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リモコンは 電子機器を遠隔操作できる物 と前章で紹介しました 今では スマートフォン タブレット や最近よく耳にします AI IoT が送信器となって リモコン操作 が出来るようになってきました このようにいろんなハードウェアがリモコンに生り得る存在となったのには 多様な通信方式の策定と無線制御 IC の MEMS 技術による集積化によります 今では 赤外線 可視光 微弱無線 特定小電力無線 Wi-SUN Bluetooth ZigBee LPWA enocean 4G WiMAX(LTE) 等々国内だけでもたくさんの種類があります それぞれに適材適所があるのですが 一つずつ理解するには時間もかかりますし大変です そこで まめちしきその 2 では リモコン目線による通信方式のご紹介をしていきたいと思います その前に! 今どきのリモコンをご紹介いたします スマートフォンや PC 等で人気の Apple 社のリモコンです Apple 社製品は常にクオリティが高く独創的な製品を世に生み出しています ご紹介するリモコンも思わず唸 るとりわけ特徴的な 2 種類になります 秀逸な一品といえます Siri Remote Apple Remote Mic 赤外線送信 赤外線送信 Siri ( 押したまま話す ) Touch+ 押釦 スワイプ操作 ( 静電容量式タッチセンサ ) ( 全面が押釦 ) 押しボタン (6 点 ) 押しボタン ( 十字キー ) 押しボタン (2 点 ) [ 内蔵 ] Bluetooth 4.0 3 軸ジャイロ加速度センサー Li-ion Battry (Lightning ケーブルで充電 ) Battry (CR2032) SIZE: 124*38*6.3[mm] SIZE: 120*30*6.0[mm] 無線通信技術とセンサを活用 マルチ機能を備えた最新型リモコン 継ぎ目なしのアルミボディ 素材を生かした美しいシンプルリモコン 弊社もリモコンメーカーとして最新技術を取り入れた便利で安価な製品を提供してゆきたいと思います!!!

[ 周波数帯域による特徴 ] 周波数帯域 2.4GHz 2.4GHz 帯とは 2.4GHz 付近の電波周波数帯のことで 今では無線 LAN(Wi-Fi) や Bluetooth ZigBee などに利用されています 日本では免許不要の帯域であり ISM バンド (Industry Science Medical バンド ) と呼ばれています 欧米でも同帯域が開放されているため 世界共通の周波数帯域となっており 国内の無線機を海外へまた 海外の無線機を国内でそのまま利用することが可能です このような利便性がある一方で多くの機器が利用する帯域のため 電波が重複し干渉を引き起こしやすいデメリットもあります また 2.4GHz 帯は回析性に劣る為 障害物に弱い性質があります 人体等の電波を吸収する性質のものが送受信間に存在すると通信の途切れが発生しやすくなります 障害物があることが分かっている場合は中継器で補う事が可能です また Bluetooth ZigBee には通信を中継して行く MESH 機能がありますので それらの機能を使用して通信距離を延ばすことも可能です 詳細は各項目でご紹介いたします 周波数帯域 920MHz 920MHz 帯とは 920MHz 付近の電波周波数帯のことで 特定小電力無線の 1 つでテレメータ用 テレコントロール用及びデータ伝送用の場合 免許不要 ( 使用するにあたり免許不要であっても 製品は技術基準適合認定を受ける必要があり 製品には技適マークが付加されています ) でその他に使用できる周波数帯域としては 315MHz 帯 400MHz 帯 1200MHz 帯があります 920MHz 帯は 他の帯域と比べて広い帯域を確保しているため占有帯域幅を広くすることができ通信速度を上げることが可能です 特定小電力無線 Wi-SUN 920IP(ZigBee の 920MHz) で利用されています 伝送距離は 送信出力と受信感度が同じであれば 2.4GHz 帯に比べ約 3 倍の伝送距離と電波が回り込む回析性を持っています また マルチホップ無線システムが利用でき 複数の無線端末がそれぞれの隣接する無線端末を経由して データを伝送してゆくことが出来ます 特定小電力無線 315MHz 帯 400MHz 帯 920MHz 帯 1200MHz 帯があり 315MHz 帯は微弱無線とも呼ばれます 特定小電力無線の要件は 総務省で規定されており 総務省で定める一定の条件を満たした無線設備であれば 無線従事者資格も無線局免許も不要で 広く一般の人々が無線を利用できるとしています 条件は以下の通りです (1) 空中線電力が 1W 以下であること (2) 総務省令で定める電波の型式 周波数を使用すること (3) 呼出符号または呼出信号を自動的に送信しまたは受信する機能や混信防止機能を持ち 他の無線局の運用に妨害を与えないものであること (4) 技術基準適合証明を受けた無線設備だけを使用するものであること 315MHz 400MHz 帯は障害物を回り込む回析性を持ち 通信できる範囲が広い周波数帯です しかし 1 チャネルあたりの帯域幅が狭く 一度に通信できる情報量が少ないため 計器の読み取りなどの少量のデ ータ通信に用途が限られています 400MHz と 920MHz の特徴を以下に示します 400MHz 920MHz 波 70cm 30cm 送信電力 10mW 20mW 伝送速度 2.4kbps 100kbps 受信感度 -116dBm -106dBm 理論通信距離 約 200 km 約 25 km 最大実用距離 市街 500~1 km 100~200m 郊外 1~2 km 500~1 km

2.4GHz 帯 Bluetooth(IEE802.15.1) Ericson 社が最初に開発し IBM Intel Nokia 東芝の 5 社が集まり 短距離無線通信の標準規格として策定したデータ通信規格です この 5 社で Bluetooth SIG( スペシャル インタレスト グループ ) が発足されました その後 MOTOROLA Microsoft Apple NORDIC が加わりプロモーター企業は 9 社となりました 現在 Bluetooth 製品を開発し 商品化する為には BluetoothSIG へのメンバーシップ登録 ( 無償 ) が必要となります 製品の認証 登録は有償となります 登録するメンバーの選択により受けられる特典と登録料金が異なります 詳細は下記リンクをご参照ください https://www.bluetooth.com/ja-jp/membership-working-groups/membership-benefits Bluetooth の進化の過程 Bluetooth は 近距離にある機器同士を手軽に接続できる無線通信規格を策定する という趣旨の元 立ち上げたのですが 同周波数帯には既に Wi-Fi があり 伝送レートも通信距離も Bluetooth の上位に位置しており 且つ当時は Wi-Fi の全盛期でもあり その実力を発揮するまでに至りませんでした Ver.1 から策定内容の見直しが繰り返され いくつものバージョンを経て現在の 5.0 にたどり着きました その変遷の結果 規格の乱立は避けられているものの現在では 4 つの シリーズ が併存する状態となっています 以下に Version 転送レート 及び 消費電力 で4つのバージョンの違いを説明します Bluetooth バージョンと転送レート違いによるシリーズの併存状態転送レート Ver. 1Mbps 3Mbps 24Mbps 1Mbps 1 Bluetooth 2 3 4 BR ( ベーシック レート ) EDR ( エンハンスト データ レート ) HS ( ハイ スピード ) LE ( ロー エナジー ) LE は転送レートが初期に戻りましたが 消費電力が 1/2 になりました 5 Bluetooth の互換性仕様の見直しのしわ寄せが互換性に出てしまいました BluetoothSIG は 2015 年に3 種類の名称を策定して 互換性のトラブルを回避することに致しました Bluetooth : これまでの Bluetooth にのみ対応する機器 Bluetooth SMART READY : Bluetooth と Bluetooth LE いずれも使える機器 Bluetooth SMART : Bluetooth との互換性はなし Bluetooth LE のみに対応 なお 以後の Bluetooth の説明は Bluetooth LE を中心に説明いたします

Bluetooth の通信範囲 Bluetooth は 2.4GHz 帯を利用して 主に 10m 以内の近距離の通信に利用されています 国外では 最 100m まで通信出来る Class1 の Bluetooth 機器が利用可能ですが 日本では電波法で 50mW 以下と規制されていますので Class1 とは言え 通信距離は 50m 程度となります 但し アンテナの種類やパワーアンプの性能によって受信感度も通信距離も伸びる可能性がありますのであくまでも目安になります Class 別の電波強度とおおよその通信範囲 (LE) Class 最大出力 最小出力 通信可能距離 Class1 100mW (+20 dbm) 10mW (+10 dbm) およそ 100m Class1.5 10mW (+10 dbm) 0.01mW (-20 dbm) およそ数 10m Class2 2.5mW (+4 dbm) 0.01mW (-20 dbm) およそ 10m Class3 1.0mW (0 dbm) 0.01mW (-20 dbm) およそ 1m 周波数帯域 :2.400 2.4835 [GHz] チャネル数 (LE) :40 チャネル ( うち 3 チャネルはアドバタイジング用に使用 ) チャネル間隔 (LE) :2MHz 通信速度 Bluetooth v4.0 以降から通信速度は 1Mbps となりました V3.0 では 24Mbps でしたので圧倒的に 遅くなったのですが リモコン用途においては 1Mbps で十分の速度となります 通信方式 : 周波数ホッピングスペクトラム拡散 (FHSS:frequency hopping spectrum spread) 1 秒間に 1600 回周波数 ( チャネル ) を切り替えながら通信をし 同周波数を使用するデバイスとの干渉やその影響を極力少なくすることができます 更に AFH(Adaptive Frequency Hopping) 機能によって同周波数帯を共有するデバイスが一定の周波数を占有してもその周波数を自動的に避け 空いている周波数を使用することで安定した通信を確保します よって他の無線よりも比較的干渉に強いと言われ 周囲のデバイスへ与える影響も少ないことから 干渉の影響を避けたい環境での導入が期待されています ( 例 : 医療現場等 ) 正常にホッピングしているチャネル Wi-Fi Wi-Fi AFH 機能が働いたチャネル アドバタイジング用チャネル 制限された帯域の中で 40 チャネルの間隔で区切り ホッピングしながら 通信を行っているイメージです Wi-Fi が使用されると Bluetooth は占有されていないチャネルに移動して通信を行います 周辺機器 ( アドバタイザ ) とスキャナ ( スマホ等 ) のアドバタイジング用に割り当てられたチャネル

ネットワーク構成 11 対 1 基本的にはマスター対スレーブの 1 対 1 通信です ピコネットの基本形です 21 対多 マスターに対して複数のスレーブが紐づく事が出来ます ピコネットの第二の形です スレーブとして 7 台まで接続が可能です 但し スレーブ同士の通信は出来ません 3スキャタ ネットピコネットが相互に接続して複層的なネットワークを構成することも可能です このようなネットワークをスキャタ ネットと呼びます この場合 他の スレーブ とつながっている 1 台の マスター の役割を担っている機器が別の マスター の役割を担っている機器に対して スレーブ としてつながることもあり得ます 4インターネット接続 Ver.4.2 において インターネット プロトコル をサポートするプロファイル IPSP が策定され インターネットに直接接続できるようにはなりました ですが 低消費電力をうたい 1Mbps の転送速度では 現実的には厳しいようです 5Bluetooth MESH Ver.5.0 より Bluetooth MESH が策定されました Bluetooth mesh は Bluetooth の省電力仕様である Bluetooth Low Energy(BLE) のブロードキャスト通信機能を利用してメッシュネットワークを実現しました Zigbee Z-wave とは異なるフラッド型メッシュを採用 例えば あるデバイスがブロードキャストでデータパケットを送出すると 受信したデバイスが周囲のデバイスにブロードキャストで中継して全デバイスにパケットを行き渡らせます それでも受け取るのは自分のアドレス宛てのパケットだけになるよう制御しています 一度送信したパケットの再送信の禁止や中継回数 (TTL) に制限を設ける制御を同時に行うことで実現しています また 送信先はアドレスで指定するが 複数のデバイスをまとめて制御するグルーピングといった使い方も可能としています

920MHz ZigBee(IEEE802.15.4) ZigBee は近距離無線ネットワークを実現する低コスト 低消費電力型の近距離無線通信規格です 下位レイヤ ( 物理 MAC 層 ) に IEEE802.15.4 仕様を採用し その上位に ZigBee のネットワーク層等を付加するプロトコル構成となっており ZigBee Alliance により 仕様が策定されています IEE802.15.4 を利用していることから周波数帯は 3 つあります 868MHz[ 欧州 :1 チャネル ] 915MHz[ 北米 南米 :10 チャネル ] 2.4GHz[ 全世界共通 :16 チャネル ] 更に近年では ZigBee アライアンスは 独自プロトコルからオープンな IP 対応の ZigBee IP プロトコルを策定し 日本における 920MHz 帯の開放から ZigBee IP を 920MHz 帯に対応させた 920IP を完成しました 920IP は日本の ECHONET Lite さらに米国標準のエネルギー管理プロトコル SEP 2 (Smart Energy Profile 2.0) にも対応できるようになりました ZigBee の種類 ZigBee Alliance では北米を中心に規格の変更 追加を行われています 日本ではまだ一般化されていませんが ローエナジーの特徴を生かして 北米では各家庭に浸透しており HEMS での実績を上げております また 規格のオープン化により各機関との連携も進んでおり BtoB のスマートグリッドの一翼を担ってきています 日本の 920MHz がサブギガ帯として移行されてからは HEMS BEMS への利用拡大を図り ZigBee の 920MHz 版として 920IP が策定されました まだ 日本での 920IP は本格的に進んでいませんが 920MHz という周波数帯域の利便性から利用される範囲は広がってゆくものと思われます 他にも ZigBee Alliance が策定した規格を以下にご紹介します 機能 ZigBee Pro Zigbee IP ZigBee Green Power 920IP 現在 ZigBee というとこの ZigBee Pro のことを指します 初版からの高機能版とされています スマートグリッド関連のアプリケーション用にオープン化した IP 対応の ZigBee 日本の ECONET Lite 米国の SEP 2 の標準化を完了 ZigBee のエナジーハーベスト規格 enocean にライセンス料支払う形で実現 日本の 920MHz 帯に対応したオープンな ZigBee 低消費電力 ZigBee の最大の特徴は超低消費電力 乾電池で数年オーダーの電池寿命が実現できます 但し データ送信間隔を十分あけておかないと省電力となりません 通信速度超低消費電力の反面として 通信速度は 250kbps と低く抑えられています なので 動画 音声等の容量の大きいデータの転送には不向き 単純な ON/OFF 信号の送信やセンサーが得たデータの転送等に最適 通信距離 数十 m(10m~75m 程度 ) アンテナ パワーアンプ次第で受信感度も通信距離も伸びる可能性がありますのであくまでも目安です ネットワーク構成 スター型 メッシュ型の複数のネットワークトポロジーをサポートします 2.4GHz と 920MHz の特徴を生かした今後の展開を注視し 情報展開をして行きたいと思います ZigBee の 920MHz 及び 2.4GHz の特徴を生かしたそれぞれの展開に今後も注視してゆきたいと思います

920MHz Wi-SUN(IEEE802.15.4g) Wireless Smart Utility Network の略語で 最大 1km 弱程度の距離で相互通信を行う省電力無線通信規格です 920MHz 帯を利用しています IEEE802.15.4g 規格を最下層 ( レイヤ 1) のプロトコルのベースとすることが決まりごとで その上のプロトコルをどんな規格にするかは アプリケーションに応じて決めていきます このようにして決められたプロトコルのセット ( プロトコルスタック ) を Wi-SUN プロファイル と言います Wi-SUN プロファイルは Wi-SUN Alliance でアプリケーションに応じたものを作成します また Wi-SUN Alliance では 認証 相互接続性試験も行います IEEE802.15.4g は ZigBee がベースにしている IEEE802.15.4 の物理層を変更した拡張規格で 変調方式 の追加 ( 高速化を狙った OFDM( 800Kbps) 周波数帯の拡張を追加 これにより IPv6 パケットをその まま通せるようになりました ) データサイズの拡張などを施してよりスマートメーターに利用しやすくしたものです 伝送速度 1Mbps 以下 低電力化以下の2 通りの方式を利用することで乾電池で 10 年間の駆動も可能とされています ビーコンモード定期的なビーコン信号によって相手先と同期するが ビーコン信号を適度に休止させたり 待ち受け期間を極端に短くしたりして定期的なスリープ期間を十分に確保し消費電力を抑えます ノンビーコンモード送受信タイミングを別途制御信号で通知してスリープ期間を確保します Wi-SUN の利用家庭内の電力消費の適正化を図るエネルギー管理システム HEMS に利用する動きがありましたが それに先立ち 東京電力が ECHONET Lite 用 Wi-SUN プロファイル を実装した Wi-SUN プロファイルをスマートメーター用の無線方式として採用しました 他電力会社 9 社も合意しており これから普及化していくものと思われます ECHONET Lite を利用したものには ZigBee や PLC などもあります Wi-SUN の応用 Wi-SUN には HEMS などのように屋内の情報収集に優れた特 が生かせるばかりでなく Wi-SUN には低消費電力でありながら 1km 弱の比較的 距離通信が可能であり マルチホップ方式を使えば 遠距離へと情報を運ぶ動作にも対応できます そのホップ数は数十ホップ程度までの比較的広域で面的に広がるネットワークを形づくることができるとしています 具体的な利用方法屋内 : スマートメーター等のスマートグリットに関した製品への情報収集屋外 : 農業 ( 温湿度センサや降雨量センサ等 ) 保守( 橋梁 建造物の状態センサ ) ダムの 位センサ 放射線量センサなどの情報収集 Wi-SUN については これから発展する可能性を秘めています 今後も注視してゆきたいと思います

各無線帯域と無線の比較 920MHz 帯と 2.4GHz 帯を利用したそれぞれの無線規格で比較しました それぞれの 特小無線 920MHz 920IP (ZigBee) 2.4GHz Wi-SUN Bluetooth ZigBee 通信距離 〇〇 通信速度〇〇〇 回析性 電波干渉 消費電力 〇 国際規格 コスト ( 単価 ) 〇 コスト ( 初期費用 ) 〇〇〇 〇 中継 〇〇 IP との接続 〇 〇〇 アプリの必要性 - あると便利あると便利必要 - 今後の予定この度の章で紹介できませんでした LPWA(Low Power Wide Area) につきましては 現在本格導入へ向けて各社が進んでおり注目される無線規格の一つです 次回は LPWA の紹介と LPWA も含めた無線リモコンの活用方法をご紹介したいと思います! お気軽にお問い合わせ下さい! 株式会社ヘルツ作成 お問合せ先 URL :http://hertz-e.co.jp E-Mail:info@hertz-e.co.jp TEL :0258-31-2375