平成 25 年度 国立公園等民間活用特定自然環境保全活動 ( グリーンワーカー ) 事業 羅臼湖線歩道携帯トイレブース導入業務報告書 平成 25 年 (2012)11 月 環境省釧路自然環境事務所 知床ガイド協議会
目次 1. 報告書概要 2 (1) 事業名 2 (2) 事業目的 2 (3) 業務実施体制 2 (4) 事業実施期間 2 (5) 事業概要 2 (6) 事業結果 2 2. 事業実施地域 4 3. 携帯トイレブース維持管理業務結果 5 (1) 設置業務 5 (2) 維持管理業務 6 (3) 撤去業務 10 4. ガイド事業者へのヒアリング調査 11 (1) ガイド事業者の意見 11 (2) 歩道利用者の意見 11 5. 携帯トイレに関するまとめ 12 6. 参考資料 13 1
1. 報告書概要 (1) 事業名平成 25 年度国立公園等民間活用特定自然環境保全活動 ( グリーンワーカー ) 事業羅臼湖線歩道携帯トイレブース導入業務 (2) 事業目的羅臼湖線歩道は知床国立公園の羅臼側における重要な利用拠点の一つであり 北海道により歩道が整備されているが 歩道の老朽化が著しく 高層湿原等の植生に悪影響を与えているとともに 利用者にとっても好ましくない状況であった 平成 22 年度には釧路自然環境事務所と根釧東部森林管理署により歩道の再整備を実施することを決定し 平成 23~24 年度には知床世界自然遺産地域適正利用 エコツーリズム検討会議の羅臼湖部会において 再整備ルートや工法 利用のルール 維持管理体制等について地域関係団体等との合意形成を図ってきている 羅臼湖部会における議論において 平成 25 年度から羅臼湖線歩道において簡易的な携帯トイレブースの設置を実施することが合意されている そこで 本業務では 羅臼湖線歩道において携帯トイレブースの設置を行い 羅臼湖の適正な利用に資することを目的とする (3) 業務実施体制本事業は環境省からの請負事業として知床ガイド協議会が実施した (4) 事業実施期間携帯トイレブースの設置 維持管理 :7/2~10/21 ガイド事業者へのヒアリング :10/22~11/7 (5) 事業概要 1 携帯トイレブースの設置 維持管理羅臼湖線歩道の四の沼手前樹林帯に 7/2~10/21 の 112 日間 仮設携帯トイレブース1 基を設置し 週 1 回の清掃及び補修等の維持管理を行うとともに 利用状況や施設の状況について調査した 2 事業者へのヒアリング上記 1のブース設置期間終了後に 羅臼湖線歩道を利用するガイド事業者等へのヒアリングを行い ブースの使用状況 利用者の反応 今後の改善点等について調査した (6) 事業結果 1112 日の設置期間中 携帯トイレブースの利用カウントは 15 であった ガイド事業者へのヒアリングの結果 カウンターを押さない利用者が 27 名いたことが 2
判明したので 利用総数は 42 名であった 回収ボックスから回収した携帯トイレの数は 50 個であった 維持管理業務は汚染 破損などのトラブルはなく終了した 2ガイド事業者へのヒアリング調査では全員が 携帯トイレブースはあったほうがよい と回答した 利用者の評判も良かった 3
2. 事業実施地域知床国立公園 ( 羅臼湖線歩道 )( 図 1) 四の沼手前の樹林帯にテント式携帯トイレブースを一基設置した ( 写真 1) また 歩道入口に携帯トイレ回収ボックスを一基設置した ( 写真 2) 図 1 設置地点 ( 羅臼ビジターセンター HP より引用 ) 写真 1 携帯トイレブース 写真 2 携帯トイレ回収ボックス 4
3. 携帯トイレブース維持管理業務結果報告 (1) 設置業務平成 25 年 7 月 2 日に知床ガイド協議会と羅臼自然保護官事務所で携帯トイレブース 回収ボックス ( 羅臼自然保護官事務所が持参 ) の設置業務を行った ブースについては 昨年同様 四の沼手前の風の受けにくい樹林帯 ( 写真 3) を設置場所に選定し 立ち木やペグで張り綱 ( 写真 4) を固定して風が吹いても飛ばないようにした 写真 3 設置場所 ( 歩道から撮影 ) 写真 4 ペグと張り綱 通常のトイレと間違わないように注意書きや使用方法の説明を明示した ( 参考資料 1~3) また 使用者数のデータを取るためにカウンターを設置した ( 写真 5) 写真 5 ブース内のカウンター 回収ボックスについては 利用者が使用済携帯トイレを帰路に捨てられるよう歩道入口に設置し 風で飛ばないよう中に重石を入れた ボックスには携帯トイレ以外のゴミやザック 食料などの残置を防ぐための注意書きを明示した ( 写真 6) 昨年度は 外国人と見られる利用者がフードロッカー代わりに使用した形跡があったので 英語表記を追加した 5
写真 6 携帯トイレ回収ボックスの注意書き (2) 維持管理業務 1 携帯トイレブース設置期間中 (7/2~10/21) 一週間に一回程度の割合で計 15 回の維持管理業務を行った 定期的な維持管理業務に加えて 羅臼湖ツアーを行っているガイド事業者が不定期に携帯トイレブースや回収ボックスの簡易な点検を行った ( 表 1) 表 1 維持管理 点検業務記録作業日利用者数 ( 累計 ) 7 月 2 日ブース設置 7 月 5 日簡易点検業務 0 7 月 9 日簡易点検業務 0 7 月 11 日簡易点検業務 0 7 月 12 日 1 回目維持管理業務 0 7 月 18 日簡易点検業務 1 7 月 20 日 2 回目維持管理業務 1 7 月 25 日 3 回目維持管理業務 5 ブース ボックスの汚れ 破損などなしなしなしなしなしなし便座に露の汚れあり ボックスの使用済携帯トイレ その他ゴミなど使用済携帯トイレ 3 個使用済携帯トイレ 1 個ゴミらしきもの 2 個 ( 密閉袋なし ) なしなしなし使用済携帯トイレ 5 個 6
7 月 30 日 4 回目維持管理業務 5 8 月 3 日簡易点検業務 5 8 月 4 日簡易点検業務 5 8 月 9 日 5 回目維持管理業務 6 8 月 18 日 6 回目維持管理業務 7 8 月 19 日簡易点検業務 7 8 月 20 日簡易点検業務 7 8 月 25 日 7 回目維持管理業務 7 8 月 30 日 8 回目維持管理業務 7 9 月 2 日 9 回目維持管理業務 9 9 月 9 日 10 回目維持管理業務 9 9 月 12 日簡易点検業務 9 9 月 14 日簡易点検業務 9 9 月 15 日簡易点検業務 9 9 月 20 日 11 回目維持管理業務 9 9 月 21 日簡易点検業務 9 9 月 24 日 12 回目維持管理業務 11 9 月 27 日簡易点検業務 11 なしなしなしなしなしなしなしなしなし便座に露の汚れありなしなしなしなしなしなしなしなし なしなしなし使用済携帯トイレ 2 個使用済携帯トイレ 1 個 ( 密閉袋なし ) なしなしなしなし使用済携帯トイレ 2 個なし使用済携帯トイレ 1 個 ( 密閉袋なし ) なしなしなしなし使用済携帯トイレ 1 個なし 7
9 月 28 日簡易点検業務 12 10 月 5 日 13 回目維持管理業務 12 10 月 9 日 14 回目維持管理業務 12 10 月 14 日 15 回目維持管理業務 13 10 月 15 日簡易点検業務 14 10 月 21 日ブース撤去 15 なしなしなし便座に露の汚れありなしなし 使用済携帯トイレ 3 個なし使用済携帯トイレ 18 個使用済携帯トイレ 4 個 ( 密閉袋なし 2 個 ) 使用済携帯トイレ 1 個なし 清掃にあたっては以下の用具を用意した 折りたたみ式バケツ( 写真 7) 木酢液を使用した 100% 天然成分の消臭剤 ( 写真 8) スコップ( 写真 9) 写真 7 折りたたみバケツ 写真 8 消臭剤 写真 9 スコップ 8
これらは利用者が 通常のトイレと思い込み ( あるいは意図的に ) 直接排泄した場合に備えたものである 清掃方法は以下のとおり 四の沼からバケツで水を汲み 消臭剤を 10~20 倍に希釈して地面に散布し消臭する 排泄物があった場合はスコップを使い回収する 汚れは消臭剤を希釈してふき取る 昨年同様に直接排泄はなかった 清掃は便座の汚れ ( 露 ) をふき取る程度であった 写真 10 携帯トイレブース内の便器 2 携帯トイレ回収ボックス作業日に回収ボックスの中に使用済携帯トイレがあった場合は 回収して羅臼ビジターセンターで燃えるゴミとして処理した ( 写真 11) 写真 11 回収ボックスの使用済携帯トイレ 密閉袋に入っていない使用済携帯トイレを 4 個確認した また 中身が定かでないゴミらしきものを2 個確認した ( 写真 12) 食料など荷物の残置については見受けられなかった 9
写真 12 ゴミらしきもの (3) 撤去業務平成 24 年 10 月 21 日に携帯トイレブースと回収ボックスの撤去作業を行った 数日前に台風が通過して積雪があったが テントに付属している張り綱が 2 箇所外れていたのみで テントは破損していなかった 写真 13 携帯トイレブースの撤収作業 10
4. ガイド事業者へのヒアリング調査の結果報告維持管理業務終了後にガイド事業者へのヒアリング調査を行った ヒアリングは羅臼湖ツアーを実施している地元事業者 11 社に対して行い 10 社から回答があった ガイドツアー内の携帯トイレブース使用者は 38 名 携帯トイレブース以外での携帯トイレ利用は 10 名であった また 11 社中 3 社が清掃やゴミ回収等の携帯トイレブース維持管理に協力したとの回答であった (1) ガイド事業者の意見携帯トイレブースの有無に関しては 回答した全事業者が あったほうが良い 設置の場所と期間についても 今年のとおりでよい との意見であった 今後の改善点に関して 9 社からは特になしとの回答であった ただし 1 社から設置場所について以下のような植生の破壊を懸念する意見があった トイレブースや標柱などがあるとそこが滞留場所となり植生への踏み込みなどが生じることになる 現在の場所は樹木もあり周囲に広がりづらいとは思うが 音を気にしてトイレからある程度距離を取るため トイレに入る以外の者が待つ場所が広がっていく可能性がある (2) 歩道利用者 ( ガイドツアー参加者 ) の意見これはガイド事業者を通じてツアー参加者の意見を聞いてもらったもので 正確なサンプル数は不明であるが 全員が ブースがあると安心 あったほうがよい との意見であった 参加者の携帯トイレに対する理解度も高まってきており 納得される人が増えている 11
5. 携帯トイレブースに関するまとめ今年度はシーズンを通して設置したが 清掃業務に関しては便器に多少の汚れがあったのみで 直接排泄はなかった 携帯トイレブース内に臭いが充満していることもなく 衛生的に利用されていた 利用者数が少ないこともあるが 登山者やトレッカーの間で携帯トイレの存在が認知され始めているものと考えられる 使用方法も明示しており 意図的でなければまず通常のトイレと間違うことはないと思われる 利用者数は昨年度より増えて 42 人 回収した使用済携帯トイレは 50 個であった 携帯トイレブースの設置期間の延長や 羅臼湖ルールでの携帯トイレ使用の呼びかけにより 携帯トイレの利用率は確実に上がっている ガイド事業者へのヒアリングでは全員が シーズンを通してあったほうが良い との回答をしており 今後も雪解けとともに設置して積雪前に撤去するといった 夏期シーズンを通した設置を行うべきである 今年は 10 月 16 日に積雪があり 撤去作業を行った 10 月 21 日は雪中での作業であった 来年度以降は利用者がほぼいなくなる 10 月 3 連休後すぐに撤去作業を行うべきであると考える 携帯トイレブースは 撤収時に強風によって張り綱が 2 箇所外れていた このことから テントに付属している張り綱だけでは不十分で 6mm 程度の補助ロープ 2 本以上を用いてしっかりとテントを固定すべきである 今後は羅臼湖ルールの周知を継続的に行うことによって 携帯トイレの利用率は高まると考えられる その場合 回収ボックスのこまめな点検回収が必要になってくる 10/9 に使用済携帯トイレ 18 個を回収した際は 回収ボックスが満杯になっていた おそらく団体ツアー利用と推測されるが こういった場合の回収対策も検討すべきである 知床ガイド協議会としては業務に限らず ボランティアでの維持管理業務には出来る限り協力していくつもりである 来年度以降も維持管理体制を関係機関と協議していく必要がある 12
参考資料 1 携帯トイレブース掲示物 ( ブース外 ) 13
参考資料 2 携帯トイレブース掲示物 ( ブース内 ) 14
参考資料 3 携帯トイレブース掲示物 ( 便器内 ) 15
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