論 文 被 服 行 動 とライフスタイルの 関 連 性 隈 元 美 貴 子 1) 柳 田 元 継 2) キーワード: 被 服 行 動,ライフスタイル,クラスター 分 析 要 旨 : 被 服 行 動 を 規 定 する 要 因 には 感 覚 や 知 覚 感 情 や 気 分 パーソナリティや 自 己 概 念 欲 求 や 動 機 態 度 価 値 観 ライフスタイルなどがある これらは 被 服 行 動 を 説 明 す るための 概 念 としてみなされ これまでに こうした 概 念 と 被 服 行 動 の 関 係 性 に 関 する 多 くの 研 究 がおこなわれている しかし ライフスタイルと 被 服 行 動 との 関 連 性 にまで 言 及 した 報 告 は 少 ない そこで 本 研 究 では 現 代 の 若 者 の 被 服 行 動 をいくつかのパターンに 分 類 し それぞれのグループごとにライフスタイルに 違 いが 見 られるかどうかを 明 らかにす る 事 を 目 的 として 質 問 紙 調 査 を 行 い 検 討 を 行 った 被 服 行 動 を 測 定 する 20 項 目 への 反 応 を 因 子 分 析 ( 主 因 子 プロマックス 回 転 )し 固 有 値 1 以 上 の4 因 子 を 抽 出 した そ れぞれ 流 行 性 経 済 性 機 能 性 規 範 性 と 命 名 した 次 に 被 服 行 動 に 対 する 考 え 方 で 対 象 者 をクラスター 化 するために 因 子 得 点 をもとにクラスター 分 析 を 行 った そ の 結 果 流 行 性 が 高 い 値 を 示 す 流 行 追 従 型 流 行 性 規 範 性 が 高 く 経 済 性 が 低 い 値 を 示 す TPO 重 視 型 流 行 性 が 低 い 値 を 示 す 流 行 無 関 心 型 にクラスター 化 できた 次 に ライフスタイルに 対 する 各 質 問 の 回 答 の 分 布 を 一 元 分 散 分 析 し 多 重 比 較 を 行 った その 結 果 クラスター 間 でライフスタイルが 異 なることが 明 らかになり 被 服 行 動 からライフスタイルの 推 測 ができる 可 能 性 が 示 唆 された 緒 言 人 間 生 活 の 基 本 的 な 要 素 として 衣 食 住 が 挙 げられるが これらは 我 々の 生 命 を 守 るといった 原 始 的 な 必 要 を 満 たすだけではなく より 社 会 的 文 化 的 な 生 活 を 送 るうえ で 重 要 な 役 割 を 果 たしている 被 服 に 焦 点 を 当 ててみると 我 々が 日 常 的 に 行 っている 被 服 に 関 する 行 動 - 購 買 着 装 廃 棄 -は 被 服 行 動 として 定 義 されており 文 化 社 会 個 人 の3つの 水 準 に 大 別 して 規 定 されている 特 に 個 人 の 水 準 で 被 服 行 動 を 規 定 する 要 因 には 感 覚 や 知 覚 感 情 や 気 分 パーソナリティや 自 己 概 念 欲 求 や 動 機 態 度 価 値 観 ライフスタイルなどがある 1) これらは 被 服 行 動 を 説 明 するための 概 念 としてみなさ れ これまでに こうした 概 念 と 被 服 行 動 の 関 係 性 に 関 する 多 くの 研 究 がおこなわれてい る 1) 山 陽 学 園 大 学 総 合 人 間 学 部 生 活 心 理 2) 有 限 会 社 NTC 技 建 人 間 環 境 開 発 部 - 79 -
隈 元 柳 田 : 被 服 行 動 とライフスタイルの 関 連 性 欲 求 と 被 服 行 動 の 関 係 に 関 しては マズローの 欲 求 分 類 により 説 明 することができる 1) マズローは 欲 求 は 階 層 構 造 をなしており 第 一 段 階 の 生 理 的 欲 求 第 二 段 階 の 安 全 の 欲 求 第 三 段 階 の 所 属 と 親 和 の 欲 求 第 四 段 階 の 尊 敬 と 承 認 の 欲 求 第 五 段 階 の 自 己 現 実 の 欲 求 に 分 類 できるとしている これを 被 服 行 動 の 場 面 に 置 き 換 えてみると まず 人 は 寒 さから 身 を 守 り 生 命 を 維 持 するために 被 服 を 着 用 し( 生 理 的 欲 求 ) 続 いて 外 敵 や 危 険 な 状 況 において 外 傷 を 負 わないように 例 えば 長 袖 のシャツや 紫 外 線 を 遮 る 材 質 の 被 服 を 着 用 する( 安 全 の 欲 求 ) こうした 低 次 の 欲 求 が 満 たされると 次 に 人 並 み の 被 服 を 着 たいというエチケット 的 な 欲 求 に 気 持 ちが 移 り( 所 属 と 親 和 の 欲 求 ) さらには 集 団 の 中 において 人 よりもよい 被 服 を 纏 い 人 から 認 められたいという 気 持 ちが 生 じる( 尊 敬 と 承 認 の 欲 求 ) そして それらの 欲 求 が 十 分 満 たされた 場 合 に 自 己 実 現 の 欲 求 が 生 起 する 自 己 実 現 の 欲 求 とは 自 分 自 身 を 成 長 させ 豊 かにしていく 欲 求 であり 被 服 行 動 でいうならば 例 えば デザインをする 事 から それを 着 用 するまでの 一 連 の 行 為 がそれ に 当 たる また クリークモア(A.M.Creekmore)は マズローの 分 類 に 加 え 第 六 段 階 に 知 識 への 欲 求 第 七 段 階 に 審 美 的 動 機 第 八 段 階 に アクションに 対 する 欲 求 を 加 えて 着 装 動 機 の 研 究 を 行 っており 被 服 行 動 における 自 己 実 現 の 欲 求 は クリークモ アが 言 うところの 第 六 段 階 から 第 八 段 階 にあたると 考 えられる 2) 被 服 行 動 を 説 明 するための 概 念 のひとつの 態 度 は オルポートにより 定 義 されてい る 態 度 とは 個 人 がかかわりを 持 つあらゆる 対 象 や 状 況 への 個 人 の 反 応 に 指 示 的 あるい は 力 動 的 な 影 響 を 及 ぼす 経 験 を 通 じて 体 制 化 された 精 神 的 神 経 的 な 準 備 状 態 である と 定 義 されている 3) この 態 度 と 被 服 行 動 に 関 する 研 究 において 購 買 態 度 と 被 服 行 動 について 報 告 されてい る 被 服 に 対 する 購 買 態 度 は 一 般 の 商 品 全 体 に 対 する 購 買 態 度 によっても 規 定 されるし さらには 保 守 的 革 新 的 といった 生 活 態 度 や 目 的 合 理 的 価 値 合 理 的 といった 価 値 態 度 によっても 規 定 される 佐 々 木 らは 購 買 態 度 の 基 本 的 次 元 を 合 理 性 と 情 緒 性 という 二 次 元 で 測 定 する 尺 度 を 作 成 し 購 買 態 度 のプロフィールに 基 づく 商 品 の 分 類 を 行 っている 4) 被 服 に 対 する 購 買 態 度 も 大 きくはこのような 二 つの 次 元 でとらえる 事 ができ よう また 中 川 らは erc scale 尺 度 を 用 いて 購 買 態 度 を 測 定 し 被 服 の 購 買 行 動 との 関 連 を 見 出 している 5) また 着 装 態 度 について 天 野 らは 若 い 勤 労 者 を 対 象 に 着 装 態 度 のタイプと 被 服 行 動 特 性 の 関 係 を 検 討 している 6) その 結 果 ファッション 情 報 への 関 心 については 売 り 場 の 陳 列 商 品 を 注 意 してみる 他 人 の 服 装 をいつも 注 意 してみるなど 身 近 な 情 報 への 関 心 が 高 い そして 着 装 態 度 では 着 心 地 や 肌 触 り 動 きやすさに 加 えて 場 所 がらを 重 視 し 他 人 に 不 快 感 を 与 えない 服 装 清 楚 な 服 装 を 心 がけており 服 装 は 信 用 に 関 わるから おろそかにできないと 回 答 するなど 社 会 性 容 儀 性 を 重 視 している しかし 一 方 で 異 性 に 魅 力 的 に 見 られるような 服 装 がしたい 周 りに 縛 られず 自 分 の 好 きな 服 装 をしたい などおしゃれへの 関 心 が 強 いことが 報 告 されている そして 着 装 態 度 を 他 者 同 調 流 行 追 随 型 おしゃれ 軽 視 流 行 否 定 型 個 性 重 視 流 行 積 極 型 他 者 同 調 流 行 消 極 的 型 の 4 つのタ イプに 分 け 流 行 行 動 や 購 買 行 動 被 服 費 などにおいてタイプ 別 に 差 異 がみられることを 明 らかにしている 本 研 究 で 扱 う 概 念 である ライフスタイル は ある 種 の 文 化 もしくは 集 団 の 生 活 様 式 - 80 -
を 他 の 文 化 や 集 団 の 生 活 様 式 から 識 別 するような 特 有 な 構 成 要 素 もしくは 性 質 と 関 係 し ている そして ライフスタイルは 一 つの 社 会 における 生 活 の 動 学 から 発 達 し 現 れるパ ターンとして 具 体 化 される 従 ってライフスタイルとは 文 化 や 価 値 観 資 源 シンボル ライセンスとしての 力 の 結 果 として 現 れるものである 一 つの 見 方 を 示 せば 消 費 者 の 購 買 の 総 計 とそれらが 消 費 される 仕 方 も 社 会 のライフスタイルを 反 映 する このような 定 義 に 従 えば アメリカ 人 のライフスタイルや 家 族 のライフスタイル 消 費 者 のライフスタ イル 様 々な 社 会 階 層 のライフスタイル そして ライフサイクルの 異 なる 段 階 に 位 置 す る 特 定 の 集 団 のライフスタイルについて 語 ることができる(Lazer 1963) 7) ライフスタイルと 被 服 行 動 については 田 北 らの 報 告 8) があり 学 生 を 対 象 にライフス タイルを 調 査 したところ いろいろな 体 験 をしてみたい 旅 行 の 計 画 を 立 てるのは 楽 し い 将 来 にではなく 今 を 楽 しく 生 きたい の 平 均 値 が 高 く いろいろな 体 験 をし 旅 行 などを 好 む 行 動 力 的 であるとの 結 果 を 得 ている さらに できるだけ 多 くのものと 比 較 し たうえで 買 い 物 をする など 堅 実 な 生 活 志 向 が 伺 える また 家 事 育 児 は 女 性 に 任 せて おく 方 がよい は 低 いとのことから 家 庭 生 活 は 男 女 で 行 うことを 望 んでいると 分 析 し ている 一 方 で 衣 生 活 スタイル 項 目 は 会 社 訪 問 にはリクルートスーツを 着 る 社 会 的 地 位 や 立 場 にふさわしい 服 装 をすることは 大 切 である 普 段 着 を 着 てパーティ 会 場 へ 行 かない は 高 い 数 値 を 示 した また 環 境 にやさしく 着 用 感 などを 考 えて 健 康 を 意 識 し 堅 実 で 個 性 重 視 の 面 がみられた しかし この 研 究 では ライフスタイルと 被 服 行 動 との 関 係 性 にまで 言 及 していない そこで 本 研 究 では 現 代 の 若 者 の 被 服 行 動 をいくつかのパ ターンに 分 類 し それぞれのグループごとにライフスタイルに 違 いが 見 られるかどうかを 明 らかにする 事 を 目 的 として 質 問 紙 調 査 を 行 い 検 討 を 行 った 対 象 および 方 法 S 大 学 およびS 短 期 大 学 の 学 生 を 対 象 として 集 合 調 査 法 による 質 問 紙 調 査 を 行 った 実 施 時 期 は2013 年 12 月 対 象 は 日 本 人 195 名 回 収 数 は193 名 で 回 収 率 は99.0%であった 調 査 項 目 は 1 基 本 属 性 2ライフスタイルに 関 する25 項 目 9) 3 被 服 行 動 に 関 する20 項 目 10) から 構 成 されている 統 計 分 析 は 単 純 集 計 因 子 分 析 クラスター 分 析 一 元 分 散 分 析 をSPSSを 用 いて 行 った 結 果 および 考 察 (1) 基 本 属 性 の 単 純 集 計 ライフスタイルと 被 服 行 動 の 関 係 について 明 らかにするために 質 問 紙 調 査 を 行 った 回 収 した 質 問 紙 を 精 査 した 結 果 有 効 回 答 数 は 141 名 で 有 効 回 答 率 は 72.3%であった ま ず 対 象 者 の 所 属 学 科 の 割 合 は K 学 科 が 46.1%(65 名 ) Y 学 科 が 53.9%(76 名 )で あった( 図 1) 次 に 対 象 者 の 年 齢 は 18 歳 が 22.7%(32 名 ) 19 歳 が 71.6%(101 名 ) その 他 が 5.7%(8 名 )であった( 図 2) 性 別 は 男 性 が 12.8%(18 名 ) 女 性 が 87.2% (123 名 )であり 大 半 が 女 性 であった( 図 3) 住 居 形 態 は 自 宅 が 60.3%(85 名 ) ア パートが 29.1%(41 名 ) 寮 が 10.6%(15 名 )であった( 図 4) 出 身 地 は 岡 山 県 が 58.2% - 81 -
隈 元 柳 田 : 被 服 行 動 とライフスタイルの 関 連 性 (82 名 ) 広 島 県 が 12.1% (17 名 ) 島 根 県 が 7.1%(10 名 ) 沖 縄 県 が 4.3%(6 名 ) 鳥 取 県 が 3.5%(5 名 ) その 他 が 14.9%(21 名 )であった( 図 5) 一 か 月 の 小 遣 いは 三 千 円 未 満 3.5%(5 名 ) 三 千 円 以 上 五 千 円 未 満 8.5%(12 名 ) 五 千 円 以 上 一 万 未 満 12.1% (17 名 ) 一 万 円 以 上 二 万 円 未 満 31.9%( 45 名 ) 二 万 円 以 上 三 万 円 未 満 16.3%( 23 名 ) 三 万 以 上 四 万 未 満 14.9%(21 名 ) 四 万 以 上 五 万 未 満 8.5%(12 名 ) 五 万 以 上 七 万 未 満 2.8%(4 名 ) 七 万 以 上 十 万 未 満 0.7%(1 名 ) 十 万 以 上 0.7%(1 名 )であった( 図 6) 図 1 対 象 者 の 所 属 学 科 図 2 対 象 者 の 年 齢 図 3 対 象 者 の 性 別 図 4 対 象 者 の 住 居 形 態 図 5 対 象 者 の 出 身 地 図 6 対 象 者 の 一 カ 月 の 小 遣 い - 82 -
(2) 被 服 行 動 の 因 子 分 析 とクラスター 分 析 被 服 行 動 を 測 定 する20 項 目 への 反 応 を 因 子 分 析 ( 主 因 子 プロマックス 回 転 )し 固 有 値 1 以 上 の4 因 子 を 抽 出 した 因 子 分 析 の 結 果 を 表 1に 示 す 第 1 因 子 には 最 新 のフ ァッションについて 知 るために 多 くの 店 を 見 てまわる 最 新 のファッションを 着 るよう にいつも 心 がけている いまどのようなファッションがはやっているかについてよく 知 っている ファッション 雑 誌 をよく 読 む 周 囲 の 人 のファッションが 気 になる などの 項 目 の 因 子 負 荷 量 が 高 いことから 流 行 性 因 子 と 解 釈 した 第 2 因 子 には 衣 服 は 百 貨 店 より 低 価 格 なお 店 で 購 入 することが 多 い どんな 気 入 った 服 でも 高 ければ 買 わない などの 項 目 の 因 子 負 荷 量 が 高 いことから 経 済 性 因 子 と 解 釈 した 第 3 因 子 には 衣 服 のデザインよりはそれを 着 たときの 動 きやすさを 重 視 する 保 温 性 や 通 気 性 の 良 い 服 を 選 ぶ 華 美 さよりは 機 能 性 を 重 視 して 衣 服 を 選 ぶ 吸 水 性 の 良 い 生 地 の 服 を 選 ぶ など の 項 目 の 因 子 負 荷 量 が 高 いことから 機 能 性 因 子 と 解 釈 した 第 4 因 子 には その 場 に 合 った 服 装 というものは 必 要 であると 思 う 人 が 場 違 いな 服 装 をしているのを 見 ること は 耐 え 難 い その 場 にふさわしい 服 装 があると 思 う などの 項 目 の 因 子 負 荷 量 が 高 いこ 表 1 被 服 行 動 因 子 分 析 質 問 項 目 FACTOR Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ 最 新 のファッションを 知 るために 多 くの 店 を 見 てまわる 0.779 0.012 0.109 0.056 今 どのようなファッションがはやっているかよく 知 ってい る 0.761 0.017 0.088 0.141 最 新 のファッションを 着 るようにいつもこころがけている 0.747 0.056 0.146 0.090 ファッション 雑 誌 をよく 読 む 0.703 0.026 0.054 0.153 周 囲 の 人 のファッションが 気 になる 0.503 0.245 0.239 0.178 衣 服 は 百 貨 店 より 低 価 格 なお 店 で 購 入 することが 多 い 0.038 0.779 0.075 0.077 多 少 値 段 が 高 くても 品 質 の 良 い 衣 服 を 選 ぶ 0.041-0.750 0.176 0.124 どんなに 気 に 入 った 服 でも 高 ければ 買 わない 0.021 0.654 0.048 0.058 保 温 性 や 通 気 性 の 良 い 服 を 選 ぶ 0.018 0.055 0.722 0.083 華 美 さよりは 機 能 性 を 重 視 して 衣 服 を 選 ぶ 0.189 0.227 0.686 0.018 吸 湿 性 の 良 い 生 地 の 服 を 選 ぶ 0.191 0.114 0.672 0.112 衣 服 のデザインより 着 たときの 動 きやすさを 重 視 する 0.052 0.300 0.507 0.038 その 場 にふさわしい 服 装 があると 思 う 0.069 0.016 0.080 0.680 その 場 に 合 った 服 装 というものは 必 要 であると 思 う 0.118 0.013 0.095 0.573 人 が 場 違 いな 服 装 をしているのを 見 ることは 耐 え 難 い 0.051 0.031 0.037 0.512 因 子 間 相 関 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ - -0.177 0.076 0.197 Ⅱ - 0.076-0.008 Ⅲ - 0.113 Ⅳ - - 83 -
隈 元 柳 田 : 被 服 行 動 とライフスタイルの 関 連 性 とから 規 範 性 因 子 と 解 釈 した 被 服 行 動 に 対 する 考 えの 似 たものをグループ 化 するために 被 服 行 動 を 規 定 する4 因 子 得 点 をもとにクラスター 分 析 を 行 った その 結 果 調 査 対 象 者 を3クラスターに 分 類 する ことができた それぞれのクラスターの 因 子 ごとの 平 均 因 子 得 点 を 図 7に 示 す 各 クラス ターの 特 徴 から 流 行 性 が 低 い 値 を 示 すクラスターに 流 行 無 関 心 型 流 行 性 が 高 い 値 を 示 すクラスターに 流 行 追 従 型 流 行 性 と 規 範 性 が 高 く 経 済 性 に 低 い 値 を 示 す TPO 重 視 型 と 命 名 した 図 7 クラスターごとの 平 均 因 子 得 点 (3)クラスター 間 におけるライフスタイルの 相 違 被 服 行 動 で 分 類 した3つのクラスター 間 でライフスタイルに 差 違 がみられるかどうか 一 元 分 散 分 析 を 行 い 有 意 差 (p<0.05)の 認 められた 質 問 項 目 に 関 してボンフェローニ 補 正 のマンホイットニーの 多 重 比 較 を 行 った その 結 果 TPO 重 視 型 と 流 行 無 関 心 型 の 間 で ライフスタイルの 質 問 項 目 いろいろな 体 験 をしてみたい (p<0.017)と 大 学 や 会 社 はできれば 一 流 のところに 入 りたい (p<0.017) 流 行 ( 音 楽 ファッションなど) についていく 方 だ (p<0.017) 何 かを 買 うとき 常 に 新 しい 店 を 探 して 買 う 方 だ (p<0.017)に 対 する 回 答 の 分 布 に 有 意 差 が 認 められ すべての 項 目 で TPO 重 視 型 が 高 かった また 流 行 追 従 型 と 流 行 無 関 心 型 の 間 で ライフスタイルの 質 問 項 目 人 から 注 目 されるようなことをしたい (p<0.017)と スマートフォン( 携 帯 電 話 を 含 む) がない 生 活 は 不 安 だ (p<0.017) 流 行 ( 音 楽 ファッションなど)についていく 方 だ (p<0.017) 何 かを 買 うとき 常 に 新 しい 店 を 探 して 買 う 方 だ (p<0.017) あまり 人 が 使 っていない 個 性 的 なものを 持 ちたい (p<0.017)に 対 する 回 答 の 分 布 に 有 意 差 が 認 めら れ すべての 項 目 で 流 行 追 従 型 が 高 かった 逆 に 友 人 といるよりは 一 人 でいること が 多 い に 対 する 回 答 の 分 布 は 流 行 無 関 心 型 の 方 が 有 意 に 高 かった(p<0.017) さ らに TPO 重 視 型 と 流 行 追 従 型 の 間 で 大 学 や 社 会 はできれば 一 流 のところに 入 りたい に 対 する 回 答 の 分 布 に 有 意 差 が 認 められ TPO 重 視 型 が 高 かった(p<0.017) 本 研 究 において 被 服 行 動 の 特 徴 によりグループ 化 されたクラスター 間 で ライフスタ イルが 異 なることが 明 らかになった このことは 被 服 行 動 からライフスタイルの 推 測 が できる 可 能 性 を 示 唆 し さらには 個 人 が 望 むライフスタイルに 調 和 するファッションを 提 案 するための 重 要 な 情 報 となりうると 考 えられる - 84 -
引 用 文 献 1) 小 林 茂 雄. 欲 求 と 被 服 の 着 装 動 機. 新 版 被 服 心 理 学. 中 川 早 苗 編. 日 本 繊 維 機 械 学 会,2004,46-48 2) 小 林 茂 雄. 被 服 の 選 択 動 機 と 欲 求. 被 服 心 理 学. 日 本 繊 維 機 械 学 会 被 服 心 理 学 研 究 分 科 会 編. 日 本 繊 維 機 械 学 会,1988,19-28 3) 中 川 早 苗. 態 度 と 被 服 行 動. 被 服 心 理 学. 日 本 繊 維 機 械 学 会 被 服 心 理 学 研 究 分 科 会 編. 日 本 繊 維 機 械 学 会,1988,52-71 4) 佐 々 木 土 師 二. 購 買 態 度 の 情 緒 性 と 合 理 性 に 関 する 新 尺 度 --erc scale の 提 案 と 構 造 分 析. 関 西 大 学 社 会 学 部 紀 要.1984,15(2), 31 5) 中 川 早 苗. ライフスタイル 分 析 の 実 際. 被 服 心 理 学 研 究 分 科 会 研 究 発 表 会 と 一 般 公 開 講 演 会 ライフスタイルと 被 服 行 動 -. 日 本 繊 維 機 械 学 会 被 服 心 理 学 研 究 分 科 会, 1987,39-58 6) 天 野 好 野, 白 井 佐 代 子, 中 川 早 苗. 勤 労 者 のライフスタイルと 被 服 行 動 に 関 する 調 査 研 究 ( 第 1 報 ) : 勤 労 者 のライフスタイルと 着 装 態 度 との 関 連 について : 愛 知 県 内 の 若 者 における 調 査 から. 家 政 学 研 究.1991,37(2), 86 7) Lazer, W. Life Style Concepts and Marketing. Toward Scientific Marketing. S. A. Greyser ed. AMA, 1963, 140-141 8) 田 北 智 端 子. 本 学 学 生 の 被 服 行 動 について. 福 岡 女 子 短 期 大 学 紀 要.2008,72, 1-8 9) 孫 珠 煕. 韓 国 ソウル 市 内 高 校 生 のライフスタイルの 特 徴. 日 本 家 政 学 会 誌.2008,59(2), 99-109 10) 永 野 光 明. 被 服 行 動 尺 度 の 作 成. 繊 維 製 品 消 費 科 学.1994,35, 468-473 - 85 -