会社秘書役の任命に明確な要件はない PYT & Associates 23
5. 真摯さと倫理行動
5.1 一般 : LCE 第 289 条 各取締役および役員は その職務の実施において 以下のとおりとする 会社の最善の利益を目的として 正直かつ誠実に行為すること 相当に注意深い者が同様の状況において実施するだろう注意 勤勉さおよび技術を実施すること PYT & Associates 25
5.2 LPlc:PGPlc 第 15 条 取締役会は 忠誠心 技術および注意をもって行為するためにその役割を定めるものとする これには 以下の主要な役割が含まれる 株主の適法な利益にかない 株主に対する責任を完全に果たすこと 正直 誠実にかつ会社と株主の最善の利益のために行為すること 会社が株主その他の利害関係者と有効に意思疎通することを確実にすること PYT & Associates 26
5.2 LPlc:PGPlc 第 15 条 - 続き 戦略 方針 経営成果基準および事業計画を決定 監視 評価すること 内部統制を構築し 監視すること 企業家の指導力を発揮し 戦略的目標を設定し 会社がその目標を達成するために必要な資源が整っていることを確実にすること 取締役会のメンバーは 上級役員の責務を妨げるためにその権限を使用してはならない PYT & Associates 27
5.3 会社方針 取締役会は 取締役と上級役員の行動規範を承認し 公開するものとする (PGPlc 第 23 条 PGSE 第 20 条 ) 次の方針は LPlc および LSE が採用することが義務付けられている 取締役または役員による会社の証券取引方針 報酬および給与方針 取締役会への情報提供方針 戦略的経営方針 利益相反 役員および従業員への貸付 関連当事者取引に関する方針は 銀行に対して義務付けられている (PGBFI 第 12 条 ) 報酬方針 (PGBFI 第 18 条 ) PYT & Associates 28
6. 開示と透明性
6.1 LCE に基づく内部開示 LCE 第 224 条 財務開示 : 各年次株主総会において 取締役は 株主に年次財務諸表を提示するものとする LCE 第 134 条 利益相反の開示 : 取締役または役員は その利益相反の性質と範囲を書面により会社に開示するものとする 利益相反のある取締役は 契約を承認する決議に投票してはならない (LCE 第 137 条 ) PYT & Associates 30
6.2 銀行および金融機関 公衆への開示は 金融機関の規模 活動 複雑さ リスク特性に比例すべきである 開示には 少なくとも以下を含むべきである (PGBFI 第 19 条 ) 機関の取締役会構造および経営構造 基本的な所有権の構成 該当する場合 企業グループ構造および対応する所有株式の保有 PYT & Associates 31
6.2 銀行および金融機関 - 続き 組織 インセンティブ 行動規範または倫理行動 利益相反に関する方針 貸付方針および関連当事者と関連会社に適用される制限 PYT & Associates 32
6.3 LPlc および LSE 開示されるべきコーポレート ガバナンスに関する重要情報は 以下を含む (PGPlc および PGSE 第 47 条 ) 取締役会の構成 業務執行取締役 非業務執行取締役 独立取締役 取締役会の構造 経営構造 インセンティブ方針 利益相反に関する方針 取締役と上級役員の行動規範 取締役会委員会の権利 役割および義務 ならびに活動 開示対象期間中の取締役および取締役会の活動 株主によって採用された場合 累積的投票制度の手続 PYT & Associates 33
ありがとうございました PYT & Associates