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風力発電インデックスの算出方法について 1. 風力発電インデックスについて風力発電インデックスは 気象庁 GPV(RSM) 1 局地気象モデル 2 (ANEMOS:LAWEPS-1 次領域モデル ) マスコンモデル 3 により 1km メッシュの地上高 70m における 24 時間の毎時風速を予測し 2000kW 定格風車の設備利用率として表示させたものです 数値は風車の定格出力 (2000kW) に対して何 % の発電出力が得られるかを示しており 数値が大きいほど 定格出力に近い発電を行っていることになります なお 毎時風速値はもともと 10km メッシュであるため 周囲 10km の平均的な風速を表しており その結果を 1km メッシュの地形標高を用いてマスコンモデルで内挿しています 1 地上 20km 上空 40km メッシュの 3 次元気象データ 2 ( 財 ) 日本気象協会の所有する局地気象モデル (ANEMOS) による 10km メッシュ計算値 3 物理計算は行わず 1km メッシュ地形を用いて質量保存則を満たすように風データを作成する方法 2. 風力発電インデックスの算出方法について風力発電インデックスマップは 季節ごとに風の弱い日 強い日を気象庁の GPV 天気図を参考にして選び 対象日の 9 時から翌日 8 時の毎時風速を局地気象モデル (ANEMOS) の 10km メッシュで計算したものをベースとしています 以下にインデックス作成の手順を示す 1 GPV データの入手 2 10km メッシュ気象計算 (4 ブロック ) 3 1km メッシュ風計算 4 風力発電インデックスの算出 5 マップの作成 図 1 風力発電インデックスマップ作成フロー

1 GPV データの入手 GPV データとは 空間に規則的に配置された格子点上の数値データ 一般を指し 気象庁は 1996 年以降の GPV を一般に配布しています 気象庁 GPV データとしては 1996 年以降の RSM モデル (Regional Spectral Model ) が代表的であり (1996 年以前では JSM; Japan Spectral Model) 日本付近の局地気象モデル計算の初期値としてよく使われています 表 2 は RSM-GPV の概要です 表 2 RSM-GPV の概要 項目 内容 配信回数 1 日 2 回 (00Z, 12Z GMT) データ範囲 東経 120 ~150 北緯 20 ~50 格子間隔 地上 :15 12 ( 約 20km) 上空 :30 24 ( 約 40km) 時間間隔 地上 :1 時間毎 (51 時間先まで ) 上空 :3 時間毎 (24 時間先まで ) 収録層 地上 (950hPa), 925hPa, 850hPa, 700hPa, 500hPa, 400hPa, 300hPa, 250hPa, 200hPa, 150hPa, 100hPa, 70hPa, 50hPa, 30hPa, 20hPa, 10hPa 収録要素 Z ( 等圧面高度 地上の場合は地上気圧 ; 地上 ~10hPa まで ) U, V( 風速の東西成分 南北成分 ; 地上 ~10hPa まで ) T ( 気温 ; 地上 ~10hPa まで ) RH ( 相対湿度 または露点差 ; 地上 ~300hPa まで ) ω ( 上昇流 ; 地上 ~300hPa まで ) R ( 前 1 時間降水量 ) Cld ( 雲量 ) * 1997 年 10 月以前は 950hPa はなし

2 10km メッシュ気象計算 10km メッシュ気象計算は局地気象予報モデル ANEMOS によって計算された予測値になります ANEMOS の概要は表 3 に示すとおりです ANEMOS は H14 年度風況マップ作成時において 2000 年の年平均風速値を計算するモデルとして使用されたモデルです (5km 1km の物理計算を行っています ) 本計算では 計算時間の制約から 全国 4 ブロックを 10km メッシュで計算しています 表 3 ANEMOS の概要 項目基礎方程式 物理過程 数値計算手法 概要 水平風の運動方程式 熱力学方程式 水蒸気保存式 乱流エネルギー方程式 静水圧平衡式 連続の式 大気 地表面のエネルギー交換 地表面温度予報 大気境界層での乱流輸送 放射過程 凝結過程 降水過程 空間差分は中央差分 時間差分は ADI 法 上部境界条件は放射境界条件 側面境界条件は放射境界条件 ( 水平風 ) 移流境界条件( その他 ) 入力条件 客観解析データ ( 気象庁 GPV など ) 標高データ ( 国土数値情報など ) 土地利用データ ( 国土数値情報など ) 積雪深データ ( 国土数値情報 積雪深平年値 ) 海面温度データ ( 客観解析値 neargoos など ) 計算領域 水平スケール 100~1000km 程度 ( 格子間隔 5~10km 程度 ) 鉛直 5000~10000m 程度 ( 格子間隔 20~400m 程度 )

西端経度 ( 度 )= 138.15303 東端経度 ( 度 )= 147.84698 南端緯度 ( 度 )= 38.64893 北端緯度 ( 度 )= 45.85107 図 2 ブロック 1 計算領域 西端経度 ( 度 )= 133.56361 東端経度 ( 度 )= 142.43637 南端緯度 ( 度 )= 32.39507 北端緯度 ( 度 )= 39.60494 図 3 ブロック 2 計算領域

西端経度 ( 度 )= 127.70763 東端経度 ( 度 )= 136.29236 南端緯度 ( 度 )= 29.64344 北端緯度 ( 度 )= 36.85657 図 4 ブロック 3 計算領域 西端経度 ( 度 )= 122.73466 東端経度 ( 度 )= 130.76534 南端緯度 ( 度 )= 22.97313 北端緯度 ( 度 )= 30.19354 図 5 ブロック 4 計算領域

3 1km メッシュ風計算本来であれば風況マップ作成時と同様に局地気象モデル ANEMOS にて 1km メッシュの風を計算することが望ましい しかし 膨大な計算時間が必要とされることから 10kmメッシュの計算結果を用いて簡易的に 1kmメッシュの風を推定しています 1km メッシュの風向 風速は 風況マップ 2 次領域の 1km メッシュ地形データを利用して質量保存則を考慮して風の内挿を行う MASCON モデルを使用しました 4 風力発電インデックスの算出 1km メッシュ化された 1 時間ごとの風向 風速を 大型風車のハブ高度として平均的な地上高 70mの風向 風速に内挿し 風力発電インデックスを算出しました 風力発電インデックスは 24 時間 (9h~ 翌日 8h) の風車の設備利用率 (2000kW 風車を仮定 ) として示したものです 風車の出力曲線は 定格出力 2000kWの異なる 5 メーカの風車出力曲線の平均値を使用しました ( 図 6 のグレー ) 2500 2000 Power(kW) 1500 1000 500 0 0 5 10 15 20 25 30 m/s A B C D E AVE 図 6 仮定した風車の出力曲線 ( グレー ) 5 マップの作成 算出した風力発電インデックスをマップとして作画する 3. 注意点インデックスの使用にあたっては 以下の点にご注意されたい 発電量の目安は 10km メッシュの局地気象モデルによる風速計算結果をベースにしており 局所的な予想よりも 大まかな発電量取得量の目安を示すものです 局地気象モデルによる計算を 4 ブロックで計算し その結果を結合しているため 気象条件によっては計算領域のつなぎ目において やや不自然な分布になる場合があります