35 大 連 における 日 本 人 コミュニティの 諸 相 -80 年 代 以 降 を 中 心 に- 林 楽 青 西 尾 林 太 郎 孫 連 花 日 露 戦 争 後 大 連 に 多 くの 日 本 からの 移 民 がやってきた 第 二 次 世 界 大 戦 中 日 本 は 100 万 戸 農 村 移 民 政 策 を 打 ち 出 した こうして 敗 戦 の 1945 年 には 在 連 の 日 本 人 の 数 は 20 万 を 超 えた 戦 後 はど うか 1978 年 に 始 まった 改 革 開 放 から 2011 年 末 に 至 るまで 大 連 に 進 出 した 日 系 企 業 は 4,443 社 に 達 した 現 在 長 期 滞 在 と 短 期 来 連 の 日 本 人 数 は 年 間 50 万 人 を 越 えている 1983 年 に 創 立 された 大 連 日 本 商 工 クラブを 始 め 経 済 文 化 サークル スポーツなど 各 分 野 に 成 立 した 日 本 人 コミュニティは 既 に 145 となった 企 業 進 出 に 伴 う 国 境 を 越 えるネットワークが 形 成 される と 同 時 に 移 動 する 日 本 人 たちが 作 り 出 した 社 会 空 間 には 日 本 国 内 社 会 では 考 えられない 経 済 政 治 社 会 文 化 生 活 環 境 などが 生 み 出 された 異 国 の 地 元 住 民 と 共 存 競 争 しながら 展 開 する 日 本 人 コミュ ニティの 実 態 を 解 明 することは 日 中 両 国 民 にとって 大 変 興 味 深 い 課 題 である 本 研 究 は 大 連 にある 日 本 人 コミュニティの 現 状 及 びその 活 動 内 容 を 調 査 し その 実 態 を 明 らかにするものである はじめに 19 世 紀 末 および 20 世 紀 初 頭 の 日 清 戦 争 と 日 露 戦 争 で 有 名 になった 大 連 市 は 改 革 開 放 政 策 の 最 前 線 に 立 ち 日 本 と 密 接 な 関 係 を 持 っている 2011 年 12 月 現 在 ビジネス 留 学 及 び 家 族 滞 在 ( 国 際 結 婚 を 含 む)などで 大 連 に 滞 在 する 日 本 人 は6 千 人 余 りで この 年 に 大 連 を 訪 れた 日 本 人 観 光 客 は 51 万 人 にも 達 した 1) 中 国 における 日 本 独 資 企 業 第 一 号 である 萬 宝 至 馬 達 ( 大 連 ) 有 限 公 司 2) 始 め 今 日 まで 大 連 に 進 出 した 日 系 企 業 は 既 に 4,308 社 にのぼった 3) 経 済 発 展 に 伴 い 大 連 在 住 の 日 本 人 の 数 が 増 えると 共 に 日 本 人 コミュニティの 発 展 も 顕 著 と なる 大 連 の 日 系 企 業 の 駐 在 社 員 以 外 に 現 地 採 用 の 日 本 人 中 国 市 場 を 狙 ったビジネスを 展 開 する 日 本 人 などが 様 々な 形 で 大 連 に 暮 らしている こういった 越 境 日 本 人 による 社 会 形 態 の 一 つである 日 本 人 コミュニティは 1980 年 代 初 頭 から 今 日 まで 中 国 各 地 で 組 織 化 され そのネットワーク 社 会 はほぼ 完 成 の 域 に 達 しつつある 大 連 に 在 住 する 日 本 人 はこのネットワ ークを 公 私 両 面 で 利 用 している すなわち それは 情 報 収 集 や 相 互 扶 助 さらにビジネスの 展 開 などにそれなりに 大 きい 役 割 を 果 たしている 一 方 それらは 地 元 の 住 民 と 円 滑 な 交 流 を 行 う 共 に 自 分 のアイデンティティの 形 成 を 促 進 させている 我 々は 大 連 市 の 日 本 人 コミュニティについて 調 査 し 本 研 究 でその 一 部 を 紹 介 したいと 考 え る なお 大 連 市 についてこの 様 な 調 査 研 究 はない
36 現 代 社 会 研 究 科 研 究 報 告 1. 調 査 背 景 (1) 大 連 の 歴 史 大 連 は 元 々 日 本 と 関 係 の 深 い 都 市 である 大 連 は 青 泥 窪 という 漁 村 で 19 世 紀 末 日 清 戦 争 で 日 本 が 占 領 し 清 朝 政 府 によりここ を 含 む 遼 東 半 島 が 日 本 に 割 譲 されたが 三 国 干 渉 により 中 国 に 返 還 された その 後 まもなく 1898 年 にロシアが 清 朝 からその 地 を 租 借 し 港 と 市 街 地 を 建 設 して 改 めて 達 里 尼 (ダーリニ) 特 別 市 と 名 付 けた 港 は 自 由 貿 易 港 として 発 展 した また 同 時 にロシアは 旅 順 を 軍 港 として 租 借 した 1904 年 日 露 戦 争 が 勃 発 した 一 年 あまりのこの 戦 争 の 結 果 ロシアが 日 本 に 破 れ 日 本 は この 地 を 占 領 し 1905 年 2 月 11 日 の 紀 元 節 に 達 里 尼 特 別 市 を 大 連 市 と 命 名 し 軍 政 処 ( 後 の 関 東 州 総 督 府 )を 設 置 した 戦 後 ポーツマス 条 約 により 日 本 はこの 占 領 地 をそのまま 受 け 継 ぎ 1906 年 に 関 東 州 と 名 付 け 統 治 した 旅 順 に 関 東 都 督 府 が 置 かれ 1907 年 には 南 満 州 鉄 道 ( 満 鉄 ) 本 社 が 東 京 から 大 連 に 移 された 大 連 は 当 初 ロシアの 建 設 により 出 発 したが 間 もなく 日 本 は 引 き 続 いて 大 規 模 な 建 設 を 行 っ た ヨーロッパ 風 な 都 市 を 建 設 し 美 しい 大 連 を 作 り 上 げた また 日 露 戦 争 に 功 績 のあった 将 軍 や 日 本 の 植 物 の 名 を 町 名 に 使 った 大 連 港 は 中 国 東 北 の 農 産 物 ( 大 豆 やトウモロコシなど) や 石 油 石 炭 木 材 など 原 材 料 の 積 み 出 し 港 として 施 設 が 整 備 された さらにその 後 地 元 の 産 業 は 軽 工 業 から 車 両 機 械 化 学 工 業 にまで 発 展 し 大 連 はその 輸 出 港 として また 中 国 東 北 地 方 への 侵 略 拠 点 として 発 展 してきた 日 本 の 敗 戦 の 1945 年 に 調 印 され 中 ソ 友 好 条 約 により 大 連 旅 順 地 区 は 旧 ソ 連 が 租 借 し 中 国 政 府 との 共 同 管 理 となった 大 連 市 の 市 政 は 中 国 側 が 担 当 したが 旅 順 港 の 使 用 権 は 旧 ソ 連 が 握 り 大 連 港 は 国 際 自 由 港 になった 中 国 人 市 政 府 は 旧 ソ 連 による 軍 政 を 間 接 的 に 管 理 し 国 民 党 と 共 産 党 の 両 方 の 活 動 が 許 されたが 1946 年 2 月 より 東 北 部 で 内 戦 が 始 まった (2) 在 連 日 本 人 数 の 変 化 大 連 市 の 人 口 は 日 露 戦 争 直 後 の 1906 年 における 18,872 人 から 20 年 後 の 1926 年 ( 昭 和 元 年 )には 7 万 8000 人 にまで 増 加 した 敗 戦 の 1945 年 の 時 点 では 大 連 市 総 人 口 は 80 万 人 に 膨 れ 上 がった この 時 日 本 人 の 数 は 全 体 の 四 分 の 一 を 占 めた それは 満 州 事 件 (9.18) 後 日 本 政 府 は 満 州 国 への 支 配 強 化 と 日 本 国 内 の 農 村 の 窮 乏 化 防 止 対 策 の 一 環 として 移 民 政 策 を 実 施 したためである 1932 年 から 35 年 にかけて 4 回 の 農 民 移 民 を 行 い 1936 年 8 月 には 満 州 国 農 業 移 民 100 万 戸 移 住 企 画 案 4) を 決 定 して 1936 年 以 降 の 20 年 間 に 100 万 戸 500 万 人 の 移 住 計 画 を 立 てた 表 1 に 示 すように 日 露 戦 争 翌 年 (1906 年 )の 大 連 市 総 人 口 は 18,872 人 で その 内 の 日 本 人 は 8,248 人 であった 1906 年 から 1915 年 まで 日 本 人 の 数 は 34,563 人 まで 増 え 総 人 口 の 4 割 強 を 占 めた 1920 年 から 1935 年 まで 大 連 在 住 の 日 本 人 数 は 50,778 人 から 134,329 人 ま で 増 加 し 総 人 口 の 3 割 強 を 持 続 したが 1940 年 代 から 終 戦 の 45 年 にかけて 日 本 人 占 有 率 は 2 割 まで 落 ち 込 んでいた 5) それでも 1906 年 末 から 42 年 までの 36 年 間 で 在 連 の 日 本 人 数 は 23 倍 に 増 加 した
大 連 における 日 本 人 コミュニティの 諸 相 37 近 年 すなわち 2001 年 から 2010 年 までの 十 年 間 に 大 連 市 の 人 口 と 在 連 日 本 人 口 を 比 較 し てみると 2001 年 における 大 連 市 総 人 口 は 554 万 6000 人 で 2010 年 までの 10 年 間 で 31.8 万 人 の 増 加 をみた その 増 加 率 は 5.7%である 2001 年 の 在 連 日 本 人 数 は 1,863 人 10 年 後 の 2010 年 には 6,151 人 に 増 えた その 増 加 率 は 230.2%である また 大 連 の 外 国 観 光 客 数 の 10 年 間 の 変 化 はどうか 2001 年 外 国 人 の 観 光 客 数 は 43.3 万 人 であったのに 対 し 2010 年 には 118 万 人 まで 増 加 し 2.7 倍 になった その 内 日 本 人 観 光 客 の 数 も 2001 年 の 19.6 万 人 から 51.5 万 人 まで 増 えた 1.6 倍 の 増 加 である 日 本 人 の 増 加 率 は 総 数 の 増 加 率 とほぼ 変 わら ないが 在 連 日 本 人 と 来 連 日 本 人 観 光 客 の 数 と 合 わせてみると 大 連 市 総 人 口 の 1 割 弱 を 占 め ることが 判 明 する この 点 については 表 2 を 参 照 されたい (3) 在 連 の 日 系 企 業 大 連 市 は 国 家 より 1984 年 に 沿 海 開 放 都 市 6) の 一 つに 指 定 され 翌 年 には 計 画 単 列 都 市 7) として 認 可 され 東 北 地 方 において 最 も 早 く 市 場 経 済 化 に 取 組 んだ 都 市 である また 中 国 東 北 部 で 最 大 の 工 業 生 産 地 を 持 つ 重 工 業 都 市 で 造 船 石 油 化 学 工 業 工 作 機 械 製 造 電 子 情 報 産 業 の 拠 点 であり 中 国 最 大 の 港 湾 航 空 貨 物 輸 送 基 地 である 表 1.1906 年 1942 年 大 連 市 人 口 総 数 と 日 本 人 数 の 比 較 内 容 年 代 1906 年 末 1915 年 末 1920 年 末 1929 年 末 1935 年 末 1940 年 末 1942 年 末 人 口 総 数 18,872 77,184 145,968 258,793 362,808 590,857 826,907 内 日 本 人 8,248 34,563 50,778 88793 134,329 175,483 192,558 日 本 人 の 43.7% 44.8% 34.8% 34.3% 37.0% 29.7% 23.3% 割 合 ( 資 料 出 所 :1906-1935 年 末 のデータは 井 上 謙 三 郎 大 連 市 史, 大 連 市 役 所,1936 年 ;1940 年 末 のデータは 昭 和 十 六 年 度 版 関 東 州 満 人 商 工 案 内 泰 東 日 報 社, 付 録 p6-7;1942 年 末 のデータは 関 東 局 管 内 現 住 人 口 統 計 関 東 局 編, 昭 和 十 八 年 [1944 年 ],p6-7) 1984 年 に 始 まった 経 済 技 術 開 発 区 の 建 設 と 共 に 外 資 の 進 出 も 本 格 化 した 1989 年 に 中 国 進 出 の 日 本 単 独 出 資 中 国 第 一 号 の 企 業 を 始 め 1992 年 にスタートした 日 中 初 の 合 弁 工 業 団 地 である 日 中 合 弁 大 連 工 業 団 地 プロジェクト など 日 系 企 業 の 大 連 進 出 が 次 々と 実 現 した 日 本 企 業 の 大 連 進 出 の 全 体 図 を 見 ると 四 つの 段 階 に 分 けられる 8) 1 調 査 打 診 期 (1979~1983 年 ) この 時 期 は 中 国 文 化 大 革 命 の 終 了 直 後 にあたり 国 交 正 常 化 を 実 現 しても 中 国 の 情 報 が 不 足 した 時 期 であった 日 本 企 業 は 中 国 の 状 況 を 把 握 するた め 現 地 での 情 報 収 集 が 不 可 欠 となった こうした 時 期 に 1983 年 6 月 に 大 連 日 本 商 工 クラ ブ 9) が 設 立 された 2 初 期 発 展 期 (1984~1989 年 ) 日 本 の 製 造 メーカーが 中 国 で 低 コスト 生 産 に 惹 かれ 大 連 市 経 済 技 術 開 発 区 に 集 中 的 に 進 出 した 3 低 迷 期 (1989~1991 年 ) 90 年 代 に 始 まった 日 本 のバブル 経 済 崩 壊 の 影 響 により 海 外 へ の 投 資 がこの 時 期 に 減 少 した ちなみに 1989 年 から 1991 年 まで 大 連 の 日 本 企 業 の 投 資 件 数 は 僅 か 232 件 であった 10) 4 高 度 成 長 期 (1992 年 ~) 日 本 の 円 高 などの 影 響 で 日 本 企 業 の 海 外 進 出 がブームになった
38 現 代 社 会 研 究 科 研 究 報 告 この 時 期 大 連 に 進 出 した 日 系 企 業 の 数 は 毎 年 三 桁 の 数 字 を 数 えるにまで 膨 らんだ 特 に 1998 年 から 2008 年 の 10 年 間 で 日 本 企 業 の 契 約 ベースは 2,693 件 に 達 し それは 1979 年 以 降 の 日 系 企 業 投 資 契 約 ベース 総 数 のほぼ 7 割 を 占 める 11) 表 2:2001 2010 年 大 連 人 口 と 在 連 日 本 人 口 と 外 交 国 観 光 客 数 と 日 本 人 観 光 客 数 との 比 較 ( 単 位 : 万 人 ) 内 容 年 代 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年 2009 年 2010 年 人 口 総 数 554.6 557.9 560.2 561.6 565.3 572.1 578.2 583.4 584.8 586.4 内 日 本 人 0.1863 0.2002 0.2312 0.2823 0.3145 0.4020 0.4123 0.4868 0.5427 0.6151 日 本 人 の 割 合 0.03% 0.04% 0.04% 0.05% 0.06% 0.07% 0.07% 0.08% 0.09% 0.10% 外 国 人 観 光 客 43.3 41.9 31.9 45.6 52.5 61.6 75.0 85.6 94.7 118.0 内 日 本 人 19.6 23.4 17.6 27.2 30.3 34.4 41.1 46.8 56.0 51.5 日 本 人 の 割 合 45.27% 55.85% 55.17% 59.65% 57.71% 55.84% 54.80% 54.67% 59.13% 43.64% ( 資 料 出 所 : 日 本 貿 易 振 興 機 構 (ジェトロ) 大 連 事 務 所 内 部 資 料 大 連 市 概 況 2009 年,2012 年 ; 日 本 国 駐 瀋 陽 総 領 事 館 在 大 連 出 張 駐 在 官 事 務 所 内 部 資 料 ) 2. 大 連 の 日 本 人 コミュニティ 1で 述 べたような 日 本 企 業 の 大 連 進 出 及 びグローバル 化 による 日 本 人 の 海 外 大 移 動 で 大 連 に 在 住 する 日 本 人 の 数 は 年 々 増 えている 80 年 代 初 期 に 国 境 を 越 えた 日 本 人 によるネットワ ークが 形 成 されて 以 来 今 日 に 至 るまで 大 連 で 形 成 され 現 在 に 至 っている 日 本 人 コミュニテ ィは 145 を 数 える われわれは 2011 年 10 月 から 今 年 の 10 月 までの 一 年 間 日 本 人 コミュ ニティの 実 態 を インタビューにより 調 査 した 12) (1) 日 本 人 コミュニティの 類 型 2012 年 8 月 末 までに 大 連 市 にある 日 本 人 コミュニティの 数 は 145 となった 13) これらの コミュニティ 団 体 は 地 元 政 府 に 登 録 手 続 きを 行 っていないので いずれも 草 の 根 の 団 体 である 本 研 究 はこれら 団 体 の 活 動 内 容 に 着 眼 し これらのコミュニティを2つのカテゴリーに 分 類 する 1 県 人 会 型 日 系 企 業 の 大 連 進 出 の 一 環 とする 現 時 情 報 収 集 の 役 目 である 大 連 日 本 商 工 クラブは 1983 年 6 月 に 創 立 された その 後 国 家 機 関 地 方 自 治 体 中 央 銀 行 地 方 銀 行 ( 地 方 自 治 体 代 理 機 能 もある)などが 大 連 に 現 地 駐 在 事 務 所 を 設 立 した 14) まずこうした 現 地 所 員 を 中 心 とした 県 人 会 が 結 成 され その 後 日 本 の 各 地 から 来 た 人 々が 自 発 的 に 県 人 会 を 立 ち 上 げて 行 った その 数 は 現 時 点 (2012 年 10 月 )で 34 にのぼっている 47 都 道 府 県 の 8 割 以 上 が 県 人 会 を 持 っ ていることになる その 県 人 会 のメンバーは 地 方 自 治 体 駐 在 事 務 所 員 銀 行 駐 在 事 務 所 員 日 系 企 業 駐 在 事 務 所 員 日 本 人 ビジネスマン 現 地 日 本 人 起 業 者 現 地 採 用 の 日 本 人 社 員 現 地 の 大 学 等 教 育 機 関 の 教 員 日 本 人 留 学 生 ならびにそれらの 家 族 さらに 加 えて 日 本 で 留 学 や 仕 事 をし た 経 験 を 持 つ 中 国 人 などである 県 人 会 の 活 動 は 歓 送 迎 会 などの 宴 会 忘 年 会 新 年 会 及 びゴルフコンペなど 会 員 相 互 の 懇 親 会 を 主 な 活 動 内 容 としている 活 動 の 頻 度 は 年 に 何 回 か 或 いは 何 ヶ 月 に 一 回 というのが 多 いが 毎 月 に 一 回 の 頻 度 でやっている 県 人 会 もある 会 費 の 代 わりに 毎 回 の 活 動 にかかる 費 用 は 現 場 実 費 と 呼 ばれる
大 連 における 日 本 人 コミュニティの 諸 相 39 県 人 会 に 類 似 するコミュニティのもう 一 つは 同 窓 会 である 会 員 構 成 や 活 動 内 容 および 活 動 頻 度 などは 県 人 会 とほぼ 同 じである このような 大 学 の 同 窓 会 が 15 ある 表 3 在 連 日 本 人 コミュニティの 類 型 表 県 人 会 型 同 好 会 型 日 本 人 合 計 県 人 会 同 窓 会 運 動 系 文 芸 系 音 楽 系 交 流 系 暮 し 系 飲 食 系 経 済 系 限 定 系 団 体 数 34 15 31 16 9 12 8 7 4 9 145 比 率 23.4% 10.3% 21.4% 11.0% 6.2% 8.3% 5.5% 4.8% 2.8% 6.2% 100.0% 県 人 会 ( 同 窓 会 も 含 む 以 下 同 )の 活 動 内 容 をその 特 性 により 以 下 の 三 種 類 に 分 けてみる ⅰビジネスの 補 助 県 人 会 の 会 長 は 現 地 日 系 企 業 の 責 任 者 が 多 く 会 の 事 務 局 は 自 治 体 の 現 地 駐 在 事 務 所 の 日 本 人 が 担 当 する 県 人 会 の 活 動 を 通 して 会 員 所 属 の 企 業 の 宣 伝 ビジネス 情 報 の 交 換 会 員 同 士 のビジネス 情 報 の 交 換 を 行 うことは その 会 の 主 な 目 的 となる 時 には 日 本 の 自 治 体 の 地 元 企 業 の 経 済 ミッションに 合 わせた 県 人 会 活 動 を 行 ったり 大 連 をはじめ 中 国 各 地 の 地 元 日 系 企 業 へのフォローをしたりする 例 えば 北 海 道 県 人 会 新 潟 県 人 会 福 岡 県 人 会 な どがこうした 点 で 熱 心 であるようである ⅱ 自 治 体 の 宣 伝 県 人 会 の 会 長 は 地 方 自 治 体 の 駐 在 事 務 所 の 責 任 者 であることがほとんどで その 事 務 室 はそ の 自 治 体 の 駐 在 事 務 所 に 置 かれている 自 治 体 の 宣 伝 観 光 誘 致 地 元 の 産 業 や 企 業 の 宣 伝 や 広 報 活 動 を 行 っている 同 時 に 日 本 の 自 治 体 と 中 国 の 地 方 政 府 との 交 流 窓 口 の 役 割 も 果 たし ている 例 えば 大 連 ちゃちゃ 会 ( 北 九 州 市 ) 奈 良 県 人 会 などがそうした 例 である ⅲ 地 元 日 本 人 間 の 交 流 駐 在 事 務 所 と 全 く 関 係 なく 大 連 在 住 の 日 本 人 が 自 発 的 に 出 身 地 域 の 関 係 者 で 結 成 した 県 人 会 もある 活 動 の 内 容 は 定 期 的 な 懇 親 会 の 開 催 が 中 心 で 日 本 人 同 士 の 懇 親 や 情 報 交 換 そして 中 国 人 との 交 流 を 目 的 とする 特 にこれらの 団 体 は 現 地 日 本 人 の 生 活 全 般 についての 応 援 に 大 きな 役 割 を 果 たしている 例 えば 大 連 沖 縄 県 人 会 なにわの 会 三 重 県 人 会 などは その 一 例 である 2 同 好 会 型 地 縁 による 県 人 会 と 違 って 個 人 の 趣 味 によって 集 まる 日 本 人 コミュニティは 同 好 会 型 であ る スポーツ 音 楽 文 芸 仲 間 造 り 日 常 生 活 グルメ ビジネスなどの 分 野 における 団 体 を 合 わせるとその 数 は 96 にもなる これらの 県 人 会 の 活 動 内 容 により 以 下 の 8 種 類 に 分 けることができる Ⅰ 運 動 系 活 動 内 容 が 運 動 に 関 する 日 本 人 コミュニティは 31 あり 同 好 会 型 の 中 でもっとも 多 い 現 地 駐 在 の 日 本 人 は 自 分 の 趣 味 を 生 かし 日 本 人 や 地 元 の 中 国 人 と 共 同 して 活 動 を 行 う 活 動 内 容 の 特 性 により それは 2 種 類 に 分 けられる
40 現 代 社 会 研 究 科 研 究 報 告 ⅰ 日 本 人 中 心 型 活 動 の 内 容 は 日 本 特 有 のスポーツ 或 いは 日 本 国 民 に 普 及 している 運 動 で 中 国 ではあまり 普 及 していないため 参 加 する 会 員 はほぼ 日 本 人 に 限 定 されている 例 えば 大 連 剣 友 会 は 剣 道 を 習 ったことがある 日 本 人 が 中 心 で 地 元 の 中 国 人 参 加 者 は 少 ない 15) 野 球 もそうで 日 本 で 人 気 のあるスポーツである 野 球 を 中 国 でやる 人 は 極 めて 少 ない 2003 年 7 月 に 創 立 さ れた 大 連 野 球 連 盟 は 当 初 在 連 日 本 人 で 結 成 された 野 球 チームの 練 習 試 合 という 形 で 始 ま った 当 時 の 大 連 には 中 国 人 野 球 チームはなく 野 球 自 体 も 知 っている 中 国 人 もほとんどいな かった 現 在 大 連 野 球 リーグ 戦 に 参 加 しているのは 12 チームであるが 日 本 人 の 選 手 がほ とんど 16) という 同 様 にパラグライダー ラグビーやゴルフのように 日 本 では 結 構 人 気 があり 競 技 人 口 も 多 いスポーツだが 大 連 でやっている 中 国 人 は 殆 どいないため 現 地 の 日 本 人 で 結 成 され 運 営 される 日 本 人 コミュニティもある 例 えば 大 連 パラグライダー 同 好 会 ラグビークラブ 大 連 72 クラブ 安 全 ma ロブ 会 などである ⅱ 交 流 型 スポーツを 通 して 現 地 の 日 本 人 同 士 だけではなく 地 元 の 中 国 人 と 交 流 する 目 的 でできた 日 本 人 コミュニティ 団 体 である 活 動 内 容 は 中 国 で 人 気 があるかは 普 及 しているスポーツの 団 体 である 例 えば 味 処 喜 兆 釣 り 懇 親 会 釣 り 愛 好 会 酒 菜 の 会 アカシアテニスクラ ブ NGK バレーボール 部 大 連 バスケ 部 稲 田 屋 バド 部 黒 馬 バドミントンクラブ ランニング 同 好 会 チームアジアランニングクラブ などである 現 地 の 日 本 人 をチームメンバーとし 普 段 自 分 で 楽 しむとともに 現 地 中 国 人 のチームと 親 善 試 合 を 行 おうとする 日 本 人 コミュニティ 団 体 もある スポーツで 地 元 の 中 国 人 チームと 交 流 す るのが 目 的 である 例 えば サッカークラブ チーム YAMATO サッカークラブ 行 雲 FC サッカークラブ 大 連 海 神 FC 大 連 卓 球 同 好 会 大 連 台 球 クラブ 必 利 亜 都 17) などである Ⅱ 文 芸 系 文 化 を 中 心 とする 日 本 人 コミュニティは 15 ある この 中 に 団 体 の 特 性 から 見 れば 5 種 類 に 分 けられる ⅰ 日 本 独 自 な 文 化 を 宣 伝 する 為 日 本 人 の 教 師 ( 或 いは 専 門 家 )の 指 導 を 中 心 と する 団 体 である 例 えば 茶 道 裏 千 家 大 連 同 好 会 ( 茶 道 ) 大 連 池 坊 同 好 会 ( 生 け 花 ) 未 生 流 生 花 教 室 大 連 きもの 小 町 競 馬 を 楽 しむ 会 18) などである ⅱ 中 国 独 特 な 文 化 を 習 うため 中 国 人 の 教 師 ( 専 門 家 )に 稽 古 をつけてもらう 日 本 人 同 士 のグループである 例 え ば 大 連 麒 麟 会 ( 京 劇 ) 大 連 あるふぅの 会 ( 二 胡 ) 大 連 カルチャー 研 究 会 ( 中 国 手 芸 中 国 茶 など)である ⅲ 日 中 両 国 間 で 共 通 する 文 芸 文 化 の 交 流 である 例 えば 将 棋 や 囲 碁 の 将 棋 象 棋 交 流 会 19) 碁 悦 同 舟 会 などである ⅳ 中 国 語 と 日 本 語 の 学 習 教 授 を 目 的 とする 日 本 人 の 団 体 である 例 えば 中 国 語 の 練 習 会 大 連 日 本 語 教 師 会 などである ⅴ 西 洋 の 手 芸 やゲームを 楽 しむ 日 本 人 仲 間 の 集 まりである 例 えば IFA CHINA (プリザ ーブドフラワー) 大 連 テーブルゲームの 会 (カタン ドミニオン 等 )などである Ⅲ 音 楽 系 音 楽 を 趣 味 とする 日 本 人 集 まりのコミュニティは 9 ある 音 楽 系 の 日 本 人 コミュニティを 楽 器 演 奏 会 と 歌 う 会 とダンスなどを 3 種 類 に 分 けられる Club future 09 大 連 国 際 音 楽 クラ
大 連 における 日 本 人 コミュニティの 諸 相 41 ブ カリメロナイト in 大 連 大 連 バンドの 会 BAMBINO などの 日 本 人 コミュニテ ィは 地 元 の 中 国 人 と 一 緒 に 作 った 楽 器 演 奏 団 体 である また 歌 声 サロン 大 連 中 日 友 好 の 声 合 唱 団 カラオケ 同 好 会 などのコミュニティは 日 本 人 が 作 った 団 体 であるが 現 在 では 地 元 の 中 国 人 の 会 員 も 多 い 大 連 サルサダンス はダンスに 興 味 を 持 っている 日 本 人 と 中 国 人 の 仲 間 同 士 の 団 体 である ⅳ 仲 間 作 り 系 地 元 の 中 国 人 と 交 流 する 目 的 とする 日 本 人 コミュニティは 12 ある 地 元 の 社 会 に 溶 け 込 み 地 元 の 情 報 を 入 手 し 自 分 の 言 語 能 力 を 高 めるなどの 目 的 でできた 団 体 である そのコミュニ ティの 名 称 に 注 目 したい 中 日 のような 国 の 名 前 をつけたものが 3 団 体 ( 巻 末 の 一 覧 表 の 番 号 で 108 111 113 以 下 同 じ)ある 日 中 韓 は 大 連 における 韓 国 企 業 の 駐 在 員 や 韓 国 系 大 連 市 民 の 多 さを 反 映 している 大 連 という 地 名 を 強 調 するのは 4 団 体 大 連 市 内 にある エリアに 限 定 するのも 1 団 体 (109)である 旅 行 などの 趣 味 に 限 定 するのは 2 団 体 (114 115) 交 流 相 手 を 限 定 するのは 同 じく 2 団 体 (118 119) 宗 教 関 係 は 1 団 体 (116)である 20) ⅴ 暮 らし 系 日 常 生 活 を 中 心 とする 日 本 人 コミュニティは 6 ある こちらの 団 体 の 主 体 は 女 性 である 日 本 駐 在 員 の 滞 在 家 族 として 異 国 での 生 活 に 慣 れないし 家 族 同 士 の 交 流 が 必 要 となる 家 族 間 の 懇 親 と 助 け 合 い 情 報 交 換 などが 目 的 である 例 えば 大 連 小 朋 友 の 会 サークル 歓 迎 組 大 連 ペットの 会 野 良 猫 犬 愛 護 の 会 などである 国 際 結 婚 をして 大 連 に 住 む 日 本 人 を 対 象 に または 日 本 人 の 子 供 の 教 育 のために 地 元 の 社 会 を 理 解 し 溶 け 込 む 目 的 で 地 元 の 中 国 人 との 交 流 が 行 われている 例 えば 中 日 親 子 交 流 会 ホンシュエの 会 21) などがそ の 担 い 手 である 大 連 で 働 いている 女 性 を 対 象 とする 女 性 同 士 のコミュニティもある 例 え ば 働 く 女 性 の 会 大 連 美 的 会 などである ⅵグルメ 懐 かしく 恋 しい 日 本 料 理 と 美 味 の 中 華 料 理 を 好 む 日 本 人 でできた 料 理 に 関 する 日 本 人 コ ミュニティは 7 つある 滞 在 中 の 日 本 人 は 平 日 の 食 事 が 中 華 料 理 である 大 連 で 値 段 が 高 い 日 本 料 理 を 食 べるのは 金 銭 面 を 考 えるよりむしろ 仲 間 同 士 の 情 報 交 換 のためであり 懇 親 のた めの 食 事 会 だと 言 えよう 例 えば すし 60 元 食 べ 放 題 の 会 22) すし 食 いねぇ!!の 会 などである お 酒 が 好 きな 日 本 人 は 好 きなお 酒 以 外 を 飲 まないという 規 則 による 集 まりもある 例 えば 日 本 酒 愛 好 会 紹 興 酒 の 会 などである 料 理 が 好 きな 人 たちでどんな 料 理 でも 構 わないが 食 べながらの 情 報 交 換 と 懇 親 もための 会 もある 例 えば 康 派 会 美 食 倶 楽 部 などである 康 派 は 住 宅 団 地 の 名 前 である この 住 宅 団 地 に 住 んでいる 日 本 人 有 志 の 集 まりである ⅶ 経 済 系 ビジネスやマネーに 関 心 を 持 っている 人 たちでできた 日 本 人 コミュニティは 4 つある 現 地 採 用 の 応 援 を 行 う 団 体 の 現 地 採 用 を 応 援 する 会 中 国 経 済 高 度 成 長 期 での 不 動 産 ブームに 関 心 を 持 っている 日 本 人 の 集 まりである 大 連 不 動 産 投 資 また 資 産 運 用 に 関 する 日 本 人 仲 間 の 集 まりの 資 産 運 用 志 隊 とビジネスの 成 功 を 目 指 す 日 本 人 の 団 体 世 界 成 功 クラブ な どもある
42 現 代 社 会 研 究 科 研 究 報 告 ⅷ 日 本 人 限 定 系 日 本 人 だけの 会 は 9 つある 会 員 は 在 連 日 本 人 に 限 られ 会 員 のためにサービスを 提 供 する 会 がある 例 えば 大 連 日 本 商 工 会 である 日 系 企 業 の 法 人 会 員 と 日 本 人 個 人 会 員 とから 成 る 大 連 日 本 商 工 会 は 定 期 的 に 例 会 を 行 い 情 報 提 供 や 勉 強 会 を 実 施 する また 日 本 から 芸 術 家 芸 能 人 などを 招 き イベントを 行 い 時 には 大 連 の 各 行 政 機 関 への 在 連 日 本 人 の 窓 口 の 役 割 を 果 たす 大 連 滞 在 の 日 本 婦 人 の 集 まりである 大 連 リラ 会 は 年 に 2 回 ほど 販 売 会 を 催 し その 収 益 の 一 部 を 貧 しい 大 連 の 高 校 生 を 支 援 する 活 動 を 行 うなど 社 会 貢 献 を 目 指 す 会 である また 同 年 生 まれの 駐 在 日 本 人 の 集 まりで 定 期 的 に 実 施 される 食 事 会 を 通 じて 情 報 交 換 と 相 互 援 助 を 目 的 とする 団 体 がある 例 えば 74 年 会 虎 の 会 大 連 82 83 年 犬 と 猪 の 会 88 年 の 会 青 春 91 92 年 会 大 連 91 年 の 会 などである 3.おわりに 大 連 の 日 本 人 コニュニテイは 20 世 紀 初 頭 の 関 東 州 時 代 から 既 に 存 在 していた 戦 後 の 1980 年 代 はじめに 日 本 企 業 の 進 出 に 伴 って 日 本 人 コミュニティが 発 足 してから 現 在 では その 数 は 140 以 上 となった この 140 余 りの 日 本 人 コミュニティ 活 動 を 調 べると 異 国 にいる 日 本 人 がコミュニティを 通 じて 情 報 交 換 と 相 互 扶 助 を 目 的 として 結 成 された 団 体 が 最 も 多 い また スポーツと 文 化 などの 分 野 において 日 本 独 自 のモノを 紹 介 するとともに 中 国 独 自 の モノを 学 習 し 相 互 の 文 化 を 理 解 し 共 存 させようとするものもある 活 動 内 容 から 見 れば スポーツ 系 と 文 化 系 のコミュニティはそれに 関 連 する 活 動 で 日 本 人 同 士 だけでなく 地 元 の 中 国 人 とも 交 流 を 行 っている 県 人 会 同 窓 会 と 同 年 生 まれ などのコミュにティは 主 に 食 事 という 形 で 交 流 や 情 報 交 換 などの 機 会 を 提 供 している 内 容 に 拘 らず 話 し 合 いの 形 で 現 地 の 中 国 人 と 交 流 し 国 際 交 流 の 輪 を 広 げている 一 方 日 本 人 だけに 限 定 しているコミュニティは 異 国 でも 自 分 のアイデンティティを 維 持 し ながら 地 元 の 社 会 に 溶 け 込 もうとする 動 きも 見 えてきた 団 体 として 地 元 大 連 の 社 会 貢 献 を 続 けている 在 連 の 日 本 人 コミュニティは 異 国 の 仕 事 にも 生 活 にも 欠 かせない 日 常 生 活 の 一 部 分 となっている コミュニティ 活 動 に 参 加 し 地 元 の 中 国 人 との 交 流 を 通 じて 現 地 社 会 に 溶 け 込 むことは 自 らの 駐 在 生 活 或 いは 留 学 生 活 を 大 いに 有 意 義 にするであろう しかし 在 連 日 本 人 コミュニティの 会 員 は 駐 在 員 が 主 流 で 駐 在 期 間 を 終 え 帰 国 した 場 合 もはや 会 員 でなくなるケースも 多 い また 民 間 団 体 に 対 する 中 国 の 法 律 上 の 規 制 は 日 本 より かなり 厳 しく 複 雑 である 中 国 地 元 の 民 間 団 体 ですら 許 可 がおりることは 少 なく 特 に 外 国 人 団 体 に 公 式 な 許 可 がおりることは 現 実 には 無 いであろう 大 連 にある 日 本 人 コミュニティの 多 くはまさに 草 の 根 という 組 織 として 組 織 の 管 理 と 運 営 などはおろか むしろ 存 在 自 体 だけ で 四 苦 八 苦 という 状 態 にある グローバル 化 と 日 本 経 済 の 不 況 により 外 国 で 現 地 採 用 される 日 本 人 も 年 々 増 えつつある 外 国 で 日 本 人 としての 生 活 を 続 ける 場 合 自 分 のアイデンティティをどのように 維 持 するのか が 問 題 となろう 日 本 人 は 中 国 特 に 大 連 において 日 本 人 コミュニティに 加 わりながら 日 本 人 としてのアイデンティティをどのように 維 持 しているのか 日 本 人 を 中 心 とする 外 国 のコミュ ニティの 現 状 とその 社 会 的 役 割 などについて 今 後 も 研 究 を 進 めていきたい
大 連 における 日 本 人 コミュニティの 諸 相 43 大 連 市 にある 日 本 人 コミュニティ 団 体 名 一 覧 表 (2012 年 8 月 現 在 ) No 団 体 名 No 団 体 名 No 団 体 名 1 大 連 神 奈 川 県 人 会 49 富 山 大 学 大 連 会 97 Club Future 09 2 大 連 ちゃちゃ 会 ( 北 九 州 市 ) 50 大 連 剣 友 会 98 大 連 国 際 音 楽 クラブ 3 大 連 新 潟 県 人 会 51 大 連 野 球 連 盟 大 連 Cat's 99 カリメロナイト in 大 連 4 大 連 富 山 企 業 会 52 windy 大 連 ( 大 連 少 年 野 球 チーム) 100 大 連 バンドの 会 5 大 連 岩 手 県 人 会 53 暴 球 隊 (スポーツ) 101 BAMBINO 6 大 連 宮 城 県 人 会 54 双 啓 IB ギャラクシーズ 102 大 連 サルサダンス 7 秋 田 県 人 会 55 Fortune Works 103 歌 声 サロン 8 大 連 岡 山 県 人 会 56 DBC(DALIAN BASEBALL CLUB) 104 大 連 日 中 友 好 の 声 合 唱 団 9 福 岡 県 人 会 57 大 連 Cat's 105 カラオケ 同 好 会 10 山 口 県 人 会 58 朋 友 106 mixi 大 連 コミュニティ 11 大 連 北 海 道 人 会 59 壮 年 走 攻 会 107 大 連 で 友 作 り 隊 12 広 島 県 人 会 60 総 合 格 闘 技 ( 破 着 羊 皮 的 狼 ) 108 大 連 日 中 交 流 会 13 奈 良 県 人 会 61 大 連 パラグライダー 同 好 会 109 大 連 南 山 路 交 流 会 14 大 連 千 葉 県 人 会 62 ラグビークラブ 大 連 ELKS 110 中 国 の 若 者 との 交 流 会 15 大 連 静 岡 県 人 会 63 大 連 72 クラブ 111 大 連 華 日 クラブ 16 大 連 群 馬 県 人 会 64 安 全 ma(ゴルフ) 112 大 連 アカシア 会 17 大 連 埼 玉 県 人 会 65 ロブ 会 (ゴルフ) 113 大 連 日 中 韓 国 際 交 流 会 18 熊 本 県 人 会 66 味 処 喜 兆 釣 り 懇 親 会 114 ココ 夏 アイランドクラブ 倶 楽 部 19 福 島 県 人 会 67 釣 り 愛 好 会 酒 菜 の 会 115 旅 の 友 20 大 連 岐 阜 県 人 会 68 アカシアテニスクラブ 116 DICF( 大 連 国 際 教 会 ) 21 大 連 愛 媛 県 人 会 69 NGK バレーボール 部 117 Rookies @ 大 連 22 大 連 徳 島 県 人 会 70 大 連 バスケ 部 (スポーツ) 118 大 連 小 朋 友 の 会 23 大 連 沖 縄 県 人 会 71 稲 田 屋 バド 部 119 働 く 女 性 の 会 24 三 重 県 人 会 72 黒 馬 バドミントンクラブ 120 日 中 親 子 交 流 会 25 なにわの 会 ( 大 阪 ) 73 サッカークラブ チーム YAMATO 121 ホンシュエの 会 26 福 島 県 人 会 74 サッカークラブ 行 雲 FC 122 サークル 歓 迎 組 27 遼 寧 がばい 会 ( 佐 賀 ) 75 サッカークラブ 大 連 海 神 FC 123 大 連 ペットの 会 28 大 連 京 滋 の 会 ( 京 都 滋 賀 ) 76 NHN ST サッカーサークル 124 野 良 猫 犬 愛 護 の 会 29 香 川 県 人 会 77 大 連 卓 球 同 好 会 125 大 連 美 的 会 30 大 連 大 分 県 人 会 78 大 連 台 球 倶 楽 部 必 利 亜 都 126 紹 興 酒 の 会 31 大 連 長 野 県 人 会 79 ランニング 同 好 会 (チームアカシア 大 連 ) 127 康 派 (カンパイ) 会 32 大 連 東 京 しってるかい 80 チームアジアランニングクラブ(TARC) 大 連 128 美 食 倶 楽 部 33 大 連 東 海 クラブ 81 大 連 三 線 の 会 129 すし 60 元 食 べ 放 題 の 会 34 県 人 会 が 無 いかもしれない の 県 人 会 82 アカシアの 大 連 句 会 130 すし 食 いねぇ!!の 会 35 神 戸 大 学 同 窓 会 83 茶 道 裏 千 家 淡 交 会 大 連 同 好 会 131 日 本 酒 愛 好 会 36 法 政 大 連 会 84 大 連 池 坊 同 好 会 132 大 連 日 本 料 理 協 会 37 大 連 桜 美 林 崇 貞 会 85 未 生 流 生 花 教 室 133 大 連 不 動 産 投 資 38 大 連 稲 門 会 86 大 連 きもの 小 町 134 世 界 成 功 クラブ 39 大 連 三 田 会 ( 慶 応 ) 87 競 馬 を 楽 しむ 会 135 資 産 運 用 志 隊 40 関 西 学 院 KG 会 同 窓 会 大 連 支 部 88 大 連 麒 麟 会 136 現 地 採 用 を 応 援 する 会 41 大 連 如 水 会 ( 一 橋 ) 89 大 連 あるふぅの 会 137 大 連 日 本 商 工 会 42 津 田 塾 大 学 同 学 会 90 大 連 カルチャー 研 究 会 138 大 連 留 学 生 社 団 43 福 岡 大 学 大 連 同 窓 会 91 将 棋 象 棋 交 流 会 139 NINJAsu CHINA 44 大 連 同 志 社 グローバー 会 92 碁 悦 同 舟 会 140 大 連 リラの 会 45 神 奈 川 大 学 93 中 国 語 の 練 習 会 141 74 年 会 虎 の 会 46 東 京 経 済 大 学 OB OG 葵 会 大 連 94 大 連 日 本 語 教 師 会 142 大 連 82 83 犬 と 豚 の 会 47 明 治 大 学 大 連 会 95 IFA CHINA 大 連 143 88 年 の 会 48 神 戸 大 学 同 窓 会 96 大 連 テーブルゲームの 会 144 青 春 91 92 年 会 145 大 連 91 年 の 会
44 現 代 社 会 研 究 科 研 究 報 告 注 1) 日 本 国 駐 瀋 陽 総 領 事 館 在 大 連 出 張 駐 在 官 事 務 所 の HP(http://www.dalian.cn.emb-japan.go.jp/jp/index.html) による それによると 2011 年 10 月 現 在 在 連 日 本 人 の 数 は 6175 名 である 2) マブチモータ 株 式 会 社 は 1987 年 10 月 に 現 地 法 人 の 子 会 社 であるマブチモーター( 大 連 ) 株 式 会 社 を 創 立 3) 大 連 市 対 外 貿 易 経 済 合 作 局 の 内 部 資 料 による 2011 年 までの データーである 4) 偽 満 洲 国 日 本 人 移 民 用 地 徴 購 政 策 ( 高 楽 才, 外 国 問 題 研 究,2011. 第 一 期.p5) 5) 1945 年 8 月 まで 大 連 市 の 人 口 は 80 万 人 余 りで 内 日 本 人 は 20 万 2000 人 である 出 所 : 大 連 空 白 の 六 百 日 ( 永 富 孝 子, 新 評 論,1986.7 p53) 6) 1984 年 中 国 国 家 国 務 院 に 認 可 された 14 の 沿 海 開 放 都 市 は 大 連 秦 皇 島 天 津 煙 台 青 島 連 雲 港 南 通 上 海 寧 波 温 州 福 州 広 州 湛 江 北 海 である 7) 中 国 省 自 治 区 並 みの 独 立 した 権 限 を 持 つ 都 市 である 日 本 の 政 令 指 定 都 市 に 当 たる 8) 日 本 企 業 在 連 投 資 情 況 的 考 察 與 研 究 ( 王 東, 大 連 大 学 学 報 vol.7,no.3.1997.9,p267~269) 9) 2006 年 4 月 大 連 日 本 商 工 会 と 名 称 を 変 更 した 10) 関 満 博 日 本 企 業 中 国 進 出 の 新 時 代 - 大 連 の 10 年 の 経 験 と 将 来 - (2000.10 新 評 論 p.16) 11) 日 本 貿 易 振 興 機 構 (ジェトロ) 大 連 事 務 所 内 部 資 料 大 連 市 概 況 2009 年 5 月 による 12) 以 下 の 日 本 人 コミュニティの 名 称 は 本 論 末 尾 の 大 連 市 にある 日 本 人 コミュニティ 団 体 名 一 覧 表 を 参 照 されたい 13) 調 査 は 大 連 にある 無 料 の 日 本 語 版 マガジン コンシェルジュ 大 連 ローカル 大 連 大 連 LOOK 大 連 ID などの 記 事 を 参 考 にした これ 以 外 に 周 囲 の 知 合 いだけの 集 まりで 周 知 されていない 日 本 人 コ ミュニティも 存 在 している 実 際 の 数 は 我 々が 捉 えた 数 より 多 いであろう 14) 2012 年 まで 大 連 に 駐 在 事 務 所 を 設 立 した 国 家 機 関 は 日 本 国 駐 瀋 陽 総 領 事 館 大 連 駐 在 事 務 所 日 本 貿 易 振 興 機 構 (ジェトロ) 大 連 事 務 所 である 自 治 体 は 北 九 州 市 神 奈 川 県 新 潟 県 鳥 取 県 富 山 県 岩 手 県 宮 城 県 青 森 ビジネスサポートセンター 秋 田 県 貿 易 促 進 協 会 岡 山 県 ビジネスサポートデスクなど 10 個 である 地 方 銀 行 は 山 口 銀 行 福 岡 銀 行 北 陸 銀 行 北 洋 銀 行 山 陰 合 同 銀 行 などである 15) 大 連 剣 友 会 長 土 橋 俊 男 氏 へのインタビューによる 16) 大 連 野 球 連 盟 鈴 木 川 玲 子 氏 へのインタビューによる 17) 台 球 はビリヤードの 意 味 である 必 利 亜 都 はビリヤードの 中 国 語 発 音 である 18) 中 国 では 競 馬 競 輪 競 艇 などのギャンブルが 禁 じられている 19) 像 棋 は 中 国 式 の 将 棋 である 20) 本 論 文 末 尾 に 添 付 した 大 連 市 にある 日 本 人 コミュニティ 団 体 名 一 覧 表 を 参 照 されたい 21) ホンシュエ は 中 国 語 の 紅 線 の 発 音 からできた 言 葉 である 紅 線 は 仲 人 の 意 味 である 22) 2012 年 11 月 の 為 替 によれば 1 人 民 元 13 円 である 参 考 資 料 1. 植 民 地 支 配 と 日 本 語 台 湾 満 州 国 大 陸 占 領 地 における 言 語 政 策 ( 増 補 版 ) 石 剛 三 元 社 2003.1 2. 文 化 移 民 - 越 境 する 日 本 の 若 者 とメディア 藤 田 結 子 新 曜 社 2008.12 3. 日 本 企 業 / 中 国 進 出 の 新 時 代 - 大 連 の 10 年 の 経 験 と 将 来 関 満 博 新 評 論 2000.10 4. 在 日 外 国 人 と 多 文 化 共 生 - 地 域 コミュニティの 視 点 から 佐 竹 真 明 明 石 書 店 2011.12 5. 大 連 空 白 の 六 百 日 ( 永 富 孝 子 新 評 論 1986.4) 6. 検 証 シベリア 抑 留 ニンモ,ウィリアム F 加 藤 隆 訳 平 凡 社 1991.3 7. 大 連 市 史 ( 復 刻 版 ) 井 上 謙 三 郎 大 連 市 役 所 昭 和 11 年 (1936 年 ) 8. 昭 和 十 六 年 度 版 関 東 州 満 人 商 工 案 内 泰 東 日 報 社 昭 和 15 年 (1940 年 ) 9. 大 連 地 方 案 内 南 満 州 鉄 道 株 式 会 社 編 昭 和 2 年 (1927 年 ) 10. 関 東 局 管 内 現 住 人 口 統 計 関 東 局 編 昭 和 18 年 (1943 年 ) 11. 長 崎 大 学 東 南 アジア 研 究 所 所 蔵 旧 植 民 地 関 係 機 関 等 刊 行 物 について(3) - 満 州 国 関 東 州 編 ( 上 ) 松 本 睦 樹 ; 江 頭 紀 代 美 長 崎 大 学 学 術 研 究 成 果 リポジトリ 経 営 と 経 済 第 74 巻 第 3 号 1994.12 12. 1940 年 代 初 頭 大 連 日 本 人 個 人 経 営 者 の 経 歴 について 柳 沢 遊 九 州 大 学 学 術 情 報 リポジトリ 九 州 大 学 経 済 学 会 2004.4 13. 高 媛 借 地 メディア 大 連 新 聞 と 満 洲 八 景 ( http://gmsweb.komazawa-u.ac.jp/academics/jogms04/4_21.pdf#search='%e5%80%9f%e5%9c%b0 %E3%83%A1%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%80%8E%E5%A4%A7%E9%80%A3%E6% 96%B0%E8%81%9E%E3%80%8F%E3%81%A8%E3%80%8C%E6%BA%80%E6%B4%B2%E5%85%A B%E6%99%AF%E3%80%8D') 14. ソ 連 軍 政 下 大 連 の 日 本 人 社 会 改 革 と 引 揚 の 記 録 木 村 英 亮 ( http://kamome.lib.ynu.ac.jp/dspace/bitstream/10131/2581/1/kj00004464761.pdf#search='%e3%82
大 連 における 日 本 人 コミュニティの 諸 相 45 %BD%E9%80%A3%E8%BB%8D%E6%94%BF%E4%B8%8B%E5%A4%A7%E9%80%A3%E3%81%AE %E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%BA%BA%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E6%94%B9%E9%9D%A9%E 3%81%A8%E5%BC%95%E6%8F%9A%E3%81%AE%E8%A8%98%E9%8C%B2') 15. グローバル シティと 植 民 地 都 市 - 大 連 市 の 事 例 から- 佐 藤 量 ( http://www.ritsumei.ac.jp/acd/re/k-rsc/lcs/kiyou/19-1/ritsiilcs_19.1pp.111-115satou.pdf#search=' %E3%82%B0%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%AB%EF%BD%A5%E3%82%B7%E3 %83%86%E3%82%A3%E3%81%A8%E6%A4%8D%E6%B0%91%E5%9C%B0%E9%83%BD%E5%B8% 82%E5%A4%A7%E9%80%A3%E5%B8%82%E3%81%AE%E4%BA%8B%E4%BE%8B%E3%81%8B% E3%82%89') 16. 青 島 における 日 本 人 社 会 の 形 成 と 日 本 人 会 李 勁 松 日 本 言 語 文 化 研 究 第 二 輯 ( 下 ) 2012.5 17. 偽 満 洲 国 日 本 人 移 民 用 地 徴 購 政 策 高 楽 才 外 国 問 題 研 究 2011. 第 一 期 18. 日 本 企 業 在 連 投 資 情 況 的 考 察 與 研 究 王 東 大 連 大 学 学 報 vol.7,no.3 1997.9 19. 大 連 市 概 況 日 本 貿 易 振 興 機 構 (ジェトロ) 大 連 事 務 所 内 部 資 料 2009.5 20. 大 連 市 概 況 日 本 貿 易 振 興 機 構 (ジェトロ) 大 連 事 務 所 内 部 資 料 2012.4 21. 日 本 語 版 マガジン コンシェルジュ 大 連 ( 月 刊 ) 創 刊 号 (1995.8)~2012.10 号 22. 日 本 語 版 マガジン ローカル 大 連 ( 月 刊 ) 2007.1~2012.10 号 23. 日 本 語 版 マガジン 大 連 LOOK( 月 刊 ) 2007.1~2012.10 号 24. 日 本 語 版 マガジン 大 連 ID( 月 刊 ) 2007.1~2012.10 号 25. 日 本 国 駐 瀋 陽 総 領 事 館 在 大 連 出 張 駐 在 官 事 務 所 HP: (http://www.dalian.cn.emb-japan.go.jp/jp/index.html)