報道機関各位 平成 27 年 3 月 20 日 ( 同時提供資料 ) 栃木県政記者クラブ 国立大学法人宇都宮大学 埼玉県政記者クラブ 学校法人 埼玉医科大学 文部科学記者会, 科学記者会 学校法人 早稲田大学 任意の偏光を持つテラヘルツ光の解析法を開発 ( 報道解禁日 :3 月 24 日午後 7 時

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報道機関各位 平成 27 年 8 月 18 日 東京工業大学広報センター長大谷清 鰭から四肢への進化はどうして起ったか サメの胸鰭を題材に謎を解き明かす 要点 四肢への進化過程で 位置価を持つ領域のバランスが後側寄りにシフト 前側と後側のバランスをシフトさせる原因となったゲノム配列を同定 サメ鰭の前

王子計測機器株式会社 LCD における PET フィルムの虹ムラに関する実験結果 はじめに最近 PETフィルムはLCD 関連の部材として バックライトユニットの構成部材 保護シート タッチセンサーの基材等に数多く使用されています 特に 液晶セルの外側にPET フィルムが設けられる状態

偏光板 波長板 円偏光板総合カタログ 偏光板 シリーズ 波長板 シリーズ 自社製高機能フィルムをガラスで挟み接着した光学フィルター

報道関係者各位 平成 24 年 4 月 13 日 筑波大学 ナノ材料で Cs( セシウム ) イオンを結晶中に捕獲 研究成果のポイント : 放射性セシウム除染の切り札になりうる成果セシウムイオンを効率的にナノ空間 ナノの檻にぴったり収容して捕獲 除去 国立大学法人筑波大学 学長山田信博 ( 以下 筑

平成20年度実績報告

平成 28 年 6 月 3 日 報道機関各位 東京工業大学広報センター長 岡田 清 カラー画像と近赤外線画像を同時に撮影可能なイメージングシステムを開発 - 次世代画像センシングに向けオリンパスと共同開発 - 要点 可視光と近赤外光を同時に撮像可能な撮像素子の開発 撮像データをリアルタイムで処理する

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報道関係者各位 平成 26 年 5 月 29 日 国立大学法人筑波大学 サッカーワールドカップブラジル大会公式球 ブラズーカ の秘密を科学的に解明 ~ ボールのパネル構成が空力特性や飛翔軌道を左右する ~ 研究成果のポイント 1. 現代サッカーボールのパネルの枚数 形状 向きと空力特性や飛翔軌道との

解禁日時 :2019 年 2 月 4 日 ( 月 ) 午後 7 時 ( 日本時間 ) プレス通知資料 ( 研究成果 ) 報道関係各位 2019 年 2 月 1 日 国立大学法人東京医科歯科大学 国立研究開発法人日本医療研究開発機構 IL13Rα2 が血管新生を介して悪性黒色腫 ( メラノーマ ) を

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平成 28 年 10 月 25 日 報道機関各位 東北大学大学院工学研究科 熱ふく射スペクトル制御に基づく高効率な太陽熱光起電力発電システムを開発 世界トップレベルの発電効率を達成 概要 東北大学大学院工学研究科の湯上浩雄 ( 機械機能創成専攻教授 ) 清水信 ( 同専攻助教 ) および小桧山朝華

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自然現象とモデル_ pptx

学報_台紙20まで

コバルトとパラジウムから成る薄膜界面にて磁化を膜垂直方向に揃える界面電子軌道の形が明らかに -スピン軌道工学に道 1. 発表者 : 岡林潤 ( 東京大学大学院理学系研究科附属スペクトル化学研究センター准教授 ) 三浦良雄 ( 物質材料研究機構磁性 スピントロニクス材料研究拠点独立研究者 ) 宗片比呂

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機械学習により熱電変換性能を最大にするナノ構造の設計を実現

空間光変調器を用いた擬似振幅変調ホログラムによる光の空間モード変換 1. 研究目的 宮本研究室北谷拓磨 本研究は 中心に近づく程回折効率が小さくなるホログラムを作製し 空間光変調器 (spatial light modulator SLM) を用いて 1 次のラゲールガウスビーム (LG ビーム )

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画像類似度測定の初歩的な手法の検証

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図 1. 微小管 ( 赤線 ) は細胞分裂 伸長の方向を規定する本瀬准教授らは NIMA 関連キナーゼ 6 (NEK6) というタンパク質の機能を手がかりとして 微小管が整列するメカニズムを調べました NEK6 を欠損したシロイヌナズナ変異体では微小管が整列しないため 細胞と器官が異常な方向に伸長し

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【最終版・HP用】プレスリリース(徳永准教授)

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論文の内容の要旨

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配付先 : 文部科学記者会 科学記者会 神奈川県政記者クラブ 横須賀市政記者クラブ 青森県政記者会 むつ市政記者会 高知県政記者クラブ 沖縄県政記者クラブ 名護市駐在 3 社 大阪科学 大学記者クラブ 和歌山県政記者クラブ 和歌山県政放送記者クラブ 和歌山県地方新聞記者クラブ 新宮中央記者会 新宮記

所 属 :1 広島大学大学院理学研究科 2 東京大学物性研究所 3 愛知シンクロ トロンセンター 4 広島大学放射光科学研究センター 5 兵庫県立大学大学院物質理学研究科 D O I: /s 背景 近年 電子 光学デバイスの材料として 2 次元単原子層結

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大学院博士課程共通科目ベーシックプログラム

研究の背景物質の原子 1つ1つを識別してその性質を調べる研究は これまでに盛んに取り組まれてきました しかしながら テラヘルツ波の信号やノイズレベル (-174 dbm レベル注近くの強度の信号 ) の強度しかない微弱な信号を検出する分光技術の開発は難しく 未だに成し遂げられていない課題でした [1

20 戸井田昌宏 図 1. ラマン励起測定部の概要. 縮小レンズへ導光され, 細径平行ビームに変換され, シリンドリカルレンズにより, 後段の分光器へ導光される. 分光器はダブルモノクロメーターを用い, 分光器出射スリット部に光ファイバー導光部を設け, 光ファイバーを介して光検出器へラマン散乱光を導

共同研究チーム 個人情報につき 削除しております 1

反射係数

報道機関各位 平成 28 年 8 月 23 日 東京工業大学東京大学 電気分極の回転による圧電特性の向上を確認 圧電メカニズムを実験で解明 非鉛材料の開発に道 概要 東京工業大学科学技術創成研究院フロンティア材料研究所の北條元助教 東正樹教授 清水啓佑大学院生 東京大学大学院工学系研究科の幾原雄一教

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京都大学博士 ( 工学 ) 氏名宮口克一 論文題目 塩素固定化材を用いた断面修復材と犠牲陽極材を併用した断面修復工法の鉄筋防食性能に関する研究 ( 論文内容の要旨 ) 本論文は, 塩害を受けたコンクリート構造物の対策として一般的な対策のひとつである, 断面修復工法を検討の対象とし, その耐久性をより

平成 30 年 8 月 6 日 報道機関各位 東京工業大学 東北大学 日本工業大学 高出力な全固体電池で超高速充放電を実現全固体電池の実用化に向けて大きな一歩 要点 5V 程度の高電圧を発生する全固体電池で極めて低い界面抵抗を実現 14 ma/cm 2 の高い電流密度での超高速充放電が可能に 界面形

報道発表資料 2002 年 10 月 10 日 独立行政法人理化学研究所 頭にだけ脳ができるように制御している遺伝子を世界で初めて発見 - 再生医療につながる重要な基礎研究成果として期待 - 理化学研究所 ( 小林俊一理事長 ) は プラナリアを用いて 全能性幹細胞 ( 万能細胞 ) が頭部以外で脳

1. 内容と成果研究チームは 天の川銀河の中心を含む数度の領域について 一酸化炭素分子が放つ波長 0.87mm の電波を観測しました 観測に使用した望遠鏡は 南米チリのアタカマ砂漠 ( 標高 4800m) に設置された直径 10m のアステ望遠鏡です 観測は 2005 年から 2010 年までの長期

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高集積化が可能な低電流スピントロニクス素子の開発に成功 ~ 固体電解質を用いたイオン移動で実現低電流 大容量メモリの実現へ前進 ~ 配布日時 : 平成 28 年 1 月 12 日 14 時国立研究開発法人物質 材料研究機構東京理科大学概要 1. 国立研究開発法人物質 材料研究機構国際ナノアーキテクト

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NIRS は安価かつ低侵襲に脳活動を測定することが可能な検査で 統合失調症の精神病症状との関連が示唆されてきました そこで NIRS で測定される脳活動が tdcs による統合失調症の症状変化を予測し得るという仮説を立てました そして治療介入の予測における NIRS の活用にもつながると考えられまし

普及し始めている それに伴い, 光学部品やレーザー光源の低価格化が進んでいるため, ファイバーレーザーを光源として用いることで, ひずみ計測システムのコストを抑えることができる しかしながら, 一般的なファイバーレーザーでは, 帯域が狭いため, センサの光源として使用することができない そのため本研

 

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金属イオンのイオンの濃度濃度を調べるべる試薬中村博 私たちの身の回りには様々な物質があふれています 物の量を測るということは 環境を評価する上で重要な事です しかし 色々な物の量を測るにはどういう方法があるのでしょうか 純粋なもので kg や g mg のオーダーなら 直接 はかりで重量を測ることが

円筒面で利用可能なARマーカ

0 21 カラー反射率 slope aspect 図 2.9: 復元結果例 2.4 画像生成技術としての計算フォトグラフィ 3 次元情報を復元することにより, 画像生成 ( レンダリング ) に応用することが可能である. 近年, コンピュータにより, カメラで直接得られない画像を生成する技術分野が生

化学結合が推定できる表面分析 X線光電子分光法

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平成22年11月15日

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を活用してピラミッドを一切破壊することなく内部および外部を調査し ピラミッドの謎を明らかにする計画です この調査には 宇宙線ミューオンラジオグラフィ ( 宇宙線によるイメージング ) 赤外線イメージング 写真やレーザー測量による精密な 3 次元再構成の技術が用いられます 名古屋大学は 原子核乾板を用

報道発表資料 2004 年 9 月 6 日 独立行政法人理化学研究所 記憶形成における神経回路の形態変化の観察に成功 - クラゲの蛍光蛋白で神経細胞のつなぎ目を色づけ - 独立行政法人理化学研究所 ( 野依良治理事長 ) マサチューセッツ工科大学 (Charles M. Vest 総長 ) は記憶形

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有限密度での非一様なカイラル凝縮と クォーク質量による影響

(Microsoft PowerPoint - \223V\225\266HP [\214\335\212\267\203\202\201[\203h])

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遠赤外線について

リアルタイムPCRの基礎知識

交流 のための三角関数 1. 次の変数 t についての関数を微分しなさい ただし A および ω は定数とする 1 f(t) = sin t 2 f(t) = A sin t 3 f(t) = A sinωt 4 f(t) = A cosωt 2. 次の変数 t についての関数を積分しなさい ただし

鉱物と類似の構造を持つ白雲母の鉱物表面に挟まれた塩化ナトリウム (NaCl) 水溶液が 厚さ 1 ナノメートル ( 水分子約 3 個分の厚み ) 以下まで圧縮されても著しい潤滑性を示すことを実験的に明らかにしてきました しかし そのメカニズムについては解明されておらず 世界的にも存在が珍しいクリープ

放射線照射により生じる水の発光が線量を反映することを確認 ~ 新しい 高精度線量イメージング機器 への応用に期待 ~ 名古屋大学大学院医学系研究科の山本誠一教授 小森雅孝准教授 矢部卓也大学院生は 名古屋陽子線治療センターの歳藤利行博士 量子科学技術研究開発機構 ( 量研 ) 高崎量子応用研究所の山

令和元年 6 月 4 日 科学技術振興機構 (JST) 北 海 道 大 学 名 古 屋 大 学 東 京 理 科 大 学 電力使用量を調整する経済的価値を明らかに ~ 発電コストの時間変動に着目した解析 制御技術を開発 ~ ポイント 電力需要ピーク時に電力使用量を調整するデマンドレスポンスは その経済

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PRESS RELEASE (2016/11/29) 九州大学広報室 福岡市西区元岡 744 TEL: FAX: URL:

Microsoft PowerPoint - 阪大XFELシンポジウム_Tono.ppt [互換モード]

平成 30 年 8 月 17 日 報道機関各位 東京工業大学広報 社会連携本部長 佐藤勲 オイル生産性が飛躍的に向上したスーパー藻類を作出 - バイオ燃料生産における最大の壁を打破 - 要点 藻類のオイル生産性向上を阻害していた課題を解決 オイル生産と細胞増殖を両立しながらオイル生産性を飛躍的に向上

材料科学専攻 500 結晶制御工学特論 材料ナノ表面解析特論 組織設計学特論 強度設計学特論 高温腐食防食学特論 溶液腐食防食学特論 環境材料学特論 エコプロセス特論 * ノーベルプロセシング工学特論 2

03マイクロ波による光速の測定

研究成果報告書

Isotope News 2015年6月号 No.734

磁気でイオンを輸送する新原理のトランジスタを開発

< 研究の背景と経緯 > 半導体製造技術により 生体分子と親和性の高いマイクロチップが開発され それらを基盤とした革新的なバイオ分析技術が実現しています その中でも デジタルバイオ計測は マイクロチップを利用して 1 個の生体分子から機能や物性を高感度かつ定量的に計注測できる手法であり Digita

相互相関型暗視野顕微計測を用いた金十字ナノ構造の応答関数計測 Measurement of Response Function of Gold Nano Cross Structure using Dark-field Cross-correlation Microscopy 大井潤 (M2) Oi

New Color Chemosensors for Monosaccharides Based on Azo Dyes

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令和元年 6 月 1 3 日 科学技術振興機構 (JST) 日本原子力研究開発機構東北大学金属材料研究所東北大学材料科学高等研究所 (AIMR) 理化学研究所東京大学大学院工学系研究科 スピン流が機械的な動力を運ぶことを実証 ミクロな量子力学からマクロな機械運動を生み出す新手法 ポイント スピン流が

屋内 3 次元 測位 + 地図 総合技術開発 現状 屋内 3 次元測位統一的な測位手法 情報交換手順がなく 共通の位置情報基盤が効率的に整備されない 技術開発 屋内外のシームレス測位の実用化 (1) 都市部での衛星測位の適用範囲拡大 (2) パブリックタグ 屋内測位の標準仕様策定 効果 3 次元屋内

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16K14278 研究成果報告書

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軽量かつ小型な金属プレートレンズアンテナの実現とその設計法の開発 代表研究者 須賀良介 青山学院大学理工学部助教 共同研究者 橋本修 青山学院大学理工学部教授 共同研究者 荒木純道 東京工業大学理工学研究科教授 1 はじめに 金属プレートレンズアンテナは低周波数帯においても軽量かつ鋭い指向性を実現で

超高周波帯 超高周波帯 の明確な定義は無いが 電波ばく露の分野においては ミリ波帯を中心に体表面に集中した電力吸収による表面加熱の熱作用が支配的な周波数範囲を指すことが多い 本発表では高周波ガイドラインの根拠が表面加熱となる 6GHz から電波法上限の 3THz までを対象とする 全身 部分共振 (

プレスリリース 2017 年 4 月 14 日 報道関係者各位 慶應義塾大学 有機単層結晶薄膜の電子物性の評価に成功 - 太陽電池や電子デバイスへの応用に期待 - 慶應義塾基礎科学 基盤工学インスティテュートの渋田昌弘研究員 ( 慶應義塾大学大学院理工学研究科専任講師 ) および中嶋敦主任研究員 (

人間の視野と同等の広視野画像を取得・提示する簡易な装置

といえる また で示した QEDSoft とは通常の Web ページにキャラクタを配置することのできる Web3D ソフトウェアであり 3DSMAX から変換することでキャラクタを作成することができるものである また Web3D としては Viewpoint も試みた その利用価値は高いことがわかっ

本成果は 以下の事業 研究領域 研究課題によって得られました 戦略的創造研究推進事業総括実施型研究 (ERATO) 研究プロジェクト : 伊丹分子ナノカーボンプロジェクト 研究総括 : 伊丹健一郎 ( 名古屋大学大学院理学研究科 / トランスフォーマティブ生命分子研究所拠点長 / 教授 ) 研究期間

「ゲノムインプリント消去には能動的脱メチル化が必要である」【石野史敏教授】

振動学特論火曜 1 限 TA332J 藤井康介 6 章スペクトルの平滑化 スペクトルの平滑化とはギザギザした地震波のフーリエ スペクトルやパワ スペクトルでは正確にスペクトルの山がどこにあるかはよく分からない このようなスペクトルから不純なものを取り去って 本当の性質を浮き彫

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報道機関各位 平成 27 年 3 月 20 日 ( 同時提供資料 ) 栃木県政記者クラブ 国立大学法人宇都宮大学 埼玉県政記者クラブ 学校法人 埼玉医科大学 文部科学記者会, 科学記者会 学校法人 早稲田大学 任意の偏光を持つテラヘルツ光の解析法を開発 ( 報道解禁日 :3 月 24 日午後 7 時 日本時間 ) 目に見える可視光から携帯電話などの通信に使われている電波の間にある 周波数が 10 12 ヘルツ付近の電磁波はテラヘルツ光と呼ばれています テラヘルツ光は 光のような直進性をもつと同時に 電波と同じような物質透過性を持つことから近年注目されている電磁波です 宇都宮大学 埼玉医科大学 早稲田大学 三次元工学会 アリゾナ大学による共同研究グループは 任意の偏光をもつテラヘルツ光の偏光状態をスナップショットで解析する手法を開発しました これはテラヘルツ光の偏光を制御するために重要な技術です 本成果は物性科学 情報通信 生体計測 天文学 セキュリティーなどのテラヘルツ光を応用する際の解析法として可能性を大きく広げるものと期待されます 本成果は 3 月 24 日午前 10 時 ( 英国時間 ) 英科学誌 Scientific Reports オンライン版に掲載されます ポイント ベクトルビームなどの任意の偏光をもつテラヘルツ光の偏光状態を瞬時に解析する手法を開発 物性科学 情報通信 生体計測 天文学 セキュリティーなどテラヘルツ光に関する研究への貢献が期待される レーザー加工機や顕微分析法などの実用も期待される 今後 どのように発展していくか テラヘルツ光の偏光状態を精密に制御するための解析法として本手法は重要です 偏光状態がよく制御されたテラヘルツ光により分子振動や物質の構造骨格などを解析する物性科学などに寄与し 将来的には高密度記録媒体の開発を目指した応用発展も期待されます 本共同研究グループについて 本研究は 宇都宮大学大学院工学研究科の東口武史准教授 及川大基 ( 博士前期課程大学院生 ) ら 埼玉医科大学保健医療学部の若山俊隆准教授 米村元喜客員教授ら 早稲田大学理工学術院総合研究所の坂上和之講師 鷲尾方一教授ら 三次元工学会の吉澤徹理事長 アリゾナ大学のタイヨスコット教授 宇都宮大学オプティクス教育研究センターの大谷幸利教授との共同研究として実施されました 背景 詳細は次ページ以降にて記載 本研究に関するお問い合わせ先 国立大学法人宇都宮大学工学研究科担当 : 准教授東口武史 TEL:028-689-6087 E-mail:higashi@cc.utsunomiya-u.ac.jp 学校法人埼玉医科大学保健医療学部 1 担当 : 准教授若山俊隆 TEL:042-984-0686 E-mail:wakayama@saitama-med.ac.jp 学校法人早稲田大学理工学術院総合研究所担当 : 次席研究員 / 研究院講師坂上和之 TEL:03-3203-4319 E-mail:kazuyuki.sakaue@aoni.waseda.jp

背景 目に見える可視光から携帯電話などの通信に使われている電波の間にある周波数 ( 振動数 ) が 10 12 ヘルツ付近の電磁波はテラヘルツ光と呼ばれています テラヘルツ光は 光のような直進性をもつと同時に 電波と同じような物質透過性を持つことから注目されている電磁波です 分子振動などとの周波数と近いことから 物質がどのような組成からできているかを調べることができ 例えば封筒の中にある劇物や薬剤の存在を見つけたり 細胞組織を調べたり 環境のガスなどを調べたりすることができます また 物質と相互作用しやすいのも特徴で 物質の構造変化やイオン 分子を揺り動かすこともできることから 新しい物質の性質を調べたりすることもできるようになります このため テラヘルツ光の偏光を制御することは これらの応用を切り開く上で重要です しかしながら テラヘルツ光の偏光を調べるためには複雑な光学系を必要とすることが多く 簡便な方法で偏光を調べることはできていませんでした 特に ベクトルビームに焦点を当てた研究が活発に行われているテラヘルツ光でも 同じように簡便な方法で偏光を決めるためには 超短パルスレーザーをプローブ光として 測定しなければなりませんでした 本研究グループは テラヘルツアクロマティック軸対称波長板 (TAS plate) とテラヘルツ検光子で透過後のテラヘルツ光の光強度分布をパイロカメラによって 1 枚撮像するだけで テラヘルツ光の偏光を決める手法を提案し これを実証しました 研究手法と成果 本研究では テラヘルツアクロマティック軸対称波長板 (TAS plate) とテラヘルツ検光子で透過後のテラヘルツ光の光強度分布をパイロカメラによって 1 枚撮像するだけで テラヘルツ光の偏光を決める手法を実証しました 詳しく調べるために テラヘルツ検光子の角度方向に対するテラヘルツ強度分布を複数枚測定し フーリエ変換することにより 入射偏光のストークスパラメータを全て算出します ( 図 1) このストークスパラメータを用いてテラヘルツの強度分布を再計算することにより 未知の入射偏光だけでなく TAS plate 透過後のベクトルビームの偏光状態も解析できることを示しました さらに TAS plate を用いると 検出するだけでなく 逆に発生に使うこともでき テラヘルツ光ベクトルビームの生成にも適用できることを示しました このことにより 任意の偏光をもつテラヘルツ光の偏光を解析する革新的な手法が開発されたことになります 今後の期待 今回の成果は ベクトルビームとしてのテラヘルツ光の偏光を解析する新しい手法を実証しました このことにより テラヘルツ波の偏光を制御するために必要な計測系ができたことを意味しています 今後は この手法でテラヘルツ光の電場の向きをモニターしながらテラヘルツ光の偏光を設計することによって 物性科学 情報通信 生体計測 天文学 セキュリティーなどのテラヘルツ光に関する分野への貢献が期待されます 例えば 偏光状態がよく制御されたテラヘルツ光により分子振動や物質の構造骨格などを解析する物性科学などに寄与することになり 将来的にはレーザー加工機や高密度記録媒体 顕微分光分析装置の開発を目指した応用発展も期待されます また この偏光解析法は テラヘルツ光のみならず 遠赤外線から 可視光 X 線にいたる電磁波全般にも今後活用されるものと期待されます 2

補足情報 1. テラヘルツ光 : テラヘルツ波 テラヘルツ電磁波ということもある 可視光から電波の間にある周波数 ( 振動数 ) が 10 12 ヘルツ付近の電磁波のこと 近年では 偏光の自在な制御や物質との相互作用研究が盛んに行われている 2. 偏光 : 可視光やテラヘルツ光などの電磁波の電場 ( 電界 ) が特定の方向に振動している光の性質のこと 我々の身の回りでは液晶ディスプレイや 3D ディスプレイなどでも利用されている 3. ベクトルビーム : 光強度 位相 偏光がビーム内で空間的に変化する新しいレーザービームのこと これまで使われてきた位相と偏光が一様なガウスビームにはない特徴があり 可視光から近赤外光の波長域での研究は盛んに行われている 3

図 図 1 任意の偏光を持つテラヘルツ光の解析法テラヘルツアクロマティック軸対称波長板 (TAS plate) とテラヘルツ検光子を透過後のテラヘルツ光の光強度分布をパイロカメラによって撮像する これを角度方向に対するテラヘルツ強度分布としてフーリエ変換し 全ての入射偏光のストークスパラメータを算出する このストークスパラメータによりテラヘルツの強度分布を再計算すると 未知の入射偏光だけでなく テラヘルツアクロマティック軸対称波長板透過後のベクトルビームの偏光状態も解析できる この手法は ベクトルビームなどの任意の偏光をもつテラヘルツ光を検出するだけでなく テラヘルツベクトルビームを発生させることもできる 4

論文 Toshitaka Wakayama, Takeshi Higashiguchi, Hiroki Oikawa, Kazuyuki Sakaue, Masakazu Washio, Motoki Yonemura, Toru Yoshizawa, J. Scott Tyo, Yukitoshi Otani Determination of the polarization states of an arbitrary polarized terahertz beam: Vectorial vortex analysis Scientific Reports (Nature Publishing Group) 共同研究グループ 本研究は 宇都宮大学大学院工学研究科の東口武史准教授 及川大基 ( 博士前期課程大学院生 ) ら 埼玉医科大学保健医療学部の若山俊隆准教授 米村元喜客員教授ら 早稲田大学理工学術院総合研究所の坂上和之講師 鷲尾方一教授ら 三次元工学会の吉澤徹理事長 アリゾナ大学のタイヨスコット教授 宇都宮大学オプティクス教育研究センターの大谷幸利教授との共同研究として実施されました 研究サポート 本研究は 科学研究費補助金 ( 文部科学省 日本学術振興会 ) A-STEP (JST) のサポートを受けて実施されました 本研究に関するお問い合わせ先 国立大学法人宇都宮大学工学研究科担当 : 准教授東口武史 TEL:028-689-6087 E-mail:higashi@cc.utsunomiya-u.ac.jp 学校法人埼玉医科大学保健医療学部担当 : 准教授若山俊隆 TEL:042-984-0686 E-mail:wakayama@saitama-med.ac.jp 学校法人早稲田大学理工学術院総合研究所担当 : 次席研究員 / 研究院講師坂上和之 TEL:03-3203-4319 E-mail:kazuyuki.sakaue@aoni.waseda.jp 5

報道担当 国立大学法人宇都宮大学企画広報部企画広報課 ( 担当 : 渡邉 ) TEL:028-649-8178 FAX:028-649-5026 E-mail:kkouhou@miya.jm.utsunomiya-u.ac.jp 学校法人埼玉医科大学広報室 ( 担当 : 蒔田 ) TEL:049-276-2125 FAX:049-276-2127 E-mail:koho@saitama-med.ac.jp 学校法人早稲田大学広報室広報課 ( 担当 : 木綿 ) TEL:03-3202-5454 FAX:03-3202-9435 E-mail:momen@waseda.jp 6