体幹部定位放射線治療の技術的問題点 ~ 動体追跡照射における体幹部定位放射線治療 ~ 北里大学病院江川俊幸 1 1
動体追跡照射 RTRT Real-time Tracking Radio Therapy Gold Marker 1.5mm RTRT SYSTEM MITSUBISHI LINAC MHCL-15TP MITSUBISHI 位置確認透視装置 SHIMADZU 2 2
動体追跡照射とは? 病巣の近傍に金属 ( 金 ) マーカを埋め込み 呼吸による病巣の動きをマーカで捕らえ照射 病巣の動きとマーカの動きが同じであることが前提に成り立つ照射 病巣に対しての位置精度が優れる 3 3
原理 ( 迎撃照射 ) 病巣 照射時マーカ位置 計画時マーカ位置 Beam on Beam off 4
動体追跡照射の流れ QA,QC シミュレーション 患者診察 気管支鏡 No Yes RTRT 適応か否か? Yes Yes 金マーカ挿入 マーカ同士の重なりに配慮し 4 個挿入 40 分 ~50 分 位置決め CT 1 日後 MDCT にて撮影 呼気停止 吸気停止撮影 20 分 ~30 分 治療計画 No 不可により No 他の治療 呼吸停止照射 3D 原体照射 分割照射 など No レーザ 治療装置 RTRT システム ビーム方向の確認 線量検証など 60 分 Yes GTV(CTV) 及びマーカ位置の設定 40 分 ~60 分脱落により No マーカ位置確認 SDCT 10 分 RTRT リニアックグラフィーによる位置照合 20 分 RTRT 20 分 ~40 分 5
位置決め 治療計画画像取得 6
計画画像取得 ( 位置決め CT 撮影 ) MDCT(16 列 ) にて撮影安静呼気停止時で全肺野撮影 実際の RTRT 照射時を想定 呼吸性移動評価安静吸気停止時で全肺野撮影 ( 吸気時 呼気時での呼吸性移動を確認 ) 7 7
アイソセンター位置の変化 治療計画時のアイソセンター位置と照射時のアイソセンター位置の比較 ( テーブルポジションより算出 ) 左右方向 頭尾方向 前後方向 A 0.5 6.5 1.3 B 0.7 2.3 5.0 C 5.4 1.9 0.3 D 4.8 17.2 14.5 E 4.3 2.2 11.0 位置決め時は照射時に比べ呼吸性移動が大きい声かけによる合図が原因? 8
呼吸性移動を考慮した位置決め撮影 吸気 呼気 吸気時撮影息を吐いて止めてくださいではなく 赤い所で止めましょうと合図 呼吸量モニタリング装置を使用 照射時の呼吸状態を想定した呼吸管理 患者自らが呼吸量をコントロールできる ( 患者参加型装置 ) 9
治療計画 planning 10
治療計画 基本ビーム 5 門照射 (coplanar3 門 non-coplanar2 門 ) 1200cGy/day 4 回 Total 4800cGy 患側側でビーム処方を基本 例 coplanar ビーム non-coplanar ビーム スターを形成するように計画 11
治療計画 治療計画 : 安静呼気停止時の CT 画像にて Plan 病巣 = GTV (CTV) GTV (CTV) + IM + SM = PTV (IM + SM =1.0cm) PTV+ リーフマージン (5.0mm)= 照射野 PTV の辺縁線量を確保 12 12
治療計画 治療計画装置 Pinnacle 不均質補正にて線量計算 線量計算アルゴリズム CC Convolution 法 (Convolution/Superposition) 計算グリッドサイズ 2.0~2.5mm 13 13
Pinnacle の線量計算アルゴリズム Pinnacle における Convolution はすべて Convolution Superposition 法 1 次線の密度補正と 1 次線が入射した後に発生する散乱線 (2 次散乱 ) の密度補正を考慮して線量計算をおこなう 通常の Convolution 法は 1 次線の密度補正は考慮しているが 散乱線の密度補正が厳密に考慮されていない 散乱線の寄与を考慮する散乱カーネルが密度変化に対して変形されず 水中における均一カーネルを使用する 例えば肺野などのように組織 空気のような密度変化における線量計算が厳密に成されていない Fast Convolve 1 次線および 2 次散乱の密度補正を考慮したコンボリューション スーパーポジション法 Adaptive Convolve に比べ 散乱線を計算する上で考慮する放射線の方向が少ないため Adaptive Convolve に比べて線量計算の精度が落ちる Adaptive Convolve ( 通常の治療計画に使用 ) Fast Convolve に比べ 散乱線を計算する上で考慮する放射線の方向も多く計算され 重畳積分線量計算中において 線量グリッドが 4 点ごとにサンプリングされることで 計算時間が短縮される しかし 4 点ごとのサンプリングでは十分に補間しきれない部分 ( 密度変化が激しい部分など ) に関しては 自動的に CC Convolution に切り替えて 4 点ごとのサンプリングではなく 線量グリッドすべての点がサンプリングされ 線量計算をおこなう CC Convolution 重畳積分線量計算において線量グリッドの補間によるサンプリングではなく 線量グリッドすべての点をサンプリングした線量計算となる 従って すべての線量グリッドをサンプリングすることから 最も精度よく演算されるが 線量計算時間も伸びる 日立メディコ加藤哲裕氏から提供 14 14
動体追跡照射 RTRT 15
RTRT 照射 ( 照射前確認 ) CT 撮影で基準となるマーカ位置を確認 計画時 1 日目 2 日目 3 日目 4 日目 基準金マーカ マーカ位置に変動及び脱落があった場合 基準となるマーカを変更する必要がある 16
マーカ位置の変位やマーカの脱落 治療計画時治療初日治療最終日 4 個 2 個 1 個 17 17
照射直前確認 ( セットアップ位置 ) リニアックグラフィにより アイソセンター位置 ( 骨格系位置 ) の確認をおこなう ( 正面 側面の LG を基準とする ) アイソセンター位置確認後 透視システムにて病巣位置 ( 照射位置 ) を確認をおこなう 18
照射位置確認 ( ファントム例 ) 病巣 位置合わせ 基準マーカ位置 計画時マーカ位置 セットアップ完了! ズレ値の計算 テーブル移動量 19
RTRT の照射位置確認 照射毎ごとに位置を確認 ( 位置合わせ ) をおこなうため セットアップエラーを小さくできる 但し 三次元的な位置合わせは困難 20
QA,QC シミュレーション 21
QA,QC 位置精度に関する QA,QC アイソセンター位置の確認 RTRT の計算精度 線量精度に関する QA,QC 手計算 実測による評価 ( 不均質 均質 ) 出力の変動 照射シミュレーション 22 22
回転中心位置と透視システム中心位置の確認 1 2 1 X X X I.I Gantry Gantry I.I Gantry 2 X 金マーカ I.I I.I X 3 I.I I.I X 4 管球位置 1,2 管球位置 1,3 管球位置 2,4 23
回転中心位置と透視システム中心位置の確認 アイソセンター位置に直径 1.5mm の金球を正確に配置し 全ての透視方向にて撮像し 位置計測機能によって計られる金球の三次元座標が 0±1mm であることを確認 単位 :mm X Y Z 共通垂線 透視位置 12 0.3-0.8 0.1 0.2 透視位置 13-0.2 0.6 0.5 0.4 透視位置 24-0.6 0.0 0.1 0.4 24
透視システムのキャリブレーション 校正用キュービックファントム三次元座標のキャリブレーションをおこない 透視装置から得られる金球の三次元座標が ±1mm 以内であることを確認する 25
線量評価 手計算よる MU 値の評価 測定ベース手計算シート使用し RTPS 算出 MU と比較 不均質補正時 不均質時の effect depth で計算 均質補正変換時不均質から均質に変換し 体厚の depth で線量計算 実測による MU 値の評価 均質 depth および不均質 depth で測定 26 26
線量評価 ( 手計算との比較 ) 任意 5 門 (coplanar3 門 non-coplanar2 門 ) 1200cGy(240cGy 5 門 )/day 4 回 不均質 深さ (cm) AP LPO45 RPO45 IROT90 INF30 5.04 5.15 IROT90 SUP40 4.97 5.01 4.58 Total 4800cGy 計画 MU 288 280 279 294 288 手計算 MU 279 280 278 279 274 線量差 3.1% 0.0% 0.4% 5.1% 4.9% 均質 AP LPO45 RPO45 IROT90 INF30 深さ (cm) 14.78 5.95 5.66 17.28 IROT90 SUP40 14.29 計画 MU 409 283 280 456 401 手計算 MU 411 288 285 458 404 線量差 0.5% 1.7% 1.8% 0.4% 0.7% 27 27
1 門あたり 240cGy 不均質 線量評価 ( 実測との比較 ) AP LPO45 RPO45 IROT90 INF30 IROT90 SUP40 深さ (cm) 5.04 5.15 4.97 5.01 4.58 実測 cgy 250 241 242 255 254 線量差 3.9% 0.5% 0.9% 5.9% 5.5% 均質 AP LPO45 RPO45 深さ (cm) 14.78 5.95 5.66 IROT90 INF30 IROT90 SUP40 17.28 14.29 実測 cgy 239 237 236 241 240 線量差 -0.4% -1.4% -1.5% 0.4% 0.1% 実測は RTPS にて決定した不均質での depth を使用例 :Effect depth3.0cm なら水 3.0cm で測定 28 28
出力の変動評価 動体追跡照射時の出力検証 マーカ マーカの付いた円盤を回転させ 動体追跡照射時の出力をチェックする 29
体幹部定位放射線治療のKey point 動体追跡照射における呼吸性移動の対策治療時の呼吸状態を再現した 治療計画画像の取得( 位置決めCT 撮影 ) 治療計画( 標的設定 ) 患者さまの協力が絶対不可欠 どんな高精度で高額な機器を使用しても 患者さまの協力がなければ体幹部定位放射線治療は成立しない!! 30 30
動体追跡照射における体幹部定位放射線治療 固定具 特に必要なし照射毎に位置の確認ができる 位置決め CT 照射時の呼吸状態を想定し撮影 安静呼気停止時 治療計画 IM と SM を合わせ 1.0cm 照射マージンは 5.0mm 毎回のセットアップと呼吸性移動に合わせた照射 線量計算不均質補正 Convolution/Superposition 法 照射 QA QC 多門照射 (3D) 当院では 5 門にて照射 アイソセンター中心と RTRT システム ( 透視システム ) 中心の一致確認 MU 値の評価 31 31
ご清聴ありがとうございました! E-mail t-egawa@kitasato-u.ac.jp 32 32