4.7 広島県の気候変動 4.7.1 広島における気温の長期変動広島地方気象台の観測によると季節ごとの平均気温の経変化を図 4.7.1 に示す 平均気温は長期的に有意な上昇傾向を示しており 1 あたり 1.51 ( 統計期間 :79~12 ) の割合で上昇している 1 の上昇幅 1.51 は 気温の平値で比較すると 広島 ( 平値.3 ) と高知県の清水 [ 足摺岬 ]( 平値.2 ) の差にほぼ相当する 季節ごとの平均気温も四季すべてで長期的に有意な上昇傾向を示し 春 (3~5 月 ) と秋 (9~11 月 ) の上昇傾向が大きい 気温の変動には 地球温暖化の影響や 観測所が都市部にあることによるヒートアイランドの影響があり さらに数 ~ 数十程度の時間規模で繰り返される自然変動が重なっていると考えられる /1 温( ) 1.51 平均気 基準値 :.3 13 1.65 /1 3 1.54 /1 28 26 12 24 1 22 冬 ( 前 12 月 ~2 月 ) 22 1.61 /1 1 1.28 /1 8 6 4 2 図 4.7.1 広島 ( 広島地方気象台 ) におけると季節ごとの平均気温の経変化 (79~12 ) 平均気温 ( 上図 ) の折れ線 ( 桃 ) は各の値 折れ線 ( 青 ) は 5 移動平均 直線 ( 赤 ) は長期変化傾向 黒の横太線は基準値 (1981~1 の平均値 ) を示す 季節ごと ( 中 下図 ) の折れ線は 各と 5 移動平均の値 直線は長期変化傾向を示す 広島地方気象台は 1935 1 月 1988 1 月に観測場所を移転した 移転前 (1988 1 月以前 ) の観測データに 移転による影響を除去するための補正を行っており 公開されている観測データとは値が異なる
4.7.2 広島における降水量の長期変動広島地方気象台の観測によると季節ごとの降水量の経変化を図 4.7.2 に示す ( 統計期間 :79~ 12 ) 降水量 および季節ごとの降水量は はっきりとした長期的な変化傾向はみられない 降水量の十規模の変動を見ると 195 代は多雨傾向であるが 9 代 193 前後には少雨傾向がみられた 195 代に多雨傾向がみられたのは夏の降水量が多かったためと考えられる 2 基準値 : 37.6mm 2 降 水量 (m m 1 ) 1 1 1 冬 ( 前 12 月 ~2 月 ) 1 図 4.7.2 広島 ( 広島地方気象台 ) におけると季節の降水量の経変化 (79~12 ) 降水量 ( 上図 ) の折れ線 ( 青 ) は各の値 折れ線 ( 紫 ) は 5 移動平均 黒の横太線は基準値 (1981 ~1 の平均値 ) を示す 季節ごと ( 中 下図 ) の折れ線は 各と 5 移動平均の値を示す
4.7.3 広島における真夏日 冬日 熱帯夜の長期変動広島地方気象台の観測による真夏日 ( 日最高気温 3 以上の日 ) 冬日( 日最低気温 未満の日 ) と熱帯夜 ( 日最低気温 25 以上の日 ) の間日数の経変化 (1931~12 ) を図 4.7.3 に示す 統計期間 1936 ~1987 の 52 間 (1935 1988 に官署移転があり その前後で単純に比較できないため ) について長期的な変化傾向を調べた結果 真夏日 ( 図 4.7.3 左上 ) は有意な変化傾向はみられない 冬日 ( 図 4.7.3 右上 ) は有意な減少傾向が 熱帯夜 ( 図 4.7.3 左下 ) は有意な増加傾向がみられる 冬日は 194 代の平均 53 日から 198 代では平均 34 日程度に減少し 熱帯夜は 193 代の平均 4 日から 198 代は平均 1 日程度に増加している 真夏日日数 1 8 6 4 1935 1 月移転 1988 1 月移転 冬日日数 1 8 6 4-4.1 日 /1 1935 1 月移転 1988 1 月移転 熱帯夜日数 1 193 195 197 199 1 8 6 4 1.6 日 /1 1935 1 月移転 1988 1 月移転 193 195 197 199 1 図 4.7.3 広島 ( 広島地方気象台 ) の真夏日 ( 左上 : 日最高気温 3 以上の日 ) の間日数の経変化 (1931~12 ) 冬日( 右上 : 日最低気温 未満の日 ) の間日数の経変化 (1931~12 ) と 熱帯夜 ( 左下 : 日最低気温 25 以上の日 ) の間日数の経変化 (1931~12 ) 棒グラフは各の値 折れ線は 5 移動平均 直線は長期変化傾向を示す 193 195 197 199 1 4.7.4 広島におけるさくらの開花日の長期変動広島地方気象台の観測によるさくら ( そめいよしの ) の開花日の経変化を図 4.7.4 に示す 開花日は長期的に見ると 5 あたり 5.6 日の割合で早くなっている さくらの開花日 4 月 11 日 3 月 27 日 -5.6 日 /5 基準日 : 3 月 27 日 3 月 12 日 195 196 197 198 199 1 図 4.7.4 広島 ( 広島地方気象台 ) のさくらの開花日の経変化 ( 統計期間 1953~13 ) 折れ線 ( 桃 ) は開花日 直線 ( 赤 ) は長期変化傾向 黒の横太線は基準値 (1981~1 の平均値 ) を示す
4.7.5 呉における気温の長期変動呉特別地域気象観測所の観測によると季節ごとの平均気温の経変化を図 4.7.5 に示す 平均気温は長期的に有意な上昇傾向を示しており 1 あたり 1.22 ( 統計期間 :95~12 ) の割合で上昇している 季節ごとの平均気温も四季すべてで長期的に有意な上昇傾向を示し 冬 ( 前 12~2 月 ) の上昇傾向が大きい 温( ) 1.22 /1 平均気 基準値 :.2 13 8 19 19 194 196 198 1. /1 29 1.1 /1 27 13 25 11 23 9 8 19 19 194 196 198 21 8 19 19 194 196 198 22 1.29 /1 1 1.42 /1 冬 ( 前 12 月 ~2 月 ) 8 6 4 8 19 19 194 196 198 2 8 19 19 194 196 198 図 4.7.5 呉 ( 呉特別地域気象観測所 ) におけると季節ごとの平均気温の経変化 (95~12 ) 平均気温 ( 上図 ) の折れ線 ( 桃 ) は各の値 折れ線 ( 青 ) は 5 移動平均 直線 ( 赤 ) は長期変化傾向 黒の横太線は基準値 (1981~1 の平均値 ) を示す 季節ごと ( 中 下図 ) の折れ線は 各と 5 移動平均の値 直線は長期変化傾向を示す 呉測候所 ( 当時 ) は 1957 1 月に観測場所を移転した 移転前 (1957 1 月以前 ) の観測データに 移転による影響を除去するための補正を行っており 公開されている観測データとは値が異なる 1945 4 月および1945 6 月から 1946 9 月までは欠測となっている
4.7.6 呉における降水量の長期変動呉特別地域気象観測所の観測によると季節ごとの降水量の経変化を図 4.7.6 に示す ( 統計期間 : 95~12 ) 降水量 および季節ごとの降水量は はっきりとした長期的な変化傾向はみられない 2 基準値 : 1381.3mm 2 降水 量 (m m ) 8 19 19 194 196 198 1 8 19 19 194 196 198 1 8 19 19 194 196 198 1 8 19 19 194 196 198 冬 ( 前 12 月 ~2 月 ) 1 8 19 19 194 196 198 図 4.7.6 呉 ( 呉特別地域気象観測所 ) におけると季節の降水量の経変化 (95~12 ) 降水量 ( 上図 ) の折れ線 ( 青色 ) は各の値 折れ線 ( 紫色 ) は 5 移動平均 黒の横太線は基準値 (1981 ~1 の平均値 ) を示す 季節ごと ( 中 下図 ) の折れ線は 各と 5 移動平均の値を示す 1945 4 月および 1945 6 月から 1946 9 月までは欠測となっている
4.7.7 呉における真夏日 冬日 熱帯夜の長期変動呉特別地域気象観測所の観測による真夏日 ( 日最高気温 3 以上の日 ) 冬日( 日最低気温 未満の日 ) と熱帯夜 ( 日最低気温 25 以上の日 ) の間日数の経変化 (1931~12 ) を図 4.7.7 に示す 統計期間 1958 ~12 の 55 間 (1957 に官署移転があり その前後で単純に比較できないため ) について長期的な変化傾向を調べた結果 真夏日 ( 図 4.7.7 左上 ) は 有意な変化傾向はみられない 冬日 ( 図 4.7.7 右上 ) は有意な減少傾向が 熱帯夜 ( 図 4.7.7 左下 ) は有意な増加傾向がみられる 真夏日日数 1 8 6 4 1957 1 月移転 冬日日数 1 8 6 4-3.6 日 /1 1957 1 月移転 熱帯夜日数 193 195 197 199 1 1 8 6 4 3.1 日 /1 1957 1 月移転 193 195 197 199 1 図 4.7.7 呉 ( 呉特別地域気象観測所 ) の真夏日 ( 左上 : 日最高気温 3 以上の日 ) の間日数の経変化 (1931~12 ) 冬日( 日右上 : 最低気温 未満の日 ) の間日数の経変化 (1931~12 ) と 熱帯夜 ( 左下 : 日最低気温 25 以上の日 ) の間日数の経変化 (1931~12 ) 棒グラフは各の値 折れ線は 5 移動平均 直線は長期変化傾向を示す 193 195 197 199 1 4.7.8 広島市と呉市の平均気温の変化 広島と呉の平均気温 (5 移動平均 ) の経変化を図 4.7.8 に示す 19 代は呉が.5 程度高 かったが 近は差がほとんどなくなっている 2 地点の平均気温の変化 広島呉長期変化 ( 広島 ) 長期変化 ( 呉 ) 気 温( ) 9 191 193 195 197 199 1 図 4.7.8 広島 ( 広島地方気象台 ) と呉 ( 呉特別地域気象観測所 ) における平均気温 (5 移動平均 ) の変化 (95~12 ) 折れ線は 5 移動平均 直線は長期変化傾向を示す
コラム 乾燥化が与える広島県島しょ部のレモン生産 レモンの生産量は広島県が日本一であり 広島県の呉市豊町 尾道市瀬戸田町などの島しょ部が レモンの主要な産地として有名です 気候が温暖 間降水量がミリ程度で レモン生産に適した地域です 異常少雨のには土壌の乾燥から 葉の黄色化 落葉 不完全花の割合の増加につながり 生産量が落ち込みます 少雨による土壌乾燥が どの時期にどれほどレモン収穫量に影響するかを示すためには 詳細な実験データが必要となります 広島県立総合技術研究所農業技術センターでは 冬季から春季における土壌の乾燥がレモンの収穫量に及ぼす影響を調査するため 土壌を乾燥させる期間を1 月 3 月 5 月と分けてレモンの品質調査をしました 3 月の土壌乾燥が着果率を低下させ 土壌乾燥を施さない場合に比べて収穫量が4% 以上減少するという結果が得られました ( 第 1 図 ) 以上のことから レモンでは3 月に土壌が乾燥しないように管理する必要があると考えられます 地面にマルチ ( 防草シート ) を敷き 穴が開いた黒いチューブで 地表面に点滴のように少量の水をかん水する 点滴かん水 と呼ばれる技術を用いた実証試験を ( 独 ) 近畿中国四国農業研究センターと共同で行っています ( 第 2 図 ) 第 3 図は近の広島市の3 月の降水量の変動を見たものです 近 3 月の降水量は減少傾向がみられることもあり 上記の技術を用いてのレモン生産法が広まる日が来るかも知れません 8 内の数字は, 無処理区を 1 とした指 収 7 穫 6 量(5 k 4 g 1 / 3 89 76 2 57 樹)1 無処理区 1 月土壌乾燥区 3 月土壌乾燥区 5 月土壌乾燥区第 1 図土壌乾燥の処理時期とレモンの収穫量 第 2 図マルチと点滴かん水の実証試験 ミリ 第 3 図広島市の 3 月の降水量の変動 観測値 5 移動平均回帰直線