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Transcription:

Japan Education Forum Ⅸ 東南アジア教育大臣機構 (SEAMEO) 有効な地域教育協力の一例 ウィ ホック チェア東南アジア教育大臣機構理数科教育センター研究開発部調査官 はじめに 有効性 は 期待される結果を出すことができるかどうかに関係する そのため教育協力の有効性は 関係者が共同で決定した 期待される結果 と必然的に結びついている いかなる援助の有効性に関して議論する場合でも 重要な問題の一つとなるのが教育援助の有効性を高める条件である 本稿では有効な地域教育協力の例として東南アジア教育大臣機構 (SEAMEO) を取り上げ この有効性がいかに実現できるかを考察する 東南アジア教育大臣機構 (SEAMEO) SEAMEO は 1965 年 11 月 30 日に公認の国際機関として設立された その目的は 東南アジア地域の教育 科学 文化を通じて協力を促進し 正義 法の支配 人権および基本的自由を推進することである SEAMEO はこの目的を達成するために能力向上に焦点を当て 地域の人々の潜在能力を最大限に伸ばすことをめざしている 能力向上により生活水準の向上を図ることを目的に 教育 予防衛生教育 文化 伝統 情報通信技術 言語 貧困削減 農業 天然資源などの主要分野の質および公正さを向上することに取り組んでいる SEAMEO の構成員設立当時の加盟国 (member states) は インドネシア ラオス人民共和国 マレーシア フィリピン シンガポール タイ ベトナム共和国 ( 南ベトナム ) だった 設立以来 SEAMEO は拡大しつづけ 2010 年時点で加盟国が ブルネイ ダルサラーム カンボジア ラオス インドネシア マレーシア ミャンマー フィリピン シンガポール タイ 東ティモール ベトナムの 11 カ国になっている SEAMEO には加盟国のほかに準加盟国 (Associate Member Countries) がある 準加盟国は二国間協力や多国間協力によるプログラムを加盟国と共同で開発することによって 加盟国に協力する 2011 年の時点の準加盟国は オーストラリア カナダ フランス ドイツ オランダ ニュージーランド スペインの 7 カ国である さらに 1983 年に 準政府機関や非政府組織でも SEAMEO に協力したいと思う機関を提携機関 (Affiliate Members) とする提案が討議された 2011 年の時点で公開遠隔教育国際評議会 (ICDE) 筑波大学 ブリティッシュ カウンシルが提携機関となっている 日本は準加盟国ではないが 1970 年代以来 連携国 (Partner Country) として SEAMEO に協力している 1

Japan Education Forum Ⅸ SEAMEO 理事会 (Council) SEAMEO の理事会は加盟国の教育大臣で構成され 同機関の最高意志決定機関である 理事会は年次総会で 政策や地域的イニシアティブを討議し SEAMEO や SEAMEO の各ユニットが実施するプログラムやプロジェクトの方向性を決定し 同組織のプログラムや活動をレビューする 通常 準加盟国や提携機関等の代表者も SEAMEO 理事会に出席する SEAMEO 事務局 (Secretariat) 事務局は SEAMEO の本部であり行政機関である SEAMEO 理事会によって立案された政策を実行し SEAMEO の各センターの活動やプログラムを調整する SEAMEO のセンター (Centres) SEAMEO の組織上の重要な特徴の一つがセンターの設立である これらのセンターは教育 科学 文化等 様々な分野の研修や研究のプログラムを実施する専門機関である 各地域センターには各加盟国の幹部クラスの教育行政官による運営委員会 (Governing Board) がある 運営委員会はセンターの事業や予算を検討し 政策やプログラムを立案する 現在 20 の SEAMEO センターが 様々な加盟国に設立されている 加盟国が自国の専門性が生かせる分野で SEAMEO センターを設立 運営し 資金を提供していることが SEAMEO の教育協力のユニークな特徴である 全加盟国を対象に研修等の活動を実施する他 センター間の協力を推進するために センター間の活動も実施している 次に SEAMEO 内の協力がどのように行われているかを さらに詳しく説明するために SEAMEO センターの一つを取り上げ その組織と活動を説明したい SEAMEO RECSAM SEAMEO 理数科教育センター (RECSAM) は 1967 年に設立された SEAMEO のセンターの中でも初期に設立されたセンターの一つである RECSAM の使命は 東南アジアの理数科教育を改善することである 同センターのプログラムは主に研修と研究であり 一般コース ( 主に SEAMEO 加盟国の参加者を対象に センターで実施 ) 国内コース(SEAMEO の加盟国の要請に応えて 当事国で実施 ) 特別コース ( 資金提供機関の要請に合わせて特別に実施 ) の 3 つの研修コースがある 同センターの研究は 理数科教育分野の政策や教育学に情報を提供することを目的としている RECSAM のプログラムの主な特徴は次の通り : 地域の能力向上をめざす 主な受益者は東南アジアの教育者 研修コース ( 一般コース ) に参加する全加盟国の教育者に対して奨学金が提供される 財政的実行可能性を確保するために センターの収入源となる活動を実施している 地域の開発途上国から SEAMEO 若手科学者発掘大会 (SSYS) のようなプログラムに参加する教育者には資金的な援助が提供される 2

Japan Education Forum Ⅸ 2008 年以来 同センターは SEAMEO 地域外の教育者を対象に 他の機関とも協力するようになった 例えば アフリカ諸国を対象とした国際協力機構 (JICA) との協力や コロンボ計画加盟国の教育者を対象とした同計画との協力がある 協議やモニタリングを定期的に実施し 研修プログラムの有効性や質を確保同センターのプログラムや活動は SEAMEO 加盟国のニーズが常に考慮されるように 協議に基づいて立案される 1965 年に SEAMEO が設立されて以来 協議の場がいくつかできている センターの運営委員会 ( すべての SEAMEO 加盟国の代表者からなる ) の年次会議でセンターの政策が決定され プログラムが立案される センター長会議 (CDM) が毎年開かれ SEAMEO の全センターからセンター長が集まり 各センターや SEAMEO 全体の計画など 戦略的な計画を討議する SEAMEO 高官会議 (HOM) が毎年開かれ SEAMEO のセンターから出された計画や提案について 加盟国の高官が更に討議する SEAMEO 理事会が CDM や HOM の計画や提案を承認する センターレベルでは 次のような評価活動を通じて RECSAM の研修プログラムを定期的にモニターしている 1. コース実施中に毎週実施されるフィードバック 2. コース終了時の評価 3. 一般コースのインパクト調査 一般コースの有効性を確保する活動 RECSAM は一般コースの有効性を調査するためにインパクト調査を定期的に実施している この調査はコース終了後 6 ヶ月の時点で実施される インパクト調査は RECSAM の一般コースの参加者を対象に 同コースのインパクトについて適用性 妥当性 普及の 3 項目を調査する インパクト調査の結果は次の通り : 1. 参加者はコースで学んだ知識を職場に適用できている 2. コースは参加者の仕事の性質上 妥当だった 3. 参加者は新しく学んだ知識を 自国の他の教員に部分的に普及できた インパクト調査の対象者は 新しい知識の実践を難しくしている要因として 時間的制約 過密カリキュラム 試験重視のカリキュラム 学級人数が多すぎることなどを上げている このような問題点が明らかになったので 同センターは参加者が課題を克服しやすいようにコース内容を見直している TCTP-JICA コースの有効性を確保する活動 TCTP( 第三国研修 )- JICA コースはアフリカの教育者のために SEAMEO RECSAM がマレーシア政府および JICA と協力して 2008 年から実施しているプログラムで 共同事業の一例である 本事業は有効性を確保するために 次のような活動を行っている 1. JICA 職員と協議して最初にニーズを分析し RECSAM の職員がアフリカ諸国を訪問 2. コース内容は JICA と協議して RECSAM の専門家が立案 3

Japan Education Forum Ⅸ 3. 参加者が研修で学んだ新たな知識をどのように認識しているか 事前テスト 事後テストを実施したところ スコアが大幅に伸びており コースの有効性が示された 近年では 参加者の何人かは母国の省庁で昇進し 中心的なリソース パーソンとなっている SEAMEO の教育協力の有効性 1965 年の設立以来 SEAMEO は加盟国間の協力を継続し 地域の能力向上のために研修や研究を続けてきた SEAMEO の強みは 加盟国間の教育協力を奨励し向上する組織構造にある SEAMEO がこのような協力を継続できたのは有効であったからであり SEAMEO の組織の次のような特徴が有効性に寄与してきたと考えられる それぞれの加盟国が自国の強みをシェアしながら 他の加盟国のプログラムに介入することなく SEAMEO の成功に貢献している 各国が協力の恩恵を受けている SEAMEO センターのプログラムの立案や実施に関して ( 省庁レベルからセンターレベルまで ) 関係者の様々なレベルで定期的に協議が持たれている このような SEAMEO の会議のユニークな特徴は 有効性の向上に役立っており トップダウンとボトムアップの双方向から情報が伝わっている 事務局が十分な資金で運営され SEAMEO の活動の調整や 今後の開発計画の支援をしている 教育大臣からの権限委譲によって SEAMEO のプログラムが効果的に実施できる 外部機関が二国間協力や多国間協力を通じて加盟国と協力をするのを 地域機関としての SEAMEO が支援している 4

第 9 回国際教育協力日本フォーラム文部科学省東京 2012 年 2 月 7 日 ウィ ホック チェア東南アジア教育大臣機構理数科教育センター

東南アジア教育大臣機構 (SEAMEO) 公認の国際機関として1965 年 11 月 30 日設立 教育 科学 文化を通じて東南アジア地域の協力を促進し 正義 法の支配 人権および基本的自由を推進することを目的とする

SEAMEO 加盟国 ブルネイ ダルサラームカンボジアラオスインドネシアマレーシアミャンマーフィリピンシンガポールタイ東ティモールベトナム

準加盟国 オーストラリア カナダ フランス ドイツ オランダ ニュージーランド スペイン

提携機関 公開遠隔教育国際評議会 (ICDE) 筑波大学 ブリティッシュ カウンシル 連携国 日本

SEAMEO 理事会 (Council) 加盟国の教育大臣で構成 理事は年次会議で 政策や地域的イニシアティブを討議する SEAMEOやSEAMEOの各ユニットが実施するプログラムやプロジェクトの方向性を決める 同組織のプログラムや活動をレビューする

SEAMEO センター 教育 科学 文化の様々な分野で研修や研究を実施する専門機関 それぞれの地域センターにはSEAMEO 加盟国の幹部クラスの教育行政官による運営委員会がある 運営委員会はセンターの運営や予算を検討し 政策やプログラムを決定する 加盟国に20のSEAMEOセンターがある SEAMEO 地域の教育のために 加盟国がセンターを設立し運営している

SEAMEO RECSAM SEAMEO 東南アジア教育大臣機構 RECSAM 理数科教育センター 1967 年に設立 東南アジアにおける理科数学教育の改善を使命とする

研修プログラム 研究 一般コース 国内コース 政策についての情報提供教授法についての情報提供 特別コース ジャーナルの出版 理数科国際会議 (CoSMEd) SEAMEO 青年科学者発掘大会 (SSYS)

RECSAM のプログラムの特色 地域の能力向上をめざす 東南アジアの教育者が主な受益者 同地域から研修コース ( 一般コース ) に参加する教育者に奨学金を提供する プログラムの自立発展性を確保するため 収入源となる活動を実施している ( 例特別コース ) SSYS などの特定のイベントに同地域の開発途上国から参加する教育者に資金的援助を提供する

SEAMEO の教育協力 各加盟国がセンターを設立し 運営し 資金提供する 各センターは それぞれの専門性を生かした分野の活動をする すべての加盟国のために研修を実施する センター間協力

定期的な協議を通じて 研修プログラムの効果と質を確保 協議の場 : 運営委員会 ( すべてのSEAMEO 加盟国の代表者からなる ) センター長会議 SEAMEO 高官会議 SEAMEO 理事会

研修プログラムのモニタリング 定期的な評価 : 1. コース実施中に毎週行われるフィードバック 2. コース終了時の評価 3. インパクト調査 ( インパクト調査を一般コースに対して実施 一般コースはSEAMEO 加盟国の参加者を対象としている )

インパクト調査 コース終了後 6ヶ月時点でインパクト調査を実施 回答者 :RECSAM 一般コース参加者 3つの調査項目 : 適用性 妥当性 普及 調査結果 : 適用可能 コースは妥当 普及は部分的 制約要因 : 時間がない 過密カリキュラム 試験重視のカリキュラム 学級人数が多すぎる インパクト調査の結果を踏まえて 一般コースが修正される予定

TCTP JICA コース 2008 年以来 アフリカの教育者を対象に実施 マレーシア政府 JICA RECSAMの共同事業 プログラムの有効性を確保するために : 1. JICA 職員と協議し 最初にニーズを分析 RECSAMの職員がアフリカ諸国を訪問 2. コース内容は JICA と協議して RECSAM の専門家が立案 3. 参加者が研修で得た新しい知識をどのように認識しているか 事前テスト 事後テストを実施したところ スコアが大幅に伸びており コースの有効性が示された 参加者の何人かは母国の省庁で昇進し 中心的なリソース パーソンになっている

まとめ SEAMEOの有効性は 次のようなコミュニティ内の協力の特徴によって支えられていると考えられる : 各加盟国が自国の強みをシェアしながら SEAMEOの成功に貢献している 各国が協力の恩恵を受けている ( 省庁レベルからセンターレベルまで ) 関係者の様々なレベルで定期的な協議が持たれている 事務局が十分な資金で運営され SEAMEOの活動の調整や 今後の開発計画の支援をしている 教育大臣から権限が委譲され SEAMEOのプログラムが実施しやすい 外部機関が二国間協力や多国間協力を通じてSEAMEO 加盟国と協力をするのを 地域機関としてのSEAMEOが支援している