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292 章角化症 原因不明であるが, 薬剤,C 型肝炎, 歯科金属が誘因となる ことがある. Köbner 現象陽性. 白色線条 (W ウィッカム ickham 線条 ). 病理組織学的には液状変性が認められ, 真皮浅層にリンパ球 の帯状浸潤. 治療は原因の除去, タクロリムス外用, ステロイド外用

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428 章皮膚の悪性腫瘍 表.3 光線角化症の病理所見 図.9 光線角化症の病理組織像とくに表皮下層の細胞に異型性が強くみられる. ではほぼ必発である. 色素性乾皮症の患者では小児期から多発する. 病因慢性的な紫外線刺激によって角化細胞に異常をきたし, 表皮内で異常増殖を始めることによる. 表皮内有棘細胞癌 (squamous cell carcinoma in situ) ととらえられる. 病理所見 6 種類の組織型が知られている ( 図.9, 表.3). 悪性変化は表皮に限局し, 毛孔部および汗孔部は正常のままである. 基本的に表皮下層基底層に異型性がみられる. 真皮に日光弾性症 (solar elastosis) を伴う. 診断 鑑別診断 脂漏性角化症や老人性色素斑などとの鑑別が困難な場合には 生検して確定診断する. 図.101 Bowen 病 (Bowen s disease) 砒素角化症 (arsenical keratosis) 慢性砒素中毒症の皮膚病変の一つであり, 手掌足底に鶏眼様の角化性丘疹が出現し, 多発融合して疣贅状局面を形成する. 体幹などでは, 鱗屑を伴う紅斑が生じることがある. 浸潤癌としての有棘細胞癌に移行することや, 基底細胞癌も合併することがある. そのほか, 慢性砒素中毒症に関連する皮膚病変として,( 多発性 )Bowen 病や砒素黒皮症 ( 雨滴状に色素増強と色素脱失をみる ) がある. また, その他の化学物質から誘発される前癌状態として, 機械油角化症やコールタール角化症などがある. 治療 予後 外科的切除. 凍結療法, 抗悪性腫瘍薬外用 (5-FU, ブレオ マイシン ) など. 一部のものは有棘細胞癌へ移行する. 紅斑の増強, 拡大, 潰瘍形成などを認めた場合は注意を要する. 4.B ボーエン owen 病 表皮内有棘細胞癌の一つ. Bowen s disease 境界明瞭な 1 10 cm 程度の紅褐色 黒褐色局面. 慢性砒素中毒で多発する場合がある. 病理組織学的に表皮全層に異型細胞を認める. 個細胞角化と 多核の異常角化細胞が特徴的. 治療は外科的切除, 凍結療法など.

皮膚の悪性腫瘍 / A. 表皮 毛包系腫瘍 429 図.102 Bowen 病 (Bowen s disease) 症状高齢者に単発する. 円形から楕円形の, 境界が比較的明瞭な直径数 cm 程度の浸潤性局面を形成する. 色調は紅褐色 黒褐色調. 扁平隆起性の局面で, 表面に鱗屑や痂皮を付着し, これを剥離すると紅色のびらん面が露出する ( 図.10). ときに小結節を伴う. 病理所見表皮内有棘細胞癌の病理像を呈する. 過角化や不全角化, 異常角化 ( 個細胞角化 ) および多核の異常角化細胞 (clumping cell) が表皮内に認められ, これら異型細胞が表皮全層にわたって増殖している点が特徴的である ( 図.11). 図.11 Bowen 病の病理組織像個細胞角化および多核の異常角化細胞 (clumping cell) が表皮全層に認められる. 病因 単発性の Bowen 病では病因は不明であることが多い. 露出 部に生じる Bowen 病は紫外線やヒトパピローマウイルスが関与する. 多発性の Bowen 病で砒素摂取との関連性が高い. よって診断には摂取既往の聴取, 育った国, 環境 ( 慢性農薬中毒, Q ケイラー ueyrat 紅色肥厚症 (erythroplasia of Queyrat)

430 章皮膚の悪性腫瘍 汚染井戸水の使用, 集団砒素中毒など ) が重要となる. 日本では砒素を含む農薬は禁止されているが, 普通に使われている国も存在する. 慢性湿疹, 乾癬, 光線角化症, 乳房外ぺージェット Paget 病, 基底細胞癌などと鑑別する. 生検によって確定診断する. 治療 外科的切除が第一選択. そのほか, 抗悪性腫瘍薬外用 (5-FU およびブレオマイシン ), 凍結療法. 予後 放置すると基底膜を破り, 有棘細胞癌に移行することがあ る. このように進行したものを Bowen 癌という. はくばん 5. 白板症 leukoplakia 定義粘膜や皮膚粘膜移行部に発生した白色斑ないし局面.WHO たいせんでは 臨床的, 組織学的に他のいかなる疾患 ( 扁平苔癬やカンジダ症など ) にも特徴づけられない, 白色調の斑ないし局面 と定義されている. しかしながら皮膚科領域では, 他疾患によるものも含めて臨床的に白板症と呼ぶことが多い. 本症のなかには有棘細胞癌に移行するものがあるため, 前癌病変として重要である. 図.12 白板症 (leukoplakia) 症状 50 歳代以上の男性に多く, 喫煙者に好発する. 口腔や口唇に最も多く, 舌, 乳頭, 外陰部粘膜 ( 亀頭, 膣, 肛囲など ) にも生じる. 境界明瞭で軽度の浸潤を伴う局面であることが多く, 種々の形態をとる ( 表面平滑, 角化性, 疣贅状, 乳頭状, びらんなど, 図.12). 紅色肥厚性の病変は悪性化の可能性が高い (erythroleukoplakia). ( 口腔 ) 毛状白板症 (oral)hairy leukoplakia 病因 診断 鑑別診断タバコなどの慢性刺激によって細胞の異形成が生じ, 白色病変を形成すると考えられている. 臨床的に白色局面をつくる疾患として, 扁平苔癬, 円板状エリテマトーデス, 梅毒, カンジダ症, 外傷, 白色海綿状母斑,GVHD などが鑑別診断としてあげられる. これらの鑑別のために生検は必須である.

皮膚の悪性腫瘍 / A. 表皮 毛包系腫瘍 431 病理所見 過角化があり, 表皮は肥厚する. 角化細胞に種々の程度の異 型性や異常角化を認める. 治療 外科的切除, 抗悪性腫瘍薬外用, レーザー療法, 凍結療法な どを行う. 禁煙を徹底する. 6. ケラトアカントーマ keratoacanthoma 顔面や手背に突然単発し, 急速に発育して噴火口型のドーム状結節を形成する. 数か月の経過にて自然消退する. 病理組織学的には有棘細胞癌に酷似するため, 有棘細胞癌との鑑別を要する. 一般的に切除生検する. 症状 90% 以上は顔面に生じ, 中年以降の男性に好発, ほとんどの例で単発性である. 若年者の症例では, 色素性乾皮症を背景に多発することが多い. 小さな丘疹として初発するが, 数週間で急激に増大して直径 1 2 cm 程度のドーム状ないし半球状結節を形成する ( 図.13). 弾性軟 硬, 色調は常色 暗紅色で境界明瞭. 一定の大きさまで急速に増大した後は, 中心部から角化をきたして大きな角栓を入れ, 噴火口状の外観をとる (keratin-filled crater). 数か月のうちに自然消退, 後に瘢痕を残す. 図.131 ケラトアカントーマ (keratoacanthoma) 噴火口状のドーム状結節が特徴. 病因 長年の紫外線曝露, ヒトパピローマウイルス感染, 喫煙, タ ール, 外傷などが関与すると考えられる. 表.4 ケラトアカントーマと有棘細胞癌の臨床症状からの識別

432 章皮膚の悪性腫瘍 a b c d 図.132 ケラトアカントーマ (keratoacanthoma) の自然歴 ( 発症から自然消退まで ) a: 初発時, 直径 1 cm 大の半球状隆起性腫瘍として初発.b: 徐々に増大.c: さらに増大し中央部が自潰.d: 無治療でわずかの瘢痕を残して治癒. 病理所見腫瘤の中央部では著しい過角化がみられ, これをカップ状に包むように辺縁部に有棘細胞が増殖する ( 図.14). 有棘細胞は明るい好酸性胞体を有し, 異型性をもち有棘細胞癌に類似する. 腫瘍細胞は真皮に浸潤しているようにみえることが多く, 腫瘍下にはリンパ球や好中球の浸潤がみられる. 本症を有棘細胞癌の特殊型と考える説と, 偽癌 (pseudocarcinoma) と考える説の両方がある. 鑑別診断有棘細胞癌との鑑別を要する ( 表.4). 有棘細胞癌は腫瘤辺縁と正常組織との境界が不明瞭であり, 形態も非対称性で浸潤傾向が強い. また, 発育速度は有棘細胞癌のほうがはるかに遅い. 基底細胞癌や伝染性軟属腫との鑑別も要する. 図.14 ケラトアカントーマの病理組織像腫瘤の中央部には著明な過角化がみられ, これをカップ状に包むように辺縁部に有棘細胞が増殖する. 治療診断には病巣の全体的構築の把握が重要であり, 可能であれば全摘 ( 切除生検 ) するほうがよい. 部分生検で病理組織学的な診断がつけば, 経過観察により自然消退を待ってもよい. 放射線照射, ステロイド, ブレオマイシンの外用もしくは局注, レチノイド内服, 凍結療法なども行われる.