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PC オーディオでマルチアンプシステムを構成する 概要 本書は PC オーディオを利用してオーディオでは最高の音質を得られる可能性のあるマルチアンプ(帯域別ア ンプを割り当てる)オーディオシステムを安価にかつ高性能なものを構成する方を支援する目的で書かれました 開発の経緯 私はご存じの方もおられますが オーディオが大好きで大学を出て測定技術と機器について学びフ使えるよう に測定器メーカーと思った Hewlett Packard 社の日本子会社に入社しました あにはからんや数学科出身で あったため コンピュータ専門となり 30 年も測定システムやワークステーション サーバシステムのエンジニアと して過ごしてしまいました おかげで IT 技術には強いほうだと思います そのうちに 1990 年代からオーディオ測定でも比較的手に届く価格で昔の数千万円もした測定システムが PC ベースでできそうになりました やがて PC でいろいろなオーディオに関連したハードウェアも出そろい ソフトも ASIO とかで対応が広くなりました 測定については疑似無響室測定(Psedo Un-Echoic Measurement)さえ PC で可能となりました 1998 年に書かれたものですが測定はこんなものからはじめました http://www.aedio.co.jp/sokutei/laud/ そのうちに何とか-6dB/oct の一次アナログフィルター以外に PC のデジタル処理技術を使ってスピーカーをリニ アフェーズとして動作させる方法はないかと 2000 年ころから模索をはじめました 進んだ方々はある方はモト ローラの DSP チップ評価キットで作ったり LINUX で BruteFIR というツールがあるらしいとかも聞きました できれば何とか Windows でできないかと考えていろいろな方に相談しました このチャンネル デバイダーの最 初の開発者は当時ソフト会社で携帯電話のソフト開発をしていた方々で foobar2000 にプラグインとして開発す るのが良いとの実装方法を提案され 2way のものから実装されたのが最初です 現在のものは 2006 年ころに minn 氏が余暇の時間を割いて書き直して 2way 用 3way 用を実装してくれました またリニアフェーズであるこ とも別の方が合成波形などで確認していただいています 複数のユニットを使ってリニアフェーズでしかもシャー プなスロープでクロスできるシステムを求めた結果 やはり IT 技術を使ったものに行き着いたということです その結果が PC ソース デジタルフィルター デジタルアンプにマルチユニットスピーカーの構成です 通常のマルチアンプとどう違うのか? 限定した条件で最高の音質を 現在までマルチアンプオーディオシステムといえば プリアンプの後にチャンネル デバイダー さらに複数の高 価なパワーアンプを設置し大型のスピーカーシステムを構成するのが普通でした この PC オーディオによるマルチアンプシステムはある意味 限定された環境(リニア PCM の音楽再生専用)の ために 特化した 最高のコストパフォーマンス の リニアフェーズデジタル帯域分割フィルター を持つ世界でも 最も進んだデジタルオーディオ再生システムでもあります しかも測定以外のソフトは無償で手に入ります つま り 安物 を目指しているのではなく ある限られた環境の中での最高のシステムを手に届く価格で提供しようとす るものです このシステムの構成から再生までの基幹となっているソフトハード以下のものを利用します (1) OS と基本ハードウェア=Windows7 の PC(メモリは 2GB 以上 HDD は音楽データを別として 100GB くらい) CPU は Core i3 3220T 以上 最小構成は ALC662 や ALC892 などのオンボードのサウンド チップが搭載されたマザーボードを持った PC を選択または自作する (2) リッピング データ管理=iTunes (3) 音楽再生用ソフト=foobar2000(無償[注 1]) 2way/3way 用デジタルチャンデバモジュール(無償[注 2]) (4) スピーカーはどのようなハイエンドのものもある程度の質で鳴らし切ります 私どもで試したものは本書の 中でご案内いたします (5) PC に内蔵可能な小型デジタルアンプ (4ch 分=2way x 2 帯域分割)または小型デジタルアンプ(4ch 分+サブウーファ用アンプ x2) (6) スピーカー測定のツール=ARTA Lab [注 3](ファイルの保存 再ロードには有償ライセンスが必要

20000 円くらい) 測定用マイク(低価格のものだと 8000 円くらい) マイクアンプなど [注 1] http://www.foobar2000.org/ より download リンクでダウンロードする [注 2] http://www.aedio.co.jp/download/index_j.html よりダウンロードする [注 3] http://www.artalabs.hr/download.htm よりダウンロードする 以上のうち (1)と無償のソフト(iTunes,foobar2000,チャンデバソフト ARTA デモ版)をインストールした状態に して(5)を 4 チャンネル分付けて 10 万円にて提供いたします 本システムの制限 ほとんどのオーディオファンの音源は今や CD やリニア PCM(WAV/flac/alac/mp3)が主流です これらの音源 に限れば本書で示した PC オーディオによるマルチアンプで対応できます 現実に 192KHz24bit の音源であっ ても比較的安価なシステムでできます 特に VortexBox や NAS を使って音楽を保存している方には最適の再生側システムと言えます 使用できないデータソース(音源) アナログレコード 2 トラ 38 のテープ SACD のみ聞く方にはデータ変換が必要ですし ビデオと共用したい (DVD ビデオでオペラの再生をしたい方には画面のほうが早く再生されるため 現実的には共存はすぐにはで きないのが本書の方式のデメリットです 一方でメリットは PC で一般的に扱えるリニア PCM データ(WAV/flac/AIFF/alac)と MP3/WMA などの一般的な 圧縮形式の音声データは扱うことができます DIFF などはいったんリニア PCM データとして変換しないと扱え ません それでは具体的な設計 設定の手順を見ていきます

まず Windows7(Windows8 でも動作するはずですが 試しておりません)の PC に必要なソフトを インストールします スピーカーユニットの選定 必要帯域が再生でき 好みの音質のスピーカーユニットを決めます カタログや Web サイトではある程度のデー タは分かりますが自分の好みかどうかの判定はやはり聞かないと無理です こんなことを言うとスピーカーメー カーあるいは大手オーディオメーカーに怒られますが スピーカーシステムの音質は同じ箱であれば当然 ス ピーカーユニットが支配的です ハイエンドの中には箱を異常に手をかけた=箱が金属の削り出しとか高価な=も のがありますが 意外にも少し高いが特性/音質の良いスピーカーユニットを使ったほうが箱に無駄に凝るより良 い音質が得られる場合もあるくらいです スピーカーはハイエンドを展示会やハイエンドショップで聞いてみてください 私はオーディオ商売に入る前 感心したスピーカーが 20 年ほど前にありました ARTEMIS の EOS と Avalon の初期モデルです スピーカーの後ろに奥行がありいわゆる音場が広がり当時としては驚くべきクラシックの再 生をしてくれました いずれも使用しているのと同等のユニットが市販されているのを知り 後にスピーカーユニッ トの輸入販売を始めたという経緯もあります ぜひ臆せずハイエンドのスピーカーシステムをハイエンドショップで聞いてみてください 使われているスピー カーユニットがわからなくても 私どもでしたらある程度同等以上のものを推奨できます なにしろハイエンドのスピーカーシステムではスピーカーユニットの価格は全体の 5% 20%くらいです 最近話 題のハイエンドスピーカーの Tidal Contriva Diacera(定価 620 万円 )でも 30mm のダイアモンド TW が 100 万円ほどするのでユニットの単価の合計は 150 万円ほどです これはユニットの価格割合としてはかなり高い部 類に入ります それでもうまくいけば 600 万円のスピーカーが 200 万円くらいで作れ さらにそれをマルチアン プで駆動するシステムとして構成できます ハイエンドと同等のスピーカーユニット単体で音質の核となるものを 使い 自作の箱またはキットベースの箱でも好みのハイエンドに近い あるいはご自身の好みによった質が得ら れます 低価格デジタルアンプで本当にドライブできるのか 今回のような小型のミッドレンジとサブウーファでは能率とアンプのゲイン 出力から 6 8 畳の家庭用を想定し ています ホールで鳴らすのは難しいです サブウーファ領域を含めて出力が 20W ですので基本的には家庭用に限定し て考えています もし大ホールや少し大きなホームシアターでしたら パワーアンプのゲイン(+30dB くらい)と出 力(50W 以上)と少し大きめのものにするのが良いでしょう サブウーファアンプの利用(50W 1000W まで 3 10 万円/ベアなどいろいろ売られています)やサブウーファだけたとえば FOSTEX の CW-200 や CW-250 の併 用も面白いと思います 自作者でしたら LM3886(ジェフのアンプで使われていたもの)の IC アンプを作ってもよ いでしょう お奨めは別府さんの最近上梓した CQ 出版のムック本に出ていたアンプのうち 竹コースに MUSES 02 を使ったものなどです ただこれでもすぐ数万円 up するので今回はミニマリズムで最低限我慢でき る部品で構成することにしました 6 8 畳の部屋であれば本書に出てきた低価格のデジタルアンプで十分な質 と音量で音楽再生できます 実はデジタルアンプもいくつか試しましたが結果が良かったものを選んでいます ただし価格は電源別で 3000 円/2ch で 20W/ch というとんでもない低価格のものです しかも PCI のカードの形 状をしています +12V 単電源で動作する今は亡き?トライパスの TA2021B というチップを中心に構成されたも ので出力の高周波フィルターが空芯コイルで構成されたものです 絶対にこれというわけではないですが高周 波カットのフィルターはデジタルアンプの要のひとつで TA2020 など仕様のもののほとんどはコア入りコイルでの フィルターが多く弦などがあまり好みの音質ではないためこの選択となりました 本当にオンボードのサウンドチップで音質はマシなのか -電源/CPU/システムディスクなどが重要 これは昔から PC を使っている方には懐疑的になる疑念です 私もそうでした しかし 最近の低消費電力の高 速 CPU を LGA1155 か LGA1150 のマザーに載せ 十分な電力余裕を持った ATX 電源(できればファンレス)

を使い SSD をシステム用に使えば電源経由で重畳するノイズはオンボードのサウンドチップでもクラシックの オーケストラで弦の弾いている押しているか弾いているか判別できるくらいバックグラウンドノイズが下がります ほぼファンレスの状態にしてあります 今回テストしたのは Intel のマザーボードとその上の RealTek ALC662 のものと ASUS Tek のマザーボードに ALC892 を搭載したものです それにできるだけ CPU は低消費電力で速いもの メモリは 32bit OS でしたら 4GB Max 64bit OS でしたら 8GB くらいは Windows7/8 では搭載したものが良いでしょう こうした配慮をすることでオンボードサウンドチップでも非常に質が上がります たぶん私が聞いているようにオン ボードサウンドチップにヘッドホンアンプを追加した状態でヘッドホンを聞くときっとこれがオンボード?!と驚かれ ると思います さらに現在は電源経由のノイズを小さくできるようにスイッチング電源ではなくアナログ電源で動作させる実験も しています こうなるとさらにオンボードサウンドチップと高級 DAC の差は小さくなります もちろん全て DAC もアンプも最高級に近い構成でやったほうがもちろん音質は向上します ただし それをやる と 1000 万円近く費やさないと効果は限定的 あるいは判別できないレベルと言えます 今回のシステムを開発 して友人に聞かせたところまぁ 300 万円くらいのオーディオシステムの音はしているのではと言われました 今の 構成ではそれに対してコストはほぼ 1/8 1/10 です つまり IT 技術がオーディオの質も変える可能性があるということなのです 既にアンプや DAC をお持ちの方は DAC/アンプは好みのもの 手持ちのものを利用したシステムがバランスとし ては好ましいと思います オンボードのものはどうしても嫌だという方には次の選択肢は USB のマルチチャンネ ル DAC 最低価格のものはクリエイティブの X-fi Surround 5.1 で実売価格が 6000 円ほどです PCI/PCI-e の 7.1ch のカードでよいものでも 3 万円以下です さらに高性能なものでは cost no object(価格度外視)のシステ ムの場合にはマルチチャンネルで AES/EBU 出力を持つ Lynx Studio の AES-16e などを利用して S/PDIF 出 力を 2chx2 または 2ch x3 出力させて DAC に出力させることもできます ハイサンプリングの生録の再生モニ ターで使われています 文末に利用例を追加しています この場合には PC をソースに使いますが価格も DAC/ アンプも性能も本当のハイエンドの構成となり価格も 300 万円を超えます 必要な知識とユニット使用上の注意(ホーン 低域カット) ここに書いたようなアプローチであればそれほど専門的な知識なしでもある程度のスピーカーユニットに対して 対応できると思います また高能率のホーン(コンプレッション)ロードドライバを利用している方はぜひアンプの 後ろに 10dB 程度の抵抗アッテネータを入れ さらにカットオフ付近でカットされるキャパシタ(コンデンサ)を入れ ないと壊す可能性があるのでご注意ください またツイーターはダイナミックダイレクトドライバ(通常のユーロユ ニットなど)はクロスオーバー周波数より 1 オクターブ以上低い周波数で-3dB となる程度のキャパシタ(コンデン サ)を DC またはポップノイズ ハムノイズなどの影響を受けにくいように入れたほうがトラブルが未然に防げます こうしたことを理解するにはある程度工学的な知識があったほうがシステム全体の設定は楽に理解できます クロ スオーバーより 1 オクターブ低くするのはクロス付近でのリニアフェーズ=位相が回転しないことを保証するため です

スピーカーシステムの設計 構成 ユニットが好きなものに決まったら 次に最初に低域のウーファの担当する低域の上限はサブウーファ的に 200Hz 以下に設定するか(2way+サブ)あるいは 3way で各帯域に振り分けるかを検討します サブウーファタイプでは 200Hz 以下が担当帯域であり 2way は小型の 2way のネットワーク付そのままでも利 用できる ただしサブウーファに使うものは通常同一口径のものと比してコーンを重く設計されているため アン プ側にかなりな負荷がかかります たとえば私どもで試した例では 2way のスピーカーシステム(14cm ウーファ+ ハイルドライバ類似のプリーツリボンツイーター)に小型のサブウーファ(18cm サブウーファ専用ユニット利用 下 図)でしたがこれで使ったサブウーファは少し能率が低かったのですが 合わせることはできました 展示会にも 2way+サブの展示を行いました 今回のスピーカーシステム構成と実測データ 今回は 新しい構成のスピーカーシステムを利用する もっとも効果が高い 2way スピーカー+500Hz 以下の低域ウーファの構成 2way スピーカーといっても使うスピーカーは市販のものではないので 各ユニットの特性を図ってしかもネット ワークを作る必要があります これだけでも結構な工数です 幸いに今回は手持ちの 2way 用の別のスピーカー 用に作られた割と質の良いネットワークがあったのでこれを流用しました まずこのネットワークを使って小型のあ まり低域の出ない 2way で質の良いものを作ります その後でウーファをクロスを変えながら調整してマルチアン プの構成にしました 選んだスピーカーも大変特徴のあるユニットを選んでみました つまり小型ミッドレンジ的ウーファ+ツイーターの 2way 小型スピーカー+ウーファという構成です ミッドレンジ: できれば FOSTEX FE83En とかフルレンジファンにおなじみのものを使いたかったのですが 注文 したが間に合いませんでした そこで少しばかり珍しい Hivi Research 社のメタルコーンミッドバス(小型ウーファ) の Hivi B4N というのを使ってみました 箱は手持ちのものですので自作感満載です(笑) 論理実験から商品化 への実験ですのでご容赦ください 小型 2way ウーファ(実際はミッド)HiVi Research B4N 仕様: 継続入力 (RMS) 25 W/ 最大入力 (max) 50 W 公称インピーダンス 8Ω/周波数特性 50 3,000 Hz 能率: 85 db 2.83V/1m / ボイスコイル径: 25.4mm THIELE-SMALL パラメータ 最低共振周波数 (Fs) 56 Hz/ DC 抵抗(Re) 6.5Ω メカニカル Q (Qms) 3.91/電気的 Q(Qes) 0.63/ トータル Q (Qts) 0.52 / 等価容積(Vas) 4.5 l / サスペンションメカニカルコンプライアンス 1.11mm/N / BL 積 5.1Tm / 等価質量 6.8g / リニアピストン最大範囲 3.2mm / 振動板面積 53 cm² 材質: アルミ/マグネシウムコーン/ ボイスコイルボビン カプトン/ポリイミ ド /磁気回路:フェライト

ツイーターは Dayton AMT1-4 ツイーターは珍しいだけでなく価格(24000 円/本くらい)の割にはハイエンドの質を発揮するものです メーカー ではハイルドライバーの思想を受け継いだとのコメントのあるドイツ Mundorff 製の振動系を生かした Air Motion ツイーター Dayton AMT1-4 を使いました Dayton AMT1-4 の仕様: 入力: 30W rms/最大 60W クロスオーバー 2500Hz/12dB/oct のネットワーク利用の時 / 公称 インピーダンス 4Ω/ 周波数特性 2500 30KHz / 能率 95dB at 1W/1m 外径 96mm 他右図参照

まず 2way をネットワーク付で構成 今回の主題はこの部分ではないので軽く触れます 測定で調整した結果がこのデータです 歪率中心に ARTA Lab で測りましたがまずまずの結果です Hivi B4N と Dayton AMT1-4 のネットワークによる 2way の周波数特性と歪率特性 (Swept Sine by ARTA 96KHz/24bit)

このグラフを見る限りでは 100Hz 20KHz±3dB 200Hz 以上のクロス できれば 400Hz 以上のクロスであれば 歪も 1%以下と少ない再生ができそうです 興味がある方はネットワークも公開しますが ある程度測定をすれば この程度には追い込めます ウーファのクロスは 2KHz 付近 ツイーターのクロスは 3KHz 付近と少し離した状態 になっていますがトータルではまずまずの特性です また 1.5KHz 3KHz の落ち込みは foobar2000 側で Graphic EQ で補正します ウーファは? 下の SW182BD01-04 でもいいのですが 3way でたとえば 20~20KHz をほぼ均等に担当(3 オクターブ程度) させようとしたときは全体の再生帯域が 30 20KHz のとき ウーファが 30Hz 400Hz ミッドレンジが 400Hz 2.5KHz ツイーターが 2.5KHz 20KHz を担当というように設定できます この使い方には SW182BD01-04 は 高域の特性があまり良くないのでサブウーファ的な 200Hz 以下のクロスにしか向きません 実験ではもっと広い ものがあったほうが良いかもしれません そこで手持ちのウーファと箱の中から少し無理がありますが Audio Technology 6B77SD を使いました 価格は かなり高めの AudioTechnology の 6B77(2 本で 14 万円+)を 14 リットルのバスレフに入れたものを利用します 仕様のデータとしては少し違いますがほぼ似た 6H52 のものを掲載しています これとツィータだけで本当は 2way でもできるのですが 実験でミッドとの確かめる範囲が広いことを優先したた めの選択です なぜ 3way にするのかというとやはりユニットが優秀でも再生周波数範囲が 5 オクターブとかに なると下の周波数が上の周波数を変調(モジュレーション)することで音程が狂ったような混変調歪を生じます こ れを避けたいためです Audio Technology 6B77 ウーファの仕様(一部 6H52 より代用) 振動板面積(Sd): 174cm² / 公称インピーダンス (Z): 8Ω/ 最低共振週数(fs) 32Hz / 等価容積 65 l / 機械的 Q(Qms): 1.76 / 電気的 Q(Qes): 0.33 / トータル Q(Qts): 0.28 / 最大入力 160W / 周波数 特性 38 3800Hz/ 直流抵抗(DC/Re): 5.5Ω/ 公 称能率 90 db SPL /ボイスコイル径 77mm 14 リットルに入れた 6B77 の実測特性

これも 150Hz 以下(100Hz +2 +3dB くらい 40Hz までを+6dB くらい)を foobar2000 の Graphics EQ でブー ストしてさらに 300Hz くらいでのデジタルチャンデバでのクロスとすればほぼフラットで質の良い(歪の少ない)音 質となりそうです ミッドレンジとの能率差はクロスの周波数により違いますがどうも 3 6dB くらいこちらのほうが 高そうです これはチャンデバのレベル調整で行います [参考:別の 3way / 予定としては下のものを試す予定でしたが ] 今回はフルレンジを使っている方がそのまま 2way/3way に発展する想定として次のような内容にしました ウー ファは最低域は 35Hz くらいまで再生できる WaveCor の SW182BD01 の 18cm サブウーファ上限は 200Hz が 良いところです これにフルレンジの 8cm スピーカーをミッドレンジとして組み合わせます ツイーターはちょっと おごって Scan-Speak のリングドームの高級機 R2904-7000-00 にしてみました アンバランスに見えますがひ とつのチャレンジとして試してみたいと思いこのような構成にしてみました 今回のシステムの設計(上の 2way は LCR ネットワークで 検討してみると ) 今回はフルレンジと書いたものに FOSTEX のフルレンジ の小型ユニット 8cm の FE83En を 3way 構成のミッドレン ジに使ってみようという企画です 簡単にするためミッドレ ンジとツイーターはネットワークでの接続です このネット ワークの設計は例えば下の URL にある 2nd LinkwitzRiley のフィルター計算をそのまま用いてテストをはじめて

も良いです http://www.carstereo.com/help/articles.cfm?id=14 たとえば FOSTEX の FE83En を 8Ω Scan-Speak の R2904-7000-00 を 4Ω として計算させると下のようになりま す これだけではフラットに近いネットワークはで きません 能率の差があるからです これはある程度カタログで見当がつきます F OSTEX の FE83En のグラフは下のようです 平均的にはバッフルが今回は P800E を使う 予定ですので中低域が低下し実態の能率 は 85dB SPL at 2.83V というところでしょう ツイーターはそれに対して下のグラフです 3KHz 以上では 92dB SPL at 2.83V という感じでしょうか?ざっと計算 するとツイーターのほうを抵抗で 5 8dB 程度 減衰(アッテネート)させることになりそうです このあたりは測定し て調べる必要がありそうです また FOSTEX 側にはインピーダンス補正(Zobel)素子が必要です Le=0.0267mH Re=7.5Ω として 0.47uF と 8Ω の直列素子をユニットに並列に入れればよいでしょう FOSTEX FE83En の特性(参考)

下は Scan-Speaj R2904/700-00 の特性(参考) かりに-6dB だと 2Ω 直列 4Ω 並列です インピーダンスを少し変えてやればネットワークは実測しながら決めて いけばなんとかできるかもしれません ここまで作って測定してみます 最後の詰めはツイーターのアッテネータの抵抗と直列のキャパシタ ミッドレン ジの並列キャパシタなどで調整します さてここまでで FOSTEX の FE83En と Scan-Speak R2904/7000-00 という何とも珍妙な 2way スピーカーシステム もできました これを測定しながら調整します これには ARTA Lab という測定ソフトを利用します このソフトは 192KHz24bit でも A/D コンバータ D/A コンバータの性能に応じて測定することが可能です 早速計測してみる と低域のバッフル効果がないせいで中低域は低下しています これは Edge.exe というソフトでもある程度 simulation してみることができます [注 5]また室内での疑似無響室測定(Pseudo An-Echoic environment measurement)で使われる M 系列のデータを用いた測定ができ インピーダンスも簡単なジグを追加するだけで できる優れものです [注 5]edge.exe は以下からダウンロードする http://www.tolvan.com/edge/help.htm バッフルとスピーカーユニットによりバッフル回折効果を数値化して図示します 全て無償のソフトでやりたい向きは Speaker Workshop でも 44.1KHz ベースの MLS 疑似無響室測定ができます 疑似無響室測定でユニットの間のクロスと能率差を確認します これをメモしておき 後に foobar2000 内のコン ポーネントとして位置付けられたデジタル チャンデバのレベル差を設定します またできればユニット間の遅延 もある程度 MLS の測定時の遅延時間から見当が付けられます また上のバッフル回折効果やサブウーファの低域低下に対して補正するためにグラフィックイコライザを用いる 可能性もあります PC のオンボードサウンドの設定 オンボードサウンドチップで 5.1ch7.1ch の出力がそのまま出ているものは良いのですが 今回のデモに使用した Intel DQ77MK の ALC662 は PC のパネルに通常ではライン出力(水色 Blue) ライン出力またはヘッドホン出力 (薄緑 Green) そしてマイク入力(ピンク Red または Pink)とされた 3 種のミニステレオジャックしかありません ここでは[コントロールパネル] [サウンド] [RealTek HD Sound] [構成ボタン] スピーカー構成を 4ch にする

ことで 2way の設定 5.1ch を設定することで 3way の対応となります 比較的低価格で 96KHz24bit までのソースを 2ch 6ch までそのまま再生できるのが ALC662 の特徴です 4ch に設定されるとライン入力(Blue)がサラウンド出力となります 下図のような設定です これでテストボタンをすべてのスピーカーから正しく音が出るのを確かめます 低域や大入力が入ると破壊される 可能性のあるホーンドライバやツイーターなどは保護用のキャパシタや抵抗などを入れてからにしてください 私も壊した苦い経験があります

foobar2000 での設定 ダウンロードした foo_dsp_channel_f2.dll などを foobar2000 の実行プログラムが入っているディレクトリ直下の components ディレクトリに入れます そして起動して[Preference] [Playback] [DSP Manager]で Available DSPs から左側の Active DSPs に移します そして channeldividerf2b を選んで Configure Selected をたたくと下 図の左側のメニューが出てきます これはバッフル回折低下分補正機能の付いた 2way 用のリニアフェーズチャンネルデバイダーです 同様に channeldividerf(2way 用バッフル回折補正なし) channeldividerf3(回折補正なしの 3way 用) channeldividerf3b(バッフル回折補正機能付き リニアフェーズ 3way 用)を選んで使います 緑のジャックの出力を低域用ウーファ用アンプの入力に接続 青の端子の出力を中高域のアンプの入力に接続 しさらにスピーカーに接続できれば準備完了です foobar2000 で曲を Add folder などであらかじめ入っているアルバムなどを指定します 再生時はこれで[Preference] [PlayBack] [OUTPUT]で WASAPI :RealTek HD Audio Output スピーカーを選 べばばっちり出ます これで再生のファイルを指定すればもうマルチアンプシステムは動作し始めます ちなみに 3way バッフル回折補正付の設定画面は次のようになります

たとえば SW182BD01-04 を 300Hz まで FOSTEX FE83En は 300Hz から 3KHz までを担当させるときは下のよ うな感じになります 遅延もレベル設定もしています

最終調整 最終調整は測定システムを使って遅延 レベル調整 バッフル回折補正などを実施します

3 チャンネルマルチシステムの音量調節に MVR を採用して 1 デジタル式マルチチャンネルシステムの薦め LC ネットワークを使用した 2WAY の自作 SP システム(Scan-Speak 18W8545 Dynaudio T330D)を使用していま したが ボーカル再生の向上を目的に 3WAY 化(Scan-Speak 18W8545, Dynaudio M-560D, Accuton D20-6031)を図りました ユニットの入れ替えも行い 再生音はそれなりに充実しました ところがある日 イーディオさんの所でお仲間で minn さんが作成された foobar 用のデジタル式のチャンネルデ バイダーのプラグインを使用して ローランドの多チャンネル DAC(Edirol UA-1000) マランツの普及品の AV ア ンプ(Marantz PS-4500)で 一般的なユニット(Scan-Speak 18W8546 18cm ケブラーコーン/Vifa MD10MD39-08 10cm ミッド/Vifa XT25TG30-04 25mm リングドーム)で構成された 3WAY のシステムを聞かせてもらいました 音のクォリティ自体は 私の家のシステムの方が上でしたが 低中音域のすっきり感に驚きました 私の家のシス テムは 秋月のインダクタンス計キットを作って ウーファ用のコイルを太い銅線で巻いたものに変えるなどしてい ましたが インダクタンスが大きくなる低域では 低音帯域の音の切れが悪く 中音域にかけて紙のコーンが鳴っ ている感じが付きまとうことが気になっていました そこで ローランドの UA-101 USB 入力対応 6 チャネル DAC として マランツの下から 2 番目の AV アンプ 型式 PS-5400 デジタル回路が別トランスということで選択 を購入して マルチ化しました それまでは 多トラ ンスの別府式の DAC パワーアンプを使用していたので 音のクォリティーは比較になりませんが やはり低音 域から中低域にかけてのすっきり感は変え難いものでした マルチチャンネル方式の採用を決定しました [図 1:FIR フィルタープラグインを利用したときのフィルターの減衰率特性] デジタル チャンネルデバイダーを用いたマルチチャンネル方式のメリット minn さん作成のプラグインソフトによる急峻な遮断特性およびインダクターをなくすことによる低中域のすっきり 感 前頁の図のように simulation による計算結果例で 2000Hz で 501 タップの例でカットオフ特性が 100dB/oct 以 上と急峻であること それに加え 周波数を任意に かつリアルタイムで変えられるので 音を聞きながら各ユニットの最適カットオフ

周波数を決められること 私の家のシステムでは LC ネットワークに比較し カットオフ周波数を中音域では上に (600Hz から 850Hz に変更) 高音域では下(5KHz から 3200Hz に変更)にずらした方が良好であることが判明 これは音質が良いユニットに音質が劣化する限界ぎりぎりの周波数レンジまで担当させられる点でも大きい 最新のプラグインでは 箱のサイズによる回折効果から低域が減衰する現象を 補正することが可能なので 低域の再生能力の改善ができる バッフル効果の補正 は b タイプのフィルターで実装しています 以下のよう に上の特性と比べて 800Hz 200Hz にかけてブーストするなどの操作が可能です [図 2:図 1 の状態にバッフルステップ補正を追加して中低域ブーストした特性] アンプ出力が同じでも 大入力の入る低域アンプに高域が重畳しないので 高域のクリップが発生しづらくなり 結果的に帯域別にすることでアンプの出力がアップするのと同じ効果が得られます プラグインでは チャンネルの再生音を連続的ではありませんが 1 サンプル分づつ遅延させることが出来るの で 各ユニットから出る音の波面を揃える方向に遅延距離を設定することができます この機能を利用することに より 各ユニットを同一バッフルに取り付けても ユニウェーブ SP 的な効果(各周波数の遅延が一定に揃った い わゆるリニアフェーズのスピーカー)を得ることができます 同上デメリット 再生システム全体が大掛かりになること システム全体の再生音のクォリティを上げるには DAC アンプなどに コストが掛かること システムが大掛かりになる点に関しては 最近の AV アンプは HDMI 端子が備えられているので AV アンプ内 部の DAC を利用して PC と HDMI ケーブル 1 本で接続することにより 簡単に 2 チャンネルまたは 3 チャンネ ルのマルチシステムを構成できます

[PC と AV アンプを HDMI で接続したマルチアンプシステム] HDMI ケーブル Av アンプの 5.1ch または 7.1ch の出力を各帯域ごと のスピーカユニットに接続し て周波数帯域で分割した出 力を与える ( 例 : Front = ウーファ サラウンド =Tweeter センター /LFE またはサイドの出力はミッド など ) 少し前 知人から PC オーディオによるステレオシステムの立上げを依頼されました カットオフが 3000Hz の 2WAY だったので 簡単なネットワーク方式を薦めたのですが マルチチャンネル方式の希望があったので AV アンプを購入してもらい HDMI ケーブルで接続する 2 チャンネルマルチシステムとしました 結果としては 大 成功でした カットオフ周波数と遅延設定は PC で 高音チャンネルのレベル設定は AV アンプで行うことにより ネットワーク方式よりも簡単に 最適な状態に設定することが出来ました 小生はマルチチャンネルシステムは 3 チャンネルからという思い込みがあったのですが 2 チャンネルでもこのような構成にすると 簡単にまとめられる ことが分かりました 2 マルチチャンネルボリューム AV アンプでしばらく聞いていたのですが 再生帯域などはそれほど気にならなかったものの 別府アンプを聞き なれていた耳には 音の分離や定位感 空間再現能力などの点が気になって来て 低域だけ以前の別府アン プで鳴らすことにしました アンプの入力感度は大きく違わなかったのですが チャンネル間のレベル調整は AV アンプの場合は簡単に設定できます 結果としては エネルギー的に相当部分を受け持つ低域用アンプの改善は 再生音質の向上に大きく貢献しま した この結果に気をよくして 一寸 手を抜いた別府式アンプ トランスの数を 16 から半減 木製ケースに 2 台 分 を組み立て パワーアンプは AV アンプから完全に独立させました AV アンプはプリ インとプリ アウトを利 用し コントロールアンプとして使用

次のステップとして DAC をローランドの多チャンネルのものに替えて イーディオさんから MSB の Platinum DAC の第 1 世代 1 台と第 2 世代 2 台と AES/EBU 出力が得られる Lynx のボードをセットした HP の PC を入手 しました 各チャンネル独立 DAC に変更した時点で さらにエネルギー感の向上などが実現できましたが シス テム全体のバランスから見て AV アンプによる音量調節部分が気になってきました LC ネットワーク時代に使 用していたセイデンのロータリースイッチを利用したボリュームがあったので あと 2 チャンネル分を追加製作し て モータで同期回転させる案などを検討しましたが 制御 機構部分に関する技術不足とコストの点で断念し ました このような用途に使えるボリュームの市販品はないようで デジタルボリューム IC を利用した自作品の情 報はネット上にありましたが 如何せん技術がありません そうこうしている内に アメリカ MSB 社のサイトで MVC-1 という 8 チャンネルのデジタルボリュームを見つけ ディスカウントで売られていたので早速購入しました (イーディオ注:これも少しですが在庫がありますので安価 に販売できます)AV アンプと入れ替えましたが 当初は大きな差はありませんでした 付属していた電源アダプ ターは 台湾製で外見はスイッチング風にも拘らず かなり重いものです 感心しない音の原因は付属電源では ないかと考え 供給電圧と DIN タイプのコネクターのピン配置を確認して しっかりしたトランス式の電源を自作 し つなぎ替えましたところ かなりの改善が認められました 1から自作することを考えれば かなり安価に手に 入りましたが ケースの蓋を開けて見ると電解コンデンサーなどの部品は一般的なものです 出力バッファーの IC はリニアテクノロジーのもので ネット上では音が良いという情報がありました 部品をオーディオ用のものに入 れ替える検討もしてみたのですが バランスが崩れてしまう懸念があり 諦めました ウーファを Audiotechnology の 23I52 に変更し 絶縁トランスの導入などにより システム全体としてはかなり良く なってきたのですが このボリューム部分については何とか改善したいと考えていました 3 MVR の導入 使わなくなった別府 DAC を使用した 2WAY ネットワーク方式によるサブシステム(Audiotechnology 15H52, Accuton D20-6-031)があります これには前記のアッテネータ式のボリュームを使用していましたが 少しゲイン の不足を感じていました イーディオさんの掲示板を時々覗いているのですが 昨年 MUSE の新しいボリューム用 IC を使用した電子ボ リュームの発表記事を見つけました これは オペアンプに高音質の MUSE の IC を使用 +8dB のゲインを持ち 通常時は制御用のクロックが停止する特長を有するものなので 早速注文しました セイデンのロータリースイッ チを使用した自作ボリュームと サイズはほとんど変わらなかったので 入れ替えて使ったところ やわらかくて静 かな音に感心しました アナログ式ボリュームよりも刺激が少ない音です また レベル調整のスムーズなこと 設 定レベルの保持機能など使い勝手も優れていました 欠点は電源を必要とすることくらいです 期待以上の性能だったので このボリュームを利用した 3 チャンネルのボリュームが出来ないかとイーディオさん に相談したところ 市場ニーズなどを検討してみるということになり 別府さんによる開発がスタートしました お願 いしたのは リモートコントロールが効くこと チャンネル間のレベル調整が可能なこと 出来上がりの寸法の 3 点 でした 開発にはいろいろご苦労があったようですが 2 月に試作品が完成しました 早速 MSB のものと入れ替えて試 聴いたしました MSB の MVC-1 に比較した MVR の効果 音質の変化 静かで かつ明確な音に変化しました 定位感の向上 音像が小さくなった 特にワンポイント録音の生録のソースで違いが感じられます また CD ソースにおいても 左右方向だけではなく 少し上下方向にも広がって感じられた音が 左右の SP 間に降りてき たように聞こえます 微小音の再現性の向上 直接音以外のホールの残響やボーカルのエコー 人工的なもの がヘッドフォーンで 聞いているように 良く聞こえるようになりました ノイズ感の減少 コントロール用のクロックが レベル変更操作終了とともに停止するので わずかに感じられて いたザラっとした感じが少なくなりました チャンネル間のトリム調整 0.5dB ステップで可能となり デジタル表示で操作しやすいことから 最適と思われ

るポイントに追い込むことがしやすくなった 結果的には MSB の時と若干 異なる設定値 今のところ中音 高音 ともに-1.5dB となりました 以上は導入時点での印象ですが エージング効果なのか不明ではあるものの 1 ヶ月ほど使用している内に気 づいた点を追記します 再生帯域としては 上下に伸びたという印象は最初は余り感じられなかったが 聞き込むと床などを伝わってく る低音のエネルギー感が強くなったように感じます ピアノの音の立ち上がりが良くなりました 人の声とともにピアノの再生は難しいので この点は貴重な改善点で す 4 MVR の総合評価 ボリュームはシステム全体の中でも 音質向上を図る上で手を抜けない部分 マルチチャンネルシステム対応 の製品は 市販品にはほとんどない中で オーダーメードに近い状態とは言え 商品として入手できるのは貴重 です 値段はそれなりに高いが ハイエンドの音質を得るには検討対象から外せない商品と考えます 左右 プラスマイナス独立のトランス 圧着端子式の電解コンデンサーや SBD を使用した電源により 別府アン プの特長である空間再現性の良い音が得られる 耳障りのする音がせず エネルギー感のある音が聞こえます 写真 3 チャンネルマルチシステム外観 中央の台の下から低域アンプ 中高域アンプ MVR 試作機 その上の段は MSB の Platinum DAC3 台 ディ スプレイの右側はタキオンさんのルビジュームクロックキット SP の各ユニットには重りが付いています 右下に少 し見えるのは絶縁トランス PC と低域アンプの電源供給部の一部は裏側にあります 音は良いのですが 見場 が悪い点はご容赦ください