東 日 本 大 震 災 の 復 興 に 向 けて 福 島 県 飯 舘 村 での 地 域 再 生 の 試 み 2012 年 6 月 29 日 ふくしま 再 生 の 会 田 尾 陽 一 2012/5/31 ふくしま 再 生 の 会 1
自 然 と 生 活 の 再 生 に 集 う ふくしま 再 生 の 会 活 動 報 告 ふくしま 再 生 の 会 は 2011 年 3 月 11 日 の 東 京 電 力 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 の 事 故 に 危 機 感 を 抱 いた 発 起 人 の 呼 びかけに 応 じて 集 まり いま 何 ができるかという 議 論 と 福 島 県 内 の 調 査 を 経 て 結 成 された 会 員 制 のボランティア 団 体 です 地 域 住 民 関 係 者 が 正 確 な 放 射 線 放 射 能 の 実 態 を 把 握 すること 自 然 生 活 産 業 の 再 生 を 試 みる 実 証 の 場 が 必 要 であることを 痛 感 し 飯 舘 村 を 中 心 に 精 密 な 放 射 線 放 射 能 計 測 と 自 然 と 生 活 を 再 生 するいろいろな 試 みを 始 めて 今 日 に 至 りま した 現 在 研 究 者 OB 現 役 研 究 者 医 師 一 般 の 方 々あわせて150 名 が 会 員 と なっています(2012 年 2 月 現 在 ) おもな 現 役 研 究 者 には 高 エネルギー 加 速 器 研 究 機 構 東 京 大 学 農 工 復 興 会 議 東 京 農 工 大 学 研 究 者 などがいます ふくしま 再 生 の 会 ホームページ:http://www.fukushima-saisei.jp/ 2012/2/20 ふくしま 再 生 の 会 2
飯 舘 村 飯 舘 村 は 福 島 第 一 原 発 から 30km~50kmの 距 離 計 画 的 避 難 区 域 に 指 定 されている 村 民 は 全 員 避 難 村 内 での 活 動 は 制 限 されている ( 農 業 はできない)
飯 舘 村
現 在 地 飯 舘 村 の 汚 染 状 況 南 部 が 強 く 汚 染 され ている 南 部 では10μSv/hを 超 える 地 区 がある
飯 舘 村 の 面 積 230 平 方 km その75%が 山 林
災 害 前 の 飯 舘 村 農 業 牧 畜 豊 かな 自 然 ( 日 本 で 最 も 美 しい 村 連 合 サイト http://www.utsukushii-mura.jp/ から)
災害前の飯舘村 日本で最も美しい村連合 サイト http://www.utsukushii-mura.jp/ から
災 害 後 の 飯 舘 村 ビニールハウスの 残 骸 作 付 されず 荒 れた 田 前 田 せいめい(JBpress)
災 害 後 の 飯 舘 村 無 人 の 小 学 校 ( 飯 樋 小 学 校 ) ( 臼 石 小 学 校 ) 前 田 せいめい(JBpress)
車 載 モニターによる 計 測 車 載 型 モニター 全 村 マップ 草 野 役 場 周 辺 任 意 の 地 域 について 任 意 の 大 きさで 表 示 できる ただし 現 在 までに 測 定 したのは 許 可 なく 自 動 車 で 立 ち 入 れる 主 要 道 路 周 辺 に 限 られる 12
村 民 との 協 力 体 制 の 確 立 GPS 測 位 機 能 付 き 放 射 線 モニター ( 独 自 に 開 発 昨 年 夏 から 飯 舘 村 で 毎 週 テストを 重 ね 改 良 を 続 け てきた 現 在 8 台 が 稼 働 ) マイクロSDカードにデータを 蓄 積 データを 専 用 サーバーに 集 約 地 図 化 ふくしま 再 生 の 会 は 線 量 と 計 測 場 所 の 位 置 情 報 ( 緯 度 経 度 )を 自 動 的 に 記 録 する 携 帯 型 の 放 射 線 モニターを 独 自 に 開 発 し これを 複 数 台 用 意 した 村 民 の 方 に この 放 射 線 モニターを 使 って 村 内 の 線 量 計 測 をしていただき 詳 細 で 継 続 的 な 線 量 マップを 作 成 して いく 体 制 を 整 備 中 現 在 すでに8 台 のモニターが 稼 働 中 で 村 内 各 地 のデータが 集 まり 始 めている 13
様 々な 農 地 除 染 方 法 の 実 証 牧 草 地 の 表 土 剥 ぎ 取 り 実 験 水 田 の 表 土 剥 ぎ 取 り 実 験 水 田 の 水 による 遮 蔽 効 果 実 験 霜 柱 による 除 染 実 験 ( 土 中 センサー) 様 々な 除 染 のアイデアを 出 し 実 際 に 実 験 を 行 って その 効 果 を 測 定 している 14
凍 土 剥 ぎ 取 りによる 農 地 除 染 凍 土 の 厚 さ 右 の 試 験 管 は 地 中 に 埋 めてあったものを 抜 いた もので 透 明 な 部 分 が 氷 厚 さ5cm 程 度 の 氷 がで きている このことから 地 表 5cm 程 度 の 厚 さの 土 壌 が 凍 結 していることがわかる( 左 ) 凍 土 の 剥 ぎ 取 り スコップを 使 って 手 作 業 で 剥 ぎ 取 った 凍 土 左 のような 大 きさのブロックが 壊 れずに 剥 ぎ 取 れ るので 作 業 効 率 が 高 い 右 は 同 じブロックの 厚 さを 示 している 除 染 効 果 ( 線 量 ) 除 染 効 果 ( 土 壌 分 析 : 暫 定 結 果 ) 線 量 (μsv/h) 凍 土 の 表 面 1.15 凍 土 剥 ぎ 取 り 後 の 地 表 0.35( 手 作 業 ) 0.14( 重 機 ) 放 射 能 (Bq/kg) 凍 土 23,760 凍 土 剥 ぎ 取 り 後 の 土 壌 2,670 ふくしま 再 生 の 会 に 参 加 している 東 京 大 学 農 学 部 の 溝 口 勝 教 授 の 考 案 による 凍 土 剥 ぎ 取 りによる 除 染 の 実 証 を 行 い 効 果 が 高 いことが 確 認 できた(およそ90%を 除 去 可 能 ) 15
除 染 効 果 の 実 証 山 林 ( 針 葉 樹 )の 除 染 実 験 針 葉 樹 林 では 落 葉 のみでなく 樹 上 の 葉 と 樹 皮 に 多 くのセシウムが 付 着 していると 考 えられる 地 上 100cmの 空 間 線 量 では 除 染 前 後 の 比 較 で 20% 程 度 の 線 量 低 下 にとどまった これは 樹 上 の 葉 や 樹 皮 からの 放 射 線 の 影 響 が 大 きく 線 量 が 低 下 しないためと 考 えられる 針 葉 樹 の 幹 の 切 断 面 を 高 感 度 の 放 射 線 フィルムに 感 光 させたところ セシウムの 多 くが 樹 皮 近 くの 表 層 にとどまっていることが わかった( 中 にもあるように 見 えるのは 切 断 したときに 付 着 した 樹 皮 のくずと 考 えられる) また 葉 が 汚 染 されていることも 確 認 できた セシウムが 樹 皮 近 傍 にとどまっているので 樹 皮 を 適 切 に 処 理 すれば 木 材 として 活 用 できる 可 能 性 がある 16
山 林 からの 除 染 廃 棄 物 の 搬 出 実 証 山 林 における 除 染 作 業 の 課 題 の 一 つは 落 ち 葉 などの 除 染 廃 棄 物 を 効 率 的 に 運 搬 ( 排 出 )する 方 法 である 九 州 鹿 児 島 県 などで 竹 材 を 連 続 搬 出 するシステムに 実 績 のある 株 式 会 社 JTトライアングルのシステムを 村 内 の 実 験 林 においてテストし 飯 舘 村 役 場 の 方 たちに 見 せ 大 きな 評 価 を 受 けている 17
住 居 周 辺 の 線 量 変 化 2011 年 7 月 に 計 測 と 除 染 をした 住 居 について 同 年 12 月 に 計 測 した 除 染 によっていったんは 線 量 が 下 がった 場 所 ( 溝 や 水 がたまりやすい 場 所 )も 12 月 の 計 測 では 再 び 高 線 量 に 戻 っている 全 体 として 水 が 流 れやすい 場 所 の 線 量 は 漸 減 し 水 がたまりやすい 場 所 の 線 量 は 増 加 す るという 傾 向 がみられる 継 続 的 な 計 測 と 除 染 が 必 要 と 言 える 2011 年 7 月 2011 年 12 月 18
6. 今 後 の 継 続 的 観 測 計 画 山 の 監 視 東 北 大 学 惑 星 観 測 所 明 神 岳 などの 山 に 気 象 放 射 線 測 定 ポストを 設 置 している ダムの 状 況 監 視 山 林 から 流 出 した 放 射 性 物 質 は 水 の 流 れにのって 池 やダムなどに 蓄 積 していく 可 能 性 が 高 い 今 後 真 野 ダムなどに 耐 水 性 放 射 線 測 定 器 を 設 置 土 砂 流 中 のセシウム 等 の 下 流 への 移 動 状 況 を 調 査 し 地 域 全 体 の 放 射 線 の 低 減 を 把 握 し 効 果 的 な 対 策 を 得 て 地 域 再 生 に 役 立 てたい 海 の 観 測 山 から 海 に 至 る 地 域 の 放 射 線 変 化 状 況 を 継 続 的 に 計 測 公 開 し 真 の 自 然 再 生 を 目 指 す 東 北 大 学 惑 星 観 測 所 真 野 ダム 松 川 浦 漁 港
被 災 地 における 健 康 医 療 面 の 支 援 今 後 医 師 介 護 士 ソーシャルワーカーなどを 中 心 とした 医 療 支 援 チームが 避 難 住 民 の 支 援 を 行 うことを 計 画 している その 中 には 訪 問 診 療 ステーションの 開 設 訪 問 診 療 を 支 援 する 地 域 あんしんシステム の 運 用 ホームヘルパーやガ イドヘルパーによる 介 護 支 援 などを 含 む 2011 年 11 月 には 仮 設 住 宅 に おける 避 難 村 民 の 方 々のやす らぎの 一 助 とするために 松 川 仮 設 住 宅 において ミニチェロコン サート を 行 った
資 料 編 目 次 1. 放 射 能 汚 染 の 実 態 把 握 2. 田 畑 の 除 染 3. 山 林 の 除 染 の 試 み 4. 水 系 の 除 染 5. 住 まいの 除 染 6. 今 後 の 継 続 的 観 測 計 画 7. 光 回 線 インターネット 環 境 の 整 備 によるネットワークづくり 8. 被 災 地 域 の 医 療 看 護 介 護 生 活 支 援 サービスを 支 える 連 携 システム 9. 実 証 実 験 から 実 践 へ 10. 生 活 と 産 業 の 再 生 に 向 けて 試 案 11.ふくしま 再 生 国 際 研 究 所 構 想 12. ふくしま 再 生 の 会 について 2012/2/20 ふくしま 再 生 の 会 7
実 証 実 験 から 実 践 へ 1 地 元 地 域 との 情 報 共 有 実 証 実 験 で 得 られた 知 見 情 報 を 地 域 住 民 と 共 有 する 2 実 効 性 の 検 討 地 域 住 民 とともに いろいろな 試 みを 実 践 し 実 効 性 を 確 認 してから 実 践 する 3 全 ての 実 践 を 地 域 産 業 の 再 生 に 結 びつける 除 染 事 業 の 担 い 手 は 地 域 住 民 主 体 で 行 うべきであり その 生 活 を 再 生 する 産 業 に 結 びつける 計 画 でなければならない 4ボランティアの 参 加 と 募 集 実 証 実 験 を 経 て 地 域 住 民 が 事 業 実 施 という 段 階 になったら 広 く ボランティア 活 動 を 呼 びかけていく 2012/2/20 ふくしま 再 生 の 会 8
ふくしま 再 生 国 際 研 究 所 構 想 原 発 事 故 被 災 地 の 生 活 産 業 の 再 生 を 実 践 研 究 する 国 際 的 総 合 研 究 所 国 際 的 な 人 材 とファンドで 自 立 的 に 運 営 する 研 究 所 を 構 想 している 放 射 線 モニタリング 統 合 センター 開 発 研 究 : 国 県 民 間 個 人 などが 計 測 している 放 射 線 測 定 データを 集 約 して 総 合 的 な 校 正 分 析 を 加 え 地 域 社 会 に 広 く 公 開 し 生 活 や 産 業 活 動 の 再 生 に 役 立 てる 活 動 総 合 分 析 センター 開 発 研 究 : 土 壌 水 大 気 森 林 農 作 物 動 物 植 物 などの 放 射 能 量 の 測 定 と 総 合 分 析 を 行 う 活 動 木 材 バイオエタノール 試 験 プラント: 飯 舘 村 の75%を 占 める 山 林 を 再 生 するために 計 画 的 に 森 林 伐 採 を 進 めたり 間 伐 材 を 搬 出 する 初 期 段 階 では この 樹 木 を 製 材 加 工 する 試 験 製 材 工 場 その 過 程 で 発 生 する 樹 皮 枝 葉 などの 放 射 能 を 除 去 し バイオエタノールを 製 造 する 試 験 プ ラントを 飯 舘 村 村 内 に 設 置 する 水 耕 栽 培 新 農 業 試 験 場 : 飯 舘 村 の 適 地 に 試 験 的 水 耕 栽 培 場 ある 程 度 放 射 能 が 残 っていても 栽 培 しエタノールなどが 得 られる 試 験 農 場 などを 設 置 する 試 験 畜 産 施 設 : 試 験 的 な 畜 産 施 設 を 稼 働 させ 放 射 能 の 影 響 を 調 査 研 究 する 小 規 模 発 電 施 設 : 上 記 木 材 加 工 バイオエタノール 試 験 プラントや 新 農 業 試 験 場 で 得 られたエタノールを 使 用 し 発 電 施 設 を 試 験 的 に 動 かす 健 康 医 療 センター: 住 民 への 放 射 線 影 響 を 監 視 し 健 康 を 守 る 研 究 活 動 除 染 研 究 センター: 除 染 に 関 する 総 合 技 術 を 集 中 的 に 研 究 する 国 際 センター 9
ふくしま 再 生 の 会 について ふくしま 再 生 の 会 は 東 京 電 力 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 の 事 故 に 危 機 感 を 抱 いた 発 起 人 の 呼 びかけに 応 じて 集 ま り いま 何 ができるかという 議 論 と 福 島 県 内 の 調 査 を 経 て 結 成 されたボランティア 団 体 です 研 究 者 OB 現 役 研 究 者 医 師 一 般 の 方 々あわせて100 数 十 名 が 会 員 となっています(2012 年 1 月 現 在 ) ほぼ 毎 週 土 日 に 飯 舘 村 で 再 生 へ 活 動 を 行 っております 発 起 人 田 尾 陽 一 1941 年 生 まれ 東 大 理 学 部 物 理 卒 Global Voices from Japan 実 行 委 員 長 地 域 あんしんシステムデザインプロジェクトリーダー 元 セコム CIO,CSO 三 吉 譲 1942 年 生 まれ 東 大 医 学 部 卒 精 神 科 医 三 吉 クリニック 院 長 大 永 貴 規 1942 年 生 まれ 東 大 工 学 部 卒 遊 域 計 画 代 表 地 域 プランナー NPO 都 市 農 村 交 流 推 進 センター 副 理 事 長 おもな 現 役 研 究 者 には 高 エネルギー 加 速 器 研 究 機 構 研 究 者 有 志 東 京 大 学 農 工 復 興 会 議 東 京 農 工 大 学 研 究 者 有 志 などがいます ふくしま 再 生 の 会 ホームページ:http://www.fukushima-saisei.jp/ 2