マシンコントロール / マシンガイダンス技術の手引書 施工者用 平成 25 年 3 月

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マシンコントロール / マシンガイダンス技術の手引書 施工者用 平成 25 年 3 月

基礎編 1. はじめに 2. 情報化施工技術の動向 ( 一般化 実用化の推進技術 ) 3. マシンコントロール / マシンガイダンス技術の概要 4. 準拠する要領 基準等 適用工種 5. マシンコントロール / マシンガイダンス技術のメリット 6. マシンコントロール / マシンガイダンス技術導入の主要 5ハ ート 7. マシンコントロール / マシンガイダンス技術の構成例

1. はじめに 情報化施工とは 建設事業における施工において 情報通信技術 (ICT) の活用により 高効率 高精度な施工を実現するものである 設計データ (3 次元設計データ等 ) 測量データ ( 現地盤データ等 ) 機械稼働データ ( 稼働時間 走行軌跡等 ) 品質データ ( 計測データ 転圧回数等 ) 出来形 出来高データ ( 計測データと設計データとの差分等 ) などの電子データを有効活用することで 従来の施工プロセスの中で必要であった起工測量 施工 検測 品質 出来形管理の省力化 合理化等の改善を行うことができる 情報化施工の導入によって 施工者は新たな機器 ソフトウェアを購入 ( リース レンタルを含む ) し 新たな施工管理要領等に基づき施工を実施する また 発注者は新たな監督 検査要領等に基づき施工管理 監督 検査を実施する 国土交通省では 平成 25 年度から TS による出来形管理技術 マシンコントロール技術 ( モータグレーダ ) の 2 技術が一般化される予定であり その他の技術についても早期実用化に向けて試験施工を通して課題等を検証しているところです 本事例集は はじめて情報化施工を導入する施工者 発注者でも円滑な施工が可能となることを目的とし 主に情報化施工の実施手順に沿って事例 留意すべき事項 よくある質問等をとりまとめたものである 設計のスリム化 設計設計 調査調査 サプライチェーン全体における ICT を活用した情報共有 連携 維持管理 効率的 効果的な維持管理の実現 施 工 設計データ 機械情報機械情報 出来形 出来高データ 測量データ起工測量の効率化 測量情報出来形情報設計情報現場映像施工情報 施工スケジュール 平面図 2005/10/14 13:005:43 2005/10/14 13:005:43 品質データ 監督 検査の確実な実施施工と同時に品質 出来形データも管理 記録データも管理 記録 機械稼働データ 施工の効率化 施工精度の向上 品質の確保品質の確保 情報化施工の実現イメージ 3

手引きの対象範囲6TSによる出来形管理技術 ( 舗装工 ) 実用化本 2. 情報化施工の動向 国土交通省では 平成 20 年 7 月に策定された 情報化施工推進戦略 ( 情報化施工推進会議 ) に基づき 情報化施工の推進を図っている 参考 URL: http://www.mlit.go.jp/report/press/sogo15_hh_000009.html 平成 22 年 8 月には 各地方整備局等へ 情報化施工技術の一般化 実用化の推進について ( 平成 22 年 8 月 2 日付け国官技第 113 号 国総施第 31 号 ) が通知され MC 技術 ( モータク レータ ) TSによる出来形管理技術 ( 土工 ) をH25 年度以降に一般化を目指す技術とするなど 情報化施工技術の普及を進めてきた 参考 URL: http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/kensetsusekou/ kondankai/ictsekou/100802tsutatsu.pdf 平成 25 年 3 月には 新たな 情報化施工推進戦略 ( 情報化施工推進会議 ) が策定された 本戦略では 情報化施工技術の普及状況を鑑み 以下の技術の普及拡大に向けたスケジュールと 新たな技術の活用促進が重点目標に掲げられている 参考 URL:http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/constplan/sosei_constplan_tk_000017.html 情報化施工技術 H25 年度 ~ H26 年度 H27 年度 H28 年度以降 1MC 技術モータグレーダ 2MC/MG 技術ブルドーザ 3MG 技術バックホウ 4 TS GNSSによる締固め管理技術 5TSによる出来形管理技術 ( 土工 ) 10,000m3 以上の土工を含む工事で 使用原則化 10,000m3 未満の土工を含む工事 一般化一般化 マシンコントロール (MC) 技術 TSやGNSSにより機械の位置を取得し 施工箇所の設計データと現地盤データとの差分に基づき 排土板の高さ 勾配を自動制御する マシンガイダンス (MG) 技術 TS や GNSS により機械の位置を取得し 施工箇所の設計データと現地盤データとの差分を運転席モニタへ提供する TS による出来形管理技術 設計データを搭載した TS を用いて出来形計測を行い 自動で設計データと出来形データとの差分を算出するまた 自動で出来形管理帳票を作成する TS/GNSS による締固め管理技術 TS や GNSS により締固め機械の位置を取得し 走行軌跡や締固め回数をリアルタイムに運転席モニタへ提供する 普及段階にある情報化施工技術 4

参考 情報化施工技術の広がり 情報化施工推進戦略 [H25.3.29]( 情報化施工推進会議 ) より抜粋 新たな 情報化施工推進戦略 では 一般化推進技術および実用化検討技術の普及拡大に加えて 多様な情報化施工技術についても 適用性及び適用効果を検証 評価の上 普及の推進を図る ことを目標に掲げている 情報化施工推進戦略 [H25.3.29]( 参考資料 ) より抜粋 本手引きの対象範囲 多様な情報化施工技術のイメージと本手引きの対象範囲 5

3. マシンコントロール技術の概要 ( モータグレーダ ブルドーザ ) マシンコントロール ( 以下 MC という ) 技術とは 自動追尾式の TS( トータルステーション ) や GNSS( 汎全地測位航法衛星システム ) などの位置計測装置を用いて建設機械の位置情報を計測し 施工箇所の設計データと現地盤データとの差分に基づき 排土板の高さ 勾配を自動制御するシステムである MC 技術が適用される建設機械は モータグレーダとブルドーザである バックホウはブーム アーム バケットなど可動部が多いことや 作業が多様なことから コントロールの自動制御まで行われていない (2013 年度時点 ) 自動追尾式 TS を用いた MC イメージ TS により施工機械の位置を計測し オペレータへ提供 RTK-GNSS を用いた MC イメージ GNSS により施工機械の位置を計測し オペレータへ提供 車載 PC 車載 PC 排土板の自動制御イメージ 現地盤データ 差分 (10cm) MG とはここが違う! 設計データ 現地盤より -10cm の仕上がりとなるように排土板が自動制御される 車載 PC 画面イメージ 各メーカにより異なる 車載 PC に搭載された設計データに対する施工機械位置をリアルタイムに提供 現在位置の設計データに対する差分 ( 切り盛り ) をリアルタイムに提供 -10cm MC 技術を用いた施工イメージ 6

3. マシンガイダンス技術の概要 1/2 ( ブルドーザ バックホウ ) マシンガイダンス ( 以下 MG という ) 技術とは 自動追尾式 TSやGNSSなどの位置計測装置を用いて建設機械の位置情報を計測し 施工箇所の設計データと現地盤データとの差分をオペレータへ提供するシステムである MG 技術が適用される建設機械は ブルドーザとバックホウである 自動追尾式 TS を用いた MG イメージ TS により施工機械の位置を計測し オペレータへ提供 RTK-GNSS を用いた MG イメージ GNSS により施工機械の位置を計測し オペレータへ提供 車載 PC 車載 PC 差分のオペレータへの提供イメージ差分 (10cm) 現地盤データ 排土板の操作は従来通りオペレータが行う 設計データ 車載 PC 画面イメージ 現地盤より -10cm で仕上がるという情報をオペレータへ提供 各メーカにより異なる MC とはここが違う! 車載 PC に搭載された設計データに対する施工機械位置をリアルタイムに提供 現在位置の設計データに対する差分 ( 切り盛り ) をリアルタイムに提供 -10cm MC( ブルドーザ ) 技術を用いた施工イメージ 7

3. マシンガイダンス技術の概要 2/2 ( ブルドーザ バックホウ ) TS を用いた MC イメージ TS により施工機械の位置を計測し オペレータへ提供 GNSS を用いた MC イメージ GNSS により施工機械の位置を計測し オペレータへ提供 車載 PC 車載 PC 差分のオペレータへの提供イメージ 設計データ 現地盤データ 差分 (10cm) 差分を情報提供 ( 例 :+10cm) バケットの操作は従来通りオペレータが行う MC とはここが違う! 車載 PC 画面イメージ 各メーカにより異なる 現地盤より -10cm で仕上がるという情報をオペレータへ提供 車載 PC に搭載された設計データに対する施工機械位置をリアルタイムに提供 現在位置の切り出し位置や設計データに対するバケット位置の差分 ( 切土目標値 ) をリアルタイムに提供 MC( バックホウ ) 技術を用いた施工イメージ 8

4. 準拠する要領 基準等 適用工種 1/2 準拠する要領 基準等 MC/MG 技術を用いた施工の施工管理要領 監督 検査要領等は策定されていない MC/MG 技術を用いた施工では 従来の施工のとおり 河川土工マニュアル (( 財 ) 国土技術研究センター ) 道路土工指針(( 社 ) 日本道路協会 ) 土木工事施工管理基準及び規格値( 国土交通省各地方整備局 ) 等の従来通りの土工の施工管理要領 監督検査要領に準じて実施される MC/MG 技術に関する機器 ソフトウェア等の必要要件も統一されていない 適用工種 技術施工内容建設機械適用工種 MC MG まき出し 敷均し 不陸整正モータグレーダ舗装工 ( 路盤工 ) まき出し 敷均し まき出し 敷均し ブルドーザ ブルドーザ 河川土工 道路土工一部舗装工など 河川土工 道路土工一部舗装工など 掘削 法面整形バックホウ河川土工 道路土工 9

4. 準拠する要領 基準等 適用工種 2/2 適用作業 情報化施工技術の適用可能な作業と工種 道路土工河川土工舗装工 技術名称技術概要対象機種掘削工法面整形工 盛土工 ( 敷均し ) 盛土工 ( 締固め ) 掘削工 法面整形工 盛土工 ( 敷均し ) 盛土工 ( 締固め ) 路盤工 ( 敷均し ) マシンガイダンス技術 ブルドーザ GNSSとセンサ等の組み合わせで建機 作業装置の位置 標高を取得後 設計データとの差分を算出してオペレータに提供する技術油圧ショベル TS( トータルステーション ) やGNS S もしくは回転レーザを用いて 建マシンコントロール技設機械の作業装置の位置 標高を グレーダ 術 リアルタイムに取得し 設計データ との差分に基づき制御データを生成し 作業装置を制御 ブルドーザ TSやGNSSで取得された位置および TSを用いた出来形位置群を 出来形値 ( 基準高 長さ TS 管理技術幅 ) 等に抽出 変換するとともに 設 計データとの差分を算出 提供 ローラ GNSSやTSで建機の位置を取得 TS GNSSを用いたし 平面上に設けたメッシュ毎に締盛土の締固め回数め固め回数をカウントし 試験施工 管理技術 で確認した規定回数との差を オペ レータに提供する技術 ブルドーザ : 文献や国土交通省の試験施工で 情報化施工の実績を有する作業 : 国土交通省の標準積算マニュアルなどで利用可能な機械となっているが技術の適用実績の少ない作業 10

5. MC/MG 技術を用いた施工のメリット 1/2 丁張り削減 検測作業削減 施工作業の簡素化による施工の効率化 従来手法 従来の施工イメージ オペレータは 丁張り及び施工状況を目指確認しながら建設機械を操作 検測状況 設計高さからのオフセットを適宜確認 管理断面 No.3 丁張り MC/MG 技術 管理断面 No.2 管理断面 No.1 現状 検測に労力 時間を要する 施工時間がオペレータの技能に左右される 検測者は重機付近の作業で危険 MC/MG 技術を用いた施工イメージ MC の場合 オペレータの操作は 切盛調整 前後進のみ 排土板は設計データに応じて自動制御 MG の場合 オペレータは 車載モニタより提供される設計データとの差分に応じて建設機械を操作 検測が省略 丁張り設置作業が省略 ( どの位置でも電子的な丁張りが機械に搭載 ) 参考 オペレータによる丁張り 施工状況の目視確認が省略 管理断面 No.2 管理断面 No.1 メリット 丁張り設置 検測作業の省略により施工が効率化する オペレータによる丁張り 施工状況の目視確認の省略により 施工時間がオペレータの技能に左右されず 施工が効率化する 重機付近の作業員を削減でき 安全性が向上 MC/MG( ブルドーザ ) 技術と従来施工との施工量の比較 MC/MGブルドーザ従来施工 日当たり施工量の増加量 A 現場 :540m3/ 日 650m3/ 日 B 現場 :540m3/ 日 840m3/ 日 C 現場 :560m3/ 日 954m3/ 日 D 現場 :560m3/ 日 749m3/ 日効率的に利用すれば施工量が大幅に増加 (1.5 倍に向上 ) 出典 : 情報化施工推進会議第 8 回会議資料資料 4 直轄工事における情報化施工の試験施工 ( 平成 21 年度調査結果 ) ( 情報化施工推進会議 ) 11

5. MC/MG 技術を用いた施工のメリット 2/2 面的で高精度な施工品質の容易な確保 従来手法 従来の施工イメージ 仕上り面と許容値との関係 オペレータは 管理断面の設計値 ( 丁張り ) を目標に施工を実施 管理断面 NO.3 ( 横断図あり ) 出典 : 情報化施工の普及推進 ( 第 3 回 ) セミナー ( 近畿地方整備局 ) 管理断面以外 ( 横断図なし 丁張り無し )= オペレータの熟練度に依存 管理断面 NO.2 ( 横断図あり ) 管理断面 NO.1 ( 横断図あり ) 現状 管理断面 ( 検測位置 ) の施工品質は確保されるが 管理断面ではない部分の施工品質は不明である ( 管理されていない ) MC/MG 技術 MC/MG 技術を用いた施工イメージ MC/MG 共通 車載 PC に搭載された 3 次元設計データのとおりに施工を実施 仕上り面と許容値との関係 管理断面 NO.3 ( 設計データあり ) 管理断面 ( 検測位置 ) 以外の部分でも検測位置と変わらない施工制度が実現する 出典 : 情報化施工の普及推進 ( 第 3 回 ) セミナー ( 近畿地方整備局 ) 管理断面 NO.2 ( 設計データあり ) 管理断面以外 ( 設計データあり ) 管理断面 NO.1 ( 設計データあり ) 3 次元設計データは 任意断面の設計値も保持している メリット 管理断面ではない部分も設計データに基づき施工されるため 施工品質が容易に確保できる ( 面的な品質確保 ) オペレータの技能に依存せず 効率的に高精度な作業を実現できる 12

6. MC/MG 技術の主要 5 パート MC/MG 技術を用いた施工では以下の主要 5 パートの適切な実施により 施工精度を確保することができる 1. システム適用条件の事前調査 (1) 計測障害の事前調査システム適用条件の確認 (2) 測位技術の選定 (3)MC/MGシステムの選定 調達 計測機器 (TS GNSS) の選択 必要機能を有するシステムの選定 TS の場合 無線通信障害がないことを確認 基準局から移動局までの視準の確保 GNSS の場合 無線通信障害がないことを確認 FIX 解データを得る衛星捕捉状態の確保 TS 視準を遮断する既設構造物等がない現場である GNSS 衛星の補足が困難となる狭小部や山間部でない現場である 排土板等の 3 次元位置データ ( 平面位置 高さ 勾配 ) と設計データとの差分を計算し 排土板を設計通りに自動制御する (MC の場合 ) 排土板等の 3 次元位置データ ( 平面位置 高さ 勾配 ) と設計データとの差分を計算し 車載へ提供する (MG の場合 ) 2. 計測精度の確保 (1) 計測精度の確認基準局の設置 TS の場合 計測座標と既知座標とが合致することを確認 GNSS の場合 計測座標と既知座標とが合致することを確認 任意点の計測座標が合致することを確認 (1 箇所を 2 回計測 ) 3.3 次元設計データの作成 (1) 設計図書 ( 平面図 縦断図 横断図 ) 線形計算書の貸与 2 次元 CAD データの照査 (2)3 次元設計データの作成 (3)3 次元設計データの確認 3 次元設計データ作成ソフトウェアにより作成 3 次元設計データの照査 不備の確認 起工測量結果との差異の確認 工事基準点 平面線形 縦断線形 出来形横断面形状を基準点測量結果や設計図書等から作成 施工者が 3 次元設計データの照査 監督職員が基 3 次元設計データの照査結果の確認 3 次元設計データのイメージ 道路中心線形 ( 又は堤防法線 ) 出来形横断面形状 4. 機器取付 システム設定 (1) 建設機械への機器取付 現場調整 機器取付 現場調整 建設機械への機器の適切な取付 排土板幅等の正確な測定 車載 PC への必要情報の入力 (2) 設計データ作成 搭載 設計データ 設計データの建設機械への搭載 5. 施工 (1) 施工精度の確認 排土板等の位置情報の精度確認 (2) 施工 車載 PC の確認 施工機械の操作 施工状況をリアルタイムで確認 13

7. MC/MG 技術の構成例 1/4 位置計測技術 ( 例 ) 自動追尾式 TS 建設機械側に取り付けた全周プリズムを自動追尾式 TS が追尾し 連続的に全周プリズムの位置を計測する 計測結果は無線で建設機械に転送される この方式では 自動追尾式 TS に建設機械が 1 台のセットとして稼働する 移動する機械に設置されたミラーを追従する機能 ( モータ ) が組み込まれている RTK-GNSS 建設機械に取り付けたアンテナ位置の座標を RTK-GNSS を用いて計測する RTK-GNSS の基準局から補正データを無線装置等で受け取る必要がある 補正データは複数の機械に配信可能で アンテナを搭載した移動局側を複数稼働させることができる 自動追尾 TS 方式に比べてやや高さ方向の計測精度が劣る 基準局から補正用の信号が一方的に送信されており 移動局を複数稼働することができる リアルタイムな計測結果では TS に比較して ±3cm 程度とやや劣る ネットワーク型 RTK-GNSS RTK-GNSS の基準局から送信される補正データを 携帯電話やインターネット通信を介して提供する方式 国土地理院が整備している電子基準点を用い 建設機械の近辺に仮想の基準局を設定し 仮想の基準点で得られる受信データの補正データを提供する 建設機械側のシステムは RTK-GNSS と同じで良い 基準点の代わりに 仮想基準点データを受信する受信機 データを作成 配信するベンダーとの契約と通信料が必要となる 精度は RTK-GNSS と同程度であり 自動追尾 TS 方式に比べてやや高さ方向の計測精度が劣る RTK-GNSS+ レーザ装置による高さの補完 RTK-GNSS の高さ方向の精度を自動追尾式 TS 程度まで向上させるために レーザー技術による補完を行う技術である 本技術の利用により 複数の建設機械を同時にかつ高精度にマシンコントロールすることが可能となる 高さの計測をレーザ等で補完する技術で レーザレベル並の高さ精度を実現できる ただし レーザ発信器との視通が必要となる 14

7. MC/MG 技術の構成例 2/4 建設機械への搭載 ( 例 ) MC グレーダ 自動追尾 TS 方式 RTK-GNSS+ 高さ補完の方式 構成例 メリット デメリット 自動追尾式 TS を用いることで 3 次元座標を計測可能で 機器構成がシンプル TS との視通ができない場合は 自動追尾 TS の設置位置を変える必要がある RTK-GNSS で平面位置を計測し 高さをレーザなどの補完装置で計測する RTK-GNSS を利用することで 他の建設機械の MC や MG との併用などを行うことが可能であり 複数台の MC/MG を利用する際などは便利 RTK-GNSS の基準点以外に レーザ計測機器の設置も必要 15

7. MC/MG 技術の構成例 3/4 建設機械への搭載 ( 例 ) MC/MG ブルドーザ 自動追尾 TS 方式 RTK-GNSS 方式 受信機 1 台とブレードの傾斜計の組合せ 構成例 受信機 2 台の組合せ メリット 特徴 デメリット 自動追尾式 TS を用いることで 3 次元座標を計測可能で 機器構成がシンプル 自動追尾式のため ブレードの傾斜は別センサで取得 TS との視通ができない場合は 自動追尾 TS の設置位置を変える必要がある 無線通信の確保も安定した実施上重要である RTK-GNSS を用いることで 複数の建設機械と同時に導入が可能 受信機 1 台の場合は ブレードの傾斜は別センサで取得 受信機 2 台の場合は 片側で位置 片側は向きや傾きの算出に利用する 衛星の受信状況が安定している場所で無ければ利用時間が限定される 無線通信の確保も安定した実施上重要である 16

7. MC/MG 技術の構成例 4/4 建設機械への搭載 ( 例 ) MG バックホウ 自動追尾 TS 方式 RTK-GNSS 方式 構成例 メリット 特徴 デメリット 自動追尾式 TS を用いることで 3 次元座標を計測可能で 機器構成がシンプル 自動追尾 TS1 機で MG バックホウを利用できる TS との視通ができない場合は 自動追尾 TS の設置位置を変える必要がある 回転するバックホウの向きを特定するために 機械の移動後に 45 度程度の旋回を行い 回転中心を算出する必要がある また 機械の移動を伴う場合には その都度 この作業を繰り返す必要がある RTK-GNSS を用いることで 複数の建設機械と同時に導入が可能 受信機 2 台のため バックホウの向きや傾きがリアルタイムに計算できる 衛星の受信状況が安定している場所で無ければ利用時間が限定される 無線通信の確保も安定した実施上重要である TS 式に比べて 基準局 移動局 2 台の計測機器を要する 17

実務編 1. MC/MG 技術を用いた施工の流れ 2. システム適用条件の事前調査時の実務内容 3. 施工計画書作成時の実務内容 4. 工事基準点設置時の実務内容 5. 3 次元設計データ作成時の実務内容 6. 機器取付 システム設定時の実務内容 7. 施工時の実務内容

1.MC/MG 技術を用いた施工の流れ 施工者 発注者 本書の記載範囲 事前調査段階 1. システム適用条件の事前調査 計測障害の事前調査 測位技術の選定 MC/MG システムの選定 調達 準備段階 2. 施工計画書作成 施工計画書の作成 3. 工事基準点の設置 基準局の設置 設計図書等の貸与 監督職員のチェックポイント 提案事項の確認 施工管理手法の把握 4.3 次元設計データの作成 3 次元設計データの作成 5. 機器取付 システム設定 機器取付 キャリブレーション 設計データの搭載 施工段階 6. 施工 システム精度の確認 ( 始業前点検 ) 施工 施工結果の確認 監督職員のチェックポイント 提案事項の履行確認 施工状況の把握 出来形管理 検査段階 出来形管理 ( 従来手法あるいは TS 出来形 ) 19

2. システム適用条件の事前調査時の実務内容 システム適用条件の事前調査時の実施内容と解説事項 フロー 施工者の実務内容 計測障害の事前調査 計測障害の事前調査 ( 解説 1) P21 システムの選定 調達 測位技術の選定 ( 解説 2) P22 MC/MG システムの調達 ( 解説 3)P23 20

解説 1: 計測障害の事前調査 施工者 ~2. システム適用条件の事前調査時の実務内容 ~ 情報化施工機器においては 計測機器と MC/MG 機械の間等 無線通信を利用します 当該現場にて無線通信障害が発生しないことを確認します TS を用いるシステムと GNSS を用いるシステムでは 計測機器の特徴により適用可能な地形条件が異なります 当該現場の条件を十分に確認します 計測障害の事前調査内容 無線の通信障害が起こりやすい現場状況と利用する無線の種類 航空基地 空港周辺 変電所の周辺 違法無線無線の障害の有無は 目に見えないため 工事を行う時間帯などに利用する無線機を利用して確認することが有効です また 利用する無線の出力やアンテナによって 無線の通信可能距離も変わります 現場状況に合わせた無線を準備する必要があります TS システムの適用条件 計測障害の有無 基準局 (TS) と移動局 ( 建設機械 ) との間との視準を遮断する既設構造物等がない 既設構造物等がある場合 視準の遮断を回避できる適度な高低差のある基準局 (TS) 設置場所がある GNSS システムの適用条件 計測障害の有無 衛星の補足が困難となる狭小部や山間部でない ( 上空が開けている ) 衛星電波の多重反射 ( マルチパス ) を発生させる環境でない ( 構造物や法面が隣接していない ) 参考 無線の通信障害について 無線通信には 免許や申請の必要な高出力な無線もあります 利用する無線の種類や出力を事前に確認してください 参考 TS と RTK-GNSS の選定について TSでは 計測機器とMC/MG 機械が1 対 1 RTK-GNSSでは1つの基準局に対して複数のMC/MGを稼働させることができます 現場条件と 必要なシステムを考慮して選定が必要です 21

解説 2: 測位技術の選定 施工者 1/2 ~2. システム適用条件の事前調査時の実務内容 ~ MC/MG 技術を用いた施工に必要な機器 ソフトウェアは 基準局 移動局 に大きく分類され システム販売 レンタル業者では機器 ソフトウェアを一つのシステム単位で製品としている ( 以下 機器 ソフトウェアを総称して MC/MGシステム という ) MC/MGシステムは 測位技術にTSを用いるシステムとGNSSを用いるシステムとがあり それぞれ機器構成が異なる MC/MG システムの機器構成 MC/MG システムの機器構成 基準局 (TS GNSS) TS の場合 GNSS の場合 1 自動追尾 TS 2 座標保管用パソコン 3 データ通信用無線送信アンテナ 1GNSS アンテナ 2GNSS 受信機 3 データ通信用無線送信アンテナ TS で 計測したデータを 2 座標保管用パソコン を介さずに直接移動局へ伝達可能なもの 3 データ通信用無線送信アンテナ が内蔵されたものがある TS の場合 移動局 ( 施工機械 ) GNSS の場合 4 追尾用全周プリズム 5 無線受信機 TS/GNSS 共通 4GNSS アンテナ 5 無線受信機 6 車載 PC 7 バルブ センサ類 MC/MG 技術ごとに取付けるバルブ センサ類は異なる TS を用いる場合の精度 垂直方向で ±5~15mm 程度 (TS と建設機械との距離による ) GNSS を用いる場合の精度 垂直方向精度は ±30~50mm 程度 移動局は施工機械と各機器とをセットで購入 レンタルする方法 各機器のみを購入 レンタルし保有済みの施工機械に取り付ける方法とがある 22

解説 3: MC/MG システムの選定 調達 施工者 ~ 2. システム適用条件の事前調査時の実務内容 ~ MC/MGシステムは 測量器械販売店やリース レンタル店 施工関連のソフトウェアメーカ等より 購入またはリース レンタルにより調達する MC/MGシステムの導入に際して デモ等のサービスを利用し 機能や操作性を事前に確認することを推奨する システムの機能例 車載 PC 各メーカのより異なる 3 次元設計データイメージ 3 次元設計データ保存機能 施工面の平面 縦断 横断の 3 次元設計データを車載 PC に搭載する 車載 PC 画面イメージ MC( モータグレーダ ) MC/MG( ブルドーザ ) 各メーカにより異なる 移動操作支援機能 車載 PC に搭載された設計データに対する施工機械位置をリアルタイムに提供 排土板操作支援機能 現在位置の設計データに対する差分 ( 切り盛り ) をリアルタイムに提供 車載 PC 画面イメージ MG( バックホウ ) 各メーカにより異なる 移動操作支援機能 車載 PC に搭載された設計データに対する施工機械位置をリアルタイムに提供 バケット操作支援機能 現在位置の切り出し位置や設計データに対するバケット位置の差分 ( 切土目標値 ) をリアルタイムに提供 23

3. 施工計画時の実務内容 施工計画時の実施内容と解説事項 本書の記載範囲 フロー 施工計画書の作成 施工者の実務内容 施工計画書の作成 ( 解説 1)P25 監督職員の実務内容 提案事項の確認 施工管理方法の把握 24

解説 1: MC/MG 技術を用いた施工に関する施工計画書の作成 施工者 ~3. 施工計画時の実務内容 ~ MC/MG 技術を利用するための特別な記載は必要ありません ただし 技術提案などで提案している場合は 利用するシステム 利用する範囲を記載してください 現場で施工状況を確認する方法を記載します ( 推奨事項 ) 利用範囲に制限を設ける場合は 施工前の協議で受発注者で確認しておくと良いでしょう 施工計画書への記載事項等 (1) 土木工事共通仕様書 1 1 4 施工計画書 の規定に基づき 使用する施工機械に関する情報を記載する 技術提案などで MC/MG 技術の利用を提案している場合は 選定した MC/MG システムのメーカ 型番 構成機器等を記載する また システムの機能および精度が確認できる資料 ( メーカパンフレット等 ) を添付しておくと解りやすいでしょう 技術提案などで MC/MG の導入を提案している場合 利用するシステムの特徴や現場の制約条件から 現場の一部で利用しか利用できない場合もあります 利用が制限される理由と利用範囲についても明記しておくと解りやすいでしょう MC/MG 技術では 現場で施工状況を確認するための目印が少なくなります 施工者と発注者が作業状況を容易に確認でき 進捗などの状況を共有することが現場の円滑な運用には不可欠です 現場で施工状況を確認する方法 ( 例 ) としては 以下の様な方法もあります 1MC/MG の画面 ( 設計値との差が表示される ) で確認する 2 チェックのための目印 ( 丁張り ) を数カ所に設置する 3TS 出来形を利用して確認する 施工時の目標や確認の頻度を記載する ( 例 ) MC/MG を導入するだけでは仕上り厚を確保しているかどうか解りません どのように状況を確認するかが重要です 例 ) 目標値との差が 0~+5cm となるように仕上げる 仕上げは 当該施工日の実施範囲のうち 3 カ所で実施する 参考 計測機器やシステムのトラブル時の対応について 施工計画書への記載は不要ですが 計測機器や無線通信のトラブルが発生した場合の対応方法も立案しておくことが重要です 25

4. 計測精度の確認時の実務内容 計測精度の確認時の実施内容と解説事項 フロー 基準局の設置 施工者の実務内容 工事基準点の設置基準局の設置 (TS を用いる場合 ) ( 解説 2) P27 基準局の設置 (GNSS を用いる場合 )( 解説 3) P28 26

解説 1: 基準局の設置 (TS を用いる場合 ) 施工者 ~4. 計測精度の確認時の実務内容 ~ TS を用いた MC/MG 技術を用いた施工では 基準局 (TS) の 3 次元座標値を基に移動局 ( 建設機械 ) の位置情報を算出する 適切な計測精度を確保できる基準局 (TS) の設置が重要である 基準局 (TS) は 視準 移動局との距離 に留意して設置する 基準局 (TS) と移動局 ( 締固め機械 ) とは 1 対 1 の組み合わせとなる 複数の施工機械により施工する場合 移動局の輻輳 を防ぐため施工範囲を分ける必要がある 基準局の設置時の留意点 (TS を用いる場合 ) 視準の確保 移動局との距離に関する留意点 基準局 (TS) 工事基準点 適切でない基準局 (TS) 例 障害物により 基準局から移動局までの視準が確保できていない 移動局 ( 施工機械 ) 基準局 (TS) 適度な高低差のある TS 設置場所があれば 視準の遮断を回避できる 自動追尾が可能な距離 (TS の性能による ) ( 極端に近いと追尾が解除されやすい ) 工事基準点 作業用車輌等の通過を妨げない位置に基準点を設置する揺れや振動の影響を受けない位置 移動局の輻輳による自動追尾の失敗イメージ 移動局 ( 施工機械 )B 基準局 (TS)B 移動局 ( 施工機械 )A 工事基準点 B 移動局同士の接近により 別の移動局を追尾してしまう ( 輻輳 ) 基準局 (TS)A 工事基準点 A 27

解説 2: 基準局の設置 (GNSS を用いる場合 ) 施工者 ~4. 基準局の設置時の実務内容 ~ RTK-GNSS を用いた MC/MG 技術を用いた施工では 基準局 (GNSS) の 3 次元座標値を基に移動局の位置情報を算出する 適切な計測精度を確保できる基準局 (GNSS) の設置が重要である 基準局 (GNSS) は 衛星捕捉状態 衛星電波の多重反射 ( マルチパス ) に留意して設置する 基準局の設置時の留意点 (GNSS を用いる場合 ) 衛星補足数の確保 マルチパスの回避に関する留意点 GNSS 衛星 法面反射によるルチパスが発生 基準局 (GNSS) 適切でない基準局 (GNSS) FLOT 解を得る衛星捕捉状態 衛星捕捉数 2 個 工事基準点 マルチパスの原因となる建物や法面等の近くでない FIX 解とは 利用可能な衛星数が一定以上の場合に得られる精度が保証された位置測定結果である FLOT 解とは 利用可能な衛星数が少ない等により精度が悪い状態で得られた位置測定結果である FIX 解データを得る衛星捕捉状態 GPS のみの場合 衛星捕捉数 5 個以上必要 ( 共通衛星 ) GPS+GLONASS の場合 衛星捕捉数 6 個以上必要 ( それぞれ 2 衛星以上用いること )( 共通衛星 ) 参考 衛星補足数の予測ソフトウェアについて 測量機器メーカ等により 衛星補足数を予測するソフトウェアが販売 無償公開されている 参考 マルチパス対策の進んだ GNSS 受信機について マルチパス対策の進んだ GNSS 受信機が開発されているため マルチパスの恐れがある場合は GNSS 受信機を適切に選定する 28

5.3 次元設計データ作成時の実務内容 3 次元設計データ作成時の実施内容と解説事項 フロー 3 次元設計データの作成 設計図書の照査 3 次元設計データの種類 ( 解説 1) P30 施工者の実務内容 29

解説 1:3 次元設計データの作成 施工者 ~5.3 次元設計データ作成時の実務内容 ~ MC/MG 技術に搭載する 3 次元設計データを作成する 3 次元設計データには 主に 路線 と TIN の 2 つの入力方法がある 主に線形構造物では 路線 面的な施工を行う工事では TIN が多く用いられる データ作成は 専用のソフトウェアに入力する場合と CAD ソフトなどで TIN データを作成して転送する方法がある 最近では TS 出来形のシステムから出力できる場合もある ( 利用するシステムにより異なるので 各メーカに問い合わせる ) 路線ファイル TIN ファイルのイメージ 路線ファイルイメージ 道路中心線形 ( 又は堤防法線 ) 道路土工 河川土工では 路線データ を用いたデータ作成することが多い 線形に沿って横断形状をあてはめながら 3 次元の設計値を算出するので曲線部などもなめらかに算出できる特徴がある 出来形横断面形状 データ作成前に目標となる横断形状を抽出 作業段階の 盛りこぼし等を考慮し データの作成範囲に注意 TIN ファイルイメージ TIN は直線で構成される 曲面部は小さく分割することで曲面に近似される 駐車場 広場 飛行場の舗装工事では TIN ファイル を利用することが多い 出典 : 情報化施工の実務 ( 社団法人日本建設機械化協会 ) 面的な施工を行う工事では 高さや水勾配のコントロールポイント (TIN を構成する 3 次元座標値 ) を抽出して作成できる線形構造物に適用する場合は 横断勾配の変化が大きい箇所や曲線部などでは作成間隔を密にするなどの工夫を行う 30

6. 機器取付 システム設定時の実務内容 機器取付 システム設定時の実務内容と解説事項 フロー 機器取付 施工者の実務内容 建設機械への機器取付 ( 解説 1) P32 キャリブレーション キャリブレーション ( 解説 2) P33 精度確認 排土板等の位置精度の確認 ( 解説 3) P34 P35 31

解説 1: 建設機械への機器取付 施工者 ~6. 機器取付 システム設定時の実務内容 ~ MC/MG システムの構成機器を建設機械に取付ける ( 利用するシステム毎に 詳細が異なっているので 各機器の取り扱い説明による ) 機器等が取付済みの施工機械を購入またはリース レンタルする場合は 実施することない 主な機器取付の内容 機器取付の流れ 工場等での事前取付 排土板を制御するバルブ センサ類 各機器を接続するケーブル コントロールボックスはポール等の建設機械への取付のためのブラケット ( 取付用台座 ) 現場での取付 車内への機器取付け 車載 PC( コントロールボックス ) ケーブルでバルブ センサ類と接続する 無線受信器 ケーブルで車載 PC と接続する 車外への機器取付け 全周プリズム ( ポール付き )(TS の場合 ) GNSS アンテナ (GNSS の場合 ) 車内への機器取付状況 車外への機器取付状況 機器メーカやリース レンタル会社では 機器購入者 リース レンタル者を対象に有償又は無償で機器取付 キャリブレーション等を実施している 32

解説 2: キャリブレーション 施工者 ~6. 機器取付 システム設定時の実務内容 ~ 機器取付後 排土板幅等の測定 各センサの設定を実施し 必要情報を車載 PC へ入力する ( 利用するシステム毎に 手順が異なっているので 各機器の取り扱い説明による ) 主なキャリブレーションの内容 キャリブレーションの流れ 建設機械の寸法測定 全周プリズム又は GNSS アンテナ中心から排土板等下端 排土板の幅 ( モータグレーダ ブルドーザ ) アーム寸法等各可動部のピン間の寸法 バケット寸法等を測定 ( バックホウ ) 車載 PC の設定 マシン設定 建設機械の種類 センサ類のタイプ 建設機械の寸法を車載 PC に入力 センサ設定 排土板等の位置を調整し 各センサの値を車載 PC に入力 全周プリズム中心から排土板下端の測定状況 排土板幅の測定状況 機器メーカやリース レンタル会社では 機器購入者 リース レンタル者を対象に有償又は無償で機器取付 キャリブレーション等を実施している 33

解説 3: 排土板等の位置精度の確認 施工者 1/2 ~6. 機器取付 システム設定時の実務内容 ~ MC/MG 技術を搭載した建設機械が適切な施工精度を有しているかを施工着手前に確認する 施工精度は 排土板等位置を設計値に合わせ 車載 PCに表示されている座標値と排土板等の位置をTS 等で測定した実測値との差分により確認する 施工精度の確認方法 (MC( モータグレーダ ) MC/MG( ブルドーザ )) 確認方法イメージ 車載 PC に表示される座標値を確認 車載 PC 座標 2(x2,y2,z2) ミラー 車載 PC 表示座標と実測座標との差分を確認 座標 1(x1,y1,z1) TS 等により排土板下端の座標値を計測 参考 位置精度の確認 TS の他にも 既設の丁張りと確認する方法や 確認用の基準点を設置しておく方法もある 34

解説 3: 排土板等の位置精度の確認 施工者 2/2 ~6. 機器取付 システム設定時の実務内容 ~ MG( バックホウ ) 技術の場合 バケット角度 バックホウ姿勢等の違いで施工精度が異なる 施工精度は バケット角度 バックホウ姿勢等を条件を変えながら バケット位置を設計値に合わせ 車載 PCに表示されている座標値とバケットの位置をTS 等で測定した実測値との差分により確認する 施工精度の確認方法 (MG( バックホウ )) 確認方法イメージ 車載 PC に表示される座標値を確認 車載 PC 座標 2(x2,y2,z2) ミラー 車載 PC 表示座標と実測座標との差分を確認 座標 1(x1,y1,z1) TS 等によりバケットの座標値を計測 確認状況 確認条件 ( 例 ) 35

7. 施工時の実務内容 施工時の実施内容と解説事項 フロー 始業前点検 本書の記載範囲 施工者の実務内容 施工精度の確認 対処 ( 解説 1) P37 監督職員の実務内容 施工 施工状況 結果の確認 ( 解説 2)P38 技術提案事項の実施 施工状況の把握 36

解説 1: 施工精度の確認 対処 施工者 ~7. 施工時の実務内容 ~ 施工期間中 は作業開始前に排土板等の位置取得精度を適宜確認する 排土板等の位置取得精度が低下している場合 要因を確認し 再度 キャリブレーション やねじの増し締め等の機器点検を実施する 施工精度の簡易確認方法 施工精度の簡易確認状況 車載 PC 上に表示される座標値と既知座標とが一致することを確認 排土板等の位置取得精度の低下要因 移動局 ( 建設機械 ) 側の要因 (1) 排土板等の摩耗による排土板等寸法の変化 (2) 建設機械のピン支承の摩耗による機械ガタの増加 (3) 全周囲プリズム (GNSS アンテナ ) のねじの緩み 変形による設置位置のずれ 故障等 (4) 無線受信アンテナのねじの緩み 変形による故障等 (5) センサのねじの緩み 変形による設置位置のずれ 故障等 (6) 機器取付用ケーブルの緩み 損傷等 基準局 (TS 又は GNSS) 側の要因 (1) 基準点の揺れ 振動 (2)TS GNSS アンテナ設置位置のずれ (3)TS GNSS アンテナの故障 バッテリー切れ等 (4) 無線送信装置の故障等 バッテリー切れ等 37

解説 2: 施工状況 結果の確認 施工者 ~ 7. 施工時の実務内容 ~ MC/MGシステムの稼働状況と施工結果をシステム画面などで確認する 比較対象となっている3 次元設計データの内容を把握しておく システム画面での確認例 車載 PC 各メーカのより異なる 3 次元設計データイメージ 3 次元設計データ保存機能 施工面の平面 縦断 横断の 3 次元設計データを車載 PC に搭載する 計測値と設計値の比較 車載 PC 画面イメージ MC( モータグレーダ ) MC/MG( ブルドーザ ) 各メーカにより異なる 移動操作支援機能 車載 PC に搭載された設計データに対する施工機械位置をリアルタイムに提供 車載 PC 画面イメージ MG( バックホウ ) 各メーカにより異なる 排土板操作支援機能 現在位置の設計データに対する差分 ( 切り盛り ) をリアルタイムに提供 測位システムの稼働状況確認機能 測位システムの状態や通信の状況をリアルタイムに提供 移動操作支援機能 車載 PC に搭載された設計データに対する施工機械位置をリアルタイムに提供 バケット操作支援機能 現在位置の切り出し位置や設計データに対するバケット位置の差分 ( 切土目標値 ) をリアルタイムに提供 38

参考資料 1. 施工者のインセンティブとなる制度 2. 情報化施工機器調達に関する支援制度 3. 用語集

参考資料 1. 施工者のインセンティブとなる制度 総合評価落札方式による評価 ( 平成 22 年度 ~) 総合評価落札方式において 情報化施工を実施する施工者の評価が向上するように評価項目が設定される 総合落札方式における評価項目の設定方法 工事区分 発注者指定型工事 施工者希望型工事 内容 情報化施工技術の活用 を技術提案の指定テーマとして積極的に設定する 平成 25 年度に一般化する情報化施工技術が活用される工事 発注者指定型工事を除く情報化施工技術の活用が想定される全ての工事において 情報化施工技術の活用 を評価項目として設定する 早期実用化が予定される情報化施工技術が活用される工事 情報化施工技術の活用 を評価項目として設定しない ただし 技術 機器の普及状況等を考慮し 評価項目を設定する 請負工事成績評定における評価 ( 平成 21 年度 ~) 請負工事成績評定において 発注者指定型工事 施工者提案型工事ともに施工者の評価が向上する 請負工事成績評定における評価方法 区分 情報化施工技術が新技術 (NETIS) に登録の有るケース 情報化施工技術が新技術 (NETIS) に登録の無いケース 内容 主任技術評価官の 考査項目 創意工夫 に関する評価 最大 6 点の加点 新技術活用 による加点が最大 4 点 施工 による加点が 2 点 主任技術評価官の 考査項目 創意工夫 に関する評価 最大 2 点の加点 施工 による加点が 2 点 参考 : 情報化施工活用で加点の場合の評定点数 (100 点満点 ) 6 点加点された場合 :6 点 0.4=2.4 点 4 点加点された場合 :4 点 0.4=1.6 点 2 点加点された場合 :2 点 0.4=0.8 点 使用原則化技術の請負工事成績評定について ( 平成 25 年度 ~) 創意工夫における 施工 において 使用原則化技術の活用による加点は行われない なお 使用原則化技術の活用により施工状況などで効果が確認できるときは 引き続き適正かつ的確な評定を実施される 対象技術 (H25.3 月時点 ):TS による出来形管理技術 ( 土工 ) ( ただし 10,000m3 以上の土工を含む工事 ) 40

参考資料 2. 情報化施工機器調達に関する支援制度 IT 活用促進資金 情報化施工により 施工の効率化 合理化を図る場合には 当該関連機器の購入 賃借の際に ( 株 ) 日本政策金融公庫 の低利 長期の融資制度の対象となる 参考 URL: http://www.jfc.go.jp/c/jpn/search/40.html#gaiyo IT 活用促進資金の概要 中小企業 ( 資本金 3 億円以下又は従業員 300 人以下 ) の建設業者であれば以下の額の範囲内で利用可能である 直接貸付 :7 億 2 千万円 代理貸付 :1 億 2 千万円 ( 民間金融機関による代理貸付 ) 長期固定の低利融資制度で 以下の特別利率が適用される 中小企業事業 :1.45% 国民生活事業 :1.80%( 貸付期間 5 年以内の場合 ) ( 例 ) ブルドーザのマシンコントロールシステム 1 制御システム車載モニター 受光器 2 制御装置の取付改造排土板自動制御 ブルドーザ本体 ( 建設機械 ) 3 トータルステーション ( 自動制御 出来形計測用 ) 建設機械本体は本制度の対象となりません 41

参考資料 3. 用語集 1/3 TS 用語 内容 トータルステーション (Total Station) の略 1 台の機械で角度 ( 鉛直角 水平角 ) と距離を同時に測定することができる電子式測距測角儀のことである 計測した角度と距離から未知点の座標計算を瞬時に行うことができ 計測データの記録及び外部機器への出力ができる 出来形管理用 TS 基本設計データ道路中心線形法線平面線形縦断線形出来形横断面形状出来形計測データ 現場での出来形の計測や確認を行うために必要な TS TS に接続された情報機器 ( データコレクタ 携帯可能なコンピュータ ) 及び情報機器に搭載する出来形管理用 TS ソフトウェアの一式のことである 基本設計データとは 設計図書に規定されている工事目的物の形状 出来形管理対象項目 工事基準点情報及び利用する座標系情報などのことである 基本設計データは 設計成果の線形計算書 平面図 縦断図及び横断図から 3 次元データ化したもので (1) 道路中心線形又は法線 ( 平面線形 縦断線形 ) (2) 出来形横断面形状で構成される 道路の基準となる線形のこと 平面線形と縦断線形で定義され 基本設計データの一要素となる 堤防 河道及び構造物等の平面的な位置を示す線のこと 平面線形と縦断線形で定義され 基本設計データの一要素となる 平面線形は 道路中心線形又は法線を構成する要素の 1 つで 道路中心線形又は法線の平面的な形状を表している 平面線形の要素は 道路中心線形の場合 直線 円曲線 緩和曲線 ( クロソイド ) で構成され それぞれ端部の平面座標 要素長 回転方向 曲線半径 クロソイドのパラメータで定義される 縦断線形は 道路中心線形又は法線を構成する要素の 1 つで 道路中心線形又は法線の縦断的な形状を表している 縦断形状を表す数値データは縦断図に示されており 縦断線形の要素は 道路中心線形の場合 縦断勾配変位点の起点からの距離と標高 勾配 縦断曲線長又は縦断曲線の半径で定義される 平面線形に直交する断面での 土工仕上がり 法面等の形状である 現行では 横断図として示されている 出来形管理用 TS で計測した 3 次元座標値及び計測地点 ( 法肩や法尻など ) の記号を付加したデータのことをいう 出来形計測データと基本設計データとの対比により 出来形管理を行う 42

参考資料 3. 用語集 2/3 用語 基本設計データ作成ソフトウェア 出来形管理用 TS ソフトウェア 出来形帳票作成ソフトウェア 締固め管理システム GNSS RTK GNSS( リアルタイムキネマティック ) 管理ブロックサイズ 締固め回数分布図 走行軌跡図 内容 従来の紙図面等から判読できる道路中心線形又は法線 横断形状等の数値を入力することで 基本設計データを作成することができるソフトウェアの総称 出来形管理用 TS の情報機器 ( データコレクタ 携帯可能なコンピュータ ) に搭載されたソフトウェア 基本設計データを入力することで 現場において効率的に出来形計測が行える情報を提供すると共に 計測結果を施工管理データ ( 基本設計データと出来形計測データの XML 形式 ) として出力することができる 基本設計データと出来形計測データから 出来形帳票の自動作成と出来形管理データ (PDF ファイル ) 及び施工管理データ (XML ファイル ) の出力が可能なソフトウェアの総称 基準局 (TS GNSS) 移動局 ( 締固め機械 ) 管理局 ( 現場事務所等 ) で構成される盛土の締固め管理を行うシステムの総称 GPS( 米 ) GLONASS( 露 ) GALILEO(EU 計画中 ) など 人口衛星を利用した測位システムの総称 情報化施工にて取り扱う GNSS は 移動局の位置座標を正確に測定する必要があることから リアルキネマティック (RTK GNSS) 測位手法を基本とする 計測位置の GNSS( 移動局 ) と 既知点に設置した GNSS( 基準局 ) の 2 台を用いて 実時間 ( リアルタイム ) で基線解析を行うことで より高精度に計測位置の座標を取得できる装置 TS GNSS を用いた締固め管理 にて施工範囲 ( 締固めを行う域内 ) を 使用する締固め機械により定められたサイズの正方形の領域に分割したもの 締固め管理システムで自動作成されるもので 締固め範囲の全面を確実に規定回数だけ締固めたことを視覚的 ( 色 ) で確認するための日常管理帳票の 1 つ 締固め回数分布図と対となって自動作成されるもので 締固め回数分布図の信頼性およびデータ改ざんの有無を確認するための日常管理帳票の 1 つ 43

参考資料 3. 用語集 3/3 用語ログファイル 3 次元設計データ XML 内容 締固め回数管理で得られる電子情報で 締固め機械の作業中の時刻とその時の位置座標を記録したもの 電子データ形式で保管する マシンコントロール (MC)/ マシンガイダンス (MG) 技術 でシステムに搭載する電子データ extensible Markup Language の略称 コンピュータ言語の一種 44