皆伐と更新に関する指針(案)

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再造林 育林の低コスト化に関する指針 育林の低コスト化に関する指針平成 27 年 3 月高知県林業振興 環境部 1 指針の目的平成 24 年 9 月に策定した 皆伐と更新の指針 では 伐採時期を迎えた人工林を皆伐した後 再造林の適地と判断される伐採跡地では 森林資源の持続的な利用を図るうえでも再造林

欄の記載方法について 原則として 都道府県毎の天然更新完了基準に定められた更新調査 ( 標準地調査 ) の結果を元に造林本数欄に更新本数を記載する ただし 調査せずとも天然更新完了基準を明らかに満たしていると判断できる場合 ( 例えば 小面積の伐採等 ) には 造林地の写真その他の更新状況のわかる資

利用することをいう (4) 林業事業者森林において森林施業 ( 伐採, 植栽, 保育その他の森林における施業をいう 第 12 条において同じ ) を行う者をいう (5) 木材産業事業者木材の加工又は流通に関する事業を行う者をいう (6) 建築関係事業者建築物の設計又は施工に関する事業を行う者をいう

Taro-H28 地域別変更計画(一斉変更)_281115

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平成31年度予算概算決定額 森林整備事業 治山事業 林野公共事業 (平成30年度1次補正予算額5,199百万円 182, ,049 百万円 平成30年度第2次補正予算額 32,528百万円) 臨時 特別の措置 として31年度概算決定額44,128百万円を別途措置 対策のポイント 林業の成

表 を基本として 渓床勾配の区分に応じて 流木災害対策を中心とする配置計画の目安を示したものが図 である 治山事業においては 発生区域から堆積区域に至るまで 多様な渓流生態系の保全に留意しながら 森林整備と治山施設整備を可能な限り一体として実施していくよう留意する 図 6.1

平成 30 年度造林補助事業 (1- 四半期 ) の標準単価適用にあたっての留意事項 ( 共通事項等 ) 1 (1) ア イ ウ (2) アイウ エ (3) ア イ (4) 単価は 請負施行 請負施行以外 及び 消費税抜き の 3 通りとし その適用については次による 請負施行市町村 おかやまの森整

様式 1 資料調査及び更新可能性 1 次判定 (1/4) 林小班名 林班 小班 調査年月 年 月 1. 施業要件の確認 森林調査簿記載内容 検討 機能類型 山地災害防止 ( 土砂 ) 山地災害防止 ( 気象 ) 自然維持 森林空間利用 快適環境形成 水源涵養 施業方法 育成単層林 育成複層林 天然生

萩地域森林計画書

中央新幹線(東京都・名古屋市間)環境影響評価書【神奈川県】

1. 労務単価 平成 30 年度 2 省協定単価 普通作業員 20,100 円 特殊作業員 22,300 円 特殊運転手 22,800 円 軽作業員 13,900 円 交通誘導警備員 11,300 円 2. 間接費間接費のうち現場監督費については 事業の実行に直接必要な作業が現場労働者により実施され

県管理の河川区域内における支障木伐採利用に係る取扱要領 1 目的本事業は 県が管理する河川区域内の支障木に関し 住民との協働による河川管理の一環として 河川支障木の効率かつ計画的な伐採による適切な維持管理に向け 公募型による支障木の伐採利用を推進する取扱いを行い もって河川区域内の支障木撤去の促進と

茨木市では 緑あふれる魅力あるまちづくりを進めるため 民有地での緑化について その費用の一部を補助しています 生垣を設置 壁面を緑化 道路に面して新たに生垣を設置する 道路にはみ出している生垣を改良する [ 生垣緑化 ] 道路 壁面 擁壁 フェンス 市街化区域で 道路から眺望できる建築物や擁壁の壁面

用語用語育成単層林 ( 単層林 ) 育成複層林 ( 複層林 ) 天然生林目標林型針広混交林広葉樹林天然更新目的樹種 ( 目的木 ) 前生稚樹散布種子埋土種子更新完了順応的管理散光 ( 散乱光 ) 直達光相対照度 GLI rppfd 本マニュアルにおける意味単一の樹冠層を構成する森林 主として人為によ

第 1. 基本的事項 1. 都道府県の森林整備及び林業 木材産業の現状と課題 1 森林整備の現状と課題本県の人工林面積の主な樹種別の構成割合は スギ 71% アテ 12% マツ 9% である 齢級構成は 10~11 齢級をピークとした偏った構成となっており 保育や間伐を必要とする 9 齢級以下のもの

(1) 森林の状況 森林蓄積の推移蓄積1 森林の現状と課題 我が国は世界有数の森林国 森林面積は国土面積の 3 分の 2 にあたる約 2,500 万 ha( 人工林は約 1,000 万 ha) 森林資源は人工林を中心に蓄積が毎年約 7 千万 m³ 増加し 現在は約 52 億 m³ 人工林の半数が一般

立木販売のご案内 ~ 多くの森林が主伐期を迎える中で立木販売を進めています ~ 四国森林管理局

1 森林の立木竹の伐採 造林並びに間伐及び保育に関する事項 植林する樹木は 杉 桧に限らず広葉樹も計画的に取り入れた方が良いと思う 1 Ⅱ-1-(3)- アに示しているとおり 人工造林に当たっては 適地適木を旨としており 針葉樹に限らず広葉樹も含め 自然条件等に適合した樹種を選定することとしていると

オーストリア林業から学ぶ 長野県林業大学校 いとう 2 学年伊藤 ひらさわ平沢 ほりべ堀部 けいすけ圭介 きみひこ公彦 たいせい 泰正 要旨私たち長野県林業大学校では 昨年の 7 月にオーストリアで 8 日間 森林 林業の研修を行なって来ました オーストリアは日本よりも狭い国土面積 低い森林率であり

項目別目次 森林被害編 1 森林において土砂崩れが発生してお困りの方 1 2 所有林の立木が被災されている方へ 2 3 保安林内の木が倒れてお困りの方へ 3 林道 作業道被害編 4 林道が崩壊等により通行ができない方へ 4 5 所有林の作業道が被災されている方へ 5 施設被害編 6 木材加工流通施設

Taro-H24神奈川国有林の地域別の

ただし 森林の土地の所有権の取得と併せて 当該森林について法第 10 条の2の規定に基づく開発行為の許可を受けて他の用途へ転用する場合など 地域森林計画の対象とする森林から除外されることが確実であるときは 届出書の提出を要さないものとして運用して差し支えない (2) 土地の所有者となった日届出書の提

3. 市街化調整区域における土地利用の調整に関し必要な事項 区域毎の面積 ( 単位 : m2 ) 区域名 市街化区域 市街化調整区域 合計 ( 別紙 ) 用途区分別面積は 市町村の農業振興地域整備計画で定められている用途区分別の面積を記入すること 土地利用調整区域毎に市街化区域と市街化調整区域それぞ

森林整備事業では 国土の保全 水源の涵養 自然環境の保全 林産物の供給の森林の有する多面的機能の維持 増進を目的に 対象森林に応じた 以下の2つの方針に基づき 造林や間伐の森林整備への支援を行っています 条件不利地や気象害の被害森林では 森林所有者との協定に基づき市町村が行う森林整備を支援 森林の多

目 次 平成 27 年度九州森林管理局重点取組事項 1 公益重視の管理経営の一層の推進 1 森林資源の循環利用による多面的機能の維持増進 ページ 1 2 国民生活の安全 安心の確保に向けた取組 (1) 民国連携した治山事業 (2) 海岸防災林の整備に向けた検討 (3) 木材の利用推進及び生物多様性保

資料 北海道 十勝地域森林計画書 ( 案 ) ( 十勝森林計画区 ) 計画期間 自平成 31 年 4 月 1 日 至平成 41 年 3 月 31 日 北海道

(2)里山の整備

森林計画書

国有林における生物多様性の定量化について 林野庁国有林野部経営企画課国有林野生態系保全室兼光修平 1 はじめに生物多様性保全に対する関心や期待の高まりの中 林野庁は平成 21 年 7 月に 森林における生物多様性の保全及び持続可能な利用の推進方策 をまとめ 森林計画策定プロセスの一層の透明化等の観点

法 34 条 7 号 既存工場と密接な関連を有する事業の建築物等の用に供する建築行為 提案基準 13 既存工場の事業の質的改善 提案基準 25 工業系ゾーンに位置づけられた区域内の工場 及び提案基準 32 研究施設 における工場又は研究施設の規模及び敷地計画 法 34 条 7 号 立地基準編第 2

00表紙目次はじめに

3-3 新旧対照表(条例の審査基準).rtf

新間伐システム作業マニュアル(徳島県)/表紙

神奈川国有林の地域別の森林計画書 ( 神奈川森林計画区 ) 計画期間 自 至 平成 30 年 4 月 1 日 平成 40 年 3 月 31 日 関東森林管理局

Taro-平成23年度樹立 地域別の

平成 21 年度から あいち森と緑づくり税 を活用し 森林 里山林 都市の緑の整備 保全等に取り組んできた結果 第 4 章に示したとおり 一定の成果を上げることができました しかしながら 本県の森と緑を健全な状態で将来に引き継ぐためには 依然としてさまざまな課題があります 次ページ以降に 森と緑づく

1. 市街化調整区域における地区計画ガイドライン策定の目的市街化調整区域は 市街化を抑制すべき区域であるとともに 豊かな自然環境を育成 保全すべき区域である そのため 都市計画法において開発行為や建築行為が厳しく制限されている 本市都市計画マスタープランにおいても 将来都市構造の基本的な考え方の一つ

森林法等の一部を改正する法律案の概要 国内の森林資源が本格的な利用期を迎えている中 住宅用など従来需要に加えて CLT( 直交集成板 ) や木質バイオマスなど国産材の需要の創出と拡大が進展 木材自給率は H14 年の19% を底に上昇傾向で推移し H26 年は31% まで回復 一方 木材価格の低迷

本計画書は 富士地域森林計画書の大綱及び計画数量をまとめたもので 各計 画区の共通事項をまとめた共通編と併せて構成されています

条件不利地や気象害の被害森林では 我が国の人工林が利用期を迎える中 森林施業の集約化や路網整備を通じて施業の 低コスト化を図りつつ 森林所有者による適切な森林整備を進めることにより 森林の 有する多面的機能の発揮を図りつつ 林業の成長産業化を実現していくことが重要です 一方 奥地の条件不利地や 気象

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様式 2 作成年度 平成 28 年度 森林整備加速化 林業再生基金変更事業計画書 区分 : 強い林業 木材産業構築緊急対策 区分 : 林業成長産業化総合対策 福井県

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( 対象区域 ) 第 5 地区計画の対象区域は 工業団地 ( 国母工業団地 南部工業団地 機械金属工業団地 ファッション工業団地 ( アリア ディ フィレンツェ ) をいう 以下同じ ) の区域内及び隣接地又は近接地 ( おおむね工業団地から500メートル以内 ) とする ( 区域の設定 ) 第 6

Microsoft Word - (新)滝川都市計画用途地域指定基準121019

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Taro-地域別富士(案)

地区名 所在地 表 4.1 天然力を活用した森林施業の事例調査地の概要 調査地番号 植栽木 林齢 整備面積 (ha) 所管 宮崎宮崎県宮崎市 J1 スギ 40 年生 2.2 宮崎森林管理署 長崎長崎県大村市 J2 スギ 53 年生 14.9 長崎森林管理署 佐賀佐賀県武雄市 J3 ヒノキ 53 年生

目 次 Ⅰ はじめに 1 1 木材生産機能と公益的機能の調和 1 2 森林 林業ビジョンにおける将来の森林のあるべき姿 1 Ⅱ 針広混交林について 3 1 森林の機能 3 (1) 水土保全機能 3 (2) 保健文化 生活環境保全機能 4 (3) 資源としての利用 4 2 針広混交林の特長 4 (1)

Microsoft PowerPoint - 06+H29住懇資料_宮城北部署(提出)修正(局)再修正+(2)

目 次 1 林地台帳の公表 情報提供 1-1 公表 情報提供の範囲 1-2 公表の方法 1-3 情報提供の方法 2 林地台帳の修正 更新 2-1 修正申出の方法 2-2 情報の修正 更新手順 3 林地台帳管理システム 3-1 管理システムの機能 3-2 林地台帳情報と森林資源情報の連携 4. 運用マ

整理番号 10 便益集計表 ( 森林整備事業 ) 事業名 : 森林居住環境整備事業 都道府県名 : 奈良県 地域 ( 地区 ) 名 : 上北山村地区 ( 単位 : 千円 ) 大区分 中区分 評価額 備考 木材生産等便益 森林整備経費縮減等便益 災害等軽減便益 木材生産等経費縮減便益木材利用増進便益木

PowerPoint プレゼンテーション

この対策にはいくつか考えられるが 面的に食害を回避させるならば植生保護柵の設置が選択肢のひとつとなる 植生保護柵は 林業活動を目的とした設置だけに留まらない 兵庫県ではシカの食害によって落葉広葉樹林の林床植生の衰退が顕著であるため ( 藤木 2012a) 林床植生回復のために落葉広葉樹林内に植生保護

1-1 林地台帳の記載事項 1 林地台帳には 法改正案に規定されているものに加え 市町村の行政事務の円滑化や の施業集約化の効率化に資する情報を記載 ( 省令 通知で規定 ) 追加的な情報としては 経営計画の認定状況 保安林等法指定状況等を想定 ( これらはすでに市町村や 都道府県が有している情報

5-1. 整備手法 本構想を実現していくためには 地域別構想で定めた地区区分ごとにその方針に基づ く具体的な整備及び保全手法を展開していく必要があります そこで 本市で適用が考 えられる手法内容及びその適用の方針について以下に整理を行います (1) 住民提案等によるまちづくり都市計画法においては 土

5. 既存の研究成果等の収集 分析 検討委員会での助言をもとに 既存の研究成果等を収集し 活用可能性について分析等を実施した 既存の研究成果は 広葉樹林化ハンドブック 2010,2012( 独立行政法人森林総合研究所 ) をはじめ 学会誌等により公開されている文献などから本事業に関係すると考えられる

資料3-5  モニタリング方法ガイドライン(森林管理プロジェクト用)(案)

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Taro-H30樹立・変更 表紙

山梨県世界遺産富士山景観評価等技術指針 ( 平成二十八年山梨県告示第九十九号 ) 山梨県世界遺産富士山景観評価等技術指針を次のとおり定める 平成二十八年三月二十四日 山梨県知事 後 藤 斎 山梨県世界遺産富士山景観評価等技術指針 ( 趣旨 ) 第一条 この技術指針は 山梨県世界遺産富士山の保全に係る

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Taro-01概要1,2頁0613.jtd

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リサーチ ダイジェスト KR-051 自然斜面崩壊に及ぼす樹木根系の抑止効果と降雨時の危険度評価に関する研究 京都大学大学院工学研究科社会基盤工学専攻特定教授杉山友康 1. はじめに 鉄道や道路などの交通インフラ設備の土工施設は これまでの防災対策工事の進捗で降雨に対する耐性が向上しつつある一方で

CSRコミュニケーションブック

森林資源の循環利用に向けた再造林の推進伐採と造林の一貫作業システムは 伐採に使用した高性能林業機械を用いて残された末木枝条を整理して地拵えを行ったり 搬出に使用したフォワーダを用いて苗木を運搬して 植栽を行う方法です 従来の人力による方法に比べ 林業機械を活用することにより伐採から地拵え 植栽までの

目 次 Ⅰ 基本的事項 1 森林整備の現状と課題 2 森林整備の基本方針 3 森林施業の合理化に関する基本方針 頁 Ⅱ 森林の整備第 1 森林の立木竹の伐採 ( 間伐を除く ) 1 樹種別の立木の標準伐期齢 2 立木の伐採 ( 主伐 ) の標準的な方法 3 その他 10 第 2 造林 1

(資料3) 奄美大島・徳之島におけるスギ人工林の広葉樹林復元の検討

資料 1 五智公園自然環境保全地域 の概要 ( 案 ) 1 自然環境保全地域の名称 五智公園自然環境保全地域 2 自然環境保全地域に含まれる土地の区域 五智公園一帯約 22 ヘクタール 3 自然環境保全地域の指定の理由 五智公園は 上越市街地の北西部に位置する日本海に近い里山を利用した公園である 公

平成24年度補正 林野庁補助事業  先進的林業機械緊急実証・普及事業 取組の概要

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スライド 1

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Taro-H28利根下流 施業実施計画書

300122ー25説明会用資料

Taro-H26下越国有林の地域別の森

1 森林の多面的機能 かんよう 森林は 国土の保全 地球温暖化の防止 水源の涵養 生物多様性の保全 木材等の生産など 多面的 な機能を発揮 これらの多面的機能は 森林が適正に整備 保全されることにより発揮 国民の森林に期待する働きは 災害防止 温暖化防止などが上位 森林の多面的機能 国民の森林に期待

1. 目的 本町の第 3 次総合計画において 本町の将来像である ( みんなが主役 やすらぎと健康福祉のまち ) の実現に寄与すべく 本町の市街化調整区域における地区計画の運用にかかる基本的な方針を示すため 市街化調整区域における地区計画運用指針 ( 以下 運用指針 という ) を策定しました この

補助林道開設事業 108,737 効率的な林業経営の展開や森林の適正な維持管 理を図るための林道の開設や改良を行う 1 事業主体 市町 2 事業実施箇所 新規 (4) 継続(3) 3 事業内容 林道の開設 改良 橋梁点検 診断 路線名 市町名 事業内容 負担区分 大奴田 岩国市 林道開設 L=100

資料 1 整備用地の候補地絞り込み条件について ( 案 ) 1. 基本的な考え方 整備用地の候補地選定にあたっては 環境面や経済面など様々な観点から 客観性 合理性 妥当性がある選定条件を採用する必要があります 基本計画検討委員会では 整備用地の選定基準などの候補地を絞り込むための選定条件について検

森林の間伐等の実施の促進に関する特別措置法の運用のガイドライン 平成 20 年 6 月 13 日 20 林整整第 328 号林野庁長官より各都道府県知事 ( 独 ) 森林総合研究所あて最終改正 : 平成 29 年 3 月 24 日 28 林政企第 416 号 第 1 基本方針 1 基本方針の策定森林

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(11) 主要機器 計測及びデータ作成に使用した機器は下表のとおりである 表 Ⅱ-5-(11)-1 主要機器一覧 作業工程 名称 数量 計測 撮影用固定翼機レーザ測距装置 GPS/IMU 装置 セスナ社製 208 型 LeicaGeosystems 社 ALS70 LeicaGeosystems 社

目次 1. はじめに 序論 問題提起 目標設定 状況 日本の森林と奈良県の森林 川上村について 川上村の伝統的な森林施業 問題分析 シカ個体数の増加

2.2 既存文献調査に基づく流木災害の特性 調査方法流木災害の被災地に関する現地調査報告や 流木災害の発生事象に関する研究成果を収集し 発生源の自然条件 ( 地質 地況 林況等 ) 崩壊面積等を整理するとともに それらと流木災害の被害状況との関係を分析した 事例数 :1965 年 ~20

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森林計画書

域1 2= 鬼怒川流1 日光森林管理署の管内概要 日光森林管理署は 栃木県内の日光市 宇都宮市 足利市 佐野市 鹿沼市及び益子町の 6 市町に所在する国有林 8 万 5 千ヘクタールを管理しています 鬼怒川 渡良瀬川等の上流部の森林で首都圏の水がめとなっていること 奥日光や鬼怒

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景観重要建造物と景観重要樹木

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皆伐と更新に関する指針 平成 2 4 年 9 月 高知県林業振興 環境部 1 本指針の目的 本県の民有人工林の面積は約 30 万 ha に達し 民有林の 63% に及んでいます その齢級構成においては 10 齢級 (46~ 50 年生 ) 以上の面積が 60% 特に 9~ 11 齢級 (41 年生 ~ 55 年生 ) の人工林が全体の 54% を占めています 現在の齢級構成の不均衡 並びに市場が求める木材需要への対応を考えますと 一定の皆伐施業を進めて 原木の安定供給と増産につなげていくことが必要です 伐採された林地は 公益的な機能が発揮できる森林に育てていくことが必要ですが 全ての伐採跡地をスギ ヒノキ等の人工林に更新することは 現状の木材価格や生産体制等ではコスト的に難しいほか 適地適木の観点からも多様な森づくりを進めていくことが重要です そこで今回 人工林の皆伐と更新の参考としていただくため 本指針をお示しすることにいたしました 森林所有者や木材生産に携わる皆様には 保安林など更新方法に制限がある場合を除き 可能な限り本指針の運用に努めていただきますようお願いいたします 2 人工林を伐採するためのチェック & フロー 皆伐を計画する前に チェック ( 1 ) 森林法や森林計画制度の適合について次の項目に該当する場合は 皆伐はできません 間伐等の補助事業実施後 翌年度から数えて 5 年間 ( 事業によっては 10 年間 ) 以内の林分 例えば期間が 5 年の場合は 次のようになります 平成 23 年度に補助事業により間伐を実施した場合 皆伐が可能になるのは平成 29 年 4 月 1 日以降になります 詳細は 市町村や県林業事務所などで確認してください 1 箇所あたりの皆伐面積が おおむね 20ha を超える箇所 ( 市町村森林整備計 画の適合条件 )

(2) 伐採と更新のフローについて 伐期を迎えた人工林を伐採する場合は 次のフローを参考にして適切な検討を行ってください スギ ヒノキの 道からの距離が ウラジロ コシダ 集約的な下刈 はい 生育状況は? 良 1000m 以内 ササ等の下層植生が優勢 りが可能か? はい 皆伐 再造林 道はトラック道 道からの距離はあくま シカ等の獣害が 徹底した獣害 いいえ で目安で 現地条件によって増減 多い 対策が可能か? いいえ 非皆伐 長伐期化 上記以外 皆伐 再造林 道からの距離が 1000m 以上 シカ等の獣害が 多い 非皆伐 針広混交林化 道はトラック道 道からの距離はあくま で目安で 現地条件に 上記以外 皆伐 天然更新 よって増減 不良 地位 地形などの条件が悪く更新が困難な箇所 非皆伐 針広混交林化

フロー図で注意をしてもらいたいポイント 1 天然下種更新では 伐採区域に母樹となる木を残すようにしてください 2 天然更新を行う場合 伐採を完了した翌年度から 5 年以内に更新状況の確認調査を行ってください 更新が完了していない場合は 植栽等を含めた更新補助作業を行い 更新を図るものとします 3 長伐期施業や保護樹帯を残す場合は 台風による強風を考慮して林分の配置を検討してください 特に南東向き斜面はこれまでも風倒被害が多く発生していますし 南西向き及び北東向き斜面でも風倒の恐れがあります 4 一カ所あたりの皆伐面積は 出来るだけ小面積となるよう計画をしてください 5 植栽地にシカが生息する場合には 食害に対してシカ被害防護柵などによる防除を行う必要があります 防除柵は 高さが 1.8~ 2m 以上が必要で 鋼製の支柱に鋼製ネットを用いるタイプのものと 軽量で持ち運びが容易なステンレス線入りのポリエチレン製ネットがあります 後述のものは ネット下部からの侵入を防ぐためスカートを設置するとより効果が高くなります また 定期的な見回りを実施し ネットの破損状況などを確認する必要があります 6 再造林に対して造林補助金を受けるためには あらかじめ森林経営計画の認定を受けておくことが必要です < 主な関係法令等に関する事項 > 急傾斜地崩壊危険区域内及び砂防指定地内における注意 1 急傾斜地崩壊危険区域内において 立木竹の伐採 木竹の滑下又は地引による搬出を行なう場合は 高知県知事の許可を受けてください ( ただし 除伐又は倒木若しくは枯損木竹の伐採は除きます ) 2 砂防指定地内において立木竹の伐採 樹根等の採取又は木竹等の滑下若しくは地引による運搬を行なう場合は 高知県知事の許可を受けてください ( ただし 間伐 除伐等木竹の保育のため行われる木竹の伐採及び調査 測量等に支障となる木竹の伐採は除きます ) 四万十川流域に関する注意 1 四万十川の保全と流域の振興に関する基本条例 で定められた区域内では 針葉樹 ( スギ ヒノキ ) の植栽に 許可が必要な場合があります 2 四万十川流域の重要文化的景観 に選定された区域 ( 文化財保護法に基づく文化財 ) では 伐採などを行うにあたり届け出が必要な場合があります 森林法 ( 保安林制度 ) に関する注意 1 立木の伐採 ( 皆伐または人工林以外の択伐 ) を行う場合は高知県知事の許可を受けてください ( 間伐や人工林での択伐の場合は 高知県知事への届出が必要です ) 2 伐採跡地については 保安林指定時に定めた指定施業要件に従って 植栽しなけ

ればなりません ただし 広葉樹の天然林については 植栽の義務が無い場合 ( 天 然更新 ) があります 主な関係法令等に関する事項にかかるご質問等は 最後の 問合せ先 を参照してお 問い合わせください ( 3 ) 環境への配慮について 次の項目に該当する場合は 皆伐により周辺環境へ影響を及ぼす恐れがありますの で 保護樹帯を残すなど 伐採に十分な配慮をお願いします 尾根筋 1 や隣接する伐採箇所との間 2 大規模な皆伐地では 森林の公益的な機能の低下を招かないよう 尾根筋や伐採箇所間に幅 20m 程度の帯状の森林を残すよう検討してください 常時流水のある谷川 3 や耕作地 河川等に影響を及ぼす恐れのある箇所 4 水辺の植生は 周辺から流入する土砂を捕捉し河川の濁水防止に効果が期待できるため 幅 20m 程度の水辺緩衝林帯を残すよう検討してください 人家や道路 ( 高速道路 ) 沿い 鉄道沿いの林地や転石の多い斜面など5 このような個所は 慎重な皆伐の計画が必要です また 防災上の観点からも必要と考えられるため 幅 20m 程度の保護樹帯を残すよう検討してください その他に注意すべきポイント 連年で隣り合った箇所を皆伐しないなど 時間的な分散にも配慮してください 造材時に発生する枝条等は 更新作業の支障や災害の発生源とならないよう適正に整理したり バイオマス等での活用を検討してください 作業道の開設では 作業道作設指針を参考に 土の処理や水の処理などに十分配慮し 災害の発生源とならないよう努めてください イメージ図 1 根 尾 2 保護 筋 樹帯 保残木 3 5 水辺緩衝林帯 谷川 4

問合せ先 この指針に関すること 高知県林業振興 環境部森づくり推進課 ( 0 8 8-8 2 1-4 5 7 1 ) 保安林制度に関すること 高知県林業振興 環境部治山林道課 ( 0 8 8-8 2 1-4 5 9 1 ) ( 伐採許可及び届出については 最寄りの林業事務所 ) 急傾斜地崩壊危険区域及び砂防指定地に関すること 高知県土木部防災砂防課 ( 0 8 8-8 2 3-9 8 4 5 ) ( 許可及び届出については 最寄りの土木事務所 ) 四万十川の保全と流域の振興に関する基本条例 に関すること 高知県林業振興 環境部環境共生課 ( 0 8 8-8 2 1-4 8 6 3 ) 四万十川流域の重要文化的景観 に関すること 高知県教育委員会文化財課 ( 0 8 8-8 2 1-4 7 6 1 )

参考 再造林 ( 植栽樹種 ) と天然更新について 皆伐による人工林の伐採跡地は 森林資源の確実な更新を図るため 再造林を行うことを基本とします 再造林や天然更新が難しい箇所では皆伐は行わず 択伐等による非皆伐とするようにします なお 樹木の生長には土壌 地形 ( 方位 傾斜 ) 気象 ( 気温 降水量 ) などが影響しますので 再造林によって植栽する樹種選定には注意する必要があります ( 1 ) 再造林によるもの 1 建築用材等の収穫を目標とし 天然更新では目標達成が期待できない場合 2 保安林等の制限林であって 植栽を義務付けている場合等 植栽樹種について植栽する樹種は 適地適木を基本とし 地形 土壌 気候等の自然条件や木材の利用状況等を勘案して決定します 針葉樹ではスギ ヒノキ等 広葉樹ではクヌギ ケヤキ等を主体とし 地域に適した高木性の有用広葉樹を植栽するものとします なお 樹木は農作物と違って 収穫までの期間が長く 樹種転換を簡単に行うことができませんので 適地適木の重要性を十分認識する必要があります また ウその他の広葉樹 に記載している中には 苗木の入手が困難なものがあります ア主な樹種の特性 植栽樹種植栽場所地形適応性 谷斜面尾根耐乾性耐陰性 スギ湿潤で腐植質に富む肥沃土壌が適地ヒノキ適潤地が生育適地であるが 急傾斜地 尾根筋等の乾燥地にも生育クヌギ日当たりの良い 適潤性の肥沃土壌が適地コナラ適潤で肥沃な深層土でよく生長するが 乾燥に耐え 尾根筋や斜面でも育つケヤキ適潤で肥沃な深層土を好み 谷筋や中腹以下の斜面で生育 湿 中 中 中 中 中 陽 中 乾 陽 湿 中 陽 耐乾性 : 湿 中 乾 耐陰性 : 陰 中 陽

イ地形から選定する主な樹種 地形 針葉樹 広葉樹 尾根 ( ヒノキ アカマツの天然更新 ) ( コナラのぼう芽更新 ) 斜面 ヒノキ アカマツスギ コナラ クヌギケヤキ 谷 スギ ケヤキ ( 注 ) 地形は 水分条件などの諸要件が複雑であることや標高によっても異なりますの で 一概にはいえませんが簡便のため 3 区分としています 尾根部の乾燥している土壌は 植栽木の生育には適していませんので 皆伐によ る人工造林は不向きです ウその他の広葉樹成長の比較的早い高木の広葉樹は次のとおりです 地形高木広葉樹尾根ミズナラ等 斜面 ミズナラ クスノキ センダン タブノキ ホオノキ ヤマザクラ等 谷カツラ キハダ クスノキ サワグルミ センダン タブノキ トチノキ ホオノキ ヤマザクラ等 ( 注 ) ミズナラは 標高の高い箇所での植栽となります

( 2 ) 天然更新によるもの 1 クヌギやコナラなどの有用広葉樹を伐採し ぼう芽による更新を行う場合 2 移動距離や搬出距離が遠く 経費が嵩むため経済林として成り立たない場合等 ただし 次のような早期の更新が期待できない場合は 更新補助作業又は植栽により更新を促す必要があります 種子を供給する母樹が近隣に存在しない場合 天然稚幼樹の育成が期待できない場合 面積の大きな針葉樹の人工林であって 林床に木本類が見られず 気候 地形 土壌 周囲の状況等によって 皆伐後も木本類の侵入が期待できない場合 天然更新の対象樹種適地適木を基本として 地域の自然 立地条件 それぞれの樹種の特質などを考えて 健全な森林の成立が見込まれる樹種を選んでください 対象となる樹種は スギ ヒノキ マツ類 モミ類 ツガ類 ケヤキ等の将来その林分において高木になりうる樹種です また 皆伐した樹種がぼう芽によって再生するぼう芽力の大きな樹種は ナラ類 カシ類 シイ類 クヌギ タブノキ等です 主要参考文献 林業技術ハンドブック ( 全国林業改良普及協会 ) 造林技術基準 ( 日本造林協会 林野庁監修 ) 地域森林計画書 ( 高知県 ) 天然更新完了基準書作成の手引き ( 林野庁 )