NDIS 意見受付 NDIS 3413 原案作成委員会 この NDIS は 日本非破壊検査協会規格 (NDIS) 制定等に関する規則 に基づき関係者 に NDIS の制定前の意見提出期間を設けるために掲載するものです 意見は規格原案決定の際の参考として取り扱いさせていただきます 掲載されている NDIS についての意見提出は下記メールアドレスまでお願いいたします 意見受付締切日 :2014 年 10 月 17 日 ( 金 ) 意見提出先 :Email bsn@jsndi.or.jp 日本非破壊検査協会規格 NDIS 3413:XXXX 非破壊試験技術者の視力及び色覚の試験方法 Methods of vision acuity and color vision test for non-destructive testing personnel
日本非破壊検査協会規格 NDIS 3413:2014 非破壊試験技術者の視力及び色覚の試験方法 Methods of vision acuity and color vision test for non-destructive testing personnel 1 適用範囲この規格は, 非破壊試験技術者の遠方 ( 遠距離 ) 視力, 近方 ( 近距離 ) 視力及び色覚の試験方法について規定する 2 引用規格次に掲げる規格は, この規格に引用されることによって, この規格の規定の一部を構成する これらの引用規格は, その最新版 ( 追補を含む ) を適用する JIS T 7309 視力検査装置 3 視力の試験方法 3.1 視力の測定方法技術者の視力は, 遠方視力及び近方視力について, 矯正又は未矯正で, 単眼又は両眼で測定する 3.1.1 遠方視力遠方視力は JIS T 7309 に規定する標準視力検査装置 ( ランドルト環視標からなる装置 ), 準標準視力検査装置 ( ランドルト環視標とランドルト環以外の視標からなる装置 ), 特殊視力検査装置 ( 光学式視力検査装置 ), 又はこれらと同等以上の性能をもつ視力検査装置を用いて測定し, 測定結果は小数視力値 ( 例 :1.0, 0.7 など ) で表す 測定距離は装置ごとで指定する距離とし, 視標輝度, 周囲の輝度及び測定室の照度などの測定条件及び環境は JIS T 7309 による 3.1.2 近方視力近方視力は, 法令などで規定する視力様式, 若しくは当事者間で定めた視力様式に対応する a)~e) に示す視力表又は視力検査装置によって測定し, 測定結果は, 適用する視力様式に応じて, 視標のポイント又は番号, 小数視力値若しくは分数視力値で表す 測定距離は使用する視力表で定められた距離とする 明るさについて指定がない場合は, 視力表の明るさは 400~800 lx とし, また, 測定室の照明は 50 lx 以上で, 視力表の明るさを上回らない照度とする a) Times (New) Roman の活字視標の指定は活字のポイントで行う ( 例 :N4.5,N6 など ) b) Jaeger 視力表視標の指定は Jaeger Number で行う ( 例 :J1,J2 など ) c) ランドルト環などの視標からなる近距離視力表視標の指定は小数視力値で行う ( 例 :1.0,0.8 など ) - 1 -
d) Snellen 式近距離視力表視標の指定は分数視力値で行う ( 例 :20/20 1),20/25 2) など ) 注 1) 2) 小数視力 1.0 に対応 小数視力 0.8 に対応 e) 光学式近距離視力検査装置 視標の指定は小数視力値で行う 3.2 視力の基準 該当する法令などの規定による 特に規定がない場合は, 当事者間の協議によって規定する 3.3 視力の測定周期及び記録 毎年 1 回実施し, その結果を記録保存する 測定を医師以外の者が行った場合には, 記録に a)~e) の 項目を含める a) 使用した視力測定装置若しくは視力表の種類又は名称 b) 測定距離 c) 視力値 d) 測定日 e) 測定者 注 1) 測定の月の 1 年後の同月末日までに実施 3.4 視力の測定者医師, 又は雇用主によって指定された者とする 4 色覚の試験方法 4.1 色覚の測定方法技術者の色覚は石原式 色覚検査表 によって測定する 無彩色のコントラストの識別だけを対象とする場合は, 当該のグレースケール ( 灰色の濃淡スケール ) によって測定してもよい 4.2 色覚の基準矯正又は未矯正で, 石原式 色覚検査表 の No. 1~No. 17 を識別できる場合, 正常とする また, グレースケールによる測定の場合の正常の基準は, 法令などの規定によるほか, 当事者間の協議よって規定する 4.3 色覚の測定周期及び記録毎年 1 回実施 1) し, その結果を記録保存する ただし,5.2 によって正常と判断され, 実務において異常が認められなかった場合は, 次回の測定を省略することができる 測定を医師以外の者が行った場合には, 記録に a)~e) の項目を含める a) 使用した色覚検査表若しくはグレースケールの種類又は名称 b) 使用した検査表の番号, 又はコントラスト ( グレースケールの場合 ) c) 色覚の判定 ( 必要な場合は所見を付記 ) d) 測定日 e) 測定者 注 1) 3.3 の注 1) を参照 4.4 色覚の測定者医師, 又は雇用主によって指定された者とする - 2 -
NDIS3413:2014 非破壊試験技術者の視力及び色覚の試験方法解説 この解説は, 規格に規定 記載した事柄を説明するもので, 規格の一部ではない この解説は, 日本非破壊検査協会が編集 発行するものであり, これに関する問合せ先は, 日本非破壊検査協会である 1 今回の改正までの経緯この規格は,1989 年に制定された後, 長年, 改正が行われなかったが, この規格の内容が他の規格から引用され, それらとの整合性が要求される場合が生じてきたこと, また,JIS Z 2305:2001( 非破壊試験 技術者の資格及び認証 ) で, 視力の要求事項の項目が規定されたことから, 非破壊試験 ( 以下,NDT という ) 技術者に要求される内容に整合させ,2005 年に改正された その際, それまで記載されていた聴力に関しては, 測定方法が煩雑で判定基準の設定も困難であることから, 除外された 今回の改正は, 一般社団法人日本非破壊検査協会 ( 以下,JSNDI という ) の標準化委員会目視専門別委員会のメンバーを中心として,NDIS 改正原案作成委員会を組織し,NDIS 原案を作成した 2 今回の改正の趣旨 JIS Z 2305( 非破壊試験 技術者の資格及び認証 ) が 2013 年版として改正されたこと, 視力検査装置が多様化してきたことを踏まえ, 関連の他の規格等を精査し, また, 用語, 表現の整合性を図り, 法令や他の規格からの引用を容易にすることを目的として改正を行った なお, 視力及び色覚を調べる行為は 視力検査 及び 色覚検査 と表現されるのが一般的であり,JIS T 7309 でも 検査 と表現されているが,JIS Z 2300 の定義及び JIS Z 2305 での表現に合わせ, 改正前の規格の 試験 のままとし, 必要があれば, 規格を使用する組織で 試験 又は 検査 を明確にして運用することとした 3 規定項目の内容及び / 又は主な改正点今回の主な改正点を次に示す a) 適用範囲 ( 箇条 1) 遠方視力 及び 近方視力 は JIS Z 2305 などの NDT 関連の規格で多く用いられる用語であるが,JIS T 7309 で用いられているように, 遠距離視力 及び 遠距離視力 が一般的であることから, それらを括弧で付記した b) 視力の測定方法 (3.1) 改正前の規格では, 視力測定法及び分類 として, 眼からの距離,( 視力 ) 表の照度及び検査表を記載していたが, 記載内容に曖昧さがあったため, より具体的に記載し, また, 用語もできるだけ視力関連の規格などと整合性を図った c) 遠方視力 (3.1.1) 遠方視力は, 一般の健康診断などで行われる視力検査で示される視力である 視力の表示方法としては, 小数視力 ( 例 :1.0,0.7 など ) 及び分数視力 ( 例 :20/20, 20/25) がある 欧米では,Snellen( スネレン ) 指標に基づいた分数視力で表すのが一般的であるが, 日本では,Landolt - 3 -
( ランドルト ) 環指標又は Landolt 環に準じた指標に基づいた小数視力で表すのが一般的である また,Landolt 環指標又は Landolt 環に準じた指標に基づく装置は,JIS T 7309 で, それぞれ標準視力検査装置, 準標準視力検査装置として規定され, ほとんどの医療機関で使用されている JIS T 7309 では, 特殊視力検査装置として, 卓上型の光学装置も規定され, これに基づく装置も多く使用されている このことから, 遠方視力の測定方法は, 日本で多く採用されている JIS T 7309 に基づく装置によって行うこととした なお,JIS T 2309 では, 眼から視標までの距離を 検査距離 と表記しているが, この規格では, 4.1.1 での表記に対応させて 測定距離 とした d) 近方視力 (3.1.2) 近方視力に関する JIS 規格はない JIS Z 2305:2013 では,Jaeger 視力表及び Times Roman 活字を使用した視力を規定している また, 医療機関では, 治療の検証として,Landolt 環指標, Snellen 指標, 並びにそれらに準じた指標, 及び活字 ( ひらがな, カタカナ, ロゴなど ) による指標が近方視力表として使用されている Snellen 視力及び Landolt 環視力は, 視角 5 分 (5/60 度 ) の指標を基に視力を定めている Snellen 視力では, 視力を分数を用いて ( 分数視力 ), 例えば,12/15(12 in. の測定距離で, 測定距離 15 in. における視角 5 分の視野の幅 ( 大きさ ) をもつ指標を視認できる視力を意味する ) で表し,Landolt 環視力では, 小数を用いて ( 小数視力 )0.8 などで表す Landolt 環視力は Snellen 視力をもとに考案されたもので, 同じ原理に基づいており,Snellen 視力の分数を小数に換算することで対応する Landolt 環視力が得られる 例えば,Snellen 視力 12/15 は Landolt 環視力 0.8 と同等である Snellen 視力 ( 分数視力 ) 表及び Landolt 環視力 ( 小数視力 ) 表とも, 原理上, どのような測定距離でも測定距離に対応した大きさの指標を用いれば視力測定は可能で, 測定距離を 16 in.(40 cm) 又は 12 in.(30 cm) とした近方視力用の視力表が市販されている 一般に,Jaeger 視力表には指標ナンバー (J1,J2 など ) の他に, 指標の大きさに対応する視角 5 分における距離 (in.) が数値として併記されている 例えば,J1 に併記されている数値は 15 であり, 測定距離を 12 in.(30 cm) とした場合, 分数視力で表すと 12/15 となり, 小数視力で表せば 0.8 となり,Snellen 視力及び Landolt 環視力との対応がとれるようになっている 以上の知見を基に, また, 選択の幅を広げ, 引用しやすくするために, 近方視力の測定は次のいずれかで行うこととした 1) Times (New) Roman の活字 2) Jaeger 視力表 3) Landolt 環などの視標からなる近方視力表 4) Snellen 式の近方視力表 5) 光学式近距離視力検査装置 e) 色覚の測定方法 (4.1) 放射線透過写真の解釈 評価などのように, 色相の識別を必要としない NDT 分野もあるので, グレースケール (gray scale) による方法を加えた また, 測定結果の程度に応じた分類は実務上, 必要ないので表題も含めて削除した f) 色覚の基準 (4.2) 色覚の正常性を判断するための具体的な色覚検査表の番号と, グレースケールを用いた場合の正常の基準の取扱い方を追加した g) 色覚の測定周期及び記録 (4.3) 測定を医師以外の者が行った場合の測定結果の具体的な記録内容を追加した 旧規格では, 色覚異常は先天的なものし, 初回の測定で正常とされた場合は次回以降の測定を省略できる としていたが, 後天的な色覚異常もあることから, 実務において異常が認められ - 4 -
なかった場合は, 次回の測定を省略することができる に改めた 4 その他の解説事項 4.1 NDT 技術者及び目視点検技術者に要求されるの視力 NDT 又は目視点検では, 表面きずの検出を目的とした至近距離での観察と, 設備類の形状 機能の不具合の検出を目的とした遠距離での観察が必要となることから, それらに対応して, 近方視力と遠方視力を規定した 4.1.1 遠方視力遠方視力については, 日本で広く用いられている小数視力を採用した 4.1.2 近方視力一方, 近方視力については,NDT の分野で普及している Jaeger 視力表,JIS Z 2305( 非破壊検査技術者の資格及び認証 ) で採用している Times (New) Roman 活字,Landolt 環などの指標からなる近方視力表及び Snellen 式の近方視力表を採用した 4.1.3 分数視力と小数視力 Snellen 視力及び Landolt 環視力などの一般に認知されている視力検査法は, 視角を基に視力を定義し, 視角 5 分 (5/60 度 ) の指標が視認できるときの視力を標準とし,Snellen 視力では, 視力を分数を用いて ( 分数視力 ), 例えば,20/20(20 ft の距離で, 測定距離 20 ft における視角 5 分の視野の幅 ( 大きさ ) をもつ指標を視認できる視力を意味する ) で表し,Landolt 環視力では, 小数を用いて ( 小数視力 )1.0 で表す Landolt 環視力は Snellen 視力をもとに考案されたもので, 同じ原理に基づいており,Snellen 視力の分数を小数に換算することで対応する Landolt 環視力が得られる 例えば,Snellen 視力 20/40 は Landolt 環視力 0.5 と同等である a) Snellen 視力一般に,Snellen 視力 ( 遠方視力 ) は 20 ft(6 m) の距離で測定されるが, その距離における視角 5 分の大きさをもつ指標を 20/20 と表し, その指標が視認された場合, 視力 20/20 とする 同様に, 距離 25 ft における視角 5 分の大きさをもつ指標が 20/25 と表す 標準的な測定距離 20 ft の遠方視力表は,20/10,20/12.5,20/16,20/20,20/25,20/32,20/40,20/50,20/63,20/100,20/200 の指標で構成される snellen 視力の指標番号又は視力値の分子は測定距離 (ft) を表し, 分母は, 視角 5 分における指標の大きさに対応する距離を表している すなわち, 視力表には, 分母に示される距離 (ft) における視角 5 分の視野に相当する大きさの指標が配置されていることになる b) Landolt 環視力一般に,Landolt 環視力 ( 遠方視力 ) は 5 m の距離で測定されるが, 標準的な遠方視力表は,2.0,1.5,1.2,1.0,0.9,0.8,0.7,0.6,0.5,0.4,0.3,0.2,0.1 の指標 ( 視力値 ) で構成されている これらを分数視力で表すと, 測定距離が 5 m であるから, それぞれ,5/2.5,5/3.33,5/4.17, 5/5,5/5.56,5/6.25,5/7.14,5/8.33,5/10,5/12.5,5/16.7,5/25,5/50 となる すなわち, 視力表には, 分母に示される距離 (m) における視角 5 分の視野に相当する大きさの指標が配置されていることになる 4.1.4 分数視力又は小数視力による近方視力表 Snellen 視力 ( 分数視力 ) 表及び Landolt 環視力 ( 小数視力 ) 表とも, 原理上, どのような測定距離でも測定距離に対応した大きさの指標を用いれば視力測定は可能で, 測定距離を 16 in.(40 cm) 又は 12 in.(30 cm) とした近方視力用の視力表が市販されている 分数視力は, 上記のように, 基本的には, 分子は測定距離 (ft), 分母は視角 5 分における指標の大きさに対応する距離で表すが, 近方視力の場合でも, 測定距離 20 ft を基準として,20/20 や 20/25 として表記されることが多い - 5 -
4.1.5 Jaeger 視力表による近方視力と分数視力又は小数視力による近方視力の対応一般に,Jaeger 視力表には指標ナンバー (J1,J2 など ) の他に, 指標の大きさに対応する視角 5 分における距離 (in.) が数値として併記されている J1 に併記されている数値は 15 であり, 測定距離を 12 in. (30 cm) とした場合, 分数視力で表すと 12/15(=20/25) となり, 小数視力で表せば 0.8 である - 6 -
参考資料 近方視力表 a) Times (New) Roman の活字 Times Roman 又は Times New Roman フォントを内蔵しているワープロソフトなどを用いて適切な文章又は文字をプリントアウトする 作成の際, ポイント数選択のウィンドが 4.5 や 6 の数値の選択できないように設定されているものもあるが, ポイント数選択のウィンドに強制的に 4.5 や 6 の数値を入力することで, それらのポイント数の文字が使用できる なお,Times Roman フォントは Apple 系のワープロソフトで, また,Times New Roman フォントは Word などの Microsoft 系のワープロソフトで使用されている b) Jaeger 視力表日本のディーラーを通じて購入できるが, インターネットを通じて ASNT( アメリカ非破壊検査協会 ) などからも購入可能であり,1~2 週間ほどで入手できる c) Landolt 環などの指標からなる近方視力表眼科関連の医療器具販売会社から購入できる d) Snellen 式の近方視力表日本のディーラーを通じて購入できるが, インターネットを通じて, アメリカなどの眼科関連の医療器具販売会社からも購入可能であり,1~2 週間ほどで入手できる - 7 -