薬食審査発第 号平成 19 年 9 月 28 日 各都道府県衛生主管部 ( 局 ) 長殿 厚生労働省医薬食品局審査管理課長 国際共同治験に関する基本的考え方について 従来 我が国においては ICH-E5 ガイドラインに基づく 外国臨床データを受け入れる際に考慮すべき民族的要因について

Similar documents
( 別紙 ) 承認申請時の電子データ提出に関する基本的考え方について ( 平成 26 年 6 月 20 日付け薬食審査発 0620 第 6 号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知 ) 新旧対照表 ( 別添 ) 改正後 承認申請時の電子データ提出に関する基本的考え方 1. 承認申請時に電子データ提出を

薬生安発 0302 第 1 号 平成 30 年 3 月 2 日 各都道府県衛生主管部 ( 局 ) 長殿 厚生労働省医薬 生活衛生局医薬安全対策課長 ( 公印省略 ) 医薬品リスク管理計画の実施に基づく再審査期間終了後の評価報告について の一部改正について 再審査期間中の新医薬品以外の医薬品の医薬品リ

員長及び医薬品医療機器等法登録認証機関協議会代表幹事宛て送付するこ ととしていることを申し添えます 記 1. 基本要件基準第 13 条第 5 項及び第 6 項への適合性確認の基本的な考え方について (1)2023 年 ( 平成 35 年 )2 月 28 日 ( 以下 経過措置期間終了日 という )

薬食機発 0131 第 1 号平成 25 年 1 月 31 日 各都道府県衛生主管部 ( 局 ) 長殿 厚生労働省医薬食品局審査管理課医療機器審査管理室長 薬事法に基づく登録認証機関の基準改正に伴う留意事項について ( その 2) 薬事法 ( 昭和 35 年法律第 145 号 以下 法 という )

ICH Q4B Annex12

スライド 1

PSP 省令 と それぞれ略称する 記 1. 改正施行規則について希少疾病用医療機器その他の医療上特にその必要性が高いと認められる医療機器であり かつ 当該医療機器についての臨床試験の実施に特に長期間を要すると認められるものに係る承認申請をする場合においては 改正 GVP 省令第 9 条の3 第 1

る として 平成 20 年 12 月に公表された 規制改革推進のための第 3 次答申 において 医療機器開発の円滑化の観点から 薬事法の適用範囲の明確化を図るためのガイドラインを作成すべきであると提言したところである 今般 薬事法の適用に関する判断の透明性 予見可能性の向上を図るため 臨床研究におい

Microsoft Word - (発番)医療機器の製造販売承認申請について

Microsoft Word - 【案1】登録認証機関立入要領改正通知(Ver )

Microsoft Word - 【発送版】製造所の登録通知

PSP 省令 と それぞれ略称する 記 1. 改正施行規則について希少疾病用医療機器その他の医療上特にその必要性が高いと認められる医療機器であり かつ 当該医療機器についての臨床試験の実施に特に長期間を要すると認められるものに係る承認申請をする場合においては 改正 GVP 省令第 9 条の3 第 1

都道府県医師会医療安全担当理事殿 ( 法安 56) 平成 27 年 8 月 5 日 日本医師会常任理事今村定臣 酵素電極法を用いた血糖測定に使用する医療機器及び体外診断用医薬品に係る 使用上の注意 の改訂について グルコース分析装置 自己検査用グルコース測定器及び自動分析装置等並びに血液検査用グルコ

これまでの検討経緯 2014 年 6 月 E17 EWG 設立 2014 年 11 月第 1 回対面会合 ( リスボン ) 2015 年 6 月第 2 回対面会合 ( 福岡 ) 2015 年 12 月第 3 回対面会合 ( ジャクソンビル ) 2016 年 5 月 -6 月 エクスパートによるサイン

医薬品の基礎研究から承認審査 市販後までの主なプロセス 基礎研究 非臨床試験 動物試験等 品質の評価安全性の評価有効性の評価 候補物質の合成方法等を確立 最適な剤型の設計 一定の品質を確保するための規格及び試験方法などの確立 有効期間等の設定 ( 長期安定性試験など ) 医薬品候補物質のスクリーニン

(別添様式)

別添 治験副作用等症例の定期報告に関する質疑応答集 (Q&A) について < 半年ごとの定期報告の受け付け> Q1 平成 26 年 6 月 30 日までの間は 治験依頼者 ( 自ら治験を実施する者を除く ) が提出する副作用等症例の定期報告は なお従前の例によることができる とあるが 平成 26 年

医薬品たるコンビネーション製品の不具合報告等に関する Q&A [ 用いた略語 ] 法 : 医薬品 医療機器等の品質 有効性及び安全性の確保等に関する法律 ( 昭和 35 年法律第 145 号 ) 施行規則 : 医薬品 医療機器等の品質 有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則 ( 昭和 36 年

本日の内容 1. 未承認対照薬等の取り扱い別添の 4.(3) ウ.( ア ) 2. 対象疾患の悪化等を評価項目にする試験別添の 7.(3) イ.( ア ) 3. 承認取得者以外の治験国内管理人が治験 依頼者となる場合別添の7.(3) オ. 4. 医師主導治験との情報共有別添の7.(3) カ. 5.

< F2D8E9197BF A836F815B2E6A7464>

オクノベル錠 150 mg オクノベル錠 300 mg オクノベル内用懸濁液 6% 2.1 第 2 部目次 ノーベルファーマ株式会社

年管管発第 1026 第 2 号平成 24 年 10 月 26 日 地方厚生 ( 支 ) 局年金調整 ( 年金管理 ) 課長殿 厚生労働省年金局事業管理課長 ( 公印省略 ) 生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置について ( 通知 ) に基づく保護を受けている外国人の国民年金保険料免除の申請の

査を実施し 必要に応じ適切な措置を講ずること (2) 本品の警告 効能 効果 性能 用法 用量及び使用方法は以下のとお りであるので 特段の留意をお願いすること なお その他の使用上の注意については 添付文書を参照されたいこと 警告 1 本品投与後に重篤な有害事象の発現が認められていること 及び本品

( 参考 3: 改正後の事務的通知の本文 ) 薬食審査発 第 1 号 平成 2 7 年 4 月 2 7 日 ( 平成 29 年 7 月 5 日付け薬生薬審発 0705 第 4 号厚生労働省医薬 生活衛生局医薬品審査管理課長通知 新医薬品の製造販売の承認申請に際し承認申請書に添付すべき

審査結果 平成 23 年 4 月 11 日 [ 販 売 名 ] ミオ MIBG-I123 注射液 [ 一 般 名 ] 3-ヨードベンジルグアニジン ( 123 I) 注射液 [ 申請者名 ] 富士フイルム RI ファーマ株式会社 [ 申請年月日 ] 平成 22 年 11 月 11 日 [ 審査結果

未承認の医薬品又は適応の承認要望に関する意見募集について

ともに 申請者が承認審査のスケジュールに沿って法令上求められる製造体制を整備することや承認後円滑に医療現場に提供するための対応が十分になされることで 更なる迅速な実用化を促すものである この制度では 原則として新規原理 新規作用機序等により 生命に重大な影響がある重篤な疾患等に対して 極めて高い有効

(2) レパーサ皮下注 140mgシリンジ及び同 140mgペン 1 本製剤については 最適使用推進ガイドラインに従い 有効性及び安全性に関する情報が十分蓄積するまでの間 本製剤の恩恵を強く受けることが期待される患者に対して使用するとともに 副作用が発現した際に必要な対応をとることが可能な一定の要件

PMDA 国際共同治験ワークショップ 国際共同治験 ~ 医薬品開発において日本ができること ~ 国際共同治験開始前の日本人での第 Ⅰ 相試験の実施に関する基本的考え方について 概要と留意点について 浅野邦仁 ( 独 ) 医薬品医療機器総合機構新薬審査第一部国際共同治験プロジェクトチーム Pharma

(事務連絡)公知申請に係る前倒し保険適用通知

再生医療の制度的な対応の検討について 薬事法等制度改正についてのとりまとめ平成 24 年 1 月 24 日厚生科学審議会医薬品制度改正部会 1 再生医療製品については 今後も 臓器機能の再生等を通じて 重篤で生命を脅かす疾患等の治療等に ますます重要な役割を果たすことが期待される 特に ips 細胞

審査結果 平成 25 年 9 月 27 日 [ 販売名 ] アナフラニール錠 10 mg 同錠 25 mg [ 一般名 ] クロミプラミン塩酸塩 [ 申請者名 ] アルフレッサファーマ株式会社 [ 申請年月日 ] 平成 25 年 5 月 17 日 [ 審査結果 ] 平成 25 年 4 月 26 日開

<4D F736F F D2089FC92F994ED8CB18ED295E58F5782CC82BD82DF82CC8FEE95F192F18B9F977697CC5F A2E646F63>

Microsoft Word - 【発送版】記載整備通知

臨床評価とは何か ( 独 ) 医薬品医療機器総合機構医療機器審査第一部方眞美

事務連絡 平成 30 年 1 月 17 日 各都道府県衛生主管部 ( 局 ) 御中 厚生労働省医薬 生活衛生局医薬安全対策課 厚生労働省医薬 生活衛生局監視指導 麻薬対策課 医薬品の製造販売業者における三役の適切な業務実施についての Q&A 医薬品の製造販売業者における三役の適切な業務実施について

<4D F736F F D A835E838A F8B7982D18AC48DB85F20534F A68CEB8E9A E9A8F4390B38DCF2

未承認薬 適応外薬の要望に対する企業見解 ( 別添様式 ) 1. 要望内容に関連する事項 会社名要望された医薬品要望内容 CSL ベーリング株式会社要望番号 Ⅱ-175 成分名 (10%) 人免疫グロブリン G ( 一般名 ) プリビジェン (Privigen) 販売名 未承認薬 適応 外薬の分類

Microsoft Word - (発出)マル製通知案

医療機器プログラムの取扱いに関する Q&A について ( その 2) ( 別紙 ) 用いた略語 改正法 : 薬事法等の一部を改正する法律 ( 平成 25 年法律第 84 号 ) 法 : 医薬品 医療機器等の品質 有効性及び安全性の確保等に関する法律 ( 昭和 35 年法律第 145 号 ) 施行令

2. 平成 9 年遠隔診療通知の 別表 に掲げられている遠隔診療の対象及び内 容は 平成 9 年遠隔診療通知の 2 留意事項 (3) イ に示しているとお り 例示であること 3. 平成 9 年遠隔診療通知の 1 基本的考え方 において 診療は 医師又は歯科医師と患者が直接対面して行われることが基本

医療機器開発マネジメントにおけるチェック項目

タペンタ 錠 25mg タペンタ 錠 50mg タペンタ 錠 100mg に係る 販売名 タペンタ 錠 25mg タペンタ 錠 50mg 医薬品リスク管理計画書 (RMP) の概要 有効成分 タペンタ 錠 100mg 製造販売業者 ヤンセンファーマ株式会社 薬効分類 821 提出年月 平成 30 年

管下関係業者に周知いただくとともに 適切な指導を行い その実施に遺漏な きようお願いいたします 記 第 1 体外診断用医薬品の製造販売業又は製造業を行う旨の届出等について 1. 届出対象者旧薬事法に基づき 体外診断用医薬品を取り扱う以下の者 (1) 旧薬事法第 12 条第 1 項の第二種医薬品製造販

JICA 事業評価ガイドライン ( 第 2 版 ) 独立行政法人国際協力機構 評価部 2014 年 5 月 1

医師主導治験取扱要覧

医療用医薬品の市販直後調査の実施方法等について 平成 18 年 3 月 24 日付 : 厚生労働省医薬食品局安全対策課長 ( 薬食安発第号 号 ) 医療用医薬品の市販直後調査に関する Q&A について 平成 18 年 3 月 24 日付 : 厚生労働省医薬食品局安全対策課 ( 事務連

写 事務連絡 平成 31 年 2 月 20 日 都道府県 各保健所設置市衛生主管部 ( 局 ) 薬務主管課御中 特別区 厚生労働省医薬 生活衛生局 監視指導 麻薬対策課 医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドラインに関する Q&A について 医薬品等の広告規制については 医療用医薬品の不適切な

特定保健指導における情報通信技術を活用した面接による指導の実施の手引き 新旧対照表 改正後 特定保健指導における情報通信技術を活用した面接による指導の実施の手引き 現行 ICT を活用した特定保健指導の実施の手引き 最終改正平成 30 年 2 月 9 日 1.ICTを活用した特定保健指導の実施者保険

Microsoft Word - 第14回定例会_平田様_final .doc

機器承認

通知(一括更新手続き)

Microsoft Word - 2-① 補償ガイドライン平成27年版(本文)Ver3.1.1.do

0831_02_落合_発表.pptx

薬食審査発第 号

< F2D819B955C8EA692CA926D DC58F4994AD8F6F>

ICHシンポジウム2013 E14

2. 検討 ~ 医療に関する事故の特殊性など (1) 医師等による医療行為における事故 医師等が患者に対してどのような医療行為を施すべきかという判断は 医師等の医学的な専門知識 技能に加え 医師等の経験 患者の体質 その時の患者の容態 使用可能な医療機器等の設備等に基づきなされるものである ( 個別

要望番号 ;Ⅱ-286 未承認薬 適応外薬の要望 ( 別添様式 ) 1. 要望内容に関連する事項 要望者 ( 該当するものにチェックする ) 学会 ( 学会名 ; 特定非営利活動法人日本臨床腫瘍学会 ) 患者団体 ( 患者団体名 ; ) 個人 ( 氏名 ; ) 優先順位 33 位 ( 全 33 要望

審査報告 (1) 別紙 平成 29 年 4 月 3 日 本申請において 申請者が提出した資料及び医薬品医療機器総合機構における審査の概略等は 以下 のとおりである 申請品目 [ 販売名 ] ジャドニュ顆粒分包 90 mg 同顆粒分包 360 mg [ 一般名 ] デフェラシロクス [ 申請者 ] ノ

Microsoft PowerPoint - ⑨140925,30日薬連講習会(後発RMP)930.ppt [互換モード]

スライド 1

( 保 99) 平成 29 年 9 月 4 日 都道府県医師会 社会保険担当理事殿 日本医師会常任理事 松本純一 被保険者証の氏名表記について 被保険者証の氏名表記につきましては 性同一性障害を有する被保険者又は被扶養者から 被保険者証において通称名の記載を希望する旨の申出があったことから 保険者が

2. 各検討課題に関する論点 (1) 費用対効果評価の活用方法 費用対効果評価の活用方法について これまでの保険給付の考え方等の観点も含め どう考 えるか (2) 対象品目の選定基準 1 費用対効果評価の対象とする品目の範囲 選択基準 医療保険財政への影響度等の観点から 対象となる品目の要件をどう設

記 第 1 再審査資料の構成及び作成上の注意事項再審査資料の構成及び作成上の注意事項は次のとおりとすること また 再審査申請書の写し及び平成 10 年 12 月 1 日付け医薬審第 1058 号厚生省医薬安全局審査管理課長通知 新医薬品等の申請資料の信頼性の基準の遵守について により添付することとし

鑑-H リンゼス錠他 留意事項通知の一部改正等について

<4D F736F F D208D B B835896F2938A975E82CC8D6C82A695FB2E646F63>

料 情報の提供に関する記録 を作成する方法 ( 作成する時期 記録の媒体 作成する研究者等の氏名 別に作成する書類による代用の有無等 ) 及び保管する方法 ( 場所 第 12 の1⑴の解説 5に規定する提供元の機関における義務 8 個人情報等の取扱い ( 匿名化する場合にはその方法等を含む ) 9

PowerPoint プレゼンテーション

Microsoft Word - 表紙 雛形(保険者入り)高齢者支援課180320

第1回肝炎診療ガイドライン作成委員会議事要旨(案)

本日の内容 1. 医薬品の再審査に係る関連法規 2. 医薬品の再審査申請資料の適合性調査 2.1. GPSP 実地調査における調査の視点 2.2. 適合性書面調査における調査の視点 2.3. ( 参考 ) 医薬品再審査適合性調査相談の現況 3. 適合性調査の効率化に向けて 3.1. 安全性情報管理シ

写 薬生発 0131 第 1 号 平成 30 年 1 月 31 日 都道府県知事 殿 厚生労働省医薬 生活衛生局長 ( 公印省略 ) 医薬品 医療機器等の品質 有効性及び安全性の確保等に関する法律 関係手数料令の一部を改正する政令の公布について この度 医薬品 医療機器等の品質 有効性及び安全性の確

本日の講演内容 1. PMDA コンパニオン診断薬 WG 2. 本邦におけるコンパニオン診断薬の規制 3. 遺伝子パネルを用いた NGS コンパニオン診断システム 1 2 規制上の取扱い 評価の考え方 2

本手順書で使用する用語の定義 用語電子的記録書面電子的記録利用システム実務担当者原データ治験関連文書サイボウズサイボウズメッセージ 定義人の知覚では認識できない, 電子式等の方法で記録され, コンピュータで処理される記録紙媒体による資料治験依頼者, 実施医療機関の長, 治験責任医師並びに治験審査委員

本日の内容 1. 本邦におけるコンパニオン診断システムの規制 2. NGSを用いたコンパニオン診断システム 1 規制上の取扱い 2 評価の考え方と検討課題 3. NGSを用いた遺伝子検査システムに関連した課題 2

Microsoft Word (発出版)適正使用通知案(冷凍アブレーション)

[ 指針 ] 1. 組織体および組織体集団におけるガバナンス プロセスの改善に向けた評価組織体の機関設計については 株式会社にあっては株主総会の専決事項であり 業務運営組織の決定は 取締役会等の専決事項である また 組織体集団をどのように形成するかも親会社の取締役会等の専決事項である したがって こ

Microsoft Word - 奈良県GQP-GVPガイドライン doc

要望番号 ;Ⅱ 未承認薬 適応外薬の要望 ( 別添様式 1) 1. 要望内容に関連する事項 要望 者 ( 該当するものにチェックする ) 優先順位 学会 ( 学会名 ; 日本ペインクリニック学会 ) 患者団体 ( 患者団体名 ; ) 個人 ( 氏名 ; ) 2 位 ( 全 4 要望中 )

2008年6月XX日

Ⅲ コース等で区分した雇用管理を行うに当たって留意すべき事項 ( 指針 3) コース別雇用管理 とは?? 雇用する労働者について 労働者の職種 資格等に基づき複数のコースを設定し コースごとに異なる配置 昇進 教育訓練等の雇用管理を行うシステムをいいます ( 例 ) 総合職や一般職等のコースを設定し

の開発状況を十分に検討した上で どの相の臨床試験をどのような順序で実施するのかを開発企 業自身が判断しなければならない その際 日 米 EU 医薬品規制調和国際会議 (ICH:InternationalConferenceonHarmonizationofTechnicalRequirementsf

中医協総 医薬品及び医療機器の費用対効果評価に関する取扱いについて 1 既収載品に係る費用対効果評価の手続き (1) 対象品目の指定中央社会保険医療協議会の定める以下の選定基準に基づき 費用対効果評価専門部会において指定 公表されたものとする 次の全ての要件を満たす品

カット ドゥ スクエアが出力する CSV ファイルついて カット ドゥ スクエアが出力する CSV ファイルについて説明いたします IRB の担当者が作成することができます IRB 議事概要に必要な項目を入力後 [CSV 出力 ] ボタンをクリックするとファイルが表示されます CSV ファイルの 1

別紙様式 (Ⅴ)-1-3で補足説明している 掲載雑誌は 著者等との間に利益相反による問題が否定できる 最終製品に関する研究レビュー 機能性関与成分に関する研究レビュー ( サプリメント形状の加工食品の場合 ) 摂取量を踏まえた臨床試験で肯定的な結果が得られている ( その他加工食品及び生鮮食品の場合

添付文書情報 の検索方法 1. 検索条件を設定の上 検索実行 ボタンをクリックすると検索します 検索結果として 右フレームに該当する医療用医薬品の販売名の一覧が 販売名の昇順で表示されます 2. 右のフレームで参照したい販売名をクリックすると 新しいタブで該当する医療用医薬品の添付文書情報が表示され

JCROA自主ガイドライン第4版案 GCP監査WG改訂案及び意見

untitled

Microsoft Word - H _概要_.doc

仮訳 原文 P2 補遺 E6 (R2) コード 履歴 日付 E6(R2) R1 文書に対する補遺以下の各項に対する追加 : 序文,1.63,1.64, 1.65,2.10,2.13,4.2.5,4.2.6,4.9.0,5.0, 5.0.1,5.0.2,5.0.3,5.0.4,5.0.5,5.0.6,

2 有効成分名 添付文書及び審査報告書に基づき記載する 3 品目名 ( 後発医薬品 ) 添付文書及び審査報告書のほか薬価基準収載品目リストにより記載する 複数の品目がある場合は 個別医薬品コード (YJ コード ) 順に番号を振り 記載する ( 複数規格があっても 全規格まとめて YJ コード順とす

Microsoft Word - 【発出版2】製造所取扱いに関するQ&A -

薬食審査発 1116 第 1 号 平成 22 年 11 月 16 日 各都道府県衛生主管部 ( 局 ) 長殿 厚生労働省医薬食品局審査管理課長 抗うつ薬の臨床評価方法に関するガイドライン について 医薬品の承認申請の目的で実施される抗うつ薬の臨床評価方法について 別添のとおりガイドラインを取りまとめ

シダキュアスギ舌下錠 2,000JAU 5,000JAU に係る医薬品リスク管理計画書 (RMP) の概要 販売名 シダキュアスギ舌下錠 2,000JAU,5,000JAU 有効成分 スギ花粉エキス原末 承認取得者名 鳥居薬品株式会社 薬効分類 提出年月 平成 30 年 8 月 1.1.

Microsoft PowerPoint - 運用 [互換モード]

Microsoft PowerPoint - SASユーザ総会2016_MRCT_送付用.pptx

宮城県立がんセンター受託研究業務手順書

北里大学病院モニタリング 監査 調査の受け入れ標準業務手順 ( 製造販売後臨床試験 ) 第 1 条 ( 目的 ) 本手順書は 北里大学病院において製造販売後臨床試験 ( 以下 試験とする ) 依頼者 ( 試験依頼者が業務を委託した者を含む 以下同じ ) が実施する直接閲覧を伴うモニタリング ( 以下

< F2D E968BC681698E968CE3816A817A C8250>

Transcription:

薬食審査発第 0928010 号平成 19 年 9 月 28 日 各都道府県衛生主管部 ( 局 ) 長殿 厚生労働省医薬食品局審査管理課長 国際共同治験に関する基本的考え方について 従来 我が国においては ICH-E5 ガイドラインに基づく 外国臨床データを受け入れる際に考慮すべき民族的要因について ( 平成 10 年 8 月 11 日医薬審第 7 62 号厚生省医薬安全局審査管理課長通知 ) により いわゆる ブリッジング による海外臨床試験成績を承認申請資料として活用することを認めており また 欧米諸国における市販後調査等の結果についても必要に応じ承認審査に際して活用しているところである 他方 総合科学技術会議報告書 科学技術の振興及び成果の社会への還元に向けた制度改革について ( 平成 18 年 12 月 ) においては 新規医薬品開発の効率化 迅速化の観点から外国との国際共同治験を推進すべき旨指摘しており また 厚生労働大臣の検討会報告書 有効で安全な医薬品を迅速に提供するための検討会報告書 ( 平成 19 年 7 月 ) においては ドラッグ ラグ ( 欧米で承認されている医薬品が我が国では未承認であって国民に提供されない状況 ) 解消のためには 国際共同治験の推進を図る必要があり 承認審査の観点から必要な国際共同治験実施に当たっての基本的考え方を明らかにする必要がある旨 指摘している このような状況を踏まえ 今般 独立行政法人医薬品医療機器総合機構における対面助言等の国際共同治験に関する現時点の知見について 別添 国際共同治験に関する基本的考え方 としてとりまとめたので 貴管下製造販売業者等の業務に活用するよう 周知方お願いする なお 本通知の写しを日本製薬団体連合会他関連団体宛てに発出していることを申し添える 1

( 別添 ) 国際共同治験に関する基本的考え方 はじめに我が国では ICH-E5 ガイドライン ( 外国臨床データを受け入れる際に考慮すべき民族的要因について 平成 10 年 8 月 11 日医薬審第 672 号厚生省医薬安全局審査管理課長通知 ) が公表されて以来 ブリッジング開発戦略を通じて 医薬品の種類 対象疾患領域及び臨床開発の国際的進展状況に応じ 国内外の治験データを活用する知識及び経験が着実に蓄積しつつある このような知識及び経験を生かし 近年 開発初期の段階から国際共同治験の実施を含めた開発戦略を採用するケースが増加しつつあり 日本における医薬品の開発戦略は 今後さらに多様化するものと考えられる 我が国では 現在 国内での新薬承認時期が諸外国よりも数年遅いという問題 ( ドラッグ ラグ ) が深刻化しており この問題を本質的に解消するためには 我が国における医薬品の開発時期を諸外国と同調させる必要がある このための有効な手段の一つとして 日本が国際共同治験に早期から参加することが考えられる これにより日本での医薬品開発が促進され ドラッグ ラグ が解消できれば 日本の患者が有効で安全な医薬品を諸外国に遅れることなく使用できるようになると考えられ 日本における薬剤治療レベルの向上及び公衆衛生の向上に大きく寄与するものと考えられる 日本を含む国際共同治験を推進するため 独立行政法人医薬品医療機器総合機構 ( 以下 総合機構 という ) は 平成 18 年度より国際共同治験に関する対面助言の予約申込みに際して優遇措置を講じている 国際共同治験の実施を前提とした治験デザイン 治験データ等の取扱いについて 総合機構と企業との間で 個々のケースに応じた検討を行うことは重要であり これまでも対面助言を通じて対応してきたところであるが 今般 これまでの個々の事例等を踏まえ 国際共同治験を計画 実施する際の基本的な考え方をとりまとめることとしたものである 本文書は 国際共同治験に関する現時点における基本的な考え方をまとめたものであり 企業における検討を促進し 日本の積極的な国際共同治験への参加を推進することに資するものと考える なお 本文書に挙げた各事項は 現時点における科学的知見に基づいて検討されたものであり 今後の状況の変化 科学技術の進歩等に応じて随時見直され 改訂されるべきものであることに留意する必要がある 適用範囲本文書は 主に 新規の医薬品を今後開発する場合を想定しているが 既に諸外国において第 Ⅱ 相又は第 Ⅲ 相臨床試験が終了し 外国人に関する一定のデータが得られている場合にも適用可能な事項も含まれている 基本的考え方国際共同治験は 国内臨床試験とは異なり 様々な地域及び民族にまたがって臨床試験が実施されるため その治験計画に際しては 民族的要因を考慮して計画することが必要である したがって ICH-E5 ガイドラインで述べられている事項を検討することは 国際共同治験を計画する場合にも有用である ブリッジングの考え方については 諸外国で開発が先行している場合のみならず 国際共同治験のように同時期に実施する場合にも適用可能である この考え方は ICH-E5 ガイドラインの Q&A( 外国臨床データを受け入れる際に考慮すべき民族的要因についての指針 に関する Q&A について ( その 2) 平成 18 年 10 月 5 日厚生労働省医薬食品局審査管理課事務連絡 ) の質問 11 において明確に示されているので参照されたい 国際共同治験を計画 実施する際の基本的な考え方については 以下に Q&A 形式で示す 2

こととするが これらは一般的な原則を示すものであり 最適な開発戦略は個々の医薬品で異なることも想定される 個々のケースにおいては 開発戦略 試験デザイン等 本文書に掲げられた事項を予め検討すべきであり 可能な限り早期に総合機構との対面助言を活用すべきである なお この文書において 国際共同治験 とは 新規の医薬品の世界的規模での開発及び承認を目指して企画される治験であって 一つの治験に複数の国や地域の医療機関が参加し 共通の治験実施計画書に基づき 同時並行的に進行するものを言う 1. 国際共同治験を実施する上での基本的な要件は何か? 以下のすべての条件を満たすことが必要である 参加するすべての国 医療機関等で ICH-GCP に準拠した臨床試験が実施可能であること 参加するすべての国 医療機関等で日本からの GCP 実地調査を受入れ可能であること 治験薬の有効性及び安全性に影響を及ぼしうる要因 ( 人種 地域 患者背景等 ) を予め検討するとともに 当該要因に関する部分集団解析が実施可能であり 適切な考察が可能であること 慣習などの社会的相違や試験の管理 運営等各施設における治験実施状況を適切に把握でき 認められた差異が試験結果に影響を及ぼしうるものであるかどうかについて 適切に考察可能な状況であること 2. 日本はいつからグローバル開発に参加すべきか? 世界的に進行している臨床開発について できるだけ早期に参加することが望ましい このため 遅くとも用量反応性を探索的に検討する段階の試験から参加できるよう予め検討しておくことが重要である 3. 患者を対象とした国際共同治験を実施する場合に その試験開始前に日本人での第 Ⅰ 相試験や日本人での薬物動態情報は必須か? 国際共同治験で用いる用法 用量が日本人においても安全性上特段の問題がないかについて 予め確認しておく必要がある そのためには 国際共同治験を開始する前に 少なくとも日本人の健康な志願者又は患者を対象とした治験薬の単回投与試験による安全性や薬物動態等を検討し 外国人における結果と比較して 日本人におけるリスクが外国人におけるリスクと遜色ないことを確認しておくことが求められる ただし 海外で実施された第 Ⅰ 相試験の結果から日本人に対する安全性を判断することが可能な場合や類薬での状況等から日本人と外国人における推奨用量が同様と判断できる場合等においては 必ずしも国際共同治験開始前に第 Ⅰ 相試験を実施する必要はない なお この場合においても薬物動態と臨床効果との関連等を日本人と外国人で比較検討しておくことが日本人に適切な用量を設定する上で有用であると考えられること また 国際共同治験の結果の解釈に際しても重要な情報となりうると考えられることなどから 必要に応じ 国際共同治験の実施と並行して適切な臨床薬理試験を実施したり 国際共同治験の中で薬物動態と臨床効果との関連を検討するなどして その結果を承認申請資料に含めることが望まれる 3

4. 海外臨床試験成績に基づき用量設定を行い 国内での用量反応試験を実施せずに 検証的な第 Ⅲ 相試験から日本人を組み入れるという開発計画は受入れ可能か? これまでの承認事例及び ICH-E5 ガイドラインに基づく承認審査の経験等を踏まえると 日本人と外国人との間で薬物の体内動態等が異なることもあり また 外国人での臨床試験結果に基づき設定された推奨用量が日本人での推奨用量であると結論付けることは困難である場合もみられることから 質問のような開発計画を基本的考え方とすることは有効かつ安全な医薬品を日本人患者の元へ届けるという本来の目的からして適切ではない したがって 開発を円滑に進め 日本における承認時期を諸外国と同時期とするためには 用量反応試験に日本人の患者等を組み入れ 民族間での用量反応性の差異を臨床開発の早期に同定し その後の検証的試験を計画することが望まれる また 仮に日本人と外国人とで推奨用量が異なっている場合 各地域ごとに設定した用量について 有効性及び安全性の検証が同等に扱えることを適切に説明できるのであれば その後の第 Ⅲ 相国際共同治験 ( 検証的試験 ) において各地域での結果を統合し主要な解析集団として取り扱うことも可能である なお PK(pharmacokinetics) に類似性があり PK と臨床効果との関連が明らかとなっている PD (pharmacodynamics) との間で相関性が示されているような場合等には 臨床効果を指標とした日本人での用量反応試験は必ずしも必要ないと考えられる ( 注 ) 希少疾病用医薬品又は生命に関わるような疾患で他の治療法が確立していないような場合 そもそも国内での用量反応試験を行うことが困難な場合があり このような場合には 医師の厳重な管理下で第 Ⅲ 相試験を行うなどの工夫を検討すべきである 5. 国際共同治験を計画する場合の基本的な留意事項は何か? 基本的には以下の事項について留意すべきである なお 詳細については ICH-E5 ガイドラインの Q&A の質問 11 を参照されたい 国際共同治験を実施する場合には それぞれの地域における民族的要因が治験薬の有効性及び安全性に及ぼす影響について評価し また 日本人における治験薬の有効性及び安全性について評価できるよう計画することが必要である 実施する国際共同治験のデザイン及び解析方法が我が国にとって受入れ可能なものであることが必要である 主要評価項目は 各地域に許容されているものであるべきであり 主要評価項目が地域により異なる場合には すべての地域においてすべての主要評価項目に関するデータを収集し 地域間での差異を検討できるようにすべきである 安全性評価を適切に実施するため 全地域での有害事象の収集方法及び評価方法をできる限り統一すべきである 6. 用量反応試験等の探索的な試験あるいは検証的な試験を国際共同治験として実施する場合に 症例数の設定及び日本人の症例の割合の決定はどのようにすることが適切であるか? 国際共同治験では 全集団での結果を前提とした症例数の設定も可能であり 日本人の部分集団において統計的な有意差を検出するだけの検出力を必ずしも確保する必要はない しかし 検証的試験での主要な解析対象を全集団として規定する場合には 各地域での集団ではなく 全地域での集団を一つの集団としてみなすことができると考えた根拠を説明する必要がある 仮に日本人の部分集団での結果が 全集団での結果と著しく乖離している場合には 4

その理由を十分検討すべきであり 必要に応じさらなる臨床試験の実施も考慮すべきであることから このような場合には 総合機構における対面助言を活用することが推奨される 国際共同治験は 全集団での結果と日本人集団での結果に一貫性が得られるよう計画すべきであり 各地域での一貫性が担保されることで 全集団での結果を適切に各地域に外挿することが可能となると考えられる したがって 症例数については 一般的に推奨できる方法は現時点で確立されておらず 実施地域の数 試験規模 対象疾患 全体での症例数と日本人症例数との割合等を考慮して決定することが必要である 例えば 国際共同治験を計画する際に全集団と日本人集団において一貫した結果が得られる可能性を考慮する方法として 定量的な評価変数を用いたプラセボ対照試験を例にとると以下のような方法があると考えられる (1) 方法 1: プラセボ群と治験薬群での群間差を D その場合の全集団での群間差を D all 日本人集団における群間差を D Japan とすると D Japan / D all > π が成立するような確率が 80 % 以上となるように日本人症例数を設定する π については 適切な値を設定する必要があるが 一般的には 0.5 以上の値をとることが推奨される この方法では 日本人症例数を最小にしようとすると 全体での症例数が増加し 全体での症例数を最小にしようとすると日本人症例数が増加するという関係が認められる (2) 方法 2: 全集団におけるプラセボ群と治験薬群での群間差を D all 例えば 3 地域が試験に参加し 各地域でのプラセボ群と治験薬群での群間差をそれぞれ D 1 D 2 D 3 とすると D 1 D 2 D 3 が全て同様の傾向にあることを示す 例えば D all が正の値をとるとすると D 1 D 2 D 3 のいずれの値も 0 を上回る確率が 80 % 以上となるように症例数を設定する この方法では 各地域から均等に症例数を集積した場合に 確率が高くなるという傾向があり 全体の症例数を変更することなく日本人症例数を検討することが可能であるが 日本人の構成比率が小さく 症例数が少ない場合に 地域間比較が十分に行えない場合があることに留意すべきである ( 参考 ) 例えば 数百例程度を対象に プラセボを対照とした 2 群での並行群間比較試験を実施する場合 各地域での有効性が同様であると仮定すると 試験結果に基づき科学的に適切な評価を行うためには 方法 1 においては 全体の症例数の増加を適度に抑制しながら日本人症例数を最小としようとする場合 およそ 20 % の症例を確保することが必要になる また 方法 2 の場合には 全集団での検出力を 90 % として 3 地域で実施するのであれば 日本人症例数としておよそ 15 % 以上を確保することが必要になる ( 注 ) 個々のケースにおける具体的な目標症例数の設定については 総合機構と相談することが可能である 7. 国際共同治験においては 諸外国では確立されているが 我が国ではまだ確立されていないような指標であっても 主要評価項目とせざるを得ない場合もあるが このような場合でもその指標は受け入れ可能か? そのような場合が想定されるのであれば できる限り早期に国内でパイロット試験等を実施し 海外臨床試験結果と同様の反応が得られるかどうか確認しておく必要があると考えられる また 国際共同治験実施前には 予め統一的な評価方法に関する研修プログラムを作成し 実施するなど 評価者間 施設間 各地域間での差を最小限にする工夫が必要である 5

質問のような場合 何ら国内での検討がない状況で国際共同治験に参加することは 日本での成績が適切に得られないばかりか 試験全体に悪影響を及ぼす可能性があることに留意すべきである 8. 日本を含まない諸外国で既に実施されている国際共同治験と同一のプロトコルによる小規模の国内治験を別途実施し それらの結果をもって国内外での有効性及び安全性が同様と結論付けることは可能か? 既に海外で実施されている臨床試験があって 国内試験結果とは別に解析が実施されるような場合には 一般的に別試験として考えるべきである このような場合 設定されている主要評価項目が適切であるとの前提で 国内で統計的な検討も実施できるよう症例数を確保したブリッジング試験をプロスペクティブに計画 実施し ICH-E5 ガイドラインに基づき 海外臨床試験成績との差異等について検討することが適切であると考えられる 9. 第 Ⅲ 相の検証的な国際共同治験での対照群について (1) 国際共同治験でプラセボのみが対照群と設定されている場合があるが そのような場合においても日本では別途実薬を対照群として設定することが必要であるか? (2) 対照群として用いられる実薬が国際的な標準薬であっても 国内では未承認の場合があるが このような場合に国内での対照薬をどのように設定すべきか? (1) 原則としてその必要はなく 治験薬のプラセボに対する優越性が検証され 全集団と日本人集団との間で一貫した結果が得られるよう臨床試験を計画することが適切である なお 別途実薬を対照とした比較試験成績があれば 治験薬の臨床的位置づけが明確になる場合もあると考えられるが 臨床的位置付けについては他の方法によって説明可能な場合もあり 一律にそのような試験の実施を求めるものではない (2) 用いようとしている実薬が国際的に標準薬であることが諸外国等のガイドライン等の記載から客観的に説明できるのであれば 国内で未承認の医薬品であっても 治験における対照薬として試験を実施することは可能であるが 当該未承認薬が日本人にどのような影響を及ぼすか 特に当該未承認薬の安全性について予め検討しておく必要がある なお 非劣性検証を目的とした試験における結果の解釈については慎重に判断する必要があるので 当該未承認の対照薬の有効性 安全性に関するデータ 特に日本で既承認である医薬品と当該未承認薬の相違等について 可能な限り情報を収集し 得られる結果の日本人患者への外挿性を予め検討しておくことが望ましい 10. 国際共同治験で設定される併用薬 併用療法等を完全に国内外で同一に設定することは困難であるが どのように設定することが適切であるか? 併用薬 併用療法といっても多種多様であり 一概に回答することは困難であるので 2 つの例を挙げることとする なお いずれの場合についても 併用薬の用法用量の妥当性について 個々のケースに応じた十分な検討が必要である その前提の上で 実施しようとする国際共同治験の計画の根 6

拠が諸外国におけるエビデンスに大きく依存しているような場合には 基本的には 諸外国と同一の併用薬 併用療法等を用いて国内での臨床試験を実施する方が理論的であり かつ試験の成功率を高めるものと考えられる (1) 抗がん剤の併用療法のように 治療域が狭く毒性の強い薬剤同士を併用するような場 国内外で厳密に同一の用法 用量を設定することが望ましい (2) ある疾患に対して用いられる標準的治療法として通常併用される薬剤又は治療法については 各地域の用法 用量を同一に規定することが困難であることも想定される このような場合 必要最小限の差異については許容可能であるが これらの差異が治験薬の有効性及び安全性に及ぼす影響を最小限にとどめるため 併用時の用法 用量等を前観察期も含めて治験期間中は変更せず 患者ごとに一定にするなどの配慮が必要である 11. 国際共同治験を実施することが望ましい領域はあるか? どのような領域であっても国際共同治験を実施することは可能であるが 希少疾病等の国内で大規模な検証試験を実施することが困難と考えられる疾患であれば より積極的に国際共同治験の実施を検討すべきである これまでは国内で少数例の使用経験的な試験が実施されている場合もあったが このような開発戦略よりも 国際共同治験の中に可能な限り多くの日本人の症例を組み入れ より適切な臨床試験デザインに基づくエビデンスを構築することが望ましい また 希少疾病でなくても 生存率等の真の臨床的エンドポイントを用いた臨床試験で症例数が数千例規模に上る場合等 世界的にも症例の集積に時間を要すると予想される時には 日本も積極的に参加してエビデンスの構築に貢献することも考えられる このような方策をとることで 最終的には各地域での承認申請時期を同様とすることが可能になると考えられる 12. 国際共同治験を実施することの適否を判断する上で 参考となるフローチャートはあるか? 数多くの例外があると想定され 万能なアプローチは存在せず 個別に判断することが適切であると考えるが 現時点での一般的な考え方としては 下図のようなフローチャートが参考になると思われる なお 図中で示した PKと有効性が相関するか? 事項は 同一疾患に対する先行試験の結果等からも確認可能な場合があると考えられる事項であり また 重大な相違及び影響の有無については 実施された臨床試験のデザインや各集団での比較等も踏まえて判断する必要がある Yes 国際共同 PK 試験 (PK 比較 ) (PD の評価が可能であれば含めることも考慮する ) 重大な相違あり 重大な相違なし (PK に類似性があり PK と臨床効果との関連が明らかとなっている PD との間で相関性が示されているような場合等を含む ) No Yes 国際共同用量設定試験 ( 用量反応性の比較 ) 重大な相違あり重大な相違なし ( 相違があっても用量反応関係が平行移動の場合等を含む ) 有効性は客観的な指標で評価可能か? No 医療環境等の外的要因の影響? 重大な影響なし 重大な影響あり 国際開発を進めながら追加的な国内での臨床試験 結果によって 国際共同検証試験 7