業務用厨房施設での CO 中毒事故 防止対策 関東液化石油ガス協議会業務主任者 保安業務管理者研修会
一酸化炭素 (CO) とは 一酸化炭素は無色 無味 無臭 空気より軽い 血液中のヘモグロビンとの結合力が酸素の 210~250 倍 1,000 倍解離しにくい
一酸化炭素 (CO) 中毒 ガス 液体燃料 木炭などの不完全燃焼で発生した CO を含んだ空気を呼吸して起きる中毒 ヘモグロビン + 酸素 ヘモグロビン + CO 一酸化炭素中毒は全身の低酸素症で まず酸素需要の多い脳などが障害されます 一酸化炭素中毒の後遺症 知能の低下 記憶障害 感覚異常 行動異常等 遅発性の症状の可能性 ( 何年も経ってからの認知症等 )
一酸化炭素 (CO) の危険性 -1 空気中における 0.02% 0.04% 0.08% 0.16% 0.32% 0.64% 1.28% 一酸化炭素濃度 200PPm 400PPm 800PPm 1,600PPm 3,200PPm 6,400PPm 12,800PPm 1~2 分間で 1~3 分間で 5~10 分間で頭痛 めまい 死亡 吸 頭痛 吐き気 入 20 分間で頭痛 時めまい 吐き気 15~30 分で間 30 分で死亡死亡と 45 分間で頭痛 中 1~2 時間でめまい 吐き気 毒頭痛 吐き気けいれん症 2 時間で死亡状 2 時間で失神 2~3 時間で前頭部に軽度の頭痛 2.5 時間 ~3.5 時間で後頭部の頭痛 1%=10,000PPm * 成人の例ですが 個体差があります
一酸化炭素 (CO) の危険性 -2 血中 COヘモグロビン濃度 臨床症状 ~10% 無症状 ~20% ( 軽症 ) 頭痛 頭重 皮膚血管拡張 ~30% ( 中症 ) 頭痛 ( 拍動性 ) 判断力減退 ~40% ( 重症 ) 激しい頭痛 吐気 嘔吐 歩行障害 判断力鈍麻 視力障害 ~50% ( 重篤 ) 呼吸困難 頻脈 意識障害 発汗 ~65% ( 危険 ) 昏睡 痙攣 時に死亡 70%< ( 致死 ) 呼吸停止 死亡 * 非喫煙者で0~1% 喫煙者で5~10% * 成人の例ですが 個体差があります
合計件数 300 件 LP ガス事故件数推移 ( 全件 飲食店 ) 飲食店事故件数 件 35 250 30 200 25 150 20 15 100 10 50 5 0 10 年 11 年 12 年 13 年 14 年 15 年 16 年 17 年 18 年 19 年 20 年 合計 75 79 78 87 90 120 105 105 219 239 232 飲食店 15 10 8 8 12 10 19 21 18 31 28 0 合計 飲食店 (KHK 事故年報より )
CO 中毒事故件数の推移 ( 都市ガス及び LP ガス ) 35 30 30 業務用厨房事故件数が一般消費者事故件数を上まわる 26 26 25 24 24 22.2 22 20 15 10 18.2 20 20 10 13 11 16 8 17 10 7 15 11 11 15 5 4 2 0 9-13 平均 H14 年 H15 年 H16 年 H17 年 H18 年 H19 年 H20 年 CO 中毒事故件数一般消費者事故業務用厨房事故 産業事故分析 対策検討共同 WG 報告資料より
業務用厨房における CO 中毒の原因 (2007 年以降 ) 不明 調査中, 3 経年劣化, 1 換気忘れ, 8 排気不良, 4 厨房の給気不足, 2 産業事故分析 対策検討共同 WG 報告資料より
平成 21 年度液化石油ガス販売事業者等保安対策指針平成 21 年 3 月 30 日 Ⅰ. 保安対策指針の考え方 このため 平成 21 年度にあっては 1 業務用厨房等一酸化炭素中毒事故の防止 2LPガス販売事業者及び保安機関の初歩的なケアレスミス事故の防止 3 一般消費者等への普及啓発による一般消費者等に起因する事故の防止 を重点に対応すべきである Ⅱ. 平成 20 年における事故発生状況 法令違反への対応等 Ⅲ.LP ガス販売事業者及び保安機関が講ずべき具体的な保安対策
平成 21 年に入っても業務用施設における CO 事故が増加 2009 年 1 月 27 日 東京都における一酸化炭素中毒事故及び福岡県における火災事故について 2009 年 2 月 5 日 福島県における一酸化炭素中毒事故について 2009 年 3 月 5 日 兵庫県における一酸化炭素中毒事故について
事故事例 ( 鹿児島県 2009/1/26) 給気が不十分での事故 高等学校の集団給食室において 複数のガス燃焼機器を使用して調理実習中に 生徒 17 名 教員 1 名の計 18 名が一酸化炭素中毒となり病院に搬送された 原因は 窓を閉め切り 給気が不十分な状態で換気扇を使用したことにより室内が負圧状態となり 一酸化炭素を含むボイラーの排気が室内に漏れたことによるものと推定される * ガス機器使用時は必ず換気をしてください! 換気及び給気が十分なことを確認後 換気設備を稼働させる
事故事例 ( 山口県 2009/6/2)* 厨房外 ( 給湯用ボイラー ) 煙突先端の金属製の蓋 3 階非常階段 5000ppm 超 測定器の上限を超える 30000ppm 超
経済産業省からの業務用厨房施設における CO 中毒事故の注意喚起! - 飲食系チェーン本部 飲食店オーナーの皆様へお知らせ - 事故の原因 1 換気設備の非稼働 2ガス機器及び排気ダクトの清掃 点検 整備の不徹底 3 一酸化炭素警報器の未設置
業務用施設で CO 事故の増加理由 1 業務用厨房機器は プロ仕様で安全装置が付いていない 2 大容量の燃焼機器のため 室内でガス使用量が多い 3 酸欠又は経年劣化による不完全燃焼が発生しやすい 4CO 警報器 業務用換気センサの未稼働 未設置 5プロたり得ない作業者 厨房オーナーが増加している 6その他 CO 中毒を起こし易い代表的な業務用厨房機器 パンオーブン茹で麺器回転釜
プロが注意を怠る事故が多発 7 月 21 日福岡県のハンバーガー店 の CO 中毒事故 9 人 ( 軽傷 ) 7 月 25 日福岡県のハンバーガー店 3 人 ( 軽傷 ) の CO 中毒事故 フライヤーの排気口にアップルパイが詰まって不完全燃焼 換気扇をつけない状態で厨房を使用して不完全燃焼 本来 プロであるべき者の意識や技術 の低下による事故が増加している!
業務用厨房施設での CO 中毒事故防止対策 LPG LPG LPG 1 CO 警報器 業務用換気センサの取付け 業務用厨房不完全燃焼警報センサ 2 安全装置付き燃焼器具の推奨 3 確実な消費設備等の調査 4 CO 中毒防止についての周知徹底
行政の考え 業務用厨房でのCO 中毒事故の防止には 周知徹底や施設改善などが重要な施策であり CO 警報器も有効な手段の一つ CO 警報器については 来年度にも 設置基準に着手し 設置義務化に 向け準備を進める方針
一酸化炭素 (CO) 警報器 設置方法 * 業務用 CO 警報器は除く 出典高圧ガス保安協会ガス警報器工業会
従来のCO警報器の問題点 従来のCO警報器は家庭用規準のため 業務用環境では鳴動しやすい 業務用厨房機器 CO 従来のCO警報器 CO 新品でも点火直後 は一過性のCOが 発生する 人体に 影響を及ぼさない 程度 業務用厨房CO濃度測定例 120 モニタ結果(2004/12/17 2005/1/18) PX4L006 100 毎朝高濃度で家庭用の CO警報器では鳴動 80 60 80 40 40 20 0 0 12/22 12/23 12/23 12/24 12/24 12/25 12/26 12/26 12/27 12/27 12/28 12/28 12/29 12/30 12/30 12/31 12/31 1/1 1/1 1/2 1/3 1/3 1/4 1/4 1/5 1/5 1/6 1/7 1/7 1/8 1/8 1/9 1/9 1/10 1/11 1/11 1/12 1/12 1/13 1/14 1/14 1/15 1/15 1/16 1/16 1/17 1/18 1/18 1/19 C O pp m 160 一般のCO警報器ではほぼ全て鳴動 狼少年化 CO(ppm) 温度 温 度 CO 200 ピッポッ ピッ ポッ 窓を開け て 電源が抜かれる又は外される
業務用換気センサの登場 日本ガス機器検査協会 (JIA) にて業務用厨房不完全燃焼警報センサ- 検査規定 ( 暫定 ) が2006 年 9 月 28 日に承認された 業務用黒本にも記載 (P194) されています
業務用換気センサ 1 1 業務用厨房のCO 中毒事故防止を目的とし 換気をうながす警報器 2 新しいCOセンサを採用し 従来と異なる警報ロジックを構築 (COHb 濃度を推定演算し 警報 ) 鳴動までの目安時間 1150ppm 約 90 分 2500ppm 約 20 分 31,000ppm 約 7 分 外観壁掛型
COHb 濃度を推定演算 高度な警報判定で安全を確保 (CO ヘモグロビン濃度を演算 ) 新開発の電気化学式センサを採用し 低濃度から高濃度まで高精度な CO を検知し 人体中の一酸化炭素ヘモグロビン (COHb) 濃度を演算し適切なタイミングでの警報
業務用換気センサ 2 3 電池式のため 100V 電源配線は不要 4 取付高さも170cmが設置基準のため 設置場所に困りません 170±20cm
安全装置付き燃焼機器の推奨 業務用厨房ガス機器はプロ仕様であることから安全装置が付いた製品はまだまだ少ない ( ガスへの慣れ プロ意識 ) 業務用厨房事故の増加 新人 ( 未経験者 ) の使用 フェイルセーフの流れ 多人数で使用 立ち消え安全装置 不完全燃焼防止装置等の安全装置が付いたガス機器の使用を勧める 立消え安全装置 / 過熱防止装置不完全燃焼防止装置立消え安全装置 過熱防止装置
確実な消費設備等の調査 消費器具は不完全燃焼していないか 換気( 給気 排気 ) は十分か CO 警報器等の電源は入っているか
CO 測定器の保守点検 日常点検 1ドレンブロックに水滴等が付着していないこと 2ダストフィルタ NOxフィルターは2~3ヶ月で交換してください 定期点検 13~6ヶ月ごとに1 回 校正用ガスによる感度調整を行うこと 21 年に1 回 メーカーによるオーバーホールを行ってください 31 年または2 年にセンサーを交換してください ( メーカーによって異なります )
CO 測定器メンテナンスの実情 平成 21 年 8 月 あるエルピーガス協会の研修会で CO 測定器の正しい測定方法等を勉強した際に 各社が持参した CO 測定器をチェック 正常に使用できるもの 1 台 要修理 ( オーバーホール ) 15 台 機器のメンテ不十分 感度が落ちる 低い測定値 危険を見逃す
CO 中毒防止についての周知徹底 1) 法定周知業務 (1 年又は 2 年に 1 回以上 ) 2) 供給開始時及び定期点検 調査時 3) 日常の啓蒙活動 換気不良により CO 中毒が発生するメカニズム CO 中毒を防止する方法についての啓発が必要 ( 換気設備を使用 または換気設備が機能していればほとんどの事故を回避することができた ) LPG
各種パンフレットを利用して周知 ( 説明 ) する 1COは無臭であり 中毒で死に至る場合がある 2 換気及び給気が十分なことを確認後 換気設備を稼働させる 3 冷暖房機をつけても閉めきらず 必ず給換気をする 4 点火不良や異臭発生時は 至急に点検を受ける 5CO 警報器 業務用換気センサの設置を検討する 6 排気ダクト 換気扇 ガス消費機器給排気部等の清掃 正確な知識をオーナーを含め 全員に知ってもらうこと!
業務用厨房施設での CO 中毒事故防止対策 1 CO 警報器 業務用換気センサの取付け 2 安全装置付き燃焼器具の推奨 3 確実な消費設備等の調査 4 CO 中毒防止についての周知徹底 LPG 業務用厨房不完全燃焼警報センサ LPG LPG 先ずは業務用厨房を再点検し オーナーを含め全員に CO 中毒についての正確な知識を知ってもらうこと!
ご清聴ありがとうございました 関東液化石油ガス協議会