調 査 研 究 福 井 県 衛 生 環 境 研 究 センター 年 報 第 11 巻 (212) 食 品 中 の 有 害 物 質 等 の 量 の 調 査 及 び 評 価 に 関 する 研 究 - 福 井 県 における 日 常 食 中 の 汚 染 物 量 調 査 - 中 村 雅 子 青 木 保 憲 *1 長 谷 川 耕 治 平 井 知 里 田 中 宏 和 酒 井 康 行 五 十 嵐 麻 衣 山 﨑 慶 子 石 畒 史 Studies on the Daily Intake of Environmental Chemicals from Diet in Fukui Prefecture Masako NAKAMURA, Yasunori AOKI *1, Kouji HASEGAWA, Chisato HIRAI, Hirokazu TANAKA, Yasuyuki SAKAI, Mai IGARASHI, Keiko YAMAZAKI, Fubito ISHIGURO 平 成 22 年 度 から 24 年 度 まで 福 井 県 内 で 流 通 する 食 品 を 対 象 として マーケットバスケ ット 方 式 による 日 常 食 中 の 汚 染 物 量 の 推 定 を 行 った 分 析 項 目 は 金 属 7 種 ( 鉛 ヒ 素 カドミウム 水 銀 銅 マンガン 亜 鉛 ) PCB 有 機 塩 素 系 農 薬 5 種 有 機 リン 系 農 薬 3 種 およびその 他 の 農 薬 116 項 目 とした その 結 果 有 機 塩 素 系 農 薬 および 有 機 リン 系 農 薬 は 検 出 されず その 他 の 農 薬 でイマザリルとオキサミルが 検 出 されたが 許 容 量 の.4% 以 下 であった PCB はⅩ 群 ( 魚 介 類 )から 検 出 されたが WHO の 評 価 基 準 に 比 較 し て 低 値 であった ヒ 素 はⅧ 群 ( 野 菜 海 草 )とⅩ 群 ( 魚 介 類 )から 主 に 検 出 され 量 は 全 国 データに 較 べて 約 2~3 倍 と 高 かった その 他 の 金 属 については ほぼ 全 国 のデー タと 同 様 の 検 出 状 況 であり 許 容 量 以 下 であった 1.はじめに 種 々の 化 学 物 質 のヒトへの 曝 露 量 の 9% 以 上 は 食 事 を 介 していると 考 えられており 食 品 を することによる 有 害 化 学 物 質 の 量 を 推 定 することは 公 衆 衛 生 上 極 めて 重 要 である 国 立 医 薬 品 食 品 衛 生 研 究 所 ( 以 下 国 衛 研 )では 1977 年 から 1 箇 所 前 後 の 地 方 衛 生 研 究 所 などとともにトータ ルダイエット 試 料 を 用 いた 有 害 化 学 物 質 の 量 推 定 を 行 っている 1) 福 井 県 においては これまで 野 菜 果 物 等 の 残 留 農 薬 検 査 魚 介 類 の 汚 染 物 調 査 玄 米 等 の 金 属 分 析 等 個 別 食 品 の 検 査 により 食 品 中 の 汚 染 物 の 監 視 を 行 ってきたが 実 際 の 食 事 を 通 じて される 有 害 物 質 の 総 合 的 な 推 定 は 行 われて 来 なかった 今 回 平 成 22 年 度 から 24 年 度 まで 国 衛 研 の 調 査 に 協 力 機 関 として 参 加 し 福 井 県 における 日 常 食 中 の 汚 染 物 量 の 推 定 を 行 い 許 容 量 およ び 他 県 のデータ 等 と 比 較 したので 報 告 する 2. 方 法 2.1 食 品 の 採 取 および 試 料 調 製 試 料 の 調 製 は 平 成 22 年 度 から 24 年 度 に 毎 年 1 回 行 な った まず 国 衛 研 から 配 布 された 国 民 栄 養 調 査 食 品 群 別 表 に 従 い 年 度 毎 に 約 2 名 から 実 施 したアンケートを 基 に 食 品 を 採 取 し 13 群 の 食 品 群 に 分 けた 次 に 平 成 18 年 ~2 年 の 国 民 健 康 栄 養 調 査 特 別 集 計 地 域 ブロック 別 の 北 陸 における 量 に 基 づき それ ぞれの 食 品 を 計 量 し 必 要 に 応 じて 通 常 調 理 した 後 各 群 を 均 一 に 混 合 して 試 料 とした( 表 1) また 飲 料 水 の 試 料 には 福 井 市 の 上 水 道 水 を 用 いてⅩⅣ 群 とした *1 坂 井 健 康 福 祉 センター 2.2 分 析 項 目 および 分 析 法 2.2.1 分 析 項 目 金 属 7 種 ( 鉛 ヒ 素 カドミウム 水 銀 銅 マンガン 亜 鉛 ) PCB 有 機 塩 素 系 農 薬 5 種 (HCH 類 DDT 類 ディルドリン HCE HCB) 有 機 リン 系 農 薬 3 種 (マラ チオン ダイアジノン MEP)( 以 上 は 国 衛 研 から 指 定 ) およびその 他 の 農 薬 116 項 目 農 薬 の 分 析 項 目 は 表 2 のと おり 表 1 国 民 栄 養 調 査 食 品 群 別 食 品 の 量 食 品 群 22 年 度 23 年 度 24 年 度 米 44 3 33 雑 穀 芋 3 4 砂 糖 菓 子 32 33 32 油 脂 3 豆 豆 加 工 品 4 果 実 4 3 有 色 野 菜 2 34 野 菜 海 草 224 223 244 X 嗜 好 飲 料 3 X 魚 介 類 2 3 4 XⅠ 肉 卵 34 4 4 XⅡ 乳 乳 製 品 224 2 X 調 味 料 その 他 2.2.2 分 析 法 および 使 用 機 器 有 機 塩 素 系 農 薬 および 有 機 リン 系 農 薬 は 通 知 法 2) に 従 いアセトニトリルで 抽 出 後 固 相 ミニカラム(C18 および ENVI-Carb/LC-NH2)で 精 製 した 高 脂 肪 試 料 群 (Ⅳ 群 Ⅹ 群 ⅩⅠ 群 )については アセトンヘキサン 抽 出 後 アセトニトリルに 転 溶 し 以 下 同 様 に 操 作 した それぞれ の 残 留 物 をアセトン:ヘキサン(1:1)の 混 合 溶 媒 2mL で 溶 解 -42-
して GC/ECD,FPD で 測 定 した その 他 の 農 薬 はアセトニトリルで 抽 出 後 固 相 ミニカラ ム( C18 および PSA)で 精 製 し LC/MS/MS で 測 定 した 水 銀 は 金 アマルガム- 原 子 吸 光 光 度 法 ( 日 本 インスツル メンツ:マーキュリーSP-3D)で その 他 の 金 属 はマイク ロウェーブ 分 解 後 ICP/MS(パーキンエルマー:ELAN DRC-e)で 測 定 した PCB は 日 本 薬 学 会 編 : 衛 生 試 験 法 注 解 (2) の 方 法 3) で 抽 出 し GC/ECD( 島 津 :GC-21Plus)で 測 定 した 表 2 農 薬 の 分 析 項 目 および 使 用 機 器 一 覧 有 機 塩 素 系 農 薬 α-hch o,p'-ddd Dieldrin β-hch o,p'-dde HCE γ-hch o,p'-ddt HCB δ-hch p,p'-ddd total-hch p,p'-dde p,p'-ddt total-ddt 有 機 リン 系 農 薬 M alathion Diazinon M EP その 他 の 農 薬 2,4-D Dimethomorph M ethiocarb 4-CPA Diuron Methomyl Abamectin Epoxiconazole M etosulam Acibenzolar-S-methyl Ethametsulfuron-methyl Metsulfuron-methyl Aldicarb Ethoxysulfuron Monolinuron Aldoxycarb Fenamidone Naproanilide Anilofos Fenobucarb Naptalam Aramite Fenoxaprop-ethyl Novaluron Azafenidin Fenoxycarb Oryzalin Azamethiphos Fenpyroximate Oxamyl Azimsulfuron Ferimzone Oxaziclomefone Azoxystrobin Florasulam Oxycarboxin Bendiocarb Fluazifop Pencycuron Bensulfuron-methyl Flufenacet Penoxsulam Benzofenap Flufenoxuron Phenmedipham Boscalid Flumetsulam Pirimicarb Bromoxynil Fluridone Propaquizafop Carbaryl Fluroxypyr Prosulfuron Carbofuran Fomesafen Pyraclostrobin Carpropamid Forchlorfenuron Pyrazolynate Chloridazon Furametpyr Pyrazosulfuron-ethyl Chlorimuron-ethyl Furathiocarb Pyriftalid Chloroxuron Gibberellin Simeconazole Chromafenozide Halosulfuron-methyl Sulfentrazone Clofentezine Haloxyfop Tebufenozide Clomeprop Hexaflumuron Tebuthiuron Cloprop Hexythiazox Thiabendazole Cloquintocet-mexyl Imazalil Thiacloprid Cloransulam-methyl Imidacloprid Thiamethoxam Clothianidin Indanofan Thidiazuron Cumyluron Indoxacarb Thiodicarb Cyclanilide Ioxynil Triasulfuron Cycloate Iprovalicarb Tribenuron-methyl Cyclosulfamuron Isoxaflutole Triclopyr Cyflufenamid Lufenuron Trifloxysulfuron Cyprodinil MCPA Triflumuron Daimuron Dichlorprop Diclosulam Dimethirimol Mecoprop 項 目 Mepanipyrim Mesosulfuron-methyl Methabenzthiazuron 3. 結 果 および 考 察 使 用 機 器 GC/ECD ( 島 津 : GC-21 Plus) GC/FPD (Agilent : 689N) C (ABI : AB32Q TRAP) 3.1 農 薬 3.1.1 有 機 塩 素 系 および 有 機 リン 系 農 薬 有 機 塩 素 系 農 薬 5 項 目 (HCH 類 DDT 類 ディルドリ ン HCE HCB)および 有 機 リン 系 農 薬 3 項 目 (マラチ オン ダイアジノン MEP)は 平 成 22 年 度 ~24 年 度 のいずれの 年 度 においても 全 試 料 群 から 検 出 されず( 検 出 限 界.1μg/g) 量 は μg であった HCH 類 および DDT 類 は 1971 年 に 農 薬 としての 使 用 が 禁 止 されている 全 国 のデータをみるとどちらも 減 少 が 続 いており 2 年 以 降 は HCH 類 は.1μg/man/day 以 下 DDT 類 は.3μg/man/day 付 近 でほぼ 一 定 している ディ ルドリン HCE および HCB も 全 国 的 に 199 年 代 から.1μg/man/day 以 下 の 低 い 値 で 推 移 している 4) また 有 機 リン 系 農 薬 (マラチオン ダイアジノン MEP)は 全 国 のデータでもここ 1 年 間 ほとんど 検 出 さ れていない 3.1.2 その 他 の 農 薬 その 他 の 農 薬 116 項 目 については 平 成 22 年 度 と 23 年 度 にイマザリルがⅥ 群 ( 果 実 )で オキサミルがⅦ 群 ( 有 色 野 菜 )で 検 出 された 量 はイマザリルが 順 に 1.16μg1.18μg また オキサミルが 2.8μg4.21μg であ った これらは 福 井 県 独 自 で 行 っている 項 目 であり 他 県 との 比 較 はできないが 食 品 安 全 委 員 会 が 定 めた ADI( 一 日 許 容 量 )はイマザリルが.25mg/kg 体 重 /day( 体 重 5kg とすると 1.25mg/ day) オキサミルが.2 mg/kg 体 重 /day( 体 重 5kg とすると 1.mg/ day)であ り これと 比 較 してイマザリルは.1% 以 下 オキサミル は.2~.4%と 低 値 であった その 他 の 114 項 目 はいずれの 年 度 においても 全 試 料 群 から 検 出 されなかった( 検 出 限 界.1μg/g) 3.2 いずれの 年 度 においてもⅩ 群 ( 魚 介 類 )でのみ 検 出 され 量 は 平 成 22 年 度 が 5μg 23 年 度 が.551μg 24 年 度 が.343μg であった PCB は 1974 年 に 化 審 法 により 第 一 種 特 定 化 学 物 質 に 指 定 され 製 造 および 輸 入 が 禁 止 された 国 が 調 査 を 開 始 し た 197 年 代 には 3μg/man/day 前 後 であったが 199 年 代 には 1μg/man/day 程 度 にまで 低 下 した しかし その 後 の 現 象 は 緩 やかで 過 去 1 年 は.5μg/man/day 程 度 の 値 が 続 いており 4) 今 回 の 福 井 県 のデータもこれと 同 程 度 で あった また 昭 和 47 年 の 通 知 による 暫 定 ADI は 5μg/kg 体 重 /day( 体 重 5kg の 場 合 25μg/day)であり 23 年 の WHO の 評 価 5) では.2μg/kg 体 重 /day( 体 重 5kg の 場 合 1μg /day)となっている 今 回 の 値 はよりきびし い WHO の 評 価 基 準 に 比 較 しても 低 値 であった 3.3 金 属 類 3.3.1 鉛 金 属 類 の 食 品 群 別 量 を 表 3 および 図 1 に 示 す 鉛 の 量 は 11.89μg21.99μg12.83μg( 平 成 22 年 度 23 年 度 24 年 度 の 順 に 記 載 以 下 同 様 )であっ た すべての 食 品 群 から 検 出 されたが 22 年 度 はⅢ 群 ( 砂 糖 菓 子 )とⅨ 群 ( 嗜 好 飲 料 ) 23 年 度 はⅠ 群 ( 米 ) Ⅱ 群 ( 雑 穀 芋 )およびⅫ 群 ( 乳 乳 製 品 ) 24 年 度 はⅨ 群 ( 嗜 好 飲 料 )とⅩ 群 ( 魚 介 類 )から 主 に 検 出 された JECFA が 定 める 暫 定 耐 容 一 週 間 量 (PTWI)は 25μg/kg 体 重 /week( 体 重 5kg の 場 合 許 容 量 は 179μg)で あり 今 回 の 値 はこの 7~12%であった 3.3.2 ヒ 素 量 は 51.6μg477.9μg255.9μg であった Ⅳ 群 ( 油 脂 )とⅥ 群 ( 果 実 ) 以 外 のすべての 群 から 検 出 さ れたが いずれの 年 度 においてもⅧ 群 ( 野 菜 海 草 )とⅩ -43-
群 ( 魚 介 類 )からの 検 出 が 量 の 大 部 分 を 占 めた ヒ 素 には 有 機 ヒ 素 と 無 機 ヒ 素 があり 無 機 ヒ 素 のほうが 毒 性 が 強 い 海 草 類 特 にひじきには 無 機 ヒ 素 が 高 濃 度 に 含 まれることが 知 られているが ひじき 以 外 に 含 まれるヒ 素 の 大 部 分 は 有 機 ヒ 素 であると 報 告 されている 6)7) PTWI は 無 機 ヒ 素 として 設 定 されており 15μg/kg 体 重 /week( 体 重 5kg の 場 合 許 容 量 は 17μg)で ある 本 研 究 では 総 ヒ 素 を 測 定 しているため 比 較 はできな いが 仮 に 検 出 値 のすべてを 無 機 ヒ 素 とすると 許 容 量 の 2.4~4.8 倍 になる 健 康 への 影 響 を 正 しく 評 価 するためには 有 機 ヒ 素 と 無 機 ヒ 素 を 区 別 して 測 定 する 必 要 があり これが 今 後 の 課 題 となる 3.3.3 カドミウム 量 は 26.5μg21.1μg15.42μg であった Ⅳ 群 ( 油 脂 ) Ⅻ 群 ( 乳 乳 製 品 ) ⅩⅣ 群 ( 飲 料 水 ) 以 外 の すべての 食 品 群 から 検 出 されたが いずれの 年 度 において もⅠ 群 ( 米 )の 値 が 最 も 高 かった PTWI は 7μg/kg 体 重 /week( 体 重 5kg の 場 合 許 容 量 は 5μg)であ り 今 回 の 値 はこの 31~53%であった 3.3.4 水 銀 量 は 8.45μg8.18μg7.63μg であった すべ ての 食 品 群 から 検 出 されたが 最 も 高 い 値 がⅩ 群 ( 魚 介 類 ) 次 いでⅠ 群 ( 米 )であり このふたつの 群 からの 検 出 が 一 日 量 の 大 部 分 を 占 めた PTWI は 5μg/kg 体 重 /week ( 体 重 5kg の 場 合 許 容 量 は 36μg)であり 今 回 の 値 はこの 12~23%であった 3.3.5 銅 マンガン 亜 鉛 すべての 食 品 群 に 検 出 され 量 は 銅 が 156μg 1374μg931μg マンガンが 5414μg4115μg3544μg 亜 鉛 が 6965μg6693μg522μg であった ミネラルの 基 準 は 厚 生 労 働 省 が 定 める 日 本 人 の 食 事 基 準 (21 年 版 ) に 性 別 年 齢 別 に 示 されてい る 一 例 として 8~29 才 男 性 で 銅 は 耐 容 上 限 量 が 1mg/ 日 推 奨 量 が.9 mg/ 日 マンガンは 耐 容 上 限 量 が 11mg/ 日 目 安 量 が 4.mg/ 日 亜 鉛 は 耐 容 上 限 量 が 4mg/ 日 推 奨 量 が 12mg/ 日 となっている 今 回 の 調 査 結 果 をこれと 比 較 すると 銅 およびマンガンは 推 奨 量 または 目 安 量 とほ ぼ 同 程 度 で 適 切 な 量 と 考 えられたが 亜 鉛 は 推 奨 量 を 下 回 っていた 3.4 ヒ 素 量 について 金 属 類 の 量 および 主 に 検 出 される 食 品 群 は 全 国 の データとほぼ 同 様 の 傾 向 であったが ヒ 素 のみが 平 成 22 年 度 が 全 国 値 18.μg に 対 して 約 2.8 倍 平 成 23 年 度 が 全 国 値 196.7μg に 対 して 約 2.4 倍 と 高 値 であった ヒ 素 は 他 県 においても 主 にⅧ 群 ( 野 菜 海 草 )とⅩ 群 ( 魚 介 類 )で 検 出 されている 8)9)1) 福 井 県 において 量 が 多 い 原 因 のひとつとして Ⅷ 群 とⅩ 群 の 食 品 量 が 他 県 よりも 多 い 可 能 性 が 考 えられたが 表 4に 示 すとおり 全 国 の 量 と 比 較 してそれほど 大 きな 違 いはない 調 製 した 試 料 の 食 品 の 内 訳 は 表 5のとおりである この 中 にヒ 素 が 高 く 検 出 される 特 定 の 食 品 があるのか 今 後 調 査 を 行 う 予 定 である また 分 析 方 法 の 違 いも 考 えられる 当 センターでは ICP/MS で 測 定 しているが 他 県 では 原 子 吸 光 法 を 用 いて いる 機 関 もある ヒ 素 化 合 物 の 化 学 形 態 による 分 析 感 度 差 が 分 析 法 により 異 なる ) ことから 妥 当 性 評 価 を 含 めた 分 析 法 の 検 討 も 今 後 併 せて 必 要 になる 表 4 Ⅷ 群 Ⅹ 群 の 食 品 量 群 食 品 年 度 年 度 年 度 年 度 全 国 Ⅷ 48 (キャベツ) 29 223 249 239 49 (きゅうり) 91 99 95 88 5 ( 大 根 ) 53 427 493 376 51 (たまねぎ) 221 267 285 294 52 (はくさい) 229 229 27 27 53 (その 他 の 淡 色 野 菜 ) 543 575 564 459 54 ( 葉 類 漬 け 物 ) 54 49 88 51 55 (たくあんその 他 漬 け 物 ) 15 72 117 95 56 (きのこ 類 ) 145 16 198 153 57 ( 海 草 類 ) 137 12 18 1 Ⅷ 群 合 計 (g) 2264 223 244 262 Ⅹ 64 (あじ イワシ 類 ) 144 18 127 16 65 (さけ ます) 98 75 59 43 66 (たい かれい 類 ) 87 91 91 53 67 (まぐろ かじき 類 ) 3 36 21 48 68 (その 他 の 生 魚 ) 115 132 11 88 69 ( 貝 類 ) 21 36 45 35 7 (いか たこ 類 ) 53 82 69 55 71 (えび かに 類 ) 87 54 75 54 72 ( 塩 蔵 生 干 し 乾 物 ) 122 178 161 175 73 ( 缶 詰 ) 18 21 1 19 74 ( 佃 煮 ) 2 4 4 3 75 ( 練 り 製 品 ) 139 118 19 98 76 ( 魚 肉 ハム ソーセーシ ) 4 3 3 6 Ⅹ 群 合 計 (g) 92 938 884 783 平 成 22 年 度 は 平 成 18 年 度 国 民 栄 養 調 査 食 品 量 地 域 別 集 計 による 平 成 23 年 度 は 平 成 19 年 度 国 民 栄 養 調 査 食 品 量 地 域 別 集 計 による 平 成 24 年 度 は 平 成 2 年 度 国 民 栄 養 調 査 食 品 量 地 域 別 集 計 による 4.まとめ 平 成 22 年 度 から 24 年 度 において 福 井 県 における 日 常 食 中 の 汚 染 物 量 の 推 定 を 行 った 有 機 塩 素 系 農 薬 および 有 機 リン 系 農 薬 はどの 年 度 におい ても 検 出 されなかった その 他 の 農 薬 (116 項 目 )では 平 成 22 年 度 と 23 年 度 に イマザリルがⅥ 群 ( 果 実 )で オキサミルがⅦ 群 ( 有 色 野 菜 )で 検 出 されたが 許 容 量 の.4% 以 下 であっ た PCB は 平 成 23 年 度 と 24 年 度 にⅩ 群 ( 魚 介 類 )でのみ 検 出 されたが 許 容 量 に 較 べてごく 少 ない 量 であ り WHO の 評 価 基 準 に 比 較 しても 低 値 であった 鉛 は 多 くの 食 品 群 から 検 出 され 量 は 許 容 量 の 7~12%であった ヒ 素 はⅧ 群 ( 野 菜 海 草 )とⅩ 群 ( 魚 介 類 )からの 検 出 が 量 の 大 部 分 を 占 めた カドミ ウムはⅠ 群 ( 米 )から 主 に 検 出 され 量 は 許 容 量 の 31~53%であった 水 銀 はⅩ 群 ( 魚 介 類 )とⅠ 群 ( 米 ) から 主 に 検 出 され 量 は 許 容 量 の 12~23%であ った 銅 マンガン 亜 鉛 はすべての 食 品 群 に 検 出 された ヒ 素 の 量 が 許 容 量 および 全 国 平 均 値 を 比 較 して 多 い 傾 向 にあった この 研 究 は 厚 生 労 働 科 学 研 究 費 補 助 金 食 の 安 心 安 全 確 保 推 進 研 究 事 業 食 品 を 介 したダイオキシン 類 等 有 害 物 質 量 の 評 価 とその 手 法 開 発 に 関 する 研 究 への 研 究 協 力 として 行 われた -44-
表 5 Ⅷ 群 Ⅹ 群 食 品 内 訳 Ⅷ 群 キャベツ キャベツ キャベツ きゅうり きゅうり きゅうり 大 根 大 根 大 根 たまねぎ たまねぎ たまねぎ はくさい はくさい はくさい (その 他 の 淡 色 野 菜 ) (きのこ 類 ) ( 海 草 類 ) 枝 豆 枝 豆 枝 豆 かぶ なす なす ごぼう レタス 大 豆 もやし しょうが レタス なす にんにく 大 豆 もやし 緑 豆 もやし レタス かぶ 葉 塩 漬 白 菜 塩 漬 高 菜 漬. 野 沢 菜 塩 漬 白 菜 塩 漬 キムチ キムチ ( 葉 類 漬 物 ) キムチ きゅうり 塩 漬 梅 干 し きゅうり 塩 漬 きゅうりぬかみそ 漬 だいこんぬかみそ 漬 (たくあん その 他 漬 物 ) だいこんぬかみそ 漬 梅 干 し 干 しだいこんたくあん 漬 だいこんべったら 漬 福 神 漬 らっきょう 甘 酢 漬 梅 干 し 梅 干 し( 調 味 漬 け) えのきたけ えのきたけ えのきたけ 生 しいたけ ぶなしめじ 生 しいたけ 乾 しいたけ ぶなしめじ ぶなしめじ エリンギ 本 しめじ なめこ まいたけ マッシュルーム 青 のり 焼 きのり 青 のり 焼 きのり 味 付 のり 味 付 けのり 味 付 けのり わかめ( 乾 燥 ) 日 高 こんぶ 生 わかめ 削 り 昆 布 塩 昆 布 昆 布 つくだ 煮 干 しひじき わかめ( 乾 燥 ) わかめ( 乾 燥 水 戻 し) 生 わかめ 参 考 文 献 1) 松 田 りえ 子 他 : 食 品 を 介 したダイオキシン 類 等 有 害 物 質 量 の 評 価 とその 手 法 開 発 に 関 する 研 究 平 成 23 年 度 総 括 分 担 研 究 報 告 書 (212) 2) 食 品 に 残 留 する 農 薬 飼 料 添 加 物 又 は 動 物 用 医 薬 品 の 成 分 である 物 質 の 試 験 法 について ( 平 成 17 年 1 月 24 日 付 け 食 安 発 第 1241 号 厚 生 労 働 省 医 薬 食 品 局 食 品 安 全 部 長 通 知 ) 3) 日 本 薬 学 会 編 : 衛 生 試 験 法 注 解 2,473-477, 金 原 出 版, 東 京 (2) 4) 松 田 りえ 子 : 食 品 からの 有 害 物 質 の 量 推 定, 食 品 衛 生 研 究,63(1),9-19(213) 5) WHO/IPCS: 国 際 化 学 物 質 簡 潔 評 価 文 書 No.55,ポリ クロロビフェニル ヒトへの 健 康 への 影 響 http://www/ nihs.go.jp/hse/cicad/full/no55/full55.pdf Ⅹ 群 (あじ イワシ 類 ) (さけ ます) (たい かれい 類 ) (まぐろ かじき 類 ) (その 他 の 生 魚 ) ( 貝 類 ) (いか たこ 類 ) (えび かに 類 ) ( 塩 蔵 生 干 し 乾 物 ) ( 缶 詰 ) ( 佃 煮 ) ( 練 り 製 品 ) 6) 三 菱 化 学 安 全 科 学 研 究 所 :ひじきに 含 まれるヒ 素 の 評 価 基 礎 資 料 調 査 報 告 書, 内 閣 府 食 品 安 全 委 員 会 平 成 18 年 度 食 品 安 全 確 保 総 合 調 査 (27) 7) 塩 見 一 雄 : 魚 介 類 に 含 まれるヒ 素 化 合 物 の 毒 性 および 生 体 内 代 謝,http//www. Mac.or.jp/mail /1191 /2. shtml 8) 國 仲 奈 津 子 : 沖 縄 県 における 日 常 食 品 からの 環 境 汚 染 物 質 等 の1 日 量 調 査 -21 年 度 -, 沖 縄 県 衛 生 環 境 研 究 報,45,111-118(211) 9) 宅 間 範 雄 他 : 高 知 県 における 日 常 食 中 の 有 害 物 質 等 の 量 調 査, 高 知 衛 研 報,55,61-68(29) 1) 松 本 比 佐 志 他 : 汚 染 化 学 物 質 の 食 事 経 由 による 摂 取 量 の 推 定 - 別 府 市 における 調 査 研 究 -, 別 府 大 学 紀 要, 52,91-99(211) 11) 成 川 知 弘 他 : 原 子 スペクトル 分 析 におけるヒ 素 化 合 物 の 化 学 形 態 に 依 存 する 分 析 感 度 差, 分 析 化 学,58, 185-195(29) まあじ まあじ まあじ まさば まさば まさば 大 西 洋 さば さんま さんま さば(しめさば) さんま にしん からふとます からふとます からふとます ぎんざけ べにざけ べにざけ さくらます べにざけ あまだい 子 持 ちがれい 子 持 ちがれい まがれい すけとうだら まがれい 子 持 ちがれい すけとうだら まだら しらこ めかじき かつお かつお かつお きはだまぐろ まかじき そうだかつお きはだまぐろ くろまぐろ 赤 身 うなぎ はたはた ぶり かわはぎ ぶり さわら きす とびうお はたはた ぶり はまち ほっけ むつ あさり あさり あさり しじみ しじみ ほたて 貝 柱 ほたて 貝 柱 こういか するめいか するめいか するめいか まだこ あかいか やりいか まだこ あまえび あまえび あまえび くるまえび ブラックタイガー ブラックタイガー ブラックタイガー ずわいがに まあじ( 開 き 干 し) まあじ( 開 き 干 し) しらす 干 し(ちりめん) しらす 干 し(ちりめん) しらす 干 し(ちりめん) かつお 節 かつお 削 り 節 かつお 削 り 節 たらこ 干 しかれい 辛 子 めんたいこ 塩 ざけ 塩 さば さば( 開 き 干 し) さんま( 開 き 干 し) 辛 子 めんたいこ 身 欠 きにしん からふとます 水 煮 缶 詰 さばみそ 煮 缶 詰 さばみそ 煮 缶 詰 さばみそ 煮 缶 詰 まぐろ 油 漬 け 缶 詰 さんま 味 付 け 缶 詰 まぐろ 水 煮 缶 詰 まぐろ 油 漬 け 缶 詰 いかなご(つくだ 煮 ) かたくちいわし( 田 作 り) いかなご(つくだ 煮 ) かたくちいわし( 田 作 り) あさり(つくだ 煮 ) あさり(つくだ 煮 ) かに 風 味 かまぼこ かに 風 味 かまぼこ かに 風 味 かまぼこ 蒸 しかまぼこ 蒸 しかまぼこ 蒸 しかまぼこ 焼 き 抜 きかまぼこ 焼 き 竹 輪 焼 き 竹 輪 焼 き 竹 輪 はんぺん はんぺん さつま 揚 げ 魚 肉 ハム 魚 肉 ソーセージ 魚 肉 ソーセージ 魚 肉 ソーセージ -45-
表 3 図 1 金 属 類 の 食 品 群 別 量 ( 単 位 :μg) I 群 II 群 III 群 IV 群 V 群 VI 群 VII 群 VIII 群 IX 群 X 群 XⅠ 群 XⅡ 群 XIII 群 XIV 群 項 目 年 度 米 雑 穀 芋 砂 糖 菓 子 油 脂 豆 豆 加 工 品 果 実 有 色 野 菜 野 菜 海 草 嗜 好 飲 料 魚 介 類 肉 卵 乳 乳 製 品 調 味 料 そ の 他 飲 用 水 計 鉛 ヒ 素 カドミウム 水 銀 銅 マンガン 亜 鉛 7. (μg/day) 6. 5. 3. 鉛 3. (μg/day) ヒ 素 25. 2. 15. 1 (μg/day) 1 カドミウム 1 8. 6. 1. 1. 5.. 6. (μg/day) 5. 水 銀 6 (μg/day) 5 4 銅 18 (μg/day) 16 マンガン 14 12 3. 3 1 8 2 6 1. 1 4 2 25 (μg/day) 2 亜 鉛 15 1 5-46-