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に表現したものということはできない イ原告キャッチフレーズ1は, 音楽を聞くように英語を聞き流すだけ/ 英語がどんどん好きになる というものであり,17 文字の第 1 文と12 文字の第 2 文からなるものであるが, いずれもありふれた言葉の組合せであり, それぞれの文章を単独で見ても,2 文の組合

審決取消判決の拘束力

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平成  年 月 日判決言渡し 同日判決原本領収 裁判所書記官

基本的な考え方の解説 (1) 立体的形状が 商品等の機能又は美感に資する目的のために採用されたものと認められる場合は 特段の事情のない限り 商品等の形状そのものの範囲を出ないものと判断する 解説 商品等の形状は 多くの場合 機能をより効果的に発揮させたり 美感をより優れたものとしたりするなどの目的で

異議の決定 異議 東京都荒川区東日暮里 3 丁目 27 番 6 号商標権者株式会社エドウイン 東京都渋谷区広尾 商標異議申立人 EVISU JAPAN 株式会社 東京都港区西新橋 1 丁目 18 番 9 号西新橋ノアビル4 階朝比 増田特許事務所代理人弁理士朝比

意匠法第十七条の三意匠登録出願人が前条第一項の規定による却下の決定の謄本の送達があつた日から三月以内にその補正後の意匠について新たな意匠登録出願をしたときは その意匠登録出願は その補正について手続補正書を提出した時にしたものとみなす 2 前項に規定する新たな意匠登録出願があつたときは もとの意匠登

法第 20 条は, 有期契約労働者の労働条件が期間の定めがあることにより無期契約労働者の労働条件と相違する場合, その相違は, 職務の内容 ( 労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度をいう 以下同じ ), 当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して, 有期契約労働者にとって不合

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年 10 月 18 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 3 被控訴人 Y1 は, 控訴人に対し,100 万円及びこれに対する平成 24 年 1 0 月 18 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 4 被控訴人有限会社シーエムシー リサーチ ( 以下 被控訴人リサーチ

平成 23 年 10 月 20 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 23 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 23 年 9 月 29 日 判 決 原 告 X 同訴訟代理人弁護士 佐 藤 興 治 郎 金 成 有 祐 被 告 Y 同訴訟代理人弁理士 須 田 篤

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指針に関する Q&A 1 指針の内容について 2 その他 1( 特許を受ける権利の帰属について ) 3 その他 2( 相当の利益を受ける権利について ) <1 指針の内容について> ( 主体 ) Q1 公的研究機関や病院については 指針のどの項目を参照すればよいですか A1 公的研究機関や病院に限ら

 

平成 25 年 3 月 25 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 2 月 25 日 判 決 原 告 株式会社ノバレーゼ 訴訟代理人弁理士 橘 和 之 被 告 常磐興産株式会社 訴訟代理人弁護士 工 藤 舜 達 同 前 川 紀 光

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イ -3 ( 法令等へ抵触するおそれが高い分野の法令遵守 ) サービスの態様に応じて 抵触のおそれが高い法令 ( 業法 税法 著作権法等 ) を特に明示して遵守させること イ -4 ( 公序良俗違反行為の禁止 ) 公序良俗に反する行為を禁止すること イ利用規約等 利用規約 / 契約書 イ -5 (

4 年 7 月 31 日に登録出願され, 第 42 類 電子計算機のプログラムの設計 作成 又は保守 ( 以下 本件役務 という ) を含む商標登録原簿に記載の役務を指定役 務として, 平成 9 年 5 月 9 日に設定登録されたものである ( 甲 1,2) 2 特許庁における手続の経緯原告は, 平

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平成年月日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

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応して 本件著作物 1 などといい, 併せて 本件各著作物 という ) の著作権者であると主張する原告が, 氏名不詳者 ( 後述する本件各動画の番号に対応して, 本件投稿者 1 などといい, 併せて 本件各投稿者 という ) が被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上のウェ

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た損害賠償金 2 0 万円及びこれに対する遅延損害金 6 3 万 9 円の合計 3 3 万 9 6 円 ( 以下 本件損害賠償金 J という ) を支払 った エなお, 明和地所は, 平成 2 0 年 5 月 1 6 日, 国立市に対し, 本件損害賠償 金と同額の 3 3 万 9 6 円の寄附 (

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1 本件は, 別紙 2 著作物目録記載の映画の著作物 ( 以下 本件著作物 という ) の著作権者であると主張する原告が, 氏名不詳者 ( 以下 本件投稿者 という ) が被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上のウェブサイト FC2 動画 ( 以下 本件サイト という )

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第 2 事案の概要本件は, 原告が, 被告に対し, 氏名不詳者が被告の提供するインターネット接続サービスを利用して, インターネット上の動画共有サイトに原告が著作権を有する動画のデータをアップロードした行為により原告の公衆送信権 ( 著作権法 23 条 1 項 ) が侵害されたと主張して, 特定電気

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指定商品とする書換登録がされたものである ( 甲 15,17) 2 特許庁における手続の経緯原告は, 平成 21 年 4 月 21 日, 本件商標がその指定商品について, 継続して3 年以上日本国内において商標権者, 専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実がないことをもって, 不使用に

平成 30 年 1 月から 6 月までの名古屋税関における知的財産侵害物品の差止状況 輸入差止件数は 936 件で 前年同期比 30.4% の減少となったものの 6 年連続で 900 件を超えました 輸入差止点数は 14,893 点で 前年同期比 46.2% の減少となりました 知的財産侵害物品の輸

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控訴人は, 控訴人にも上記の退職改定をした上で平成 22 年 3 月分の特別老齢厚生年金を支給すべきであったと主張したが, 被控訴人は, 退職改定の要件として, 被保険者資格を喪失した日から起算して1か月を経過した時点で受給権者であることが必要であるところ, 控訴人は, 同年 月 日に65 歳に達し

平成 29 年 2 月 20 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 28 年 ( ワ ) 第 号損害賠償請求事件 口頭弁論終結日平成 29 年 2 月 7 日 判 決 原 告 マイクロソフトコーポレーション 同訴訟代理人弁護士 村 本 武 志 同 櫛 田 博 之 被 告 P1 主 文

なって審査の諸側面の検討や評価が行われ 関係者による面接が開始されることも ある ベトナム知的財産法に 特許審査官と出願人またはその特許代理人 ( 弁理士 ) の間で行われる面接を直接定めた条文は存在しない しかしながら 審査官は 対象となる発明の性質を理解し 保護の対象を特定するために面接を設定す

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害者等のために情報を提供する事業を行う者 ( 非営利目的の法人に限る ) を一般的に定める 上記のほか 聴覚障害者等のために情報を提供する事業を行う法人 ( 法人格を有しない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものを含む ) のうち 聴覚障害者等のための複製又は自動公衆送信を的確かつ円滑に行う

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上陸不許可処分取消し請求事件 平成21年7月24日 事件番号:平成21(行ウ)123 東京地方裁判所 民事第38部

被告に対し, 著作権侵害の不法行為に基づく損害賠償として損害額の内金 800 万円及びこれに対する不法行為の後の日又は不法行為の日である平成 26 年 1 月 日から支払済みまで年 % の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である 1 判断の基礎となる事実 ( 当事者間に争いのない事実又は後掲の各

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第1回 基本的な手続きの流れと期限について ☆インド特許法の基礎☆

では理解できず 顕微鏡を使用しても目でみることが原理的に不可能な原子 分子又はそれらの配列 集合状態に関する概念 情報を使用しなければ理解することができないので 化学式やその化学物質固有の化学的特性を使用して 何とか当業者が理解できたつもりになれるように文章表現するしかありません しかし 発明者が世

2.2.2 外国語特許出願の場合 2.4(2) を参照 2.3 第 184 条の 5 第 1 項に規定された書面 (1) 日本語特許出願 外国語特許出願を問わず 国際特許出願の出願人は 国内書面提出期間 ( 注 ) 内に 出願人 発明者 国際出願番号等の事項を記載した書面 ( 以下この部において 国

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経済産業省 受託調査 ASEAN 主要国における司法動向調査 2016 年 3 月 日本貿易振興機構 (JETRO) バンコク事務所知的財産部

2 当サイト内にある登録事業所が廃業または休止となっているにもかかわらず 更新されないまま3 ヶ月以上放置されていることに気付いたときは つながライン事務局に情報提供することに協力するものとします ( 利用料 ) 第 6 条本サービス利用料は無料とします ( 広告料を除く ) ( リンク ) 第 7

平成 29 年 5 月 15 日判決言渡 平成 28 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 29 年 3 月 6 日 判 決 原 告 BERNARD FRANCE SERVICE 合同会社 訴訟代理人弁護士笹本摂 向多美子 訴訟代理人弁理士木村高明 被 告 ラボラ

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輸入差止件数及び点数の推移 輸入差止件数は 前年に比べ 61.4% 増加の 7,923 件であり 年ベースでは過去 7 番目となりました ( 年ベースの過去最高は平成 25 年の 10,468 件 ) 輸入差止点数は 前年に比べ 31.0% 減少の 165,804 点であり 年ベースでは過去 16

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平成 30 年 6 月 15 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 30 年 ( ワ ) 第 5939 号発信者情報開示請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 5 月 9 日 判 決 5 当事者の表示別紙当事者目録記載のとおり 主 文 1 被告は, 別紙対象目録の 原告 欄記載の各原告に対し,

政令で定める障害の程度に該当するものであるときは, その者の請求に基づき, 公害健康被害認定審査会の意見を聴いて, その障害の程度に応じた支給をする旨を定めている (2) 公健法 13 条 1 項は, 補償給付を受けることができる者に対し, 同一の事由について, 損害の塡補がされた場合 ( 同法 1

2 譲渡禁止特約の効力改正前は 譲渡禁止特約を付した場合は債権の譲渡はできない ( ただし 特約の存在を知らない第三者等には対抗できない ) とされていましたが 改正法では このような特約があっても債権の譲渡は効力を妨げられないことを明記しました ( 466Ⅱ 1) ただし 3に記載するとおり 債務

( 以下 プロバイダ責任制限法 という )4 条 1 項に基づき, 被告が保有する発信者情報の開示を求める事案である 1 前提事実 ( 当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実 ) (1) 当事者 原告は, 肩書地に居住する者である ( 甲 1) 被告は,

(1) 本件は, 歯科医師らによる自主学習グループであり, WDSC の表示を使用して歯科治療技術の勉強会を主催する活動等を行っている法人格なき社団である控訴人が, 被控訴人が企画, 編集した本件雑誌中に掲載された本件各記事において WDSC の表示を一審被告 A( 以下, 一審被告 A という )

イ特許専門業務特許戦略 法務 情報 調査 特許戦略に関し 次に掲げる事項について専門的な知識を有すること (1) 特許出願戦略 ( ポートフォリオ戦略等 ) (2) 研究開発戦略と特許戦略の関係 (3) 事業戦略と特許戦略の関係 (4) 標準化戦略 法務に関し 次に掲げる事項について専門的な知識を有

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第 1 民法第 536 条第 1 項の削除の是非民法第 536 条第 1 項については 同項を削除するという案が示されているが ( 中間試案第 12 1) 同項を維持すべきであるという考え方もある ( 中間試案第 12 1 の ( 注 ) 参照 ) 同項の削除の是非について どのように考えるか 中間

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I. 知財権侵害の最新事件商標権侵害事件 : [ 基本情報 ] 事件番号 : 大法院 2015. 10. 15. 宣告 2013 ダ 84568 判決 原審判決 : ソウル高法 2013.10.15. 宣告 2013 ナ 26816 判決 [ 事件の概要 ] 勃起機能障害治療剤であるバイアグラはアメリカの製薬会社であるファイザープロダクツインクが商標権を有し 韓国ファイザー製薬が輸入ㆍ販売している バイアグラの特許期間が満了になるや 薬品はバイアグラの複製薬品を発売したが これに対しファイザープロダクツインク ( 以下 原告 とする ) 側は 薬品が生産するバイアグラの複製薬であるパルパル錠は その形から感じられる全体的な審美感がファイザープロダクツインクの登録商標 ( 立体商標 ) と酷似するので 同製品の生産 販売を直ちに中止し 製品を全て廃棄しなければならない として訴訟を提起した 原告の登録商標 ( 立体商標 ) 商品 : 性機能障害治療薬剤 ( 第 5 類 ) 被告の使用商標使用商品 : 性機能障害治療用薬剤 [ 原告の登録商標と被告の使用商標 ]

[ 原告の製品 ( 左 ) と被告の製品の実使用例 ] これに対し原審では 1 原告の登録商標が錠剤の一般的形態に該当しない理由として自他商品の識別力があることを認め 2 商標法第 6 条第 2 項が規定する使用による識別力の取得も認め 3 商標登録を受けようとする商品の機能を確保するのに不可欠な立体的形状のみからなる商標に該当するからといって その商標登録が無効になることが明らかであるとは言えないと判断した また 4 原告の登録商標と被告製品の形態は 需要者に誤認 混同を引き起こさせるおそれがあるので類似すると判断し 5 被告が被告製品を生産 譲渡する等の行為は 不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律第 2 条第 1 号 ( ガ ) 目の不正競争行為に該当すると判断した しかし 今回大法院では原告勝訴した原審を覆し 事件をソウル高等法院に差し戻した 大 法院の判断を具体的に見ると次の通りである [ 判決の要旨 ] イ. 商標登録に無効事由があるか否か 登録商標に対する無効審判の確定前であっても 登録無効が明らかな商標権にもとづく侵害禁止又は損害賠償の請求は権利濫用に該当するので認められない これにより 商標権者が請求した商標権侵害訴訟にて権利濫用に該当するという抗弁が提起された場合 法院は権利濫用の有無を判断するために 当該商標登録の無効事由の有無を審理 判断することができる ( 大法院 2012.10.18. 宣告 2013ダ103000 全員合議体判決 ) 1) 大法院は 原告の登録商標は錠剤の一般的な形態であると言え 色彩が結合されてはいても業界で使用されている錠剤形態の範囲を大きく外れてはいないので 自他商品の識別力はないはずである それにもかかわらず原審は 原告の登録商標が錠剤の一般的形態であるとは言えないことを理由に 原告の登録商標は性質表示標章ではないと判断した このような原審の判断には韓国商標法第 6 条第 1 項第 3 号に関する法理を誤解した誤りがある

しかし 原告製品の販売期間と販売量 持続的広告活動 言論報道等を通しての露出頻度 需要者認識に関するアンケート調査結果等を総合するとき 使用による識別力を取得したと見なせる余地は十分にある と判断することで 結論的に原告の登録商標は使用により自他商品の識別力を取得したと言えるので 商標登録が無効になることが明らかであると言うことはできないと判断した 2) 一方 立体商標が識別力を具備したという理由のみで商標権により保護される場合 商品の立体的形状に不可欠に具現された技術的機能にまで永久的な独占権を認める結果となって特許制度と衝突するだけでなく 競争者の使用までを禁止してしまい自由な競争を阻害することになるので 韓国商標法第 7 条第 1 項第 13 号は 商品の機能を確保するのに不可欠な立体的形状の場合には 識別力要件を満たしていても登録を受けられないようにしている これと関連して大法院は 1 性機能障害治療用薬剤分野では 原告の登録商標のような青色のダイヤモンド形錠剤以外にも 他の色彩と形状の錠剤が複数の会社で生産 販売されている点 2 青色とダイヤモンド形の結合により錠剤の本来の機能を越える技術的要素が発揮されるとは見なし難い点に照らしてみるとき 原告の登録商標は商品の機能を確保するのに不可欠な立体的形状のみからなる商標には該当しないと判断した ロ. 両商標の非類似 大法院は 被告製品の外装に被告を指し示す商標が記載されており 内装の裏面にも被告を指し示す標章が反復的に記載されている等 原告の登録商標とはその形態に差がある点 また 専門医薬品として大部分病院で医師の処方に従い薬剤師により投薬される点等を考慮するとき 被告製品は原告の登録商標とは類似しないと判断した ハ. 不正競争行為には該当しない 大法院は 原告と被告の製品形態には共通する部分があるにはあるが 形態の差も存在する点 専門医薬品として大部分病院で医師の処方に従い薬剤師により投薬される点 原告 被告の製品はそれぞれその包装に記載された名称と文字商標及び商号等により区別される点等にもとづいてみるとき 原告 被告製品の形態が需要者に誤認 混同を引き起こさせるとは言い難いので 被告が被告製品を生産 譲渡する等の行為が 不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律の不正競争行為に該当すると言うことはできない と結論をくだした [ 本判決に関するコメント ]

原審とは異なり 本判決では原告の立体商標は錠剤の一般的形状に該当するのでそれ自体では識別力がないと判断しています 薬事法により医薬品に使用される色素は厳格に定められており ダイヤモンド又は菱形も以前から錠剤の形態として広く使用されてきた形態であることを勘案するとき 原告の登録商標はそれ自体では識別力が不足すると判断した本判決は妥当なものと考えます 一方 本判決は識別力のない立体商標に対し 積極的に使用による識別力を認めた点で意義があると言えます 実際に原告の登録商標の登録決定時点 (2005 年 2 月 5 日 ) にて 原告の製品である バイアグラ が言論媒体を通して報道された回数は23 回に過ぎず 原告の登録商標が顕著に知られていたとは見なし難いと思われますが 新しい類型の商標に関しても積極的に商標権を認めようとする裁判部の考えが反映されたものと思われます また 立体商標の機能性判断の根拠を提示し 立体商標の識別力が認められるとしても そ の立体商標が商標の機能を確保するのに不可欠な立体的形状のみからなる場合には 商標登 録を受けられないことを初めて明確に提示した点にも意義があります 本件のように立体的形状からなる商標に対する商標権侵害事件の場合 商標の類否判断においては外観が与える支配的な印象が重要ですが たとえそうであっても具体的な出所混同のおそれの有無を総合的に考慮しなくてはならないはずです そのような点で 両商標の外観の差だけでなく 専門医薬品の具体的な取引実情 医薬品の実際の包装形態及び文字商標使用の有無等までも全て勘案して商標の類否を判断した点で 妥当な判決であると言えます

II. 知財権侵害の最新事件意匠権侵害事件 : [ 基本情報 ] 事件番号 : 2014 ガ合 581498 意匠侵害禁止等請求の訴 [ 事件の概要 ] 原告は菓子 チョコレート等を製造販売する日本企業であり チョコレートが付加された菓子製品の包装箱の形状を2013 年 1 月 9 日付で意匠出願し 2013 年 4 月 11 日付で登録を受けた ( 以下 本件原告意匠 とする ) また 2012 年 9 月 12 日ごろには本件原告意匠を具現した包装を利用して菓子製品 ( 以下 原告製品 とする ) の発売を発表しており 2012 年 10 月 24 日から日本の大阪等で販売してきた ところで 被告は 2014 年 10 月 14 日 下記のような意匠の菓子包装箱を利用して菓子製品 ( 以 下 被告実施製品 とする ) を製造し 国内に販売してきた これに対し原告は 1 被告は本件原告意匠権を侵害しただけでなく 2 被告実施製品は不正 競争防止法第 2 条第 1 号ジャ目所定の商品形態模倣行為に該当する上に 3 同法チャ目所定の 不正競争行為にも該当する という趣旨の訴訟を提起した 本件原告意匠 原告製品及び被告実施製品は次の通りである 本件原告意匠 原告製品

被告実施製品 [ 判決の要旨 ] イ. 登録意匠権侵害の有無 意匠の類否は 外観を全体的に対比観察したとき 見る者をして異なる審美感を感じさせる か否かによって判断されなければならず その支配的な特徴が類似する場合には 細部的に 多少の差があるとしても類似すると見なさなければならない 法院は 被告実施製品は原告の登録意匠の特徴を全て備えており その形態も酷似する このような類似点により本件原告意匠と被告実施製品にはその審美感においてこれといった差があるとは言えない 両者間には比率等の一部に差があるが その差は要部の類似性に比べ些細な程度の変形に過ぎず 審美感に明らかな差を呼び起こすほどに大きな差であるとは言えない 従って 被告の実施製品は本件原告意匠を侵害している と判断した ロ. 不正競争防止法第 2 条第 1 号 ( ジャ ) 目に該当するか否か 不正競争防止法第 2 条第 1 号 ( ジャ ) 目では 商品の形態が備わった日から 3 年が経過してい ない他人の製作した商品を模倣した商品を譲渡 貸与 又はそのための展示 輸入 輸出を する行為 を商品形態模倣行為と見なし 不正競争行為と規定している 同条項に言う 商品の形態 に商品の容器 包装が必ずしも含まれるわけではないが 商品の容器 包装も商品自体と一体となっており 容器 包装の模倣を商品自体の模倣と実質的に同一視しえる場合には 同不正競争行為に該当するとしている 法院では本原告製品も箱を開けないとその中のチョコレート菓子を見ることができないので 原告製品と内部の商品が一体化しているものと見なし 本号を適用できると判断した また 本号に言う 模倣 とは 他人の商品形態にもとづき これと実質的に同一な形態の商品を作り出すことだが 変更があっても実質的に同一な形態の商品に該当するか否かは 変更の内容 程度 着想の難易度 変更による形態的効果等を総合的に考慮して判断されなければならない

法院は 1 被告実施製品は原告製品の発売後に国内で発売されたもので 原告の意匠と全体的な審美感が酷似する点 2 被告実施製品と原告製品はいずれもチョコレートを被せた棒状の菓子製品で 製品形態もほとんど同一である点 3 各面の配色や正面のチョコレート菓子の配置 正面の最上部に商号を表示している点等 全体的な構造が酷似する点 4 原告製品は2012 年 9 月 12 日に発売され 本件弁論終結日現在 3 年も経過していない点等を考慮するとき 被告実施製品は原告製品を模倣して製作された点を認めた ハ. 不正競争防止法第 2 条第 1 号 ( チャ ) 目に該当するか否か 2014 年 1 月 31 日 不正競争防止法第 2 条第 1 号チャ目に補充的一般条項として その他 他人の相当な投資や努力により作られた成果等を 公正な商取引慣行や競争秩序に反する方法で自身の営業のために無断で使用することで他人の経済的利益を侵害する行為 が新たな不正競争行為として新設された これと関連して法院は 原告製品は原告が達成した成果に該当する点 競争会社である被告は本件原告意匠を侵害する等 原告製品を模倣した競争商品である被告実施製品を製造 販売した事実がある点を考慮するとき 被告の行為は同法チャ目所定の不正競争行為に該当する と判断した ニ. 公知の意匠であるという抗弁に関する判断 被告は 1 原告の登録意匠は出願以前にインターネットを通して広報され 広く日本で販売 されていたので新規性がなく 2 新規性喪失の例外を認めえるだけの客観的資料も提出され なかったと抗弁している しかし法院は 1 意匠出願当時 最初に公知された意匠に対してのみ期間内に新規性喪失の例外が主張された場合 それ以後に公知された同一意匠に対しても公知例外主張をする意思が当然あると解釈するのが自然であり 2 新規性喪失の例外を主張する資料は 公知形態 公知日付 公知主体及び意匠図面等の客観的証拠事実を提示さえすればよく 特に資料に制限を設けてはいないことを考慮するとき 原告が提示した資料が客観的な資料ではないと見なす理由がない 従って 原告の登録意匠は公知の意匠であるという抗弁は理由がない と判断した ホ. 無効事由がある意匠登録の意匠権行使は権利濫用に該当するか否か 登録意匠に無効事由があり 当該登録意匠にもとづき意匠権を行使する場合 これは権利濫

用に該当する しかし 法院は 本件登録意匠とその出願前に国内又は国外で公知されたか 公然と実施されていた比較対象意匠を比較してみるとき その審美感に明らかな差があるので 意匠が類似するとは言えないので 本意匠権の行使が権利濫用に該当すると言う被告の主張には理由がない と判断した [ 本判決に関するコメント ] 本判決は 意匠侵害の有無を判断する際には 意匠を全体観察し 細部的な点に差があると しても 支配的な特徴が類似し類似する審美感を与えるか否かをより重視しなければならな いことをよく示している点で意義があると言えます また 本判決は2014 年 1 月 31 日施行の不正競争防止法第 2 条第 1 号チャ目が適用された点にも意味があります 本条項は 韓国の不正競争防止法が不正競争行為に該当する行為を限定的に列挙する方式を取っていたため 新しい類型の不正競争行為を防ぐことができなかった問題点を解決するために導入された補充的一般条項です 一方 本件の場合 原告製品が海外でのみ販売されているにもかかわらず同条項を適用していますが 対象製品が韓国内ではなく海外でのみ販売されている場合にも 同条項を適用できるか否かについてはさらに検討が必要であると思われます 最後に 登録意匠の侵害を主張する場合 侵害者は登録意匠に無効事由があると抗弁してくる可能性が高いので 意匠が無効とされないためには 何度かの公知行為のうち必ず最初の公知日から6ヶ月以内に大韓民国に意匠出願しておかねばならない点に留意する必要があります 新規性喪失の例外を主張する証明資料についてはその形式に制約はありませんが 公知形態 公知日付 公知主体 公知意匠図面等を確認できる資料を準備しておかなければなりません この証明書類は出願日から30 日以内に提出しなければなりませんが 同期間内に提出できない場合には 1 審査官の拒絶理由通知に対する意見書の提出時 2 異議申立に対する答弁書の提出時 3 無効審判に対する答弁書の提出時にも提出することができます (2014 年 7 月 1 日施行法 )

III. 知財権侵害の最新事件 : 著作権侵害事件 [ 基本情報 ] 事件番号 : 大法院 2015.3.12. 宣告 2012 ド 13748 判決 2 審判決 :2012 ノ 626 判決 1 審判決 :2012 ゴダン 131 判決 [ 事件の概要 ] 被告人は サイトを管理 運営する者であり 一部会員がサイトの掲示板に 著作権者から利用許可を得ていない日本の漫画等のデジタルコンテンツを閲覧できる外国ブログに連結されるリンクを貼った 検察は被告人の行為は サイトの会員及び不特定多数人が閲覧又はダウンロードできるようにして不法著作物を複製 配布する行為を放置し 常習的に著作権者の著作財産権の侵害を容易にすることを幇助する行為であると判断し 著作権法違反行為の常習幇助法にもとづき起訴した このような控訴事実に対し 1 審では被告の著作権法違反幇助行為は有罪と認められたが 2 審では原審判決を取消し被告の無罪が宣告された このように1 審判決と2 審判決の結果が食い違うことで相当の争点が導き出されたにもかかわらず 大法院判決は次のような趣旨によって控訴審判決を確定した [ 判決の要旨 ] インターネットリンク (Internetlink) は インターネットでリンクしようとするウェブページ等のサーバーに保存された著作物等のウェブ位置経路を表すものに過ぎず インターネット利用者がリンク部分をクリックすることで リンク先のウェブページや個々の著作物に直接連結されるとしても 上記のようなリンクを貼る行為は著作権法に規定する複製及び伝送に該当しない また 刑法上の幇助行為は正犯の実行を容易にする直接間接の全ての行為を指すものだが リンクを貼る行為自体はリンク先のウェブページ等の位置情報や経路を表すものに過ぎず インターネット利用者がリンク部分をクリックすることで 著作権者の複製権や公衆送信権を侵害するウェブページ等に直接連結されるとしても その侵害行為の実行自体を容易にするとは言えないので 著作財産権侵害行為の幇助行為に該当すると言うことはできない

[ 本判決に関するコメント ] 単純なリンク行為は著作権法上の複製権又は伝送権の侵害にあたらないという見解は 大法 院判決の一貫した立場なので 現行著作権法下では リンク行為自体が直接的に著作権を侵 害する正犯の行為として判断される可能性はないものと思われます しかし 特に詳細な論証もなしに リンク行為は複製権又は伝送権侵害行為の幇助行為にあたらないと判断した本判決には 論争の余地があると考えます もう少し立証資料が補完されるか 伝送権侵害幇助 行為に該当することに対する積極的な主張がなかったことが惜しまれます しかし だからといって本判決が不法な著作権侵害サイトを組織的にリンクする行為は処罰できないとしているわけでもないので 今後類似事例を通して十分に論議を尽くし判例を示していくことが必要であると考えます