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1 臨海地域における事業継続計画 (BCP) 無線ハンドブック ~ 役立つ無線を確実に利用するために ~ 平成 29 年 6 月臨海地域における災害時の通信手段の確保に関する調査検討会編

2 はじめに 国際貿易港として発達している中部圏の港において 地震 津波等による災害が発生した際には 緊急物資や貨物の輸送機能を早期に回復する必要があることから 港湾機能の回復目標を定めた 港湾機能継続計画 (BCP) を策定しています 一方 コンビナート地域等における企業群においても災害時に経営資源が被害を受け 事業活動に大きな影響が発生した場合でも 産業活動の継続に重点をおいた対策により 短時間で事業が再開できるよう 企業間の枠を超えて連携する 地域連携 BCP を推進しています これら災害時におけるBCPをより確実に実行するためには 関係者間において有効に活用できる無線通信システムを検討 構築することが不可欠となります 臨海地域における災害時の通信手段の確保に関する調査検討会 では 復旧 継続に必要となる無線通信システムの構築について 四日市市にある四日市港及び霞コンビナート地域をモデルケースとして 災害時に求められる無線通信システムのニーズを把握し これらに対応する無線通信システムとして提案した内容をわかりやすく取りまとめた 無線ハンドブック を作成し この度 関係者へ配布することとなりました 本ハンドブックが 災害に強い体制の整備 充実に活用され臨海地域のB CPの運用の一助となれば幸いです 平成 29 年 6 月 臨海地域における災害時の通信手段の 確保に関する調査検討会

3 目次 第 1 臨海地域の概要とBCP( 機能継続計画 ) の取り組み 1-1 四日市港及び霞コンビナートの概要 -------- 1 1-2 四日市港 BCP( 四日市港港湾機能継続計画 ) -------- 3 1-3 地域連携 BCP -------- 4 第 2 無線通信システムの概要 2-1 地上系 無線通信システムの一覧 -------- 6 1 MCA 無線 -------- 8 (1) システムの概要 特徴 (2) 導入事例 2 業務用デジタル無線 -------- 10 (1) システムの概要 特徴 (2) 導入事例 3 デジタル簡易無線 -------- 14 (1) システムの概要 特徴 (2) 導入事例 2-2 衛星系 無線通信システムの一覧 -------- 16 1 イリジウム -------- 18 (1) システムの概要 特徴 (2) 導入事例 2 IsatPhone -------- 20 (1) システムの概要 特徴 (2) 導入事例

4 3 インマルサット BGAN -------- 22 (1) システムの概要 特徴 (2) 導入事例 第 3 災害時に有効な無線通信システムの要件 -------- 25 第 4 災害時に有効な無線通信システムの機能 -------- 26 4-1 地上系 1 MCA 無線 -------- 26 2 業務用デジタル無線 -------- 28 3 デジタル簡易無線 -------- 32 4-2 衛星系 1 イリジウム及びIsatPhone -------- 34 2 インマルサットBGAN -------- 35 参考資料 -------- 38 開催要綱 -------- 38 無線局申請手続等 -------- 40 問い合わせ先 -------- 41 用語集 -------- 42

5 第 1 臨海地域の概要と BCP( 機能継続計画 ) の取り組み 1-1 四日市港及び霞コンビナートの概要 1 四日市港の概要 明治 32 年 (1899 年 )8 月 4 日に開港した四日市港は 主に羊毛 綿花の輸入港として栄え 昭和 27 年 (1952 年 ) には 外国貿易上 特に重要な港として特定重要港湾に指定され 平成 23 年 (2011 年 ) には国際拠点港湾に名称が改められました 四日市港は中部圏における代表的な国際貿易港として また 我が国有数の石油化学コンビナート等を擁するエネルギー供給基地として重要な役割を担っています 昭和 44 年 (1969 年 ) からコンテナ貨物の取扱を開始するなど国際海上輸送のコンテナ化にも迅速に対応し 東南アジア 中国航路をはじめとするコンテナ定期航路網は 年々充実しつつあります - 1 -

6 2 霞コンビナートの概要 霞コンビナートは 三重県四日市市の臨海部に位置する四日市石油化学コンビナートの一角 第 3 コンビナート に位置し 霞ヶ浦地区にある人工島です 三重県と四日市市が設立した四日市港開発事業団によって昭和 42 年 (1967 年 ) から着工しました 当時は 四日市公害問題が社会問題となっていた時期であったことから これまでのコンビナートとは異なり 生活エリアと距離をとり 環境保全の徹底 地域社会との調和 輸送交通の便など 様々な条件を検討し計画され 霞大橋で結ばれた出島形式のコンビナートで 面積は 約 259 万m2を有し 公園設備を整えた緩衝緑地帯も造成しています 霞コンビナートでは ナフサを原材料にしたエチレンを供給するエチレンセンターを中心に パイプラインによりコンビナート内の企業へエチレンやプロピレンなどが供給され 各企業により各種製品が生産されています また 電力 スチーム 窒素 酸素などの共通ユーティリティも各企業に供給しており 消防や排水処理などの共同施設も管理しています 現在は 霞コンビナート内には 14 社の企業が立地しており 14 社の工場長 事業長で構成する 霞コンビナート運営委員会 を組織し 災害時における BCP の検討も行っています 各企業を結ぶパイプライン 上の写真の赤線内のエリアが霞コンビナート地区 - 2 -

7 1-2 四日市港 BCP( 四日市港港湾機能継続計画 ) 四日市港の役割四日市港は 明治 32 年 (1899 年 )8 月の開港以来 中部圏を代表する国際貿易港として発展し 臨海部に我が国有数の石油化学コンビナートを擁するエネルギー供給拠点として また 三重県を中心とした中部圏及び近畿圏の一部を背後地域に抱える外内貿貨物の物流拠点として 原油 LNG 石炭をはじめ多くのバルク貨物やコンテナ貨物等を幅広く取り扱う国際総合港湾として 背後圏産業を物流面から支える役割を担っています また 三重県地域防災計画や四日市市地域防災計画等において 当港は 南海トラフ地震やこれに伴う津波等により被災した場合における 耐震強化岸壁等の整備 供用等を通じて 緊急物資や避難者等の輸送活動や防災活動の拠点としての役割を担っています 四日市港 BCP の基本方針四日市港 BCP は 大規模災害発生時に関係者が連携して的確に対応するために共有しておくべき目標や行動 協力体制を事前に整理 明確化することにより 発災後の緊急物資輸送や通常貨物輸送に係る四日市港の港湾機能の早期回復を図ることを基本方針としています 四日市港 BCP における実施体制 広域連携体制 ( 伊勢湾港湾広域防災協議会 ) 中部地方整備局港湾空港部 四日市港管理組合 中部運輸局 第四管区海上保安本部 愛知県 三重県 名古屋港管理組合 四日市港運協会 ( 一社 ) 三重県トラック協会 財務省名古屋税関 厚生労働省名古屋検疫所 中部地方整備局四日市港湾事務所 ( 一社 ) 日本埋立浚渫協会中部支部 ( 一社 ) 日本海上起重技術協会中部支部 四日市港管理組合 ( 一社 ) 海洋調査協会 中部港湾空港建設協会連合会 全国浚渫業協会東海支部 中部運輸局 ( 一社 ) 三重県建設業協会四日市支部 ( 一社 ) 日本潜水協会名古屋支部 主に応急復旧活動の役割を担う 四日市海上保安部 四日市港運協会 ( 一社 ) 港湾技術コンサルタンツ協会 災害協定団体 伊勢三河湾水先区水先人会 四日市ハーバータグ協議会 中部沿海海運組合 東海北陸旅客船協会 四日市船舶代理店会物流関連団体 農林水産省名古屋植物防疫所 農林水産省動物検疫所中部空港支所 主に物資輸送活動の役割を担う CIQ 東海内航海運組合 全国内航タンカー海運組合東海支部 中部地方整備局三重河川国道事務所 三重県県土整備部 四日市市危機管理監危機管理室 ( 一社 ) 三重県建設業協会四日市支部道路関連 - 3 - コスモ石油 四日市製油所 昭和四日市石油 四日市製油所 凡例 連携 情報共有 指示 要請 燃油関連 一部 協議会メンバーでない組織も含む

8 1-3 地域連携 BCP 南海トラフ地震の発生リスクのある中部地域において 世界屈指のものづくり産業が高度に集積していることから 災害時の産業活動の継続に重点を置いた対策が不可欠との観点により 中部経済産業局では 産業防. 災 減災を目的に一企業の枠を超え 地域 業界等のグループ単位で事業継続力強化を図る 地域連携 BCP( 事業継続計画 ) を普及し 災害に強いものづくり中部の構築により地域産業競争力の強化を目指しています これまでの取り組み 平成 23 年度 : 東日本大震災を受け 東海地域の新たな産業防災 減災を考える研究会 を設立 ここで 地域連携 BCP を提唱 また地域連携 BCP 策定ポイント集 ( 工業団地編 ) を作成 平成 24 年度 : 産業防災研究会 ( 計 3 回開催 ) を設立して地域連携 BC P の有効性について検証 またセミナーを開催して 地域連携 BCP を担う人材を養成 ( 名古屋市 津市で計 4 回開催 ) 平成 25 年度 : 明海工業団地 ( 愛知県豊橋市 ) 霞コンビナート ( 三重県四日市市 ) 尾鷲市 地域企業群の 3 地域で グループ単位で BCM S( 事業継続マネジメントシステム : 事業継続について組織が定めた方針及び目標を達成するために行う PDCA サイクルに基づく継続的な改善活動等 ) を導入するモデル事業を展開 平成 26 年度 : モデル 3 地域の成熟度を高め また周辺地域に普及を図るセミナー等を開催 地域連携 BCP を構築するための取組 手法 をとりまとめるため 研究会 ( 計 3 回開催 ) を設立し 自治体 工業集積地等にアンケート ヒアリング調査を実施 平成 27 年度 ~: 内閣官房国土強靭化室と共同の強靭なサプライチェーン構築のための実態調査や 地域連携 BCP の横展開のための研修会等事業を継続実施 今後 被災リスクの高い伊勢湾を中心とした沿岸地域の企業集積地を中心に地域連携 B CP の取り組みを広げていくために 普及啓発活動を継続するとともに 自治体や地域の産業支援機関との更なる連携も重要となります - 4 -

9 総務省大規模災害時の非常用通信手段の在り方に関する研究会報告書 南海トラフ地震に伴う通信インフラの被害想定 南海トラフ地震に伴う通信インフラの被害想定は 中央防災会議及び各県で試算が行われています 1 まず 被災直後では 固定電話は 最大約 930 万回線が通話できなくなり 東海三県で約 9 割 近畿三府県で約 9 割 山陽三県で約 3~6 割 四国で約 9 割 九州二県で約 9 割の通話支障が想定されています これは 東日本大震災における固定回線の被災規模 ( 約 190 万回線 ) と比較すると より大規模な通信途絶です 一方 携帯電話は 被災直後は輻輳により大部分の通話が困難となると予想されています また 大規模停電の発生に伴い 携帯電話基地局の非常用電源が停止する災害 1 日後には 停波する基地局数が最大になると予想されています 1: 内閣府 ( 防災担当 ) 南海トラフ巨大地震の被害想定 ( 第二次報告 ) ( 平成 25 年 3 月 18 日発表 ) 等 固定電話 最大約 930 万回線が不通 2 東海三県で約 9 割 近畿三府県で約 9 割 山陽三県で約 3~6 割 四国で約 9 割 九州二県で約 9 割の通話支障 携帯電話 被災直後 輻輳で大部分が通話困難 基地局の非常用電源が停止する 1 日後にサービス停止が最大 2: 通信規制による通話支障は考慮していない 県別の被害想定 宮城高知徳島和歌山三重愛知静岡 固定電話の途絶 ( 不通率 ) 92% (34.3 万回線 ) 99% (21.7 万回線 ) 98% (21.3 万回線 ) 100% 91% (40 万回線 ) 90% (120 万回線 ) 90% (75.2 万回線 ) 携帯電話の途絶 ( 不通率 ) 直後 13% 1 日後は 71% に上昇 - - - 直後 39% 1 日後は 89% に上昇 発災 1 日後に約 8 割 直後 11% 1 日後は 82% に上昇 図 : 南海トラフ地震に伴う固定電話 携帯電話の被害予測 - 5 -

10 第 2 無線通信システムの概要 2-1 地上系 無線通信システムの一覧 (1) 項目 MCA 無線 デジタル簡易無線 運営管理者 ( 免許人 ) 利用者 ( 免許人 ) 利用者 ( 免許人 ) 通信の相手方 同一免許人異免許人可 同一免許人 無線従事者資格 不 要 不 要 音声呼出種別 個別 一斉 グループ 個別 一斉 グループ 画像伝送 - 文字伝送 - GPS 位置管理 - 無線機タイプ 据置 車載 携帯 据置 車載 携帯 外部アンテナ接続 ( 携帯を除く ) パソコン接続 ( 携帯を除く ) - カメラ接続 ( 携帯を除く ) - 商用電源給電 ( 据置のみ ) ( 据置のみ ) UPS( 無停電電源装置 ) 接続 ( 据置のみ ) ( 据置のみ ) バッテリー給電 ( 据置 携帯 ) ( 携帯のみ ) 端末機器 20~30 万円 10~15 万円 利用料 2,000 円 ~2,500 円 不 要 通信時間制限 最大 5 分 /1 通話 5 分間 /1 通話 条件により 異免許人と通信を行うことが可能です - 6 -

11 項 目 無線通信システムの一覧 (2) 業務用デジタル無線 A 方式 B 方式 運営管理者 ( 免許人 ) 利用者 ( 免許人 ) 利用者 ( 免許人 ) 通信の相手方同一免許人同一免許人 無線従事者資格第 3 級陸上特殊無線技士第 3 級陸上特殊無線技士 音声呼出種別個別 一斉 グループ個別 一斉 グループ 画像伝送 文字伝送 GPS 位置管理 無線機タイプ据置 車載 携帯 中継据置 車載 携帯 中継 外部アンテナ接続 ( 携帯を除く ) パソコン接続 カメラ接続 商用電源給電 ( 携帯を除く ) ( 据置のみ ) UPS( 無停電電源装置 ) ( 携帯を除く ) ( 据置のみ ) 接続 バッテリー給電 ( 携帯のみ ) ( 携帯のみ ) 端末機器 10~20 万円 10~20 万円 利用料不要不要 通信時間制限制限無し制限無し - 7 -

12 1 MCA 無線 (800MHz 帯デジタル ) (1) システムの概要 特徴 1 システムの概要 MCAとは Multi Channel Accessの略で 複数の通話チャンネルを多数の利用者が共同利用することで 電波の有効利用と利便性を実現した 業務用無線通信システム です 実際の通信は 見通しの良い山頂やビルの屋上に設置した中継局を介して行います 通信のエリアは 中継局を中心に半径 30km~50kmであり 東海地区 ( 岐阜 静岡 愛知 三重県 ) には 中継局が13 局設置されています 中継局と中継局の間は 専用線で接続され 複数の中継局を跨いだ通信が可能です 日本全国に114 局ある中継局も電気通信事業者が提供するIP-VPN 網でさらにネットワーク化しており 北海道から沖縄まで全国の通信エリア内で1 対 1の個別通信を可能としています 2 システムの特徴ア災害に強い中継局は耐震性に優れ それぞれに非常用発電機を備えています 阪神淡路大震災をはじめ 過去の大きな災害時もサービスを継続しています イ通信の種類傘下のすべての無線機と通信を行う 一斉通信 特定の小さいグループの無線機間で通信を行う グループ通信 個別の無線機同士で行う 個別通信 と 必要に応じ 通信メニューを使い分けることができます 災害時など 一斉 グループ通信を行うことで 必要な情報共有が図れます 非常用発電機 中継局 - 8 -

13 (2) 導入事例 四日市市消防本部 導入の経緯四日市市は 三重県の北東部に位置し 四日市港 臨海部を中心として我が国有数の石油コンビナートが形成され 日本経済を支える産業都市として発展 コンビナートでは 大量の石油 石油製品や高圧ガスが取り扱われているため 大規模災害時における消防本部とコンビナート事業所間の連絡手段の一つとして 平成 24 年 10 月にMCA 無線を導入 MCA 無線導入の目的災害時に 消防本部とコンビナート事業所の連絡及び情報収集を確実にするために 既存の電話回線に加え MCA 無線の導入により二重化を図る MCA 無線選定の理由 MCA 無線は 災害時にも通信が確保できることに加えて一斉送信が容易に行えることから コンビナート事業所全体の被害状況を早期に把握し 消火や周知 応援など迅速で総合的な災害対応が可能となるため 通信内容と連絡系統 (1) 消防本部からコンビナート事業所への災害情報提供 消防本部からの情報提供 震度 4 以上の地震が発生した場合の地震 津波情報 大規模地震対策特別措置法に基づく東海地震予知情報 (2) 発災時の通報 連絡 コンビナート事業所から消防本部への被災通報 被災状況 ( 出火 油漏洩等 ) 及び異常事象の通報震度 4 以上の地震発生に伴う施設の停止等の通報 消防本部からコンビナート各事業所への被災状況確認 コンビナート事業所 (42 社 ) 第 1 コンビナートグループ (17 社 ) 四日市市消防本部 第 2 コンビナートグループ (8 社 ) 地震 津波等の発災 グループ通信及び一斉通信による連絡 第 3 コンビナートグループ (14 社 ) その他グループ (3 社 ) 三重北消防指令センター - 9 -

14 2 業務用デジタル無線 (1) システムの概要 特徴 1 A 方式 4 値 FSK 変調方式 FDMA 伝送方式 チャンネル間隔 6. 25kHzの狭帯域デジタル業務無線システムです コンベンショナルモード直接通信 / コンベンショナルモード中継通信 / コンベンショナルIPネットワーク通信 / トランクドモード通信 ( マルチチャンネルアクセス方式 ) など小規模から大規模までのシステム規模に対応でき 多彩な機能を搭載しています コンベンショナルモード直接通信端末間で直接通信を行います 環境によって電波の到達範囲が大きく異なり 通話エリアが変動します 通信インフラ不要で低コスト 被災状況下等でも最後まで使用可能です コンベンショナルモード中継通信電波が良く飛ぶところに中継局を設置し 広範囲の通話エリアを安定して確保できます 通話の有無や通話内容を全無線局で把握できるため 質の高い無線通信が可能です コンベンショナル IP ネットワーク通信複数の中継局を IP 網で接続し 相互に中継することで広域なシステムを構築します トランクドモード通信複数のチャンネルを持つ中継局が自動的に周波数を割り当てるため ユーザーはチャンネルを意識する必要がありません 同時に多くの通話を実現できる周波数利用効率の高い通信方式です デジタル業務無線は 電波が弱くてもノイズが入りにくく通話品質が改善され アナログ FM 無線と同等 ~20% 程度の実使用における通話範囲の拡大を達成しています ( 当社実験比 ) - 10 -

15 2 B 方式世界標準であるDMR(Digital Mobile Radio) 規格に準拠した新しいデジタル無線システムにより 重要な通信に欠かせない品質と堅牢性を備え 安全かつ確実な通信を行うことができます 全世界で既に400 万台以上が運用されており 日本国内においてもDMR 規格が認可され 高機能デジタル無線システムとして期待されています リピータ方式 リピータ ( 中継装置 ) を使用するため 従来の業務用無線システムに比べ携帯機同士の通信エリアが大きく広がります 移動機 ( 携帯 車載 ) 同士の通信エリアが大きく広がります 従来は移動機同士が直接通信を行うため 通信エリアが限られていましたが 基地局 / リピータ ( 中継機能 ) によって 移動機同士の通信エリアを約 2 倍にすることが可能です TDMA 2 多重方式 Time Division Multiple Access 1 つの周波数を時間で分けることにより 2 つの音声またはデータを 同時に送ることができます 周波数の有効利用ができます 送信時間が半分で済むので バッテリーが長持ちします 隣接周波数に及ぼす影響が軽減できます - 11 -

16 (2) 導入事例 1 A 方式 2008 年の発売開始からトータル100 万台以上の販売実績があります 海外では 大型ホテル内通信システム 電波塔設備内通信システム 警察 消防 救急 鉄道 空港 運送 バス タクシーなど 国内では サミットなど国際会議の運営連絡通信用 放送事業用連絡無線 運送 タクシーなど数多くの実績があります 事例 1: スタジアム等のスポーツ施設多くの競技場は広大で 地下や周辺施設などエリア確保が困難な状況が多くあります 中継方式の利用やトランキングシステムの利用によって 複雑な電波環境や多数のユーザーに対応しています 課題 移動局間では電波が届かないところがある 秘匿性を持った通信が欲しい 確実な通信網を構築したい 解決 基地局を設置し 中継運用 無線機をデジタル化して秘匿性向上 専用の周波数で混信が少ない 事例 2: 大学キャンパスとその周辺広大な大学のキャンパスと点在する校舎 建物の中を含め そのいずれの場所でも通信が確保できるようなエリア設計が必要です 高感度なデジタル業務無線の中継局によって実現されました - 12 -

17 2 B 方式 問題 数キロメートル離れた 2 つの工場間での業務連絡と 有事の際 素早い安否状況の把握が必要であった なお 半導体製造装置に影響を与えない無線システムが条件である 解決 IP サイトコネクトを利用して第一工場と第二工場が接続できるようになり 複数のグループで危機管理の情報を共有できるようになった また 半導体製造に影響を与えないように端末の送信出力を抑えた上で 最適な通信エリアの確保を行った 問題 解決 周波数 4 波 4 チャンネルの業務用無線を運用していたが 大規模な競技やイベント時におけるチャンネル数の不足と不感地帯の問題を抱えていた 周波数 4 波で 8 チャンネルの運用が可能となり チャンネル不足の解消と共に トランキング機能の運用により通話の待ち時間も解消された さらにリピータ方式により不感地帯が解消され 施設全体をカバーできるようになり運営もスムーズになった - 13 -

18 3 デジタル簡易無線 ( 免許局 ) (1) システムの概要 特徴 簡易無線局とは 多くの人が様々な用務に使用できる無線局です 限られた周波数を多くの人が共有することが前提です 無線従事者の資格は必要ありません ただし あくまでも申請者の簡易な事務を行うために開設されるものであり目的の範囲を超えての運用はできません UHF 帯の場合 デジタル 65ch が許可となります 主な特徴 簡単操作機械操作に不慣れな方でも安心 無線機の電源を入れ チャンネルを合わせ送信ボタンを押すだけで一斉連絡が可能です ご要望により グループ連絡や個別連絡も可能となる仕様もあります シンプルな機器構成中継装置を利用しない無線機同士の直接通信 他インフラに影響を受けることはありません 小型 軽量 大音量設置及び持ち運びに負担となりません 但し 騒音環境下でも十分な音量を確保しております 機器の種類 据置型 :AC100V で稼働しますが ポータブル電源内蔵型もあります 車載型 :DC13.8V もしくは 26.4V で稼働します 携帯型 : リチウムイオンバッテリー ( 充電式 ) で稼働します < 据置型 > < 車載型 > < 携帯型 > - 14 -

19 (2) 導入事例 FWA( 長距離無線 LAN) を用いた地域情報無線連絡システム 兵庫県明石市 明石市の東と北は神戸市と接し 西は加古川市 稲美町 播磨町と接しています 現在 市の面積は 49.42k m2 周囲は 60.4km です 最長距離は 東西 15.6km 南北で 9.4km あり 東西に細長いまちを形成しています 導入の目的 イベント開催時の雑踏整理や進行業務で利用するためですが 有事の際はすばやく市役所や関連施設と連携を取りたい スタッフ全員に容易に一斉連絡ができるシステムを検討しました 選定の理由 東西約 16km の市全域を通話範囲にできるシステムを ほぼ完全に無線で構築できること 完全に独立したインフラとして作動するので 既存のインフラに何らかの障害が起きても通信でき 通話料も不要な点がポイントとなりました 導入後の使用感 これまでの無線機のイメージと全く違います 10km 以上離れた職員との連絡も すぐ近くにいるようなクリアな音声です デジタルは多機能というイメージもあり 複雑で使いこなすのが大変なのでは とも思っておりましたが あえて使える機能をロックしてもらい 押せば繋がる だけに絞り込んでいます 話せれば良いだけ と割り切ればシンプルに使え またチームを組んで作業をする時には 明らかに携帯電話より便利です 今後はイベントに限った運用だけではなく さまざまなシーンで活用できればと考えております - 15 -

20 2-2 衛星系 無線通信システムの一覧 (1) 項目衛星携帯電話 利用衛星 ( サービス名 ) 衛星の軌道 サービス提供地域 イリジウム ( イリジウム ) 非静止衛星 全世界 インマルサット (IsatPhone インマルサット GSPS) 1 静止衛星 (143.5E 等 ) 全世界 スラヤ 2 ( スラヤ ) 静止衛星 (98.5E 等 ) 欧州 アジア 北アフリカ オセアニア地域 使用周波数 1.6GHz 帯 1.5/1.6GHz 帯 1.5/1.6GHz 帯 音声呼出種別個別個別個別 動画 静止画伝送 - - - データ伝送 TV 会議ーーー 無線機タイプ携帯携帯携帯 外部アンテナ接続 商用電源給電 バッテリー給電 データ速度 ( 下り ) ー - 最大 60kbps 端末機器オープン価格オープン価格約 6 ー 8 万円 月額基本料金 通話料金 通信場所 5,000 円 ( 免税 ) 6,000 円 ( 免税 ) 35 円 /20 秒 ~ 63 円 /20 秒 ( 免税 ) 仰角 8.2 度より上に空が見渡せる場所 4,900 円 ( 免税 ) 4,900 円 ~( 免税 ) 40 円 /15 秒 ( 免税 ) 160 円 / 分 ( 免税 ) 衛星指向方向を遮断するものがない場所 1:IsatPhone は KDDI インマルサット GSPS は NTT ドコモがサービスを行っている 2: システムの概要や特徴等については 41 ページの問い合わせ先へご確認ください - 16 -

21 無線通信システムの一覧 (2) 項目可搬型端末 利用衛星 ( サービス名 ) N-STAR 3 ( ワイドスター ) インマルサット ( インマルサット BGAN) 衛星の軌道 サービス提供地域 静止衛星 (132E 136E) 日本全土 ( 一部離島を除く ) 及び沿岸約 200 海里 静止衛星 (143.5E 等 ) 全世界 使用周波数 2.5/2.6GHz 帯 1.5/1.6GHz 帯 音声呼出種別 個別 個別 動画 静止画伝送 - 動画 データ伝送 TV 会議 ー 無線機タイプ 可搬 船舶 車載 可搬 外部アンテナ接続 商用電源給電 バッテリー給電 ( 可搬のみ ) データ速度 ( 下り ) 最大 384kbps 最大 492kbps 端末機器 オープン価格 オープン価格 月額基本料金 4,900 円 ~( 税別 ) 7,800 円 ~( 免税 ) 通話料金 45 円 /30 秒 ~90 円 /30 秒 ( 税別 ) 別途 通信場所 衛星指向方向を遮断するものがない場所 3: システムの概要や特徴等については 41 ページの問い合わせ先へご確認ください - 17 -

22 1 イリジウム (1) システムの概要 特徴 1 地上から780kmの位置に66 機の衛星が配置され 上空を周回 ( 図 1) 2 66 機の衛星は 北極 南極の両極近くで交差する6つのレーン上に 各レーン11 機ずつ配置され ほぼ全世界をカバー 3 現用衛星以外に予備衛星を配置 現用衛星の障害発生時 代替衛星として使用 ( 図 2) 4 イリジウム イリジウム通信は地上網を介さないため 災害時に影響を受けにくいシステムである ( 図 3) 11 基 6 レーン合計 66 基 現用衛星 (780km) 予備衛星 (648km) 図 1: イリジウム衛星配備状況 図 2: イリジウム現用 予備衛星状況 図 3: イリジウムのネットワーク - 18 -

23 (2) 導入事例 1 防災対策用に本部と拠点に配備 地方自治体 金融 製造など 2 緊急連絡用に本社と役員に配備 商社 金融 鉄道 製造 サービスなど 3 携帯電話のエリア外にて利用 電力 建設 プラントなど 導入事例 <A 消防本部 > 緊急搬送時の救急隊員 救急救命士と病院 医師との通話手段として イリジウム衛星携帯電話を導入 従来は通話が困難だった山間部などの不通エリアを解消しました さらに 持ち運びながらの通話が可能なイリジウム衛星携帯電話により 救急救命時の機動力を向上すると共に山岳救助などにも活用しています イリジウム 9555 衛星携帯電話車載セット による救急搬送通話の概要 - 19 -

24 2 IsatPhone (1) システムの概要 特徴インマルサットサービスは インマルサット静止衛星を通じて インマルサット設備と電話 テレックス データ端末やインターネットを結ぶ通信サービスです 船舶と陸地 あるいは通信設備のない山奥や被災地との通信を可能にします また 赤道上空 36,000km の位置に配置された 4 機の静止衛星で 極地を除く全世界をカバーしています 音声通話から最大 49 2kbps のデータ通信まで幅広く対応 ( 図 1) しています 図 1: 最大 492kbps 使用可能エリア ( ベストエフォート型 ) <IsatPhone> IsatPhone は インマルサット社が提供するグローバル衛星携帯電話です 音声通話はもちろん ショートメッセージ E メール GPS 位置情報などもご利用いただけます 中でも IsatPhone2 は通話時間 ( 最大約 8 時間 ) 待受時間 ( 最大約 160 時間 ) のバッテリーを備えているほか ( 平成 29 年 1 月現在 ) 大きくて見やすいカラー液晶 耐衝撃性 IKO4 防水 / 防じん性 IP65 準拠とタフな設計 手袋のままでもダイヤル可能な大型キーパッドで簡単便利に操作することができます 参考 : インマルサット IsatPhone2 ネットワークイメージ - 20 -

25 (2) 導入事例企業 各種団体 国の行政機関 市町村まで幅広く利用をされており 導入事例はイリジウムと同様な事例です また 屋内設置で利用する場合の導入イメージ ( 図 2) として建物の屋上で南の空に向けて障害物 ( 地形 建造物など ) がない場所へ 屋外アンテナを設置することにより 衛星と電波の送受信ができます 屋内の所定場所に衛星携帯電話インマルサット IsatPhone2 の専用ドッキングステーション IsatDock2 PRO を設置し 屋外アンテナとケーブルで接続します これにより 屋内でも屋外と同様に通話ができます IsatDock2 PRO に付属の電話機では 通常の通話に加え スピーカ通話も可能です さらに モジュラーケーブルを接続することで 一般のアナログ電話機も利用することができます 静止衛星のため 南方の開けた場所にアクティブアンテナを設置する 図 2:IsatPhone2 屋内設置イメージ - 21 -

26 3 インマルサット BGAN (1) システムの概要 特徴インマルサット BGAN (Broadband Global Area Network) サービスは 小型 軽量なインマルサット BGAN 端末を利用し グローバルカバレッジにおいて 音声通信はもちろんのこと 64kbps の ISDN 通信 2 種類の高速 IP パケット通信 ( 最大 492kbps のスタンダード IP パケット通信および最大帯域確保 384kbps のストリーミング IP パケット通信 ) を利用することができます また 音声通信と IP パケット通信を同時に利用することができます 図 : インマルサットのネットワーク 写真 : インマルサット端末 ( 陸地用 ) - 22 -

27 (2) 導入事例 1 官公庁 通信インフラ未整備地域での業務通信にインマルサットBGANで本部と通信する 2 メディア ライブ伝送をインマルサットBGANで伝送する 3 建設プラント 長期にわたる海外の建設現場からの業務通信としてインマルサットBGANで本部と通信する 4 石油 ガス タンクなどのシステム監視用通信としてイヱマルサットBGANを利用し 監視センター間と通信する - 23 -

28 メ モ - 24 -

29 第 3 災害時に有効な無線通信システムの要件 地震 津波等による災害が発生した際には 携帯電話等の通信サービスが途絶 輻輳する事態が想定されます このため 被害状況の把握などの情報伝達 共有体制を維持するために有効な通信手段を確保することが重要となります 災害時における通信は基本的には音声通信となりますが時間の経過とともにより具体的な被害状況を迅速に情報収集するためには音声通信だけでなくデジタル通信の特徴をいかしたデータ通信の活用が有効と考えられます データ通信を行うことでメッセージのやりとりなど関係者間で迅速かつ効率的に情報共有ができるほか 被災現場からの画像伝送により信頼性の高い情報が入手でき より具体的な応急復旧方策を検討することができます さらに 近年 位置情報の精度が向上している GPS 機能を活用することにより PC の地図上でターゲットを瞬時に把握することも可能となり事業復旧力の飛躍的向上にも役立つものと考えられます 以上を踏まえ 災害時の情報伝達 共有体制を堅固に構築するために有効な無線通信システムに追加となる要件として 次のとおり整理しました < 要件 > 災害時の状況変化に対応し柔軟かつ最適な通信エリアが構築できること 一斉送信だけでなく指定したグループを呼び出すことができること デジタル方式でクリアな通信や小型でシンプル操作が可能であること 音声通信だけでなくデータ通信 画像伝送及びGPS 位置管理機能を有すること PCなどのアプリケーションソフトを活用できること 電波が届きにくい屋内においても通信が可能なシステムであること 他の無線局との混信が少ないこと 防塵 防水機能を有し堅牢構造であること 商用電源が途絶えても使用可能であること イニシャルコストやランニングコストが抑えられること - 25 -

30 第 4 災害時に有効な無線通信システムの機能 4-1 地上系地上系無線通信システムにおいては 第 3 に示す要件の多くを満足しております ( 各項目の詳細については 6 7 ページを参照 ) 以下では 各無線通信システムにおける特徴的な機能について 提案をいたします 1 MCA 無線 (800MHz 帯デジタル ) 静止画像伝送システム 監視カメラ デジタルカメラで撮影した画像情報を MCA 回線で伝送するシステムです 通信時間内であれば 複数局からの画像をポーリングにより収集することが可能です 据置型無線機 制御用パソコン 車載型無線機 画像伝送装置 Hix カメラ 車両位置管理システム 車両や人の位置を GPS により取得し 事務所パソコンの地図上に表示します 位置情報の他 予め設定した状態表示 定型メッセージや自由メッセージの送受信が可能です 据置型無線機 車載型無線機 - 26 -

31 テレメータシステム 雨量 機器の稼働状況 道路冠水 ため池等の水位などの情報を自動収集 監視するシステムです 専用線を使用したシステムと比べ 安価に利用できます ( 例 ) 雨量 水位テレメータ 電波式水位計 据置型無線機 データロガー 雨量発信器 据置型無線機 処理装置 避難所情報収集システム被災者 避難者の情報や必要な物資の情報をフォーマットに入力することで 災害対策本部で集中的に管理把握 ( 自動集計 ) するシステムです この他 テキストメッセージの送信などが可能です 据置型無線機 PC 避難所 A 避難所 B 避難所 その他標準機能 操作性 伝言メモ 通話録音 発信者表示 簡易メール 簡単な操作で 一斉通信 個別通信 グループ通信などの通信モードで通話が行えます 相手の無線機に音声メッセージを送信できます 大事な要件を通話中に録音できます あらかじめ登録することにより発信者の名前が液晶表示されます ( 全角 5 文字 ) 24 文字までの簡易なメールの送受信ができます - 27 -

32 2 業務用デジタル無線 (1) A 方式 選択呼出機能指定した相手やグループだけを呼び出すことができます GPS 位置管理機能移動局からの GPS 位置情報を基地局で表示 管理します 送信 一致 送信側無線機の個別番号 + 宛先の番号 ID=65519 送信側無線機の個別番号を表示 不一致 静止画像伝送機能基地局からのポーリングに応答して 各監視局は静止画像を伝送するシステムです 遠隔監視に利用できます 監視局から送られてきた静止画像データを受信し PC へデータを伝送 専用画像ビュワーソフトで表示します 基地局 監視局 PC 無線機 無線機 エンコーダーボックス 監視カメラ 監視局 無線機 エンコーダーボックス 監視カメラ 監視局 無線機 画質 Premium Very Fine Standard 伝送時間約 90 秒約 33 秒約 12 秒 エンコーダーボックス 監視カメラ - 28 -

33 ショートメッセージ機能 PC などを使用して 基地局等から最大 100 バイトの文字列を送信することができます メッセージ文字列は 受信した無線機のディスプレイに表示されます メッセージアプリ 送信 メッセージ LCD 表示 ステータスメッセージ機能相互にあらかじめメッセージを定義しておき メッセージ番号だけを送ることで簡単なメッセージ ( 状態伝送 ) ができます メッセージ文字列は 無線機ディスプレイに表示されます メッセージリストから選んで送信したり ボタンにメッセージを割り当てることも可能です 送信 番号 1 調査現場に到着 2 機材撤収完了 3 作業中 発信者名表示機能送信時に発信者名をテキストで送信することができます 各無線機の電話帳を設定 更新する必要がありません 送信発信者名 テキスト 暗号化通信あらかじめ設定した暗号鍵 ( 番号 ) で暗号化して通信できます 一致した鍵で暗号化を解かないと元の音になりません 鍵不一致暗号鍵で暗号化!!P&$_]! }! 送信側無線機の発信者名を表示 了解! 発話者 鍵一致 了解! エマージェンシー機能以下の方法で緊急状態のメッセージを送信することができます ボタン操作 無線機が倒れたまま動かない ( 所持者が倒れたと判定 ) 受信した無線機は ID と警報音を鳴動し 緊急状態の無線局があることを知らせます ローンワーカー機能一定時間ごとに無線機の操作がないと 無線機は警告音を鳴らし それでも操作がない場合 緊急状態メッセージを送信します 単独での巡回警備や現場作業時に使用します 送信 緊急メッセージ - 29 -

34 (2) B 方式 トランキングシステム複数のチャンネルを共有し 空いているスロットをシステムが自動的に割り当てるため チャンネルを気にすることなく通信ができます 1 グループ A のみ通信中 2 グループ B が通信を始めると空きスロット 2 に自動で割り当てられる 3 グループ C が通信を始めると空きスロット 3 に自動で割り当てられる 4 グループ D が通信を始めると空きスロット 4 に自動で割り当てられる 5 グループ A が通信を終える 6 グループ E が通信を始めると空きスロット 1 に自動で割り当てられる IP 接続機能 (IP サイトコネクト ) 遠隔地との連絡や地下などの不感地帯との通信を可能とするため リピータを IP 接続することにより通信エリアを拡大できます - 30 -

35 GPS 位置管理機能 GPS でターゲットがどこにいるのかを地図上で瞬時に把握 モニターすることが可能です テレメトリー ( 遠隔制御 ON/OFF) ドアやゲートの開閉 ライトの点灯 スプリンクラーの起動などのリモートコントロールが可能です その他の機能 インターラプト ( 通信中の強制音声送信 ) ホットマイク機能 ( 自動音声送信 ) - 31 -

36 3 デジタル簡易無線 FWA を用いた通信システム 特徴 1 独立した自営インフラを利用する安価なシステム他からの影響を受けずに安定した通信が可能です 音声に加え 監視カメラの映像等も送ることができます 特徴 2 簡単でシンプルな運用 / 操作機械操作に不慣れな方でも安心して使用することができます 端末の電源を入れ チャンネルを合わせ送信ボタンを押すだけで一斉連絡が可能です 特徴 3 通話料は不要ランニングコストは電波利用料のみであり 月々の通話料はかかりません 特徴 4 可搬キットに対応可能屋外で対策本部設置に威力を発揮する 可搬キット にも対応しています 無線機器 電源 アンテナ等一式で保管 整備することができます < 可搬キットイメージ > システム構成図 見通し : 最長 10km FWA 通信 < 監視カメラ > < デジタル簡易無線機ネットワーク対応型 > < モニター > - 32 -

37 屋外無線スポット設営システムデジタル簡易無線 FWA Wi-Fi アクセスポイントを組み合わせることにより 短時間で 屋外無線スポットを設営することができます 動画にて確認 監視カメラ 無線機 無線機 移動電源 移動電源 三脚 - 33 -

38 4-2 衛星系衛星系無線通信システムにおいては 衛星指向方向を遮断するものがない場所であれば使用することができます ( 各項目の詳細については 16 17 ページを参照 ) 以下では 各無線通信システムにおいて特徴的な機能について 提案をいたします 1 イリジウム及び IsatPhone 臨海地域の災害時の通話手段として 衛星携帯電話を導入することで以下 3 点のメリットがあります 1 通常の携帯電話網や固定電話網が災害によって通話困難に陥っても 衛星携帯電話を利用することで音声通話を確保できるため 例えば重要拠点などとの通話を確保することができます 2 持ち運びながらの通話が可能な衛星携帯電話により 場所を選ばず利用することができます 3 衛星携帯電話に屋外アンテナ ( オプション ) を取り付けることで 屋内でも衛星経由での通話を確保することができます 屋外アンテナ 重要拠点会議室内 図 : イリジウム屋内設置イメージ - 34 -

39 2 インマルサット BGAN 臨海地域の災害時に既存通信網のバックアップ回線として BGAN を設置することで 災害時に固定電話やインターネット 携帯電話等が利用困難に陥った場合でも BGAN を利用して通信を確保することができます これにより 社員の安否確認や 事務所や設備などの被災状況の確認を早期に行うことができます 1 社外との通信確保 2 社内拠点間の通信確保 - 35 -

40 メ モ - 36 -

41 おわりに 災害時においてBCP( 機能継続計画 ) を実現するためには 被害情報の把握など関係者間での情報伝達 共有体制の確保が不可欠であります そこで 臨海地域における災害時の通信手段の確保に関する調査検討会 では 四日市港及び霞コンビナート地域をモデルケースとして 災害時に有効な通信手段として無線通信システムの要件について検討 整理を行いました 当該地域においては 一部企業が音声による無線システムを導入していますが 災害時においては 被害状況を迅速かつ的確に把握することが求められることから音声通信に加えデジタルの特徴を活かしたデータ通信 画像伝送及び GPS 位置管理機能の活用が有効であると考えます そこで 地上系と衛星系に分け それぞれの無線通信システムの機能を整理し 更に 導入事例を把握した上で 災害時に有効となる既存無線システムの活用方法を検討しました 本件においては 無線通信システムの概要や特徴 そして これらの災害時に有効な活用方法を一つのハンドブックにまとめました 本ハンドブックが 各団体が無線通信システムの導入や活用を検討する上での参考となり 災害時に対応可能なシステムの実現に寄与することを願うものです 平成 29 年 6 月臨海地域における災害時の通信手段の確保に関する調査検討会座長岡田啓検討会メンバー一同 - 37 -

42 参考資料 開催要綱 1 目的国際貿易港として発達している中部圏の港において 地震 津波等による災害が発生した際には 緊急物資や貨物の輸送機能を早期に回復する必要があるため 関係する行政機関 港湾管理者 物流を担う事業者等で構成される港湾 BCP 協議会により 災害発生時に関係者が連携して的確に対応するために共有しておくべき目標や行動 協力体制をとりまとめて整理 明確化し港湾機能の早期回復を図ることを目的とした港湾機能継続計画 港湾 BCP を策定している また 臨海地域の工業団地やコンビナート等の工業集積地に集積している企業は 化学製品メーカーの集積からなる輸送機械産業から日用品に至るまで材料供給としてのサプライチェーンを形成しており 経営資源が被害を受け事業活動に大きな影響が発生した際は 企業間の連携 企業間連携グループと地域の行政との連携など地域一体となって企業の事業継続力 事業復旧力の向上を図るため 地域連携 BCP の取組 検討を行っている これらの機能継続計画 (BCP) の実現に当たっては 関係者間での情報伝達 共有が 不可欠であることから 本調査検討会では 四日市市にある霞コンビナート地域をモデルケースとした臨海地域における災害時の通信手段の確保に必要な無線通信システムの在り方について 情報伝達に有用な無線通信のニーズを把握し 災害対策に有効な無線通信システムを検討 整理することを目的とする なお 検討結果を受け 導入に向けてのハンドブックを策定することを想定している 2 名称本会は 臨海地域における災害時の通信手段の確保に関する調査検討会 と称する 3 検討事項 (1) 災害時に求められる無線通信システムのニーズ把握 (2) 無線通信システムの事例提案 (3) 導入ハンドブックの策定 4 構成及び運営 (1) 別紙のメンバーをもって構成する (2) 本調査検討会には 座長を置く (3) 座長は 委員の互選により選出する (4) その他 本調査検討会の運営に必要な事項は 座長が定めるところによる 5 期間平成 29 年 3 月から平成 29 年 6 月末頃を目途とする 6 その他本調査検討会の事務は 東海総合通信局無線通信部企画調整課において行う - 38 -

43 委員 構成員名簿 別紙 氏名所属 役職 座長岡田啓 国立大学法人名古屋大学未来材料 システム研究所 准教授 赤桐賢治東ソー株式会社四日市事業所総務部総務課課長補佐 篭橋美久一般社団法人全国陸上無線協会東海支部長 中桐 浩司 アイコム株式会社国内営業部東京営業所 2 グループ課長 藤本建二株式会社ジャパンエニックス関西支店長 前嶋 拓 KDDI 株式会社名古屋テクニカルセンターフィールドグループグループリーダー 室博也四日市港管理組合経営企画部施設保全課課長 山田 範人 一般財団法人移動無線センター東海センター利用推進部課長 米田昌司三重県防災対策部防災対策総務課課長 渡川 洋人 株式会社 JVCケンウッド無線システム事業部国内システム開発部シニアマネージャ オブザーバー 氏名所属 役職 嶋田 明彦 経済産業省中部経済産業局地域経済部地域振興課課長 - 39 -

44 項 目 MCA 無線 ( デジタル ) 業務用デジタル無線 デジタル簡易無線 免許申請必要必要必要 無線局の種別 包括免許局 基地局陸上移動局 簡易無線局 ( 免許局 ) 空中線電力 2W 10W 5W 申請手数料 申請書提出先 免許 10,200 円 (7,300 円 ) 再免許 4,800 円 (3,350 円 ) 東海総合通信局陸上課 免許 6,700 円 (4,500 円 ) 再免許 4,950 円 (3,250 円 ) 東海総合通信局陸上課 免許 4,250 円 (3,050 円 ) 再免許 3,350 円 (2,400 円 ) 東海総合通信局陸上課 免許の有効期間 5 年 5 年 5 年 再免許申請期間 定期検査 (5 年毎 ) 電波利用料 ( 年間 / 台数 ) 免許の有効期間満了前 3 ヶ月以上 6 ヶ月を超えない期間内に行う必要があります 不要必要 : 基地局不要 200 円 10,600 円 ( 基地局 ) 600 円 ( 陸上移動局 ) 600 円 ( ) 内の金額は 電子申請の場合の手数料額本表は 各無線システムの一例を記載しています 無線局開局の手続きについては 電波利用ホームページでご案内しています 無線局免許手続き http://www.tele.soumu.go.jp/j/adm/proc/index.htm 電子申請 届出システム http://www.denpa.soumu.go.jp/public/index.html - 40 -

45 問い合わせ先 ( 地上系 ) システム名名称住所 連絡先 MCA 無線 業務用デジタル無線 デジタル簡易無線 一般財団法人移動無線センター東海センター 一般社団法人全国陸上無線協会東海支部 450-0001 名古屋市中村区那古野 1-47-1 TEL052-581-2462 FAX052-569-1700 461-0011 名古屋市東区白壁 1-45 TEL052-955-8710 FAX052-955-8730 問い合わせ先 ( 衛星系 : 主な国内サービス事業者を記載 ) サービス名名称連絡先 イリジウム IsatPhone インマルサット GSPS スラヤ ワイドスター インマルサット BGAN KDDI まとめてオフィス中部株式会社ソリューション中部支社法人営業 2 部 KDDI まとめてオフィス中部株式会社ソリューション中部支社法人営業 2 部 株式会社 NTTドコモドコモワイドスターコールセンター ソフトバンク株式会社国際コールセンター 株式会社 NTTドコモドコモワイドスターコールセンター KDDI まとめてオフィス中部株式会社ソリューション中部支社法人営業 2 部 TEL052-977-3981 TEL052-977-3981 TEL0120-616-360 TEL0088-24-0018 TEL0210-616-360 TEL052-977-3981-41 -

46 用語集 用語 4 値 FSK 変調方式 BCP DMR 規格 FDMA 伝送方式 FWA GPS IP-VPN IP サイトコネクト IP 接続 IP 網 解説 FSK は frequency shift keying の略 搬送波の振幅を一定にして 4 つの周波数を用いてデジタル信号 00 から 11 に対応させて伝送する Business Continuity Plan の略 何らかの障害が発生した場合に重要な業務が中断しないこと または業務が中断した場合でも目標とした復旧時間内に事業が再開できるようにするための対応策などを定めた包括的な行動計画 Digital Mobile Radio の略 DMR は ETSI( 欧州電気通信標準化協会 ) の標準規格 プロフェッショナルユーザー向けに開発され 世界各国の無線 部品メーカーによって導入が進んでいる Frequency Division Multiple Access の略 周波数分割多元接続 電波の周波数帯を複数の帯域に分割することで多元接続を行う無線通信技術 Fixed Wireless Access の略 固定無線アクセスシステム オフィスや一般世帯と電気通信事業者の交換局や中継系回線との間を直接接続して利用する無線システム Global Positioning System の略 全地球測位システム 人工衛星を利用して 利用者の地球上における現在位置を正確に把握するシステム Internet Protocol-Virtual Private Network の略 通信事業者が提供する IP ネットワークを あたかも専用の通信回線のように利用する技術 IP( インターネットプロトコル ) ネットワークで複数の中継装置を接続することにより エリア拡張が可能になる機能 インターネットへの接続方法の 1 つ IP 接続でインターネットとつなげれば インターネットメール ニュース ファイル転送 (FTP) リモートログイン (Telnet) マルチメディア情報の受発信 (WWW) など すべてのインターネットの機能ができるようになる インターネットプロトコル (IP:Internet Protocol) というプロトコル ( 通信規約 / 通信手順 ) によってデータの送受信を行う通信網のことをいい IP ネットワークともいう 出現頁 10 頁 1 2 3 4 37 38 頁 11 頁 10 頁 15 32 33 頁 20 25 26 28 31 頁 8 頁 13 30 頁 30 頁 10 頁 - 42 -

47 用語 解説 出現頁 TDMA 2 多重方式 Time Division Multiple Access の略 1 つの周波数を時間で分割し 2 チャンネルを運用する方式 同時に独立した 2 つのグループ通信が可能となる 11 頁 第 3 級陸上特殊無線技士 無線局を操作するための資格の一つ 陸上の無線局の無線設備で 次に掲げるものの外部の転換装置で電波の質に影響を及ぼさない技術操作が可能 1. 周波数 25,010kHz~960MHz 空中線電力 50W 以下 2. 周波数 1,215MHz 以上 空中線電力 100W 以下 7 頁 テレメーター 遠隔の距離にある地点で測定されたデータを伝送し そのデータ処理 指示 記録を行う機能 伝送手段として無線を用いるものを特に無線テレメータという 27 頁 トランキングシステム 多数の利用者へ同時にアクセスを提供し 空いているチャンネルを探し通信する方式 12 30 頁 ポーリング 通信ネットワークにおいて 周辺の機器などに対して定期的に信号を送信して問い合わせを行い 処理要求の有無を確認する動作のことを言う 26 28 頁 無線 LAN ケーブル線の代わりに電波を使った LAN のこと IEEE802.11 諸規格に準拠した機器で構成されるネットワークのことを指す場合が多い 15 頁 リピータ方式 中継装置が移動局から受信した電波を再送して他の移動局へ届ける方式 移動局間の通信距離が 単一方式と比べ最大 2 倍となり効率の良い運用が可能となる 11 13 頁 - 43 -

48 臨海地域における事業継続計画 (BCP) 無線ハンドブック 発行 : 平成 29 年 8 月編集 : 臨海地域における災害時の通信手段の確保に関する調査検討会 事務局 ( 総務省東海総合通信局無線通信部企画調整課 ) 461-8795 愛知県名古屋市東区白壁 1-15-1 TEL:052-971-9143 FAX:052-971-9395