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Asakura ミニマムテキスト 2 所有権保存登記の抹消 (1) 申請人 所有権登記名義人が単独で申請する (2) 添付情報 a 登記識別情報 所有権登記名義人の登記識別情報が必要 b 印鑑証明書 所有権登記名義人が単独で申請するが, 真意で申請したことを確認するために必要

基本問題 1 第 1 問抵当権変更債務者更改による新債務担保 登記記録に次のような登記事項の記録 ( 登記事項一部省略 ) がある甲区分建物について, 平成 28 年 6 月 28 日, 司法書士法務太郎は, 関係する当事者全員から後記事実関係を聴取し, 登記の申請手続に必要なすべての書類を受領する

不動産登記法(各論Ⅰ)

東京リーガルマインド 無断複製 頒布を禁じます 不動産登記法 一所有権保存 1 74 条 1 項 1 号保存 申請書 1 不登 74 条 1 項 1 号前段 登記の目的 所有者 所有権保存 市 町 丁目 番 号 A 添付書類住所証明情報 (A の住民票の写し ) 代理権限証明情報 (A の委任状 )

仮登記① 仮登記の意義、仮登記された権利の処分

平成 21 年 4 月 19 日 おいじたくあんしんネットレジュメ 不動産登記と相続 司法書士石川亮 1. 不動産登記法改正 1. オンライン申請の導入 ( 不登法 18 条 ) ( ア ) 不動産登記法が改正され 条文上原則オンライン申請となった ( イ ) オンライン申請促進のため登録免許税が軽

〔問 1〕 抵当権に関する次の記述のうち,民法の規定によれば,誤っているものはどれか

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〔問 1〕 Aは自己所有の建物をBに賃貸した

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5 根抵当権者の会社分割 61 根抵当権者の会社分割 Ⅰ ケース概要甲野銀行は 乙野商事に対する融資取引の担保として乙野商事所有の土地につき根抵当権の設定を受けていたが その後 丙川銀行を承継会社とする吸収分割が行われた 今般 当該確定前の根抵当権について 他の事由により登記を行うこととなったため

Unit1 権利能力等, 制限行為能力者 ( 未成年 ) 1 未成年者が婚姻をしたときは, その未成年者は, 婚姻後にした法律行為を未成年であることを理由として取り消すことはできない (H エ ) 2 未成年者が法定代理人の同意を得ないで贈与を受けた場合において, その贈与契約が負担付の

A は 全ての遺産を社会福祉施設に寄付すると遺言に書き残し死亡した A には 配偶者 B と B との間の子 C と D がある C と D 以外にも A と B との子 E もいたが E は A が死亡する前にすでに死亡しており E の子 F が残されている また A には 内妻 G との子 (

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所有権保存登記

小玉塾小玉塾 書式集書式集 過去問データから覚えるべきものを抽出し, 最新の登記記録例から作成した書式集です 不動産登記法記述式試験における ( 覚えておくべき ) 雛形知識をすべてフォローしています 重要度ランクは, 記述式過去問の頻出度に従って作成しました 添付情報 については, 個別に覚えるべ

〔問 1〕 A所有の土地が,AからB,BからCへと売り渡され,移転登記も完了している

き一 修正申告 1 から同 ( 四 ) まで又は同 2 から同 ( 四 ) までの事由が生じた場合には 当該居住者 ( その相続人を含む ) は それぞれ次の 及び に定める日から4 月以内に 当該譲渡の日の属する年分の所得税についての修正申告書を提出し かつ 当該期限内に当該申告書の提出により納付

添付情報各論

抵当権変更・更正登記①

※ 住民票の除票に記載された住所は,被相続人の登記記録上の住所と一致している必要があります。被相続人の最後の住所が,登記

○不動産を売買した場合の申請書の様式・記載例(オンライン庁)

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< 記載例 > ( 記載例の解説及び注意事項等は,5 ページ以下を御覧ください ) * この記載例は, 土地又は建物に設定された抵当権 ( 金融機関等の法人が抵当権者となっているもの ) が解除又は弁済等により消滅した際に, 個人が書面で抵当権の抹消の登記を申請する場合のものです 受付シールを貼るス

※ 住民票の除票に記載された住所は,被相続人の登記記録上の住所と一致している必要があります。被相続人の最後の住所が,登記

20 第 2 章 遺留分減殺請求権の行使 遺留分侵害行為の特定 () 遺言遺言のうち 相続分の指定 相続させる遺言 包括遺贈 特定遺贈 が遺留分を侵害する行為です (2) 生前贈与生前贈与のうち 相続開始前 年間になされた贈与 遺留分権利者に損害を与えることを知ってなされた贈与 特別受益 不相当な対

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○抵当権の登記を抹消する場合の申請書の様式・記載例(オンラ

52 第 1 章親族第 1 親族一般 554) 遺贈はいつでも撤回ができるとする民法 1022 条も準用されます ( 最判昭 民集 判時 ) 死因贈与においても 遺贈と同様に贈与者の最終意思が尊重されるためです なお この撤回権は 贈与者本人のみが行使で

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○不動産を贈与した場合の申請書の様式・記載例(オンライン庁)

第 1 民法第 536 条第 1 項の削除の是非民法第 536 条第 1 項については 同項を削除するという案が示されているが ( 中間試案第 12 1) 同項を維持すべきであるという考え方もある ( 中間試案第 12 1 の ( 注 ) 参照 ) 同項の削除の是非について どのように考えるか 中間

○所有者等の住所に変更があった場合の申請書の様式・記載例(オ

不動産登記法 Ⅰ 総論 登記簿 登記の効力を有する書類 1: 登記簿 共同人名票は当然に登記簿の一部である 2: 登記簿には編綴されていないが法律によって登記簿の一部とみなされるもの 共同担保目録 信託原簿 工場財団目録 機械器具目録 3:1と2 以外 登記簿の全部又は一部が滅失した場合の申請書編綴

民法 ( 債権関係 ) の改正における経過措置に関して 現段階で検討中の基本的な方針 及び経過措置案の骨子は 概ね以下のとおりである ( 定型約款に関するものを除く ) 第 1 民法総則 ( 時効を除く ) の規定の改正に関する経過措置 民法総則 ( 時効を除く ) における改正後の規定 ( 部会資

< 記載例 > ( 記載例の解説及び注意事項等は,5 ページ以下を御覧ください ) * この記載例は, 個人が自己の所有する不動産 ( 土地又は建物 ) を担保として金融機関等の法人から融資を受けた場合等に, 書面で根抵当権の設定の登記を申請する場合のものです 受付シールを貼るスペースになりますので

○不動産を贈与した場合の申請書の様式・記載例(オンライン庁)

認可地縁団体が所有する不動産に係る登記の特例について < 制度の概要 > 通常 登記名義の変更手続きは 登記権利者 ( 新たな名義人 ) と登記義務者 ( 現在の名義人 死亡している場合にはその相続人 ) 双方の共同で行う必要があります そのため 登記簿に表示された所有者や相続人の所在が分からない場

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Ver.3.0 受付番号票貼付欄 合同会社設立登記申請書 フリガナ 1. 商号 1. 本店 1. 登記の事由設立の手続終了 1. 登記すべき事項 1. 課税標準金額金円 1. 登録免許税金円 1. 添付書類 定款代表社員, 本店所在地及び資本金を決定したことを証する書面代表社員の就任承諾書払込みがあ

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契約をするとき 契約書に貼る印紙税不動産取引で取り交わす契約書は 印紙税の対象となります 具体的には 不動産の売買契約書や建物の建築請負契約書 土地賃貸借契約書 ローン借入時の金銭消費貸借契約書等がこれに当たります 印紙税の額は 契約書に記載された金額によって決定されます 原則として 収入印紙を課税

業務委託基本契約書

Microsoft Word - Target用株式取扱規程(22.1.6改正).doc

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株式取扱規程

株式取扱規則

明確認書 を甲に提出する ( かし担保 ) 第 8 条乙は この契約締結後に かくれたかしがあることを発見しても 売買代金の減免若しくは損害賠償の請求又は契約の解除をすることができないものとする ただし 乙が消費者契約法 ( 平成 12 年法律第 61 号 ) 第 2 条第 1 項に規定する消費者

きる ( 改正前民法 436 条 ) 1 改正法と同じ 2 前項の債権を有する連帯債務者が相殺を援用しない間は その連帯債務者の負担部分についてのみ他の連帯債務者が相殺を援用することができる 本条は 負担部分の限度で 他の連帯債務者が債権者に対して債務の履行を拒むことができると規定したものであり 判

PowerPoint プレゼンテーション

○所有者等の住所に変更があった場合の申請書の様式・記載例(オ

株式取扱規程

○不動産を売買した場合の申請書の様式・記載例(オンライン庁)

  新不動産登記書式解説(一) 目次

遺者であったが 事情があって遺贈の放棄をした 民法 986 条の規定によれば 受遺者は 遺言者の死亡後 いつでも 遺贈の放棄をすることができ 遺贈の放棄は 遺言者死亡のときに遡ってその効力を生じるとされているから 前所有者から請求人に対する本件各不動産の所有権移転の事実は無かったものであり 請求人は

措置法第 69 条の 4(( 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例 )) 関係 ( 被相続人等の居住の用に供されていた宅地等の範囲 ) 69 の 4-7 措置法第 69 条の 4 第 1 項に規定する被相続人等の居住の用に供されていた宅地等 ( 以下 69 の 4-8 までにおいて 居

国住マ第 87 号 平成 27 年 3 月 24 日 都道府県担当主務部局長殿 国土交通省住宅局市街地建築課長 マンションの建替え等の円滑化に関する法律による不動産登記に関する政令の規定により マンション敷地売却組合が行う登記申請書の様式について ( 通知 ) マンションの建替え等の円滑化に関する法

税金の時効 税務では 時効のことを更正 決定処分の期間制限 = 除斥期間 といいます その概要は 以下の通りです 1. 国税側の除斥期間 ( 通則法 70) 1 期限内申告書を提出している場合の所得税 相続税 消費税 税額の増額更正 決定処分の可能期間 : 法定申告期限から 3 年 2 無申告の場合

Microsoft Word - 文書 1

第 5 編総務の規程 ( 株式取扱規程 )0504- 総規 株式取扱規程 ( 昭和 35 年 01 月 01 日制定 ) ( 平成 24 年 04 月 1 日現在 ) 第 1 章総則 ( 目的 ) 第 1 条当会社における株主権行使の手続きその他株式に関する取扱いについては, 株式会社証券保管振替機

定の相続人との間で重畳的債務引受契約を締結して 貸付債権の保全を図っておくことが好ましい措置です 重畳的債務引受は 原債務者が債権者に対して負担していた既存債務を継続させながら 債務引受人が原債務者と同一内容の債務を負担する債務引受のことであり 結果として 原債務及びそれに付着する担保 保証人の効力

住友電気工業株式会社株式取扱規則

○不動産を贈与した場合の申請書の様式・記載例(オンライン庁)

第 2 章契約の成立と有効性 1 契約の成立 赤字は講座紹介コメントです 1, 契約の成立 (1) 契約の成立要件 契約は, 申し込みの意思表示と承諾の意思表示の合致によって成立する (2) 合致の程度実は論文でも重要だったりする論点を再確認できます 内心において合致していれば, 外形において合致し

(1) 相続税の納税猶予制度の概要 項目 納税猶予対象資産 ( 特定事業用資産 ) 納税猶予額 被相続人の要件 内容 被相続人の事業 ( 不動産貸付事業等を除く ) の用に供されていた次の資産 1 土地 ( 面積 400 m2までの部分に限る ) 2 建物 ( 床面積 800 m2までの部分に限る

株式取扱規則

経 ViewPoint 営相談 不動産登記手続きの放置事例と解決のための基礎知識 篠原徹旨相談部東京相談室 不動産登記には対象不動産の現況と権利関係が反映されますが 権利関係の登記申請を怠っても国から罰則を受けることはありません そのため 権利変動が生じても登記申請をせずに放置され

Taro-土地売買契約書(延納払).j

b c.( 略 ) 2 不動産取得税の軽減に係るの発行信託会社等の地方税法附則第 11 条第 12 項に基づく不動産取得税の軽減のための同法施行令附則第 7 条第 12 項に規定するの発行等については 以下のとおり取り扱うものとする イ ロ.( 略 ) 載があること c d.( 略 ) 2 不動産取

- 2 - 二一の遺言書は 法務省令で定める様式に従って作成した無封のものでなければならないものとすること (第四条第二項関係)三一の申請は 遺言者の住所地若しくは本籍地又は遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する遺言書保管所(遺言者の作成した他の遺言書が現に遺言書保管所に保管されている場合にあって

2. 適用を受けるにあたっての 1 相続発生日を起算点とした適用期間の要件 相続日から起算して 3 年を経過する日の属する年の 12 月 31 日まで かつ 特例の適用期間である平成 28 年 4 月 1 日から平成 31 年 12 月 31 日までに譲渡することが必要 例 平成 25 年 1 月

Microsoft Word - パイオニア 株式取扱規則H doc

岡山県南広域都市計画事業 総社駅南地区土地区画整理事業 登記名義人の住所変更登記の手引き 総社市建設部都市計画課 1

五有価証券 ( 証券取引法第二条第一項に規定する有価証券又は同条第二項の規定により有価証券とみなされる権利をいう ) を取得させる行為 ( 代理又は媒介に該当するもの並びに同条第十七項に規定する有価証券先物取引 ( 第十号において 有価証券先物取引 という ) 及び同条第二十一項に規定する有価証券先

改正後第 2 章通関業 第 1 節許可 新旧対照表 別紙 3 通関業法基本通達( 昭和 47 年 3 月 1 日蔵関第 105 号 ) ( 注 ) 下線を付した箇所が改正部分である 改正前第 2 章通関業第 1 節許可 3-8 削除 ( 譲渡 相続 合併又は分割の場合における通関業の許可の効果 )

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7 平成 28 年 10 月 3 日 処分庁は 法第 73 条の2 第 1 項及び条例第 43 条第 1 項の規定により 本件不動産の取得について審査請求人に対し 本件処分を行った 8 平成 28 年 11 月 25 日 審査請求人は 審査庁に対し 本件処分の取消しを求める審査請求を行った 第 4

て 次に掲げる要件が定められているものに限る 以下この条において 特定新株予約権等 という ) を当該契約に従つて行使することにより当該特定新株予約権等に係る株式の取得をした場合には 当該株式の取得に係る経済的利益については 所得税を課さない ただし 当該取締役等又は権利承継相続人 ( 以下この項及

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2. 適用を受けるにあたっての 1 相続発生日を起算点とした適用期間の要件 相続日から起算して 3 年を経過する日の属する年の 12 月 31 日まで かつ 特例の適用期間である平成 28 年 4 月 1 日から平成 31 年 12 月 31 日までに譲渡することが必要 例 平成 25 年 1 月

【自動車保険単位】

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三井化学株式会社 株式取扱規則

ウ譲渡人について倒産手続の開始決定があった場合エ債務者の債務不履行の場合 (3) 譲渡禁止特約付債権の差押え 転付命令による債権の移転 2 債権譲渡の対抗要件 ( 民法第 467 条 ) (1) 総論及び第三者対抗要件の見直し (2) 債務者対抗要件 ( 権利行使要件 ) の見直し (3) 対抗要件

求めるなどしている事案である 2 原審の確定した事実関係の概要等は, 次のとおりである (1) 上告人は, 不動産賃貸業等を目的とする株式会社であり, 被上告会社は, 総合コンサルティング業等を目的とする会社である 被上告人 Y 3 は, 平成 19 年当時, パソコンの解体業務の受託等を目的とする

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登記事項証明書交付申請書 登記番号 通番指定検索用 注 2 ( 動産 債権譲渡登記用 ) 通番指定検索の例 ( 代理申請の場合 ) 東京法務局 御中 平成 28 年 11 月 11 日申請 注 1 登記区分 動産譲渡 債権譲渡 質権設定 いずれかを選択し, チェックしてください ( 両方のチェックは

株式取扱規則

借地権及び法定地上権の評価 ( 競売編 ) 出典 : 株式会社判例タイムズ出版 別冊判例タイムズ第 30 号 借地権の評価 第 1 意義 借地権とは 建物所有を目的とする地上権又は土地の賃借権をいう ( 借地法 1 条 借地 借家法 2 条 1 号 ) 第 2 評価方法 借地権の評価は 建付地価格に

株式取扱規則 JXTG ホールディングス株式会社

2. 制度の概要 この制度は 非上場株式等の相続税 贈与税の納税猶予制度 とは異なり 自社株式に相当する出資持分の承継の取り扱いではなく 医療法人の出資者等が出資持分を放棄した場合に係る税負担を最終的に免除することにより 持分なし医療法人 に移行を促進する制度です 具体的には 持分なし医療法人 への

規程番号

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1 A 所有の土地について A が B に B が C に売り渡し A から B へ B から C へそれぞれ所有権移転登記がなされた C が移転登記を受ける際に AB 間の売買契約が B の詐欺に基づくものであることを知らなかった場合で 当該登記の後に A により AB 間の売買契約が取り消された

小川 鶴間地区 住居表示 住居表示の実施による 会社 法人などの変更登記の手引 町田市土地利用調整課

構造木造かわらぶき 2 階建 床面積 1 階 平方メートル 2 階 平方メートル 契印 ( 注 12) - 2 -

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Microsoft Word 株式取扱規則.doc

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株式取扱規程 第一生命ホールディングス株式会社 (2016 年 10 月 1 日制定 ) - 1 -

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書式の心構え 例年 午後の部の第 36 問 第 37 問で出題される書式の試験は いわば司法書士が行う模擬の登記申請です これから司法書士になるみなさんが 法令にしたがって法務局へ申請情報を正しく提供することができるのかが試されます したがって 登記官に読めるように記載しなければならないことは言うまでもありません 以下のルールに従って書式の記載をするようにしていきましょう 1 書式の答案用紙への解答の記載は 万年筆又はボールペン ( いずれも黒色のインクに限る ただし インクがプラスチック消しゴムで消せるものは不可 ) に限ります 2 書式の答案用紙への解答の記載は 略字 続け字を使わないほうが望ましい 3 訂正 加入又は削除をしたときは 押印や字数を記載することは要しないが 訂正は訂正すべき字句に線を引き近接箇所に正書し 加入は加入する部分を明示して行い 削除は削除すべき字句に線を引いて その内容が明確に分かるようにする 決して修正液又は修正テープでの訂正をしないこと みなさんがこれから答練 公開模試を受けていく中でこれらのルールが守れない場合は 1 3については点数を付けてもらえなかったり 2については減点されてしまうおそれがあります なぜならば 1 3については本試験問題の指示であり 2については採点者の心証を害するからです 例えば以下のような略字を使用しないほうがいいでしょう 具体例 2の略字について 朴又 権 問 3の訂正について B 持分全部 B 持分全部 移転 所有権移転 3の削除について 変更後の事項

目 次 第 1 章所有権 1. 表題部所有者名義の所有権保存登記 2 2. 表題部所有者名義の所有権保存登記 ( 共有者の 1 人からの申請 ) 4 3. 相続人名義の所有権保存登記 6 4. 合併会社名義の所有権保存登記 8 5. 数次相続人名義の所有権保存登記 10 6. 判決による所有権保存登記 12 7. 敷地権付き区分建物の所有権保存登記 14 8. 売買による所有権移転登記 18 9. 所有権一部移転登記 ( 共有物不分割の定めがある場合 ) 22 10. 相続人から申請する所有権移転登記 26 11. 敷地権付き区分建物の所有権移転登記 ( 親子間の売買 ) 28 12. 持分の一部が権利の目的となっている持分移転 30 13. 共有物分割による所有権移転登記 34 14. 相続による所有権移転登記 38 15. 数次相続による所有権移転登記 44 16. 遺産分割協議による所有権移転登記 46 17. 合併による所有権移転登記 48 18. 会社分割による所有権移転登記 50 19. 遺留分減殺による所有権移転登記 52 20. 相続人不存在による所有権登記名義人の氏名等の変更登記 54 21. 民法第 958 条の 3 の審判による所有権移転登記 56 22. 特別縁故者不存在確定による所有権移転登記 58 23. 胎児名義への所有権移転登記 60 24. 胎児が生きて生まれた場合の所有権登記名義人の氏名等の変更登記 62 25. 遺贈による所有権移転登記 ( 遺言執行者がいる場合 ) 66 26. 遺贈による所有権移転登記 ( 遺言執行者がいない場合 ) 70 27. その他の原因による所有権移転 72 28. 共有物不分割の定めの登記 78 29. 単有名義の共有名義への更正 80 30. 共有名義の単有名義への更正 82 i

31. 持分のみの更正 84 32. 所有権移転から所有権一部移転への更正 86 33. 所有権一部移転から所有権移転への更正 88 34. 登記原因の更正 90 35. 保存登記の更正 94 36. 保存登記の更正 ( 区分建物の場合 ) 96 37. 所有権移転登記の抹消 98 38. 詐害行為取消判決による所有権抹消登記 100 39. 所有権保存登記の抹消 102 40. 買戻特約 104 41. 買戻権移転登記 106 42. 買戻権行使による所有権移転登記 108 43. 買戻期間満了による買戻権抹消登記 110 第 2 章抵当権 44. 抵当権設定登記 114 45. 抵当権設定登記 ( 取締役の債務を会社が担保する場合 ) 118 46. 保証委託契約による求償債権を担保する抵当権設定登記 120 47. 元本と利息を併せて担保する抵当権設定登記 122 48. 数個の債権を担保する抵当権設定登記 124 49. 債権の一部を担保する抵当権設定登記 126 50. 外貨表示の債権を担保する抵当権設定登記 128 51. 一定の金額の支払いを目的としない債権を担保する抵当権設定登記 130 52. 共同抵当権の設定登記 ( 同時設定 ) 132 53. 共同抵当権の設定登記 ( 追加設定 ) 134 54. 目的 原因 設定者が異なる共同抵当権設定登記 138 55. 債権譲渡による抵当権移転登記 142 56. 債権一部譲渡後にその債権を更に譲渡した場合の抵当権移転登記 144 57. 債権の持分譲渡による抵当権移転登記 146 58. 代位弁済による抵当権移転登記 148 59. 一部代位弁済による抵当権移転登記 150 60. 相続による抵当権移転登記 152 61. 合併による抵当権移転登記 154 62. 債権額の増額による抵当権変更登記 156 ii

63. 利息の元本組入による抵当権変更登記 158 64. 債権額の減少による抵当権変更登記 160 65. 一部弁済による抵当権変更登記 162 66. 抵当権一部移転後に移転を受けた債権者への弁済による抵当権変更登記 166 67. 抵当権一部移転後に原抵当権の債権の弁済による抵当権変更登記 168 68. 利息の特別登記による抵当権変更登記 170 69. 免責的債務引受による抵当権変更登記 172 70. 重畳的債務引受による抵当権変更登記 174 71. 債務者の相続による抵当権変更登記 176 72. 債務者の共同相続登記後の債務引受を原因とする抵当権変更登記 180 73. 債務者更改による抵当権変更登記 182 74. 抵当権の効力を所有権全部に及ぼす変更登記 186 75. 共有者の 1 人の持分につき抵当権が消滅した場合の抵当権変更登記 188 76. 債務者の氏名等の変更による抵当権変更登記 190 77. 順位変更登記 192 78. 順位変更登記の更正登記 196 79. 順位変更登記の抹消登記 198 80. 転抵当権の登記 200 81. 抵当権の譲渡の登記 204 82. 抵当権の放棄の登記 206 83. 抵当権の順位譲渡の登記 210 84. 抵当権の順位放棄の登記 212 85. 抵当権の一部の順位譲渡 ( 放棄 ) の登記 214 86. 抵当権の一部のための順位譲渡 ( 放棄 ) の登記 216 87. 債権全額の弁済による抵当権抹消登記 218 88. 権利混同による抵当権の抹消登記 220 89. 代物弁済による抵当権の抹消登記 222 90. 不動産登記法 70 条 3 項前段による抵当権抹消登記 224 第 3 章根抵当権 91. 根抵当権設定登記 228 92. 債務者が複数で各々債権の範囲が異なる根抵当権設定登記 232 93. 根抵当権者が複数で各々債権の範囲 債務者が異なる根抵当権設定登記 234 94. 共同根抵当権設定登記 ( 不動産ごとに原因日付が異なる場合 ) 236 iii

95. 共同根抵当権の追加設定登記 240 96. 極度額増額変更契約による根抵当権変更登記 242 97. 極度額減額変更契約による根抵当権変更登記 ( 共同根抵当権において順位番号 原因日付が異なる場合 ) 244 98. 減額請求 ( 民法 398 条の 21) による根抵当権変更登記 248 99. 債権の範囲の変更契約による根抵当権変更登記 250 100. 債務者の変更契約による根抵当権変更登記 252 101. 債務者の氏名等の変更による根抵当権変更登記 256 102. 確定期日の伸長による根抵当権変更登記 258 103. 確定期日の短縮による根抵当権変更登記 260 104. 確定期日の新設による根抵当権変更登記 262 105. 確定期日の廃止による根抵当権変更登記 264 106. 根抵当権の全部譲渡による根抵当権移転登記 266 107. 根抵当権の一部譲渡による根抵当権一部移転登記 268 108. 根抵当権の分割譲渡による根抵当権分割譲渡登記 270 109. 権利譲渡による共有者の権利移転登記 274 110. 権利放棄による共有者の権利移転登記 276 111. 根抵当権者の相続による根抵当権移転登記 280 112. 指定根抵当権者の合意による根抵当権変更登記 282 113. 指定根抵当権者の合意登記後の共同根抵当権追加設定登記 284 114. 債務者の相続による根抵当権変更登記 286 115. 指定債務者の合意による根抵当権変更登記 288 116. 指定債務者の合意登記後の共同根抵当権追加設定登記 290 117. 根抵当権者の合併による根抵当権移転登記 292 118. 根抵当権者の会社分割による根抵当権一部移転登記 294 119. 債務者の合併による根抵当権変更登記 296 120. 債務者の会社分割による根抵当権変更登記 298 121. 優先の定めの登記 300 122. 優先の定めの変更登記 302 123. 元本確定による根抵当権元本確定登記 304 124. 債権全部弁済による根抵当権抹消登記 310 125. 消滅請求による根抵当権抹消登記 312 iv

第 4 章仮登記 126. 所有権移転仮登記 (1 号仮登記 ) 320 127. 所有権移転請求権仮登記 (2 号仮登記 ) 322 128. 条件付所有権移転仮登記 324 129. 始期付所有権移転仮登記 326 130. 単独申請による所有権移転仮登記 ( 仮登記を命ずる処分 ) 328 131. 所有権以外の仮登記 ( 抵当権設定仮登記 ) 332 132.1 号仮登記された所有権の移転仮登記 334 133.1 号仮登記された所有権の移転請求権仮登記 336 134. 所有権移転請求権の移転登記 338 135. 所有権移転請求権の移転請求権仮登記 340 136.1 号仮登記された所有権を目的とする抵当権設定仮登記 344 137.1 号仮登記を 2 号仮登記に更正 346 138.2 号仮登記を 1 号仮登記に更正 348 139. 所有権の仮登記に基づく本登記 350 140. 所有権以外の仮登記に基づく本登記 ( 抵当権設定仮登記の本登記 ) 354 141. 仮登記の抹消登記 356 142. 仮登記名義人の単独申請による仮登記の抹消登記 358 143. 利害関係人の単独申請による仮登記の抹消登記 360 144. 利害関係人 ( 仮登記義務者 ) の単独申請による仮登記の抹消登記 362 145. 担保仮登記の本登記 364 第 5 章その他の登記 146. 登記名義人の氏名等の変更登記 370 147. 登記名義人の氏名等の更正登記 372 148. 登記名義人の氏名等の変更 更正登記 374 149. 仮処分による失効を原因とする所有権抹消登記 378 150. 仮処分による一部失効を原因とする所有権更正登記 380 151. 賃借権の先順位抵当権に優先する同意の登記 382 v

第 1 章 所有権 -1-

1. 表題部所有者名義の所有権保存登記 申請書の記載例 ( 法務省民事局の申請書様式による ) 登記申請書 登記の目的 所有権保存 所有者世田谷区深沢一丁目 3 番 2 号持分 3 分の1 A 豊島区南大塚三丁目 5 番 8 号 3 分の 2 B 添付情報住所証明情報変更を証する情報代理権限証明情報 平成 25 年 9 月 1 日法 74 条 1 項 1 号申請 法務局 代理人 課税価格 登録免許税 何市何町何丁目何番何号 C 印連絡先の電話番号 00-0000-0000 金 1,000 万円金 4 万円 不動産の表示 ( 省略 ) 登記記録の記録例 表題部 所有者豊島区南大塚三丁目 5 番 8 号持分 3 分の1 A 同所同番同号 3 分の2 B 権利部甲区 1 番所有権保存 平成 25 年 9 月 1 日受付第 23454 号 共有者世田谷区深沢一丁目 3 番 2 号持分 3 分の1 A 豊島区南大塚三丁目 5 番 8 号 3 分の2 B 所有権保存登記後の表題部表題部所有者の記録は抹消される ( 不登規 158 条 ) -2-

1. 意義所有権の登記のない不動産について 初めてされる所有権の登記である 表題登記と違って登記義務の強制がなく 所有権保存登記の申請は所有者の任意に任せられており 対抗問題を生じない限り 登記をしなくても何ら差し支えない 2. 登記申請手続ア目的 ( 不登 18 条 ) 所有権保存 と記載する イ申請人 ( 不登 18 条 ) 1 単独申請 ( 不登 74 条 ) 2 申請適格者 ( 不登 74 条 ) 以下に該当しない者は所有権保存登記の申請をすることができない ア表題部所有者 ( 同条 1 項 1 号 ) イ表題部所有者の相続人その他の一般承継人 ( 同条 1 項 1 号 ) ウ所有権を有することが確定判決によって確認された者 ( 同条 1 項 2 号 ) エ収用 ( 土地収用法その他の法律の規定による収用をいう 第 118 条第 1 項及び第 3 項から第 5 項までにおいて同じ ) によって所有権を取得した者 ( 同条 1 項 3 号 ) オ区分建物にあっては 表題部所有者から所有権を取得した者 ( 同条 2 項 ) 3 共有不動産について所有権保存登記を申請する場合には 持分を冠記する ( 不登令 3 条 9 号 ) ウ添付情報 1 住所証明情報 ( 不登令別表 28 添ニ ) 2 代理権限証明情報 ( 不登令 7 条 1 項 2 号 ) 3 変更 更正を証する情報申請書に記載する所有者の表示が住所変更 更正等により表題部に記録された所有者の表示と合致しない場合に 同一性を証する書面を添付すれば所有権保存登記の前提として表題部所有者の表示変更 更正登記を申請する必要はない エ根拠法令 ( 不登令別表 28 申イ ) 保存登記の場合は根拠法令をも記載する オ課税価格 登録免許税 ( 不登規 189 条 1 項 ) 不動産の課税価格に1000 分の4を乗じた額 ( 登税別表第 1.1.(1)) を納付する -3-

2. 表題部所有者名義の所有権保存登記 ( 共有者の 1 人からの申請 ) 登記の目的 所有権保存 所有者豊島区南大塚三丁目 5 番 8 号 ( 住民票コード 01234567890) ( 申請人 ) 持分 3 分の 1 A 同所同番同号 3 分の 2 B 添付情報 住所証明情報代理権限証明情報 平成 25 年 9 月 1 日法 74 条 1 項 1 号申請 法務局 課税価格 登録免許税 金 1,000 万円 金 4 万円 登記記録の記録例 表題部 所有者豊島区南大塚三丁目 5 番 8 号持分 3 分の1 A 同所同番同号 3 分の2 B 権利部甲区 1 番所有権保存 平成 25 年 9 月 1 日受付第 23454 号 共有者豊島区南大塚三丁目 5 番 8 号持分 3 分の1 A 同所同番同号 3 分の2 B -4-

1. 意義申請人が数人いる場合には 共有者全員が共同してあるいは共有者の1 人が全員のために 共有物の保存行為として ( 民 252 条ただし書 ) 保存登記を申請することができる ただし 共有者の1 人が自己の持分についてのみの保存登記を申請することはできない ( 明 32.8.8-1311 号 ) 2. 登記申請手続ア申請人 ( 不登 18 条 ) 申請人になる者の氏名の上に ( 申請人 ) と記載する イ添付情報 1 代理権限証明情報 ( 不登令 7 条 1 項 2 号 ) 具体的に申請人になる者のみの委任状を添付する 2 住所証明情報 ( 不登令別表 28 添ニ ) 住民票コード ( 住民台 7 条 13 号 ) を記載した場合は 添付情報として住所証明情報 ( 住民票の写し ) の提出を省略することができる ( 不登令 9 条 不登規 36 条 4 項 登研 686 号 417 頁参照 ) 所有者全員の住民票コードを記載した場合は 住所証明情報 と記載する必要はない ( 登研 686 号 416 頁参照 ) -5-

3. 相続人名義の所有権保存登記 登記の目的 所有権保存 所 有 者 ( 被相続人 A) 何市何町何丁目何番何号 C 添付情報 住所証明情報 一般承継を証する情報 代理権限証明情報 平成 25 年 9 月 9 日法 74 条 1 項 1 号申請 法務局 課税価格 登録免許税 金 1,000 万円 金 4 万円 登記記録の記録例表題部所有者何市何町何丁目何番何号 A 権利部甲区 1 番所有権保存平成 25 年 9 月 9 日受付第 23478 号所有者何市何町何丁目何番何号 C 甲区には申請人である表題部所有者の相続人が記録される -6-

1. 意義表題部所有者が死亡して相続が開始した場合 表題部所有者の相続人は直接自己名義に所有権保存登記を申請することができる ( 不登 74 条 1 項 1 号後段 ) 2. 登記申請手続ア申請人 ( 不登 18 条 ) 1 所有者 として相続人全員の住所 氏名と各持分を記載して 被相続人の氏名のみを括弧書きする 2 相続人が数人いる場合に保存登記未了の間に 他の相続人が相続放棄をしたり 遺産分割協議により特定の相続人が当該不動産を取得した場合に その不動産を取得した相続人は 直接自己名義に保存登記を申請することができる 3 包括受遺者はここでいう相続人に含まれないので 直接自己名義に保存登記を申請することはできず いったん遺贈者名義に保存登記をした後 遺贈を原因として受遺者名義に移転登記をする イ添付情報 1 一般承継を証する情報 ( 不登令別表 28 添イ ) 申請人たる相続人が当該不動産を相続したことを証する相続証明書の添付を要する -7-

4. 合併会社名義の所有権保存登記 登記の目的 所有権保存 所 有 者 ( 被合併会社 A 株式会社 ) 何市何町何丁目何番何号 B 株式会社代表取締役 X 添付情報 住所証明情報 一般承継を証する情報 資格証明情報 代理権限証明情報 平成 25 年 9 月 9 日法 74 条 1 項 1 号申請 法務局 課税価格 登録免許税 金 1,000 万円 金 4 万円 登記記録の記録例表題部所有者何市何町何丁目何番何号 A 株式会社権利部甲区 1 番所有権保存平成 25 年 9 月 9 日受付第 23478 号所有者何市何町何丁目何番何号 B 株式会社 甲区には申請人である表題部所有者の新設 ( 存続 ) 会社が記録される -8-

1. 意義表題部所有者である法人に合併が生じた場合 一般承継人として 合併後の存続法人 新設法人名義に直接申請することができる ( 不登 74 条 1 項 1 号後段 ) 2. 登記申請手続ア申請人 ( 不登 18 条 ) 1 所有者 として新設又は存続会社の本店 商号を記載して 被合併会社の商号のみを括弧書きする 2 申請人が法人であるときは その代表者の氏名が 申請情報の内容となる ( 不登令 3 条 2 号 ) イ添付情報 1 住所証明情報 ( 不登令別表 28 添ニ ) 申請人である会社の登記事項証明書を添付する 2 一般承継を証する情報 ( 不登令別表 28 添イ ) 申請人である会社の登記事項証明書を添付する 3 資格証明情報 ( 不登令 7 条 1 項 1 号 ) 法人が申請人の場合 代表者の資格証明情報を添付する 4 代理権限証明情報 ( 不登令 7 条 1 項 2 号 ) 3. 参考表題部所有者が保存登記をする前に死亡した場合 相続人名義で保存登記をすることもできるが 相続人から表題部所有者である被相続人名義で保存登記をすることもできる 申請人としては 登記記録に所有者として記録されるのは 相続人でなく表題部所有者である被相続人であるので 亡 と冠記し表題部所有者の氏名 住所を記載し 相続人からの申請になるので 相続人 と冠記をして相続人を記載する 住所証明書としては 表題部所有者である被相続人の住民票の除票の写し等を添付する 登記の目的 所有権保存 所 有 者 何市何町何丁目何番何号 ( 被相続人 ) 亡 A 申請人 ( 相続人 ) 何市何町何丁目何番何号 B 添付情報 住所証明情報 一般承継を証する情報 代理権限証明情報 平成 25 年 9 月 9 日法 74 条 1 項 1 号申請 法務局 課税価格 金 1,000 万円 登録免許税 金 4 万円 甲区には表題部所有者である被相続人が記録される -9-

5. 数次相続人名義の所有権保存登記 登記の目的 所有権保存 所 有 者 ( 被相続人 A) ( 上記相続人亡 B) 何市何町何丁目何番何号持分 2 分の1 C 何市何町何丁目何番何号 2 分の1 D 添付情報 住所証明情報 一般承継を証する情報 代理権限証明情報 平成 25 年 10 月 9 日法 74 条 1 項 1 号申請 法務局 課税価格 登録免許税 金 1,000 万円 金 4 万円 登記記録の記録例表題部所有者何市何町何丁目何番何号 A 権利部甲区 1 番所有権保存平成 25 年 10 月 9 日受付第 23478 号共有者何市何町何丁目何番何号持分 2 分の1 C 何市何町何丁目何番何号 2 分の1 D -10-

1. 意義表題部に被相続人が所有者として記録されている場合にはその相続人は直接自己名義に所有権保存登記を申請することができる ( 不登 74 条 1 項 1 号後段 ) この被相続人には申請人の直接の被相続人のみならず 被相続人の相続人も含むので 表題部所有者から数次にわたって相続があった場合には 現在の相続人は直接自己名義に保存登記することができる 2. 登記申請手続ア申請人 ( 不登 18 条 ) 数次相続人の単独申請である 所有者 として数次相続人全員の住所 氏名と各持分を記載して 被相続人の氏名を括弧書きする さらに数次相続の場合には各相続の経緯を明らかにするために被相続人の氏名のほか中間相続人の氏名をも括弧書きする イ添付情報 1 一般承継を証する情報 ( 不登令別表 28 添イ ) 申請人たる数次相続人が不動産を相続により表題部所有者から取得したことを証する戸籍謄本 ( 戸籍全部事項証明書 ) 等を添付する 関連事項 1. 保存登記の名義人表題部所有者が持分 2 分の1A 持分 2 分の1 甲において 下記相続関係説明図のような数次相続があった場合の保存登記における共有名義の種類 A B H8.9.1 死亡 H10.4.6 死亡 甲乙 C D 丙丁 H9.8.2 死亡 H11.2.1 死亡 保存登記における共有名義の組合せは下記のとおりである 1C D 丙 丁名義の保存登記 2C D 乙名義の保存登記 3B 丙 丁名義の保存登記 4B 乙名義の保存登記 5A 丙 丁名義の保存登記 6A 乙名義の保存登記 7 甲 C D 名義の保存登記 8 甲 B 名義の保存登記 9A 甲名義の保存登記 -11-

6. 判決による所有権保存登記 登記の目的 所有権保存 所 有 者 何市何町何丁目何番何号 C 添付情報 住所証明情報所有権を有することが確定判決によって確認されたことを証する情報代理権限証明情報 平成 25 年 7 月 20 日法 74 条 1 項 2 号申請 法務局 課税価格 登録免許税 金 1,000 万円 金 4 万円 登記記録の記録例表題部所有者何市何町何丁目何番何号 A 権利部甲区 1 番所有権保存平成 25 年 7 月 20 日受付第 18378 号所有者何市何町何丁目何番何号 C -12-

1. 意義判決により自己の所有権を証明する者は直接自己名義に所有権保存登記を申請することができる ( 不登 74 条 1 項 2 号 ) 判決によって所有権を有することが確定していて所有者に間違いないからである ここでいう判決は 確認判決 給付判決 形成判決 確定判決と同一の効力を有する和解調書 調停調書 審判書等でもよい 判決による保存登記は 表題登記のない不動産についてもすることができる ( 不登 75 条 ) この場合は登記官が職権により表題登記をする( 不登規 157 条 ) 2. 登記申請手続ア添付情報 1 所有権を有することが確定判決によって確認されたことを証する情報 ( 不登令別表 28 添ロ ) 必要なる証明書類として判決正本又は謄本を添付する 判決は確定していなければならないので 確定証明書も添付する 申請適格を証するために添付するのであり登記原因証明情報とはならない 3. 重要先例 不動産登記法 74 条 1 項 2 号の判決により自己名義で所有権の保存登記を申請する場合 申請情報に添付すべき判決は 表題部に所有者として記載されている者全員を被告とするものでなければならない ( 平 10.3.20-552 号 ) -13-

7. 敷地権付き区分建物の所有権保存登記 登記の目的 所有権保存 原因平成 25 年 7 月 20 日売買 所 有 者 何市何町何丁目何番何号 A 添付情報 登記原因証明情報 住所証明情報 承諾を証する情報 代理権限証明情報 平成 25 年 7 月 20 日法 74 条 2 項申請 法務局 課税価格 登録免許税 建物金 1,000 万円敷地権 ( 所有権 ) 金 500 万円 ( 地上権 ) 金 300 万円 建物金 4 万円敷地権 ( 所有権 ) 金 10 万円 ( 地上権 ) 金 3 万円合計金 17 万円 登記記録の記録例表題部 ( 一棟の建物の表示 ) 敷地権の目的たる土地の表示 1 世田谷区深沢一丁目 3 番 28 宅地 625.78m2 2 世田谷区深沢一丁目 3 番 29 宅地 225.45m2表題部 ( 専有部分の建物の表示 ) 敷地権の表示 1 所有権 100 分の5 2 地上権 100 分の5 所有者何市何町何丁目何番何号 B 株式会社権利部甲区 1 番所有権保存平成 25 年 7 月 20 日受付第 18378 号原因平成 25 年 7 月 20 日売買所有者何市何町何丁目何番何号 A 各区分建物の表題部には敷地権の表示がなされている 1. 意義区分建物については表題部所有者から直接所有権を譲り受けた者が保存登記を申請することができる ( 不登 74 条 2 項 ) -14-

2. 登記申請手続ア登記原因及びその日付 ( 不登令 3 条 6 号 ) 登記原因及びその日付を記載する ( 不登令 3 条 6 号 ) 原則として 敷地権にも同一の登記原因による相当の登記たる効力を有するので 敷地権についての移転原因を示すためである イ申請人 ( 不登 18 条 ) 1 単独申請敷地権の移転の効力を有する場合でも 所有権保存登記であるため 敷地権の移転義務を負う者は登記義務者とならず 表題部所有者から直接譲り受けた者の単独申請である ウ添付情報 1 登記原因証明情報 ( 不登令別表 29 添ロ ) 2 敷地権の登記名義人の承諾を証する情報 ( 不登令別表 29 添ロ ) エ課税価格建物 敷地権の種類により登録免許税の税率が異なる場合は税率を異にするものごとに各別に記載する オ登録免許税 ( 不登規 189 条 1 項 ) 敷地権付きの区分建物の不動産登記法 74 条 2 項の保存登記の場合には 区分建物の保存登記と敷地権の移転登記分についての登録免許税を納付しなければならない よって 専有部分については 保存登記分として 課税価格に1000 分の4を乗じたもの ( 登税別表第 1.1.(1)) 敷地権が所有権の場合には 売買による移転登記分として 課税価格に1000 分の20を乗じたもの ( 登税別表第 1.1.(2) ハ ) 敷地権が地上権 賃借権の場合には 売買による移転登記分として 課税価格に1000 分の10を乗じたもの ( 登税別表第 1.1.(3) ニ ) を納付する 例えば 建物の価格が金 1,000 万円 敷地権 ( 所有権 ) の目的である土地の価格が金 1 億円 敷地権 ( 地上権 ) の目的である土地の価格が金 6,000 万円であり 租税特別措置法による税の減免の規定の適用はないものとすると 1 建物金 1,000 万円 4/1000= 金 4 万円 2 敷地権 ( 所有権 ) 金 1 億円 5/100 20/1000= 金 10 万円 3 敷地権 ( 地上権 ) 金 6,000 万円 5/100 10/1000= 金 3 万円合計 1+2+3= 金 17 万円となる 3. 参考 ( 敷地権の表示のない区分建物の所有権保存登記 ) 敷地権の表示のない区分建物についても表題部所有者から直接所有権を譲り受けた者が保存登記を申請することができる ( 不登 74 条 2 項 ) この保存登記は 実質は区分建物の所有権移転登記であるが 敷地権利用権の移転を伴わない したがって 原因 -15-

及びその日付の記載を要しない ( 不登令別表 29 添ロ参照 ) 登記の目的 所有権保存 所 有 者 何市何町何丁目何番何号 A 添付情報 所有権を取得したことを証する情報 住所証明情報 代理権限証明情報 平成 25 年 7 月 20 日法 74 条 2 項申請 法務局 課税価格 金 円 登録免許税 金 円 資料 1. 不動産登記法 74 条 2 項の敷地権の表示の登記のある区分建物と敷地権の表示の登 記のない区分建物の保存登記の添付情報の比較 添 付 情 報 敷地権の表示あり 敷地権の表示なし 登記原因証明情報 所有権を取得したことを証する情報 ( 注 ) 敷地権の登記名義人の承諾を証する情報 住所証明情報 登記識別情報 ( 注 ) 登記原因証明情報に含まれる ( 不登令別表 29 添ロ ) 関連事項 2. 保存登記の申請形態 1 表題登記のない不動産をAからBが取得した場合 ア. 非区分建物の場合 原始取得者表題登記保存登記移転登記 1.A A A B ( 不登 74 条 1 項 1 号前段 ) 2.A B B ( 不登 74 条 1 項 1 号前段 ) 3.A A B ( 不登 74 条 1 項 1 号後段 2 号 3 号 ) 4.A B ( 不登 74 条 1 項 2 号 3 号 ) イ. 敷地権なしの区分建物の場合 原始取得者表題登記保存登記移転登記 1.A A A B ( 不登 74 条 1 項 1 号前段 ) 2.A A B ( 不登 74 条 1 項 1 号後段 2 号 3 号 ) 3.A B ( 不登 74 条 1 項 2 号 3 号 ) 4.A A B ( 不登 74 条 2 項 ) -16-

区分建物は 常に原始取得者からの表題登記となる ( 不登 47 条 1 項参照 ) ウ. 敷地権付き区分建物の場合 原始取得者表題登記保存登記移転登記 1.A A A B ( 不登 74 条 1 項 1 号前段 ) 2.A A B ( 不登 74 条 2 項 ) 2Aに表題登記のある不動産を表題登記前にAからBが取得した場合 ア. 非区分建物の場合 表題登記保存登記移転登記 1.A ( 更正 ) 表題登記では主体が入れ代わる更正も可 B B ( 不登 74 条 1 項 1 号前段 ) 2.A A B ( 不登 74 条 1 項 1 号前段 ) 3.A B ( 不登 74 条 1 項 1 号後段 2 号 3 号 ) イ. 敷地権なしの区分建物の場合 表題登記保存登記移転登記 1.A A B ( 不登 74 条 1 項 1 号前段 ) 2.A B ( 不登 74 条 1 項 1 号後段 2 号 3 号 2 項 ) ウ. 敷地権付き区分建物の場合 表題登記保存登記移転登記 1.A A B ( 不登 74 条 1 項 1 号前段 ) 2.A B ( 不登 74 条 2 項 ) 3Aに表題登記のある不動産を表題登記後にAからBが取得した場合 ア. 非区分建物の場合 表題登記保存登記移転登記 1.A A B ( 不登 74 条 1 項 1 号前段 ) 2.A B ( 不登 74 条 1 項 1 号後段 2 号 3 号 ) イ. 敷地権なしの区分建物の場合 表題登記保存登記移転登記 1.A A B ( 不登 74 条 1 項 1 号前段 ) 2.A B ( 不登 74 条 1 項 1 号後段 2 号 3 号 2 項 ) ウ. 敷地権付き区分建物の場合 表題登記保存登記移転登記 1.A A B ( 不登 74 条 1 項 1 号前段 ) 2.A B ( 不登 74 条 2 項 ) -17-

8. 売買による所有権移転登記 登記の目的 所有権移転 原因平成 25 年 9 月 20 日売買 権 利 者 何市何町何丁目何番何号 株式会社 B 代表取締役 X 義 務 者 何市何町何丁目何番何号 A 添付情報 登記原因証明情報 登記識別情報 印鑑証明書 住所証明情報 資格証明情報 代理権限証明情報 課税価格 登録免許税 金 1,000 万円 金 20 万円 登記記録の記録例権利部甲区 2 番所有権移転平成 17 年 11 月 7 日受付第 34537 号原因平成 17 年 11 月 7 日売買所有者何市何町何丁目何番何号 A 3 番所有権移転平成 25 年 9 月 20 日受付第 27646 号原因平成 25 年 9 月 20 日売買所有者何市何町何丁目何番何号株式会社 B -18-

1. 登記申請手続ア登記の目的 ( 不登 18 条 ) 所有権全部の移転であるので 所有権移転 と記載する イ登記原因及びその日付 ( 不登令 3 条 6 号 ) 所有権が移転した日付で 年月日売買 と記載する 当事者の特約がある場合には 特約日 売買予約に基づく場合には 予約完結権行使の日 停止条件付の場合には 条件成就の日にそれぞれ所有権が移転するのでその日付を記載する 農地を売買する場合には 売買契約後に農地法の許可書が到達したときは 許可書到達日が原因日付となる 農地法の許可の要否許可必要売買 合意解除 特定遺贈 共有物分割 買戻権行使等許可不要法定解除 包括遺贈 共有持分放棄 相続 時効取得等ウ添付情報 1 登記原因証明情報 ( 不登令別表 30 添イ ) 2 登記識別情報 ( 不登 22 条 ) 3 印鑑証明書 ( 不登令 18 条 2 項 ) 4 住所証明情報 ( 不登令別表 30 添ロ ) 5 資格証明情報 ( 不登令 7 条 1 項 1 号 ) 6 代理権限証明情報 ( 不登令 7 条 1 項 2 号 ) エ課税価格 登録免許税 ( 不登規 189 条 1 項 ) 不動産の課税価格に1000 分の20を乗じたもの ( 登税別表第 1.1(2) ハ ) を納付する 関連事項 3. 売買契約後の農地法の許可と当事者の死亡 A 売買 甲 相 相 続 続 B 乙 Aが甲に農地を売却した場合に農地法の許可と相続の前後関係の下記の各事例につい て検討をしてみよう (1)1Aから甲への売買 2 農地法の許可申請 3Aが死亡しBが相続 4 農地法の許可書到達 5 甲が死亡し乙が相続した場合の登記申請売主死亡から許可書到達までの間は 売主の相続人に所有権がいったん帰属する -19-

ので 1 相続を原因としてBへの所有権移転登記を申請し 売主死亡後に許可書が到達した場合でも 許可は有効であり 売主の相続人にもその効力が及ぶので 2 許可書到達日を原因とする甲への所有権移転登記を申請し その後に3 相続を原因として乙への所有権移転登記をする Aから乙への直接の所有権移転登記は中間省略登記となるので申請できない ( 昭 40.3.30-309 号 ) (2)1Aから甲への売買 2Aが死亡しBが相続 3 農地法の許可申請 4 農地法の許可書到達 5 甲が死亡し乙が相続した場合の登記申請売主が許可申請をすることなく死亡した場合には 売主の相続人は 売買契約に基づく 農地の所有権移転義務を承継しているので 義務の一内容である農地法の許可の申請をし 所有権移転登記をする事になる 売主死亡から許可書到達までの間は 売主の相続人に所有権がいったん帰属するので 1 相続を原因としてBへの所有権移転登記を申請し 2 許可書到達日を原因として甲への所有権移転登記を申請し その後に3 相続を原因として乙への所有権移転登記をする (3)1Aから甲への売買 2 農地法の許可申請 3 甲が死亡し乙が相続 4 農地法の許可書が到達した場合の登記申請農地の譲受人である死者に対してなされた 農地法 3 条の許可は無効で その相続人に許可の効力が及ぶことはなく 所有権移転登記の申請をすることはできない ( 昭 51.8.3-4443 号 ) なお 農地法 5 条について明らかにした先例はない -20-

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9. 所有権一部移転登記 ( 共有物不分割の定めがある場合 ) 登記の目的 所有権一部移転 原因平成 25 年 9 月 20 日売買 特約 5 年間共有物不分割 権 利 者 何市何町何丁目何番何号 持分 2 分の1 株式会社 B 代表取締役 X 義 務 者 何市何町何丁目何番何号 A 添付情報 登記原因証明情報 登記識別情報 印鑑証明書 住所証明情報 資格証明情報 代理権限証明情報 課税価格 登録免許税 移転した持分の価格金 500 万円 金 10 万円 登記記録の記録例権利部甲区 1 番省略 2 番所有権移転平成 17 年 11 月 7 日受付第 34537 号原因平成 17 年 11 月 7 日売買所有者何市何町何丁目何番何号 A 3 番所有権一部移転平成 25 年 9 月 20 日受付第 27646 号原因平成 25 年 9 月 20 日売買特約 5 年間共有物不分割共有者何市何町何丁目何番何号持分 2 分の1 B 株式会社 -22-

1. 登記申請手続ア登記の目的 ( 不登 18 条 不登令 3 条 11 号ホ ) A 1/2A 1/2B 所有権一部移転 1/3A 1/3B 1/3C D 共有者全員持分全部移転 1/3A 1/3B 1/3C 1/3C 2/3D 1/2A 1/2B 1/4A 1/2B 1/4C A B 持分全部移転 又は Cを除く共有者全員持分全部移転 A 持分一部移転 1/2A 1/2B 1/3A 1/3B 1/3C A 持分 6 分 1 B 持分 6 分の1 移転 数回にわたり取得した持分のうち一部を移転する場合 所有権一部( 順位 番で登記した持分 ) 移転 A 持分一部 ( 順位 番で登記した持分 ) 移転 A 持分一部 ( 順位 番で登記した持分一部 ) 移転 イ共有物不分割の定め所有権一部移転登記を申請する場合に 共有物分割禁止の定めがあるときは 申請書に記載することを要する ( 不登令 3 条 11 号ニ 不動産登記記録例 ( 平 21.2.20-500 号 )200 以下 記録例 と呼ぶ ) ウ申請人 ( 不登 18 条 ) 権利の一部移転登記を申請する場合には 氏名の上に移転する持分を冠記する ( 不登令 3 条 11 号ホ ) 申請人が法人であるときは その代表者の氏名が 申請情報の内容となる ( 不登令 3 条 2 号 ) エ課税価格不動産の全体の課税価格に移転する持分割合をかけた額を課税価格とし 移転した持分の価格 と冠記する -23-

比較 1. 権利消滅の定めがなされた場合の登記記録の記録例 権利部甲区 1 番省略 2 番所有権移転平成 17 年 11 月 7 日受付第 34537 号原因平成 17 年 11 月 7 日売買所有者何市何町何丁目何番何号 A 3 番所有権移転平成 25 年 9 月 20 日受付第 27646 号原因平成 25 年 9 月 20 日売買所有者何市何町何丁目何番何号 B 付記 1 号 3 番所有権移転失効の定買主 Bが死亡した時は所有権移転が失効する平成 25 年 9 月 20 日付記権利消滅の定めの登記は 権利移転の登記に付記してなされる ( 不登規 3 条 6 号 ) また 権利消滅の定めは原因行為の時にその一部として定めて 所有権移転登記の申請書に記載して登記しなければならず 後日 権利消滅の定めのみの登記申請はすることができない -24-

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10. 相続人から申請する所有権移転登記 登記の目的 所有権移転 原因平成 24 年 12 月 15 日売買 権 利 者 何市何町何丁目何番何号亡 B 何市何町何丁目何番何号上記相続人 E 何市何町何丁目何番何号上記相続人 F 義 務 者 何市何町何丁目何番何号亡 A 相続人 C 何市何町何丁目何番何号亡 A 相続人 D 添付情報 登記原因証明情報 登記識別情報 印鑑証明書 一般承継を証する情報 住所証明情報 代理権限証明情報 課税価格 登録免許税 金 1,000 万円 金 20 万円 登記記録の記録例甲区 2 番所有権移転平成 17 年 11 月 7 日受付第 34537 号原因平成 17 年 11 月 7 日売買所有者何市何町何丁目何番何号 A 3 番所有権移転平成 25 年 4 月 4 日受付第 10478 号原因平成 24 年 12 月 15 日売買所有者何市何町何丁目何番何号 B -26-

1. 意義売買契約成立後 売主が死亡した場合には 被相続人が生前に売買した不動産は買主に所有権が移転をしているので 相続財産とはならず 相続人に所有権は移転せず 相続人は被相続人の登記申請義務を承継し 被相続人に代わって 買主への所有権移転登記をする 買主が死亡した場合には いったん被相続人に所有権が移転し その後相続人に移転しているので 直接相続人名義に所有権移転登記をすることはできず 登記申請義務を承継した相続人から被相続人に代わって 被相続人名義への所有権移転登記をして その後 相続人名義の所有権移転登記をすることになる 2. 登記申請手続ア申請人 ( 不登 18 条 ) 1 登記権利者登記権利者が死亡して 相続人が数人いる場合には 保存行為として ( 民 252 条ただし書 ) 相続人の1 人から相続人全員のために登記を申請することができる 2 登記義務者登記義務者が死亡して 相続人が数人いる場合には必ず相続人全員が申請人とならなければならない ( 昭 27.8.23-74 号 ) 積極財産について相続分のない特別受益者も 相続人であり 登記義務を承継するので申請人となる イ添付情報 1 登記原因証明情報 ( 不登令別表 30 添イ ) 2 登記識別情報 ( 不登 22 条 ) 3 印鑑証明書 ( 不登令 18 条 2 項 ) 登記義務者全員 ( 所有権登記名義人の相続人全員 ) の印鑑証明書を添付する 4 一般承継を証する情報 ( 不登令 7 条 1 項 5 号イ ) 申請人適格を証するために 相続人であることを証する戸籍謄本 ( 戸籍全部事項証明書 ) 等を添付する 5 住所証明情報 ( 不登令別表 30 添ロ ) 登記権利者 ( 買主 ( 被相続人 )) の住民票の除票の写し等を添付する -27-

11. 敷地権付き区分建物の所有権移転登記 ( 親子間の売買 ) 登記の目的 所有権移転 原因平成 25 年 6 月 8 日売買 権 利 者 何市何町何丁目何番何号 B 義 務 者 何市何町何丁目何番何号 A 添付情報 登記原因証明情報 登記識別情報 印鑑証明書 住所証明情報 代理権限証明情報 課税価格 登録免許税 建物及び敷地権 ( 所有権 ) 金 1,400 万円敷地権 ( 地上権 ) 金 240 万円 建物及び敷地権 ( 所有権 ) 金 28 万円敷地権 ( 地上権 ) 金 2 万 4,000 円合計金 30 万 4,000 円 登記記録の記録例表題部 ( 一棟の建物の表示 ) 敷地権の目的たる土地の表示 1 世田谷区深沢一丁目 3 番 28 宅地 625.78m2 2 世田谷区深沢一丁目 3 番 29 宅地 225.45m2表題部 ( 専有部分の建物の表示 ) 敷地権の表示 1 所有権 100 分の4 2 地上権 100 分の4 権利部甲区 2 番所有権移転平成 17 年 8 月 12 日受付第 24357 号原因平成 17 年 8 月 12 日売買所有者何市何町何丁目何番何号 A 3 番所有権移転平成 25 年 11 月 4 日受付第 15648 号原因平成 25 年 6 月 8 日売買所有者何市何町何丁目何番何号 B Aは未成年者であり 親権者はB Cである -28-

1. 意義専有部分と敷地利用権が分離して処分ができない旨の登記がされた場合 売買を原因とする所有権移転の登記は 区分建物に 売買 を登記原因とする所有権移転登記をすれば 敷地権についても同一の登記原因による登記をしたのと同一の効力を認めることになるので 土地の登記記録にする必要はない ( 不登 73 条 1 項 ) 2. 登記申請手続ア申請人 1 利益相反行為親権者と未成年の子との間で利益が相反する行為については 特別代理人を選任し 親権者に代わって代理権 同意権を行使する ( 民 826 条 ) 親権者と未成年の子と間で売買契約を締結する場合には 子が売主 買主の場合でも 利益相反行為となる 2 特別代理人共同親権者の一方と利益相反行為となる場合には 特別代理人の選任を要し その特別代理人と利益相反とならない親権者とが共同して未成年の子を代理する 登記の申請は 特別代理人 親権者又は未成年の子のいずれがしてもよい ( 昭 32.4.13-379 号 ) イ添付情報 1 印鑑証明書 ( 不登令 18 条 2 項 ) 特別代理人から申請する場合には 特別代理人の印鑑証明書を添付する 親権者から申請する場合には 利益相反しない親権者のみの印鑑証明書を添付する 2 代理権限証明情報 ( 不登令 7 条 1 項 2 号 ) 特別代理人から申請する場合は 委任状の他に特別代理人の資格を証する選任審判書をも添付する 親権者から申請する場合には 委任状の他に親権を証する戸籍謄本 特別代理人の印鑑証明書及び選任審判書を添付する ウ課税価格 登録免許税 ( 不登規 189 条 1 項 ) 税率が異なるものごとに課税価格を記載する 敷地権付きの区分建物の場合には 区分建物と敷地権の移転登記分について 登録免許税を納付しなければならない 区分建物については課税価格に1000 分の20を乗じたもの ( 登税別表第 1.1.(2) ハ ) 敷地権については 所有権の場合には 売買による移転登記分として 課税価格に1000 分の20を乗じたもの ( 登税別表第 1.1.(2) ハ ) 敷地権が地上権 賃借権の場合には 売買による移転登記分として 課税価格に1000 分の10を乗じたもの ( 登税別表第 1.1.(3) ニ ) を納付する -29-

12. 持分の一部が権利の目的となっている持分移転 (1) 権利の目的となっている部分 ( 最初に申請する登記 ) 登記の目的 所有権一部 ( 順位 3 番で登記した持分 ) 移転 原因平成 25 年 11 月 4 日売買 権 利 者 何市何町何丁目何番何号 持分 3 分の2 D 義 務 者 何市何町何丁目何番何号 B 添付情報 登記原因証明情報 登記識別情報 印鑑証明書 住所証明情報 代理権限証明情報 課税価格 登録免許税 移転した持分の価格金 2,000 万円 金 40 万円 (2) 権利の目的となっていない部分 (2 番目に申請する登記 ) 登記の目的 B 持分全部移転 原因平成 25 年 11 月 4 日売買 権 利 者 何市何町何丁目何番何号 持分 3 分の1 D 義 務 者 何市何町何丁目何番何号 B 添付情報 登記原因証明情報 登記識別情報 印鑑証明書 住所証明情報 代理権限証明情報 課税価格 登録免許税 移転した持分の価格金 1,000 万円 金 20 万円 -30-

登記記録の記録例 権利部 甲区 2 番所有権移転 平成 16 年 6 月 7 日受付第 26537 号 原因平成 16 年 6 月 7 日売買 所有者何市何町何丁目何番何号 A 3 番所有権一部移転 平成 17 年 6 月 5 日受付第 25767 号 原因平成 17 年 6 月 5 日売買 共有者何市何町何丁目何番何号持分 3 分の2 B 4 番 A 持分全部移転 平成 19 年 10 月 5 日受付第 38767 号 原因平成 19 年 10 月 5 日売買 所有者何市何町何丁目何番何号持分 3 分の1 B 5 番所有権一部 ( 順位 3 番で登記した持分 ) 移転 平成 25 年 11 月 6 日受付第 15763 号 原因平成 25 年 11 月 4 日売買 共有者何市何町何丁目何番何号持分 3 分の2 D 6 番 B 持分全部移転 平成 25 年 11 月 6 日受付第 15764 号 原因平成 25 年 11 月 4 日売買 所有者何市何町何丁目何番何号持分 3 分の1 D 乙区 1 番 B 持分抵当権設定 平成 18 年 11 月 7 日受付第 34538 号 原因平成 18 年 11 月 7 日保証委託契約による求償債権同日設定 債権額金 2,000 万円 利息年 15% 損害金年 20% 債務者何市何町何丁目何番何号 B 抵当権者何市何町何丁目何番何号 C 株式会社 1. 意義持分を目的とする第三者の権利に関する登記がある場合にする所有権移転登記は 第三者の権利の目的である部分と何ら負担のない部分とに分けて移転登記をしなければならない ( 昭 37.1.11-2 号 昭 37.6.28-1748 号 ) 移転する部分が第三者の権利の目的であるか否かは重要であり 1 通の申請書で登記を認めると 後日第三者の権利の目的部分を登記記録上特定することが困難になり 不動産取引において混乱を生ずるからである -31-

2. 重要先例 数人の共有の不動産について第三者への所有権移転の登記を申請する場合において その登記原因が同一である限り 不動産登記令 4 条ただし書を適用し 一の申請情報をもって登記の申請をすることができる ( 昭 35.5.18-1186 号 ) 数人の共有する不動産を共有者以外の者が共有者全員から取得した場合 又は共有者の1 人が他の共有者から持分の全部若しくは一部を取得した場合における登記は 便宜 一の申請情報により1 個の登記で所有権移転の登記又は持分移転の登記をして差し支えないが 第三者の権利に関する登記 ( 処分制限の登記 ) がなされている持分の移転については 別個の申請情報により各別に登記すべきである ( 昭 37.1.23-112 号 ) 抵当権等の担保権の目的となっている持分とその目的となっていない持分を相続した場合において 相続人の持分のうち担保権の目的となっていない持分のみを移転したときは 登記の目的を 何某持分一部 ( 順位何番から移転した持分 ) 移転 の振合いにより当該部分を特定し 持分一部移転登記を申請することができる ( 平 11.7.14-1414 号 ) -32-

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13. 共有物分割による所有権移転登記 登記の目的 B 持分全部移転 原因平成 25 年 11 月 6 日共有物分割 権 利 者 何市何町何丁目何番何号 持分 3 分の1 A 義 務 者 何市何町何丁目何番何号 B 添付情報 登記原因証明情報 登記識別情報 印鑑証明書 住所証明情報 代理権限証明情報 課税価格 登録免許税 移転した持分の価格金 333 万 3,000 円 金 6 万 6,600 円 登記記録の記録例権利部甲区 2 番所有権移転平成 17 年 6 月 7 日受付第 26537 号原因平成 17 年 6 月 7 日売買共有者何市何町何丁目何番何号持分 3 分の2 A 何市何町何丁目何番何号 3 分の1 B 3 番 B 持分全部移転平成 25 年 11 月 11 日受付第 45876 号原因平成 25 年 11 月 6 日共有物分割所有者何市何町何丁目何番何号持分 3 分の1 A -34-

1. 意義各共有者は いつでも共有物分割を請求することができる ( 民 256 条 1 項本文 ) ただし 5 年を超えない期間内の共有物不分割の定め ( 共有物不分割特約 ) がある場合を除く ( 同条 1 項ただし書 ) 共有物分割の実質は持分の交換若しくは移転であるので 登記手続は共有持分移転登記による ( 昭 36.1.17-106 号 ) 1つの共有不動産を現物分割により 各共有者の持分に応じて数個に分割して各単有とした場合には 土地なら分筆 建物なら分割あるいは区分の登記をした後で 各不動産について 共有物分割 を原因として 何某持分全部移転 の登記を申請する B 持分移転分割 1/2A 1/2B A 1/2A 1/2B A 持分移転 1/2A 1/2B B 2つの共有不動産を分割により それぞれ1つずつ取得した場合には 各不動産について 共有物分割 を原因として 何某持分全部移転 の登記を申請する 1/2A 1/2B B 持分移転 A A 持分移転 1/2A 1/2B B 2. 登記申請手続ア申請人 ( 不登 18 条 ) 共有者の表示に氏名変更 住所移転等により変更があり 現在の住所 氏名と一致しない場合には 持分移転登記の前提として 登記名義人の氏名等の変更の登記が必要となる また 事実上は共有不動産であるが 登記記録上単有名義となっている不動産については 共有物分割を原因とする所有権移転登記はできないので ( 昭 53.10.27-5940 号 ) 前提として 共有名義とする更正登記を要する イ登録免許税 ( 不登規 189 条 1 項 ) 原則として 不動産の課税価格に1000 分の20を乗じたものを納付する 一定の要件がある場合には1000 分の4を乗ずる ( 登税別表第 1.1.(2) ロ 登税施行令 9 条 1 項 ) -35-

3. 参考 ( 共有物分割による交換 による所有権移転登記) A B 共有の1つの不動産を価格賠償により AがBの共有持分を取得して単有とし Bの持分に相当する代価の代わりに Aが所有する不動産をBに与えた場合は 共有不動産については 共有物分割 を原因として 何某持分全部移転 登記でA 単有とし A 所有不動産については 共有物分割による交換 を原因として 所有権移転 登記でAからBへ所有権を移転する 1/2A 1/2B A B 持分移転 代価の代わりに不動産を与える A B 登記の目的 所有権移転 原 因 平成 25 年 11 月 6 日共有物分割による交換 権 利 者 何市何町何丁目何番何号 B 義 務 者 何市何町何丁目何番何号 A 添付情報 登記原因証明情報 登記識別情報 印鑑証明書 住所証明情報 代理権限証明情報 課税価格 金 1,000 万円 登録免許税 金 20 万円 -36-

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14. 相続による所有権移転登記 登記の目的 所有権移転 原因平成 25 年 7 月 26 日相続 相 続 人 ( 被相続人 A) 何市何町何丁目何番何号 ( 住民票コード 12345678901) 持分 2 分の1 B 何市何町何丁目何番何号 2 分の 1 C 添付情報 登記原因証明情報 住所証明情報 代理権限証明情報 課税価格 登録免許税 金 1,000 万円 金 4 万円 登記記録の記録例権利部甲区 2 番所有権移転平成 8 年 5 月 24 日受付第 13257 号原因平成 8 年 5 月 24 日売買所有者何市何町何丁目何番何号 A 3 番所有権移転平成 25 年 10 月 1 日受付第 34876 号原因平成 25 年 7 月 26 日相続共有者何市何町何丁目何番何号持分 2 分の1 B 何市何町何丁目何番何号 2 分の1 C -38-

B C D 特別受益者1. 意義 (1) 相続 相続とは 自然人の死亡により 被相続人の財産に属した一切の権利義務を相続人 が包括的に承継することである ( 民 896 条 ) よって 被相続人の財産である不動産の 所有権が相続人に移転するので 被相続人から相続人への所有権移転登記をする (2) 相続分 ア法定相続分 ( 民 900 条 ) 相 続 人 相 続 分 配 偶 者 と 子 2 分の1 2 分の1 配偶者と直系尊属 3 分の2 3 分の1 配偶者と兄弟姉妹 4 分の3 4 分の1 イ特別受益者がいる場合 ( 民 903 条 ) 特別受益者がいる場合には その者の相続分は 他の相続人の相続分の割合に応 じて 他の相続人に帰属する 例として Bが特別受益により相続分がない場合 法定相続分 相続分 甲 = A 1 3 3 A = 2 6 6-1 = 3 5 B 2 1 1 1 = 3 6 C 2 1 1 1 = 3 6 1 6-1 = 5 1 D 2 1 1 1 = 3 6 1 6-1 = 5 1 ウ寄与分の定めがある場合 ( 民 904 条の2) 相続登記後に寄与分が定められ 法定相続分と異なる割合となった場合には 錯誤 を原因として 相続登記の更正登記をすることができる 共同相続登記前に 相続人の1 人が 特定の不動産を寄与分として取得することとなった場合には 寄与分を定める協議のほか 遺産分割協議が成立したものと解されるので 相続登記をする 共同相続登記後に 相続人の1 人が 特定の不動産を寄与分として取得することとなった場合には 寄与分を定める協議のほか 遺産分割協議が成立したものと解されるので 遺産分割 を原因として 持分移転登記を申請することができる ( 昭 55.12.20-7145 号 ) -39-

エ相続分の譲渡がある場合共同相続登記前に 共同相続人に対して相続分の譲渡がなされた場合には譲渡後の相続分の割合で相続登記をすることができる ( 昭 59.10.15-5195 号 ) 共同相続登記後に 共同相続人に対して相続分の譲渡がなされた場合には 相続分の売買 ( 贈与 ) を原因として 持分移転登記をする 共同相続人以外の第三者に相続分の譲渡をした場合には 相続登記の前後を問わず いったん共同相続人全員名義に 相続 を原因として移転登記をして 相続分の譲渡人の持分を譲受人に 相続分の売買 ( 贈与 ) を原因として 持分移転登記をする ( 平 4.3.18-1404 号 ) 2. 登記申請手続ア登記原因及びその日付 ( 不登令 3 条 6 号 ) 被相続人が死亡した日付で 年月日相続 を原因とする イ申請人 ( 不登 18 条 ) 相続による所有権移転登記は相続人の単独申請である ( 不登 63 条 2 項 ) 登記名義人たる被相続人の登記記録上の表示が氏名変更 住所移転等により変更があって 現在の氏名 住所と一致しない場合には 被相続人の登記名義人の氏名等の変更登記をすることなく 直接相続登記をすることができる ( 明 33.4.28-414 号 ) この場合には 住民票の除票の写し等の変更を証する書面を添付する なお 住民票コード ( 住民台 7 条 13 号 ) を記載した場合は 添付書面として住所証明書 ( 住民票の写し ) 及び変更証明書の提出を省略することができる ( 不登令 9 条 不登規 36 条 4 項 登研 686 号 417 頁 412 頁参照 ) ウ添付情報 1 登記原因証明情報 ( 不登令別表 22 添 ) の内容 a 戸籍謄本 ( 戸籍全部事項証明書 ) 等被相続人の死亡の事実及び登記申請人が相続人であることを確認し得る戸籍謄本等を添付する b 相続放棄申述受理証明書家庭裁判所の相続放棄申述受理証明書を添付する c 特別受益証明書満 17 歳の未成年者が自ら作成した特別受益証明書も その印鑑証明書の添付があれば有効である ( 昭 40.9.21-2821 号 ) 親権者が未成年の子の特別受益証明書を作成することは利益相反行為に該当せず 特別代理人の選任を要しない ( 昭 23.12.18-95 号 ) 共同相続人となるべき乙が 被相続人甲から相続分を超える生前贈与を受け 甲より先に死亡した場合 乙の代襲相続人丙が 乙は甲から特別受益を受けて -40-

いる 旨の証明書を作成して 丙を除く他の相続人から相続の登記を申請することができる ( 昭 49.1.8-242 号 ) d 相続欠格証明書戸籍謄本の他に欠格者自身の作成する相続欠格事由証明書又は 欠格事由を証する確定判決謄本を添付しなければならない ( 昭 33.1.10-4 号 ) e 寄与分証明書共同相続登記前に共同相続人全員の協議で寄与分の定めをして 法定相続分と異なる持分で相続登記を申請する場合には 戸籍謄本の他にその協議の内容を証する寄与分証明書の添付を要する ( 昭 55.12.20-7145 号 ) ただし 寄与分の定めと遺産分割協議が定められた後に相続登記を申請する場合には 戸籍謄本と遺産分割協議書の添付を要するが その協議書には 必ずしも寄与分の定めの記載がなくても差し支えない ( 昭 55.12.20-7145 号 ) f 相続分譲渡証明書共同相続登記前に相続人間で相続分の譲渡があり 譲渡後の相続分の割合で相続登記を申請するときは相続分譲渡証明書の添付を要する g 共同相続人中 相続人の廃除がなされている場合には その旨が戸籍に記載されているので 戸籍謄本のみの提出で足りる エ課税価格 登録免許税 ( 不登規 189 条 1 項 ) 不動産の課税価格に1000 分の4を乗じたもの ( 登税別表第 1.1.(2) イ ) を納付する 3. 重要先例 共同相続人のうちの1 人は 自己の持分のみについて相続登記を申請することはできない ( 昭 30.10.15-2216 号 ) Aの推定相続人であるBが Aから相続分を超える生前贈与を受けた後 Aより先に死亡した場合 Bの代襲相続人であるCを除く他の相続人は 申請情報と併せてBがAから特別受益を受けている旨の証明書 (Cが作成したもの) を提供して 相続の登記を申請することができる ( 昭 49.1.8-242 号 ) 共同相続人 A B C DのうちA B Cがその相続分をDに譲渡した場合は 被相続人名義の不動産につき A B Cの相続分譲渡証明書 (A B Cの印鑑証明書付 ) を添付して Dから D1 人を相続人とする相続登記を申請することができる ( 昭 59.10.15-5195 号 ) 共同相続人 A B C DのうちA Bがその相続分をDに譲渡し C D 間で不動産はDが取得する旨の遺産分割協議が成立した場合には 被相続人名義の不動産につき A Bの相続分譲渡証明書 (A Bの印鑑証明書付) 及びC D 間の遺産分割協議書 (Cの印鑑証明書付) を添付して D1 人からD1 人を相続人とする相続登記をすることができる ( 昭 59.10.15-5195 号 ) -41-

被相続人 Aの共同相続人 B C D E F( 法定相続分各 5 分の1) のうち C D Eがその相続分をBに譲渡した場合には A 名義の不動産につき B 持分 5 分の4 F 持分 5 分の1とする相続による所有権移転登記を申請することができる ( 昭 59.10.15-5196 号 ) 4. 参考 ( 相続分の売買( 贈与 ) による持分移転登記) 共同相続人 Bが 第三者 Dに相続分の譲渡をした場合は 相続登記の前後を問わず いったん共同相続人全員名義に 相続 を原因として移転登記をして 相続分の譲渡人の持分を譲受人に 相続分の売買 ( 贈与 ) を原因として 持分移転登記をする 登記の目的 B 持分全部移転 原 因 平成 25 年 11 月 6 日相続分の売買 ( 贈与 ) 権 利 者 何市何町何丁目何番何号持分 2 分の1 D 義 務 者 何市何町何丁目何番何号 B 添付情報 登記原因証明情報 登記識別情報 印鑑証明書 住所証明情報 代理権限証明情報 課税価格 移転した持分の価格金 500 万円 登録免許税 金 10 万円 -42-

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15. 数次相続による所有権移転登記 登記の目的 所有権移転 原 因 平成 25 年 7 月 26 日 B 相続 平成 25 年 9 月 9 日相続 相 続 人 ( 被相続人 A) 何市何町何丁目何番何号 持分 2 分の1 D 何市何町何丁目何番何号 2 分の 1 E 添付情報 登記原因証明情報 住所証明情報 代理権限証明情報 課税価格 登録免許税 金 1,000 万円 金 4 万円 登記記録の記録例権利部甲区 2 番所有権移転平成 8 年 5 月 24 日受付第 13257 号原因平成 8 年 5 月 24 日売買所有者何市何町何丁目何番何号 A 3 番所有権移転平成 25 年 10 月 3 日受付第 30383 号原因平成 25 年 7 月 26 日 B 相続平成 25 年 9 月 9 日相続共有者何市何町何丁目何番何号持分 2 分の1 D 何市何町何丁目何番何号 2 分の1 E -44-

事例1. 意義(H数次相続とは 既に開始した相続による所有権移転弐A五登記未了の間に その相続人死亡により第 2の相続が 開始したような場合をいう 数次相続の場合 原則と七 して 権利変動の過程を明らかにするために 権利移弐(六転の順序に従い 第 1の相続登記 第 2の相続登記を)D H行う しかし 中間の相続が単独相続の場合は 中間弐五の相続登記を省略して第 1の相続における被相続人か 九ら現在の相続人へ直接相続登記をすることができる 九この単独相続は もともと相続人が1 人しかいない場死合はもちろん 相続放棄によって相続人が1 人になっ亡)BCた場合や遺産分割によって当該不動産を単独で相続することになった場合 特別受益によって他の共同相続人の相続分が存しなくなった場合を含む ( 昭 30.12.16-2670 号 ) この場合 登記原因の箇所で中間の相続の経過を示すことで権利変動の経過を公示できるからである 2. 登記申請手続ア登記原因及びその日付 ( 不登令 3 条 6 号 ) 数次相続の場合は原因の箇所で中間の相続の経過を表すことになる 3. 重要先例 A 死亡によりB 及びCが共同相続人となり 更にDがBの EがCの相続人となったときの相続登記は 1A B 及びCへの相続登記 2B Dへの相続登記 3 C Eへの相続登記 ( 計 3 件 ) を申請すべきである ( 昭 30.12.16-2670 号 ) H七 六 七死亡E(死亡)被-45-

16. 遺産分割協議による所有権移転登記 登記の目的 C D 持分全部移転 原因平成 25 年 9 月 8 日遺産分割 権 利 者 何市何町何丁目何番何号 持分 2 分の1 B 義 務 者 何市何町何丁目何番何号 C 何市何町何丁目何番何号 D 添付情報 登記原因証明情報 登記識別情報 印鑑証明書 住所証明情報 代理権限証明情報 課税価格 登録免許税 移転した持分の価格金 500 万円 金 2 万円 登記記録の記録例権利部甲区 2 番所有権移転平成 8 年 5 月 24 日受付第 13257 号原因平成 8 年 5 月 24 日売買所有者何市何町何丁目何番何号 A 3 番所有権移転平成 25 年 8 月 15 日受付第 21765 号原因平成 25 年 7 月 26 日相続共有者何市何町何丁目何番何号持分 4 分の2 B 4 分の1 C 4 分の1 D 4 番 C D 持分全部移転平成 25 年 9 月 27 日受付第 24383 号原因平成 25 年 9 月 8 日遺産分割所有者何市何町何丁目何番何号持分 2 分の1 B -46-

1. 意義共同相続人は 被相続人が遺言で分割を禁止する定めをしない限り いつでも遺産分割協議をすることができる ( 民 907 条 1 項 ) この分割の効力は 相続開始時に遡るが ( 民 909 条 ) 新たな権利変動が生じているのと変わりはないので 第三者に対する関係では 法定相続分と異なる相続分を取得した相続人は その旨の登記をしなければ第三者に対抗できない ( 最判昭 46.1.26) 胎児の出生前においては 相続関係が未確定の状態にあるので 胎児のために遺産分割その他の処分行為をすることはできない ( 昭 29.6.15-1188 号 ) 共同相続人である親権者と数人の未成年の子の間で行う遺産分割協議は 利益相反行為に該当するので ( 昭 28.4.25-697 号 ) 子 1 人ごとに特別代理人の選任を要する ( 昭 30.6.18-1264 号 ) 相続登記前に遺産分割協議が成立した場合には 協議によって定めた相続分に従って 相続 を原因として 単独申請により所有権移転登記をする ( 昭 19.19-692 号 ) この場合の遺産分割協議書は 登記原因証明情報の一部として添付する 相続登記後に遺産分割協議が成立した場合には 遺産分割 を原因として 相続分が増える者を登記権利者 相続分が減る者を登記義務者として 共同申請により持分移転登記をする ( 昭 28.8.10-1392 号 ) この場合の遺産分割協議書は 登記原因証明情報として添付する 2. 登記申請手続ア登記原因及びその日付 ( 不登令 3 条 6 号 ) 協議の日を原因日付とし 年月日遺産分割 と記載する イ添付情報 1 登記原因証明情報 ( 不登令別表 30 添イ ) 登記原因証明情報として 遺産分割協議書等を添付する ウ課税価格 登録免許税 ( 不登規 189 条 1 項 ) 不動産の課税価格に1000 分の4を乗じたもの ( 登税別表第 1.1.(2) イ ) を納付する 3. 重要先例 不在者の財産管理人は 家庭裁判所の許可を得て 不在者のために遺産分割協議に加わることができ 当該協議に基づく相続登記の申請をすることができる ( 昭 39.8.7-597 号 ) 遺産分割協議後に被相続人の子として認知された者がいる場合であっても 遺産分割協議書に記載されている作成の日付が その相続における被相続人の子として認知された日より前であれば その子の同意書又はその子に対する判決を添付することなく 当該協議書により相続登記を申請することができる ( 昭 43.7.11-2346 号 ) -47-

17. 合併による所有権移転登記 登記の目的 所有権移転 原因平成 25 年 4 月 30 日合併 合併による権利承継者 ( 被合併会社 A 株式会社 ) 何市何町何丁目何番何号 B 株式会社代表取締役 X 添付情報 登記原因証明情報 住所証明情報 資格証明情報 代理権限証明情報 課税価格 登録免許税 金 1,000 万円 金 4 万円 登記記録の記録例権利部甲区 2 番所有権移転平成 3 年 5 月 21 日受付第 13126 号原因平成 3 年 5 月 21 日売買所有者何市何町何丁目何番何号 A 株式会社 3 番所有権移転平成 25 年 5 月 2 日受付第 17635 号原因平成 25 年 4 月 30 日合併所有者何市何町何丁目何番何号 B 株式会社 -48-

1. 意義会社について 新設合併 吸収合併が生じた場合には 合併後の吸収合併存続会社若しくは新設合併設立会社は 被合併会社の権利義務を承継するために ( 会 750 条 1 項 752 条 1 項 754 条 1 項 756 条 1 項 ) 被合併会社所有の不動産は存続若しくは新設会社が承継することになり 権利移転の登記を行う 2. 登記申請手続ア登記原因及びその日付 ( 不登令 3 条 6 号 ) 吸収合併の場合は 債権者保護手続が終了していない場合を除き 合併契約で定められた合併の効力発生日 ( 会 749 条 1 項 6 号 750 条 1 項 751 条 1 項 7 号 752 条 1 項 921 条 ) 新設合併の場合は 新設合併設立会社の設立登記の日( 会 754 条 1 項 756 条 1 項 922 条 ) を登記原因日付として 年月日合併 と記載する イ申請人 ( 不登 18 条 ) 1 合併後の吸収合併存続会社若しくは新設合併設立会社の単独申請となる ( 不登 63 条 2 項 ) 合併による権利承継者 と冠記し 被合併会社を括弧書きする 2 申請人が法人であるときは その代表者の氏名が 申請情報の内容となる ( 不登令 3 条 2 号 ) ウ課税価格 登録免許税 ( 不登規 189 条 1 項 ) 不動産の課税価格に1000 分の4を乗じたもの ( 登税別表第 1.1.(2) イ ) を納付する -49-

18. 会社分割による所有権移転登記 登記の目的 所有権移転 原因平成 25 年 4 月 30 日会社分割 権 利 者 何市何町何丁目何番何号 B 株式会社 代表取締役 X 義 務 者 何市何町何丁目何番何号 A 株式会社 代表取締役 Y 添付情報 登記原因証明情報 登記識別情報 印鑑証明書 住所証明情報 資格証明情報 代理権限証明情報 課税価格 登録免許税 金 1,000 万円 金 20 万円 登記記録の記録例権利部甲区 2 番所有権移転平成 17 年 5 月 21 日受付第 13126 号原因平成 17 年 5 月 21 日売買所有者何市何町何丁目何番何号 A 株式会社 3 番所有権移転平成 25 年 5 月 2 日受付第 17635 号原因平成 25 年 4 月 30 日会社分割所有者何市何町何丁目何番何号 B 株式会社 -50-

1. 意義会社分割とは 分割をする会社 ( 分割会社 ) の営業の全部又は一部を他の会社に承継させる組織法上の行為であり 新設分割と吸収分割という二つの類型の会社分割が認められている 会社分割の効力が生ずると 新設分割設立会社又は吸収分割承継会社は 分割計画書又は分割契約書の記載に従い 新設分割会社又は吸収分割会社の権利義務を承継するものとされているので ( 会 759 条 1 項 761 条 1 項 764 条 1 項 766 条 1 項 ) 分割会社所有の不動産は 新設分割設立会社又は吸収分割承継会社が承継することになり 権利移転の登記を行う 2. 登記申請手続ア登記原因及びその日付 ( 不登令 3 条 6 号 ) 吸収分割の場合は 債権者保護手続が終了していない場合を除き 吸収分割契約で定められた分割の効力発生日 ( 会 758 条 7 号 759 条 1 項 760 条 6 号 761 条 1 項 923 条 ) 新設分割の場合は 新設分割の登記の日( 会 764 条 1 項 766 条 1 項 924 条 ) を登記原因日付として 年月日会社分割 と記載する イ申請人 ( 不登 18 条 ) 1 新設分割設立会社又は吸収分割承継会社が登記権利者 新設分割会社又は吸収分割会社が登記義務者となって共同して申請する ( 不登 60 条 平 13.3.30-867 号 ) 2 申請人が法人であるときは その代表者の氏名が 申請情報の内容となる ( 不登令 3 条 2 号 ) ウ課税価格 登録免許税 ( 不登規 189 条 1 項 ) 不動産の課税価格に1000 分の20を乗じたもの ( 登税別表第 1.1.(2) ハ ) を納付する -51-

19. 遺留分減殺による所有権移転登記 登記の目的 所有権一部移転 原因平成 25 年 8 月 23 日遺留分減殺 権 利 者 亡 A 遺留分権利者何市何町何丁目何番何号持分 8 分の2 C 何市何町何丁目何番何号 8 分の1 D 何市何町何丁目何番何号 8 分の1 E 義 務 者 何市何町何丁目何番何号 B 添付情報 登記原因証明情報 登記識別情報 印鑑証明書 住所証明情報 代理権限証明情報 課税価格 登録免許税 移転した持分の価格金 500 万円 金 2 万円 登記記録の記録例 権利部 甲区 2 番所有権移転 平成 17 年 5 月 21 日受付第 13126 号 原因平成 17 年 5 月 21 日売買 所有者何市何町何丁目何番何号 A 3 番所有権移転 平成 25 年 8 月 1 日受付第 20763 号 原因平成 25 年 7 月 1 日遺贈 所有者何市何町何丁目何番何号 B 4 番所有権一部移転 平成 25 年 9 月 5 日受付第 22635 号 原因平成 25 年 8 月 23 日遺留分減殺 共有者何市何町何丁目何番何号持分 8 分の2 C 何市何町何丁目何番何号 8 分の1 D 何市何町何丁目何番何号 8 分の1 E -52-

1. 意義遺留分とは 一定の相続人のために必ず残しておかなければならない相続財産の一定の割合のことである 遺贈又は贈与の登記後に遺留分減殺請求がされた場合は 遺留分減殺請求者を権利者 受遺者又は受贈者を義務者として 共同申請により遺留分減殺を原因として所有権移転登記をする ( 昭 30.5.23-973 号 ) 遺贈の登記前に遺留分減殺請求がされた場合は 遺贈の登記をすることなく 遺留分減殺請求をした相続人名義で直接相続登記をすることができる ( 昭 30.5.23-973 号 ) 2. 登記申請手続ア登記原因及びその日付 ( 不登令 3 条 6 号 ) 遺留分減殺 を原因とし 意思表示の到達日を原因日付とする イ申請人 ( 不登 18 条 ) 遺留分減殺請求者を権利者 受遺者又は受贈者を義務者とし 権利者欄に 亡何某遺留分権利者 と冠記する ウ添付情報 1 登記原因証明情報 ( 不登令別表 30 添イ ) 登記原因証明情報の一部として 遺留分権利者であることを証する ( 相続人の身分を証する ) ための相続証明書を添付する エ課税価格 登録免許税 ( 不登規 189 条 1 項 ) 実質相続登記として 不動産の課税価格に1000 分の4を乗じたもの ( 登税別表第 1.1.(2) イ ) を納付する 3. 重要先例 遺留分減殺 を登記原因とする持分一部移転の登記を 撤回 取消し 和解等の後発的な登記原因によって抹消することはできない ( 平 12.3.10-708 号 ) -53-

20. 相続人不存在による所有権登記名義人の氏名等の変更登記 登記の目的 2 番所有権登記名義人氏名変更 原因平成 24 年 7 月 1 日相続人不存在 変更後の事項登記名義人亡 A 相続財産 申 請 人 何市何町何丁目何番何号 亡 A 相続財産管理人 B 添付情報 登録免許税 登記原因証明情報代理権限証明情報 金 1,000 円 登記記録の記録例権利部甲区 2 番所有権移転平成 5 年 3 月 6 日受付第 5643 号原因平成 5 年 3 月 6 日売買所有者何市何町何丁目何番何号 A 付記 1 号 2 番登記名義人氏名変更平成 24 年 11 月 15 日受付第 48770 号原因平成 24 年 7 月 1 日相続人不存在登記名義人亡 A 相続財産 -54-

1. 意義相続人のあることが明らかでないときは 相続財産は法人とされ 相続財産法人が成立する ( 民 951 条 ) 相続財産法人名義にするためには 法人への移転登記の方法ではなく 登記名義人の氏名変更の登記の方法による ( 昭 10.1.14-39 号 ) 2. 登記申請手続ア登記の目的 ( 不登 18 条 ) 移転登記ではなく 氏名変更登記によるので 番所有権登記名義人氏名変更 とする ( 登研 707 号 ) 死亡時の住所が登記記録上の住所と異なるときは 住所 氏名変更 と記載する ( 記録例 193) イ登記原因及びその日付 ( 不登令 3 条 6 号 ) 被相続人死亡の日の日付で 年月日相続人不存在 を原因とする ウ変更後の事項 登記名義人 と冠記して 亡何某相続財産 と記載をする なお 死亡時の住所が登記記録上の住所と異なるときは 死亡時の住所をも記載する ( 記録例 193) エ申請人 ( 不登 18 条 ) 相続財産管理人の単独申請による 相続財産管理人が申請代理人となるので 相続財産管理人の氏名 住所を記載し 亡何某相続財産管理人 と冠記する オ添付情報 1 登記原因証明情報 ( 不登令 7 条 1 項 5 号ロ ) 相続人の不存在を明らかにするために被相続人の戸籍謄本等 被相続人の死亡の日が記載されていること及び相続人不存在により選任されているものであることが明らかである相続財産管理人選任審判書等を添付する ( 昭 39.2.28-422 号参照 ) 2 代理権限証明情報 ( 不登令 7 条 1 項 2 号 ) 委任状の他に相続財産管理人の選任審判書を添付する カ登録免許税 ( 不登規 189 条 1 項 ) 不動産 1 個につき1,000 円 ( 登税別表第 1.1.(14)) を納付する -55-

21. 民法第 958 条の 3 の審判による所有権移転登記 登記の目的 亡 A 相続財産持分全部移転 原因平成 25 年 11 月 8 日民法第 958 条の 3 の審判 権利者何市何町何丁目何番何号 ( 申請人 ) 持分 2 分の 1 D 義 務 者 何市何町何丁目何番何号 亡 A 相続財産 添付情報登記原因証明情報 ( 審判書正本 確定証明書 ) 住所証明情報代理権限証明情報 課税価格 登録免許税 移転した持分の価格金 500 万円 金 10 万円 登記記録の記録例権利部甲区 2 番所有権移転平成 18 年 3 月 6 日受付第 5643 号原因平成 18 年 3 月 6 日売買共有者何市何町何丁目何番何号持分 2 分の1 A 何市何町何丁目何番何号 2 分の1 C 付記 1 号 2 番登記名義人氏名変更平成 24 年 11 月 15 日受付第 48770 号原因平成 24 年 7 月 1 日相続人不存在共有者 A 登記名義人亡 A 相続財産 3 番亡 A 相続財産持分全部移転平成 25 年 11 月 15 日受付第 34878 号原因平成 25 年 11 月 8 日民法第 958 条の3の審判共有者何市何町何丁目何番何号持分 2 分の1 D -56-

1. 意義共有者の1 人が相続人なくして死亡した場合に民法 255 条と民法 958 条の3のどちらが優先するかについて 最高裁判所は民法 958 条の3を優先することとし 特別縁故者の財産分与の申立期間が経過しないと 他の共有者に持分が移転しないこととなった ( 最判平元.11.24) 特別縁故者からの財産分与の申立てにより 特別縁故者への財産分与の審判が確定すると 分与された財産は特別縁故者に帰属する ( 民 958 条の3) 2. 登記申請手続ア登記原因及びその日付 ( 不登令 3 条 6 号 ) 審判が確定することにより 所有権移転の効力が生ずるので 審判確定の日を原因日付として 民法第 958 条の3の審判 を原因とする イ申請人 ( 不登 18 条 ) 不動産登記法 63 条 1 項の類推適用により 判決登記に準じて単独申請による ( 昭 37.6.15-1606 号 ) 単独申請であるが 権利者 義務者の表示をする 義務者としては 亡何某相続財産 の氏名と住所を記載する ウ添付情報 1 登記原因証明情報 ( 不登別表 30 不登令 7 条 1 項 5 号ロ (1)) 判決による申請の場合に準じて 審判書正本と確定証明書を登記原因証明情報として添付する 2 判決による申請の場合と同じく 登記義務者に関する登記識別情報 印鑑証明書は添付不要である エ課税価格 登録免許税 ( 不登規 189 条 1 項 ) 不動産の課税価格に1000 分の20を乗じたもの ( 登税別表第 1.1.(2) ハ ) を納付する -57-

22. 特別縁故者不存在確定による所有権移転登記 登記の目的 亡 A 相続財産持分全部移転 原因平成 25 年 10 月 31 日特別縁故者不存在確定 権 利 者 何市何町何丁目何番何号 持分 2 分の1 C 義 務 者 何市何町何丁目何番何号 亡 A 相続財産 添付情報 登記原因証明情報 登記識別情報 印鑑証明書 住所証明情報 代理権限証明情報 課税価格 登録免許税 移転した持分の価格金 500 万円 金 10 万円 登記記録の記録例権利部甲区 2 番所有権移転平成 18 年 3 月 6 日受付第 5643 号原因平成 18 年 3 月 6 日売買共有者何市何町何丁目何番何号持分 2 分の1 A 何市何町何丁目何番何号 2 分の1 C 付記 1 号 2 番登記名義人氏名変更平成 24 年 11 月 15 日受付第 48770 号原因平成 24 年 7 月 1 日相続人不存在共有者 A 登記名義人亡 A 相続財産 3 番亡 A 相続財産持分全部移転平成 25 年 10 月 31 日受付第 23767 号原因平成 25 年 10 月 31 日特別縁故者不存在確定所有者何市何町何丁目何番何号持分 2 分の1 C -58-

1. 意義相続財産が共有のときは 特別縁故者からの相続財産分与の申立てがなかったとき 又は その申立ての却下が確定したときは他の共有者に帰属する ( 民 255 条 ) 2. 登記申請手続ア登記の目的 ( 不登 18 条 ) 持分の移転によるので 亡何某相続財産持分全部移転 と記載する イ登記原因及びその日付 ( 不登令 3 条 6 号 ) 相続人不存在が確定し 特別縁故者の財産分与がなされないことが確定したときに 他の共有者に権利が帰属するので 特別縁故者不存在確定 を原因とし 分与の申立てがなされなかったときは 申立期間満了日の翌日 分与の申立てが却下され却下が確定したときは その確定日の翌日を原因日付とする ( 平 3.4.12-2398 号 ) ウ添付情報 1 登記識別情報 ( 不登 22 条 ) 登記義務者の所有権取得の際の登記識別情報を提供する 2 代理権限証明情報 ( 不登令 7 条 1 項 2 号 ) 相続財産管理人が申請代理人となるので 相続財産管理人の選任審判書及び司法書士への委任状を添付する エ課税価格 登録免許税 ( 不登規 189 条 1 項 ) 不動産全体の課税価格に持分割合を乗じたものに1000 分の20を乗じたもの ( 登税別表第 1.1.(2) ハ ) を納付する -59-

23. 胎児名義への所有権移転登記 登記の目的 所有権移転 原因平成 25 年 7 月 23 日相続 相 続 人 ( 被相続人 A) 何市何町何丁目何番何号 持分 2 分の1 B 何市何町何丁目何番何号 2 分の 1 亡 A 妻 B 胎児 添付情報 登記原因証明情報 住所証明情報 代理権限証明情報 課税価格 登録免許税 金 1,000 万円 金 4 万円 登記記録の記録例権利部甲区 2 番所有権移転昭和 45 年 4 月 11 日受付第 8764 号原因昭和 44 年 11 月 21 日相続所有者何市何町何丁目何番何号 A 3 番所有権移転平成 25 年 7 月 25 日受付第 14676 号原因平成 25 年 7 月 23 日相続共有者何市何町何丁目何番何号持分 2 分の1 B 何市何町何丁目何番何号 2 分の1 亡 A 妻 B 胎児 -60-

事例被1. 意義胎児は 相続については 既に生まれたものとみなされる ( 民 886 条 1 項 ) 胎児の法律的地位について判例は 胎児の時点でAはまだ権利能力がなく 出生により 遡って権利能力を取得するとする 停止条件説の立場をとっているが ( 大判昭 7.10.6) 登記実務の先例では 解除条件的にとらえ 胎児名義の相続登胎記を認めている ( 明 31.10.19-1406 号 ) 児B2. 登記申請手続ア申請人 ( 不登 18 条 ) 胎児の記載として 亡何某妻何某胎児 と記載し 母と同じ住所を記載する イ添付情報 1 懐胎証明書の添付は不要である 2 代理権限証明情報 ( 不登令 7 条 1 項 2 号 ) 未成年者の法定代理の規定を類推適用して 胎児を懐胎している被相続人の妻が胎児に代わって申請する ( 昭 29.6.15-1188 号 ) 胎児の法定代理人としての母から司法書士への委任状をも添付する -61-

24. 胎児が生きて生まれた場合の所有権登記名義人の氏名等の変更登記 登記の目的 3 番所有権登記名義人住所 氏名変更 原因平成 25 年 9 月 11 日出生 変更後の事項共有者亡 A 妻 B 胎児の氏名住所何市何町何丁目何番何号 C 申 請 人 何市何町何丁目何番何号 C 添付情報 登録免許税 登記原因証明情報代理権限証明情報 金 1,000 円 登記記録の記録例権利部甲区 2 番所有権移転昭和 45 年 4 月 11 日受付第 8764 号原因昭和 44 年 11 月 21 日相続所有者何市何町何丁目何番何号 A 3 番所有権移転平成 25 年 7 月 25 日受付第 14676 号原因平成 25 年 7 月 23 日相続共有者何市何町何丁目何番何号持分 2 分の1 B 何市何町何丁目何番何号 2 分の1 亡 A 妻 B 胎児付記 1 号 3 番登記名義人住所 氏名変更平成 25 年 9 月 25 日受付第 15600 号原因平成 25 年 9 月 11 日出生共有者亡 A 妻 B 胎児の氏名住所何市何町何丁目何番何号 C -62-

1. 意義胎児が生きて出生した場合には 所有権登記名義人の氏名等の変更登記をする 2. 登記申請手続ア登記原因及びその日付 ( 不登令 3 条 6 号 ) 胎児の出生の日付を原因日付として 年月日出生 を原因とする イ登記事項変更後の事項として 胎児の出生後の氏名と住所を記載する ウ申請人 ( 不登 18 条 ) 胎児の単独申請となる ( 不登 64 条 1 項 ) この場合 母が法定代理人として申請をするが記載する必要はない エ添付情報 1 登記原因証明情報 ( 不登令別表 23 添 ) 胎児の出生と氏名を証する戸籍謄本 住所を証する住民票の写し等を添付する 2 代理権限証明情報 ( 不登令 7 条 1 項 2 号 ) 母の親権を証する戸籍謄本等 胎児の法定代理人としての母から司法書士への委任状を添付する 3. 参考 ( 胎児が死亡して生まれた場合の所有権更正登記 ) 1. 意義C胎児が死んで生まれた場合には 所有権更正登記をする 2. 登記申請手続ア登記の目的 ( 不登 18 条 ) 被更正する順位番号を特定して 何番所有権更正 と記載する ADイ登記原因及びその日付 ( 不登令 3 条 6 号 ) 錯誤 を原因とする 日付の記載は不要である ウ登記事項胎更正後の事項として 相続人の住所 氏名 持分を記載する 児B エ申請人 ( 不登 18 条 ) 相続持分が増える者を登記権利者 相続持分が減る者を登記義務者とする共同申請による オ添付情報 1 住所証明情報新たに登記名義人となる者がいる場合 その者の住民票の写し等を添付する 事例-63-

登記の目的 3 番所有権更正 原 因 錯誤 更正後の事項 共有者 何市何町何丁目何番何号持分 6 分の4 B 何市何町何丁目何番何号 6 分の1 C 何市何町何丁目何番何号 6 分の1 D 権 利 者 何市何町何丁目何番何号 B 何市何町何丁目何番何号 C 何市何町何丁目何番何号 D 義 務 者 何市何町何丁目何番何号亡 A 妻 B 胎児 添付情報 登記原因証明情報 登記識別情報 印鑑証明書 住所証明情報 代理権限証明情報 登録免許税 金 1,000 円 -64-

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25. 遺贈による所有権移転登記 ( 遺言執行者がいる場合 ) 登記の目的 所有権移転 原因平成 25 年 7 月 26 日遺贈 権 利 者 何市何町何丁目何番何号 B 義 務 者 何市何町何丁目何番何号 亡 A 添付情報 登記原因証明情報 登記識別情報 印鑑証明書 住所証明情報 代理権限証明情報 課税価格 登録免許税 金 1,000 万円 金 20 万円 登記記録の記録例権利部甲区 2 番所有権移転平成 17 年 7 月 8 日受付第 16534 号原因平成 17 年 7 月 8 日売買所有者何市何町何丁目何番何号 A 3 番所有権移転平成 25 年 7 月 30 日受付第 16543 号原因平成 25 年 7 月 26 日遺贈所有者何市何町何丁目何番何号 B 1. 意義遺言の執行は 遺言執行者がいるときは遺言執行者がこれを執行する 遺言執行者は1 遺言者が遺言書で遺言執行者を指定したとき ( 民 1006 条 1 項 ) 2 遺言者が遺言書で遺言執行者の指定を第三者に委託し 第三者が遺言執行者を指定したとき ( 民 1006 条 1 項 ) 3 利害関係人の請求により家庭裁判所が選任したとき ( 民 1010 条 ) に定まる 2. 登記申請手続ア登記原因及びその日付 ( 不登令 3 条 6 号 ) 遺贈の効力が発生した日 ( 原則として遺言者の死亡の日付 ) で 特定遺贈 包括遺贈を問わず 年月日遺贈 を原因とする 停止条件付遺贈で遺言者の死亡後に条 -66-

件が成就した場合には 条件成就の日が原因日付となる 原則として 遺言書の記載どおりに 登記原因を記載する 例えば 遺言書の文言が 遺贈する とあれば 登記原因を 遺贈 とし 遺言書の文言が 相続する とあれば 登記原因を 相続 とするが 相続人全員に対する包括遺贈の場合には 相続分の指定と解されるので 遺言書の文言が 遺贈 でも 登記原因は 相続 となる ( 昭 38.11.20-3119 号 ) イ申請人 ( 不登 18 条 ) 受遺者を登記権利者 遺言執行者を登記義務者とする共同申請による 義務者の記載としては遺言者の住所 氏名を記載し 亡 と冠記し 遺言執行者の記載は不要である ウ添付情報 1 登記原因証明情報 ( 不登令別表 30 添イ ) 2 印鑑証明書 ( 不登令 18 条 2 項 ) 遺言執行者の印鑑証明書を添付する 3 代理権限証明情報 ( 不登令 7 条 1 項 2 号 ) 1. 遺言で遺言執行者が定められている場合は 遺言書 遺言者の死亡の記載のある戸籍謄本等を添付する 2. 遺言による第三者の指定により遺言執行者が定められている場合は 遺言書と戸籍謄本等の他に 第三者の指定書も添付する 3. 家庭裁判所により遺言執行者が定められている場合は 遺言書と遺言執行者の選任審判書を添付する 4 相続証明情報受遺者が相続人の場合に 相続を原因とする所有権移転登記の登録免許税の税率と同じ税率 (1000 分の4) の適用を受けるには 受遺者が相続人であることを証するために相続証明情報を添付する ( 平 15.4.1-1022 号 ) エ課税価格 登録免許税 ( 不登規 189 条 1 項 ) 不動産の課税価格に1000 分の20を乗じたもの ( 登税別表第 1.1.(2) ハ ) を納付する 受遺者が相続人であるときは 不動産の課税価格に1000 分の4を乗じたもの ( 登税別表第 1.1.(2) イ ) を納付する 3. 重要先例 検認を経ていない自筆証書の遺言書を申請書に添付した相続による所有権移転登記の申請は却下される ( 平 7.12.4-4344 号 ) 妻 A 及び長男 Bに甲土地を2 分の1ずつ相続させる 旨の遺言をしたが 遺言者が死亡するより前に Aが死亡し その後 遺言者が甲土地の持分 2 分の1をC に売却していた場合に 遺言者が死亡したときは Bは 甲土地の2 分の1につい -67-

て 相続による所有権移転登記を申請することができる ( 平 5.6.3-4308 号 ) 遺言者が その者の法定相続人中の1 人であるAに対し 甲土地をAに相続させる 旨の遺言をして死亡したが 既にAが遺言者より先に死亡している場合には Aの直系卑属 A がいる場合でも 遺言書中に Aが先に死亡した場合にはAに代わってA に相続させる 旨の文言がない限り A が甲土地を取得することはできない この場合 民法 994 条 1 項を類推適用して 甲土地は 遺言者の法定相続人全員に相続され その相続の登記を申請する ( 昭 62.6.30-3411 号 ) 甲土地について A 及びBに共同相続の登記がされた後 甲土地をAに相続させる 旨の遺言書が発見された場合の登記手続は Aを登記権利者 Bを登記義務者とする共同申請により A 単有への更正登記を申請する ( 平 2.1.20-156 号 ) 遺言執行者は 不動産を売却してその代金中より負債を支払い 残額を受遺者に分配する 旨の遺言書に基づき 遺言執行者が不動産を売却して買主名義に所有権移転の登記を申請する場合には その前提として相続による所有権移転登記を経ることを要する ( 昭 45.10.5-4160 号 ) -68-

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26. 遺贈による所有権移転登記 ( 遺言執行者がいない場合 ) 登記の目的 所有権移転 原因平成 25 年 7 月 26 日遺贈 権 利 者 何市何町何丁目何番何号 B 義 務 者 何市何町何丁目何番何号亡 A 相続人 C 何市何町何丁目何番何号亡 A 相続人 D 添付情報 登記原因証明情報 登記識別情報 印鑑証明書 住所証明情報 一般承継を証する情報 代理権限証明情報 課税価格 登録免許税 金 1,000 万円 金 20 万円 登記記録の記録例権利部甲区 2 番所有権移転平成 17 年 7 月 8 日受付第 16534 号原因平成 17 年 7 月 8 日売買所有者何市何町何丁目何番何号 A 3 番所有権移転平成 25 年 7 月 30 日受付第 16543 号原因平成 25 年 7 月 26 日遺贈所有者何市何町何丁目何番何号 B -70-

1. 意義遺言の執行は 遺言執行者がいないときは相続人がこれを執行する 2. 登記申請手続ア申請人 ( 不登 18 条 ) 受遺者を登記権利者 遺言者の相続人を登記義務者とする共同申請による 義務者の記載として 相続人の住所 氏名を記載し 亡何某相続人 と冠記する イ添付情報 1 印鑑証明書 ( 不登令 18 条 2 項 ) 遺言者の相続人の印鑑証明書を添付する 2 相続その他の一般承継を証する情報 ( 不登令 7 条 1 項 5 号イ ) 相続人からの申請であるので申請適格を証するために添付する 資料 2. 遺贈による所有権移転登記の添付書面 ( 添付情報 ) の比較添付情報代理権限証明情報相続その他の一般戸籍謄義務者遺言書審判書指定書承継を証本等する情報 遺言執 行者遺言で定めた場合第三者が指定した場合 家庭裁判所が選任した場合 印鑑証明書 遺言執行者のもの 相続人 相続人全員のもの -71-

27. その他の原因による所有権移転 (1) 贈与 1. 意義贈与とは 当事者の一方が自己の財産を無償にて相手方に与える契約である ( 民 549 条 ) 不動産について 贈与契約があった場合には贈与者から受贈者に所有権が移転する 2. 申請手続 1 登記原因死因贈与 負担付き贈与の場合も 贈与 を原因とする 原則として契約成立日に効力が生ずるので 契約日を原因日付とする 死因贈与は 贈与者死亡の日である 期限をつけた場合などは 期限の到来した時に効力が生ずるので その日付とする 2 添付情報必要な情報が記載されている贈与契約書等を 登記原因証明情報として添付する 3 登録免許税 ( 不登規 189 条 1 項 ) 課税価格に1000 分の20を乗じたもの ( 登税別表第 1.1.(2) ハ ) を納付する (2) 持分放棄 1. 意義不動産を共有している場合 共有者の1 人がその持分を放棄すると その持分は他の共有者に帰属する ( 民 255 条 ) 他の共有者の頭数ではなく 他の共有者の持分割合に応じて帰属することになる 例えば A4 分の2 B4 分の1 C4 分の1の割合で不動産を所有している場合において Bが持分を放棄した場合には A12 分の2 C12 分の1の割合で帰属することになる A 1 1 1 = 4 2 8 A 1 2 2 = 4 3 12 C 1 1 1 = 4 2 8 C 1 1 1 = 4 3 12 2. 登記手続登記記録上は甲 乙共有名義の不動産であるが 実体上は乙の持分が丙に譲渡されている場合 甲から丙への 持分放棄 を原因とする移転登記の申請はできない ( 昭 60.12.2-5441 号 ) -72-

甲 乙 丙共有名義の不動産について 甲の持分放棄により 甲の持分の一部について 持分放棄 を原因として 乙に移転登記がなされている場合 甲の残りの持分について 第三者丁への移転登記は受理される ( 昭 44.5.29-1134 号 ) 1 登記原因持分放棄の意思表示をした日を日付とし 持分放棄 を原因とする 2 登録免許税 ( 不登規 189 条 1 項 ) 課税価格に1000 分の20を乗じたもの ( 登税別表第 1.1.(2) ハ ) を納付する (3) 時効取得 1. 意義 20 年間 ( 占有開始時に善意 無過失の場合には10 年間 ) 所有の意思をもって 平穏かつ公然に他人の不動産を占有した者は その所有権を取得する ( 民 162 条 ) 時効による所有権取得の登記は所有権移転登記による 2. 登記手続 1 登記原因 時効取得 を原因とし 時効の効力は起算日に遡るので 起算日を原因日付とする 2 登録免許税 ( 不登規 189 条 1 項 ) 課税価格に1000 分の20を乗じたもの ( 登税別表第 1.1.(2) ハ ) を納付する (4) 財産分与 1. 意義離婚をした者の一方は 相手方に対して財産の分与を請求することができる ( 民 768 条 1 項 ) 財産分与の内容は 原則として 当事者間の協議で決定するが その協議が調わないとき 又は協議することができないときは 家庭裁判所に対して 離婚の時から2 年以内に 協議に代わる処分を請求することができる ( 民 768 条 2 項 ) 2. 登記手続 1 登記原因 財産分与 を原因とし 協議で決定した場合には 協議成立の日と離婚の日のいずれか遅い日を ( 登研 490 号 146 頁 ) 家庭裁判所の審判の場合には 審判確定日を原因日付とする 2 申請人協議による場合には 原則どおり 共同申請により 審判による場合には 不動産登記法 63 条 1 項の判決による登記により 単独申請となる 3 添付情報登記原因証明情報として 協議による場合は 協議書等を 審判の場合は 審 -73-

判書正本と確定証明書を添付する 4 登録免許税 ( 不登規 189 条 1 項 ) 課税価格に1000 分の20を乗じたもの ( 登税別表第 1.1.(2) ハ ) を納付する (5) 契約解除 取消 1. 意義不動産について所有権移転を生じさせる契約が解除 取り消された場合には 所有権は遡及的に復帰するので 抹消登記により前所有者に登記名義を復帰させるが この抹消登記は不動産登記法 68 条の利害関係人の承諾書を添付しなければならず 承諾書を添付できないときには 抹消登記ができないので 移転登記の方法により前所有者に登記名義を移す方法でもよい 2. 登記手続 1 登記原因合意解除の場合には 合意解除 法定解除の場合には 解除 取消の場合には 取消 を原因とし 解除 取消の効力発生日を原因日付とする 2 登録免許税 ( 不登規 189 条 1 項 ) 課税価格に1000 分の20を乗じたもの ( 登税別表第 1.1.(2) ハ ) を納付する (6) 委任の終了 1. 意義法人格なき社団はその社団名義で登記することはできず ( 昭 28.12.24-2523 号 ) また 代表者の肩書を付した代表者名義で登記することはできない ( 昭 36.7.21-625 号 ) したがって その代表者の個人名義で登記するか 構成員全員の共有又は一部の共有名義に登記するしかない ( 昭 28.12.24-2523 号 最判平 6.5.31) なお 地方自治法 260 条の2 第 1 項の規定により 市町村長の認可を受けた地縁団体は 権利義務の主体になることができるので 地縁団体名義で登記を申請することができる 法人格なき社団所有の不動産につき 代表者の個人名義で登記されているところ 代表者が交替した場合には 委任の終了 を原因として 新しい代表者の個人名義に所有権移転登記をする ( 昭 41.4.18-1126 号 ) 2. 登記手続 1 登記原因 委任の終了 を原因とし 新代表者が就職した日を原因日付とする 2 登録免許税 ( 不登規 189 条 1 項 ) 課税価格に1000 分の20を乗じたもの ( 登税別表第 1.1.(2) ハ ) を納付する -74-

(7) 民法 646 条 2 項による移転 1. 意義受任者が自己の名において 事務を処理した結果 受任者名義 で権利を取得したときは 受任者の取得した権利を委任者へ移転しなければならない ( 民 646 条 2 項 ) 受任者が自己の名において 不動産を取得し 受任者名義で登記をしていた場合 民法第 646 条第 2 項による移転 を原因として 委任者へ所有権移転登記をすることになる 2. 登記手続 1 登記原因 民法第 646 条第 2 項による移転 を原因とし 登記申請日を原因日付とする 2 登録免許税 ( 不登規 189 条 1 項 ) 課税価格に1000 分の20を乗じたもの ( 登税別表第 1.1.(2) ハ ) を納付する (8) 真正な登記名義の回復 1. 意義所有権の登記が 登記原因の不存在 当初からの無効 取消 解除等により遡及的に無効となった場合 真実の所有者はその無効な所有権登記名義を抹消して 自己に所有権の登記名義を復帰させるが 利害関係人がいる場合には その抹消登記申請に その者の承諾書の添付が必要であるため ( 不登 68 条 ) その承諾を得られないときなどは 真正な登記名義の回復 を原因として 所有権移転登記の方法により 真実の所有者に登記名義を復帰させることもできる しかし 競売による売却 を登記原因として甲名義に所有権移転登記がされている不動産につき 真正な登記名義の回復 を登記原因として所有権移転登記を申請することはできない 2. 登記手続 1 登記原因 真正な登記名義の回復 を原因とする 実体上 真正な登記名義の回復という登記原因は本来存在しないので 原因日付の記載は要しない 2 登録免許税 ( 不登規 189 条 1 項 ) 課税価格に1000 分の20を乗じたもの ( 登税別表第 1.1.(2) ハ ) を納付する (9) 代物弁済 1. 意義代物弁済とは 債務者が 債権者の承諾を得て 本来の給付の目的物に代わり 他の給付をすることにより 債権を消滅させることである ( 民 482 条 ) 代物弁済は 要物契約であるので 債権消滅の効果は 単に代物弁済契約が成立しただけは足りず 不動産を代物弁済の内容とする場合には 登記その他の引渡行為を完了するこ -75-

とを要する ( 最判昭 39.11.26) 一方 移転登記に必要な一切の書類の授受により代物弁済の効力を発生させる特約があれば その授受のみで債権は消滅する ( 最判昭 43.11.19) 2. 登記手続 1 登記原因 代物弁済 を原因とする 代物弁済の債権消滅の効果は 原則として 所有権移転登記完了の時に生ずるが 代物弁済による 所有権移転の効果 が 代物弁済契約の意思表示によって生ずることを妨げるものではないので 代物弁済契約日を登記原因日付とする 2 登録免許税 ( 不登規 189 条 1 項 ) 課税価格に1000 分の20を乗じたもの ( 登税別表第 1.1.(2) ハ ) を納付する (10) 現物出資 出資 1. 意義現物出資とは 金銭以外の財産をもってする出資のことである 財産の移転を目的とする行為であり 不動産を現物出資したときは 第三者対抗要件としての登記を要する 2. 登記手続 1 登記原因株式会社では 現物出資 持分会社 ( 合資会社 合名会社 合同会社 ) では 出資 を登記原因とし その日付は 株式会社の場合は不動産を給付した日 合名 合資会社の設立の場合は 定款作成の日 社員の入社及び出資増加の場合は 定款変更の総社員の同意の日である 会社法によって新たに創設された合同会社については 合名 合資会社と同様と考えられる 2 登録免許税 ( 不登規 189 条 1 項 ) 課税価格に1000 分の20を乗じたもの ( 登税別表第 1.1.(2) ハ ) を納付する (11) 譲渡担保 譲渡担保契約解除 1. 意義譲渡担保とは 債務の担保として 債務者又は第三者の財産を債権者に移転することをいう 債務者に債務不履行があれば その財産を売却して その代金をもって債権の弁済にあて 債務者が弁済をすれば その財産を債務者に返還することになる 不動産の譲渡担保契約の成立による所有権移転は 譲渡担保 を原因とする所有権移転登記による 債務者が債務を履行したことによる債務者への所有権復帰は 譲渡担保契約解除 を原因とする 所有権抹消登記ですることも 所有権移転登記ですることもできる -76-

2. 登記手続 1 登記原因 譲渡担保 を原因とし 契約成立日を原因日付とする 譲渡担保契約解除の場合は 譲渡担保契約解除 を原因とし 債務を履行した日を原因日付とする 2 登録免許税 ( 不登規 189 条 1 項 ) 課税価格に1000 分の20を乗じたもの ( 登税別表第 1.1.(2) ハ ) を納付する -77-

28. 共有物不分割の定めの登記 登記の目的 2 番所有権変更 ( 付記 ) 原因平成 25 年 7 月 23 日特約 特約 5 年間共有物不分割 申請人 ( 権利者兼義務者 ) 何市何町何丁目何番号 A 何市何町何丁目何番号 B 添付情報 登記原因証明情報 登記識別情報 印鑑証明書 承諾を証する情報 代理権限証明情報 登録免許税 金 1,000 円 登記記録の記録例 甲区 2 番所有権移転 平成 17 年 11 月 24 日受付第 30008 号 原因平成 17 年 11 月 24 日売買 共有者何市何町何丁目何番何号持分 2 分の1 A 2 分の1 B 付記 1 号 2 番所有権変更 平成 25 年 7 月 25 日受付第 16543 号 原因平成 25 年 7 月 23 日特約 特約 5 年間共有物不分割 乙区 1 番 B 持分抵当権設定 平成 17 年 11 月 24 日受付第 30009 号 抵当権者何市何町何丁目何番何号 C 株式会社 -78-

1. 意義共有物不分割の定め ( 共有物若しくは所有権以外の財産権について民法 256 条 1 項ただし書 ( 同法 264 条において準用する場合を含む ) の規定により分割をしない旨の契約をした場合若しくは同法 908 条の規定により被相続人が遺言で共有物若しくは所有権以外の財産権について分割を禁止した場合における共有物若しくは所有権以外の財産権の分割を禁止する定め又は同法 907 条 3 項の規定により家庭裁判所が遺産である共有物若しくは所有権以外の財産権についてした分割を禁止する審判をいう 不動産登記法 65 条において同じ ) があるときは その定めを登記する ( 不登 59 条 6 号 ) なお 共有者間で 後発的に 共有物の分割請求をしない旨の合意が成立した場合 所有権変更の登記を申請する ( 昭 50.1.10-16 号 ) 2. 登記申請手続ア登記の目的 ( 不登 18 条 ) 所有権一部移転又は共有名義の登記の順位番号を記載し 何番所有権変更 を目的とする 不動産登記法 66 条が適用され 利害関係人がいないか 又は 利害関係人がいる場合に 承諾書が添付できれば 付記登記 で 添付できなければ 主登記 でなされるので 付記登記による申請の場合には ( 付記 ) と記載する イ登記原因及びその日付 ( 不登令 3 条 6 号 ) 不分割の定めが成立した日付で 年月日特約 を原因とする ウ登記事項変更後の事項として 特約何年間共有物不分割 と記載する 5 年を超える期間を定めることができず 5 年を超えた場合には5 年に引き直すこともできない ( 民 256 条 908 条 ) エ申請人 ( 不登 18 条 ) 各共有者は 登記権利者兼登記義務者として申請することになる オ添付情報 1 登記識別情報 ( 不登 22 条 ) 共有者がそれぞれ所有権を取得したときの登記識別情報を提供する 2 印鑑証明書 ( 不登令 18 条 2 項 ) 共有者全員の印鑑証明書を添付する 3 承諾を証する情報 ( 不登 66 不登令別表 25 添ロ ) 利害関係人が存在して 付記登記による申請の場合には 利害関係人の承諾を証する情報を添付する カ登録免許税 ( 不登規 189 条 1 項 ) 定額課税であり 不動産 1 個につき金 1,000 円 ( 登税別表第 1.1.(14)) を納付する -79-

29. 単有名義の共有名義への更正 登記の目的 3 番所有権更正 原因錯誤 更正後の事項共有者何市何町何丁目何番何号持分 2 分の 1 B 何市何町何丁目何番何号 2 分の 1 C 権 利 者 何市何町何丁目何番何号 C 義 務 者 何市何町何丁目何番何号 B 何市何町何丁目何番何号 A 添付情報 登記原因証明情報 登記識別情報 印鑑証明書 住所証明情報 承諾を証する情報 代理権限証明情報 登録免許税 金 1,000 円 登記記録の記録例 甲区 2 番所有権移転 平成 2 年 1 月 5 日受付第 34 号 所有者何市何町何丁目何番何号 A 3 番所有権移転 平成 17 年 12 月 26 日受付第 45633 号 原因平成 17 年 12 月 26 日売買 所有者何市何町何丁目何番何号 B 付記 1 号 3 番所有権更正 平成 25 年 10 月 2 日受付第 23645 号 原因錯誤 共有者何市何町何丁目何番何号持分 2 分の1 B 何市何町何丁目何番何号 2 分の1 C 乙区 1 番抵当権設定 平成 17 年 12 月 26 日受付第 45634 号 抵当権者何市何町何丁目何番何号 X 株式会社 付記 1 号 1 番抵当権更正 抵当権の目的 B 持分 甲区 3 番付記 1 号の登記により平成 25 年 10 月 2 日付記 -80-

1. 意義所有権の更正とは 登記の当初から 登記事項と実体関係の間に全部ではなく一部に不一致がある場合において 是正の前後を通じて同一性があり 登記上の利害関係人の承諾を得て 登記を実体関係に一致させるために行う登記である 原始的不一致全部抹消登記一部同一性なし抹消登記同一性あり更正登記後発的不一致全部抹消登記一部同一性なし抹消登記同一性あり変更登記 2. 登記申請手続ア登記の目的 ( 不登 18 条 ) 更正する登記の順位番号を特定し 何番所有権更正 とする イ登記原因及びその日付 ( 不登令 3 条 6 号 ) 錯誤 を原因とし 日付の記載を要しない ウ登記事項更正後の事項としては 新たに追加される共有者 既登記名義人も含めて更正後の共有者全員の住所 氏名 持分を記載しなければならない エ申請人 ( 不登 18 条 ) 新たに登記名義人となる者を登記権利者 登記記録上持分の減少する者を登記義務者とする さらに 前所有者も登記義務者となる ( 昭 40.8.26-2429 号 ) オ添付情報 1 登記原因証明情報 ( 不登令別表 25 添イ ) 2 住所証明情報新たに登記名義人となる者がいる場合には その者の住所証明情報を添付する 3 変更を証する情報前所有者の表示に変更が生じているときは 変更を証する書面を添付する 4 承諾を証する情報 ( 不登 68 条 ) 不動産登記法 68 条の規定が適用され 常に利害関係人の承諾書又はこれに対抗し得る裁判の謄本を添付しなければならない カ登録免許税 ( 不登規 189 条 1 項 ) 定額課税であり 不動産 1 個につき金 1,000 円 ( 登税別表第 1.1.(14)) を納付する -81-

30. 共有名義の単有名義への更正 登記の目的 3 番所有権更正 原因錯誤 更正後の事項所有者何市何町何丁目何番何号 C 権 利 者 何市何町何丁目何番何号 C 義 務 者 何市何町何丁目何番何号 B 添付情報 登記原因証明情報 登記識別情報 印鑑証明書 承諾を証する情報 代理権限証明情報 登録免許税 金 1,000 円 登記記録の記録例 権利部 甲区 2 番所有権移転 平成 2 年 1 月 5 日受付第 34 号 所有者何市何町何丁目何番何号 A 3 番所有権移転 平成 17 年 12 月 26 日受付第 45633 号 原因平成 17 年 12 月 26 日相続 共有者何市何町何丁目何番何号持分 2 分の1 B 何市何町何丁目何番何号 2 分の1 C 付記 1 号 3 番所有権更正 平成 25 年 10 月 2 日受付第 23645 号 原因錯誤 所有者何市何町何丁目何番何号 C 乙区 1 番 B 持分抵当権設定 平成 17 年 12 月 26 日受付第 45634 号 抵当権者何市何町何丁目何番何号 X 株式会社 2 番 1 番抵当権抹消 甲区 3 番付記 1 号の登記により平成 25 年 10 月 2 日登記 -82-

1. 登記申請手続ア申請人 ( 不登 18 条 ) 登記記録上持分の増加する者を登記権利者 登記名義人として脱退する者を登記義務者とする さらに 前所有者も登記義務者となる ( 昭 40.8.26-2429 号 ) しかし 相続 を登記原因とする所有権移転登記の場合には 前所有者は既に死亡しているので 前所有者が登記義務者となることはない -83-

31. 持分のみの更正 登記の目的 3 番所有権更正 原因錯誤 更正後の事項 B 持分 2 分の 1 C 持分 2 分の 1 権 利 者 何市何町何丁目何番何号 C 義 務 者 何市何町何丁目何番何号 B 添付情報 登記原因証明情報 登記識別情報 印鑑証明書 代理権限証明情報 登録免許税 金 1,000 円 登記記録の記録例権利部甲区 2 番所有権移転平成 2 年 1 月 5 日受付第 34 号所有者何市何町何丁目何番何号 A 3 番所有権移転平成 17 年 12 月 26 日受付第 45633 号原因平成 17 年 12 月 26 日売買共有者何市何町何丁目何番何号持分 3 分の2 B 何市何町何丁目何番何号 3 分の1 C 付記 1 号 3 番所有権更正平成 25 年 10 月 2 日受付第 23645 号原因錯誤 B 持分 2 分の1 C 持分 2 分の1-84-