2008 年度下期未踏 IT 人材発掘 育成事業採択案件評価書 1. 担当 PM 石川裕 PM ( 東京大学大学院情報理工学系研究科教授 ) 2. 採択者氏名 チーフクリエータ : 加藤淳 ( 東京大学理学部情報科学科学部学生 ) コクリエータ : なし 3. プロジェクト管理組織 株式会社メルコホ

Similar documents
2008 年度下期未踏 IT 人材発掘 育成事業採択案件評価書 1. 担当 PM 田中二郎 PM ( 筑波大学大学院システム情報工学研究科教授 ) 2. 採択者氏名チーフクリエータ : 矢口裕明 ( 東京大学大学院情報理工学系研究科創造情報学専攻博士課程三年次学生 ) コクリエータ : なし 3.

<4D F736F F D208DCC91F088C48C8F955D89BF8F915F8DA196E5504A>

2008 年度上期未踏 IT 人材発掘 育成事業採択案件評価書 1. 担当 PM 田中二郎 PM( 筑波大学大学院システム情報工学研究科教授 ) 2. 採択者氏名チーフクリエータ : 北山朝也 ( 株式会社ソニー コンピュータエンタテインメントソフトウェアプラットフォーム開発部 ) コクリエータ :

目次 はじめに 4 概要 4 背景 4 対象 5 スケジュール 5 目標点 6 使用機材 6 第 1 章 C# 言語 7 C# 言語の歴史 7 基本構文 8 C 言語との違い 9 Java 言語との違い 10.Netフレームワーク 10 開発資料 10 第 2 章 Mono 11 Monoの歴史 1

11 ソフトウェア工学 Software Engineering デザインパターン DESIGN PATTERNS デザインパターンとは? デザインパターン 過去のソフトウェア設計者が生み出したオブジェクト指向設計に関して, ノウハウを蓄積し 名前をつけ 再利用しやすいようにカタログ化したもの 各デ

組込みシステムにおける UMLモデルカタログの実践研究

大域照明計算手法開発のためのレンダリングフレームワーク Lightmetrica: 拡張 検証に特化した研究開発のためレンダラ 図 1: Lightmetrica を用いてレンダリングした画像例 シーンは拡散反射面 光沢面を含み 複数の面光 源を用いて ピンホールカメラを用いてレンダリングを行った

目次 研究目的 背景システム開発について実験および評価結論

使用する前に

Raspberry Pi BF BF BF Raspberry Pi PC USB HDMI OS SD SD OS Raspberry Pi Model B MicroUSB MicroSD OS SD GPIO HDMI USB LAN Raspberry Pi MicroUSB MicroSD

る そこでこの提案書では ウェブデザインをソーシャル化し 創造性 をユーザー間で共有するウェブデザインツールの開発を提案する このプロジェクトでは ウェブデザインにおけるソーシャルクリエイティビティの活用に焦点をあて さまざまな用途で使用できるウェブデザインの作成 編集および共有を支援するウェブアプ

PowerPoint プレゼンテーション

Microsoft PowerPoint - 04_01_text_UML_03-Sequence-Com.ppt

プレポスト【問題】

本当に多機能な情報機器を求めているのか という疑問もある 私は 小さなデバイス単位に機能を分散化し それぞれをインターネットを通して組み合わせることで ユーザーが簡単な操作で自分の望む情報機器を作ることができるようになるのではないかと考えている さらに 小さなデバイスをネットワークにつなぐことにより

Notesアプリが iPadで動くDomino Mobile Apps ご紹介

課題情報シート テーマ名 : 動画中継ラジコンカーの製作 担当指導員名 : 土山博剛実施年度 : 25 年度施設名 : 四国職業能力開発大学校課程名 : 専門課程訓練科名 : 電子情報技術科課題の区分 : 総合制作実習課題学生数 : 1 時間 : 12 単位 (216h) 課題制作 開発のポイント

デザインパターン第一章「生成《

システムインテグレータのIPv6対応

HMD を用いた PT カメラのインターネット遠隔操作芝浦工業大学知能機械システム研究室 HMD(Head Mounted Display) を用いた PT(Pan-Tilt) カメラのインターネット遠隔操作 ユーザマニュアル (ver1.0) 2014 年 10 月 23 日 芝浦工業大学知能機械

Microsoft Word - report_public.doc

力と体力を要する作業である sugatalog は 全身鏡の前で服装の確認をした際に撮影を行い 撮り貯めた写真をトップスとボトムスで合成することで着替えることなく画面上でコーディネートシミュレーションが行えるアプリケーションである 既存のファッションコーディネート支援システムは 洋服だけの写真を利用

Java言語 第1回

アナリシスパターン勉強会 責任関係事例紹介 株式会社オーエスケイ小井土亨 (CBOP COM 分科会主査 ) 2000/07/19 1

ファイル 組織及び個人のタスクリストを ディレクトリ として捉え ファイルには従来のバージョン管理システムと同様に変更履歴を保存する機能を付加する それぞれのディレクトリ間で個別にファイルの同期を取る事で 統合的なタスク管理システムを構築する 複数人のタスクリストを管理する組織側から見れば 一人のタ

ファイナライザを理解する ~ ファイナライザに起因するトラブルを避けるために ~ 2013 年 11 月 25 日 橋口雅史 Java アプリケーションでファイナライザ (finalize() メソッド ) を使用したことがあるプログラマーは多いと思います しかし ファイナライザの仕組みや注意点につ

スライド 1

Oracle Un お問合せ : Oracle Data Integrator 11g: データ統合設定と管理 期間 ( 標準日数 ):5 コースの概要 Oracle Data Integratorは すべてのデータ統合要件 ( 大量の高パフォーマンス バッチ ローブンの統合プロセスおよ

コンテンツセントリックネットワーク技術を用いた ストリームデータ配信システムの設計と実装

ご利用のコンピュータを設定する方法 このラボの作業を行うには 事前設定された dcloud ラボを使用するか 自身のコンピュータをセットアップします 詳細については イベントの事前準備 [ 英語 ] とラボの設定 [ 英語 ] の両方のモジュールを参照してください Python を使用した Spar

Microsoft PowerPoint Java基本技術PrintOut.ppt [互換モード]

情報連携用語彙データベースと連携するデータ設計 作成支援ツール群の試作及び試用並びに概念モデルの構築 ( 神戸市こども家庭局こども企画育成部 千葉市総務局情報経営部業務改革推進課 川口市企画財政部情報政策課 ) データ構造設計支援ツール設計書 2014 年 9 月 30 日 実施企業 : 株式会社ア

SOC Report

Microsoft PowerPoint ppt

C#の基本

Microsoft Word 基_シラバス.doc

プロダクトオーナー研修についてのご紹介

PCL6115-EV 取扱説明書

Microsoft PowerPoint - UML1_2009.ppt

f2-system-requirement-system-composer-mw

データベース 【1:データベースシステムとは】

PowerPoint プレゼンテーション

CLUSTERPROXSingleServerSafe SingleServerSafe ご紹介 2007 年 10 月

スキル領域 職種 : ソフトウェアデベロップメント スキル領域と SWD 経済産業省, 独立行政法人情報処理推進機構

プログラミング入門1

プログラミング基礎I(再)

内容環境... 3 対応 OS の変更... 3 関連アプリケーションの追加... 4 機能追加... 5 グラフ機能... 5 稼働率... 8 サービス一括削除 自動復旧エスカレーションコマンド AWS カスタムメトリックス監視 NRPE 任意監視... 11

平成 29 年度卒業研究 初心者のためのゲームプログラミング用 教材の開発 函館工業高等専門学校生産システム工学科情報コース 5 年 25 番細見政央指導教員東海林智也

Source Insight

Jude を DSL エディタとして使う -Jude API 活用法 年 11 月 14 日稚内北星学園大学東京サテライト校浅海智晴 本日のテーマ Why Jude API What Jude API How Jude API 1

TFTP serverの実装

PowerPoint プレゼンテーション

isai indd

AUTOSAR OS仕様とTOPPERS/ATK2の使い方

(1) プログラムの開始場所はいつでも main( ) メソッドから始まる 順番に実行され add( a,b) が実行される これは メソッドを呼び出す ともいう (2)add( ) メソッドに実行が移る この際 add( ) メソッド呼び出し時の a と b の値がそれぞれ add( ) メソッド

SOC Report

Java Scriptプログラミング入門 3.6~ 茨城大学工学部情報工学科 08T4018Y 小幡智裕

PNopenseminar_2011_開発stack

ホンダにおける RT ミドルウェア開発と標準化活動 株式会社本田技術研究所基礎技術研究センター関谷眞

Microsoft Word - J-jdev_dba_db_developers.doc

12680 情報科学Ⅲ 情報メディア演習 情報機器の操作 [a] 担 当 者 加藤 周一 授 業 形 態 講義 コンピュータはハードウェアとソフトウェアがあって初めて我々に役に 立つ機器となる ハードウェアの原理 ソフトウェアのアルゴリズムに ついて述べる アルゴリズムについては実際に

発表内容 背景 コードクローン 研究目的 4 つのテーマ 研究内容 テーマ毎に, 概要と成果 まとめ 2

PowerPoint Presentation

V8.1新規機能紹介記事

Microsoft PowerPoint - Session4古賀様.ppt

Delphi/400でFlash動画の実装

ETOS 画面の Web 化 / 帳票印刷のオープン化体験お試し変換サービスのご紹介 ACOS-4 システムの業務改善提案

アスペクトの相互作用を解消するアスペクトの提案

<4D F736F F D FC8E448FEE95F1837C815B835E838B C8F92E88B608F912E646F63>

Microsoft PowerPoint - OOP.pptx

1. はじめに 本書は スプリット演算器 MFS2 用コンフィギュレータソフトウェア の取扱方法 操作手順 注意事項などを説明したものです Windows の操作や用語を理解している方を前提にしています Windows の操作や用語については それぞれのマニュアルを参照してください 1.1. MFS

ObjectPartner Pro

スライド 1

Javaの作成の前に

2015 TRON Symposium セッション 組込み機器のための機能安全対応 TRON Safe Kernel TRON Safe Kernel の紹介 2015/12/10 株式会社日立超 LSIシステムズ製品ソリューション設計部トロンフォーラム TRON Safe Kernel WG 幹事

Microsoft PowerPoint - MindStorms.pptx

Prog2_9th

このブログは記事の編集機能は優れているけれど 保存機能がない この検索サイトの検索結果がこっちのサイトの製品検索につながればいいのに といった web 上に頻繁に存在する既存サービスに対する不満を ユーザ側から積極的に組み替えて解決してしまおうという概念とアプリケーションフレームワークです stir

[課題案]

第3部:プログラミング実習

表紙2017

基本情報STEP UP演習Java対策

改訂履歴 改訂日付 改訂内容 2014/11/01 初版発行 2017/01/16 Studuino web サイトリニューアルに伴う改訂 2017/04/14 Studuino web サイトリニューアルに伴うアクセス方法の説明変更 2018/01/22 Mac 版インストール手順変更に伴う改訂

型名 RF007 ラジオコミュニケーションテスタ Radio Communication Tester ソフトウェア開発キット マニュアル アールエフネットワーク株式会社 RFnetworks Corporation RF007SDK-M001 RF007SDK-M001 参考資料 1

PowerPoint プレゼンテーション

居場所わかるくん CMX 連携設定 操作ガイド 2019 年 4 月

製品概要

Microsoft Word - 平野学(詳細).doc

Oracle Business Rules

Microsoft Word - ViSaGeSetupガイド2005.doc

PowerPoint プレゼンテーション

(Microsoft PowerPoint - Java\221\3462\225\224\211\357\224\255\225\\\216\221\227\ ppt)

変更の影響範囲を特定するための 「標準調査プロセス」の提案 2014年ソフトウェア品質管理研究会(30SQiP-A)

Android Layout SDK プログラミング マニュアル

GEC-Java

XNA Framework

Microsoft PowerPoint - RL78G1E_スタータキットデモ手順_2012_1119修正版.pptx


Microsoft Word - Dolphin Expressによる10Gbpソケット通信.docx

PowerPoint プレゼンテーション

Transcription:

2008 年度下期未踏 IT 人材発掘 育成事業採択案件評価書 1. 担当 PM 石川裕 PM ( 東京大学大学院情報理工学系研究科教授 ) 2. 採択者氏名 チーフクリエータ : 加藤淳 ( 東京大学理学部情報科学科学部学生 ) コクリエータ : なし 3. プロジェクト管理組織 株式会社メルコホールディングス 4. 委託金支払額 6,496,266 円 5. テーマ名 matereal: 小型ロボットの簡単な行動デザイン用ツールキット 6. 関連 Web サイト http://matereal.sourceforge.jp/ http://digitalmuseum.jp/software/matereal/ 7. テーマ概要 本提案では 小型ロボットの操作アプリケーションを 個人が簡単な手続きでプログ ラミングできるツールキットの開発を行う 物理的な存在 (material) であるロボットをリ アル (real) と仲の良いソフトウェア (mate) としてとらえ ロボット工学にはそれほど詳しく

ないけれど リアルに飛び出たプログラミングがしたい人たちの要求に応えることを目指す 世界におけるロボット工学の発展は とくにハードウェア開発の面において 日本が牽引してきたと言える ロボットのソフトウェア開発競争についても同様の期待があるだろう しかし ソフトウェア開発に関する専門知識を持たないロボット工学者が主としてロボットの制御用ソフトウェアを開発しているなど状況は芳しくないようだ 一方 近年になってハードウェアの価格が下がり 家庭向けロボットをはじめとする小型ロボットも 現実的な価格で複数種 市販されるようになってきた これらのロボットを メーカーや種類に依らず操作できる一般ユーザ向けのソフトウェア環境があれば 今後のロボットの一般化に大きく貢献するはずだ 学術領域においても ロボットのプロトタイピング環境があれば これまでボトルネックだったソフトウェア開発の多くを省略できて 研究開発を迅速化できるだろう これらの現状を踏まえ ハードウェアとしてのロボット工学ではなく ソフトウェアとしてのロボット工学の観点から開発を進められるツールキット matereal を提案する 期間内に 1. 近年になって普及した安価な PC 用カメラ (Web カメラ ) を用いて環境認識を行い 2. ロボットの行動プログラミングを容易にするツールキットを開発し 開発者向けに API を公開する 3. その際 特定 一台のロボットのみならず 多種 複数のロボットが混合する環境においても同じ動作を実現する 4. かつ これを簡単な設定で安定して動作させる 以上を満足する水準まで開発を進める 8. 採択理由 LEGO Mindstorm NXT, NetTansor, Roomba など複数のロボットを制御するためのプログラミングインターフェイスを開発しようという提案である WEB カメラによるロボットの位置情報も取得するためのライブラリも附属される 適切なライブラリ群が提供されることにより 新たなプログラミング環境が構築され 利用者市場も開拓される可能性を秘めている 9. 開発目標 本プロジェクトでは 近年登場した比較的安価な家庭用の小型ロボットを簡単に遠 隔操作できる Java 及び Processing 用ツールキットを開発し ソースプログラムを公開 すると共に API を規定する 以下のようなプログラミングを想定する

安価な PC 用カメラ (Web カメラ ) を用いて環境認識を行い ロボットの位置座標からロボットの遠隔操作を行なう 同じプログラムで多種の小型ロボットを同様に操作できるようにロボットの遠隔操作を抽象化し 市販ロボット固有のコマンド体系を隠ぺいする 10. 進捗概要 プロジェクト開始当初より ユーザがオブジェクト指向プログラミングの利点を生かした直感的なロボットプログラミングおよび再利用が可能となるような API 設計に時間を費やした また 既存の同様のロボットプログラミング環境との違いを明確化した サンプルプログラミングを充実させ 提供 API のプログラマビリティの検証も行った ほぼ期待通りの成果を上げたといえる 11. 成果 Material の動作環境を下表に示す OS 開発環境実行環境その他要件模式図 Windows 2000/xp/Vista/7(RC1), Mac OSX Tiger/Leopard, 他 Processing が動作する Linux Java, Processing Java VM と JRE1.5 以降の標準ライブラリロボットとの接続に用いる物理インタフェース (Bluetooth, Ethernet ポート, Serial/Parallel ポートなど )

模式図にある通り Material は 以下の 4 つのハードウェア構成を想定している 1. 指定された OS と実行環境を備えた計算用 PC 2. Web カメラ 3. 対応するクラスの用意された小型ロボット 4. ロボットなどに貼りつけて位置検出に使う ARToolKit マーカー ロボットの位置検出用に ARToolKit マーカーを用い Web カメラによりロボットの位 置情報を得る ロボット位置情報を必要としないアプリケーションでは これらは必要 としない Service material において ロボットの挙動は Service インターフェイスの実装クラスとして定義される Service インターフェイスは start(), stop(), pause(), resume() などのメソッドを持っている material システムにより Service インターフェイスを持つインスタンスの start メソッドが周期的に呼び出される 複数の Service を同一周期で実行するのではなく グループ化して異なる周期で Service の run メソッドが呼び出されるように ServiceGroup というインターフェイスを提供している ( 下図 ) Service インターフェイスの組み込み実装クラスとして以下の 2 つを紹介する (1) Camera Camera は動画像のキャプチャを行い画像を配信するサービスである 画像を配信するインターフェイス ImageProvider に加え スクリーン座標系と世界座標系の変換関数を与えるインターフェイス CoordProvider を実装している このサービスを用いると簡単にカメラ映像を PC 上のウィンドウに出せるほか 次に説明するサービス MarkerDetector のソースとして割り当ててマーカーを検出することもできる また クリックされた位置の世界座標系における座標値なども簡単に取得できる (2) MarkerDetector MarkerDetector は ARToolKit を用いたマーカー検出器を用い Camera など

ImageProvider の実装クラスが提供する画像の中でマーカーの位置と傾きを取得するサービスである 後述する Entity とマーカーの対を登録すると スクリーン座標系で Entity の検出位置を教えてくれる マーカーの検出結果を描画する補助機能もある Behavior ロボットの振る舞いを決めるのが Behavior インターフェイスであり Service インターフェイスを継承する Behavior とロボットの実体との関連づけは動的に行なわれる Behavior には assigntorobot というメソッドが用意されている ユーザは Behavior の assigntorobot を呼び出すときにロボットオブジェクトを引数に渡す Behavior は ロボットオブジェクトとの間で上記図に示すようにロボットが持つ可動部分を制御する権利を要求し (requestresource) 以降 定期的にロボットの可動部分を制御する ロボットの振る舞い記述を容易にするために下図に示す通りの Behavior クラス階層を提供している 下図に示す通り ロボットの座標を取得するメソッドが定義される LocationBasedBehavior インターフェイスおよびその抽象実装クラスである LocationBasedBehaviorAbstractImpl を用意している また ロボットの移動として DrawLine RotateTo VectorBehavior などの抽象クラスを提供している

Robot ロボットやマーカーを付した物体を表す Entity とそれを保持する EntityHolder が提 供されている Entity の階層を以下に示す ロボットは Robot インターフェイスの実装として ロボットの種類ごとに個々のクラスで定義される ロボットの部品は Resource というインターフェイスの実装として ロボットの内部クラスで定義される 例えば irobot 社の Roomba というロボットは 下図に示す通り差動車輪を表すインターフェイス DifferentialWheels の独自実装 RoombaDifferentialWheels を内部クラスとして保持する Roomba クラスとして定義される プロジェクト期間中に開発した市販ロボットのためのクラスは NetTansor LEGO Mindstorms NXT Roomba である 12. プロジェクト評価 当初目標であった家庭用の小型ロボットを簡単に遠隔操作できる Java 及び Processing 用ツールキットである Material が実現された Web カメラ画像によるロボットの位置検出と その情報によるロボットの移動を制御するデモプログラムを作成し最終成果報告会でデモすることができた ほぼ期待通りの成果を上げたといえる プログラミングの容易性 拡張性 記述能力などを評価して より記述性の高いシステムに育てていくことを期待する

13. 今後の課題 まず ソフトウェアならびに API 仕様書を公開し 一般ユーザに使用してもらうことが直近の課題である そして ユーザからのフィードバックを得ながら システムの不具合ならびに API の問題点を洗い出す必要がある さらに Material を使ったアプリケーションの充実とロボット動作の高度化を支援するクラス群の整備が必要であろう