第 24 章 地域ごとの特徴 第24章 地域ごとの特徴 1 ベトナムの地域分類 南北に長い国土をもつベトナムは その歴史 地理 気候風土に起因する発展形態の違いなど により 北部 南部と 2 つの地域に分けて語られることが多い 歴史的背景からいえば 19 世紀 以降でも フランス領インドシナ下で北部

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Ⅲ 参考

第 1 章 ベトナムの 概 要 I. ベトナムの 社 会 面 積 33.1 万 km 2 ( 日 本 の 約 9 割 ) 人 口 8,876 万 人 (2012 年 ) 人 口 増 加 率 1.2%( 過 去 10 年 平 均 ) 首 都 ハノイ(684 万 人 )(2012 年 ) 民 族 キン

ベトナムの投資環境 第 2 章政治 外交 軍事 1. 政体ベトナムは憲法第 4 条において ベトナム共産党は ベトナム労働者階級の先導隊であり マルクス=レーニン主義およびホーチミン思想を思想的基礎として採用し 労働者階級 働く人民全ての民族の権利を忠実に代表する 国家と社会の指導勢力である と定め

I 32 9,315km , ,

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スライド 1

3 ベトナムの資源管理の状況 3.1 位置 概要 ベトナムの位置 社会の概要等について 以下に示す 図 3-1 ベトナムの位置 表 3-1 ベトナムの概要 1 項目 面積 人口 産業別就業 人口比率 首都 民族 言語 宗教 概要 32 万 9,241 平方キロメートル 約 8,784 万人 2011

最終更新日 :2016 年 3 月 29 日 付録 I 投資優遇の適用対象となる投資事業一覧 (2015 年 11 月 12 日付政府発行政令 Decree118/2015/NĐ-CP 号の添付 ) A. 特別投資優遇事業一覧 I. 高度技術 情報技術 裾野産業 1. 首相の決定による投資 発展を優

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結  果  の  概  要

ベトナム領メコン・デルタ開発の現状とその影響

35

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要旨 現在 多くの日系企業がベトナムに進出しており ベトナム人留学生が将来の日系企業にとって貴重な人材になることは間違いない 来日するベトナム人留学生をさらに増やすためには 国費留学生だけでなく 私費留学生にとって魅力的な制度が求められる そこで本調査は 来日ベトナム人留学生の増加に資することを目的

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第 24 章 地域ごとの特徴 第24章 地域ごとの特徴 1 ベトナムの地域分類 南北に長い国土をもつベトナムは その歴史 地理 気候風土に起因する発展形態の違いなど により 北 南と 2 つの地域に分けて語られることが多い 歴史的背景からいえば 19 世紀 以降でも フランス領インドシナ下で北 中 南と異なった植民地体制下に置かれたり ジュネーブ協定調印による北緯 17 度線の軍事境界線による南北に分割されたりするなど 幾度も 地理的に分断されてきた 1976 年にベトナム社会主義共和国成立し 南北の統一以前には 北 は社会主義体制 南は資本主義体制 と政治経済体制も異なっていた 南ベトナムには市場経 済体制導入基盤が整備されていたため 外資の流入状況についても 南ベトナムが圧倒的にリー ドしてきた歴史的経緯がある また 北の紅河デルタと南のメコンデルタは ベトナムの農業生産高の約 5 割を占める穀 倉地帯であるが それぞれのデルタで培われた農民の特徴が 地域の人々の気質に影響を与えて いるとも言われており 現地では北の人は 我慢強く堅実 であり 南の人は おおらかで その日暮らし と言われている このような歴史的経緯以外にも 地理的に中国に隣接する北と ASEAN カンボジア に隣接 する南 四季のある北と常夏の南 と対比して語られることも多い 尚 北は行政都市 ハノイを中心に発展し 南は経済都市ホーチミンを中心に発展しており 両都市の関係を中国 の北京と上海のそれに例えることもできる 尚 中は ベトナム第 3 の商業都市ダナンを中心に発展している地域であるが 北と南 の目覚ましい発展に比べると やや開発が遅れている 中は地理的に細長い地形に山脈が走る 構造により気候にも恵まれないことから農業生産量の成長も鈍く 工業基盤も脆弱となっている しかし 近年 重工業や観光業 IT 産業の投資が増加しており 今後の発展が注目されている 尚 同国の統計においては 紅河デルタ 北内陸 山間地域 北中 中沿岸地域 中 高原 南東 メコン川デルタの 6 地域に分けられることが多い 現在 2015 年 ベトナムの総人口は 9,171 万人で 北と南にそれぞれ 3,200 3,300 万人 中に 2,500 万人強が分布している 行政区画は現在 5 市 58 省となっており 北が 2 市 23 省 中が 1 市 18 省 南が 2 市 17 省で構成される 面積は 中が最も広く 全体 約 33 万 km2 の 45 を占める 1km2 あたり人口密度の地域 平均は 北 281 万人 中 167 万人 南 525 万人であり 全国ベースでは 277 万人である 特に人口が集中している地域は 北の紅河デルタ地域 同 994 万人 と南の南東地域 同 684 万人 となっている 図表 24-1 24-2 173

ベトナムの投資環境 図表 24-1 行政区画 (5 市 58 省 ) < 北 2 市 23 省 > 1 Ha Noi City( ハノイ ) 10 Nam Dinh( ナムディン ) 19 Lang Son( ランソン ) 2 Vinh Phuc( ヴィンフック ) 11 Ninh Binh( ニンビン ) 20 Bac Giang( バクザン ) 3 Bac Ninh( バクニン ) 12 Ha Giang( ハザン ) 21 Phu Tho( フートー ) 4 Quang Ninh( クアンニン ) 13 Cao Bang( カオバン ) 22 Dien Bien( ディエンビェン ) 5 Hai Duong( ハイズオン ) 14 Bac Can( バクカン ) 23 Lai Chau( ライチャウ ) 6 Hai Phong City ( ハイフォン ) 15 Tuyen Quang( トゥイェンクアン ) 24 Son La( ソンラ ) 7 Hung Yen( フンイェン ) 16 Lao Cai ラオカイ ) 25 Hoa Binh( ホアビン ) 8 Thai Binh タイビン ) 17 Yen Bai( イェンバイ ) 9 Ha Nam( ハナム ) 紅河デルタ 18 Thai Nguyen( タイグエン ) 北内陸 山間地域 < 中 1 市 18 省 > 26 Thanh Hoa( タインホア ) 27 Nghe An( ゲアン ) 28 Ha Tinh( ハティン ) 29 Quang Binh( クアンビン ) 30 Quang Tri( クアンチ ) 31 Thua Thien Hue( トゥアティエンフエ ) 32 Da Nang City( ダナン ) 33 Quang Nam( クアンナム ) 34 Quang Ngai( クアンガイ ) 35 Binh Dinh( ビンディン ) 36 Phu Yen( フーイェン ) 37 Khanh Hoa( カインホア ) 39 Ninh Thuan( ニントゥアン ) 39 Binh Thuan( ビントゥアン ) 40 Kon Tum( コントゥム ) 41 Gia Lai( ザーライ ) 42 Dac Lak( ダクラク ) 43 Dac Nong( ダクノン ) 44 Lam Dong( ラムドン ) < 南 2 市 17 省 > 45 Binh Phuoc( ビンフック ) 46 Tay Ninh( タイニン ) 47 Binh Duong( ビンズン ) 48 Dong Nai( ドンナイ ) 49 Ba Ria - Vung Tau( バリア ヴンタウ ) 50 Ho Chi Minh City( ホーチミン ) 51 Long An( ロンアン ) 52 Tien Giang( ティエンザン ) 53 Ben Tre( ベンチェ ) 54 Tra Vinh( チャヴィン ) 55 Vinh Long( ヴィンロン ) 56 Dong Thap( ドンタップ ) 57 An Giang( アンザン ) 58 Kien Giang( キエンザン ) 59 Can Tho( カントー ) 60 Hau Giang( ハウザン ) 61 Soc Trang( ソクチャン ) 62 Bac Lieu( バクリュウ ) 63 Ca Mau( カマウ ) 北中 中 沿岸地域 中高原 南東 メコン川デルタ ( 注 ) 太字は中央直轄特別都市 ( 出所 )MAPIO 各種資料より作成 北内陸 山間地域 中国 12 13 23 16 15 14 22 17 18 19 24 21 2 20 1 3 4 25 7 5 6 9 8 11 10 26 紅河デルタ 27 ラオス 28 29 北中 中沿岸地域 30 タイ 31 32 33 34 40 35 41 中高原 36 42 カンボジア 43 37 45 44 38 46 47 48 39 51 50 49 57 56 52 59 55 53 南東 58 60 54 61 62 63 メコン川デルタ 174

第 24 章地域ごとの特徴 図表 24-2 ベトナム各省市の面積 人口 (2015 年 ) 面積 人口 人口密度 (km 2 ) ( 構成比 ) ( 万人 ) ( 構成比 ) ( 人 /km 2 ) 全国 330,967 100.0% 9,171.3 100.0% 277 紅河デルタ 21,060 6.4% 2,092.6 22.8% 994 ハノイ 3,325 1.0% 721.6 7.9% 2,171 ヴィンフック 1,238 0.4% 105.5 1.1% 852 バクニン 823 0.2% 115.5 1.3% 1,404 クアンニン 6,102 1.8% 121.1 1.3% 199 ハイズオン 1,656 0.5% 177.5 1.9% 1,072 ハイフォン 1,527 0.5% 196.3 2.1% 1,285 フンイェン 926 0.3% 116.4 1.3% 1,257 タイビン 1,571 0.5% 178.9 2.0% 1,139 ハナム 862 0.3% 80.3 0.9% 931 ナムディン 1,653 0.5% 185.1 2.0% 1,119 ニンビン 1,378 0.4% 94.4 1.0% 686 北内陸 山間地域 95,267 28.8% 1,180.4 12.9% 124 ハザン 7,915 2.4% 80.2 0.9% 101 カオバン 6,703 2.0% 52.2 0.6% 78 バクカン 4,859 1.5% 31.3 0.3% 64 トゥイェンクアン 5,867 1.8% 76.0 0.8% 130 ラオカイ 6,384 1.9% 67.5 0.7% 106 イェンバイ 6,886 2.1% 79.3 0.9% 115 タイグエン 3,533 1.1% 119.1 1.3% 337 ランソン 8,321 2.5% 75.8 0.8% 91 バクザン 3,850 1.2% 164.1 1.8% 426 フートー 3,533 1.1% 137.0 1.5% 388 ディエンビェン 9,563 2.9% 54.8 0.6% 57 ライチャウ 9,069 2.7% 42.5 0.5% 47 ソンラ 14,174 4.3% 118.2 1.3% 83 ホアビン 4,609 1.4% 82.4 0.9% 179 北中 中沿岸地域 95,832 29.0% 1,965.8 21.4% 205 タインホア 11,130 3.4% 351.4 3.8% 316 ゲアン 16,490 5.0% 306.4 3.3% 186 ハティン 5,998 1.8% 126.1 1.4% 210 クアンビン 8,065 2.4% 87.3 1.0% 108 クアンチ 4,740 1.4% 62.0 0.7% 131 トゥアティン=フエ 5,033 1.5% 114.1 1.2% 227 ダナン 1,285 0.4% 102.9 1.1% 800 クアンナム 10,438 3.2% 148.0 1.6% 142 クアンガイ 5,153 1.6% 124.6 1.4% 242 ビンディン 6,051 1.8% 152.0 1.7% 251 フーイェン 5,061 1.5% 89.3 1.0% 177 カインホア 5,218 1.6% 120.5 1.3% 231 ニントゥアン 3,358 1.0% 59.6 0.6% 177 ビントゥアン 7,813 2.4% 121.5 1.3% 156 中高原 54,641 16.5% 560.8 6.1% 103 コントゥム 9,690 2.9% 49.6 0.5% 51 ザーライ 15,537 4.7% 139.7 1.5% 90 ダクラク 13,125 4.0% 185.4 2.0% 141 ダクノン 6,516 2.0% 58.8 0.6% 90 ラムドン 9,774 3.0% 127.3 1.4% 130 南東 23,591 7.1% 1,612.8 17.6% 684 ビンフック 6,872 2.1% 94.4 1.0% 137 タイニン 4,033 1.2% 111.2 1.2% 276 ビンズン 2,694 0.8% 194.7 2.1% 723 ドンナイ 5,907 1.8% 290.6 3.2% 492 バリア ヴンタウ 1,990 0.6% 107.3 1.2% 539 ホーチミン 2,096 0.6% 814.6 8.9% 3,888 メコン川デルタ 40,576 12.3% 1,759.0 19.2% 434 ロンアン 4,495 1.4% 148.5 1.6% 330 ティエンザン 2,509 0.8% 172.9 1.9% 689 ベンチェ 2,360 0.7% 126.4 1.4% 536 チャヴィン 2,341 0.7% 103.5 1.1% 442 ヴィンロン 1,520 0.5% 104.5 1.1% 687 ドンタップ 3,379 1.0% 168.4 1.8% 498 アンザン 3,537 1.1% 215.8 2.4% 610 キエンザン 6,349 1.9% 176.1 1.9% 277 カントー 1,409 0.4% 124.8 1.4% 886 ハウザン 1,602 0.5% 77.0 0.8% 481 ソクチャン 3,312 1.0% 131.1 1.4% 396 バクリュウ 2,469 0.7% 88.2 1.0% 357 カマウ 5,295 1.6% 121.9 1.3% 230 ( 出所 ) 各種資料より作成 175

ベトナムの投資環境 2. 地域別の経済動向 (1) 地域別の産業の特徴ベトナムの省市別の工業生産高の統計によれば 2013 年の工業総生産高 15 は 5,469 兆ドン 前年比 21.4% 増であった 地域別の構成比をみると ホーチミンが所在する南東が 44.3% で最大となり ハノイを含む紅河デルタが 29.4% で続く 工業生産高の構成比は 特に 都市やその周辺地域で高く 南ではホーチミン市の 17.0% ビンズン省 ドンナイ省 バリア ヴンタウ省が 7~9% と 北ではハノイ市 (7.7%) バクニン省(9.3%) と 南北で 2 極化していることが分かる 後述するが これらの省市には工業団地が数多く立地している 2011 年の農業生産高は 179 兆ドン ( 前年比 4.9% 増 ) であった 地域別ではメコン川デルタが商業用途の米生産を行っていることから全体の 33.3% を占めて圧倒的に大きい 更に同地域に属するドンタップ省 アンザン省 キエンザン省 ロンアン省では 全国平均の 4~5 倍の面積でコメが栽培されている また 紅河デルタの農業総産出高は全国の 17.4% を占めている 首都ハノイ市を含む紅河デルタでは 米に加え 茶などの工芸作物が生産されている 大都市に近いことから 自家消費用だけでなく 販売を目的とした商品作物が栽培される傾向にあることなどが農業総産出高を押し上げる一因となっている ちなみに中高原地域の農業総産出高の構成比は 14.1% であり 農業生産が比較的活発な地域である 中高原地域は標高 1,000 メートル程度の高地を活かした野菜生産が増加しており 中でもラムドン省の野菜や花卉生産は有名で ホーチミン向けや海外向けに比較的高付加価値な野菜や花卉を生産している また 外国企業による農業法人も増加しており 高付加価値な農業を行う地域としても注目されている ( 図表 24-3) 15 工業総生産高には 鉱業 製造 加工業 電気 ガス 水の供給などが含まれる 176

第 24 章地域ごとの特徴 図表 24-3 省市別の工業総生産高 農業総産出高 工業総生産高 2013 農業総産出高 (10 億ドン ) 2010 2011 2012 金額 構成比 前年比 2011 構成比 全国 2,963,500 3,695,092 4,506,757 5,469,110 100.0% 21.4% 178,537 100.0% 紅河デルタ 709,979 963,775 1,251,864 1,607,155 29.4% 28.4% 31,034 17.4% ハノイ 239,265 313,407 369,740 418,926 7.7% 13.3% 6,641 3.7% ヴィンフック 74,709 96,235 95,487 119,392 2.2% 25.0% 1,913 1.1% バクニン 76,117 152,114 310,123 507,261 9.3% 63.6% 1,829 1.0% クアンニン 80,348 99,122 100,730 112,954 2.1% 12.1% 973 0.5% ハイズオン 44,032 67,003 77,506 91,886 1.7% 18.6% 3,266 1.8% ハイフォン 76,534 86,199 106,549 124,367 2.3% 16.7% 2,570 1.4% フンイェン 48,626 58,884 74,256 87,318 1.6% 17.6% 2,797 1.6% タイビン 22,201 26,372 30,471 36,110 0.7% 18.5% 4,782 2.7% ハナム 14,402 19,439 30,183 37,705 0.7% 24.9% 1,570 0.9% ナムディン 21,066 26,598 35,184 44,805 0.8% 27.3% 3,111 1.7% ニンビン 12,680 18,401 21,636 26,431 0.5% 22.2% 1,582 0.9% 北内陸 山間地域 85,638 104,112 120,702 146,916 2.7% 21.7% 18,347 10.3% ハザン 947 1,496 2,307 3,603 0.1% 56.2% 1,017 0.6% カオバン 2,317 2,547 2,406 2,843 0.1% 18.2% 770 0.4% バクカン 904 1,182 1,070 1,109 0.0% 3.6% 447 0.3% トゥイェンクアン 2,334 3,333 5,104 5,761 0.1% 12.9% 1,166 0.7% ラオカイ 6,260 9,138 10,311 13,687 0.3% 32.7% 804 0.5% イェンバイ 4,398 5,087 5,713 6,867 0.1% 20.2% 992 0.6% タイグエン 24,929 25,197 24,512 26,796 0.5% 9.3% 1,915 1.1% ランソン 2,186 2,475 2,440 2,688 0.0% 10.2% 1,218 0.7% バクザン 10,904 16,015 24,084 31,344 0.6% 30.1% 3,898 2.2% フートー 22,428 28,058 31,369 35,593 0.7% 13.5% 1,996 1.1% ディエンビェン 1,331 1,673 1,934 2,215 0.0% 14.5% 651 0.4% ライチャウ 639 587 580 592 0.0% 2.1% 368 0.2% ソンラ 2,968 3,784 4,990 9,133 0.2% 83.0% 1,942 1.1% ホアビン 3,093 3,541 3,882 4,686 0.1% 20.7% 1,163 0.7% 北中 中沿岸地域 277,013 357,971 447,195 569,572 10.4% 27.4% 25,970 14.5% タインホア 27,721 38,932 49,890 61,759 1.1% 23.8% 4,621 2.6% ゲアン 13,744 21,165 25,808 31,299 0.6% 21.3% 4,519 2.5% ハティン 4,777 5,973 7,184 9,292 0.2% 29.3% 1,978 1.1% クアンビン 5,866 6,520 7,763 9,654 0.2% 24.4% 971 0.5% クアンチ 3,364 4,398 5,805 7,251 0.1% 24.9% 982 0.6% トゥアティエンフエ 13,524 17,570 20,742 25,651 0.5% 23.7% 847 0.5% ダナン 23,943 30,308 34,884 44,100 0.8% 26.4% 188 0.1% クアンナム 20,640 33,440 37,301 46,746 0.9% 25.3% 1,766 1.0% クアンガイ 98,468 122,974 162,237 216,488 4.0% 33.4% 1,705 1.0% ビンディン 16,640 19,660 25,262 30,933 0.6% 22.5% 2,775 1.6% フーイェン 8,561 9,959 13,872 16,860 0.3% 21.5% 1,341 0.8% カインホア 28,047 31,628 38,032 45,457 0.8% 19.5% 1,118 0.6% ニントゥアン 2,367 3,070 3,683 4,722 0.1% 28.2% 1,007 0.6% ビントゥアン 9,353 12,374 14,734 19,360 0.4% 31.4% 2,153 1.2% 中高原 22,743 28,797 31,064 36,817 0.7% 18.5% 25,093 14.1% コントゥム 1,587 2,063 2,680 3,251 0.1% 21.3% 1,243 0.7% ザーライ 6,775 8,541 7,784 8,996 0.2% 15.6% 5,218 2.9% ダクラク 7,343 9,052 10,011 10,742 0.2% 7.3% 7,488 4.2% ダクノン 2,187 2,845 3,081 3,465 0.1% 12.5% 2,787 1.6% ラムドン 4,852 6,297 7,509 10,363 0.2% 38.0% 8,356 4.7% 南東 1,483,036 1,766,504 2,081,720 2,423,563 44.3% 16.4% 18,653 10.4% ビンフック 12,158 16,907 21,718 26,734 0.5% 23.1% 2,718 1.5% タイニン 21,019 30,814 39,177 51,266 0.9% 30.9% 4,147 2.3% ビンズン 258,083 307,705 397,655 487,793 8.9% 22.7% 1,795 1.0% ドンナイ 313,975 381,923 436,528 515,983 9.4% 18.2% 6,139 3.4% バリア ヴンタウ 281,566 354,639 396,616 414,424 7.6% 4.5% 1,857 1.0% ホーチミン 596,236 674,516 790,025 927,363 17.0% 17.4% 1,997 1.1% メコン川デルタ 297,829 362,571 431,886 507,701 9.3% 17.6% 59,440 33.3% ロンアン 51,481 68,486 84,904 103,805 1.9% 22.3% 5,343 3.0% ティエンザン 24,343 31,853 41,176 49,590 0.9% 20.4% 6,890 3.9% ベンチェ 8,961 12,439 16,161 19,429 0.4% 20.2% 3,157 1.8% チャヴィン 7,460 10,757 13,026 14,874 0.3% 14.2% 4,063 2.3% ヴィンロン 10,530 12,233 13,836 16,649 0.3% 20.3% 4,457 2.5% ドンタップ 29,062 40,187 44,041 50,536 0.9% 14.7% 6,701 3.8% アンザン 24,651 29,954 32,733 49,590 0.9% 51.5% 7,697 4.3% キエンザン 18,950 22,765 31,424 36,758 0.7% 17.0% 7,363 4.1% カントー 58,818 61,197 70,137 81,118 1.5% 15.7% 2,620 1.5% ハウザン 8,058 10,843 15,065 16,903 0.3% 12.2% 2,943 1.6% ソクチャン 13,744 18,276 21,710 24,422 0.4% 12.5% 4,974 2.8% バクリュウ 8,604 9,917 11,391 12,880 0.2% 13.1% 1,856 1.0% カマウ 33,168 33,666 36,282 43,794 0.8% 20.7% 1,376 0.8% ( 出所 ) ベトナム統計総局 同 Results of the 2011 Rural, Agricultural and Fishery Census 等より作成 177

ベトナムの投資環境 3 地域別の労働人口と所得水準 ベトナム統計総局によると 2015 年時点で約 9,200 万人のベトナムの総人口は 2026 年には 1 億人を超えると見込まれている 若い労働に期待がかかるベトナムだが 人口ボーナス16期間は 2040 年までと推計されており 2015 年には 65 歳以上の人口比率がすでに 7.6 と高齢者の割合が 増加しつつある ちなみに 7.6 という高齢者の全人口に占める割合は日本の 1970 年代後半と同 程度の水準である ベトナムでは人口抑制のため 2 人っ子政策がとられていたが 高齢化のスピ ードを緩和するため 廃止する方針が 2017 年 1 月に打ち出されている 地域別にみると 紅河デルタ地域の人口は 2,093 万人であり 総人口の 23 を占め 人口最多 地域となっている 次いで南東の 1,613 万人が続く 図表 24-4 は 1990 年からの地域別人口推移 を示している 紅河デルタや南東で人口が増加しており ハノイやホーチミンといった都市 に人口が流入していることが窺われる 人口が集中する紅河デルタの中でも ハノイ市が 722 万 人と 同地域の人口の 3 分の 1 以上をしめ ハノイ市に人口が集中していることが分かる また 南東においても ホーチミン市の人口が 815 万人と周辺の人口に比較して圧倒的に多い 都 市と農村の人口比率は 1995 年には 1 4 だったが 2009 年には都市が 3 割を超え 2015 年時点では 1 2 となっている 次に ベトナムの失業率 2015 年時点 をみると 全国で 2.3 都市で 3.4 農村で 1.8 となっている 都市の失業率は 1998 年に 6.8 だったが 2011 年以降 3 台で推移している 地域別にみると メコン川デルタの失業率が 2.8 と最も高く 中高原が 1.0 と最も低いが 外資系企業の進出を受け雇用ニーズが高まる中 全国的に失業率 は非常に低い 図表 24-5 ベトナムの企業数をみると 2010 年の約 28 万社から 2014 年の約 40 万社へ過去 5 カ年で急増 している 地域別にみると 2014 年の東南の企業数は 17 万社 紅河デルタの企業数は 13 万社と 2 地域合計で全国の企業数の 73 を占める 都市への外資企業の進出が企業の大幅増に貢献し ていることが分かる 図表 24-6 図表 24-4 ベトナムの地域別人口の推移 万人 9,000 8,000 紅河デルタ 7,000 北内陸 山間地域 6,000 北中 中沿岸地域 5,000 中高原 4,000 南東 メコン川デルタ 3,000 2,000 1,000 0 90 95 00 05 10 15 年 出所 ベトナム統計総局より作成 16 178 総人口に占める生産年齢人口の割合が高く 豊富な労働力により経済成長に有利となる状態

第 24 章 地域ごとの特徴 図表 24-5 地域別人口と労働力 2015 年時点 人口 万人 全国 都市 構成比 労働人口 万人 構成比 失業率 9,171 3,113 100.0% 33.9% 5,398 1,691 100.0% 31.3% 2.3% 3.4% 農村 紅河デルタ 6,058 2,093 66.1% 22.8% 3,707 1,199 68.7% 22.2% 1.8% 2.4% 北内陸 山間地域 北中 中沿岸地域 中高原 南東 メコン川デルタ 1,180 1,966 561 1,613 1,759 12.9% 21.4% 6.1% 17.6% 19.2% 753 1,178 342 894 1,033 13.9% 21.8% 6.3% 16.6% 19.1% 1.1% 2.7% 1.0% 2.7% 2.8% 出所 ベトナム統計総局より作成 図表 24-6 地域別企業数 社 全国 2010 2011 2012 2013 2014 279,360 324,691 346,777 373,213 402,326 紅河デルタ 82,251 103,518 111,781 120,677 127,133 北内陸 山間地域 11,671 14,045 14,779 15,406 15,831 北中 中沿岸地域 37,740 42,679 45,312 48,767 50,897 中高原 南東 メコン川デルタ 7,282 8,532 8,809 9,488 10,460 117,008 128,590 138,493 150,027 167,896 23,284 27,210 27,487 28,732 29,994 124 117 116 116 115 地域なし 出所 ベトナム統計総局より作成 4 賃金水準 ベトナムの 1 人あたり所得の全国平均 2014 年 月額 は 263.7 万ドン 124 ドル であった 地域別では ホーチミンを含む南東が 412.5 万ドン 194 ドル で最も高く 次いでハノイ ハ イフォンを立地する紅河デルタが 326.5 万ドン 154 ドル メコン川デルタは 232.7 万ドン 110 ドル となる 支出の全国平均は 188.8 万ドン 89 ドル であり 南東は 241 万ドン 113 ド ル 紅河デルタが 224.1 万ドン 105 ドル と所得と同様の傾向となっているが メコン川デル タの 160.2 万ドン 75 ドル よりも中高原が 166.0 ドン 78 ドル と 中高原の支出が収入 との比較においてやや高くなっている 図表 24-7 ベトナムの月額法定最低賃金は 2017 年では 258 万 375 万ドン 114 166 ドル に設定されて いる 最低賃金の地域区分は 1 から 4 まで四段階に設定され 経済発展の度合いにより適用され る 日系企業が多く進出するハノイ市やハイフォン市及びホーチミン市とその近郊のドンナイ省 ビンズン省 バリア ヴンタウ省の都市は月額最低賃金が最も高い地域である 地域 1 とな っており その金額は 375 万ドン 166 ドル 前年比 7.1 増 である 地域 2 には 北では 地域 1 以外のハノイ市とハイフォン市 フンエン省とバクニン省の一 中ではダナン市の区 南でカントー市や地域 1 に指定されている地域がある省の 地域 1 が適用されない地域 179

ベトナムの投資環境 などが含まれる 図表 24-8 図表 24-7 地域別 1 人あたり月平均収入および月平均支出 1,000ドン 収入 4,500 支出 4,000 3,500 3,000 2,500 2,000 1,500 1,000 500 0 全 国 都 市 農 村 紅 河 デ ル タ 北 内 陸 山 間 地 域 北 中 中 沿 岸 地 域 中 高 原 南 東 メ コ ン 川 デ ル タ 出所 ベトナム統計総局より作成 ひとくちメモ 6 インターネットによる労働者の募集も増加 現地日系企業によると ワーカーの求人広告の手段として 工業団地事務所の掲示板や工場の門に張 り紙をする 地元情報誌への掲載 口コミなどを通して行うのが定番となっている エンジニアや中間 管理職候補となるスタッフに関しては 人材紹介会社のほかにインターネットを通じて募集をかける企 業も多い ひとくちメモ 7 ベトナムの労働者について 現地調査では ベトナム人労働者 ワーカークラス の評価はまじめで優秀と 評価する企業が多か った エンジニアもタイ ラオス等と比べてもかなり優秀なレベルに達していると評価を受けている しかし 管理職クラスについては 仲間意識が強いことから 企業からリーダーシップを求めると 求 められたベトナム人も困るらしい ある作業工程の班長に指名したところ なりたくないと答えたベト ナム人もいたという 南の人々の特徴として 明るくおおらかな気質がみられるが 反対にハングリー精神はあまりない との声が多かった 北でも 以前に比較するとがむしゃらさが薄らいできたと指摘する声もあった 180

第 24 章 地域ごとの特徴 図表 24-8 月額法定最低賃金の推移と地域区分 4,000 1,000ドン 地域1 地域2 地域3 地域4 3,500 3,000 2,500 2,000 1,500 1,000 500 0 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 ハ ノイ市区 Gia Lam Dong Anh Soc Son Thanh Tri Thuong Tin Hoai Duc Thach That Quoc Oai Thanh Oai Me Linh Chuong My Son Tay ハイフォン市区 Thuy Nguyen An Duong An Lao Vinh Bao 地域1 ホーチミン市区 Cu Chi Hoc Mon Binh Chanh Nha Be ドンナイ省Bien Hoa Nhon Trach Long Thanh Vinh Cuu Trang Bom ビンズン省Thu Dau Mot Thuan An Di An Ben Cat Tan Uyen Bau Bang Bac Tan Uyen バリア ヴンタウ省ヴンタウ市 Tan Thanh 地域2 上記以外のハノイ市 ハイフォン市 ハイズオン省ハイズオン市 フンイェン省の一 バクニン省の一 ダナン市区 カントー市区 ドンナイ省の一 ビンズン省の一 ホーチミン市Can Gioなど 地域3 ハイズオン省の一の地域 バクニン省の一の地域 クアンニン省の一の地域 ドンナイ省の一 の地域など 地域4 上記以外 出所 Decree No. 153/2016/ND-CP 等より作成 5 外国投資が多い地域と工業団地の分布 2016 年の対ベトナム外国直接投資 認可ベース は 2,556 件 152 億米ドルである そのうち 件数ベースでみると北 956 件 構成比 37.4 中 184 件 同 7.1 南 1,416 件 同 55.4 であり 南への投資案件が多い 一方 投資金額でみると 北が 80.4 億ドル 構成比 55.3 中が 11.6 億ドル 同 7.6 南 56.3 億ドル 同 37.1 となっており 投資金額では北へ 集中していることが分かる 一件あたりの平均投資金額は北 879 万ドル 中 630 万ドル 南 398 万ドルとなり 北は大規模 南は小規模な投資案件が多いことが窺える 図表 24-9 左 図 このような地域差は 政府が大型の外国投資を北 中へ積極的に誘致していることが一因で あると考えられる 南は既にインフラが整備され 外資系企業が入居可能な工業団地が多いこ ともあり 以前から外国直接投資の重要な受入れ先であった 同様に中への投資案件をみると 181

ベトナムの投資環境 石油精製工場や石油化学プラント 製鉄所など重工業案件が目立つ 例えば中では タインホ ア省ギソンにおける出光興産や三井化学などによる製油所プロジェクトの工事が進められており 火力発電所プロジェクトも計画されるなど 注目度は高い 地域別投資金額を 1988 2016 年の累計ベースでみると 南が件数 金額ともに最大であり 次いで中 北の順となっている 1 件あたりの平均投資金額は北 1,221 万ドル 南 1,122 万ドル 共にほぼ同水準であるのに対し 中の1件あたりの平均投資金額はその約 3 倍 2,204 万ドル となっており 近年 製油所プロジェクト等の大型投資が増加していることを示してい る 図表 24-9 右図 2015 年 10 月現在のベトナムへの日系企業の進出社数 1,578 社であり 地域別ではハノイ市 ホ ーチミン市及びその周辺地域が主な進出先となっている 図表 24-10 は 大使館 総領事館の管 轄地域別に集計したものであり 北と南の二地域に分かれたデータだが 全国 1,578 社のう ち 949 社はホーチミン所在の総領事館の管轄区域内に立地している 特に 卸売業 小売業 全 国 133 社 うち南 85 社 や飲食サービス業 全国 91 社 うち南 61 社 など 現地市場を狙 った業種の多くが南に進出している また 製造業 全国 721 社 についても南 376 社 の方が北よりもやや多い 建設業 88 社 は北 54 社 に多く立地しているが これは受注 の観点で行政機関に近い立地が重要視されているものと推察される 工業団地は 特にハノイ市 ハイフォン市とそれらの間に位置する地域 ハイズン省など や ホーチミン市とその周辺省のホーチミン市寄りに多数立地している 現在 ベトナムには 300 以 上の工業団地があるが 図表 24-11 では 日系企業が多く入居する工業団地を中心に記載してい る 近年では レンタル工業団地の整備が進み 中小企業の進出をサポートしている 中では 沿岸に大型の経済開発区などが設置され 大型インフラ投資が進められている 図表 24-9 地域別外国直接投資流入状況 左 2016 年 右 1998 2016 年の累計 南 56.3億ドル 1,416件 北 950億ドル 7,778件 2016年 151.8億ドル 2,556件 北 84.0億ドル 956件 中 11.6億ドル 184件 注 2016 年は 12 月 20 日までのデータ 出所 計画投資省より作成 182 南 1,486億ドル 13,233件 1988 2016年 2,932億ドル 22,509件 中 495億ドル 1,498件

第 24 章地域ごとの特徴 図表 24-10 地域別にみた日系進出企業の業種の内訳 (2015 年 10 月時点 ) 全地域 大使館 ( ハノイ ) 全業種 1,578 629 949 農業, 林業 7 3 4 漁業 3 2 1 鉱業, 採石業 2 2 0 建設業 88 54 34 製造業 721 345 376 電気 ガス 熱供給 水道業 14 8 6 情報通信業 59 33 26 運輸業, 郵便業 79 36 43 卸売業 小売業 133 48 85 金融業 保険業 46 16 30 不動産業, 物品賃貸業 21 7 14 学術研究, 専門 技術サービス業 60 7 53 宿泊業, 飲食サービス業 23 6 17 生活関連サービス業, 娯楽業 17 3 14 教育, 学習支援業 10 5 5 医療, 福祉 15 5 10 複合サービス事業 8 7 1 サービス業 ( 他に分類されないもの ) 91 30 61 公務 ( 他に分類されるものを除く ) 3 1 2 分類不能の産業 5 5 0 区分不明 173 6 167 ( 出所 ) 外務省 海外在留邦人数調査統計 (2016 年 9 月発表 ) より作成 在ホーチミン総領事館 183

ベトナムの投資環境 図表 24-11 ベトナム国内の主要工業団地分布図 タイグエン省 イェンビエン工業団地 バクザン省 クアンチャウ工業団地 ディンチャム工業団地 バクニン省 クエヴォ Ⅰ Ⅱ Ⅲ 工業団地 ティエンソン工業団地 VSIP バクニン ハイズオン省 タンチュオン工業団地 ダイアン工業団地 ナムサック工業団地 フックディエン工業団地 ハノイ市 タンロン工業団地 クアンミン工業団地 タックタット クオックオアイ工業団地 ノイバイ工業団地 ハノイダイトゥ工業団地 ホアラックハイテクパーク ホアビン省 ボーチャイソンダ工業団地 ルオンソン工業団地 タインホア省 ギソン経済区 フンイェン省 第 2 タンロン工業団地 フォーノイ A 工業団地 ハーナム省 ドンバン工業団地 ホアマック工業団地 ハイフォン市 チャンズェ工業団地 ディンヴー工業団地 野村ハイフォン工業団地 VSIP ハイフォン工業団地 ダナン市 新ホアカイン工業団地 ダナン工業団地 ダナンハイテクパーク ホアカイン工業団地 ホアカム工業団地 クアンナム省 チューライ開放経済区 ディエンナム ディエンゴック工業団地 タイニン省 リンチュン 3 輸出加工区 工業団地 ロンザン工業団地 タンフン工業団地 ロンアン省 ロンハウ工業団地 フーアンタイン工業団地 タンドゥク工業団地 タンキム工業団地 タイホア工業団地 ティンファット工業団地 トゥアンダオ工業団地 ティエンザン省 タンフン工業団地 ロンザン工業団地 ビンズン省 APSTP バウバン工業団地 ドンアン工業団地 ミーフック工業団地 1~5 ナムタンウェン工業団地 VSIP1~2 ヴィンロン省 ホアフー 1 工業団地 チャヴィン省 ロンドゥク工業団地 クアンガイ省 ズンクアット経済区 VSIP クアンガイ工業団地 フーイェン省 ホアヒエップ Ⅰ 工業団地 ドンナイ省 アマタ工業団地 ビエンホア 1 2 工業団地 ロンドゥック工業団地 ロテコ ニョンチャック 1 2 3 5 工業団地 ソナデジ ロンタイン工業団地 バリア ヴンタウ省 ミースアン工業団地 ホーチミン市 ヒェップフォック工業団地 レ ミンスアン工業団地 リンチュン 1 2 輸出加工区 工業団地 クアンチュンソフトウェアシティ サイゴンハイテクパーク タンビン工業団地 タントゥアン輸出加工区 ヴィンロック工業団地 ( 出所 )MAPIO 各種資料より作成 184

第 24 章 地域ごとの特徴 参考 地域別気候 ベトナムの気候については 北は亜熱帯気候に属し 四季が見られる 1 年を通じた気温変 化が大きく 1 月から 4 月は乾季で肌寒く 気温が 10 前後まで下がることもある 5 月から 10 月の雨季には気温は 30 を超え スコールのような雨が多い 南は 熱帯モンスーン気候で 11 月から 4 月の乾期と 5 月から 10 月の雨季とに分かれてい る 年間を通じて気温が高く 3 月から 4 月が最も暑い 雨季にはスコールが見られる 中は 北と南の中間にあたる気候であるが 8 月 9 月には台風の上陸が多く 8 月から 12 月にかけて降雨量も多いといった特徴がある 図表 24-12 図表 24-12 地域別の気温と降水量 2015 年 平均気温 35 平均降雨量 450 北 ハノイ 400 中 ダナン 350 30 南 ヴンタウ 300 250 25 200 北 ハノイ 150 中 ダナン 20 100 南 ヴンタウ 50 15 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 月 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 月 注 南については ホーチミンの数字の公表がなかったため 公表されている都市の中で最もホーチミン に近いヴンタウの数字で比較した 出所 GSO より作成 ひとくちメモ 8 ベトナム語は難しい 日本人にとって 6 つの声調を有するベトナム語は習得が難しい 現地調査でも ベトナム人労働者 は 外国人との接点が少なかったため 日本人社員が苦労してベトナム語を話しても 少しの声調の違 いで理解してくれない場合が多いという声を聞いた そのため 社内での公用語は 日本人管理者とス タッフ門の間では英語 工場ではベトナム人同士でベトナム語 というケースが多い 185