平成19年度消化器内科後期研修プログラム

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094.原発性硬化性胆管炎[診断基準]

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Yonago Medical Center Magazine ARCUS #20 May 2018


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膵臓癌について

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消化管疾患の治療にも, 肝胆膵疾患の治療にも, 多種の薬剤が使用される. これらの薬剤のなかには強力で有効性も高いが副作用が大きく, 場合によっては死に至る重篤な副作用を発症する薬剤もあり, 専門医が十分に検討を重ねた後に使用されている. 抗癌剤やインターフェロン製剤, 抗体製剤などがこのなかに含ま

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1)表紙14年v0

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目次 1. 地域医療連携パスとは 肝疾患医療連携パスの運用方法について... 3 (1) 特長 (2) 目的 (3) 対象症例 (4) 紹介基準 (5) 肝疾患医療連携パスの種類 (6) 運用 3. 肝疾患医療連携パス... 7 (1) 肝疾患診断医療連携パス ( 医療者用 : 様式

「肝がん研究の推進及び肝がん患者等への支援のための最適な仕組みの構築を目指した研究」 成果報告

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Ⅳ 研 修 目 標

小児外科学 (-Pediatric Surgery-) Ⅰ 教育の基本方針小児外科は 子供 (16 歳未満 ) の一般外科と消化器外科を扱う科です 消化器 一般外科学並びに小児外科学に対する基礎医学から臨床にわたる幅広い知識をあらゆる診断 治療技術を習得し 高い技術力と探究心及び倫理観を兼ね備えた小

院内がん登録における発見経緯 来院経路 発見経緯がん発見のきっかけとなったもの 例 ) ; を受けた ; 職場の健康診断または人間ドックを受けた 他疾患で経過観察中 ; 別の病気で受診中に偶然 がん を発見した ; 解剖により がん が見つかった 来院経路 がん と診断された時に その受診をするきっ

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2/11 部血管造影 291 件などである 胃癌の治療には外科的切除が選択されることが多い しかし リンパ節転移の危険性がほとんどないとされる分化型の粘膜内癌に対しては 積極的に内視鏡的粘膜切除術 (EMR) を行ってきた 近年 大きな病変でも一括切除が可能で 術後の病理学的診断が確実な内視鏡的粘膜

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健康な生活を送るために(高校生用)第2章 喫煙、飲酒と健康 その2

どく拡張する ( 中毒性巨大結腸症 ) こともあります. このような場合には緊急に手術が必要です. また 大腸癌になった場合にも手術が必要になります. 内科的治療が効きにくい難治例や重症例の場合にも 内科的治療のバランスの点から手術を選択することがあります. 手術の方法は 大腸全摘ですが 肛門を残す

図1 消化器の構成 れます薬やアルコールの代謝も肝臓で行 物質は肝臓で無毒化され 尿や便に排泄さ などが合成されます身体にとって有害な 役割を演じています ンなどです膵臓は血糖値の調節に重要な げるインスリンや血糖値を上げるグルカゴ 糞便中に出ていくのは約 リットルです 腸に進み 大腸でそのほとんど

70 頭頸部放射線療法 放射線化学療法

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2. 転移するのですか? 悪性ですか? 移行上皮癌は 悪性の腫瘍です 通常はゆっくりと膀胱の内部で進行しますが リンパ節や肺 骨などにも転移します 特に リンパ節転移はよく見られますので 膀胱だけでなく リンパ節の検査も行うことが重要です また 移行上皮癌の細胞は尿中に浮遊していますので 診断材料や

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したことによると考えられています 4. ピロリ菌の検査法ピロリ菌の検査法にはいくつかの種類があり 内視鏡を使うものとそうでないものに大きく分けられます 前者は 内視鏡を使って胃の組織を採取し それを材料にしてピロリ菌の有無を調べます 胃粘膜組織を顕微鏡で見てピロリ菌を探す方法 ( 鏡検法 ) 先に述

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5. 死亡 (1) 死因順位の推移 ( 人口 10 万対 ) 順位年次 佐世保市長崎県全国 死因率死因率死因率 24 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 位 26 悪性新生物 350

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佐賀県肺がん地域連携パス様式 1 ( 臨床情報台帳 1) 患者様情報 氏名 性別 男性 女性 生年月日 住所 M T S H 西暦 電話番号 年月日 ( ) - 氏名 ( キーパーソンに ) 続柄居住地電話番号備考 ( ) - 家族構成 ( ) - ( ) - ( ) - ( ) - 担当医情報 医

新 消化器内視鏡専門医制度 専門医研修カリキュラム について 研修カリキュラムは新 消化器内視鏡専門医が修得する消化器内視鏡全分野の研修内容を網羅したものとなっている 消化器内視鏡分野は日々発展を遂げており 専門化 多様化しているため 消化器内視鏡領域をすべて理解し 達成することは不可能と思われる

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CCU で扱っている疾患としては 心筋梗塞を含む冠動脈疾患 重症心不全 致死性不整脈 大動脈疾患 肺血栓塞栓症 劇症型心筋炎など あらゆる循環器救急疾患に 24 時間対応できる体制を整えており 内訳としては ( 図 2) に示すように心筋梗塞を含む冠動脈疾患 急性大動脈解離を含む血管疾患 心不全など

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基礎知識 1. 肝臓について 肝臓は腹部の右上にあり 成人で 800~1,200g と体内最大の臓器です ( 図 1) 肝臓の主な役割は 食事から吸収した栄養分を取り込んで体に必要な成分に変えることや 体内でつくられた有害物質や体外から摂取された有害物質を解毒し 排出することです また 脂肪の消化を

大阪市がん診療ネットワーク協議会がん登録部会 平成 30 年度大阪市二次医療圏全国がん登録実務者研修会 肝臓がん 大阪市立大学大学院肝胆膵外科学久保正二 平成 31 年 2 月 27 日大阪市立大学医学部附属病院

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1. 理念 住友別子病院内科専門研修施設群は 技術修得が不可欠な消化器 循環器の分野に特化して内科専門医の資格や内科専門医に必要な知識を身につけながら専攻医 1 年目から希望分野 ( 消化器 循環器 あるいは両方 ) にて技術修得の研修を行います 住友別子 住友別子 済生会今治 西条中央 HITO

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はじめに 連携パス とは 地域のと大阪市立総合医療センターの医師が あなたの治療経過を共有できる 治療計画表 のことです 連携パス を活用し と総合医療センターの医師が協力して あなたの治療を行います 病状が落ち着いているときの投薬や日常の診療はが行い 専門的な治療や定期的な検査は総合医療センターが

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会場セッション演題番号時間司会 座長 審査員 第 1 会場 ( フォレストホール 1 2) 第 2 会場 ( 第 7 会議室 ) 第 3 会場 ( 第 5 6 会議室 ) 特別企画 I( 初期 ) W1-01~10 9:20-10 : 30 福島県立医科大学消化器内科学講座 大平弘正 東北医科薬科大

日本消化器内視鏡学会専門医研修カリキュラム 総論 1. 消化器内視鏡専門医としての研修目標 1) 消化器内視鏡医としてのプロフェッショナリズム A A 2) どのような専門医であるべきか A A 3) 消化器内視鏡専門医として心得ておくべきこと 1 消化器内視鏡医の倫理 患者の人権 A A 2 説明

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長野県がん診療連携拠点病院整備検討委員会機能評価 会議記録(要旨)

目 次 統計の説明 部位( 中分類 ) 別男女別腫瘍数 1 部位別腫瘍数 < 総数グラフ> 2 部位別腫瘍数 < 男性グラフ> 3 部位別腫瘍数 < 女性グラフ> 4 部位( 中分類 ) 別年齢階層別腫瘍数 5 部位( 中分類 ) 別来院経路別腫瘍数 6 来院経路別腫瘍数 <グラフ> 7 部位( 中

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消化器内科後期研修プログラム 1. プログラムの目標 日本消化器病学会専門医研修カリキュラムにのっとり 消化器内科専門医として必要とされる知識 技能 診療能力を習得する プログラム終了後に 日本内科学会認定医 日本消化器病学会認定医 日本消化器内視鏡学会認定医 日本肝臓学会認定医の 受験資格を得る 2. 指導スタッフ 研修責任者: 寺田光宏 ( 日本内科学会認定指導医 日本消化器病学会認定指導医 日本消化器内視鏡学会認定指導医 日本肝臓学会認定指導医 ) 共同指導者: 平井信行 西田泰之 國谷等 小川浩平 澤﨑拓郎 塚田健一郎 本藤有智 3. プログラムへの参加資格 2 年間の初期研修を修了している者 4. プログラムの修了年限 本プログラムの修了年限は3 年間とする 希望により 2 年間までの延長が可能である 終了後 当院消化器科への就職も可能である また 金沢大学消化器内科 富山大学消化器内科 ( 第 3 内科 ) 大学院等での臨床研究 基礎研究に従事することも推奨する 5. 研修カリキュラム 消化器内科医として 外来及び入院患者の診療にあたり 検査 診断 治療の技術を習得する 内容 Ⅰ: 一般事項 A. 基本的検査 処置 1 検査 : 胸部単純 X 線 腹部単純 X 線 直腸指診 2 救急一般処置 3 輸血 水 電解質管理 栄養管理 : 高カロリー輸液 経管栄養

B. 一般的処置 1 胃チューブ イレウス管挿入 2 浣腸 高圧浣腸 3 腹腔穿刺と排液 C. 薬物療法 Ⅱ: 診断 治療手技 ( 以下の診断 治療手技を習得します ) A. 血液 尿 糞便検査の意義を理解する B. 消化管 1 X 線検査 : 胃食道造影 低緊張十二指腸造影 小腸造影 注腸 2 内視鏡検査 ( 生検 色素法 超音波内視鏡を含む ): 食道 胃 十二指腸 小腸 大腸 3 胃液検査 C. 肝 胆 膵 腹腔 1X 線検査 : 胆道造影 ( 経静脈 直接胆道穿刺 ) 内視鏡的逆行性胆管膵管造影 血管造影 2 画像診断 : 超音波 CT,MRI,RI 3 内視鏡検査 ( 生検 超音波内視鏡を含む ): 胆道鏡 腹腔鏡検査 4 肝生検 5 腹水の一般検査及び細胞診 D. 治療手技 1 消化管 :S-Bチューブ 食道静脈瘤硬化療法 食道静脈瘤結紮術 内視鏡的粘膜切除術 (EMR,ESD) 内視鏡的止血術 胃ろう造設術 2 肝 胆 膵 : 経皮的ドレナージ 内視鏡的治療手技及びドレナージ (ENBD,EPBD,EST, ステント ) 経皮経肝的局所療法 (PEI,RF) 肝動脈塞栓療法 バルーン下逆行性経静脈的塞栓術 血漿交換 放射線療法 TIPS Ⅲ: 疾患 ( 以下の全ての疾患を経験します ) A. 食道 : 食道炎 食道潰瘍 バレット潰瘍 アカラシア 食道癌 食道静脈瘤 食道裂孔ヘルニア 等 B. 胃 十二指腸 : 胃炎 胃 十二指腸潰瘍 胃癌 胃癌以外の悪性腫瘍 胃良性腫瘍 十二指腸腫瘍 タンパク漏出性胃腸症 急性胃拡張 等

C. 腸 : 腸炎 虫垂炎 潰瘍性大腸炎 クローン病 腸結核 大腸ポリープ 腸閉塞 憩室炎 大腸癌 小腸腫瘍 過敏性腸症候群 虚血性大腸炎 等 D. 肛門 : 痔核 痔ろう 裂肛 E. 肝 : 急性肝炎 慢性肝炎 劇症肝炎 自己免疫性肝炎 肝硬変原発性胆汁性肝硬変 薬剤性肝障害 アルコ-ル性肝障害 脂肪肝 非アルコール性脂肪性肝炎 肝癌 肝膿瘍 肝癌以外の肝悪性腫瘍 肝良性腫瘍 特発性門脈圧亢進症 肝内結石症 Budd-Chiari 症候群 肝外門脈閉塞症 等 F. 胆道疾患 : 胆石症 胆嚢炎 胆管炎 胆道腫瘍 膵 胆管合流異常 原発性硬化性胆管炎 等 G. 膵 : 急性膵炎 慢性膵炎 自己免疫性膵炎 膵癌 膵内分泌腫瘍 膵嚢胞 等 H. 腹腔 腹壁 : 急性腹膜炎 癌性腹膜炎 横隔膜下膿瘍 ヘルニア等 6. 症例検討 学会発表など 毎週 木曜日に看護師 薬剤師もまじえた症例検討会を行っています 1 回 / 月 外科 放射線科 病理診断科との合同症例検討会を行っています 1 回 /2ヶ月 看護師 薬剤師 栄養士を含め 肝臓病教室を主催しており チーム医療を実践しています 消化器内科全体として 年 10 回前後の学会発表を行っており 日本全国の学会や研究会への参加も積極的に行うことができますし 学会発表や論文作成の訓練にもなります 当科は 富山リバーカンファレンス 呉西地区消化器疾患談話会 呉西肝胆膵フォーラム等の勉強会を主導していますが これらの会に参加し他施設の消化器科医との discussion を積極的に行うことができます 7. 最後に研修責任者よりのメッセージ一人前の消化器内科医になるには なんといっても 若いうちに少しでも多くの症例を経験することが極めて重要です その点 当院の消化器内科は 数多くの症例数をほこり またスタッフも臓器別に充実しています 当科で後期研修を行えば 消化器内科医として必要な最新の技能 知識 診断治療能力は全て習得可能です 熱意のある多数の方を待っています

消化器内科 ( 日本消化器病学会認定施設 日本消化器内視鏡学会認定施設 日本肝臓学会認定施設 ) 消化器内科の医師は8 名で 月曜から金曜までの毎日 午前は 初診 1 名 再診 1~2 名 内視鏡 5 名 午後は諸検査を全員で分担して対応しています 午後 17 時以降は 1 年 365 日 オンコール体制を敷いて 緊急の患者さんに対処しています 外来診療は 毎日 20-30 人の新患 40-50 人の再来患者さんが来院します 当科では その日のうちに 内視鏡検査 腹部超音波検査が可能で また緊急時にはCTなども施行し できるだけ迅速に診断をつけ治療方針を決定できるような体制をとっています また 開業医や 他病院の先生方との病診 病病連携にも力を入れています 入院診療は 消化器専門病棟で対応していますが 常時 50-60 人の患者さんが入院しており 他病棟にも常に消化器科の患者さんが入院している状況となっています 検査は 午前中は上部 ( 胃ファイバースコープは年間 7000 例 ) 下部( 原則シグモイドファイバー ) 内視鏡 午後は大腸ファイバー ( 年間 2000 例 ) 内視鏡的逆行性胆管膵管造影や 治療内視鏡 ( 内視鏡的止血術 内視鏡的粘膜切除術 食道静脈瘤硬化療法 結紮術 内視鏡的胃ろう造設術 内視鏡的胆道ドレナージ ステント留置 総胆管結石除去術 アルゴンプラズマ焼却術など ) 肝生検や肝癌に対する経皮経肝的局所療法 ( ラジオ波熱焼灼療法 エタノール局注療法 ) など行っており 消化器内科医として必要な手技は全て習得が可能です 以下に 各臓器ごとの当科の特徴を ( 特に 力を入れていることを中心に ) 述べます 1 食道 : 早期癌に対しては 内視鏡治療を積極的に行っています また 進行癌に対しては 放射線化学療法を放射線科とタイアップして施行しています 2 胃 十二指腸 : 早期胃癌に対しては 今注目されている 内視鏡的粘膜切開術を早期より導入 国立がんセンターで研修した専門医が施行し 数多くの症例数をほこっています 胃 十二指腸潰瘍に対しては ヘリコバクターピロリ除菌療法を行い 除菌確認診断に不可欠な尿素呼気試験は短時間で結果が判明します 3 小腸 : 小腸疾患に対しては 今後 カプセル内視鏡等 導入予定です

4 大腸 : 早期癌に対しては 内視鏡的粘膜切除術を積極的に施行 潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患の症例も多く 顆粒球 リンパ球除去療法なども積極的に導入しています 5 肝臓 : 当科は特に 肝疾患に力を入れており 数多く患者さんが来院されています また 1 回 /2ヶ月の頻度で 第 2 土曜日に肝疾患の患者さんやご家族に対して 肝臓病教室を開催し 看護師 薬剤師 栄養士と協力し 患者教育にも力を入れ 現代の医療にかかせないチーム医療を実践しています B C 型ウイルス肝炎に対しては 最新の抗ウイルス療法を多数の患者さんに導入し良い治療成績をあげています 肝臓癌に対しては 経皮経肝的局所療法 ( ラジオ波熱焼灼療法 エタノール局注療法 ) 肝動脈塞栓療法( 放射線科とタイアップ ) リザーバー動注療法( 胸部外科とタイアップ ) などにて集学的な治療を他科と協力して行い 優れた治療成績をあげています 6 胆道 : 内視鏡的胆道ドレナージ ステント留置 総胆管結石除去術などの 内視鏡治療を積極的に行っています 7 膵臓 : 重症膵炎に対しては 放射線科と協力し持続動注療法 ICUにて体外濾過療法などを積極的に施行しています 8 消化器癌に対する化学療法 : 当院は 院内のがんセンターを核に 全科的に癌化学療法に力を入れています 当科では 食道癌 胃癌 膵臓癌 胆管癌を中心に 最新のレジメンを導入し また全国治験にも積極的に参加し 大学病院ともタイアップし 多数例の患者さんに化学療法を導入し 優れた治療成績をあげています 以上 消化器内科は 数多くの症例数をほこり またスタッフも臓器別に充実しており 当科で後期研修を行えば 消化器内科医として必要な技能 知識 診断治療能力は全て習得可能です 熱意のある多数の方を待っています

寺田光宏( 日本内科学会認定医 専門医 指導医 日本消化器病学会専門医 指導医日本消化器内視鏡学会専門医 指導医 日本肝臓学会専門医 指導医日本静脈経腸栄養学会認定医 ) 平井信行( 日本内科学会認定医 日本消化器病学会専門医 日本消化器内視鏡学会専門医 日本肝臓学会専門医 指導医 ) 西田泰之( 日本内科学会認定医 専門医 日本消化器病学会専門医 日本消化器内視鏡学会専門医 指導医 日本消化管学会認定医 ) 國谷等 小川浩平( 日本内科学会認定医 専門医 日本消化器病学会専門医 日本消化器内視鏡学会専門医 指導医 日本消化管学会認定医 日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 ) 澤崎拓郎( 日本内科学会認定医 日本消化器病学会専門医 日本消化器内視鏡学会専門医 ) 塚田健一郎( 日本消化器内視鏡学会専門医 日本内科学会認定内科医 ) 本藤有智( 日本内科学会認定医 )