事業事前評価表

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評価調査結果要約表

事業事前評価表 国際協力機構農村開発部農業 農村開発第一グループ第二チーム 1. 案件名国名 : インドネシア共和国案件名 : 和名農業保険実施能力向上プロジェクト英名 The Project of Capacity Development for the Implementation of Agr

事業事前評価表 国際協力機構社会基盤 平和構築部運輸交通 情報通信グループ 1. 案件名国名 : バングラデシュ国案件名 : 和名橋梁維持管理プロジェクト 有償勘定技術支援 英名 Bridge Management Capacity Development Project 2. 事業の背景と必要性

は Blue Print for Air Transportation にて民間航空長期計画を作成 アクションプラン DGCA 5-Year Strategic Plan を作成した上 航空安全に係る総合的な対策の強化を図っており 本事業はこれに寄与するもので

事業事前評価表 国際協力機構産業開発 公共政策部法 司法チーム 1. 案件名国名 : ブラジル連邦共和国案件名 : ( 和文 ) 地域警察活動普及プロジェクト ( 英文 )Project on Nationwide Dissemination of Community Policing 2. 事業の

事業事前評価表

ログラムの審査に産業界からも参画を得ることで 大学がエンジニア予備軍である学部学生に対し社会のニーズに即した教育を実践できるよう 促進する役割を果たしている かかる状況の下 エンジニアの量的拡大が質を伴う形で実現されるよう インドネシア政府は我が国に対し LAM-PS としての インドネシアエンジニ

事業事前評価表 国際協力機構地球環境部環境管理第一チーム 1. 案件名 国名 : パキスタン国案件名 : 和名パンジャブ州上下水道管理能力強化プロジェクト英名 Project for Improving the Capacity of WASAs in Punjab Province 2. 事業の背

事業事前評価表 1. 案件名国名 : ラオス人民民主共和国案件名 : ルアンパバーン世界遺産の持続可能な管理保全能力向上プロジェクト Project for Capacity Enhancement for Sustainable World Heritage Management and Pres

欠であり 運輸交通分野を中心に膨大なインフラ投資が必要になると見込まれる これらのインフラ整備にあたっては 案件ごとにマスタープランから工事まで段階を踏んで検討 建設が進められるが 対象地の地形などを確認 把握するため 検討段階に応じた精度の地図が必要となる 現在 同国では基本的な測地基準点網が整備

事業事前評価表

事業事前評価表 ( 地球規模課題対応国際科学技術協力 SATREPS) 国際協力機構農村開発部農業 農村開発第一グループ第二チーム 1. 案件名国名 : インドネシア共和国案件名 : 和名 ( 科学技術 ) 食料安全保障を目指した気候変動対応策としての農業保険における損害評価手法の構築と社会実装英名

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事業事前評価表

事業事前評価表

援 GHGインベントリ策定にかかる技術移転等 気候変動対策を推し進めるための包括的な支援を実施した 同プロジェクトの成果として 国家気候変動緩和行動計画 (RAN-GRK) に基づき州気候変動緩和行動計画 (RAD-GRK) の策定が進められるとともに 国家気候変動適応行動計画 (RAN-API)

護ディプロマ課程を 3 年制看護ディプロマ課程に変更したのに加え ディプロマ課程看護師の現任研修により学士が取得できる 2 年制ポスト ベーシック課程とは別に大学教育として看護学士課程制度 (4 年制 ) を導入することを定めた 学術的に高度な 4 年制看護学士課程の卒業生は輩出されたばかりであるが

JICA 事業評価ガイドライン ( 第 2 版 ) 独立行政法人国際協力機構 評価部 2014 年 5 月 1

事業事前評価表

事業事前評価表

新JICAにおける事前評価(技協・無償)について

2008年6月XX日

研究は重要項目とされている 本事業は CERMEL と長崎大学の共同研究を通じて 1 対象地域におけるウイルス感染症の流行状況の解明 2 新規に同定されたウイルスの性状解析 3 公衆衛生対策上優先度の高いウイルスに対する診断法の開発を行い ガボン側研究機関のウイルス感染症研究開発の能力向上に貢献する

(Microsoft Word - \216\226\221O\225]\211\277\225\\ doc)

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事業事前評価表

無償資金協力 案件概要書 2017 年 8 月 29 日 1. 基本情報 (1) 国名 : カンボジア王国 (2) プロジェクトサイト / 対象地域名 : シハヌークビル特別市 プノンペン (3) 案件名 : 港湾近代化のための電子情報処理システム整備計画 (The Project for Port

架鉄道三路線 ( うち 二路線は軽量 ) の総延長は 50km にとどまっている 首都圏南方については マニラ市ツツバンからカブヤオ市ママティッドまでの区間を頻度の低い通勤線が非電化路線として運行しているのみである 首都圏北方は 居住エリアが拡大しているものの 十分な公共交通手段が確保されていないた

事業事前評価表 国際協力機構産業開発 公共政策部資源 エネルギーグループ第二チーム 1. 案件名国名 : ザンビア共和国案件名 : 和名ザンビアにおける鉛汚染のメカニズムの解明と健康 経済リスク評価手法および予防 修復技術の開発英名 The Project for Visualization of

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(CANACINTRA) 等と連携を図りつつ設置する案を有しており 国家中小企業コンサルタント養成 認定制度を具現化するためにいかにして事業を進めていくかが課題となっている (2) 相手国政府国家政策上の位置づけカルデロン大統領は 近代的かつ競争力のある経済の強化及び雇用の創出 を 治安 貧困撲滅

と衝突して沈没し 147 人が死亡 2014 年 8 月にはパドマ川で約 250 人を乗せたフェリーが荒天のため転覆し 110 人が死亡等の大事故が発生している また 同国は 雨季には大型サイクロンが度々ベンガル湾から来襲し 沿岸部で遭難事故が多発するなど 地理的に自然災害の影響を受けやすい地域であ

ジャカルタ大都市圏空港整備計画調査の必要性については JICA が 2008 年 1 月に実施した 次世代航空保安システム整備に係るフィージビリティー調査 でも提言がなされており 既存空港の拡張及び効率的運用を含めたジャカルタ首都圏周辺の適切な空港整備に係る長期的な計画を策定する必要性は高い インド


区間を頻度の低い通勤線が非電化路線として運行しているのみであり 十分な公共交通手段が確保されていないため 同エリアと周辺に住む住民はバスや自動車等により通勤しているが 道路の混雑により 通勤に大きな支障が出ている 加えて 南北鉄道事業南線 ( 通勤線 ) ( 以下 本事業 という ) の対象区間には

事業事前評価表

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支援 及び 不均衡の是正と安全な社会造りへの支援 の中で重点分野として掲げており また JICA も国別分析ペーパーの協力プログラムにおいて 首都圏の都市基盤整備プログラム や 地方開発 拠点都市圏整備プログラム の中で開発課題として位置づけている 上水道セクターにおいては 日本は下記 3.(9)

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プロジェクト ( 年 ) 独 (KfW): 西ナイル地区に特化した配電網の拡充 小水力の開発 ( 年 ) 3. 事業概要 (1) 事業の目的ウガンダにおける産業活性化が期待できる地方において 長距離配電線 (33kV 配電線 ) の資機材の調達 据付を行うことによ

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政府説明資料

事業事前評価表 ( 地球規模課題対応国際科学技術協力 (SATREPS)) 農村開発部農業 農村開発部第二グループ 1. 案件名国名 : スーダン共和国案件名 : 和名ストライガ防除による食料安全保障と貧困克服英名 The project for development of counter mea

令 (2006 年 5 号 ) では 2025 年までの国家エネルギー政策の数値目標を設定し エネルギー供給量に対する新 再生可能エネルギーの目標値を 17%( うち地熱エネルギーは 5 %) に定めた また 2010 年の Vision 25/25 において 新 再生可能エネルギーの目標値を 25

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事業事前評価表 1. 案件名 ( 国名 ) 国際協力機構南アジア部南アジア第四課 国名 : バングラデシュ人民共和国案件名 : 貧困削減戦略支援無償 ( 教育 ) (Poverty reduction efforts) 2. 事業の背景と必要性 (1) 当該国における初等教育セクターの現状と課題バン

(2) 当該国における地震防災分野の開発政策と本事業の位置づけネパール政府は 2009 年に災害リスク国家管理戦略を制定し 対象災害の一つとして地震を上げている 地震防災分野は 2009 年に設置された National Platform for Disaster Risk Reduction にお

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事業事前評価表 ( 地球規模課題対応国際科学技術協力 (SATREPS)) 国際協力機構地球環境部防災第一チーム 1. 案件名国名 : フィリピン共和国案件名 : 和名 フィリピンにおける極端気象の監視 情報提供システムの開発 英名 The Project for Development of Ex

0528事業事前評価表(円借款+附帯技プロ)final.doc

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SATREPS 公募説明会資料 2018 年 9 月独立行政法人国際協力機構 (JICA) 社会基盤 平和構築部国際科学技術協力室 1

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事業事前評価表

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新JICAにおける事前評価(技協・無償)について

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を余儀なくされている発表されている このような状況下 当国 NGO カサ アリアンサは 1988 年の設立以来 メキシコ市において路上生活を営む子供の保護 心身のケア 家族との再会支援 社会的自立に向けた教育支援に取り組んできた JICA は 2000 年 12 月から 3 年間 カサ アリアンサを

Microsoft Word - 事前評価表最終版0623final.doc

文部科学省セミナー 国際協力機構における大学との連携(国際協力機構)

事業事前評価表

地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム (SATREPS) JST 中間評価 1 の実施要領 平成 29 年 6 月改定 JST 国際部 SATREPS グループ 1. 地球規模課題国際科学技術協力 (SATREPS) プロジェクトの中間評価について SATREPS は JST による研究支援お

おらず 園芸作物の生産量の増加につれ 収穫期の値崩れや農産物の廃棄 低い保存 加工技術 資金へのアクセス等の課題に直面しており 収入が期待通りに伸びていない また 農家への技術支援を担う中央や地方の行政機関の職員および普及員数は少なく 十分に機能していない状況にあり 小規模農家の根本的な課題解決には

国 アメリカ ロシアに次いで世界第 4 位の電力消費国となっている (2014 年 ) 国内の電力供給に関しては 1,114,408GWh の需要に対して供給量は 1,090,851GWh と 2.1% の不足 供給能力もピーク時 153,366MW の需要に対して 148,463MW と 3.2%

2 採用する受注者選定方式の検討について廃棄物処理施設整備事業で一般的に採用されている受注者選定方式は表 -2のとおりです 受注者選定方式の検討に際しての論点を下記に整理しましたので 採用する受注者選定方式について審議をお願いいたします 本施設に求められる5つの整備基本方針に合致した施設の整備運営に

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評価調査結果要約表 1. 案件概要 国名 : メキシコ合衆国案件名 : メキシコ国電子分野における研究 教育手法の開発分野 : 中小企業振興援助形態 : 技術プロジェクト所轄部署 : 中南米部中米 カリブチーム協力金額 ( 評価時点 ):20,375 千円協力期間 (R/D):2003 年 11 月

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の理解と参加を促進し, 開発協力を支える社会的基盤をより一層広げ, 強化するために, NGO/ 市民社会 (CSO) との連携が推進されるべきことが謳われたところである 以上の経緯と背景の下に NGO と ODA の連携に関する中期計画 ~ 協働のための 5 年間の方向性 ~ が策定されることとなっ

事業事前評価表

資料1:地球温暖化対策基本法案(環境大臣案の概要)

活動指標及び 活動指標標準仕様書 導入手順書策定数 ( 改定を含む ) 活動見込 31 活動見込 2 活動指標及び 活動指標 RPA 補助事業の完了数 活動見込 31 活動見込 5 活動指標及び AI 実証地域の完了数 活動指標 活動見込 31 活動見

資料 - 5 討議議事録 (M/D)

西アフリカ 3億人ビジネス市場マップ ―2035年5億人市場に向けて―

(2) 当該国における保健医療セクターおよび科学技術セクターの開発政策と本事業の位置づけ インドネシア保健省は 国家長期保健開発計画 およびその具体的な施策となる 保健セクター戦略計画 において感染症対策を重点項目の一つに位置づけている また インドネシア研究

評価調査結果要約表

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おける成果としては まず組織運営 ( 交番活動 ) 面としてシフト制による 24 時間勤務 受け持ち区域 体制がつくられ 住民の要望を聞くとともに防犯上のアドバイスなどをする 巡回連絡 が行われるようになり そうした現場レベルでの市民警察活動の拠点として BKPM( 警察 市民パートナーシップ セン

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平成 31 事業年度 自平成 31 年 4 月 1 日 (2019 年 4 月 1 日 ) 至平成 32 年 3 月 31 日 (2020 年 3 月 31 日 ) 第 15 期 事業計画 ( 案 ) 本州四国連絡高速道路株式会社 - 0 -

手法 という ) を検討するものとする この場合において 唯一の手法を選択することが困難であるときは 複数の手法を選択できるものとする なお 本規程の対象とする PPP/PFI 手法は次に掲げるものとする イ民間事業者が公共施設等の運営等を担う手法ロ民間事業者が公共施設等の設計 建設又は製造及び運営

類似業務対象国 / 類似地域語学の種類 各種評価調査インドネシア / 全途上国英語 5. 条件等 (1) 参加資格のない社等 : なし (2) 必要予防接種 : なし 6. 業務の背景インドネシア政府は 食料安全保障や農家の所得向上を政策上の優先課題の一つとして位置付けており 2013 年 7 月に

番号 : 国名 : サウジアラビア担当部署 : 中東 欧州部中東第二課案件名 : サウジアラビア国サウジアラビアにおけるカイゼン普及情報収集 確認調査 ( カイゼン普及 ) 1. 担当業務 格付等 (1) 担当業務 : カイゼン普及 (2) 格付 :3 号 (3) 業務の種類 : 調査団

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事業事前評価表_新様式

Transcription:

技プロ 附帯プロ用 事業事前評価表 1. 案件名 国名 : ケニア共和国 国際協力機構社会基盤 平和構築部運輸交通 情報通信グループ 案件名 : 和名道路維持管理業務の外部委託化に関する監理能力強化プロジ ェクト ( フェーズ 3) 英名 Project for Strengthening of Capcity on Road Maintenance Management through Contracting (Phase 3) 2. 事業の背景と必要性 (1) 当該国における運輸交通セクターの現状と課題 ケニアにおいて中央政府が管理する道路延長は約 16 万 km に及ぶが うち 良好 (good) 以上の状態の道路は約 4 割に留まる 輸送手段のうち道路交通 が 90% 以上を占める中 道路網の整備と維持管理は同国の経済成長にとって 重要な開発課題である ケニアの道路行政は 運輸インフラ省の監督の下 高速道路 都市内道路 村落道路 国立公園内の道路等の道路種別に異なる機関が道路管理を行っている 道路の維持管理作業の多くは民間業者への外部委託により行われているが 道路管理機関の積算並びに契約監理能力は十分ではなく 予算計画 業務計画の未策定 業者調達や維持管理業務そのものの遅延 品質の不均一等の問題が発生している こうした状況を受けて JICA は 2010 年 5 月から 道路維持管理業務の外部委託化に関する監理能力強化プロジェクト を 2 フェーズに分けて実施した プロジェクトでは道路維持管理業務への性能規定型契約 (Performance Based Contract 以下 PBC ) の導入のため 標準契約書 手順書 積算システム等の作成等に係る協力を実施した また 本邦の大学が開発した道路状況の簡易な測定器である DRIMS ( Dynamic Response Intelligent Monitoring System) の導入等を通じて 道路管理機関が客観的なデータに基づき補修計画を策定できるよう支援した 本プロジェクト ( フェーズ 3) は 道路管理機関並びに民間建設業者等を対象とした研修コースの立ち上げ等を通じ これまで 2 フェーズに渡って行われた協力の成果を全国に展開させるとともに 道路管理機関等の積算並びに契約監理能力強化を図ることを目的として 2015 年 9 月に先方政府から要請のあったものである (2) 当該国における運輸交通セクターの開発政策と本事業の位置づけケニア政府は 国家開発計画 Vision 2030 において 経済開発を実現するための運輸インフラ開発を重点課題の一つとしている また Vision 2030 の中期実施計画を示した 第二次中期計画 2013-2017 では 運輸インフラ 1

分野において取り組むべき課題として 道路網の拡張及び道路維持管理の強化が取り上げられている (3) 運輸交通セクターに対する我が国及び JICA の援助方針と実績本事業は 対ケニア共和国国別援助方針の重点分野 経済インフラ整備 に位置づけられ 道路維持業務の外部委託に係る先方政府の能力向上に貢献するものである JICA 国別分析ペーパー (2011 年 4 月 ) では 道路整備とともに維持管理キャパシティの強化を図るとしており 本事業はこれにも沿ったものである これまで JICA は ナイロビ西部環状道路建設計画 ( 2010 年贈与契約 (G/A) 締結 ) ウゴング道路拡幅計画 (2012 年 G/A 締結 ) などの無償資金協力や モンバサ港周辺道路開発事業 ( 2012 年借款契約 (L/A) 締結 ) 等の有償資金協力を通じて同国内の道路整備を支援してきている (4) 他の援助機関の対応フランス開発庁 (AFD) 等は 村落道路の建設 維持管理に係る支援を実施している 欧州共同体 (EU) は 北部回廊を含む道路のリハビリに関する支援を実施している 3. 事業概要 (1) 事業目的 ( 協力プログラムにおける位置づけを含む ) 本事業は 公共積算 PBC による道路維持管理 道路平坦性調査等に係る道路管理機関等の能力向上に係る支援を行うことにより 道路維持管理手法を改善した上で訓練機関を通じて普及を図り もってケニアの道路状況の改善に寄与するものである (2) プロジェクトサイト / 対象地域名ケニア全土 (3) 本事業の受益者 ( ターゲットグループ ) 直接裨益者 : 交通インフラ省 (MoTI) 職員約 30 人高速道路公社 (KeNHA) 職員約 400 人都市道路公社 (KURA) 職員約 500 人地方道路公社 (KeRRA) 職員約 800 人野生動物公社 (KWS) 職員約 20 人道路基金 (KRB) 職員約 60 人ケニア高速道路 建築技術院 (KIHBT) 職員約 50 人建設公社 (NCA) 職員約 30 人公共調達監理機構 (PPOA) 職員約 10 人民間業者約 300 社最終裨益者 : 道路利用者 2

(4) 事業スケジュール ( 協力期間 ) 2016 年 11 月から 2019 年 10 月 (3 年間 ) (5) 総事業費 ( 日本側 ) 約 4.2 億円 (6) 相手国側実施機関 MoTI KeNHA KURA KeRRA KWS KIHBT NCA PPOA KRB *MoTI は中央官庁として ガイドライン等を規定 承認する MoTI の監督の下 国内幹線道路は KeNHA 都市内道路は KURA 村落道路は KeRRA 国立公園内の道路は KWS と 道路種別ごとに道路の整備 管理を行っている KRB は 4 公社が管轄するケニアの道路ネットワークを監視し 全国的な道路政策の策定と各公社への道路維持管理予算の配布を実施している KIHBT は MoTI 傘下の公的な研修機関であり MoTI 職員および他官民を対象に技術研修を実施している 本プロジェクトにおいては PBC や DRIMS の研修の実施機関となる NCA は MoTI 傘下にあり 建設業界を監督する公的機関であり民間業者の登録 コンプライアンスチェック 質の担保 研究 能力強化を実施しており 本プロジェクトにおいては PBC 業務として民間業者の登録区分の新設 民間業者向け研修へのアドバイス等を行う (7) 投入 ( インプット ) 1) 日本側 1 長期専門家派遣 ( 総括 1 名 3 年間 ) 2 短期専門家派遣 ( 道路維持管理 契約監理 道路調査 積算調査 / 積算システム 研修計画 業務調整 モニタリング 評価 計 70 人月 ) 3 本邦研修計 3 回 ( 年 1 回 ) 実施予定 2) ケニア国側 1カウンターパート (C/P) の配置 プロジェクトマネージャー (1 名 ): Chief Superintending Engineer, MoTI プロジェクトメンバー ( 約 16 名 ): KeNHA KURA KeRRA KWS KIHBT NCA PPOA KRB から各 2 名 ( マネージャー エンジニアレベル ) 2 事業費等人件費 C/P の旅費 日当 執務室 (KeNHA および KIHBT) 車両(2 台 ) 事務スタッフ KIHBT 研修実施コスト (8) 環境社会配慮 貧困削減 社会開発 1) 環境に対する影響 / 用地取得 住民移転 1 カテゴリ分類 :C 2 カテゴリ分類の根拠 : 本事業は 国際協力機構環境社会配慮ガイドライン (2010 年 4 月公布 ) 上 環境への望ましくない影響は最小限であると判断されるため 3

2) ジェンダー平等推進 平和構築 貧困削減 :KIHBT における研修等の実施に際してはジェンダーバランス等十分に配慮することとする 3) その他 : 特になし (9) 関連する援助活動 1) 我が国の援助活動 : 2.(3) 参照 2) 他ドナー等の援助活動 2.(4) 参照 4. 協力の枠組み (1) 協力概要 1) 上位目標と指標 : 1 プロジェクトで開発した道路維持管理手法がケニアの建設業界で主流化す る指標 1: 各道路公社の PBC 業務を監督する部局職員の半数以上が PBC による道路維持管理に関する研修を修了している 指標 2: 少なくとも 500 社の民間業者が NCA の PBC 職種区分に登録されている 指標 3: PBC ガイドラインに沿って維持管理されている道路延長がプロジェクト終了時から % 1 延長する 2ケニア国内の道路網が適切な状態で維持される指標 1: PBC 維持管理対象道路において DRIMS で路面性状をモニタリングした区間のうち 80% 以上で 非常によい か 良い の状態になっている 2) プロジェクト目標と指標 : 道路維持管理手法が改善されケニアで広く活用される指標 1: COSTES 2 により算出された積算単価が道路公社および民間業者に活用されている指標 2: 少なくとも 300 社の民間業者が NCA の PBC 職種区分に登録されている 3) 成果成果 1 各道路管理機関における公共積算能力が向上する成果 2 PBC による道路維持管理に係る道路管理機関の監理能力が強化される成果 3 PBC による道路維持管理に関し 道路管理機関と民間業者を対象とした訓練機関 (KIHBT NCA 等 ) の能力が強化される成果 4 DRIMS による道路の平坦性調査手法が国内の道路管理機関に広まる 1 については プロジェクト開始後に PBC により維持管理がなされる道路区間延長及び今後の維持管理計画に係る情報を入手した上で確定する 2 COSTES(Cost Estimation System) 積算データベースシステム 4

5. 前提条件 外部条件 ( リスク コントロール ) (1) 前提条件プロジェクト開始後関係機関よりカウンターパートが配置される (2) 外部条件 ( リスクコントロール ) 1) 成果達成のための外部条件 1 プロジェクトで訓練された職員のほとんどが実施機関で働き続ける 2 DRIMS が道路平坦性計測の一手法としてケニア政府に認定される 3 KRB および各道路管理機関に積算ユニットが設立される 2) プロジェクト目標達成のための外部条件 1 道路管理機関に必要な予算が遅延なく配置される 2 PBC 標準契約図書が PPOA により公式化される 3) 上位目標達成のための外部条件道路維持管理に関する政策が変化しない 6. 評価結果 本事業は ケニア共和国の開発政策 開発ニーズ 日本の援助政策と十分に 合致しており また計画の適切性が認められることから 実施の意義は高い 7. 過去の類似案件の教訓と本事業への活用 (1) 類似案件の評価結果タンザニア 道路メインテナンス監理能力支援プロジェクト の終了時評価等では 政府機関側のみならず 建設業者の能力向上を図る必要があるとの教訓を得ている また 本プロジェクトのフェーズ 2 の終了時評価等においては AFD との連携により JICA の支援による PBC 標準契約書やガイドライン等の成果が村落道路網の維持管理に活用され 双方の協力の効果が高められたとの教訓が得られている (2) 本事業への教訓本事業は 政府機関並びに施工業者を対象とした PBC 研修コースの立ち上げに係る支援を通じて 官民双方の能力強化を目指すものである また AFD EU とも KeRRA への村落道路建設および維持管理に対する支援を行っているところ それらの経験を本プロジェクトにおいて PBC ガイドラインの改訂におけるワークショップの際に反映させるとともに 積算調査の対象サイトを AFD 及び EU による支援プロジェクトから選定する等の調整を行う予定 5

8. 今後の評価計画 (1) 今後の評価に用いる主な指標 4.( 1) のとおり (2) 今後の評価計画事業開始 1 ヶ月ベースライン調査事業終了 3 年後事後評価 以上 6