マスコミへの訃報送信における注意事項



Similar documents

樫本、芝野

頸 がん 予 防 措 置 の 実 施 の 推 進 のために 講 ずる 具 体 的 な 施 策 等 について 定 めることにより 子 宮 頸 がんの 確 実 な 予 防 を 図 ることを 目 的 とする ( 定 義 ) 第 二 条 この 法 律 において 子 宮 頸 がん 予 防 措 置 とは 子 宮

報 道 発 表 資 料 2006 年 12 月 18 日 独 立 行 政 法 人 理 化 学 研 究 所 結 核 菌 ワクチン BCG がアレルギーを 抑 制 する 機 構 を 解 明 - 衛 生 仮 説 によるアレルギー 増 加 を 実 験 的 に 証 明 - ポイント 細 菌 成 分 が ナチュ

5

関西医科大学大学院学則

診療行為コード

2 積 極 的 な 接 種 勧 奨 の 差 し 控 え 国 は 平 成 25 年 4 月 から 定 期 接 種 化 したが ワクチン 接 種 との 関 連 を 否 定 できない 持 続 的 な 痛 みなどの 症 状 が 接 種 後 に 見 られたことから 平 成 25 年 6 月 定 期 接 種 と

記 者 発 表(予 定)

一 方 でも 自 分 から 医 師 に 症 状 の 変 化 について 伝 えている 割 合 は シーズン 前 では 満 足 な と 同 じ %でしたが シーズン 開 始 直 後 から 高 くなり シーズン 後 半 では の 31%を 上 回 り 42%となっています (グラフ 3) ギャップ 3:

<4D F736F F D A94BD837D836C B4B92F62E646F6378>

<96DA8E9F81698D8791CC A2E786C73>

為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

HIV感染防止マニュアル(出力用).indd

がん専門病院における薬剤師養成のあり方に関する調査研究

 

( 医 療 機 器 の 性 能 及 び 機 能 ) 第 3 条 医 療 機 器 は 製 造 販 売 業 者 等 の 意 図 する 性 能 を 発 揮 できなければならず 医 療 機 器 としての 機 能 を 発 揮 できるよう 設 計 製 造 及 び 包 装 されなければならない 要 求 項 目 を

1. はじめに この 冊 子 は 大 阪 保 健 医 療 大 学 大 学 院 で 行 う 歩 行 動 作 に 影 響 を 及 ぼす 認 知 症 症 状 とそ の 神 経 機 能 解 剖 学 的 検 討 を 通 して 理 学 療 法 介 入 方 法 を 検 討 する- 認 知 症 と 歩 行 障 害

(Microsoft Word _10\214\216\222\262\215\270\203\212\203\212\201[\203X_\215\305\217I\215e.doc)

学校法人日本医科大学利益相反マネジメント規程

Ⅰ-① いじめに関する教育活動(正規のカリキュラム)

島根大学における学生等の授業料その他の費用に関する規則

1.H26年エイズ発生動向年報ー概要

仙台市のエイズ・性感染症の現状       資料4

平 成 27 年 11 月 ~ 平 成 28 年 4 月 に 公 開 の 対 象 となった 専 門 協 議 等 における 各 専 門 委 員 等 の 寄 附 金 契 約 金 等 の 受 取 状 況 審 査 ( 別 紙 ) 専 門 協 議 等 の 件 数 専 門 委 員 数 500 万 円 超 の 受

市街化調整区域における地区計画の

<4D F736F F D E598BC68A8897CD82CC8DC490B68B7982D18E598BC68A8893AE82CC8A C98AD682B782E993C195CA915B C98AEE82C382AD936F985E96C68B9690C582CC93C197E1915B927582CC898492B75F8E96914F955D89BF8F915F2E646F6

<4D F736F F D B3817A8E9096E291E D86939A905C>

要 な 指 示 をさせることができる ( 検 査 ) 第 8 条 甲 は 乙 の 業 務 にかかる 契 約 履 行 状 況 について 作 業 完 了 後 10 日 以 内 に 検 査 を 行 うものとする ( 発 生 した 著 作 権 等 の 帰 属 ) 第 9 条 業 務 によって 甲 が 乙 に

serbarikkusu

平成21年4月1日作成

Microsoft Word - nagekomi栃木県特定医療費(指定難病)支給認定申請手続きのご案内 - コピー

[2] 控 除 限 度 額 繰 越 欠 損 金 を 有 する 法 人 において 欠 損 金 発 生 事 業 年 度 の 翌 事 業 年 度 以 後 の 欠 損 金 の 繰 越 控 除 にあ たっては 平 成 27 年 度 税 制 改 正 により 次 ページ 以 降 で 解 説 する の 特 例 (

食 品 や 食 材 を 購 入 する 際 に 注 意 する 点 食 品 や 食 材 を 購 入 される 際 には 主 にどのような 点 に 注 意 されていますか 価 格 数 量 味 賞 味 期 限 消 費 期 限 や 加 工 年 月 日 色 つや ブランド 産 地 食 物 アレルギー 原 材 料

目 次 表 紙... 1 目 次... 2 改 訂 記 録 目 的 対 象 製 造 部 門 品 質 部 門 組 織 PET 薬 剤 製 造 施 設 ( 施 設 長 )の 責 務 製 造 管 理 者 の 責 務... 7

○医療用医薬品の使用上の注意記載要領について

臨 床 研 究 事 案 に 関 する 主 な 報 道 概 要 ディオバン 事 案 白 血 病 治 療 薬 タシグナ 事 案 (SIGN 試 験 ) ノバルティス 社 の 高 血 圧 症 治 療 薬 ディオバンに 係 る 臨 床 研 究 において データ 操 作 等 があり 研 究 結 果 の 信 頼

Microsoft Word - 1表紙.doc

大学病院治験受託手順書

健 康 医 療 戦 略 に 係 る 農 林 産 省 の 主 な 取 組 みについて 1. 健 康 長 寿 社 会 の 形 成 のための 食 の 研 究 開 発 の 推 進 2. 医 福 食 農 連 携 の 取 組 の 推 進 3 5 2

発 覚 理 由 違 反 態 様 在 日 期 間 違 反 期 間 婚 姻 期 間 夫 婦 間 の 子 刑 事 処 分 等 1 出 頭 申 告 不 法 残 留 約 13 年 9 月 約 9 年 11 月 約 1 年 10 月 2 出 頭 申 告 不 法 入 国 約 4 年 2 月 約 4 年 2 月 約

有 料 老 ホーム ( ) ( 主 として 要 介 護 状 態 にある を 入 居 させるも のに 限 る ) 第 29 条 ( 届 出 等 ) 第 二 十 九 条 有 料 老 ホーム( 老 を 入 居 させ 入 浴 排 せつ 若 しくは 食 事 の 介 護 食 事 の 提 供 又 はその 他 の

< F2D F97CC8EFB8F BE8DD78F9192CA926D>

平成19年9月改定

<4D F736F F D208D4C93878CA793AE95A888A48CEC835A E815B8CA C8FF7936E977697CC2E646F63>

207 1.ヒト 幹 細 胞 臨 床 研 究 実 施 計 画 の 概 要 研 究 課 題 名 半 月 板 縫 合 後 の 滑 膜 幹 細 胞 による 治 癒 促 進 申 請 年 月 日 実 施 施 設 及 び 研 究 責 任 者 平 成 24 年 12 月 28 日 実 施 施 設 : 東 京 医

対 象 と 方 法 EGFR T790M 変 異 配 列 における MHC class I 結 合 ペプチドを 複 数 のサーバーにて 予 測 し HLA-A2 拘 束 性 のペプチド(T790M-5:MQLMPFGCLL, T790M-:LIMQLMPFGCL)を 用 意 した HLA-A2 陽

S7-2)わが国におけるHIV感染妊娠の動向と近年の特徴

Ⅶ 東 海 地 震 に 関 して 注 意 情 報 発 表 時 及 び 警 戒 宣 言 発 令 時 の 対 応 大 規 模 地 震 対 策 特 別 措 置 法 第 6 条 の 規 定 に 基 づき 本 県 の 東 海 地 震 に 係 る 地 震 防 災 対 策 強 化 地 域 において 東 海 地 震

<4D F736F F D E937895E28AAE8BB388E78EF38D D802E646F63>

スライド 1

<904588F582CC8B8B975E814592E888F58AC7979D82CC8CF6955C E348DEC90AC2E786C73>

総 合 科 学 研 究 科 ( 留 学 生 担 当 ) 文 学 部 文 学 研 究 科 哲 学 思 想 文 化 学 コース 歴 史 学 コース 地 理 学 考 古 学 文 化 財 学 コース 日 本 中 国 文 学 語 学 コース 翀 欧 米 文 学 語 学 言 語 学 コース 比 較 日 本 文

< F2D874491E682528FCD2091E DF C A2E>

IAF ID x:2010 International Accreditation Forum, Inc. Page 2 of 8 国 際 認 定 機 関 フォーラム(IAF)は 適 合 性 評 価 サービスを 提 供 する 機 関 の 認 定 のためのプログラ ムを 運 営 している この 認 定

神 奈 川 県 立 横 須 賀 大 津 高 等 学 校 いじめ 防 止 基 本 方 針 1 いじめの 防 止 等 に 関 する 基 本 的 な 考 え 方 ( 本 校 のいじめ 防 止 に 関 する 基 本 的 な 姿 勢 ) いじめは いじめを 受 けた 生 徒 の 教 育 を 受 ける 権 利

路 症 状 の 副 作 用 は 少 ないと 言 われている 一 方 Ray らが 報 告 した 大 規 模 調 査 では 突 然 死 の 発 生 率 はわずかながら 第 一 世 代 1.99 に 比 し 第 二 世 代 の 薬 剤 で 2.26 と 増 加 したことが わかっている(Ray et a

<4D F736F F D F5A91EE8BC F368C8E3393FA8DC48D F C8E323893FA916493C B95AA8D CE3816A>

2 出 願 資 格 審 査 前 記 1の 出 願 資 格 (5) 又 は(6) により 出 願 を 希 望 する 者 には, 出 願 に 先 立 ち 出 願 資 格 審 査 を 行 いますので, 次 の 書 類 を 以 下 の 期 間 に 岡 山 大 学 大 学 院 自 然 科 学 研 究 科 等

tokutei2-7.xls

Microsoft PowerPoint 資料6 技術基準.ppt [互換モード]

平成24年度

2 職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 ( 平 成 25 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 給 与 月 額 平 均 年 齢 平 均 給 料

5 月 25 日 2 口 腔 咽 頭 唾 液 腺 の 疾 患 2 GIO: 口 腔 咽 頭 唾 液 腺 の 疾 患 を 理 解 する SBO: 1. 急 性 慢 性 炎 症 性 疾 患 を 説 明 できる 2. 扁 桃 の 疾 患 を 説 明 できる 3. 病 巣 感 染 症 を 説 明 できる 4

目次

Microsoft Word - ’¶Œ½›È−w.doc

<4D F736F F F696E74202D20392E2088E397C38B408AED82CC90BB91A294CC94848CE392B28DB882CC8CBB8FF382C697AF88D3935F2E >

各論_1章〜7章.indd

5 月 27 日 4 子 宮 頸 癌 1 GIO: 子 宮 頸 癌 の 病 態 診 断 治 療 について 理 解 する SBO: 1. 子 宮 頸 癌 の 発 癌 のメカニズムや 発 癌 過 程 について 説 明 できる 2. 子 宮 頸 癌 および 前 癌 病 変 の 分 類 ついて 説 明 でき

jissiyouryou

(Microsoft Word - \220\340\226\276\217\221.doc)

毎 月 の 給 与 等 ( )を 一 定 の 等 級 区 分 にあてはめた 標 準 月 額 の 上 限 が 現 行 の47 等 級 から50 等 級 に 改 正 されます ( 別 紙 健 康 保 険 料 額 表 参 照 ) なお 法 改 正 に 伴 い 標 準 月 額 が 改 定 される 方 につい

再 生 可 能 エネルギー 等 導 入 推 進 基 金 事 業 計 画 書 ( 各 年 度 計 画 書 ) ( 事 業 計 画 の 概 要 ) 計 画 の 名 称 京 都 府 地 球 温 暖 化 対 策 等 推 進 基 金 計 画 の 期 間 交 付 対 象 京 都 府 府 内 市 町 村 民 間

Microsoft Word - h doc

試 験 概 略 試 験 目 的 同 同 一 一 規 規 格 格 の の 電 電 熱 熱 線 線 式 式 ヒーティングユニットを2 台 台 並 並 べ べ 片 片 方 方 のユニットに 遠 遠 赤 赤 外 外 線 線 放 放 射 射 材 材 料 料 である アルミ 合 金 エキスパンションメタルを 組

岡山県警察用航空機の運用等に関する訓令


<4D F736F F D F303088A4926D8CA78E8497A EF68BC697BF93998C798CB895E28F958BE08CF D6A2E646F63>

< F2D A C5817A C495B6817A>

スライド 0

文書フォーマット基本

Taro-データ公安委員会相互協力事

1 林 地 台 帳 整 備 マニュアル( 案 )について 林 地 台 帳 整 備 マニュアル( 案 )の 構 成 構 成 記 載 内 容 第 1 章 はじめに 本 マニュアルの 目 的 記 載 内 容 について 説 明 しています 第 2 章 第 3 章 第 4 章 第 5 章 第 6 章 林 地

Microsoft Word - 2 答申概要.doc

我孫子市小規模水道条例

( 減 免 の 根 拠 等 ) 第 1 条 こ の 要 綱 は, 地 方 税 法 第 条 の 規 定 に 基 づ く 市 税 条 例 第 6 9 条 の 2 の 規 定 を 根 拠 と す る 身 体 障 害 者 等 に 対 す る 軽 自 動 車 税 の 減 免 の 具 体 的 な 対

事務連絡

(4) 武 力 攻 撃 原 子 力 災 害 合 同 対 策 協 議 会 との 連 携 1 市 は 国 の 現 地 対 策 本 部 長 が 運 営 する 武 力 攻 撃 原 子 力 災 害 合 同 対 策 協 議 会 に 職 員 を 派 遣 するなど 同 協 議 会 と 必 要 な 連 携 を 図 る

2. 研 究 内 容 本 研 究 は 高 齢 者 施 設 に 入 所 する 高 齢 者 ( 平 均 年 齢 85 歳 )72 名 および 職 員 ( 平 均 年 齢 37 歳 )20 名 をそれぞれ 無 作 為 に2 群 に 分 け L. casei シロタ 株 を 含 むプロバイオティクス 飲 料

学校教育法等の一部を改正する法律の施行に伴う文部科学省関係省令の整備に関する省令等について(通知)

<4D F736F F F696E74202D208B4C8ED289EF8CA997708E9197BF F8C668DDA A81798DC58F4994C5817A2E707074>

私立大学等研究設備整備費等補助金(私立大学等

(2) 検 体 採 取 に 応 ずること (3) ドーピング 防 止 と 関 連 して 自 己 が 摂 取 し 使 用 するものに 責 任 をもつこと (4) 医 師 に 禁 止 物 質 及 び 禁 止 方 法 を 使 用 してはならないという 自 己 の 義 務 を 伝 え 自 己 に 施 される

本 日 の 内 容 薬 事 法 改 正 の 概 要 医 療 機 器 QMSに 関 する 条 文 抜 粋 と 解 説 新 法 対 応 に 向 けて

Microsoft Word - 不正アクセス行為の禁止等に関する法律等に基づく公安

Microsoft Word - No.10 西村.doc

2-1膠原病.doc

名称未設定

<819A B8B975E8CF6955C2E786C73>

母 子 医 療 対 策 費 462 (313,289) 国 4,479 1 不 妊 治 療 助 成 事 業 8,600 不 妊 治 療 費 用 の 一 部 を 助 成 し 経 済 的 負 担 の 軽 減 を 図 る 230, ,608 不 妊 治 療 費 の 増 加 による 増 額 分

Transcription:

逃 げようとする 変 異 型 HIV と 追 いかける 免 疫 の 攻 防 を 結 晶 構 造 レベルで 解 明 1. 発 表 者 : 東 京 大 学 医 科 学 研 究 所 附 属 先 端 医 療 研 究 センター 感 染 症 分 野 教 授 岩 本 愛 吉 2. 発 表 のポイント: ヒト 免 疫 不 全 ウイルス(HIV)の 変 異 とヒトの 免 疫 防 御 能 の 攻 防 を 分 子 レベルで 明 らかに した 変 異 型 ウイルスのエピトープと T 細 胞 受 容 体 の 相 互 作 用 を 構 造 解 析 を 用 いることにより 明 らかにした 変 異 型 HIV が 免 疫 防 御 反 応 をかいくぐる 機 構 を 提 案 し 新 たな 創 薬 の 可 能 性 を 示 唆 した 3. 発 表 概 要 : 東 京 大 学 の 岩 本 愛 吉 教 授 ( 医 科 学 研 究 所 )と 深 井 周 也 准 教 授 ( 放 射 光 連 携 研 究 機 構 / 分 子 細 胞 生 物 学 研 究 所 )のグループが 共 同 して 日 本 人 HIV 感 染 者 にしばしば 見 られる HIV の 変 異 と それに 対 する 細 胞 傷 害 性 T 細 胞 受 容 体 の 結 晶 構 造 を 解 明 し サイエンティフィック リポート 誌 に 発 表 しました 臨 床 での 観 察 と 構 造 生 物 学 が 連 携 し 宿 主 の 免 疫 反 応 から 逃 れようとするウイルスとその 変 化 に 対 応 した 免 疫 防 御 反 応 の 一 部 を 明 らかにした 研 究 で HIV ワクチンや 免 疫 治 療 の 開 発 に 関 連 した 成 果 です 本 研 究 は 東 大 内 の 共 同 研 究 に 加 え 中 国 とカナダの 研 究 者 が 加 わった 国 際 連 携 研 究 として 行 われました ヒト 免 疫 不 全 ウイルス(Human Immunodeficiency Virus HIV)は ヒトの 免 疫 機 能 を 破 壊 する 疾 患 であるエイズ(Acquired Immune Deficiency Syndrome AIDS)の 原 因 ウイルスで ある 2012 年 の 終 わりには 世 界 で 3530 万 人 が HIV に 感 染 しており 2012 年 一 年 間 で 160 万 人 がエイズにより 亡 くなっている HIV は 非 常 に 変 異 を 起 こしやすいため 細 胞 傷 害 性 T 細 胞 の 免 疫 反 応 から 逃 れて 増 殖 することができる 変 異 により 増 殖 しようとする HIV と HIV を 排 除 しようとする 宿 主 免 疫 応 答 の 機 構 の 理 解 を 深 める 上 で 結 晶 構 造 解 析 などを 用 いた 分 子 レベルでの 理 解 が 欠 かせない しかしながらこれまでそのような 報 告 がなされていない 現 状 がある 今 回 東 京 大 学 医 科 学 研 究 所 の 岩 本 愛 吉 教 授 と 放 射 光 連 携 研 究 機 構 / 分 子 細 胞 生 物 学 研 究 所 の 深 井 周 也 准 教 授 の 共 同 グループは 日 本 人 HIV 感 染 者 にしばしば 見 られる HIV の 変 異 と それに 対 する 細 胞 傷 害 性 T 細 胞 受 容 体 の 結 晶 構 造 を 解 明 した 臨 床 での 観 察 と 構 造 生 物 学 が 連 携 し 宿 主 の 免 疫 反 応 から 逃 れようとする HIV ウイルスとその 変 化 に 対 応 した 免 疫 防 御 反 応 の 一 部 を 明 らかにした 研 究 で HIV ワクチンや 免 疫 治 療 の 開 発 につながる 成 果 である 本 研 究 は 東 京 大 学 内 の 共 同 研 究 に 加 え 中 国 とカナダの 研 究 者 が 加 わった 国 際 連 携 研 究 として 行 われ その 成 果 は 2013 年 11 月 6 日 の サイエンティフィック リポート 誌 で 発 表 された 4. 発 表 内 容 : 研 究 の 背 景 細 胞 傷 害 性 T 細 胞 (Cytotoxic T Lymphocyte CTL)はウイルスに 感 染 した 細 胞 を 非 自 己 と して 認 識 し 感 染 細 胞 を 破 壊 することでウイルスを 排 除 する 感 染 細 胞 内 ではウイルスタ

ンパク 質 が 分 解 断 片 化 されたエピトープ( 注 1)と 呼 ばれる 抗 原 ペプチドが 産 生 される そしてそのエピトープは 主 要 組 織 適 合 抗 原 クラス I(Major Histocompatibility Complex class I MHC class I)( 注 2) 分 子 によって 複 合 体 として 細 胞 表 面 で 提 示 され 感 染 細 胞 の 目 印 となる この 目 印 を CTL は 自 身 の 細 胞 膜 上 に 発 現 する T 細 胞 受 容 体 (T Cell Receptor TCR)を 介 して 認 識 する( 図 1) しかし ヒト 免 疫 不 全 ウイルス(Human Immunodeficiency Virus HIV)は 非 常 に 変 異 を 起 こしやすく エピトープ 部 位 に 変 異 を 獲 得 したウイルスは 変 異 体 として CTL の 免 疫 防 御 反 応 から 逃 れる ヒトの MHC class I で あり 日 本 人 で 多 くみられる HLA-A24( 注 3) 陽 性 の HIV 感 染 者 では HIV の Nef タンパク 質 にある 135 番 目 のアミノ 酸 がタイロシン(Y)からフェニルアラニン(F)に 変 異 した Y135F 変 異 型 エピトープを 持 つウイルスが 優 勢 となる 血 中 には 変 異 型 エピトープを 認 識 す る CTL が 存 在 するが 変 異 型 ウイルスは 排 除 されずに 増 殖 し 続 ける このように 変 異 型 ウイルスとして 増 殖 しようとする HIV と HIV を 排 除 しようとする 宿 主 免 疫 応 答 の 機 構 をより 理 解 するためには 分 子 レベルでの 解 析 すなわち 結 晶 構 造 解 析 が 強 力 な 手 法 となりうる しかしながら 変 異 型 ウイルスのエピトープと TCR に 関 する 構 造 解 析 はほと んど 報 告 されていないのが 現 状 である 研 究 内 容 研 究 グループは 日 本 人 のおよそ 6 割 が HLA-A24 陽 性 であることと その HLA-A24 によって 提 示 される HIV タンパク 質 中 の 10 アミノ 酸 からなる Nef134-10 エピトープ(RYPLTFGWCF) に 注 目 し 野 生 型 ( 変 異 なし)および 2 種 類 の 変 異 型 (Y135F 変 異 F139L 変 異 )を 対 象 に した 研 究 を 行 った まず Y135F 変 異 は 感 染 早 期 に 出 現 する 変 異 であり HLA-A24 陽 性 HIV 感 染 者 間 で 蔓 延 している 変 異 型 ウイルスであることを 再 確 認 した F139L 変 異 は Y135F 変 異 とは 異 なり 一 部 の 感 染 者 間 においてのみ 検 出 され やや 遅 れて 出 現 する 変 異 であることが 確 認 された 次 に エピトープと HLA-A24 との 結 晶 構 造 および TCR との 三 者 複 合 体 構 造 の 構 造 解 析 を 行 っ た その 結 果 F139L 変 異 は TCR との 結 合 能 が 低 下 することにより 生 じる 変 異 であることが 示 唆 された( 図 2) 一 方 Y135F 変 異 では エピトープと HLA-A24 との 相 互 作 用 が 野 生 型 エ ピトープの 場 合 と 異 なるものの TCR は Y135F 変 異 型 エピトープと 正 常 に 相 互 作 用 し 変 異 型 エピトープを 認 識 できることが 明 らかとなった( 図 3) 以 上 より 本 研 究 では HIV の 野 生 型 変 異 型 エピトープを 提 示 した HLA-A24 分 子 との 結 晶 構 造 解 析 ならびに TCR 分 子 との 三 者 複 合 体 結 晶 構 造 解 析 を 行 い 感 染 者 体 内 で 生 じている HIV と 宿 主 免 疫 応 答 の 攻 防 を 再 構 成 した HLA-A24 陽 性 者 の 多 い 日 本 人 集 団 において Y135F 変 異 のような 変 異 型 ウイルスは HIV 感 染 者 体 内 で 蓄 積 され 続 ける 本 来 ならば 宿 主 免 疫 応 答 による CTL によってウイルスは 排 除 され るはずである しかしながら Y135F 変 異 型 ウイルスは 細 胞 内 でのウイルス 抗 原 の 断 片 化 に 影 響 を 及 ぼすことで HIV のみに 免 疫 防 御 反 応 を 起 こす( 特 異 的 CTL が 存 在 するにも 関 わらず その 攻 撃 から 逃 れてしまうと 示 唆 される Y135F 変 異 型 ウイルスは 自 身 の 姿 を 隠 すことで CTL という 宿 主 免 疫 のレーダーから 回 避 することのできるステルス 性 を 装 備 したウイルスで あると 推 察 され CTL を 誘 導 するような 治 療 法 では ステルス 変 異 型 ウイルスを 完 全 に 排 除 できない 可 能 性 が 高 い 研 究 グループはこのような HIV の 変 異 をステルス 変 異 と 名 付 けた 本 研 究 では HIV の 治 療 法 として 感 染 細 胞 内 におけるウイルス 抗 原 の 断 片 化 を 変 化 させる ような 新 たな 治 療 薬 開 発 の 可 能 性 を 提 案 した( 図 4) 今 後 はさらにステルス 変 異 のメカニ ズムが 明 らかになり HIV 感 染 を 治 療 するための 薬 の 開 発 につながることが 期 待 される

5. 発 表 雑 誌 : 雑 誌 名 : Scientific Reports 3, 3097 (オンライン 版 :11 月 6 日 ) 論 文 タイトル:Structure of TCR and antigen complexes at an immunodominant CTL epitope in HIV-1 infection. 著 者 :Akihisa Shimizu, Ai Kawana-Tachikawa, Atsushi Yamagata, Chung Yong Han, Dayong Zhu, Yusuke Sato, Hitomi Nakamura, Tomohiko Koibuchi, Jonathan Carlson, Eric Martin, Chanson J. Brumme, Yi Shi, George F. Gao, Zabrina L. Brumme, Shuya Fukai, Aikichi Iwamoto* DOI 番 号 :DOI:10.1038/srep03097 URL:http://www.nature.com/srep/2013/131106/srep03097/full/srep03097.html 6. 注 意 事 項 : 特 になし 7. 問 い 合 わせ 先 : 東 京 大 学 医 科 学 研 究 所 附 属 先 端 医 療 研 究 センター 感 染 症 分 野 教 授 岩 本 愛 吉 電 話 : 03-5449-5359 FAX: 03-6409-2008 メールアドレス:aikichi@ims.u-tokyo.ac.jp 8. 用 語 解 説 : 注 1 エピトープ MHC class I によって 提 示 される 8 から 11 個 のアミノ 酸 残 基 からなるペプチド 注 2 MHC class I ほとんどの 有 核 細 胞 で 発 現 している 細 胞 膜 貫 通 型 の 糖 タンパク 質 エピトープと 複 合 体 を 形 成 し 細 胞 表 面 で 細 胞 傷 害 性 T 細 胞 に 提 示 する 役 割 を 持 つ 注 3 HLA-A24 HLA はヒト 白 血 球 型 抗 原 (Human Leukocyte Antigen)の 略 でヒトの MHC のことであり 多 く の 型 がある その 中 でも HLA-A24 は 多 くの 日 本 人 が 持 つ HLA の 型 9. 添 付 資 料 :