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防災 減災への民間情報の活用の必要性 東日本大震災において 明らかになった課題 従来の情報収集の取組 職員による現地調査 報道機関からの情報 通報 検知器 ( センサー ) 課題 対応できる人員の限界 小さな地域に関する情報の不足 紙情報が多い 情報の整理 管理が困難 設備 維持費用が大きい 上記課

102 中地 牧 林 小林 : 東日本大震災における消防防災ヘリコプターの活用結果に基づく南海トラフ巨大地震におけるヘリコプターの有効活用方法の提案 1. はじめに従来の地震対策では, 政府は海溝型地震として, 東海地震, 東南海 南海地震, 日本海溝 千島海溝周辺海溝型地震を, 内陸性の直下型地震

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アンケート調査の概要 目的東南海 南海地震発生時の業務継続について 四国内の各市町村における取り組み状況や課題等を把握し 今後の地域防災力の強化に資することを目的としてアンケート調査を実施 実施時期平成 21 年 11 月 回答数 徳島県 24 市町村 香川県 17 市町 愛媛県 20 市町 高知県

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第3編 災害応急対策

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和歌山県緊急消防援助隊航空部隊受援計画

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平成 30 年度事業報告 一般財団法人自治体衛星通信機構 当機構は 地方公共団体等において通信衛星を共同利用するための設備を設置し 運用することによって 防災情報及び行政情報の伝送を行うネットワークの整備促進を図り もって地域社会における情報通信の高度化及び地域の振興に寄与することを目的として平成

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不具合情報受付管理 DB 不具合情報対応情報要因 履歴登録 設備情報 不具合情報 対応情報 不具合 ( 履歴 ) 情報 機器仕様 納入情報 機器部品情報 関連資料 機器情報 交換部品情報 交換履歴 交換部品情報 保有部材管理 DB 保有部材管理 不具合情報 不具合先情報 不具合復旧情報 受付情報 対

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できない場合は 代表消防機関代行の倉敷市消防局又は津山圏域消防組合消防本部の職員をもって充てるものとする 4 岡山県大隊に 消火 救助 救急等の任務単位毎に中隊を設けることとし 各中隊を 消火中隊等 と呼称するものとする なお 中隊長は 岡山県大隊長が指定するものとする 5 各中隊に 各車両又は付加

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2/12 はじめに -2- 既存のシステムでは 統合的な情報提供 援助システムが存在しない 救命に特化したシステムは 存在している 災害時でも実用に耐え得る 双方向通信システムが存在しない など 解決には至っていません 私たちはこれらの問題を解決するために 次のような機能を考えました 固定電話 携帯

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3 航空機動態情報の管制機関における活用 (EN-12, OI-27 関連 ) ~ 航空機動態情報の把握による監視能力の向上 ~ 2 気象予測の高度化等 (EN-5,6,13 関連 ) ~ 気象予測の高度化による高精度な時間管理の実現 ~ 4SBAS 性能の検討 (EN-7 関連 ) 5GBAS を

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移動通信の将来像と ドコモのネットワーク戦略

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2. 大規模津波防災総合訓練実行委員会設立準備会 日 場 時 : 平成 29 年 12 月 19 日 ( 火 ) 午後 1 時 30 分 ~ 午後 3 時 所 : 四日市市役所 6F 本部員会議室 準備会参加機関 : 中部管区警察局 陸上自衛隊第 10 師団海上自衛隊横須賀地方総監部 航空自衛隊中部

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< 用語解説 > *1 ソーシャルネットワーキングサービス (SNS) インターネット上の交流を通して社会的ネットワークを構築するサービス全般を指す 代表的な SNS として Twitter mixi GREE Mobage Ameba Facebook Google+ Myspace Linked

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1. 実現を目指すサービスのイメージ 高齢者や障害者 ベビーカー利用者など 誰もがストレス無く自由に活動できるユニバーサル社会の構築のため あらゆる人々が自由にかつ自立的に移動できる環境の整備が必要 ICT を活用した歩行者移動支援サービスでは 個人の身体状況やニーズに応じて移動を支援する様々な情報

IT時代の震災と核被害

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各府省からの第 1 次回答 1. 災害対策は 災害対策基本法に規定されているとおり 基礎的な地方公共団体である市町村による第一義的な応急対応と 市町村を包括する広域的な地方公共団体である都道府県による関係機関間の総合調整を前提としている を活用してもなお対応できず 人命又は財産の保護のため必要がある

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大阪湾広域臨海環境整備センターは、昭和57年3月に設立されて以来、30年余りにわたって、全国で唯一の府県域を超えた広域的な廃棄物の適正な最終処分を海面埋立てにより行う「フェニックス事業」を地方公共団体及び港湾管理者と一体となって推進してきたところであり

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大規模イベント開催時の危機管理等における消防機関のあり方に関する研究結果について ( 概要 ) 研究の趣旨 現在 国際社会では各地で多様な形態のテロが発生し また NBCテロ災害等 特別な備えが必要となる事案が発生する恐れも増してきている 2019 年のラグビーワールドカップ 2020 年のオリンピ

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スライド 1

緊急通報の現状 ( 回線保留機能等の仕組み ) 1 メタル電話は NTT 東日本 西日本の PSTN により 回線保留 及び 逆信 が可能 1 1 回線保留 とは が受話器を下ろしても指令台側が切断しない限り接続状態を維持すること 逆信 とは 回線保留状態でが受話器を下ろしている時に側から着信音を鳴

2. 運用の基本方針 DMATの活動は 通常時に都道府県と医療機関との間で締結された協定及び厚生労働省 文部科学省 独立行政法人国立病院機構等により策定された防災計画等に基づくものである DMATの派遣は被災地域の都道府県の派遣要請に基づくものである ただし 厚生労働省は当分の間 被災地域の都道府県

目次 1. 概要 操作方法 わがまちハザードマップを見る 地図で選ぶ 都道府県 市区町村を選択する わがまちハザードマップを使う 地図から選択する 地図上から直接選択..

屋内 3 次元 測位 + 地図 総合技術開発 現状 屋内 3 次元測位統一的な測位手法 情報交換手順がなく 共通の位置情報基盤が効率的に整備されない 技術開発 屋内外のシームレス測位の実用化 (1) 都市部での衛星測位の適用範囲拡大 (2) パブリックタグ 屋内測位の標準仕様策定 効果 3 次元屋内

平成19年度・地球工学研究所の知的財産に関する報告会 - 資料集

第 5 部 南海トラフ地震防災対策推進計画

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災害時のヘリコプター運用 ( 課題と対応状況 ) 宇宙航空研究開発機構 (JAXA) 航空本部小林啓二平成 26 年 11 月 13 日 発表内容 1. 災害時のヘリコプター運用における課題 2. JAXA 研究内容の紹介 2.1 研究概要説明ビデオ ( 約 10 分 ) 2.2 災害救援航空機情報共有ネットワーク (D-NET) 2.3 これまでの成果 2.4 今後の展開 3. まとめ 2

1. 災害時のヘリコプター運用における課題 課題例 1: 多機関 多数機が同じ空域で飛行 2011 年 3 月に発生した東日本大震災では 300 機以上のヘリコプタが集結した 首都直下地震が発生した場合 さらに多くのヘリコプタが集結することが想定されている ( 下表 ) 首都直下地震で想定されるヘリコプタ機数 機関 機数 自衛隊 264 (660) 消防防災 64 (72) 警察 70 (95) 海上保安庁 27 (46) 合計 425 (873) 出典 : 中央防災会議幹事会資料 ( ) 内の数字は全保有機数 (JAXA 独自集計 ) 3 首都直下地震を想定した運航シミュレーション シミュレーションの内容 中央防災会議等が定める被害想定をもとに 全 425 機の飛行をシミュレーション 各機の性能 装備品 運航 ( 離着陸 任務実施 給油等 ) 情報伝達( 電話 FAX イリジウム衛星通信等 ) 等をモデル化 シミュレーション結果の飛行軌跡の例 シミュレーション条件 : 発災から 9 時間 (08:00-17:00) 延機数 425 任務数 1100 離着陸地点数 562 4

1. 災害時のヘリコプター運用における課題 課題例 2: 機体 - 地上間の情報通信機器の選択 2013.11.12 時点での JAXA 調べ 完全修理改造タイプ 完全持込みタイプ ナビコムアビエーション社製動態管理システム NMS-01S+ イリジウム通信機器 ウェザーニューズ社製 FOSTER-copilot SkyTrac 社製 DSAT-300E モハ イルクリエイト株式会社製 Voice Packet Tranceiver 一部修理改造タイプ Latitude 社製 SkyNode S100 Latitude 社製 SkyNode S200 SkyTrac 社製 ISAT-200 Honeywell 社製 Sky connect 今は ユーザーニーズに合わせて 機器を選択することが可能な状況 安定的な通信が必要? 音声通話が必要? パイロットが使用することを想定? 特別な情報を共有したい? 機上で情報を確認したい? 地上で他の情報を付加する? 搭載費用 維持費用は? 5 情報共有に関する今後の課題 被災地ヘリ 応援ヘリ 中央省庁 被災地ヘリ基地 応援ヘリ基地 独自サービスを提供する 異なる動態管理システムが使用され 情報共有が困難 動態管理システムを装備した複数機体に対する一元的な運航管理が困難 6

航空機を活用した災害対応でこれまでに明らかとなっている主な技術課題 阪神 淡路大震災 1995~ 2011 東日本大震災 被災地へ多数機を派遣する体制 対応 改善 実施 ヘリによる救急搬送 判明 改善 実施 他機関とのより迅速な情報共有 連携 判明 未解決 未解決 広域 複数の被災地への対応 - - 判明 多数機のより効率的な運航管理 判明 未解決 未解決 給油 整備体制 判明 未解決 改善 空振り 重複出動 - - 判明 通信体制 判明 未解決 未解決 天候不良時の対応 判明 未解決 未解決 D-NET 導入により実施 改善が期待される項目 7 2. JAXA 研究内容の紹介 2.1 動画 ( 約 10 分間 ) 消防防災ヘリコプター運航管理システムの研究開発 8

2.2 災害救援航空機情報共有ネットワーク D-NET 航空機 災害対策本部 防災関連機関等の間でデータを共有化 運航情報 任務 ( 災害 ) 情報に基づいて最適な運航管理 9 D-NET の特徴 災害対応機関や自治体等 災害救援航空機ユーザと連携して研究開発を実施 位置情報以外の高付加価値情報を 機体 - 地上間の双方向で通信するための標準仕様 (D- NET データ仕様 ) を策定 特定の機器に限定しない 市販の機体 地上間情報共有機器を D-NET データ仕様に対応させるアプリを追加して実証 機体 地上隊 現地災害対策本部等の地上拠点 中央省庁対策本部等の地上拠点で情報を入力 表示するシステムを研究開発 10

全体システム実証実運用環境での D-NET 評価 実証のスケジュール ( 年度 ) H22 H23 H24 H25 H26 広域応援での情報共有 運航管理 (JAXA/ 総務省消防庁 ) シミュレーションによる評価 システム試作開発 実運用環境での評価 改良 現地での情報共有 運航管理 (JAXA/ 神戸市消防局 / 岐阜大学 ) 技術移転による実用化 シミュレーションによる評価 システム試作開発 評価 改良 現在 11 2.3 H26 年度上期までの成果と今後の活動 機体の修理改造を必要とするD-NETシステムを研究開発 実運用下での有効性評価を実施 また 有効性が確認された機能から技術移転を実施 これまでの実証実験結果を基に標準的なデータ仕様を提案 ユーザーのニーズに応じて機器構成を選択できるシステムの研究開発が必要であることが判明 福島県立医科大学との共同研究で搭載性向上型 D-NETシステムの開発 有効性検証を実証中 (H25 年度 ~) 完全持込み型 D-NET 機上システムを開発し 南海トラフ巨大地震を想定した広域医療搬送訓練で有効性を確認 (H26 年度 ) 12

災害情報の共有 ( 機体 - 地上間 ) 火事 救急 水害 等の災害情報を 点 線 面 で伝達可能 ナビコムアビエーション社製地図表示装置 NMS-01S 搭載ヘリ ナビコムアビエーション社製ヘリコプター動態管理システム IMS-320 13 完全修理改造型 D-NET 機上システムの開発 14

基本形態高機能形15 D-NET 機上システムの開発例態完全持込み型 搭載性向上型 D-NET 機上システムの開発 イリジウム衛星 修理改造による搭載 LATITUDE 社製 SkyNode S200 ANTCOM CORP. 社製 IRIDIUM/GPS ANTENNA 29.2 9.7 7.2 cm 1,400 g 12.8 5.6 1.8 cm 235 g 下記情報の送信 位置情報 ( 緯度 経度 高度等 ) 運航情報 ( 移動中 任務開始 機体トラブル等 ) イリジウム地上局 運航管理 情報共有 PC データサーバ Note PC タブレット PC 等 持込み品 上記 SkyNode S200 と接続して使用 機内前左席または後席で使用することを想定 機体 - 地上間で双方向の情報共有 災害情報 ( 場所 内容等 ) 任務情報 ( 場所 内容等 ) イリジウム通信機器として Latitude 社製 S200 を使用 情報表示端末として Panasonic 社製 TOUGHPAD を活用 バッテリを使用 ( 機体には接続しない ) 16

地上側 D-NET PC 設定例 D-NET PC 無線 LAN により D-NET サーバと接続し情報を入手 VPN(Virtual Private Network) によりセキュリティ確保 17 他動態管理システムとの連携 JAXA は 全機種 ( 企業 ) と D-NET データ仕様での連携に向けた協定 共同研究等を締結 消防防災ヘリ動態管理システム 消防庁新動態管理サーバ ナビコムアビエーション社製ヘリコプター動態管理システム IMS-320 サーバ ウェザーニューズ社製イリジウム通信機器 FOSTER-copilot 地図表示装置 AMS-3000S サーバ SkyTrac 社製イリジウム通信機器 DSAT-300E サーバ JAXA D-NET サーバ サーバ モバイルクリエイト 製通信機器 Voice Packet Transceiver LATITUDE 社製イリジウム通信機器 SkyNode S200 Honeywell 社製イリジウム通信機器 Sky Connect サーバ D-NET サーバと連接するサーバのうち 直線 : 連接完了点線 : 連接アプリ製作中 18

2.4 D-NET 今後の展開 より多くの機関との連携 実証実験に協力して頂ける機関用にカスタマイズ 他システムとの連携 他の機体 - 地上間情報共有システムとの連携 地上の情報共有システムとの連携 車両情報 ハザードマップ等の事前情報 衛星 無人機との連携 情報統合表示システム 災害救援機の最適運航管理システムの研究開発を進める D-NET2 プロジェクトの検討開始 (H25 年度 ~) 19 今後の展開 ( 宇宙 航空連携 ) 災害救援航空機統合運用システム (D-NET2) の運用概念夜間や天候不良時の災害初動において 陸域観測衛星や無人機によって取得される災害情報も有効活用し ヘリコプタの最適運用の判断支援を行うシステムを開発する 20

D-NET2 システムの概要 システムの構成と解決課題 ( 代表的な要素技術 ) 宇宙航空リソースの戦略的マネジメントを 3 つのフェーズにおいて支援 情報収集計画立案任務遂行 1 悪条件下での効率的情報収集 ( マルチセンサ ) 2 被災状況の全体像の把握と共有 3 迅速かつ戦略的なリソースマネジメント 4 悪条件下での任務遂行や広域応援 21 D-NET2 特徴 目標達成のために下記システムを研究開発 (1) 情報統合サブシステム 衛星 航空機 無人機等の航空宇宙機器からの情報を一元管理 被害想定や気象情報等の他システム情報も活用 夜間 天候不良に係わらず 初動時の迅速な救援ニーズの把握を支援する情報統合化技術の開発 (2) 最適運航管理サブシステム情報収集活動とそれ以外の救援活動に分割して 航空宇宙リソースのマネジメントを最適化する運航計画の立案を支援する技術の開発 (3) 任務支援サブシステム JAXAの保有する要素技術を統合し 夜間 悪天候に係わらず 効率的かつ安全な任務の遂行を支援する技術の開発 22

情報統合サブシステム画面開発例 H26 年度広域医療搬送訓練での実証実験 ( 宮崎県および東京都 ) (1) 航空機情報 動態情報 ( 位置情報 任務情報等 ) 離着陸地点情報 (2) 衛星情報 光学画像 SAR 画像から抽出した浸水域情報 (3) その他システムからの情報 災害拠点病院情報 (EMIS との連携を想定 ) DMAT 展開情報 (EMIS との連携を想定 ) ユーザーニーズに合わせ任意に On/Off 表示 23 D-NET2 実施体制 ( 案 ) 関係機関との連携今後予想される大規模地震に安全かつ効率的に対応するためには 多くの関係機関との連携が重要 災害対応機関 ( 評価 実証協力機関 ) 開発協力機関 アビオニクスメーカ ( 機上システム開発 ) IT ソフトメーカ ( 地上システム開発 ) 航空機メーカ ( シミュレーションシステム開発 ) 航空機修改業者 ( 実験機器搭載 ) 研究協力機関 情報共有 消防 防災 減災 視覚情報支援 気象情報 JAXA 24

D-NET2 スケジュール 第 3 期中期計画 (5 ヵ年 ) 現在実施中の計画 (D-NET) の成果を踏まえ 17 年度の実証を目指す 2013 2014 2015 2016 2017 概念設計 システム定義 基本 詳細設計 維持設計 製作 搭載 D-NET 実証実験 25 3. まとめ 災害時のヘリコプター運用における課題を整理しました 災害救援航空機情報共有ネットワーク (D-NET) の研究開発についてご紹介しました 災害対応機関との協定 共同研究に基づき 実運用下で使用可能 有効なシステムの研究開発を実施 どのような機器を使用しても情報共有を実現するために機体 - 地上間で共有すべきデータの標準化を提案 ユーザーニーズにあわせて 機体で使用する機器が選択可能となるよう 3 種類の機上システム ( 完全修改 一部修改 完全持込み ) を製作 有効性が確認された機器等は適宜技術移転し 製品化 衛星 無人機 他システムとのより高度な連携を実現するシステムの技術実証を2017 年度までに実施予定 kobayashi.keiji@jaxa.jp 26