1. 各国法情報 1.1. Canada(CA) 2017 年 9 月 21 日付の特許法改正により 特許権存続期間の延長制度が導入されました 最長で 2 年の延長が可能です 1.2. Egypt(EG) 2017 年 10 月 15 日以降 エジプト特許庁は商標に関連する印紙代を値上げしました 1.3. European Union(EM) 2017 年 10 月 1 日付で 欧州連合商標システムに 3 つの大きな変更があります (1) 2017 年 10 月 1 日以降の商標登録出願時に 写実的表現要件は課されません つまり 表現が明確で 適切で 自己完結しており 容易にアクセス可能で 明瞭で 色あせることなく そして客観性があるものである限り 一般的に利用可能な技術を使用する適切なフォームを用いて商標を表現することが可能です (2) 証明商標が導入されます (3) 以下の項目に関する手続上の変更が適用されます a. 優先権欧州連合商標登録出願と同時に 優先権主張を行う必要があります 優先権の主張に係る書類を提出するための基準日が出願日に変更されました b. 従属クレームとしての使用による識別力出願人は 出願過程の最初に又は後で 従属クレームとして又はそれに代わるものとして EUTMR の 7 条 (3) を行使しても構いません c. 異議申立と取消手続識別力が正当化される場合を除き 異議申立及び取消手続に関する規定が整えられています d. オンラインでの立証欧州連合知的財産庁によって認識されたオンライン上の情報を参考にして 先商標権や国内法が存在することの証明を提供することが可能です 欧州連合知的財産庁は国内及び EU 域内の各国特許庁のデータベースの全てを認識します e. 言語と翻訳具体的な証拠の翻訳は 欧州連合知的財産庁又は第三者によって求められた場合に限り 必要となります 具体的な証拠 ( 出願 登録及び更新の証明書又は関連法規 ) を 手続言語で提出する必要があります ( 係属中に提出する必要があります ) 当事者によって指し示された書類の関連部分のみに翻訳を限定することが可能です 1/5
f. 救済手段としての EU 商標の譲渡 2017 年 10 月 1 日より EU 商標の譲渡は 代理人又は登録代理人が商標権者からの権限なしに EU 商標を登録する場合の代替的な救済手段となります 譲渡は EUTMR60 条の手続 ( 無効手続と同様 ) に従います この 2 つの手続を統合することが可能です g. 欧州連合知的財産庁との応答欧州連合知的財産庁との応答手段が改善されました 旧フォーム ( 手渡しおよび郵便ボックスへの預入 ) は廃止され 電子手段 ( 電子出願 ) やクーリエ便 郵便による通知といった広い手段に置き換わりました ファックスは電子手段として定義されていますが 2018 年 1 月 1 日より 出願又は更新を行うためにファックスを使用することはできません 技術的な故障のため 仮に電子出願を行うことができない場合には 最大 3 営業日以内に同じ出願を電子出願で再提出する場合に限り 出願日を確保するためのバックアップシステムとして出願人はファックスを使用することが可能です 更新手続においては 最初の期限前又は更新のために延長された法定の期限前 3 営業日以内に更新申請をファックスで提出する場合に限られています 1.4. Gulf Cooperation Council (GC) 湾岸協力会議 ( バーレーン クウェート オマーン サウジアラビア及びアラブ首長国連邦 ) の加盟国は5% の付加価値税を導入します 現在のところ 付加価値税の制度がいつ施行され どの程度の金額となるかは不明確です 1.5. Indonesia (ID) インドネシア政府は知的財産権に関する印紙代の値上げを検討しています 2017 年 10 月 2 日付で インドネシア政府は世界知的所有権機関の事務局長へインドネシアをマドリッドシステムの 100 番目の加盟国とするマドリッド協定議定書への加入の受託書を寄託しました 本議定書は 2018 年 1 月 2 日にインドネシアで施行されます 1.6. Iraqi Kurdistan イラククルディスタン地域のための独立した住民投票が 2017 年 9 月 25 日に行われました イラクからの分離の流れにしたがい エルビルに所在する商標局は全ての業務を今後の通知を行うまで一時中止しました 1.7. Israel (IL) 2017 年 8 月 7 日に新しい意匠法が公布され 2018 年 8 月 7 日に施行されます 新法にお いては 保護期間は更新次第で最大 25 年となります 旧法で登録された意匠に関する限り 2/5
新法は保護期間を最大 18 年 (15 年ではなく ) 認める追加の 3 年延長を認めています 追 加の更新期間は 2017 年 8 月 7 日時点で有効な全ての登録に適用されます 1.8. Morocco(MA) 2017 年 10 月 17 日に印紙代が値上がりしました 1.9. Myanmar(MM) 商標法案が通過し 2017 年度末に施行するとされています 先願主義に基づいた公式で実 体審査を伴う登録システムが導入されます 商標は 10 年の保護期間となります 所有権の宣誓書を提出することで 1908 年の登録法に基づいて登録された既存の商標は 自 動的に新しい登録に置き換わりません このような商標の再登録のための過渡期が設けら れています 1.10. Qatar(QA) カタール商標局は商標登録出願手続をアップデートしました 現在 オンラインで商標登録出願を行うことが可能です 提出が必要となる書類はオンラインでアップロードされ 書類の原紙はオンライン出願日から最大で 1 月の間に提出可能です オンライン手続は更新や名義変更手続においても使用可能となるとされています 2017 年 11 月 15 日より 自然人は商標を得ることが可能です 領事認証済の委任状のみが 必要となります 1.11. Russian Federation(RU) 2017 年 10 月 6 日付で ロシア特許庁は料金体系を見直しました 1.12. Saudi Arabia(SA) 5 年より短いが明記されているか 5 年の末日前に委任状が取消されていない限り 委任状 は発行日から 5 年間有効です 1.13. Syria(SY) 2017 年 10 月 15 日付で 受理された申請書類 登録 更新及び名義変更に係る公告費が値 上がりしました 1.14. Tunisia(TN) 2017 年 12 月 1 日付で 欧州特許庁およびチュニジアの間で 欧州特許のバリデーション 3/5
に関する合意が施行されます チュニジアは欧州特許条約の加盟国ではありませんが この合意によれば 欧州特許の出願人および権利者は 欧州出願を通してチュニジアで特許権を取得することが可能です バリデーションされた欧州特許出願および特許は チュニジア国内出願および特許と同一の法的な効力を有し チュニジア特許法のみに従います 1.15. Turkey(TR) 2017 年 9 月 29 日付でトルコ特許商標局 (TPTO) によって発表された最新のガイドラインは 不使用の防御手段に関する欧州の法律と運用へトルコの運用を合わせることを目的としています 最新のガイドラインでの主な規定は以下のとおりです - 不使用防御は 2017 年 1 月 10 日以降に行われた出願で 公告時に第三者によってマークへの異議を申し立てられた時のみ適用されます マークが部分的に又は全体的に TPTO によって拒絶されている場合 商標登録出願人は使用証明を要求することはできません - 異議を申し立てられた際 TPTO から異議申立の知らせを受けた時から 1 月以内に 商標登録出願人は反論の提出や使用証明の要求を行うことが可能です もう 1 月の期間内に 被申立人は使用証拠を提出する必要があります - 厳粛な使用/ 誠実な使用 という考えが CJEU ミニマックス (C-40/01) を参考に ガイドラインで説明されています 名目使用 では不十分です - マークは登録された指定商品 / 役務に直接使用する必要があります 社名又は商号においてのみの使用は 直接使用ではありません - 正当な理由 という言い回しが 異議申立がされたことを知った被申立人にマークを使用させないという現実的又は法的な抑止として定義されています 1.16. Unified Patent Court 欧州統一特許裁判所協定の批准に関する概要は以下の通りです - 協定を批准した加盟国 ( 年代順 ) オーストリア (2013 年 8 月 6 日 ) フランス(2014 年 3 月 14 日 ) スウェーデン(2014 年 6 月 5 日 ) ベルギー(2014 年 6 月 6 日 ) デンマーク(2014 年 6 月 20 日 ) マルタ(2014 年 12 月 9 日 ) ルクセンブルク(2015 年 5 月 22 日 ) ポルトガル(2015 年 8 月 28 日 ) フィンランド (2016 年 1 月 19 日 ) ブルガリア(2016 年 6 月 3 日 ) オランダ(2016 年 9 月 14 日 ) イタリア(2017 年 2 月 10 日 ) エストニア(2017 年 8 月 1 日 ) リトアニア(2017 年 8 月 24 日 ) - 協定を批准していない国 ( アルファベット順 ) キプロス チェコ共和国 ドイツ イギリス ギリシャ ハンガリー アイルランド ラ 4/5
トビア ルーマニア スロベニア スロバキア ドイツで批准されなかったのは 私人からの違憲審査があったためです 審査は連邦憲法 裁判所 (Bundesverfassungsgericht) に 2 BvR 739/17 のファイル番号で係属中です いつ 決定が行われるかは不明です 1.17. United States of America(US) 2018 年 1 月 16 日より 米国特許商標局 (USPTO) はラージ スモール及びマイクロエンティティに関する 202 の特許費用の設定又は調整を行います 特許出願及び特許に関する申請 調査 審査 発行 審判及び維持のための費用は スモールエンティティについては 50% マイクロエンティティについては 75% の値下げとなります 意匠発行費用に関する修正が 2018 年 1 月 16 日以降に登録されたハーグ協定に基づく国際意匠登録出願に適用されます 特許を有効に維持するための年金追納に係る請願に関する費用を除いて 維持年金に変更はありません 以下のサイトで特許費用の料金表を確認することができます https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/table_of_patent_fees_-_current_f inal_rule_and_unit%20cost.pdf 免責条項この書類は細心の注意を以て作成されておりますが 全ての情報についてその完全性や正確性等を保証するものではありません また 本情報の利用によって 利用者等に何らかの損害が生じた場合にも 一切の責任を負うものではありません また 本情報の著作権はデンネマイヤーグループに属し デンネマイヤーの明白な書面による同意なしに第三者へ公開することは認められません 以上 5/5