資料 5 事故防止に向けた政策動向 平成 29 年 10 月 厚生労働省労働基準局安全衛生部

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過去 10 年間の業種別労働災害発生状況 ( 大垣労働基準監督署管内 ) 令和元年 4 月末現在年別 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31 対前年比全産業 % (6

第12次労働災害防止計画の評価

Microsoft Word 【参考2】平成27年労働災害発生状況の分析

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1. 現状 1

別紙 平成 30 年度安全衛生教育促進運動実施要領 1 趣旨安全衛生教育促進運動は 労働者の安全と健康を守る上で中核となる安全衛生教育についてその重要性を啓発し 実施を促進するため 平成 25 年度から中央労働災害防止協会が主唱し 実施している運動である わが国の労働災害は 関係者のたゆまぬ努力によ

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2 安全衛生教育の実施等 () 6 派遣労働者を雇い入れたときに雇入れ時の安全衛生教育を行 はい いいえ っています () 7 派遣労働者の派遣先事業場を変更するなど 作業内容を変更 はい いいえ したときは 当該派遣労働者に対し 作業内容変更時の安全 衛生教育を行っています ()() 8 6 及び

更には 死亡災害が年々減少傾向をたどる一方 墜落 転落は死に直結する可能性が非常に高いことから他業種にも対策を打つ施策が必要になったことによる このように 墜落 転落災害 を特定災害対策に掲げ 災害の発生防止に力を入れており 各労働局では特に墜落 転落災害の多い建設業に対し 建設現場の一斉監督指導を

2

目次 1 計画のねらい (1) 計画の期間 1 (2) 計画の目標 1 (3) 計画の評価と見直し 1 2 第 12 次労働災害推進計画中の労働災害発生状況 2 3 死亡等重篤な災害の撲滅を目指した対策の推進 (1) 論理的な安全衛生管理の定着と推進 2 (2) はさまれ 巻き込まれ等災害防止を重点

(別添)

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2017年度 施行簿 労働基準局 安全衛生部 安全課分

< 目次 > はじめに 1 1 計画のねらい 1 (1) 計画が目指す社会 1 (2) 計画の期間 目標 1 (3) 計画の評価と見直し 1 2 労働災害の動向と課題 1 (1) 静岡県内の労働災害の推移 1 (2) 業種別の労働災害の動向 2 (3) 年齢別の動向 3 3 重点施策 4 (1) 労

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厚生労働省岩手労働局 Press Release 岩手労働局発表 令和元年 9 月 13 日 照会先 岩手労働局労働基準部健康安全課 課 長 髙橋友行 課 長 補 佐 和野内利幸 ( 電話 ) 年 1 月 ~8 月分 ( 速報値 ) の労働災害発生状況を公表します

中央労働災害防止協会発表

目 次 Ⅰ 第 13 次労働災害防止計画 1 計画のねらい 1 (1) 計画が目指す職場 2 (2) 計画期間 2 (3) 計画の目標 2 (4) 計画の評価と見直し 2 2 第 12 次労働災害防止計画の取組結果 2 3 安全衛生を取り巻く現状と課題 3 (1) 労働災害の発生状況と課題 3 ア建

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エコロジーコミュニティコーポレート カルチャーガバナンス166 労働安全衛生 103-1,103-2,103-3,403-2 中長期目標と実績 主な目標 花王は2020 年にグローバルでトップレベルの安全衛生を満たす企業になることをめざしています 社員 協力会社共に 死亡 機能損失災害 人 休業度数

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近年の状況を見ると 労働災害による死亡者数こそ減少しているものの いまだその水準は低いとはいえず 第三次産業の労働者数の急速な増加や労働力の高齢化もあって 労働災害による休業 4 日以上の死傷者数に至っては かつてのような減少は望めず これまでとは異なった切り口や視点での対策が求められています また

滋賀労働基準協会H29年度事業計画

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安全衛生管理規程作成例

2. 死亡災害の撲滅を目指した対策の推進 林業における伐木等作業の安全対策参照第 13 次労働災害防止計画 (2018~2022 年度 ) 1) 林業における伐木等作業の安全対策と関係団体との連携と取組み 伐木等作業における安全対策のあり方に関する検討会の議論の結果を踏まえ 安全対策の充実強化を図る

JCIA BIGDr( ジェーシーアイエービッグドクター ) 概要 BIGDrとは :The Base of Information Gathering, sharing &Dissemination for risk management of chemical products 事業者の化学品管


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2016年度 施行簿 労働基準局 安全衛生部 化学物質対策課分

職場における熱中症による死傷災害の発生状況 ( 広島労働局 ) 1 熱中症による死傷者数の推移 ( 平成 20 年 ~ 平成 29 年分 ) 過去 10 年間の職場での熱中症による死亡者及び休業 4 日以上の業務上疾病者の数 ( 以下 死傷者数 という ) をみると 年によって差はあるものの 3 人

労災リスクインフォ(第21号)

< 目次 > はじめに 1 1 計画のねらい 1 (1) 計画が目指す社会 1 (2) 計画の目標 1 (3) 計画の評価と見直し 2 2 社会の変化と安全衛生施策の方向性 2 (1) 第三次産業の拡大と労働災害の変化 2 (2) リーマンショックと東日本大震災の影響 3 (3) 非正規労働者等の増

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社会福祉 介護事業における労働災害の発生状況 注 社会福祉施設 には 介護事業や訪問介護等の在宅サービス事業も含まれる ( 次ページ以降も同じ ) ポイント 社会福祉 介護事業における労働災害は 年々増加傾向であり 27 年上半期 (1 月 ~6 月 ) でも前年比 4% 増となった ( 表 1)

雇用の現状_季刊版2014年夏号

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別添 1 安全衛生教育に関する自主点検 集計結果 ( グラフ ) ( 自主点検実施期間 : 平成 28 年 11 月 18 日 ~ 平成 28 年 12 月 16 日 ) 1. 自主点検の回答状況 ( 調査対象 150 事業場, うち 回答あり 73 事業場 ) 自主点検の回答状況 回答あり の事業

足場関係審議会説明資料(当日配布セット版)

(2) 計画期間 2018 年度から 2022 年度までの 5 か年を計画期間とする (3) 計画の目標 山形労働局 県内事業者 労働者等関係者が一体となって 一人の被災者も出さな いという基本理念の実現に向け 以下の目標を計画期間中に達成することを目指す 1 死亡災害全業種を通じての目標死亡災害に

平29・6・13(火) 平成29年度 神奈川県医師会 産業医部会 総会・研修会

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資料 4 建設業における労働安全衛生対策 厚生労働省 安全衛生部

以前 製造業 食料品製造業 畜産食料品製造業

製造業 食料品製造業 畜産食料品製造業

られていますが 労働災害数も建設業や製造業では大幅に減少している一方で この 10 年間で逆に 2 割近く増加している三次産業の労働災害対策として 大規模 多店舗小売りでのバックヤードにおける危険箇所の 見える化 や 社会福祉施設の腰痛対策として介助方法や器具の訪問指導 転倒災害と切れ こすれ災害で

全産業 14,112 人 3.2% 2 か月連続の増加おもな産業厚生労働省群馬労働局 平成 30 年 9 月 28 日 職業安定部職業安定課労働市場情報官 電話 ( 内線 ) 310 有効求人倍率 ( 季節調整値 ) 1.79 倍 全国 10 位 / 全国 1.63 倍 前

参考 1 死亡発生件数の推移 ( 滋賀県建設業 ) 平成 29 年は 3 件発生 前年と同数となった 死亡災害報告によるもの 参考 2 休業 4 日以上の死傷災害発生件数の推移 ( 滋賀県建設業 ) 平成 29 年は対前年比 5.1% の増加 建設業の死傷災害は長期的には減少して きたが 近年では減

( 参考 ) 熱中症による死亡災害の月別 業種別発生状況 ( 22 年 ) 6 月 7 月 8 月 9 月 建設業 製造業 農業 運送業 警備業 2 2 林業 1 1 その他 (2) 時間帯別発生状況

安全管理規程

5) 輸送の安全に関する教育及び研修に関する具体的な計画を策定し これを適確に実施する こと ( 輸送の安全に関する目標 ) 第 5 条前条に掲げる方針に基づき 目標を策定する ( 輸送の安全に関する計画 ) 第 6 条前条に掲げる目標を達成し 輸送の安全に関する重点施策に応じて 輸送の安全を確 保

スライド 1

Ⅲ 計画の目標 13 次防計画では 死亡災害及び休業 4 日以上の死傷災害 ( 以下 死傷災害 といいます ) に関 し それぞれ災害の多い業種や事故の種類 ( 型 起因物 ) を重点とした目標や過労死等の健康障害 防止対策などの労働衛生に関する目標も定めています 1 死亡災害の目標等 死亡災害を減

資料 2 平成 30 年度 第 1 回食品産業戦略会議 食品製造業における労働力不足 克服のためのビジョン検討について 平成 30 年 11 月 2 日 食料産業局

* 目次 * Ⅰ 第 12 次労働災害防止推進画第 1 図第 12 次労働災害防止推進画の目標と実勢 Ⅱ 労働災害の推移 全産傾向第 1 図休災害と災害の推移第 2 図種別労働災害の推移第 3 図事故の型別発生状況第 4 図起因物別発生状況第 5 図年齢別発生状況第 6 図経験期間別発生状況第 7

2012年度 発議文書台帳(施行簿) 労働基準局安全衛生部科学物質対策課分

2 上記 1と同等以上の精度を有する分析方法として以下に掲げる方法 (1) 廃止前の平成 8 年 3 月 29 日付け基発第 188 号 建築物の耐火等吹付け材の石綿含有率の判定方法について の別紙の第 3の3の 位相差顕微鏡を使用した分散染色法による分散色の確認 による定性分析の方法 ( 以下 分

Ⅱ 用語等の説明 今期の状況 来期の状況 前年同期 ( 平成 29 年 4~6 月期 ) と比べた今期 ( 平成 30 年 4~6 月期 ) の状況 前年同期 ( 平成 29 年 7~9 月期 ) と比べた来期 ( 平成 30 年 7~9 月期 ) の状況 前期平成 30 年 1~3 月期 来期平成

以前 製造業 食料品製造業 畜産食料品製造業

平成26年度中小規模事業場安全衛生サポート事業(累計):1ページ

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Ⅱ 用語等の説明 今期の状況 来期の状況 前年同期 ( 平成 28 年 4~6 月期 ) と比べた今期 ( 平成 29 年 4~6 月期 ) の状況 前年同期 ( 平成 28 年 7~9 月期 ) と比べた来期 ( 平成 29 年 7~9 月期 ) の状況 前期平成 29 年 1~3 月期 来期平成

同期間中の死亡災害についてみると 起因物別では 物上げ装置 運搬機械 が 14 件 事故の型では はさまれ 巻き込まれ 又は 激突され に分類される災害が合計で 14 件となっており いずれも全体の 7 割を占めています また 多くみられる災害としては 1 動力クレーン等を使用した作業での荷との接触

contents 平成 30 年度版 はじめに第 13 次労働災害防止推進計画の概要 安全関係 1 岐阜県内における労働災害発生状況 2 業種別労働災害発生状況 3 平成 29 年事故の型別で見る労働災害発生状況 4 平成 29 年起因物別で見る労働災害発生状況 5 平成 29 年死亡災害事例 P1

重点事項ごとの具体的取組 (1) 死亡災害の撲滅を目指した対策の推進 建設業における墜落 転落災害等の防止 製造業における施設 設備 機械等に起因する災害等の防止 林業における伐木等作業の安全対策等 (2) 過労死等の防止等の労働者の健康確保対策の推進 労働者の健康確保対策の強化 過重労働による健康

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< 目次 > はじめに 1 1 計画のねらい 1 (1) 計画が目指す社会 1 (2) 計画期間 2 (3) 計画の目標 2 (4) 計画の評価と見直し 3 2 安全衛生を取り巻く現状と施策の方向性 3 (1) 死亡災害の発生状況と対策の方向性 3 (2) 死傷災害の発生状況と対策の方向性 5 (3

資料 6-2 第 13 次鉱業労働災害防止計画における 目標設定について ( 案 ) 平成 30 年 2 月 1 日産業保安グループ鉱山 火薬類監理官付

監督実施結果の詳細 工事別 監督実施現場数 (A) 法令違反現場数 (B) 違反率対 (A) うち作業停止等命令現場数 (C) 建築土木その他計 % % % % 4 違反事項の詳細 違反事項類別違反事項数割合内容 安

観観産第 号 平成 29 年 12 月 28 日 一般社団法人全国旅行業協会会長 殿 観光庁参事官 ( 産業政策担当 ) 旅行業法の改正に伴う経過措置について 通訳案内士法及び旅行業法の一部を改正する法律 ( 平成 29 年法律第 50 号 ) により旅行業法 ( 昭和 27 年法律第

JNIOSH-SRR-No.46 JNIOSH-SRR-No.46(06) (06) 図 ミュンヘンにおける足場 図 中桟が 階段 妻側にも設置してある 1 趣 サンフランシスコにおける足場 交さ筋かいの下に下桟が設置してある 旨 足場からの墜落 転落災害の防止については 平成年6月に労働安全衛生規

別添 平成 31 年度における建設業の安全衛生対策の推進に係る留意事項 1 足場等からの墜落 転落防止対策事業者は 建設業における死亡災害のうち 墜落 転落災害が 4 割以上を占めていることから 引き続き墜落 転落災害防止に係る労働安全衛生規則 ( 以下 安衛則 という ) の遵守徹底を図るとともに

いる また 引き続き 過労死等ゼロ 緊急対策 に沿って 企業におけるメンタルヘルス対策の取組の実施を強力に推奨することとしている また 病気を抱えた労働者の治療と仕事の両立支援については 働き方改革実行計画 に基づき 企業の意識改革や企業と医療機関の連携強化 治療と仕事の両立を社会的にサポートする仕

2 みなとみた

2 外国人労働者の属性 (1) 国籍別にみると 中国 ( 香港等を含む 以下同じ ) が全体の 57.4% を占め 次いで フィリピンが 15.0% となっている また ベトナムについては対前年同期比で 62 人 (52.1%) 増加しており 同 181 人 (4.2%) を占めている 図 1 別表

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有害性リスクアセスメント支援ツール BIGDr.Worker のご説明 現在 簡易なリスクアセスメント支援ツールとして厚生労働省からコントロール バンディングが公開されています しかし このツールを用いたリスクアセスメントでは 詳細な作業環境を反映させることができないため 過大評価になる傾向が指摘さ

荷主及び運送業の元請の事業者の皆さまへ 過労運転 過重労働の防止及び安全運行の確保等のために 宮城では 約 1,300 の貨物自動車運送事業場において 約 32,000 人の労働者 ( 出所 : 平成 18 年事業所 企業統計調査 ( 総務省 )) が働いており 貨物自動車運送事業者 ( 以下 運送

働き方改革 魅力ある建設業の構築に向けて 特集 域によっても大きな差があり, 北陸地方や北海道 など一部の地方では平成 28 年 10 月調査の加入率が 80% を超えているのに対し, 大都市部のある関東 地方 (55%) や近畿地方 (60%) は低い加入率に 留まっている ( ) 建設マネジメン

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26公表用 栃木局版(グラフあり)(最終版)

外国人労働者の雇用実態に関するアンケート調査結果 速報版 平成 30 年 12 月 山形県商工労働部 1. 調査目的 県内における外国人労働者の実態等について調査を実施し 今後の外 国人材の活用施策の検討材料とする 2. 調査期間 平成 30 年 10 月中旬 ~11 月中旬 3. 調査対象 方法

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企業 メリット : 1 労働者が社内では得られない知識 スキルを獲得することができる 2 優秀な人材の獲得 流出の防止ができ 競争力が向上する 3 労働者が社外から新たな知識 情報や人脈を入れることで 事業機会の拡大につながる 留意点 : 1 必要な就業時間の把握 管理や健康管理への対応 労働者の職

平成22 年 11月 15日

利用者のために 1. この労働災害概況は 山口県下の全産業の労働災害発生状況並びに建設業における労働災害の推移と現況を紹介するとともに 課題を明らかにしたものである 2. 統計表及び死亡災害事例は 山口労働局作成にかかるもので 年次は暦年 ( 1 月 ~12 月 ) を示す 3. 統計表中の死傷者数

広労発基 第 1 号の 2 平成 31 年 3 月 6 日 別記関係団体の長 殿 広島労働局長 平成 31 年 STOP! 熱中症 クールワークキャンペーン の実施について 平素から労働行政の運営に格別の御理解と御協力をいただき厚く御礼申し上 げます さて これまで 職場における熱中

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建設業における総合的労働災害防止対策の基本的考え方 建設業の特徴は重層下請構造の下 所属の異なる労働者が同一場所で作業する形態であり 短期間に作業内容が変化するという事業の性質から 工事現場における元方事業者による統括管理の実施 関係請負人を含めた自主的な安全衛生活動の推進を基本に 工事現場を管理す

< 参考資料 > 海外の規制について 規制内容や化学物質の分類については各規制により立法背景が異なるため 便宜的に記載した 一部精査中の情報を含む

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資料 5 事故防止に向けた政策動向 平成 29 年 10 月 厚生労働省労働基準局安全衛生部

職場における死亡災害撲滅に向けた緊急要請 (1/2) 労働災害の発生件数は 労使の皆様をはじめ 関係各位のご尽力により長期的には着実に少してきており 特に死亡者数は 昨年は2 年連続で過去最少となりました しかしながら 休業 4 日以上の死傷者数は 昨年は前年より増加し 平成 29 年も少傾向がみられない状況です また 平成 29 年は死亡災害が夏場に急増し 対前年比で9.6%(8 月末現在 ) の増加となっております この傾向が続けば 死傷災害 死亡災害ともに前年に比べ増加という極めて憂慮すべき事態も十分想定されます 特に 8 月単月では 死亡災害は 前年同月比 57.1% の大幅な増加となっており ここ最近発生した死亡災害を個別にみると 基本的な安全管理の取組が徹底されていないことによるものが多数見られ 企業の景況感が改善する中 人手不足が顕在化し 安全衛生管理体制がおろそかになっている状況が懸念されます 一方 第 12 次労働災害防止計画では 死亡災害 死傷災害ともに平成 24 年比で平成 29 年までに15% 以上少させることを目標としていますが 平成 29 年度が最終年度であり 上記の労働災害発生状況を踏まえると 相当の危機感を持って労働災害防止対策に取り組む必要があります 1

(2/2) 労働災害は本来あってはならないものであり 特に死亡災害の撲滅を目指した不断の取組が必要です また 労働災害のない職場づくりは 人材を確保 養成し 企業活動を活性化する上でも 大きなメリットをもたらします 事業者の皆様におかれましては 死亡災害の撲滅及び労働災害全体の少に向け 基本的な安全活動の着実な実施 確認という原点に立ち返って企業の安全衛生活動を今一度総点検していただくよう要請いたします その上で 労使の皆様をはじめ 関係者が一体となって以下の取組を徹底し 労働災害防止に努めていただきますよう 併せて要請いたします 1 安全作業マニュアルの遵守状況を確認するなど 職場内の安全衛生活動の総点検を実施すること 2 安全管理者 安全衛生推進者 安全推進者等を選任し その職務を確実に遂行させるなど 事業場の安全管理体制を充実すること 3 雇入れ時教育等を徹底するなど 効果的な安全衛生教育を実施すること 平成 29 年 9 月 22 日 厚生労働省労働基準局 安全衛生部長田中誠二 2

労働災害発生状況 ( 平成 29 年 1 月 ~8 月の速報値 ) 死亡災害 +49 人 (+ 9.6%) 休業 4 日以上の死傷災害 +600 人 (+0.9%) 600 500 400 300 200 100 ( 人 ) ( 人 ) 508 人 39 20 109 155 557 人 42 27 112 186 53 69 132 121 その他 林業 製造業 建設業 陸上貨物運送事業 小売業等 70,000 60,000 50,000 40,000 30,000 20,000 10,000 65,885 人 66,485 人 3,684 3,598 956 770 15,150 15,133 8,576 8,566 8,003 8,319 29,516 30,099 その他 林業 製造業 建設業 陸上貨物運送事業 小売業等 0 0 H28 H29 H28 H29 出典 : 死亡災害報告 出典 : 労働者死傷病報告 3

事故の型別労働災害発生状況 ( 平成 29 年 1 月 ~8 月の速報値 ) 死亡災害 557 人 前年同期比 +9.6% 休業 4 日以上の死傷災害 66,485 人 前年同期比 +0.9% 爆発 火災 8 人 (+3 人 ) 爆発 火災 81 人 ( 5 人 ) 高温 低温物との接触, 24, 4% 崩壊 倒壊, 36, 6% 激突され, 53, 10% その他, 89, 16% はさまれ 巻き込まれ, 93, 17% 墜落 転落, 155, 28% 交通事故 ( 道路 ), 107, 19% 交通事故 ( 道路 ), 4,232, 6% 切れ こすれ, 4,488, 7% その他, 14,207, 21% 動作の反動 無理な動作, 8,423, 13% はさまれ 巻き込まれ, 8,306, 13% 転倒, 15,590, 23% 墜落 転落, 11,239, 17% 出典 : 死亡災害報告 出典 : 労働者死傷病報告 4

業種別死亡災害発生状況 ( 平成 29 年 1 月 ~8 月の速報値 ) 508 139 41 82 109 全産業 557 149 53 93 107 その他 爆発 火災 5 人 8 人 (+60%) 激突され はさまれ 巻き込まれ 交通事故 ( 道路 ) 109 33 8 2 製造業 ±0% +300% 13 11 15.4% 112 33 16 ±0% 16 6 8 爆発 火災 2 人 6 人 (+200%) その他 崩壊 倒壊 高温 低温物との接触 激突され 墜落 転落 155 39 10 16 14 建設業 186 44 18 19 24 その他 はさまれ 巻き込まれ 崩壊 倒壊 交通事故 ( 道路 ) 137 155 墜落 転落 +2.7% 37 38 はさまれ 巻き込まれ 76 81 墜落 転落 H28 H29 H28 H29 H28 H29 出典 : 死亡災害報告 5

月別死亡災害発生状況 ( 平成 29 年 1 月 ~8 月の速報値と平成 28 年同時期との比較 ) 70.0% 60.0% 57.1% 50.0% 40.0% 30.0% 20.0% 10.0% 0.0% -10.0% 14.1% +10 人 (71 81) 19.5% +15 人 (77 92) -2 人 (71 69) -2.8% -12 人 (71 59) -4 人 (63 59) -6.3% 4.0% +2 人 (50 52) 25.4% +16 人 (63 79) +24 人 (42 66) -20.0% -16.9% -30.0% 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 出典 : 死亡災害報告 6

第 12 次労働災害防止計画に関する状況 (1 月 ~8 月の速報値の比較 ) 目標 死亡災害 平成 24 年よりも 14.7% 少 製造業は同 11.1% 少 建設業は同 20.2% 少 700 680 660 640 620 600 580 560 540 520 500 140 130 120 110 100 90 250 240 230 220 210 200 190 180 170 160 150 653 573 平成 29 年までに 労働災害による死亡者数を 15% 以上少させる ( 平成 24 年比 ) 平成 29 年までに 労働災害による死傷者数 ( 休業 4 日以上 ) を 15% 以上少させる ( 平成 24 年比 ) 618 全産業 564 508 557 126 117 116 製造業 101 109 555 233 196 233 建設業 197 155 5 年で 15% 120 5 年で 5% 112 5 年で 20% 186 186 8,400 8,200 8,000 7,800 7,600 7,400 7,200 7,000 7,900 7,700 7,500 7,300 7,100 6,900 6,700 6,500 6,300 6,100 5,900 5,700 5,500 休業 4 日以上の死傷災害 平成 24 年より 2.2% 少 陸上貨物運送事業は同 4.4% 増加 小売業は同 1.9% 増加 社会福祉施設は同 32% 増加 飲食店は同 12% 増加 7,966 8,044 8,207 70,000 69,000 68,000 67,000 66,000 65,000 64,000 63,000 62,000 61,000 60,000 59,000 58,000 57,000 56,000 55,000 8,043 68,001 全産業 67,007 65,807 65,144 65,885 8,003 小売業 7,394 6,982 陸上貨物運送事業 8,319 5 年で 10% 7,169 7,307 7,222 7,463 7,536 5 年で 20% 5,915 4,400 4,200 4,000 3,800 3,600 3,400 3,200 3,000 3,000 2,700 2,400 2,100 1,800 1,500 3,356 66,485 5 年で 15% 3,529 57,801 社会福祉施設 3,678 3,830 4,218 4,431 2,291 2,349 2,385 飲食店 5 年で 10% 3,020 2,474 2,586 2,566 5 年で 20% 1,833 7

力義務発散抑制 保護具 労働安全衛生法令における化学物質管理体系 ( 概要 ) 流通 取扱時 約 7 万物質 663 物質 121 物質 有機溶剤 特定化学物質等 健康診断等の義務 一定の危険 有害性をもった物質務新規化学物質年間約 1,000 件 石綿等の製造禁止物質リラSベDルS表交示付義義務スクアセスメント義務努力義務8 物質努力義務努力義務RA結果に基づく措置努 物質数は H29.10.1 時点 121 物質 は 安衛令別表第 9 等 (663 物質 ) の数え方とあわせており 省令 ( 有機則 特化則等 ) の数え方とは一致しない 約 7 万物質 は労働安全衛生法上の名称公表物質の概数 8

危険有害性情報の伝達と RA 原材料のメーカー輸入業者 安全データシート (SDS) --------------------- --------------------- 化学物質 事業場 原材料 製造 取扱い方法の決定 危険有害性の特定 リスクの見積もり リスク低措置の検討 実施 ( 局排設置 保護具着用等 ) 周知 --------------------- --------------------- 9

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公開中の主な化学物質リスクアセスメント支援ツール等 掲載先 / 主体概要 ( 掲載情報 ) 職場のあんぜんサイト ( http://anzeninfo.mhlw.go.j p/user/anzen/kag/ankgc07.htm) 厚生労働省 化学物質リスク簡易評価法 ( コントロール バンディング ) 液体等取扱作業 ( 粉じん作業を除く ) 鉱物性粉じん又は金属性粉じん発生作業 検知管を用いた化学物質のリスクアセスメントガイドブック 爆発 火災リスクアセスメントスクリーニング支援ツール 工業塗装 印刷 めっき作業のリスクアセスメントシート ( 職場のあんぜんサイトからリンク ) ECETOC-TRA サイト 欧州化学物質生態毒性 毒性センター (ECETOC) ( 職場のあんぜんサイトからリンク ) EMKG Software 2.2 the Federal Institute for Occupational Safety and Health(BAuA) ECETOC が開発したリスクアセスメントツール (ECETOC-TRA) EXCEL ファイル ( 英語版 ) をダウンロードして作業方法等を入力することで定量的な評価が可能 日本語マニュアルあり (( 一社 ) 日本化学工業協会が日本語版を提供 ( 会員又は有料利用 ) ) 独安衛研 (BAuA) が提供する定量的評価が可能なリスクアセスメントツール ( 英語版 ) EMKG-EXPO-TOOL(EMKG 2.2 からばく露評価部分を抽出 ) 11