北 陸 における 鉄 道 ( 交 通 ) 系 電 子 マネーの 現 状 と 今 後 調 査 研 究 部 主 任 研 究 員 小 谷 元 洋 はじめに ここで 扱 う 電 子 マネー および 鉄 道 系 電 子 マネー とは 次 のように 定 義 する 電 子 マネーとは 利 用 する 前 にあらかじめ 入 金 (チャージ)を 行 うプリペイド 方 式 の 電 子 的 小 口 決 済 手 段 のことであり ポストペイ( 事 後 払 い) 方 式 の 代 表 格 であるクレジットカードとは 異 なる さらに 電 子 マネーはIC 型 と サーバ 型 の 二 種 類 に 分 類 される IC 型 は カードや 携 帯 電 話 などの 媒 体 に 埋 め 込 まれたICチップ 上 に 金 銭 的 価 値 を 記 録 し 分 散 管 理 するものを 指 す サーバ 型 は IC 型 のような 媒 体 を 持 たず 典 型 的 には 電 子 マネー 運 営 事 業 者 のコンピュータサーバ 上 において 金 銭 的 価 値 を 記 録 し 中 央 管 理 するものをいう 鉄 道 ( 交 通 ) 系 電 子 マネーとは IC 型 には 東 日 本 旅 客 鉄 道 が 発 行 する Suica や 西 日 本 旅 客 鉄 道 が 発 行 する ICOCA など 鉄 道 ( 交 通 ) 系 と イオンが 発 行 する WAON やセブン&アイホールディングスが 発 行 する nanaco などの 流 通 系 ほかに 楽 天 が 発 行 する 楽 天 Edy や NTT ドコモが 発 行 する id(ただしポストペイ= 後 払 い 型 )などに 分 かれる 一 方 サーバ 型 は WebMoney(1998 年 サービス 開 始 ) BitCash(1997 年 サービス 開 始 ) ちょコム(2001 年 サービス 開 始 ) C チェック(1999 年 サービス 開 始 )などがある 図 1 貨 幣 流 通 高 の 推 移 ( 前 年 期 末 比 ) 1. 貨 幣 発 行 と 電 子 マネー (1) 貨 幣 発 行 の 状 況 平 成 元 年 以 降 の 貨 幣 発 行 の 推 移 ( 図 1)を 見 ると 少 額 貨 幣 (50 円 貨 10 円 貨 5 円 貨 1 円 貨 ) 全 体 については 平 成 14(2002) 年 以 降 は 前 年 実 績 を 上 回 ることはなく 特 に 19 年 以 降 は24 年 まで6 年 連 続 で 前 年 実 績 を 下 回 っ ている さらに 平 成 25 年 5 月 17 日 に 財 務 省 から 発 表 された 平 成 25 年 度 の 貨 幣 の 製 造 枚 数 によれ ば 50 円 貨 5 円 貨 1 円 貨 ともに 百 万 枚 と 定 められている しかし これらは 全 量 が 記 念 販 売 の 貨 幣 セット 向 けに 製 造 が 計 画 され 市 中 に 出 回 ることが 見 込 めないため 実 質 的 には 製 造 ゼロとなる 1 円 貨 の 実 質 製 造 ゼロは3 年 連 続 5 円 貨 50 円 貨 の 実 質 製 造 ゼロは4 年 連 続 となる -1-
(2) 電 子 マネーの 状 況 平 成 24(2012) 年 11 月 に 日 本 銀 行 決 済 機 構 局 から 発 表 された 最 近 の 電 子 マネーの 動 向 について(2012 年 ) から 鉄 道 ( 交 通 ) 系 電 子 マネーを 含 んだ 電 子 マネーの 状 況 は 次 の 通 り である 発 行 枚 数 専 業 系 ( 楽 天 Edy) 鉄 道 会 社 などが 発 行 する 鉄 道 ( 交 通 ) 系 (ICOCA Kitaka PASMO SUGOCA Suica) 小 売 流 通 企 業 が 発 行 する 流 通 系 (nanaco WAON)の 3 種 8つの 電 子 マネーの 年 度 ごとの 発 行 枚 数 は 図 2のとおりであるが 平 成 24 年 3 月 末 の 発 行 枚 数 は 約 1 億 7500 万 枚 ( 平 成 20 年 3 月 末 と 比 べると2 倍 以 上 )となっている 一 方 店 舗 等 に 設 置 してある 専 用 端 末 は 100 万 台 を 超 えるまで になってきた 最 近 の 電 子 マネーの 動 向 について(2012 年 ) 調 査 対 象 の 電 子 マネー プリオペイド 方 式 のうち IC 型 の 電 子 マネーのう ち 次 にあげるものを 調 査 対 象 としている 具 体 的 には 専 業 系 ( 楽 天 Edy) 鉄 道 会 社 など が 発 行 す る 交 通 系 ( 鉄 道 系 )( ICOCA Kitaka PASMO SUGOCA Suica) 小 売 流 通 企 業 が 発 行 する 流 通 系 (nanaco WAON)の 3 種 8 つの 電 子 マネー である 図 2 発 行 枚 数 電 子 マネー 携 帯 台 数 端 末 台 数 決 済 件 数 と 金 額 決 済 件 数 と 金 額 を 示 したのが 表 1である 平 成 23 度 中 の 電 子 マネーの 決 済 件 数 は23 億 4200 万 件 ( 前 年 比 17% 増 ) 決 済 金 額 は2 兆 582 億 円 ( 前 年 比 19% 増 )となり それぞれ 増 加 基 調 にあるも のの 増 加 の 勢 いに 陰 りがみられる 一 方 決 済 金 額 を 決 済 件 数 で 割 った1 件 あたりの 平 均 決 済 金 額 は 前 年 を 若 干 上 回 る879 円 ( 前 年 比 1% 増 )となった また 表 1の 決 済 件 数 金 額 を 図 2 の 発 行 枚 数 で 割 り カード1 枚 あたりの 平 均 利 用 状 況 を 算 出 すると 平 成 23 年 度 は 年 に 約 13.4 回 1 万 1763 円 月 にすると1.1 回 980 円 程 度 利 用 されたことになる 少 額 決 済 の 手 段 として 利 用 され ていることがわかる 表 1 電 子 マネーの 決 済 件 数 と 金 額 年 度 決 済 件 数 決 済 金 額 1 件 当 たりの 決 済 金 額 百 万 件 前 年 比 億 円 前 年 比 円 前 年 比 平 成 19(2007) 年 度 810-5,636-696 - 平 成 20(2008) 年 度 1,116 38% 8,172 45% 732 5% 平 成 21(2009) 年 度 1,510 35% 12,549 54% 831 14% 平 成 22(2010) 年 度 2,000 33% 17,334 38% 867 4% 平 成 23(2011) 年 度 2,342 17% 20,582 19% 879 1% 資 料 : 日 本 銀 行 最 近 の 電 子 マネーの 動 向 について (2012 年 ) (3) 電 子 マネーと 現 金 通 貨 残 高 との 比 較 電 子 マネー 発 行 残 高 と 現 金 通 貨 残 高 を 比 較 すると 平 成 24 年 3 月 末 における 電 子 マネーの 発 行 残 高 は 貨 幣 流 通 高 の3.21% 銀 行 券 発 行 高 の0.18% 現 金 通 貨 全 体 の0.17%に 相 当 し 民 間 銀 行 の 預 金 を 含 むマネーストックに 対 する 電 子 マネーの 発 行 残 高 の 割 合 は0.013%に 相 当 する 現 金 残 高 やマネーストックに 対 する 電 子 マネー 発 行 残 高 の 比 率 は 確 実 に 高 まっているものの そのレベルは 極 めて 低 く 決 済 システムや 金 融 システム 全 体 に 大 きな 影 響 を 与 えるには 至 っていない( 表 2) -2-
表 2 電 子 マネーの 発 行 残 高 と 対 現 金 通 貨 等 残 高 の 比 較 電 子 マネー マネーストック 現 金 通 貨 合 計 発 行 残 高 貨 幣 流 通 高 銀 行 券 発 行 高 (M3 末 残 ) ( 億 円 ) ( 億 円 ) ( 億 円 ) ( 億 円 ) ( 億 円 ) (A) ( 前 年 比 ) (B) A/B (C) A/C (D) A/D (E) A/E 平 成 20(2008)3 月 末 771-45,325 1.70% 764,615 0.10% 809,941 0.10% 10,361,931 0.007% 平 成 21(2009)3 月 末 913 18.4% 45,237 2.02% 768,977 0.12% 814,215 0.11% 10,526,446 0.009% 平 成 22(2010)3 月 末 1,164 27.5% 44,996 2.59% 773,527 0.15% 818,524 0.14% 10,744,845 0.011% 平 成 23(2011)3 月 末 1,328 14.1% 45,036 2.95% 809,230 0.16% 854,266 0.16% 10,994,790 0.012% 平 成 24(2012)3 月 末 1,446 8.9% 45,024 3.21% 808,428 0.18% 853,452 0.17% 11,290,806 0.013% ( 資 料 : 電 子 マネー 発 行 残 高 最 近 の 電 子 マネーの 動 向 について(2012 年 ) 日 本 銀 行 決 済 機 構 局 貨 幣 流 通 量 銀 行 券 発 行 高 現 金 通 貨 合 計 マネーストック 日 本 銀 行 時 系 列 統 計 検 索 サイト ) 2. 鉄 道 ( 交 通 ) 系 電 子 マネーの 相 互 利 用 (1) 相 互 利 用 サービス 開 始 平 成 25(2013) 年 3 月 23 日 ( 土 ) 表 3に 掲 出 した10の 鉄 道 ( 交 通 ) 系 電 子 マネーの 相 互 利 用 が 始 まった 株 式 会 社 スルッとKANSAIが 発 行 する PiTaPa を 除 けば 鉄 道 乗 車 の 際 にもショ ッピングの 際 にも 相 互 利 用 ができるようになった PiTaPa は 乗 車 券 機 能 だけの 相 互 利 用 に 留 まっ ている これにより 表 3に 表 した 鉄 道 ( 交 通 ) 系 電 子 マネーのいずれか1 枚 を 所 有 していれば 提 携 す 表 3 相 互 利 用 できる 鉄 道 系 電 子 マネー る 鉄 道 の4275 駅 バス2 万 1450 台 で 運 賃 料 金 の 支 払 いが 可 能 となった また PiTaPaを 除 き 提 発 行 会 社 携 する 全 国 約 19 万 8780の 加 盟 店 でショッピングに 利 用 できるようになった 加 盟 店 舗 数 発 行 枚 数 または 会 員 数 Kitaca 北 海 道 旅 客 鉄 道 55 駅 約 6,900 店 舗 約 45 万 枚 PASMO Suica manaca(マナカ) パスモ 東 日 本 旅 客 鉄 道 名 古 屋 交 通 開 発 機 構 及 び エムアイシー 1,212 駅 14,800 台 約 19,200 店 舗 811 駅 532 台 約 119,600 店 舗 379 駅 1,618 台 約 5,600 店 舗 約 2,152 万 枚 約 4,127 万 枚 約 266 万 枚 TOICA 東 海 旅 客 鉄 道 149 駅 約 7,400 店 舗 約 140 万 枚 PiTaPa スルッとKANSAI 860 駅 ( 約 24,000 店 舗 ) 1,300 台 注 約 230 万 人 ICOCA 西 日 本 旅 客 鉄 道 430 駅 約 22,700 店 舗 約 744 万 枚 はやかけん 福 岡 市 交 通 局 35 駅 約 250 店 舗 約 44 万 枚 nimoca ニモカ 駅 数 バス 台 数 72 駅 3,200 台 約 3,700 店 舗 約 181 万 枚 SUGOCA 九 州 旅 客 鉄 道 272 駅 約 13,400 店 舗 約 80 万 枚 4,275 駅 合 計 約 198.750 店 舗 約 8,009 万 枚 21,450 台 資 料 : 交 通 系 ICカードの 全 国 相 互 利 用 サービスがいよいよ 始 まります! 平 成 24 年 12 月 18 日 記 者 発 表 資 料 注 ) PiTaPa は 乗 車 券 としての 利 用 だけで ショッピング 利 用 は 相 互 利 用 できない (2) 日 本 海 側 はほとんどが 対 象 外 それまでは 部 分 的 な 提 携 により 相 互 利 用 が 可 能 であったが 今 回 の 提 携 によって 太 平 洋 側 の 主 要 都 市 間 での 相 互 利 用 には 利 便 性 が 高 まった 具 体 的 には SUICAを 所 有 していれば SUGOCAエリアで も Kitacaエリアでも 使 用 することができるよう になったのである しかし 北 陸 を 始 めとした 日 本 海 側 では 北 陸 地 域 に 在 住 している 人 々にとっ て 鉄 道 ( 交 通 ) 系 電 子 マネーを 利 用 しようとす るには 利 便 性 の 低 い 地 域 となっている( 図 3) 図 3 鉄 道 系 電 子 マネー 相 互 利 用 日 本 海 側 は 新 潟 市 を 除 き 電 子 マネー の 利 用 が 不 便 な 地 域 となっている 交 通 系 IC カードの 全 国 相 互 利 用 サービスがいよ いよ 始 まります! より 北 陸 経 済 研 究 所 で 作 成 -3-
3. 北 陸 における 現 状 (1) 主 に 居 住 者 向 け コンビニエンスストア 北 陸 3 県 に 所 在 する 主 なコンビニエンススト アの 店 舗 のうち 鉄 道 ( 交 通 ) 系 電 子 マネーで 商 品 代 金 の 支 払 ができるか 否 かをまとめたのが 表 4である ローソン サークルKサンクス セブンイレブンは 北 陸 3 県 に 所 在 する 店 舗 全 店 でICOCAが 利 用 できるようになっており 今 回 の 提 携 により PiTaPaを 除 く9 種 類 の 電 子 マネーが 利 用 できるようになった 地 場 鉄 道 関 連 会 社 が 発 行 する 電 子 マネー 北 陸 経 済 研 究 所 の 調 べによると 北 陸 3 県 で 発 行 されている 鉄 道 ( 交 通 ) 系 電 子 マネーは 表 5のとおりで4 種 類 となっている このうち 富 山 県 の ecomyca と passca は 相 互 利 用 が 可 能 で 富 山 軌 道 線 ( 市 内 電 車 環 状 線 ) 路 線 バス(ただし 高 速 バス 県 内 高 速 バス 季 節 運 行 バス 濃 飛 バス まいどは やバス 以 外 のコミュニティバスは 除 く) 及 び 鉄 道 線 に 乗 車 できる また 富 山 大 学 と 富 山 地 方 鉄 道 株 式 会 社 は 地 域 交 通 振 興 に 関 する 連 携 協 定 を 締 結 し 平 成 25 年 度 入 学 生 の 学 生 証 にIC 乗 車 券 ecomyca 機 能 を 付 加 し 学 生 が 市 内 電 車 を 利 用 しやすい 環 境 を 創 出 している 石 川 県 の ICa は バスは 金 沢 地 区 全 路 線 鉄 道 は 石 川 線 の 鶴 来 駅 野 町 駅 浅 野 川 線 の 内 灘 駅 北 鉄 金 沢 駅 の4 駅 においてICa 定 期 のみ 利 用 可 能 で 上 記 以 外 の 駅 では 係 員 に 提 示 するこ とになっている 福 井 県 の ICOUSA は 福 井 市 内 を 走 るコミュニティバス すまいる で 利 用 できるバスカードであるが すまいる は 運 賃 固 定 で100 円 のワンコインバスであり IC 化 する 必 要 があるほど 手 間 がかかるかというと 実 際 はそうでもなさそうである 表 4 主 なコンビニでの 鉄 道 ( 交 通 ) 系 電 子 マネーで 商 品 代 金 が 支 払 いできる 店 舗 状 況 北 陸 3 県 ファミリーマート ローソン 全 店 サークルKサンクス 全 店 セブンイレブン 全 店 デイリーヤマザキ 一 部 のみ 北 陸 経 済 研 究 所 調 べ 表 5 北 陸 3 県 で 発 行 されている 鉄 道 ( 交 通 ) 系 電 子 マネー 名 称 発 行 会 社 主 な 使 用 範 囲 富 山 県 ecomyca えこまいか 富 山 地 方 鉄 道 富 山 市 passca パスカ 富 山 ライトレール 富 山 市 石 川 県 ICa アイカ 北 陸 鉄 道 金 沢 市 福 井 県 ICOUSA イコウサ まちづくり 福 井 福 井 市 ( 北 陸 経 済 研 究 所 調 べ) 図 4 入 館 料 の 有 無 ( 単 位 :%) 表 6 入 館 料 大 人 小 人 回 答 数 回 答 割 合 回 答 割 合 回 答 数 1~199 円 13 9.8 1~99 円 7 10.0 200~399 円 72 54.5 100~199 円 27 38.6 400~599 円 32 24.2 200~299 円 16 22.9 600~799 円 7 5.3 300~399 円 10 14.3 800~999 円 2 1.5 400~499 円 1 1.4 1000 円 以 上 3 2.3 500 円 以 上 3 4.3 無 回 答 3 2.3 無 回 答 6 8.6 N (%ヘ ース) 132 100.0 N (%ヘ ース) 70 100.0-4-
(2) 主 に 観 光 客 向 け 美 術 館 博 物 館 等 向 けアンケート 結 果 今 回 株 式 会 社 丹 青 社 が 編 集 制 作 運 営 する Internet Museum および 国 内 旅 行 観 光 情 報 大 好 き 日 本 が 運 営 するホームページより 富 山 県 石 川 県 福 井 県 ごとに 美 術 館 博 物 館 を 検 索 し すべて( 富 山 県 から104 先 石 川 県 から131 先 福 井 県 から97 先 合 計 332 先 )に 対 してアンケートを 実 施 した 実 施 日 は 平 成 25 年 3 月 下 旬 から4 月 上 旬 回 収 は172 先 回 収 率 は51.8%であった 入 館 料 図 4は 入 館 料 の 有 無 であるが 4 分 の3 以 上 が 有 料 の 施 設 であった 表 6は 有 料 施 設 での 料 金 を 大 人 と 小 人 別 の 結 果 であるが 大 人 では200 ~399 円 が54.5%を 小 人 では100~199 円 が38.6% をそれぞれ 占 め 少 額 支 払 いの 典 型 例 となった 支 払 い 方 法 の 結 果 が 表 7である 大 人 で 入 館 料 が 有 料 な 先 では 窓 口 で 現 金 が96.2%とほとん どを 占 めた 電 子 マネー は 鉄 道 系 流 通 系 と もに 該 当 先 はなかった 商 業 施 設 美 術 館 や 博 物 館 内 の 商 業 施 設 の 有 無 を 聞 いたと ころ( 図 5) 45.3%が ある 50.0%が な し と 答 えている ある と 回 答 した 中 で そ の 支 払 い 方 法 ( 表 8)は91.0%が 現 金 と 回 答 し 電 子 マネーは 該 当 先 がなかった 表 7 入 館 料 の 支 払 い 方 法 回 答 数 回 答 割 合 窓 口 で 現 金 127 96.2 窓 口 で 鉄 道 系 電 子 マネー 0 0 窓 口 で 流 通 系 電 子 マネー 0 0 自 動 販 売 機 で 現 金 9 6.8 自 動 販 売 機 で 鉄 道 系 マネー 0 0 自 動 販 売 機 で 流 通 系 電 子 マネー 0 0 クーポン 券 37 28 その 他 2 1.5 無 回 答 4 3 N (%ヘ ース) 132 100 図 5 博 物 館 美 術 館 等 の 商 業 施 設 の 有 無 表 8 商 業 施 設 での 支 払 い 方 法 回 答 数 回 答 割 合 現 金 71 91.0 クレジットカード 9 11.5 鉄 道 系 電 子 マネー 0 0.0 流 通 系 電 子 マネー 0 0.0 その 他 1 1.3 無 回 答 7 9.0 N (%ヘ ース) 78 100.0 少 額 支 払 いの 典 型 でも 未 導 入 この 調 査 で 判 明 したのは 少 額 支 払 いの 典 型 である 美 術 館 や 博 物 館 の 入 館 料 館 内 での 商 業 施 設 の 支 払 いにも 北 陸 3 県 では 電 子 マネー 支 払 導 入 の 余 地 が 残 っているということである 4. 他 地 域 における 導 入 事 例 (1) 鉄 道 博 物 館 鉄 道 博 物 館 に 入 退 館 する 際 には 鉄 道 博 物 館 専 用 の 入 館 ICカード もしくは 入 場 希 望 者 が 持 って -5-
鉄 道 博 物 館 ( 埼 玉 県 さいたま 市 大 宮 区 大 成 町 3 丁 目 47 番 )は 日 本 及 び 世 界 の 鉄 道 に 関 わる 遺 産 資 料 に 加 え 国 鉄 改 革 や JR 東 日 本 に 関 する 資 料 を 体 系 的 に 保 存 し 調 査 研 究 を 行 う 博 物 館 であるとともに 鉄 道 システムの 変 遷 を 車 両 等 の 実 物 展 示 を 柱 に それぞれの 時 代 背 景 等 を 交 えながら 産 業 史 として 物 語 る 歴 史 博 物 館 としての 位 置 づけもある また 鉄 道 の 原 理 仕 組 みと 将 来 構 想 を 含 む 最 新 の 鉄 道 技 術 について 子 どもたちが 模 型 やシミュレーション 遊 戯 器 具 等 を 活 用 しながら 体 験 的 に 学 習 する 教 育 博 物 館 と しての 性 格 も 持 ち 合 わせている 平 成 19(2007) 年 10 月 に 開 館 して 以 来 24(2012) 年 4 月 には 入 館 者 500 万 人 を 達 成 し 現 在 でも 年 間 約 80 万 人 前 後 が 訪 れる 入 館 料 金 区 分 でいうと 大 人 が 60% 小 中 高 生 が 13% 幼 児 が 10%となっており 子 ども 連 れファミリー 層 が 多 く 来 館 している < 入 場 料 金 ( 例 )( 税 込 )> 個 人 一 般 :1,000 円 小 中 高 生 :500 円 幼 児 (3 歳 以 上 未 就 学 児 ):200 円 いるSuica( 注 )が 利 用 できる(( 注 )モバイルSuica PASMO Kitaca TOICA ICOCA SUGOCA nimoca はやかけん も 利 用 可 能 この 項 では 以 下 利 用 できる 電 子 マネーを 総 称 して Suica とし て 表 記 する) 入 館 の 際 は 電 子 マネー 機 能 がついているSuicaを 所 有 していれば これで 入 館 料 を 支 払 い こ の 電 子 マネーをICカード 登 録 する Suicaを 持 っていなければ 入 館 チケット 販 売 機 で 入 館 料 を 支 払 い 入 館 ICカードを 入 手 する この 場 合 の 入 館 ICカードは 貸 出 利 用 のため 現 金 のチャージはでき ないものの Suicaシステムを 使 って 運 用 している 職 員 についても Suicaで 入 退 館 管 理 や 入 退 室 管 理 にまで 使 っている 企 画 部 の 山 崎 勝 裕 氏 によれば 入 館 者 5 人 に 対 して2 人 程 度 は 持 っている 電 子 マネーを 利 用 し て 入 館 していただいている ミュージアムショップなど 比 較 的 高 額 な 商 品 の 場 合 はクレジットカー ドを 併 用 している そうである (2) 安 倍 文 殊 院 安 倍 文 殊 院 ( 奈 良 県 桜 井 市 阿 部 645)は 大 化 の 改 新 (645 年 )に 創 建 された 日 本 最 古 に 属 する 寺 院 である 華 厳 宗 東 大 寺 の 別 格 本 山 としてその 格 式 も 高 く 御 本 尊 は 日 本 最 大 (7m)の 文 殊 菩 薩 で 快 慶 作 の 国 宝 である 三 人 寄 れば 文 殊 の 智 恵 の 格 言 は 当 山 の 文 殊 から 生 まれた 平 成 19(2007) 年 4 月 全 国 の 神 社 仏 閣 では 初 めて 電 子 マネーの Edy id PiTaPa 及 び QUICPay を 導 入 し た 拝 観 料 絵 馬 奉 納 お 守 り 祈 祷 料 などの 支 払 いを 本 堂 に 設 置 された 読 み 取 り 端 末 に 電 子 マネーの IC カードや 携 帯 電 話 (おサイフケータイ)をかざすことで 現 金 を 使 わず 行 うことができるようになった 平 成 22 年 (2010) 年 3 月 13 日 より ICOCA(Suica TOICA でも) 銀 聯 も 利 用 可 能 となった < 拝 観 料 金 ( 例 )( 税 込 )( 大 人 )> 本 堂 国 宝 文 殊 菩 薩 (お 抹 茶 菓 子 付 き):700 円 金 閣 浮 御 堂 霊 宝 館 ( 七 まいりおさめ 札 お 守 り 付 き):700 円 上 記 二 カ 所 共 通 拝 観 券 :1200 円 平 成 19(2007) 年 4 月 全 国 の 神 社 仏 閣 では 初 めて 電 子 マネーのEdy id PiTaPa 及 びQUICPayを 導 入 している 拝 観 料 絵 馬 奉 納 お 守 り 祈 祷 料 などの 支 払 いに 際 し 寺 務 所 脇 に 設 置 された 読 み 取 り 端 末 に 電 子 マネーのICカードや 携 帯 電 話 (おサイフケータイ)をかざすことで 現 金 を 使 わず 行 うことができるようになった 平 成 22 年 ( 2010) 年 3 月 13 日 よりICOCA(Suica TOICAでも) 銀 聯 (UnionPay)も 利 用 可 能 となり 平 成 25(2013) 年 3 月 23 日 からは 前 述 のとおり 利 用 できる 電 子 マネーが 広 がった -6-
植 田 俊 應 貫 主 によれば 現 代 では 寺 というのは 古 いものを 踏 襲 して 便 利 が 悪 いものとの 代 名 詞 となっています しかし 元 来 文 化 はまず 社 寺 仏 閣 に 入 ってきて 民 衆 に 伝 わった 当 時 社 寺 仏 閣 は 時 代 の 最 先 端 を 走 っていた 現 代 ならば 利 便 性 を 図 るという 意 味 で 電 子 マネーは 最 先 端 になるのではないかと 考 え 社 会 的 に 貢 献 ができると 判 断 し 導 入 した と 語 っていただいた さら に 年 齢 層 からいうと お 年 寄 りの 方 のほうが 電 子 マネーを 使 う 人 が 多 いように 思 う おそらく 電 車 に 乗 る 際 に 料 金 表 を 確 認 しなくても 良 いところがそうさせているのではないか とご 指 摘 いた だいた (3) 時 間 貸 駐 車 場 タイムズ パーク24 株 式 会 社 は タイムズ 駐 車 場 などの 運 営 を 全 国 展 開 する 企 業 である 平 成 17(2005) 年 には 利 便 性 の 向 上 を 図 るため パーク 24 の 駐 車 場 精 算 機 へ Suica による 電 子 マネーサ ービス 導 入 に 向 け 東 日 本 旅 客 鉄 道 株 式 会 社 と 協 議 を 行 い 同 年 11 月 4 日 より タイムズステーション 川 崎 に Suica を 導 入 当 時 駐 車 場 における Suica の 導 入 は 全 国 で 初 めてであった 平 成 24 年 10 月 31 日 現 在 では 総 駐 車 件 数 は 11,764 カ 所 ( 有 価 証 券 報 告 書 より)ある 北 陸 では 電 子 マネ ーで 駐 車 代 金 を 精 算 できる 駐 車 場 はない 時 間 貸 駐 車 場 タイムズ を 運 営 するパーク24グループは 平 成 21(2009) 年 国 土 交 通 省 都 市 地 域 整 備 局 が 実 施 主 体 の 富 山 ライトレール( 富 山 県 富 山 市 )パーク&ライド 実 証 実 験 に 技 術 協 力 している 同 年 2 月 16 日 よりスタートした 本 実 験 は 鉄 道 ( 交 通 ) 系 ICカード passca ( 地 方 独 立 運 営 )を 用 いて 指 定 の 駐 車 場 に 自 動 車 をとめて 富 山 ライトレール ポートラム を 利 用 す ると 駐 車 料 金 と2 人 目 以 降 の 往 復 運 賃 が 無 料 となるもので 当 社 はシステム 開 発 事 業 者 として 参 画 した 実 績 がある サービスの 仕 組 みは 富 山 市 が 管 理 する 蓮 町 駅 前 の 駐 車 場 に 当 社 のITシステムを 導 入 し 精 算 時 においてpasscaに 記 録 された 乗 降 車 履 歴 を 認 識 し 駐 車 料 金 と2 人 目 以 降 の 往 復 運 賃 を 無 料 にす るというものであった パーク&ライドサービスは 駐 車 料 金 のみ 優 待 価 格 にするシステムが 多 い 中 本 実 験 においては2 人 目 以 降 の 往 復 運 賃 も 無 料 になることが 特 徴 であった 4. 北 陸 への 転 用 は 可 能 か (1) 観 光 客 への 利 便 性 の 提 供 アンケートの 結 果 から 北 陸 では 博 物 館 や 美 術 館 に 電 子 マネーを 使 って 入 館 できるところはほ とんどないことが 分 かった また 拝 観 料 が 必 要 な 社 寺 仏 閣 は 北 陸 経 済 研 究 所 調 べでは 富 山 県 には 瑞 龍 寺 ( 高 岡 市 )ほか 計 2カ 所 石 川 県 には 那 谷 寺 ( 小 松 市 )ほか 計 5カ 所 福 井 県 には 永 平 寺 ( 吉 田 郡 永 平 寺 町 )ほか 計 4カ 所 がある すべてのホームページを 調 べてみたが 拝 観 料 に ついて クーポン 取 扱 いの 案 内 はあっても 電 子 マネー 支 払 いの 案 内 はなかった 博 物 館 や 美 術 館 社 寺 仏 閣 の 入 場 料 拝 観 料 は 小 銭 支 払 いの 典 型 的 なものであろう この 部 分 に 鉄 道 系 を 含 む 電 子 マネーでの 支 払 いが 可 能 となれば 太 平 洋 側 からの 観 光 客 への 利 便 性 は 飛 躍 的 に 向 上 するであろう 現 代 では 口 コミも 宣 伝 方 法 の 一 つと 考 えられ 北 陸 に 旅 行 したら あ -7-
の 美 術 館 もこのお 寺 も 電 子 マネーで 支 払 いができた と 誰 かがつぶやけば 反 応 がすぐにわかる 時 代 である (2) 地 元 住 民 への 利 便 性 の 提 供 現 在 北 陸 に 住 んでいて Suica を 持 っている 人 は 頻 繁 に 東 京 出 張 がある 人 が 中 心 であろう 北 陸 でも 使 えるとなれば 普 及 は 早 い 北 陸 が 鉄 道 より 車 社 会 であることを 考 えた 時 小 銭 支 払 い の 場 面 は 駐 車 料 金 の 支 払 いではないだろうか 平 成 25 年 4 月 9 日 現 在 で JR 西 日 本 北 陸 本 線 沿 線 では 金 沢 駅 の 1500 台 をはじめ 合 計 21 駅 2528 台 分 の 駐 車 スペースが 確 保 されている これらは 有 料 無 料 が 混 在 しているが たとえ 駐 車 料 金 が 無 料 であっても 鉄 道 の 降 車 情 報 が 必 要 な 場 合 には 鉄 道 ( 交 通 ) 系 電 子 マネーを 使 って 出 場 で きる また JR 枝 線 や 私 鉄 など 駅 近 辺 にも 駐 車 場 が 存 在 しており その 中 にはパーク&ライドを 名 乗 っているところもある (3) 導 入 は 駅 を 中 心 とした 商 業 施 設 から 鉄 道 系 電 子 マネーを 導 入 するとなったら メンテナンスなどのコストを 考 えると できるだけ 多 くの 企 業 が 参 加 することでメンテナンスコストを 下 げることが 可 能 であろう また 今 まで 量 販 店 などでみられる 自 社 カードなどで 購 買 層 の 分 析 が 可 能 なように それぞれの 企 業 で 購 買 層 の 分 析 来 店 時 間 帯 の 分 析 などが 可 能 となる 鉄 道 ( 交 通 ) 系 の 電 子 マネーであることを 考 えれば やはり 駅 を 中 心 として 周 辺 に 普 及 する 努 力 をしていくべきである 本 文 に 記 載 されているブランド 名 製 品 名 会 社 名 サービス 名 などは 一 般 に 各 社 の 商 標 登 録 商 標 です -8-