諮 問 庁 : 防 衛 大 臣 諮 問 日 : 平 成 19 年 4 月 18 日 ( 平 成 19 年 ( 行 情 ) 諮 問 第 182 号 ) 答 申 日 : 平 成 19 年 6 月 1 日 ( 平 成 19 年 度 ( 行 情 ) 答 申 第 81 号 ) 事 件 名 : 海 上 における 警 備 行 動 ( 領 水 内 潜 没 航 行 潜 水 艦 ) 等 の 経 過 概 要 及 び 所 見 等 の 一 部 開 示 決 定 に 関 する 件 答 申 書 第 1 審 査 会 の 結 論 1 海 上 における 警 備 行 動 ( 領 水 内 潜 没 航 行 潜 水 艦 ) 等 の 経 過 概 要 及 び 所 見 について( 自 衛 隊 ( 作 ) 第 1658 号 16.12.27)( 以 下 文 書 1 という ),2 海 上 における 警 備 行 動 に 関 する 海 上 自 衛 隊 行 動 命 令 ( 海 甲 行 警 命 第 117 号 16.11.10)( 以 下 文 書 2 という ) 及 び 3 海 上 における 警 備 行 動 の 終 結 に 関 する 海 上 自 衛 隊 行 動 命 令 ( 海 甲 行 警 命 第 118 号 16.11.12)( 以 下 文 書 3 という )( 以 下, 文 書 1 ないし 文 書 3を 併 せて 本 件 対 象 文 書 という )につき,その 一 部 を 不 開 示 とした 決 定 は, 妥 当 である 第 2 異 議 申 立 人 の 主 張 の 要 旨 1 異 議 申 立 ての 趣 旨 本 件 異 議 申 立 ての 趣 旨 は, 行 政 機 関 の 保 有 する 情 報 の 公 開 に 関 する 法 律 ( 以 下 法 という )3 条 の 規 定 に 基 づく 開 示 請 求 に 対 し, 平 成 19 年 2 月 9 日 付 け 防 官 文 第 1430 号 により 防 衛 大 臣 ( 以 下 処 分 庁 又 は 諮 問 庁 という )が 行 った 本 件 対 象 文 書 の 一 部 開 示 決 定 ( 以 下 原 処 分 と いう )について,これを 取 り 消 し,その 開 示 を 求 める 2 異 議 申 立 ての 理 由 (1) 異 議 申 立 書 ア 本 件 開 示 決 定 通 知 書 は, 当 該 文 書 のどの 部 分 を 不 開 示 としたか 具 体 的 に 特 定 しておらず, 行 政 処 分 として 違 法 の 疑 いが 持 たれる イ 記 録 された 内 容 を 精 査 し, 支 障 が 生 じない 部 分 については 開 示 すべ きである (2) 意 見 書 改 めて 不 開 示 部 分 の 特 定 が 求 められる 平 成 18 年 ( 行 情 ) 諮 問 第 405 号 での 補 充 理 由 説 明 書 で 諮 問 庁 が 認 めるように, 開 示 対 象 文 書 については 技 術 的 なミスによって 誤 った 部 分 に 皮 膜 が 施 され る 可 能 性 があるため, 不 服 申 立 人 がそうしたミスを 確 認 できるように 不 開 示 部 分 の 特 定 ( 何 ページの 何 行 目 という 形 )がな されるべきである -1-
第 3 諮 問 庁 の 説 明 の 要 旨 1 経 緯 本 件 開 示 請 求 は, 平 成 16 年 11 月 に 発 生 した 中 国 原 子 力 潜 水 艦 による 領 海 侵 犯 事 案 に 関 して, 防 衛 庁 本 庁 と 現 地 部 隊 との 間 で 交 わされた 指 示 及 びそれに 対 する 回 答 並 びに 報 告 等 に 関 する 文 書 (それらを 記 録 した 文 書 を 含 む )* 開 示 対 象 文 書 は2005.1.12- 送 請 343と 同 じ の 開 示 を 求 めるものであり,これに 対 し, 文 書 1, 文 書 2 及 び 文 書 3の 計 3 件 の 行 政 文 書 を 特 定 したところ, 文 書 1 及 び 文 書 2のうち, 自 衛 隊 の 運 用, 行 動 等 に 係 る 部 分 については, 法 5 条 3 号 及 び5 号 に 規 定 する 不 開 示 情 報 に 該 当 することから 当 該 部 分 を 不 開 示 とし, 文 書 3の 全 部 を 開 示 とする 一 部 開 示 決 定 を 行 った なお, 本 件 対 象 文 書 についての 一 部 開 示 決 定 に 対 する 異 議 申 立 ては2 度 目 であり,1 度 目 の 一 部 開 示 決 定 に 対 する 異 議 申 立 てを 受 け, 審 査 会 に 諮 問 したところ, 不 開 示 とした 部 分 の 一 部 については 開 示 すべき 旨 の 答 申 を 得 た( 前 回 諮 問 番 号 : 平 成 17 年 ( 行 情 ) 諮 問 第 573 号, 前 回 答 申 番 号 : 平 成 17 年 度 ( 行 情 ) 答 申 第 558 号 以 下, 前 回 答 申 を 先 例 答 申 と いう ) 原 処 分 においては, 当 該 答 申 を 踏 まえ, 新 たに 開 示 すべきとされ た 部 分 を 開 示 しており, 残 りの 不 開 示 とした 部 分 の 法 5 条 3 号 及 び5 号 該 当 性 に 関 する 説 明 は, 原 処 分 においても 全 く 同 様 であり, 前 回 の 一 部 開 示 決 定 と 異 なる 判 断 をすべき 事 情 の 変 化 はないことから, 原 処 分 の 維 持 は 妥 当 と 考 える 2 法 5 条 3 号 及 び5 号 該 当 性 について 文 書 1 及 び 文 書 2 中, 不 開 示 とした 自 衛 隊 の 運 用, 行 動 等 に 係 る 部 分 に は, 対 潜 能 力, 警 戒 監 視 活 動 時 の 部 隊 の 行 動, 情 報 収 集 処 理 の 態 勢 等 に 関 する 記 述 が 含 まれていることから,これを 公 にすることにより, 対 潜 戦 時 の 自 衛 隊 の 運 用 要 領 が 明 らかとなり, 以 後 の 任 務 の 効 果 的 な 遂 行 に 支 障 を 生 じさせるおそれがあるため, 法 5 条 3 号 に 該 当 する また, 当 該 不 開 示 部 分 には, 本 海 警 行 動 における 所 見 教 訓 問 題 点 等 の 防 衛 省 自 衛 隊 の 内 部 における 検 討 事 項 が 記 述 されている 部 分 が 含 まれ ており,これを 公 にすることにより, 外 部 からの 圧 力 や 干 渉 等 の 影 響 を 受 けることなどにより, 率 直 な 意 見 の 交 換 若 しくは 意 思 決 定 の 中 立 性 が 不 当 に 損 なわれるおそれがあることから, 法 5 条 5 号 にも 該 当 する 3 異 議 申 立 人 の 主 張 について 異 議 申 立 人 は, 本 件 開 示 決 定 通 知 書 は, 当 該 文 書 のどの 部 分 を 不 開 示 としたか 具 体 的 に 特 定 しておらず, 行 政 処 分 として 違 法 の 疑 いが 持 たれる として, 不 開 示 処 分 の 対 象 部 分 の 特 定 を 求 めるとともに, 記 録 された 内 容 を 精 査 し, 支 障 が 生 じない 部 分 については 開 示 すべきである として, 一 -2-
部 に 対 する 不 開 示 決 定 の 取 消 しを 主 張 するが, 不 開 示 処 分 の 対 象 部 分 は, 本 件 に 係 る 行 政 文 書 開 示 決 定 通 知 書 と 本 件 開 示 実 施 文 書 により 特 定 されて おり,また, 上 記 2で 述 べたとおり, 不 開 示 部 分 の 妥 当 性 を 十 分 に 精 査 し, 法 5 条 3 号 及 び5 号 の 規 定 に 該 当 する 部 分 を 除 いた 部 分 について 開 示 して いるところであり, 異 議 申 立 人 の 主 張 は 当 たらない 第 4 調 査 審 議 の 経 過 当 審 査 会 は, 本 件 諮 問 事 件 について, 以 下 のとおり, 調 査 審 議 を 行 った 1 平 成 19 年 4 月 18 日 諮 問 の 受 理 2 同 日 諮 問 庁 から 理 由 説 明 書 を 収 受 3 同 月 26 日 異 議 申 立 人 から 意 見 書 を 収 受 4 同 年 5 月 30 日 本 件 対 象 文 書 の 見 分 及 び 審 議 第 5 審 査 会 の 判 断 の 理 由 1 本 件 対 象 文 書 について 本 件 対 象 文 書 は, 当 審 査 会 において 見 分 したところ, 先 例 答 申 における 対 象 文 書 と 同 一 であり, 不 開 示 部 分 は, 先 例 答 申 において 開 示 すべきとし た 部 分 について, 新 たに 開 示 しているほかは, 先 の 諮 問 と 同 一 である 2 不 開 示 情 報 該 当 性 について 本 件 諮 問 に 伴 い, 当 審 査 会 において 改 めて 審 議 したところ, 不 開 示 部 分 については, 先 例 答 申 における 不 開 示 情 報 該 当 性 の 判 断 を 変 更 すべき 事 情 の 変 化 も 認 められず,これと 同 一 の 判 断 に 至 った その 判 断 の 理 由 は 別 紙 のとおりであり,その 内 容 は 先 例 答 申 と 同 旨 である 3 異 議 申 立 人 の 主 張 について 異 議 申 立 人 は, 種 々 主 張 するが,いずれも 当 審 査 会 の 上 記 判 断 を 左 右 す るものではない 4 本 件 一 部 開 示 決 定 の 妥 当 性 について 以 上 のことから, 本 件 対 象 文 書 につき,その 一 部 を 法 5 条 3 号 及 び5 号 に 該 当 するとして 不 開 示 とした 決 定 については, 不 開 示 とした 部 分 は, 同 条 3 号 に 該 当 すると 認 められるので, 同 条 5 号 について 判 断 するまでもな く, 不 開 示 としたことは 妥 当 であると 判 断 した ( 第 2 部 会 ) 委 員 寳 金 敏 明, 委 員 秋 田 瑞 枝, 委 員 橋 本 博 之 -3 -
( 別 紙 ) 1 本 件 対 象 文 書 について 本 件 対 象 文 書 は, 平 成 16 年 11 月 に 発 生 したいわゆる 中 国 原 子 力 潜 水 艦 による 領 海 侵 犯 事 件 に 関 し, 海 上 自 衛 隊 に 対 して 発 せられた 自 衛 隊 法 8 2 条 の 規 定 による 海 上 警 備 行 動 の 実 施 命 令 又 は 終 結 命 令 に 関 連 する 文 書 であり, 文 書 1, 文 書 2 及 び 文 書 3の 計 3 件 の 行 政 文 書 を 特 定 し,そのう ち, 文 書 1 及 び 文 書 2のそれぞれ 一 部 について 不 開 示 としている 処 分 庁 は, 本 件 対 象 文 書 中, 自 衛 隊 の 運 用, 行 動 等 に 係 る 部 分 について, 法 5 条 3 号 及 び5 号 に 規 定 する 不 開 示 情 報 に 該 当 するとして, 当 該 部 分 を 不 開 示 とする 一 部 開 示 の 決 定 を 行 っており, 諮 問 庁 は, 原 処 分 は 妥 当 であ るとしていることから, 以 下 に, 当 該 不 開 示 部 分 の 不 開 示 情 報 該 当 性 につ いて 検 討 する 2 不 開 示 情 報 該 当 性 について (1) 法 5 条 3 号 該 当 性 について ア 文 書 1について 諮 問 庁 は, 当 該 文 書 の 別 紙 のうち, 1 趣 旨 の 特 定 地 域 名, 2 期 間 の 日 時 の 一 部, 3 実 施 部 隊 の 一 部, 4 経 過 概 要 の 一 部, 5 海 上 警 備 行 動 において 部 隊 が 執 った 措 置 の 概 要 の 一 部, 6 の 表 題 を 含 む 内 容 の 全 て, 7 の 表 題 を 含 む 内 容 のすべて, 8 顕 著 な 功 績 のあった 部 隊 及 び 功 績 の 概 要 の 一 部, 10 所 見 の 一 部 を 不 開 示 としている 当 審 査 会 において 当 該 文 書 を 見 分 したところ, 文 書 全 般 において, 先 島 諸 島 周 辺 海 域 で 潜 没 航 行 する 中 国 潜 水 艦 に 対 する 自 衛 隊 及 び 海 上 保 安 庁 の 対 応 内 容 等 について 具 体 的 に 記 載 されており, 特 に 諮 問 庁 が 不 開 示 とした 部 分 には,これが 詳 細 かつ 具 体 的 に 記 載 されているも のと 認 められる そのため,これを 公 にした 場 合, 対 潜 戦 時 の 自 衛 隊 の 運 用 要 領 が 明 らかとなり, 自 衛 隊 の 今 後 の 任 務 の 効 果 的 な 遂 行 に 支 障 を 生 じさせる おそれがあると 認 められる イ 文 書 2について 諮 問 庁 は, 当 該 文 書 の 記 載 事 項 のうち,1ページの(ⅰ) 下 から6 行 目 の1 文 字 目 から 下 から5 行 目 の 末 尾 まで,(ⅱ) 下 から3 行 目 の1 文 字 目 から 下 から2 行 目 の 末 尾 まで, 及 び(ⅲ) 下 から1 行 目 の14 文 字 目 から17 文 字 目 までを 不 開 示 としている 当 該 不 開 示 部 分 には, 当 該 文 書 によって 発 せられた 海 上 警 備 行 動 命 令 にかかわる 部 隊 の 採 るべき 内 容 について, 具 体 的 に 記 載 されたもの -4-
であると 認 められ,これを 公 にした 場 合, 対 潜 戦 時 の 自 衛 隊 の 運 用 要 領 が 明 らかとなり, 自 衛 隊 の 今 後 の 任 務 の 効 果 的 な 遂 行 に 支 障 を 生 じ させるおそれがあると 認 められる したがって,これらの 不 開 示 部 分 は, 公 にすることにより, 自 衛 隊 の 任 務 の 効 果 的 な 遂 行 に 支 障 を 生 じさせ,ひいては 国 の 安 全 が 害 されるお それがあると 行 政 機 関 の 長 が 認 めることにつき 相 当 の 理 由 がある 情 報 と 認 められ, 法 5 条 3 号 に 該 当 し, 不 開 示 とすることが 妥 当 である (2) 法 5 条 5 号 該 当 性 について 諮 問 庁 は, 不 開 示 とした 部 分 について, 法 5 条 5 号 に 規 定 する 不 開 示 情 報 にも 該 当 すると 説 明 するが, 上 記 (1)のとおり, 同 条 3 号 に 該 当 すると 認 められるので, 同 条 5 号 該 当 性 について 判 断 するまでもない -5 -