平成 23 年度消防防災 GIS サポーター事業報告書 自治体名 所属部課通信指令課役職課長補佐 氏名藤田武則 活用内容現地災害対策本部と本庁間の情報共有実験 1 経緯消防防災 GISには情報共有手段として 消防科学総合センターのサーバ ( 以下 センターサーバ とする ) 利用 庁内サーバ利用 の二方式が準備されている しかし 訓練での使用や防災関連データをセンターサーバに公開することに抵抗感がある場合 インターネット接続環境によってはセンターサーバに接続できない場合 また 庁内サーバの設置が困難な場合などに 上記二方式の情報共有手段以外の方式として 平成 22 年度はオンラインストレージ利用の可能性について実験し 利用可能であることが確認できている 平成 23 年度は 常設のインターネット接続や庁内サーバが利用できない防災訓練会場から 携帯電話網を介してインターネット接続し 本庁との間でオンラインストレージによる情報共有が可能であるかの検討実験を行った 2 実験概要 (1) 日時平成 23 年 10 月 16 日 ( 日 ) 午前 8 時から11 時 (2) 場所 現場側白山ろく地域防災訓練会場石川県白山市瀬戸白山市立白嶺小中学校グラウンド 1 本庁側白山石川広域消防本部通信指令室石川県白山市三浦町 1 白山石川広域消防本部 は 平成 23 年 11 月 11 日に構成団体の 野々市町 が 野々市市 に市制移行したことに伴い ( はくさんののいちこういきしょうぼうほんぶ ) に名称変更している (3) 使用機器とインターネット接続方法 ( 図 1) 現場側ノートパソコン 1 台消防防災 GISインストールオンラインストレージ (SugarSyncでファイル共有設定) モバイルWiFiルーター ( バッファロー DWR-PG) 1 台アサヒネットハイスピードモバイル接続 (FOMA) でインターネット接続訓練場所付近での規格最大値 : 下り最大 7.2Mbps 上り最大 384kbps
本部側ノートパソコン 1 台消防防災 GISインストールオンラインストレージ (SugarSyncでファイル共有設定) NTT 西日本フレッツ光 OCNでインターネット接続された有線ルーターに LAN 接続 現場側 図 1 機器接続イメージ 本庁側 (3) 実験手順現地側は 防災訓練会場の現地災害対策本部が収集した被害状況並びに対応状況を 消防防災 GISの地図 時系列表に登録 本部側は 地震の規模 各地の震度並びに 市役所災害対策本部の対応 消防本部の対応を消防防災 GISの時系列表に登録 現地側 本部側の双方で 他方が入力した情報の確認を実施 ( 写真 1 写真 2) 写真 1 現場側の状況 写真 2 本庁側の状況 3 実験結果一方のパソコンで情報入力してから他方のパソコンに反映されるまで 1 分から2 分程度のタイムラグはあったものの 時系列一覧 地図ポイントともに共有できることが確認できた このタイムラグは 固定間接続の場合と同程度であり 携帯電話網の速度でも情報共有には十分な速度があると考えられる
効果常設のLANがない防災訓練会場に設置した携帯電話網を介してインターネット接続し 本庁との間でオンラインストレージを利用した情報共有の利用実験を行い 利用可能であることが確認できた 実際の災害時においては 携帯電話網の不通も考えられるが GISに蓄積したデータを携帯電話網が復旧した時点で共有することが可能と考えられる また 今後テザリング機能のあるスマートホンが増えれば モバイルWiFiルーターを用意する必要がなくなり 利用しやすくなると思われる 今後の課題 1 実災害で活用するために東日本大震災では当消防本部も緊急消防援助隊として派遣されたが ここでの活用ができなかった ( 理由 ) 派遣隊員に消防防災 GISの使用経験がなかったため 持参させられなかった 派遣先が出動時点と変更になったため 該当地区の地図設定が迅速に行えなかった 当時の地図では派遣場所の地図が粗く 実用的でなかった ( 現在は バージョンアップにより ある程度は解決されている ) 本 GISに期待すること 1 パソコン単体で利用できることは 災害時に通信インフラが途絶えた場合でも 情報の整理が可能であるという利点があるが 一方 処理速度の遅いパソコンでは地図の表示に時間がかかることもあり Webベースのシステム利用が可能になれば 能力の高くないパソコンでもスムーズな利用ができるのではと考えます 2 実災害使用例の紹介実際の災害時に消防防災 GISを使用した事例を紹介いただければ 自治体の活用促進につながり 消防防災 GISの更なる普及が図れると思われます
平成 23 年度消防防災 GIS サポーター事業報告 現地災害対策本部と本庁間の情報共有実験 藤田武則 1 消防防災 GIS 標準の情報共有手段 センターサーバの利用 庁内サーバの利用 2 出典 : 消防防災 GIS 紹介用リーフレット
消防防災 GIS 標準の情報共有手段 なぜ? どんな時? センターサーバ 訓練使用のためらい 災関連データ公開の抵抗感 センターサーバに接続できない環境 庁内サーバ ファイヤーウォールが通過できない 高度のネットワーク知識 参加自治体の庁内 LANの理解 3 平成 22 年度の実験 拠点間での情報共有 オンラインストレージ MDB フォルダ 白山市役所 野々市町役場 4 白山石川広域消防本部 オンラインストレージに置いた MDB フォルダを 各パソコンから同期することで 情報共有が可能となった
平成 23 年度の実験 防災訓練現場と本庁間の情報共有 日時平成 23 年 10 月 16 日 ( 日 ) 午前 8 時 ~ 午前 11 時 場所 現場側 本庁側 白山ろく地域防災訓練会場白山市瀬戸白山市立白嶺小中学校グラウンド白山石川広域消防本部通信指令室白山市三浦町 使用機器 現場側 ノートパソコン モバイルWiFiルーター 本庁側 ノートパソコン 有線ルーター 5 実験機器の接続イメージ オンラインストレージ 現場側 MDB フォルダ jikeiretsu フォルダ 本庁側 WiFi 3G パソコン モバイル WiFi ルーター 有線ルーター パソコン 6
防災訓練の風景 7 現場側機器 モバイル WiFi ルーター 操作用パソコン 8
現場側の状況 9 モバイル WiFi ルーター 操作用パソコン 見学者用ディスプレイ 本庁側の状況 別パソコンによる時系列画面の拡大表示 操作用パソコン地図画面を表示中 10
実験結果 時系列一覧 地図ポイントともに共有できることが確認できた 他方のパソコンに反映されるまでのタイムラグ 1~2 分 ( 固定間接続と同程度 ) 11 携帯電話網使用の効果 実際の災害時には 携帯電話網の不通も考えられるが GISに蓄積したデータを携帯電話網が復旧した時点で共有することが可能 今後テザリング機能のあるスマートホンが増えれば モバイル WiFiルーターを用意する必要がなくなり 利用しやすくなる 12
今後の課題 ( 反省点 ) 実災害で活用できなかった東日本大震災では 当消防本部も緊急消防援助隊として派遣されたが ここでの活用ができなかった ( 理由 ) 派遣隊員に消防防災 GIS の使用経験がなかった 派遣先が出動時点と変更になかったため 該当地区の地図設定が迅速に行えなかった 当時の地図では派遣場所の地図が粗く 実用的でなかった ( 現在は バージョンアップにより ある程度は解決されている ) 13 消防防災 GIS に期待すること Web ベースでの操作 処理能力の高くないパソコンでもスムーズな利用ができるのでは 実災害時の使用例紹介 災害の早期から 実際に消防防災 GISを使用した事例の紹介 他の自治体の活用促進につながる 消防防災 GIS の更なる普及が図れるのでは 14
15 おわり