1013 Trends of Hot Working Tool Steels in Recent Years Toshio OKUNO and Yasushi TAMURA Key words : hot work die steels ; forging dies ; die casting dies ; extrusion dies ; properties ; high-temperature strength ; toughness ; microstructures ; heatcheckings ; heat treatment. (Received on Jan. 6, 1993 ; Accepted on Apr. 9, 1993) (Metallurgical Research Laboratory, Yasugi Works, Hitachi Metals Ltd.) (Metallurgical Research Laboratory, Yasugi Works, Hitachi Metals Ltd., 2107-2 Yasugi-cho Yasugi 692 )
1014 鉄 と 鋼 VoL79 2. (1993) No. 9 熱 間工具 鋼の 基本 特性 熱 間 加 工 用 工 具 に は,熱 間 プ レ ス金 型,ダ イ カ ス ト金 型, 熱 間 押 出用 工 具 な どが あ り,使 用 条 件 に よ っ て,金 型 に負 荷 され る温 度 や 応 力 が 異 な り,廃 却 現 象 も様 々 で あ り, 用 途 に応 じた特 性 を備 え た 金 型 用 鋼 の 選 定 が 重 要 とな る 図 1に 示 した 損耗 現 象 につ い て,摩 耗 や 変 形 に対 して は高 温 強 度 と昇 温 時 の 軟 化 抵 抗 や 炭 化 物 の 分 布 形 態 な どが,割 に対 して は,じ ん性 が,熱 ん性 の 両 者 が 必 要 特 性 で あ るが,こ て,硬 れ 疲 労 に対 して は,高 温 強 度 と じ さや 組 成 の影 響 や,金 れ らの 基 本特 性 につ い 型 の 寸 法 形 状 を考 慮 した熱 処 理 条 件 の 影 響 を 明 らか に す る必 要 が あ る また金 型 の破 壊 現 象 を精 度 良 く解 析 す るた め に,疲 労 き裂 進 展 特 性 や破 壊 じん性 値KIcな ど破 壊 力 学 的パ ラメー タの挙 動 も重 要 で あ る 2 1 高 温 強 度2)3) 図2に 図2 熱 間工 具 鋼 の 高 温 引 張 強 さ4) 熱 間 工 具 鋼 の 高 温 強 度 を示 す4) 常 温 か ら550 600 付 近 まで の 温度 域 の強 度 は鋼 種 に よ る よ り も初 期 硬 さ に 温 強 度 が 高 い SKD8はMCの よっ て大 き く左 右 さ れ る 熱 間 工 具 鋼 の 炭 化 物 の大 部 分 は で,分 布 密 度 が 高 い う え,昇 温 時 に凝 集 しに く く,も っ と 焼 入 れ に よ っ て基 地 中 に固 溶 し,焼 も ど しの 際,500 え る温 度 でW, Mo, を超 み に よ り析 出硬 化 させ る もの も高 温 強 度 が す ぐれ て い る ま たSKT4は Vを 含 む特 殊 炭 化 物 を 形 成 し,二 次 硬 と くに高 い じん 性 を与 え るた め に微 細 炭 化 物 の析 出 は 行 わせ ず,M3Cよ りも 化 を もた ら し,高 温 強 度 を与 え る W,MoはCと の 間 に微 凝 集 の 進 み に くいM23C6を 形 成 させ,500 550 以上 で の 炭 細 な 針 状 のM2Cを 形 成 して 化 物 の凝 集 を お さ えて 強 度 を 高 め た もの で,高 温強度 は熱 形 成 し,Vは 同 様 に雲 状 のMCを 基 地 中 に 密 に析 出 す る 高 温 強 度 は これ らの炭 化 物 の 種 類 間工 具 鋼 の 中で は低 い 上 記 の よ うに使 用 温 度 域 に適 した や 大 き さ,分 布 状 態 な らび に凝 集 の 速 度 で 決 ま る SKD61, 初 期 硬 さ と鋼 種 の 選 定 を 行 う こ とが 適 切 で あ る ま た軟 化 SKD7お 抵 抗 は これ らの炭 化 物 の凝 集 抵 抗 と対 応 し,高 温 強 度 の大 よびSKD8の 基 地 に析 出 して い る微 細 な炭 化 物 を レ プ リカ に抽 出 し,電 子 顕 微 鏡 で 観 察 した 結 果 を図3に SKD61はM2C,MCの 図 3 SKD61, き い鋼 種 は軟 化 抵 抗 も大 き い 析 出量 を 中位 に抑 え,高 温 強 度 と じん 性 を 兼 備 さ せ て い る SKD7はCr量 微 細 炭 化 物M2C,MCの 示 す を下 げ,Mo量 2 2 を上 げ て 熱 間 工 具 鋼 は焼 もど し時,特 析 出 量 と分 布 密 度 を 高 め る もの で 高 SKD7, SKD8 オ ー ス テ ナ イ ト化 温 度:SKD61, の焼 じん性5) 硬 化 を生 じ,高 温強 度 が 付 与 さ れ るが,同 時 に じん性 が 低 も ど し 時 の 炭 化 物 の 析 出 分 布 の 状 況(抽 SKD7; 1020, SKD8; 殊 炭 化 物 の析 出 に よ る二 次 1140,焼 2 入冷 却:油 冷,焼 出 レ プ リ カ 法 に よ る 電 子 顕 微 鏡 像)5) も ど し硬 さ: 44HRC
最近 の熱間工具鋼 下す る 二 次硬 化 を与 え る焼 も ど し温 度 を超 え,硬 が生 成 す る この 組 織 変 化 に伴 っ て,衝 撃 試 験 片 の破 面粒 さが 低 下 し始 め る と じん 性 が 回復 す る6)ため,通 常二 次硬 化 を超 え 度11)があ ら くな り,じ ん 性 が低 下 す る SKD61に 比 べ, Cr た温 度で焼 も ど しさ れ る この 二 次 硬 化 に伴 う焼 も ど し脆 量 の低 いSKD7は 性 はSiを低 減 す るこ とに よ り改 善 さ れ るこ とが報 告 されて お 下 に伴 い,焼 り7),こ の効 果 を利 用 した 熱 間 工 具 鋼 も実 用 さ れ て い る ー ス テ ナ イ ト粒 界 の析 出 挙 動 が 変 化 し,じ ん 性 に 影 響 す る12) この 傾 向 が 大 きい また焼 入 冷 却 速 度 の低 も ど し時 の微 細 析 出 炭 化 物 の分 布 密 度 や 旧 オ 熱 間 金 型 は 寸法 が 大 き く,ま た形 状 が 複 雑 な もの が 多 く, また じん性 は焼 入冷 却 速 度 の 影 響 を受 け る4)8) 図4に 焼 入冷 却速 度 が 遅 くな る につ れ て焼 もど し後 の じん 性 が 減 少 焼 入 処 理 を 行 う場 合 に は割 れ や 変 形 を生 じな い よ う に配 慮 す る挙動 を示 す こ こ に は破 壊 じん 性 値KKCの 挙 動 を示 して しつ つ 十 分 な性 能 を 得 る た め の 適 切 な冷 却 条 件 を選 ば ね ば い るが,衝 撃 値 に つ い て も同 様 の傾 向 が 認 め られ る 図 5 な らな い 大 寸 法 の 金 型 で も変形 の 少 な い衝 風 焼 入 れ で 良 にSKD61,SKD7に 好 な 焼 入 組 織 の 得 ら れ る熱 間 工 具 鋼 も開 発 さ れ て い る13) つ い て焼 入 冷 却 速 度 を油 冷 お よび半 冷 時 また,焼 入 冷 却 過程 で,パ 間9)(焼入 冷 却 速 度 の指 標 で あ り,連 続 冷 却 で 焼 入 加 熱 温 度 ー ラ イ ト変 態 の 起 こ る温 度 域 と室温 の 中 間温 度 まで 降 温 す るの に要 す る時 間 を指 す) を よ り高 温 で オ ー ス テ ナ イ ト粒 界 に 炭 化 物 が 析 出 す る が'4)15), か えて冷 却 した 場 合 の 焼 入 組 織 の 光 学 顕 微 鏡 組織 を示 す と くに マ ト リ ッ ク ス 高 速 度 工 具 鋼(以 油冷の場 合 は幅0.2μm程 度 のマ ル テ ンサ イ トの ラスの 束10)が イ ス と表 記)の 形成 され て い るが,焼 指 摘 さ れ て い る16)17) 入冷 却 速 度 の減 少 に伴 っ て マ ル テ ン 2 3 サ イ トの 場 合 よ り も ラ スの 幅 が 広 くて 長 い上 部 ベ イ ナ イ ト 下 高 速 度 工 具 鋼 をハ よ う な高 強 度 鋼 につ いて じん性 へ の影 響 が 耐 熱 疲 労 性18) 27) 成 形 サ イ ク ル 短 縮 に よ る 生 産 性 向 上 の た め,熱 間プ レス 型 や ダ イ カ ス ト型 で は,型 面 の 強 制 冷 却 が 一 般 的 に な っ た こ れ に よ り,金 型 表 面 に は,熱 り返 し作 用 し,熱 サ イ クル に よ る熱 応 力 が 繰 疲 労 に よ り,型 面 に は ヒ ー トチ ェ ッ ク が 発 生 す る ヒ ー トチ ェ ッ ク の 評 価 方 法 に つ い て は 種 々 の も の が 提 案 さ れ て お り,鋼 種 や 硬 さ の 影 響 に つ い て 調べ て い る ま た 最 近 で は,表 面 処 理 に よ る耐 熱 疲 労 性 の 向 上 効 果 が 報 告 さ れ て い る22) 26) 図6に 各種熱 間工具鋼 の耐熱 疲 労 性 を 示 す18) ハ ン マ ー 型 に 使 用 さ れ るSKT4に 温 強 度 の 高 いSKD61, SKD4, られ SKD5, 3Cr-3Mo 対 し, 高 鋼 は,そ れ ぞ れ ヒー トチ ェ ッ ク 深 さ が 改 善 さ れ る 耐 熱 疲 労 性 の 向 上 に は 高 温 強 度 と じ ん 性 が 高 い こ とが 必 要 で あ る が,熱 図4 焼 入 冷 却 速 度 と平 面 歪 み破 壊 じん性 値KIC5) 図5 SKD61, SKD7 の 焼 入 冷 却 速 度 と焼 入 組 織4) 3 伝導 1015
1 ) A. Thorns : Iron and Steel, 39 (1966), p.116 9 ) M. A. Grossman, M. Asimov and S. F.Urban : Hardenability of Alloy Steels, (1938), p.124 [ASM] Ductility and Toughness, Kyoto, (1971), p.83 [Climax Molybdenum Co. Ltd.] 14) I. Schruff : Thyssen Edelst. Techn. Ber, (1990), p.32 15) D. L. Cocks : Heat Treatment of Metals, (1988)2, p.39 30) N. Y. Tang and A. Plumtree : Fatigue Fract. Eng. Mater. Struct, 14 (1991), p.931 39) B. Ule, F. Vodopivec, M. Pristavec and F. Gresovnik Material Science and Technology, 6 (1990), p.1181 48) J. G. Conybear : Mater. Australas, 23 (1991), p.16 49) K. Bengtsson, L. A. Norstrom and 0. Sandberg : Proc. 6th IFHTM, (1988), p.189
87) W. A. Kortmann : Extrusion tooling for N-F metals, Tube Int. 8, (1989)5, p.247 88) H. Berns : Strength and Toughness of Hot Working Tool Steels. Tool Mater. Molds Dies, (1987), p.45 94) Q. F. Peng, Z. Shi, I. M. Hancock and A. Bloyce : Key Eng. Mater, 46/47 (1990), p.229