平成 25 年 7 月 17 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 5 月 29 日 判 決 原 告 株式会社ファランクス 訴訟代理人弁護士 江 森 史麻子 同 呰 真 希 被 告 有限会社サムライ 訴訟代理人弁理士 小 谷 悦

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平成 25 年 3 月 25 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 2 月 25 日 判 決 原 告 株式会社ノバレーゼ 訴訟代理人弁理士 橘 和 之 被 告 常磐興産株式会社 訴訟代理人弁護士 工 藤 舜 達 同 前 川 紀 光

指定商品とする書換登録がされたものである ( 甲 15,17) 2 特許庁における手続の経緯原告は, 平成 21 年 4 月 21 日, 本件商標がその指定商品について, 継続して3 年以上日本国内において商標権者, 専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実がないことをもって, 不使用に

4 年 7 月 31 日に登録出願され, 第 42 類 電子計算機のプログラムの設計 作成 又は保守 ( 以下 本件役務 という ) を含む商標登録原簿に記載の役務を指定役 務として, 平成 9 年 5 月 9 日に設定登録されたものである ( 甲 1,2) 2 特許庁における手続の経緯原告は, 平

平成  年 月 日判決言渡し 同日判決原本領収 裁判所書記官

平成 23 年 10 月 20 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 23 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 23 年 9 月 29 日 判 決 原 告 X 同訴訟代理人弁護士 佐 藤 興 治 郎 金 成 有 祐 被 告 Y 同訴訟代理人弁理士 須 田 篤

本件は, 商標登録取消審判請求に対する審決の取消訴訟である 争点は,1 被告又は通常実施権者による標章使用の有無及び2 使用された標章と登録商標との同一性の有無である 1 本件商標商標登録第 号商標 ( 以下, 本件商標 という ) は, 下記の構成からなり, 第 25 類 運動靴,

一括して買い受けた なお, 本件商品である コンタクトレンズ は, 本件商標の指定商品 眼鏡 に含まれる商品である (3) 使用商標は, ハートO2EXスーパー の文字からなるところ, 本件商品の容器に表示された使用商標は, ハート の文字部分だけが赤い字で, かつデザイン化されており, これに続く

同法 46 条 1 項 1 号により, 無効とすることはできない, というものである 第 3 当事者の主張 1 審決の取消事由に関する原告の主張 (1) 取消事由 1( 商標法 3 条 1 項柱書該当性判断の誤り ) 審決は, 本件商標に関し, 願書に記載された指定商品又は指定役務に使用していること

年 1 月 9 日に第 40 類 布地 被服又は毛皮の加工処理 ( 乾燥処理を含む ), 裁縫, ししゅう, 木材の加工, 竹 木皮 とう つる その他の植物性基礎材料の加工 ( 食物原材料の加工を除く ), 食料品の加工, 廃棄物の再生, 印刷 を指定役務 ( 以下 本件指定役務 という ) とし

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1 原告の請求を棄却する 2 訴訟費用は原告の負担とする 事実及び理由第 1 請求の趣旨 1 特許庁が無効 号事件について平成 25 年 5 月 9 日にした審決を取り消す 2 訴訟費用は被告の負担とする 第 2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯等 ( 当事者間に争い

令和元年 5 月 30 日判決言渡 平成 30 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 31 年 4 月 23 日 判 決 原告ジー エス エフ ケー シー ピー株式会社 被告ケーシーピーヘビーインダスト リーズカンパニーリミテッド 訴訟代理人弁護士 小 林 幸 夫

控訴人は, 控訴人にも上記の退職改定をした上で平成 22 年 3 月分の特別老齢厚生年金を支給すべきであったと主張したが, 被控訴人は, 退職改定の要件として, 被保険者資格を喪失した日から起算して1か月を経過した時点で受給権者であることが必要であるところ, 控訴人は, 同年 月 日に65 歳に達し

平成 25 年 4 月 24 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 3 月 11 日 判 決 原 告 X 訴訟代理人弁理士 松 下 昌 弘 被 告 特 許 庁 長 官 指定代理人 井 出 英一郎 同 水 莖 弥 同 堀 内 仁 子

事実及び理由 第 1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す 2 被控訴人は, 原判決別紙被告方法目録記載のサービスを実施してはならない 3 被控訴人は, 前項のサービスのために用いる電話番号使用状況調査用コンピュータ及び電話番号使用状況履歴データが記録された記録媒体 ( マスター記録媒体及びマスター記録

G-207 登録商標 ヨーロピアン 不使用取消審決取消請求事件 : 知財高裁平成 27( 行 ケ )10032 平成 27 年 9 月 30 日 (1 部 ) 判決 < 棄却 > キーワード 商標法 50 条 ( 登録 3 年以上の登録商標の不使用 ), 登録商標の使用 ( 自他商品の識別機能 ),

平成 31 年 1 月 29 日判決言渡平成 30 年 ( ネ ) 第 号商標権侵害行為差止等請求控訴事件 ( 原審東京地方裁判所平成 29 年 ( ワ ) 第 号 ) 口頭弁論終結日平成 30 年 12 月 5 日 判 決 控訴人 ジー エス エフ ケー シ ー ピー株式会

情報の開示を求める事案である 1 前提となる事実 ( 当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実 ) 当事者 ア原告は, 国内及び海外向けのモバイルゲームサービスの提供等を業とす る株式会社である ( 甲 1の2) イ被告は, 電気通信事業を営む株式会社である

(Microsoft Word \224\255\225\\\201yMSH\201z \224\273\214\210\201i\217\244\225W\201j.doc)

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平成 29 年 5 月 15 日判決言渡 平成 28 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 29 年 3 月 6 日 判 決 原 告 BERNARD FRANCE SERVICE 合同会社 訴訟代理人弁護士笹本摂 向多美子 訴訟代理人弁理士木村高明 被 告 ラボラ

求める事案である 1 本件商標被告は, 平成 17 年 3 月 7 日, rhythm の文字を横書きしてなる商標 ( 以下 本件商標 という ) について, 第 25 類 履物, 乗馬靴 を指定商品として, 商標登録出願し, 同年 9 月 16 日に設定登録を受けた ( 登録第 号

(1) 被告は, 次の商標 ( 以下 本件商標 という ) に係る商標権 ( 以下 本件商標権 という ) を有している ( 甲 25) 商標登録第 号商標の構成千鳥屋 ( 標準文字 ) 登録出願日平成 23 年 12 月 21 日設定登録日平成 25 年 2 月 8 日指定商品第

年 10 月 18 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 3 被控訴人 Y1 は, 控訴人に対し,100 万円及びこれに対する平成 24 年 1 0 月 18 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 4 被控訴人有限会社シーエムシー リサーチ ( 以下 被控訴人リサーチ

平成 25 年 5 月 30 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 4 月 25 日 判 決 原告 X 訴訟代理人弁理士田中聡 被告東洋エンタープライズ株式会社 訴訟代理人弁理士野原利雄 主 文 原告の請求を棄却する 訴訟費用は原

事実 ) ⑴ 当事者原告は, 昭和 9 年 4 月から昭和 63 年 6 月までの間, 被告に雇用されていた ⑵ 本件特許 被告は, 次の内容により特定される本件特許の出願人であり, 特許権者であった ( 甲 1ないし4, 弁論の全趣旨 ) 特許番号特許第 号登録日平成 11 年 1

被告に対し, 著作権侵害の不法行為に基づく損害賠償として損害額の内金 800 万円及びこれに対する不法行為の後の日又は不法行為の日である平成 26 年 1 月 日から支払済みまで年 % の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である 1 判断の基礎となる事実 ( 当事者間に争いのない事実又は後掲の各

異議の決定 異議 東京都荒川区東日暮里 3 丁目 27 番 6 号商標権者株式会社エドウイン 東京都渋谷区広尾 商標異議申立人 EVISU JAPAN 株式会社 東京都港区西新橋 1 丁目 18 番 9 号西新橋ノアビル4 階朝比 増田特許事務所代理人弁理士朝比

最高裁○○第000100号

平成 30 年 10 月 26 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 30 年 ( ワ ) 第 号発信者情報開示請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 9 月 28 日 判 決 5 原告 X 同訴訟代理人弁護士 上 岡 弘 明 被 告 G M O ペパボ株式会社 同訴訟代理人弁護士

丙は 平成 12 年 7 月 27 日に死亡し 同人の相続が開始した ( 以下 この相続を 本件相続 という ) 本件相続に係る共同相続人は 原告ら及び丁の3 名である (3) 相続税の申告原告らは 法定の申告期限内に 武蔵府中税務署長に対し 相続税法 ( 平成 15 年法律第 8 号による改正前の

平成年月日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

基本的な考え方の解説 (1) 立体的形状が 商品等の機能又は美感に資する目的のために採用されたものと認められる場合は 特段の事情のない限り 商品等の形状そのものの範囲を出ないものと判断する 解説 商品等の形状は 多くの場合 機能をより効果的に発揮させたり 美感をより優れたものとしたりするなどの目的で

平成 28 年 4 月 21 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 27 年 ( ワ ) 第 号損害賠償請求事件 口頭弁論終結日平成 28 年 2 月 25 日 判 決 原告株式会社 C A 同訴訟代理人弁護士 竹 村 公 利 佐 藤 裕 紀 岡 本 順 一 石 塚 司 塚 松 卓

7 という ) が定める場合に該当しないとして却下処分 ( 以下 本件処分 という ) を受けたため, 被控訴人に対し, 厚年法施行令 3 条の12の7が上記改定請求の期間を第 1 号改定者及び第 2 号改定者の一方が死亡した日から起算して1 月以内に限定しているのは, 厚年法 78 条の12による

を構成し, その結果, 本願意匠が同法 3 条 1 項柱書の 工業上利用することができる意匠 に当たるか否かである 1 特許庁における手続の経緯原告は, 平成 27 年 3 月 16 日, 意匠法 14 条 1 項により3 年間秘密にすることを請求し, 物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠

応して 本件著作物 1 などといい, 併せて 本件各著作物 という ) の著作権者であると主張する原告が, 氏名不詳者 ( 後述する本件各動画の番号に対応して, 本件投稿者 1 などといい, 併せて 本件各投稿者 という ) が被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上のウェ

1DD CC A CA

31 日にした審決を取り消す 2 訴訟費用は被告の負担とする 第 1 原告の求めた裁判 主文同旨 事実及び理由 第 2 事案の概要 本件は, 商標登録を無効とした審決の取消訴訟である 争点は, 商標法 4 条 1 項 10 号該当性 ( 引用商標の周知性の有無 ) である 1 特許庁における手続の経

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1 本件は, 別紙 2 著作物目録記載の映画の著作物 ( 以下 本件著作物 という ) の著作権者であると主張する原告が, 氏名不詳者 ( 以下 本件投稿者 という ) が被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上のウェブサイト FC2 動画 ( 以下 本件サイト という )

(1) 本件は, 歯科医師らによる自主学習グループであり, WDSC の表示を使用して歯科治療技術の勉強会を主催する活動等を行っている法人格なき社団である控訴人が, 被控訴人が企画, 編集した本件雑誌中に掲載された本件各記事において WDSC の表示を一審被告 A( 以下, 一審被告 A という )

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にした審決を取り消す 第 2 前提事実 1 特許庁における手続の経緯被告は, 発明の名称を レーザ加工方法, 被レーザ加工物の生産方法, およびレーザ加工装置, 並びに, レーザ加工または被レーザ加工物の生産方法をコンピュータに実行させるプログラムを格納したコンピュータが読取可能な記録媒体 とする特

最高裁○○第000100号

淡路町知財研究会 (松宮ゼミ)

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上陸不許可処分取消し請求事件 平成21年7月24日 事件番号:平成21(行ウ)123 東京地方裁判所 民事第38部

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平成 28 年 10 月 11 日判決言渡 平成 28 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結の日平成 28 年 7 月 7 日 判 決 原 告 オーガスタナショナルインコーポレイテッド 同訴訟代理人弁護士 中 村 稔 同 松 尾 和 子 同 田 中 伸 一 郎 同訴訟代

平成 29 年 2 月 20 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 28 年 ( ワ ) 第 号損害賠償請求事件 口頭弁論終結日平成 29 年 2 月 7 日 判 決 原 告 マイクロソフトコーポレーション 同訴訟代理人弁護士 村 本 武 志 同 櫛 田 博 之 被 告 P1 主 文

(イ係)

平成 28 年 4 月 28 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 27 年 ( ワ ) 第 号損害賠償等請求事件 口頭弁論終結日平成 28 年 3 月 22 日 判 決 原 告 A 同訴訟代理人弁護士 松 村 光 晃 中 村 秀 一 屋 宮 昇 太 被告株式会社朝日新聞社 同訴訟代

原告が著作権を有し又はその肖像が写った写真を複製するなどして不特定多数に送信したものであるから, 同行為により原告の著作権 ( 複製権及び公衆送信権 ) 及び肖像権が侵害されたことは明らかであると主張して, 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律 ( 以下 プ ロ

本件は, 商標法 50 条 1 項に基づく商標登録取消審判請求を不成立とした審決の取消訴訟である 1 本件商標及び特許庁における手続の経緯等被告は, 下記の KIRIN の欧文字を横書きしてなり, 平成 8 年 6 月 24 日に出願され, 第 30 類 コーヒー及びココア, 茶, 調味料, 香辛料

平成 25 年 12 月 17 日判決言渡 平成 25 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 10 月 17 日 判 決 原告エイトマイハートイン コーポレイテッド 訴訟代理人弁護士 五十嵐 敦 出 田 真樹子 弁理士 稲 葉 良 幸 石 田 昌 彦 右

原告は, 平成 26 年 12 月 9 日, 指定役務を第 35 類 市場調査又は分析, 助産師のあっせん, 助産師のための求人情報の提供, 第 41 類 セミナーの企画 運営又は開催, 電子出版物の提供, 図書及び記録の供覧, 図書の貸与, 書籍の制作, 教育 文化 娯楽 スポーツ用ビデオの制作

本件は, 商標法 50 条 1 項に基づく商標登録取消審判請求を不成立とした審決の取消訴訟である 1 本件商標及び特許庁における手続の経緯等被告は, 下記の KIRIN の欧文字を横書きしてなり, 平成 19 年 6 月 25 日に出願され, 第 35 類 酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧

G-235 登録商標 一部取消審決取消請求事件 : 知財高裁平成 28( 行 ケ )10230 平成 29 年 9 月 14 日 (2 部 ) 判決 < 請求棄却 > キーワード 商標権 50 条 1 項 ( 不使用取消 ), 社会通念上同一と認められる商標, 平面図 形商標, 位置商標, 部分意匠

F5A F6B EC

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第 1 控訴の趣旨 控訴人は, 原判決取消しとともに, 被控訴人らの請求をいずれも棄却する判決を 求めた 第 2 事案の概要 被控訴人らは日本舞踊の普及等の事業活動をしている 控訴人はその事業活動に 一般社団法人花柳流花柳会 の名称 ( 控訴人名称 ) を使用している 被控訴人ら は, 花柳流 及び

( 以下 プロバイダ責任制限法 という )4 条 1 項に基づき, 被告が保有する発信者情報の開示を求める事案である 1 前提事実 ( 当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実 ) (1) 当事者 原告は, 肩書地に居住する者である ( 甲 1) 被告は,

審決取消判決の拘束力

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達したときに消滅する旨を定めている ( 附則 10 条 ) (3) ア法 43 条 1 項は, 老齢厚生年金の額は, 被保険者であった全期間の平均標準報酬額の所定の割合に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて算出された額とする旨を定めているところ, 男子であって昭和 16 年 4 月 2 日から同

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平成 30 年 6 月 15 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 30 年 ( ワ ) 第 5939 号発信者情報開示請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 5 月 9 日 判 決 5 当事者の表示別紙当事者目録記載のとおり 主 文 1 被告は, 別紙対象目録の 原告 欄記載の各原告に対し,

ある 1 特許庁における手続の経緯原告は, 平成 23 年 6 月 8 日, 下記本願商標につき商標登録出願 ( 商願 号 ) をし, 平成 23 年 11 月 25 日, 指定商品の補正をしたが, 平成 24 年 1 月 30 日, 拒絶査定を受けたので, 平成 24 年 4

平成 25 年 7 月 18 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 25 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 7 月 4 日 判 決 原 告 株式会社ファランクス 訴訟代理人弁護士 江 森 史 麻 子 呰 真 希 被 告 特 許 庁 長 官 指 定

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平成 25 年 7 月 18 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 25 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 7 月 4 日 判 決 原 告 株式会社ファランクス 訴訟代理人弁護士 江 森 史 麻 子 呰 真 希 被 告 特 許 庁 長 官 指 定

第 2 事案の概要本件は, 原告が, 被告に対し, 氏名不詳者が被告の提供するインターネット接続サービスを利用して, インターネット上の動画共有サイトに原告が著作権を有する動画のデータをアップロードした行為により原告の公衆送信権 ( 著作権法 23 条 1 項 ) が侵害されたと主張して, 特定電気

平成  年(オ)第  号

に表現したものということはできない イ原告キャッチフレーズ1は, 音楽を聞くように英語を聞き流すだけ/ 英語がどんどん好きになる というものであり,17 文字の第 1 文と12 文字の第 2 文からなるものであるが, いずれもありふれた言葉の組合せであり, それぞれの文章を単独で見ても,2 文の組合

次のように補正するほかは, 原判決の事実及び理由中の第 2に記載のとおりであるから, これを引用する 1 原判決 3 頁 20 行目の次に行を改めて次のように加える 原審は, 控訴人の請求をいずれも理由がないとして棄却した これに対し, 控訴人が控訴をした 2 原判決 11 頁 5 行目から6 行目

第 2 事案の概要本件は, レコード製作会社である原告らが, 自らの製作に係るレコードについて送信可能化権を有するところ, 氏名不詳者において, 当該レコードに収録された楽曲を無断で複製してコンピュータ内の記録媒体に記録 蔵置し, イン ターネット接続プロバイダ事業を行っている被告の提供するインター

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事実及び理由 第 1 原告の求めた裁判特許庁が無効 号事件について平成 27 年 1 月 6 日にした審決のうち, 登録第 号の指定役務中 第 42 類ウェブログの運用管理のための電子計算機用プログラムの提供, オンラインによるブログ作成用コンピュータプログラ

1 項で, 道府県知事は, 固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されている不動産については, 当該価格により当該不動産に係る不動産取得税の課税標準となるべき価格を決定するものとする旨を定め, 同条 2 項で, 道府県知事は, 固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されていない不動産又は当該固定資産

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1 特許庁における手続の経緯等 ( 後掲証拠及び弁論の全趣旨から認められる事実 ) (1) 被告は, 次の商標 ( 以下 本件商標 という ) の商標権者である ( 甲 1, 2) 登録番号第 号登録出願日平成 26 年 3 月 27 日設定登録日平成 28 年 4 月 22 日登録

並びにそのコンサルタント業務等を営む株式会社である ⑵ 株式会社 CAは, 別紙著作物目録記載 1ないし3の映像作品 ( 以下 本件著作物 1 などといい, 併せて 本件各著作物 という ) の製作に発意と責任を有する映画製作者 ( 著作権法 2 条 1 項 号 ) であるところ, 本件各著作物の著

2 被控訴人らは, 控訴人に対し, 連帯して,1000 万円及びこれに対する平成 27 年 9 月 12 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 第 2 事案の概要 ( 以下, 略称及び略称の意味は, 特に断らない限り, 原判決に従う ) 1 本件は, 本件意匠の意匠権者である控訴人が

認められないから, 本願部分の画像は, 意匠法上の意匠を構成するとは認めら れない したがって, 本願意匠は, 意匠法 3 条 1 項柱書に規定する 工業上利用する ことができる意匠 に該当しないから, 意匠登録を受けることができない (2) 自由に肢体を動かせない者が行う, モニター等に表示される

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1 特許庁における手続の経緯原告は, 名称を 5 角柱体状の首筋周りストレッチ枕 とする発明につき, 平成 20 年 10 月 31 日に特許出願 ( 本願 特願 号, 特開 号, 請求項の数 1) をし, 平成 25 年 6 月 19 日付けで拒絶

G-231 登録商標 不使用取消審決取消請求事件 : 知財高裁平成 29( 行ケ )10033 平成 29 年 6 月 8 日 (2 部 ) 判決 < 請求認容 / 審決取消 > キーワード 審判請求無答弁事件 ( 不使用による登録取消 商標法 50 条 1 項 ), 通常使用 権者, 社会通念上同

により容易に認められる事実 ) (1) 当事者等ア原告は,Aの子である イ Aは, 大正 年 月 日生まれの男性であり, 厚生年金保険の被保険者であったが, 平成 年 月 日, 死亡した ( 甲 1) (2) 老齢通算年金の受給 Aは, 昭和 年 月に60 歳に達し, 国民年金の納付済期間である18

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た損害賠償金 2 0 万円及びこれに対する遅延損害金 6 3 万 9 円の合計 3 3 万 9 6 円 ( 以下 本件損害賠償金 J という ) を支払 った エなお, 明和地所は, 平成 2 0 年 5 月 1 6 日, 国立市に対し, 本件損害賠償 金と同額の 3 3 万 9 6 円の寄附 (

登録番号第 号出願日平成 15 年 8 月 25 日登録日平成 17 年 5 月 13 日登録商標 商品及び役務の区分第 24 類指定商品織物, 布製身の回り品, かや, 敷布, 布団, 布団カバー, 布団側, まくらカバー, 毛布, 織物製いすカバー, 織物製壁掛け, カーテン,

第 2 事案の概要本件は, 原告が有する下記商標登録 ( 本件商標 ) について, 被告が行った商標法 51 条 1 項に基づく商標登録取消審判請求に対し, 特許庁がこれを認容する審決をしたことから, 原告がその審決の取消しを求めた事案である 争点は,1 原告による下記の本件使用商標 1 及び2(

(2) B 社に係る破産事件等東京地方裁判所は, 平成 21 年 2 月 24 日,B 社を再生債務者として, 再生手続開始の決定をした しかし, 東京地方裁判所は, 同年 3 月 24 日,B 社の事業継続を不可能とする事実が明らかになったとして, 再生手続廃止の決定をするとともに, 再生手続廃止

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を構成し, その結果, 本願意匠が同法 3 条 1 項柱書の 工業上利用することができる意匠 に当たるか否かである 1 特許庁における手続の経緯原告は, 平成 27 年 3 月 16 日, 意匠法 14 条 1 項により3 年間秘密にすることを請求し, 物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠

平成 30 年 9 月 10 日判決言渡 平成 30 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 7 月 11 日 判 決 原告ハワード株式会社 同訴訟代理人弁護士 窪 田 英一郎 乾 裕 介 今 井 優 仁 中 岡 起代子 本阿弥 友 子 同訴訟代理人弁理士

号 ) をしたが, 同年 11 月 17 日付けで拒絶査定を受けたので, 平成 28 年 1 月 26 日, これに対する不服の審判請求をした ( 不服 号 ) ( 甲 3, 甲 4の1, 乙 1) 特許庁は, 平成 28 年 7 月 28 日, 本件審判の請求

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平成 25 年 7 月 17 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 10441 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 5 月 29 日 判 決 原 告 株式会社ファランクス 訴訟代理人弁護士 江 森 史麻子 同 呰 真 希 被 告 有限会社サムライ 訴訟代理人弁理士 小 谷 悦 司 同 小 谷 昌 崇 同 川 瀬 幹 夫 同 脇 坂 祐 子 主 文 1 原告の請求を棄却する 2 訴訟費用は原告の負担とする 事実及び理由 第 1 請求特許庁が取消 2012-300292 号事件について平成 24 年 11 月 15 日にした審決を取り消す 第 2 前提となる事実 1 特許庁における手続の経緯等被告は, 別紙商標目録の登録商標記載の商標 ( 以下 本件商標 という ) につき, 指定商品を同目録の指定商品に記載のとおりとする, 商標登録第 217547 1 号の2( 昭和 62 年 11 月 9 日出願, 平成元年 10 月 31 日設定登録 以下 本件商標登録 という ) に係る商標権を有している ( 甲 1ないし3) 原告は, 平成 24 年 4 月 13 日, 特許庁に対し, 商標法 50 条 1 項に基づき, 本 1

件商標の指定商品中 第 25 類全指定商品 についての本件商標登録の取消しを求めて審判 ( 取消 2012-300292 号事件 以下 本件審判 という ) を請求し, 同年 5 月 1 日, 本件審判の予告登録がされた ( 甲 2,3) 特許庁は, 同年 11 月 15 日, 請求不成立の審決 ( 以下 審決 という ) をし, その謄本は, 同月 26 日, 原告に送達された 2 審決の理由審決の理由は, 別紙審決書写しに記載のとおりであり, その要旨は, 以下のとおりである すなわち, 被告 ( 商標権者 ) は, 本件審判の予告登録 ( 平成 24 年 5 月 1 日 ) 前 3 年以内である平成 22 年 9 月 30 日頃及び同年 12 月 20 日頃に, 自己の取り扱うデニムズボンに本件商標と社会通念上同一と認められる SAMURA I の欧文字からなる商標を付し, また, デニムズボンの広告に当該商標を付して頒布することにより, 当該商標を使用したと認められ, 商標法 50 条により本件商標登録を取り消すことはできない, とするものである 第 3 取消事由に関する当事者の主張 1 原告の主張本件商標と被告が使用している SAMURAI Samurai の文字を表記した商標 ( 複数のものがある 一括して 使用商標 という ) が社会通念上同一の商標であるとした審決の判断には, 誤りがある その理由は, 以下のとおりである (1) 本件商標と使用商標本件商標は, 欧文字の大文字である SAMURAI を毛筆風の特徴のある書体でデザイン化したものであり, S 及び R の文字が他の文字と比べて大きく表記されている これに対して, 使用商標は, 全てが同一の書体で表記されているわけではないが, いずれも相当にデザイン化された書体が使用され, 毛筆風の書体は使用されていない 2

(2) 使用商標と本件商標との社会通念上の同一性以下のとおり, 使用商標は本件商標と社会通念上同一とはいえない ア使用商標は, いずれも相当にデザイン化された書体である また, 使用商標は, 一つの標章が一定期間繰り返し使用されているのではなく, SAMURA I ないし サムライ という社名と同一の文字をデザイン化した, 多数の異なる標章が使用されている これは, 本件商標と同一の標章を使用して, 取引の信用を本件商標に化体させるというよりも, 被告の社名と同一の文字をデザインの点に重点を置いて使用していることによるものであり, 使用商標は, 被告商品の出所を示すものと認識されない態様で用いられている イ SAMURAI ないし サムライ に他の用語を付けるなどした標章を付した衣類は, 数多く販売されており, 被服を指定商品とする SAMURAI (Samurai,samurai) を使用した商標も, 多数登録されている 本件商標は, 一般的なありふれた標章であり, 現実に同業他社が多数使用し, 商標登録している文字からなるものであるから, 書体に大幅な変更を加えることは, 社会通念上同一とは認識されない ウ登録商標に大幅な変更を加えた標章を使用している場合に, 当該登録商標の使用と認めることは, 商標権者に不当に広い権利を与えることとなるとともに, 国民一般の利益を不当に侵害し, その存在により権利者以外の商標使用希望者の商標の選択の余地を狭めることとなり, 不使用取消の制度の趣旨に反する エなお, 平成 8 年時点の商標審査基準 ( 以下 旧商標審査基準 という ) には, 平成 8 年の改正前の商標法 19 条 2 項に基づく更新登録の際の登録商標の使用の有無の審査において, 登録商標の使用と認められる事例として, 登録商標を構成する文字の書体に関し, 同一字形の同一配列順の構成における活字体の相互間の使用が挙げられている 使用商標は, 本件商標との活字体の相互間の使用に留まっていない 以上によれば, 使用商標は本件商標と社会通念上同一とはいえない 3

2 被告の反論 (1) 商標法 50 条 1 項は, 括弧書きで, 不使用取消における登録商標の使用においては, 社会通念上同一と認められる商標の使用も含まれることを明確にしている また, 同条 1 項は, 書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標 平仮名, 片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであつて同一の称呼及び観念を生ずる商標 外観において同視される図形からなる商標 を社会通念上同一と認められる商標として例示している 上記規定は, 取引社会においては, 商標登録がされた場合であっても, 登録商標と同一のものを使用するのではなく, 当該商標を付する商品 役務の具体的な性状や取引事情に応じて, これに適宜変更を加えて使用するのが一般的であるという, 商標の実務に合わせた規定である (2) 被告は, 指定商品である被服に含まれるデニムズボンのフラッシャー等に, SAMURAI Samurai の文字を種々の態様で使用している 使用商標は, このように種々の態様で SAMURAI Samurai の文字を表記したものであり, いずれも社会通念上同一と認められる商標として例示されている 書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標 に該当する 使用商標は, 本件商標と書体に相違があるものの, これを構成する文字は共通し, 称呼及び観念も本件商標と同一である したがって, 使用商標は, 本件商標と社会通念上同一と認められる商標に該当する (3) 原告は, 旧商標審査基準を根拠に, 使用商標は本件商標と社会通念上同一とはいえないと主張する しかし, 旧商標審査基準は, 平成 8 年の商標法改正時に導入された 登録商標と社会通念上同一と認められる商標 の判断に参考となるものではなく, 原告の主張は失当である (4) 以上のとおり, 被告は, 本件審判の予告登録前 3 年以内に, 日本国内において, 本件審判請求に係る指定商品について, 本件商標と社会通念上同一と認めら 4

れる商標を使用している 第 4 当裁判所の判断当裁判所は, 原告主張の取消事由は理由がないと判断する その理由は, 以下のとおりである 本判決においては, 審決が認定した, デニムズボンに付された使用商標を対象として, 判断することとする 1 本件商標と使用商標について (1) 本件商標本件商標は, 別紙商標目録の登録商標記載のとおりであり, 欧文字 SAMUR AI が毛筆風の書体で描かれ, S 及び R の文字が他の文字より大きく表記されている (2) 使用商標使用商標は, 複数の使用態様があるが, そのうちの一例を示すと, 別紙使用商標目録記載のとおりである 平成 22 年 9 月 30 日発行及び同年 12 月 20 日発行の雑誌に, 被告が販売するデニムズボンの紹介記事が掲載されており, 当該記事にはバックポケットにフラッシャー, 腰部に革パッチが付けられたズボン本体の前面及び背面の写真と共に, フラッシャー, パッチ等の写真が掲載されている フラッシャーは, 様々なデザインの絵柄や 侍 刃 零 極 などの文字とともに, その上部ないし中央部に, SAMURAI Samurai の文字が表記されている SAMURA I Samurai の文字は, 全ての使用商標において同一の書体で表記されているわけではないが, いずれも概ね標準の活字体又は筆記体で表記されている また, 革パッチ, ビスネーム, タグなどに SAMURAI Samurai の文字が表記された商標や, ズボンの臀部に SAMURAI Samura i の文字がプリントされた商標も付されている ( 甲 4ないし6, 乙 2) 以上によると, 被告は, 平成 22 年 9 月頃及び同年 12 月頃, 指定商品である第 25 類 被服 ( 和服 を除く ) に該当するデニムズボンのフラッシャーに 5

SAMURAI Samurai の文字からなる使用商標を付し, 使用商標が付されたデニムズボンを販売していたと認められる 上記のとおり, 使用商標における SAMURAI Samurai の文字は, 同一の書体で表記されているわけではないが, いずれの書体も本件商標とは異なる 2 使用商標と本件商標との社会通念上の同一性について (1) 商標法 50 条 1 項は, 登録商標( 書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標, 平仮名, 片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであつて同一の称呼及び観念を生ずる商標, 外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含む 以下この条において同じ ) と規定しており, 使用の対象となる商標は, 登録商標と社会通念上同一と認められる商標も含むとされている 同規定は, 通常の取引社会においては, 常に登録商標と同一のものを使用するのではなく, 当該商標を付する商品 役務の性質等に応じて, これに適宜変更を加えて使用するのが一般的であるという, 実務上の要請に即したものである 本件について, 同条 1 項の上記趣旨に照らして判断すると, 前記のとおり, 本件商標は, SAMURAI との欧文字を毛筆風の書体で表記した商標であるのに対して, 使用商標はいずれも SAMURAI Samurai との欧文字を概ね標準の書体で表記した商標である 両者は, 大文字か小文字かの相違やデザイン上の相違はあるものの, その構成する文字において共通することから, 使用商標は, 本件商標と社会通念上同一と認められる商標に該当するというべきである (2) これに対し, 原告は, 使用商標はいずれも, 相当にデザイン化された書体に変更されており, 使用商標に加えられた書体の変更は, 社会通念上同一といえる範囲を超えていると主張する しかし, 使用商標は, 様々な絵柄や 侍 刃 零 極 などの文字とともに表記されているが, いずれも SAMURAI Samurai との欧文字が, 概ね標準の書体により, 明瞭に表示されており, 社会通念上同一といえる範囲に含まれるものというべきであり, この点の原告の主 6

張は採用の限りでない また, 原告は, 使用商標は, SAMURAI ないし サムライ という社名と同一の文字をデザイン化した, 多数の異なる標章が用いられており, 被告商品の出所を示すものと認識されない態様で用いられていると主張する しかし, 使用商標は, 工夫が施された図柄とともに使用されているが, 前記のとおり, フラッシャーに SAMURAI Samurai との欧文字が, 概ね標準の書体で表示されている使用状況に照らすならば, 取引者, 需要者は, 商品の出所を示すための表示と認識することは明らかである さらに, 原告は, 登録商標に大幅な変更を加えた標章の使用を当該登録商標の使用として認めることは, 商標権者に不当に広い権利を与えることとなるとともに, 国民一般の利益を不当に侵害するなどと主張する しかし, 前記のとおり, 使用商標は登録商標に大幅な変更を加えたものであるとはいえず, 原告の主張はその前提において失当である その他, 原告は, 縷々主張するが, いずれも採用の限りでない 3 結論以上によると, 被告は, 本件審判の予告登録 ( 平成 24 年 5 月 1 日 ) 前 3 年以内である平成 22 年 9 月頃及び同年 12 月頃に, 日本国内において, 本件審判請求に係る指定商品について, 本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していると認められる したがって, 原告主張の取消事由は理由がない よって, 原告の請求を棄却することとして, 主文のとおり判決する 知的財産高等裁判所第 1 部 裁判長裁判官 7

飯村敏明 裁判官 八木貴美子 裁判官 小田真治 8

別紙商標目録 登録商標 指定商品第 20 類 クッション, 座布団, まくら, マットレス 第 22 類 衣服綿, ハンモック, 布団袋, 布団綿 第 24 類 布製身の回り品, かや, 敷布, 布団, 布団カバー, 布団側, まくらカバー, 毛布 第 25 類 被服 ( 和服 を除く ) 9

別紙使用商標目録 10