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特別講演会 バイオエコノミ の潮流について 経済産業省 生物化学産業課 課長 上村昌博氏 主催 公益財団法人 国民工業振興会 共催 公益財団法人 溶接接合工学振興会 日刊工業新聞社 後援 東京商工会議所 本部 品川支部 大田支部 日時 公益社団法人 日本技術士会 平成 30 年 3 月 26 日 ( 月 )14:00~16:00 場所ニューオータニイン東京 3 階おおとりの間 1. 挨拶東京大学名誉教授公益財団法人溶接接合工学振興会理事長野本敏治氏 2. 講師紹介公益財団法人国民工業振興会専務理事公益社団法人日本技術士会参与 名誉金属部会長吉武進也氏 野本敏治東大名誉教授吉武進也専務理事 講師の先生との懇談 1

3. 講演 バイオエコノミーの潮流について 経済産業省生物化学産業課課長上村昌博氏 1) バイオエコノミーの潮流我が国のバイオエコノミー戦略に関する具体的な政策を詳細に解説され 更に バイオベンチャー支援 国家プロジェクトとしての再生医療分野についての現状と今後の方向性についても膨大なスライドデータを用いて詳細に紹介 説明された 講師は 昨年 IoT サイバーセキュリティなど IT 関連分野から担当分野がバイオエコノミー分野に変わられたが バイオエコノミーも IT 関連も共に産業の米とも考えられるとの感触をお持ちである バイオテクノロジー ( 生物工学 ) が生産などに貢献する市場がバイオエコノミー ( バイオ経済 ) と呼ばれ 企業の関心を呼んでいる分野であり 2030 年の OECD 加盟国のバイオ産業市場予測では GDP の 2.7% 約 200 兆円規模になると考えられており これが工業分野の約 4 割を占める大きな市場となると予測されている 2) 生物が生み出す物質生物にしかできない高分子化合物 高機能品としての食品 バイオ医薬品 たんぱく質 酵素 糖類などがある その特徴は 常温 常圧プロセスで 植物だけでも 100 万種類の物質製造が可能で未知の可能性があり 大量に効果的に製造するためには高度な技術が必要である また バイオとデジタルの融合が急速に進行し 生命現象を理解し 生物機能を最大限に活用することが可能になっている すなはち バイオ デジタルの融合が進展し ゲノム解読コストの低減 短時間化により生物情報が安価にデジタル化ができ IT/AI 技術の進化によりゲノム配列と生物機能の関係解明が進みデザインが可能となった デザイン通りに生物機能を合成する技術 ( クリスパーキャス ) が登場し 固有の特性を人工的に付加した生物の作成が可能になっている バイオとデジタルの融合による技術革新が導くバイオエコノミーとして 健康 未病社会 炭素循環社会 革新的素材による成長社会が実現できる可能性があり 植物等の生物を用いた高機能品生産技術の開発事業補助金 が ( 研 ) 新エネルギー 産業技術総合開発機構 (NEDO) 管掌の平成 28~32 年度までの 5 年間事業として 平成 30 年度概算要求額 26 億円が計上されている 3) 経済産業省の施策経済産業省では 様々な業種 企業 人 機械 データなどがつながって AI 等によって 新たな付加価値や製品 サービスを創出 生産性を向上させ 高齢化 人手不足 環境 エネルギー制約などの社会課題を解決し これらを通じて産業競争力の強化ひいては国民生活の向上 国民経済 2

の健全な発展につなげるコネクテッド インダストリーの実現により 技術革新 生産性向上 技能伝承などを通じた課題解決を目指す新たな社会形成を目指している コネクテッド インダストリーの 5 つの重点取組分野を平成 29 年 10 月 2 日に公表しており これは 1) 人と機会 システムが強調する新しいデジタル社会の実現 2) 協力や協同を通じた課題解決 3) デジタル技術の進展に即した人材育成の積極推進を柱としており バイオ 素材 が 5 つの重点取組分野の中の一つとして提唱されており これらを支える横断的な支援策を早急に整備するとしている 産業競争力懇談会 (COCN) バイオ分科会では 経済産業省を中心とした バイオ戦略 策定に具体的な提言として ものづくり 価値創造 資源循環を組み合わせた合成生物工学を核とするバイオテクノリジーをデジタルと融合させ 新機能材創出を実現する基盤を構築し ものづくり技術強化 価値創造 資源循環を実現するための提言をおこなっている 政府レベルのバイオ戦略立案に向けての未来投資戦略 2017(H29.6.9 閣議決定 ) では 生物を活用した機能性物質生産のための産官学による技術開発を推進するとともに 革新的なバイオ素材等による炭素循環形社会や食による健康増進 未病社会の実現等に向け 我が国のバイオ産業の新たな市場形成を目指した戦略を策定し 制度整備も含めた総合的な施策を推進するとし 内閣府総合科学技術イノベーション会議 (CSTI) バイオ戦略検討ワーキンググループにおいて 関係省庁 ( 内閣府 経済産業省 農林水産省 厚生労働省 環境省 文部科学省 内閣官房健康 医療戦略室 ) 及び バイオ戦略検討ワーキンググループ構成員の有識者 (12 名 ) 総合科学技術会議議員(3 名 ) により検討されている 内閣府総合科学技術イノベーション会議における政府の戦略を策定する必要性については 1バイオテクノロジーの急速な進展 2 世界のバイオ市場が 2030 年には約 200 兆円に拡大 3 欧米では政府がバイオエコノミー戦略を産業利用に強力に推進 4バイオベンチャーへの投資等が欧米で先行 5バイオ産業進行に取組む各省が経済成長の観点から政府としてバイオテクノロジーに着目した戦略策定が重要 6 日本バイオ産業人会議が進化を続けるバイオ産業の社会貢献ビジョンを発表 7バイオテクノロジーは人々や社会が抱える問題の解決等 Society5.0 実現に貢献 8バイオテクノロジーの領域は 研究開発から市場投入まで複数の省庁が関与する等の各項目があげられている 4) グローバルバイオエコノミーサミット気候変動枠組条約第 21 回締結国会議 COP21 開催 ( フランス パリ ) に先立ち 第 1 回グローバルバイオエコノミーサミットが 2015.11.25~26 に 80 カ国が参加してベルリンで開催され バイオエコノミーの現状と進行概念の明確化 バイオエコノミーと持続可能な発展 バイオエコノミーによるイノベーション グローバルでのバイオエコノミ の調和と政策の4テーマがプレナリーセッション 3

として討議された 会合でのキーワードは 各国の協力 持続可能社会 循環社会 脱石油資源 COP21 への貢献であった 今年 2018 年には 4/19~4/20 に第 2 回会合が予定されている 5) 医療分野への展開経済産業省としての施策展開は 早期に疾患を発見し治療する先制医療 効果が高く 副作用の少ない個別化医療 失われた臓器等を修復できる再生医療の推進により 健康長寿社会の実現及び産業競争力の向上を図るとされている 現在の医薬品開発は 従来とは異なり 抗体 核酸 再生医療等に手法が変化し 新しいイノベーション方式への転換が必要で バイオテクノロジーの発展により 生物を活用した医薬品が可能になり 医薬品のプラットフォームの種類が拡大しておりその選択や技術開発が重要なテーマになっている バイオ創薬は 新薬操業に向けた潮流があり 従来の知識 経験 勘による方法から 抗体医療等 バイオテクノロジーの発展により 化学ではなく生物を活用した医薬品が可能になり 経済産業省としては 医薬品のプラットフォームの種類が拡大している 新薬創出の手法が大いに変化し 製薬現場では 特に オーファン ( 難病等の需要の少ない ) 分野ではベンチャー企業の寄与が極めて多い現状を 米国の現状を引用 対比されて詳細に解説された 新規ヘルスケア領域では バイオテック ( 創薬型 30 社程度 ) が企業数が多く バイオテック ( 創薬支援型 15 社程度 ) ヘルステック( 数社程度 ) の市場概況を説明された 更に ベンチャー施策について詳述され 研究開発型スタートアップ支援事業 戦略的基盤技術高度化 連携支援事業 中小企業投資株式会社による出資等についても紹介された 6) 再生医療分野経済産業省は 研究開発 産業基盤整備 事業環境整備等で再生医療の産業化にを支援している 再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業 ( 平成 30 年度予算総額 32 億円 ) が公募されており ( 研 ) 日本医療研究開発機構から民間応募企業等に委託される 事業イメージとしては 製造技術開発 評価手法開発 創薬応用促進技術開発である また 神奈川県の再生医療産業化拠点の整備支援 再生医療分野の標準化活動等について言及された 講演終了後 熱心な質疑応答が行われた 4

熱心な講演聴講者の皆様 講演後の質問者の皆様 5

謝辞公益社団法人日本技術士会専務理事 6