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6 エコ暑熱対策への取り組み 県央家畜保健衛生所 藤澤知枝廣田一郎 箭内誉志徳前田卓也 はじめに 東日本大震災などの影響により節電が求められる中 横浜市畜舎巡回 ( 以下 巡回 ) において暑熱対策を推進した 巡回では 3つの暑熱対策を推進したが 個々の農場で機材や労力の制約など 取り組みが進まない理由がある事がわかった そこで これらの課題について 関係機関と連携し 対策を検討 具体策の提案とその効果を検証したので報告する 横浜市畜舎巡回の概要 巡回は 生産者のニーズを把握し的確な防疫対策等を指導するため 平成 20 年度から 毎年 横浜市 横浜農協 県横浜川崎地区農政事務所 県農業技術センター畜産技術所普及指導課 ( 以下 普及 ) 及び当所の5 機関が連携して実施している 巡回では 最新情報の伝達や要望意見の聞き取り 改善事項の指導等を行い 必要に応じ 巡回終了後も担当機関が継続して指導を行っている 平成 23 年 5 月 巡回に先立ち 打ち合わせを行い 23 年度は 夏期の電力不足による計画停電に備えるため 暑熱対策を重点指導項目にすることで意見がまとまり 5 月から6 月にかけ 市内畜産農家 43 戸 ( 内訳 : 牛 24 戸 豚 11 戸 鶏 8 戸 ) を対象に巡回を実施した 巡回では 新しい設備投資を必要とせず 電気に頼らない 環境にやさしいエコ暑熱対策として グリーンカーテン 牛 豚への冷凍ペットボトルを活用したドリップクーリング ( 以下 ペットボトルクーリング ) 畜舎屋根への石灰塗布の 3つの取り組みを推進した エコ暑熱対策の推進結果 1 グリーンカーテン - 32 -

グリーンカーテンは 横浜市が巡回日程にあわせ ゴーヤ ひょうたん 朝顔 雲南百薬の4 種類の苗を用意し 巡回時 実際に苗を見せながら希望した農場へ配布し 取り組みを推進した 牛 6 戸 豚 3 戸 鶏 2 戸の計 11 戸の農場が 畜舎や飼料タンクの日よけ 子牛育成舎の西日対策などに活用した 既にキウイ棚や蔦など植物を活用した対策を実施している農場もあった 2 ペットボトルクーリングペットボトルクーリングは 当所で平成 21 年度に実施した豚での取り組み事例をパンフレット ( 図 1) にまとめ 具体的な方法と効果を説明しながら 牛 豚への取り組みを提案した 豚では 11 農場のうち 既に実施し効果を実感していた農場が5 戸 試してみたいという農場が2 戸と全体の約 6 割が実施に意欲的であった 一方 牛では 24 戸のうち 既に実施していた農場は2 戸 試してみたいという農場が3 戸で 他の約 8 割の農場では牛床が濡れることへの不安等から取り組みが進まなかった 今年の夏はエコ暑熱対策! はじめてみませんか 必要なのは 冷凍庫とペットボトル! 2 万円位で購入 網をしきりに使って 32 本収納可! 自分の畜舎にあった設置方法を考えよう! 冷凍ペットボトルペットボトルを用いたドリップクーリング 例えば 100 円均一で購入した網を 1 半分に切って 2 曲げて 3 結束バンドで固定 設置直後 3 分後 分娩豚房で実施 気温 28 以上で実施 分娩後の母豚の頚部に滴下するよう設置 母豚が嫌な時はよけられるように設置 湿度の上昇をおさえるため換気が大切 さて その効果は? 豚の体表温度 35~38.9 38.9 ペットボトルを準備しよう! 32~38 38 1 空になったペットボトル (2L) に竹串等をいれて 凍らせます 2 授乳豚で餌食いが悪い母豚の上に設置します 竹串を入れて凍らせると 逆さまにしたとき 氷が口をふさぎ水が止まることをふせぎます 26 分後 33~38 38 図 1 ペットボトルクーリングのパンフレット 3 畜舎屋根への石灰塗布 石灰塗布は 機材や労力などの理由により新たに取り組む農場はなかった 以上の推進結果から 取り組みが進まなかった牛へのペットボトルクーリングと石灰塗布について 関係機関と連携し 解決策を検討した - 33 -

課題解決に向けた取り組み ペットボトルクーリング 牛へのペットボトルクーリングの課題は 牛床が濡れることだった 特に酪農家では 牛床が濡れ ることによる乳房炎の誘発を心配していた そこで ペットボトル滴下のイメージと効果を知っても らうため 普及と連携し 平成23年8月25日 一酪農家において ペットボトル滴下中の牛床の濡れ 具合の確認と牛の体表温度の変化を観察した 1 1 冷凍ペットボトル滴下中の牛床の状況 図2 ペットボトルを滴下し 30分後 90分後の牛床の濡れ具合を観察したところ 90分後でもマッ トは湿る程度だった また 平成22年の夏から実施していた畜主の話では こまめな除ふんと送 風により 乳房炎の誘発もなく 問題にはならない事がわかった 滴下直後 開始前 30分 23分後 水滴滴下箇所 42分後 90分 37 36 35 図3 冷凍ペットボトル滴下中の体表温度の変化 図2 冷凍ペットボトル滴下中の牛床の状況 2 冷凍ペットボトル滴下中の体表温度の変化 図3 ペットボトル滴下中の体表温度の変化をサーモグラフィを用いて観察した 滴下直後 37 だ った体表温度は 42分後には35 まで低下した また 平成23年の夏 初めて実施した酪農家か らは 立たなかった牛が 立つようになった という声も聞かれた 以上から 牛へのペットボトルクーリングは 有効な暑熱対策のひとつであると考えられた 今後は 牛へのペットボトルクーリングは こまめな除ふんや送風などの労力をふまえ 夏期の 分娩牛など事故リスクが高い個体への取り組みが考えられた - 34 -

2 石灰塗布石灰塗布は 屋根が老朽化し破損の恐れがあるため屋根に上がっての作業が難しい 石灰塗布のための動力噴霧器を持っていない 家族経営で作業人数の確保が難しいなどの理由により新たに取り組む農場はなかった そこで これらの課題を解決するため 一養豚場において 石灰塗布方法を検討し 塗布後の付着状況を確認した また 豚舎屋根及び石灰塗布前後の豚舎内温度を測定し比較した (1) 石灰塗布方法の検討繁殖雌豚 90 頭規模の養豚一貫経営農場において 母豚舎南側の屋根 60m 2 ( 屋根材 : スレート ) の石灰塗布方法を 巡回の構成メンバーである 5 機関 8 名と検討した 平成 23 年 7 月 12 日 石灰塗布に先立ち 屋根上の枝や落ち葉を掃き 屋根を清掃した 7 月 15 日 石灰塗布を行い 1 老朽化した屋根の破損防止対策 2 動力噴霧器を使用しない塗布方法 3 作業時間 作業人数の3 項目について検討した 1 老朽化した屋根の破損防止対策の検討結果 ( 写真 1) 今回実施した母豚舎のスレート屋根は ところどころ破損しており 自由に作業できる状態ではなかった そこで 梁に沿って板を渡し その上で作業することで破損を防止した また 長い柄を付けたローラーを使用し 屋根に上がらず塗布することも可能だった 2 動力噴霧器を使用しない塗布方法の検討結果 ( 図 4) 今回 ローラー 洗車ブラシ 刷毛 モップ ハンディモップの 5 種類の道具を用い 作業性を比較した それぞれに特徴があり 農場に適した道具を選択することで 効率的に作業できることを確認した 写真 1 老朽化した屋根の破損防止対策 - 35 -

特 徴 欠 点 お す す め 度 ローラー 洗車ブラシ 刷毛 モップ ハンディモップ 長柄を付けても 軽く作業性よい ローラーの大き さは スレートの 波と同じものを 使うと 効率よく 塗布できる ローラーの材質 により石灰乳が のびない事もあ り スポンジ状が おすすめ 一度に多量の石 灰乳が付着し 垂 れずに きれいに 塗布できる むら無くきれいに 仕上がる 長持 ちさせたい時は お奨め 多量の石灰乳が 付着し 広い範 囲が一度に塗布 できる ハンディモップに ジョイントを付け て長柄に装着 操作しやすい つぎ柄がないので 一度に塗れる面 手の届く範囲のみ 積が小さい 塗布 屋根上で自 由に作業できるな らお奨め 屋根上のネジに ひっかかる 平ら な屋根ならお奨 め 一度に塗れる面 積が小さい ジョイントを付け る手間がかかる 図4 動力噴霧器を使用しない塗布方法の検討 道具の比較 ③作業時間 作業人数の確認 塗布作業の目安となる時間を測定するため一部塗り残しておいた箇所について 機材 人数に 制約がある場合を想定し 3mの長柄を装着したローラーで 屋根に上がらず 1人で 塗布した ところ 要した時間は 9平方メートルあたり約40分だった 動力噴霧器で塗布した場合 準備 や使用後は念入りな水洗等片付けにも労力がかかり まとまった時間と人数が必要だが ローラ ーは 準備や片付けに手間がかからず 空いた時間に できる範囲で 気軽に作業できることが メリットと考えられた 1週間後 7月22日 ひび割れ 剥がれ 2 石灰付着状況の確認 図5 石灰の付着状況を塗布後4ヶ月まで確認 した 1週間後の付着状況は 一部で厚塗 4ヶ月後 11月15日 りした箇所はひび割れ ムラのあった箇 所ははがれていたが 全体的に白くきれ いに塗布できていた 石灰塗布後 雨の 日が続いたが 畜主から 今までひどか 図5 石灰付着状況の確認 った雨漏りが無くなった と予期せぬ効 果も聞かれた 塗布から4ヶ月後は 剥がれた箇所もあるが しっかり付着している箇所も多く 残っていた このことから 丁寧に塗布すれば 手作業でも耐久性に問題はないことがわかった - 36 -

(3) 屋根及び豚舎内温度の比較当該農場での石灰塗布の効果を検証するため 屋根及び豚舎内温度を比較した 1 屋根温度の比較 ( 図 6) 9 月 16 日 11 時頃 放射温度計を用いて 屋根の表面温度 屋根の輻射熱 ( 屋根裏温度 ) を測定した この日の横浜地方気象台発表の最高気温は31.7 最低気温は25.3 であった ア屋根の表面温度 屋根の表面温度は 石灰塗布した母豚舎南側の屋根と 塗布していない南に面した母豚舎隣りの肥育舎の屋根を比較した 測定の結果 石灰塗布していない肥育舎屋根は52. 8 もあったが 石灰塗布した母豚舎南側の屋根は26.4 と低く 約 26 の差があった 石灰塗布なし 石灰塗布あり 表面温度屋根裏温度 ( 板張り ) 屋根裏温度 ( スレート ) 母豚舎となりの肥育舎 ( 南側 ) 母豚舎北側 母豚舎北側 35.2 46.7 52.8-26.4-3.9-14.9 母豚舎南側 母豚舎南側 母豚舎南側 26.4 図 6 屋根温度の比較 31.3 31.8 イ屋根の輻射熱 ( 屋根裏温度 ) 屋根裏温度は 石灰塗布した母豚舎南側の屋根裏と 石灰塗布していない母豚舎北側の屋根裏を比較した 測定の結果 石灰塗布していない北側の屋根裏 ( 内側板張り ) は 35.2 だったのに比べ 石灰塗布した南側の屋根裏 ( 内側板張り ) は31.3 と 北側よりもさらに約 4 低下した また 屋根裏の一部板が剥がれたスレート箇所を測定したところ 北側は46.7 だったのに比べ 南側は31.8 と 約 15 の差があった このことから 屋根裏の板張りにも 高い断熱効果があることがわかった 一方で 断熱材のないスレート屋根では 石灰塗布の効果がより大きいと推察された 2 石灰塗布前後の豚舎内温度の比較石灰塗布により 実際に豚がいる空間の温度を検証するため 温湿度カードロガーを用い 塗布前日の7 月 14 日から8 月 31 日まで豚舎内外の温度を測定し 塗布前 7 月 14 日と塗布後の温度を比較した - 37 -

図 7は 気象庁横浜地方気象台発表の平成 23 年 7 月 14 日から8 月 31 日までの天候経過である 点線は 塗布前日の7 月 14 日の最高気温 33.2 を示している 23 年の夏は 7 月下旬から8 月上旬まで涼しい日が続き その後 お盆過ぎまでは真夏 気温 ( ) 38 36 34 32 30 28 26 24 22 20 7/14 7/16 7/15 石灰塗布 33.2 8/11 日照時間 (h) 日照時間平均気温最高気温最低気温 24 22 20 18 16 14 12 10 8 6 4 日が続いた そこで 気象条件が 7 月 14 日と最も近かった 7 月 16 日と 最高気温が 35 を超え この夏唯 18 16 7/14 16 18 20 22 24 26 28 30 8/1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 31 気象庁横浜地方気象台測定 図 7 平成 23 年夏 (7/14~8/31) の天候経過 2 0 一の猛暑日となった8 月 11 日に着目して比較した ア気象条件が最も近かった日の豚舎内温度の比較 ( 平成 23 年 7 月 14 日と7 月 16 日 )( 図 8) 7 月 14 日の気温は 最高 33.2 最低 24.8 平均 28.3 日照時間は13.2 時間 7 月 16 日の気温は 最高 33.2 最低 25.0 平均 28.6 日照時間は13.7 時間で 気象条件に大きな差はなかったが 塗布後 13 時の豚舎内温度は 1.6 低下した イ最も暑かった日の豚舎内外の温度差の比較 ( 平成 23 年 7 月 14 日と8 月 11 日 )( 図 9) 8 月 11 日の豚舎内温度は この夏一番の暑さで塗布前を上回ったため 豚舎内外の温度差を比較した 豚舎内温度がピークとなる13 時の外温度との差は 塗布前が2.1 に対し 塗布後は3. 8 だった 石灰により 外温度上昇に伴う豚舎内温度の上昇が抑えられたと推察した 温湿度カードロガー 温度 ( ) 33 豚舎内 32.6 豚舎外 7/14 豚舎内温度 7/16 豚舎内温度 温度 ( ) 42 40 38 36 34 7 月 714 月 14 日日 ( 塗布前 ( ) 温度 ( ) 8 月 11 日 ( ( 塗布後 ) ) 42 豚舎内 豚舎内 豚舎外 豚舎外 温度差 2.1 40 38 36 34 31 29 31 参考石灰塗布は7 月 15 日 32 30 28 32 30 28 温度差 3.8 27 25 0 時 2 時 4 時 6 時 8 時 10 時 12 時 14 時 16 時 18 時 20 時 22 時 図 8 豚舎内温度の比較 (7 月 14 日と 7 月 16 日 ) 26 9 時 10 時 11 時 12 時 13 時 14 時 7 月 14 日気温最高 33.2 最低 24.8 平均 28.3 日照時間 13.2h 8 月 11 日気温最高 35.2 最低 27.4 平均 30.4 日照時間 11.4h 気象庁横浜地方気象台測定 図 9 豚舎内外の温度差の比較 (7 月 14 日と 8 月 11 日 ) 26 9 時 10 時 11 時 12 時 13 時 14 時 当該農場では この夏 石灰塗布以外にも グリーンカーテン ダクトによるトンネル換気 繁殖雌豚へのペットボトルクーリングなど複数の対策を実施し 事故なく推移した - 38 -

今後 石灰塗布は 機材や労力に制約があっても取り組みやすい小規模農場や子牛の育成舎 また より高い効果が期待できる断熱材のない屋根への取り組みを進めていきたい まとめ 今回 東日本大震災を経験し 夏期の電力不足による計画停電が想定される中 家畜の暑熱被害を最小限に抑えようと 地域の畜産を支援する5つの関係機関がまとまり 暑熱対策を推進した 巡回する中で 農場での取り組みが進まない理由があることがわかり これらの課題を検討し 今後の取り組みへのきっかけとなる解決策を見つけることができた 暑熱対策は 農場毎に畜舎の立地条件や畜舎構造 飼養管理等も様々であり ある農場で得られた効果が別の農場でも同様に期待できるとは限らず 農場毎に効果を検証することが重要であると感じた また 石灰塗布ひとつをとっても 効果があることは広く知られているが 農場によっては実施不可能であったり 最初からできないとあきらめている農場もあり 各農場に即した実施方法の検討が必要である 今後は 各農場での効果の検証 導入基準の設定 労力の軽減などを検討し 各農場で最大限の効果が得られる暑熱対策を推進していきたいと考える - 39 -