諮 問 庁 : 秋 田 県 知 事 諮 問 日 : 平 成 19 年 5 月 17 日 ( 諮 問 第 89 号 ) 答 申 日 : 平 成 19 年 11 月 16 日 ( 答 申 第 51 号 ) 事 件 名 : 国 民 健 康 保 険 審 査 会 に 係 る 文 書 の 部 分 公 開 決 定 処 分 に 対 する 異 議 申 立 てに 関 する 件 答 申 第 1 審 査 会 の 結 論 秋 田 県 知 事 ( 以 下 実 施 機 関 という )が 国 民 健 康 保 険 審 査 会 に 関 する 文 書 ( 以 下 本 件 対 象 文 書 という )について 非 公 開 とした 部 分 のうち 別 紙 記 載 28~30の 文 書 ( 以 下 本 件 旅 行 命 令 伺 等 という )に 記 載 さ れた 帰 着 地 を 非 公 開 とした 処 分 は 妥 当 であるが 別 紙 記 載 1~4 6~ 8 11 及 び13~19の 文 書 ( 以 下 本 件 審 査 請 求 書 等 という )に 記 載 された 処 分 庁 の 名 称 及 び 本 件 旅 行 命 令 伺 等 に 記 載 された 用 務 先 名 称 は 公 開 すべきである なお 異 議 申 立 人 は 本 件 対 象 文 書 のうち 処 分 庁 の 名 称 用 務 先 名 称 帰 着 地 以 外 の 部 分 を 非 公 開 とした 処 分 については 異 議 を 申 し 立 てていな いことから 当 審 査 会 では 判 断 しない 第 2 異 議 申 立 人 の 主 張 の 要 旨 本 件 異 議 申 立 ての 趣 旨 は 本 件 対 象 文 書 に 関 して 実 施 機 関 が 平 成 19 年 4 月 23 日 付 け 長 寿 -286により 行 った 部 分 公 開 決 定 について その 取 消 し を 求 めるというものである - 1 -
異 議 申 立 人 が 主 張 する 異 議 申 立 ての 理 由 は 異 議 申 立 書 の 記 載 によると おおむね 次 のとおりである 1 処 分 庁 の 名 称 の 非 公 開 について 本 件 審 査 請 求 書 等 について 処 分 庁 を 非 公 開 とする 処 分 は 秋 田 県 情 報 公 開 条 例 ( 以 下 条 例 という )6 条 1 項 1 号 ただし 書 ( 一 )に 規 定 す る 法 令 等 の 規 定 により 又 は 慣 行 として 公 にされ 又 は 公 にすることが 予 定 されているもの 及 び 同 号 ただし 書 ( 二 )に 規 定 する 公 務 員 等 の 職 務 の 遂 行 に 係 る 情 報 のうち 当 該 公 務 員 の 職 氏 名 並 びに 当 該 職 務 の 遂 行 の 内 容 に 係 る 情 報 と 思 われることから これを 同 号 本 文 にいう 個 人 情 報 とし て 非 公 開 にした 処 分 は 違 法 であるから 取 り 消 しを 求 める 2 用 務 先 名 称 帰 着 地 の 非 公 開 について 本 件 旅 行 命 令 伺 等 について 用 務 先 名 称 帰 着 地 を 非 公 開 とする 処 分 は 条 例 6 条 1 項 1 号 ただし 書 ( 二 )に 規 定 する 公 務 員 等 の 職 務 の 遂 行 に 係 る 情 報 のうち 当 該 公 務 員 の 職 氏 名 並 びに 当 該 職 務 の 遂 行 の 内 容 に 係 る 情 報 及 び 同 号 ただし 書 ( 三 )に 規 定 する 予 算 の 執 行 を 伴 う 情 報 で 公 開 しても 個 人 の 権 利 利 益 を 不 当 に 害 するおそれがないと 認 められるもの にあたると 思 われるから これを 同 号 本 文 にいう 個 人 情 報 として 非 公 開 に した 処 分 は 違 法 であるから 取 り 消 しを 求 める 第 3 諮 問 庁 の 説 明 の 要 旨 諮 問 庁 は 本 件 対 象 文 書 について 部 分 公 開 を 行 った 理 由 等 を 次 のように 説 明 している - 2 -
1 請 求 に 対 する 文 書 の 特 定 と 公 開 決 定 等 (1) 異 議 申 立 人 は 平 成 19 年 4 月 10 日 実 施 機 関 に 対 し 条 例 9 条 の 規 定 により 次 の 行 政 文 書 の 公 開 請 求 を 行 った ア 国 民 健 康 保 険 に 関 する 審 査 請 求 と 国 民 健 康 保 険 審 査 会 の 審 査 同 審 査 会 委 員 の 任 命 同 審 査 会 の 公 金 支 出 に 関 する 情 報 ( 平 成 17~18 年 度 ) イ 審 査 会 事 務 局 職 員 として 関 わった 県 職 員 の 出 張 及 び 公 金 支 出 に 関 す る 情 報 ( 平 成 17~18 年 度 ) ウ 長 寿 社 会 課 国 保 班 職 員 に 係 る 服 務 報 告 書 及 び 服 務 状 態 ( 出 勤 休 暇 職 務 免 除 時 間 外 勤 務 出 張 欠 勤 など)がわかる 情 報 ( 平 成 18 年 4 月 1 日 から 請 求 日 まで) (2) 実 施 機 関 は 平 成 19 年 4 月 23 日 本 件 請 求 に 対 する 行 政 文 書 公 開 決 定 及 び 行 政 文 書 部 分 公 開 決 定 ( 以 下 本 件 処 分 という )を 異 議 申 立 人 に 通 知 した 特 定 した 文 書 の 名 称 非 公 開 とした 部 分 及 びその 理 由 は 別 紙 記 載 のとおりである 2 非 公 開 理 由 (1) 処 分 庁 を 非 公 開 とした 理 由 本 件 審 査 請 求 書 等 について 処 分 庁 を 非 公 開 とした 理 由 は 次 のとお りである 国 民 健 康 保 険 法 5 条 において 市 町 村 又 は 特 別 区 の 区 域 内 に 住 所 を 有 する 者 は 当 該 市 町 村 が 行 う 国 民 健 康 保 険 の 被 保 険 者 とする と 定 め られている 国 民 健 康 保 険 においては その 市 町 村 内 に 住 所 を 有 する 者 は 同 法 6 条 の 適 用 除 外 に 該 当 する 者 を 除 き その 住 所 を 有 するだけで - 3 -
法 律 上 当 然 に その 市 町 村 国 民 健 康 保 険 の 被 保 険 者 となる このことか ら 処 分 庁 を 公 開 することは 審 査 請 求 人 の 住 所 地 を 市 町 村 単 位 で 特 定 で きることとなり 他 の 情 報 と 結 びつけることにより 特 定 の 個 人 を 識 別 される 可 能 性 がある よって 条 例 6 条 1 項 1 号 本 文 に 該 当 する 異 議 申 立 人 は 同 号 ただし 書 ( 一 )により 公 開 すべきとしているが 特 定 の 個 人 が 行 った 一 部 負 担 金 の 減 免 申 請 とそれに 対 する 処 理 状 況 を 示 す 文 書 という 極 めてプライバシー 性 の 強 いものについて 何 人 にも 知 り 得 る 状 態 に 置 くということは 社 会 通 念 上 ありえないことであり 同 号 た だし 書 ( 一 )の 法 令 等 の 規 定 により 又 は 慣 行 として 公 にされ 又 は 公 に することが 予 定 されているもの にはあたらない また 異 議 申 立 人 は 同 号 ただし 書 ( 二 )により 公 開 すべきとしている が 前 段 で 述 べたように 処 分 庁 が 公 務 員 等 の 職 務 の 遂 行 に 関 する 情 報 に 該 当 するとしても 処 分 庁 を 公 開 することが 特 定 個 人 を 識 別 されるこ とになるから 同 条 文 をもって 公 開 すべき 理 由 とはならない (2) 用 務 先 名 称 及 び 帰 着 地 を 非 公 開 とした 理 由 本 件 旅 行 命 令 伺 等 について 用 務 先 名 称 及 び 帰 着 地 を 非 公 開 とした 理 由 は 次 のとおりである 職 員 の 出 張 に 係 る 旅 行 命 令 伺 計 算 依 頼 及 び 復 命 請 求 の 行 政 文 書 に おける 用 務 先 名 称 は 出 張 支 援 システムQ&A によれば 用 務 先 の 具 体 的 な 名 称 県 内 出 張 の 場 合 は 公 共 交 通 機 関 を 利 用 する 場 合 で 用 務 先 が 市 町 村 役 場 以 外 の 場 合 は 用 務 地 の 字 名 まで 記 載 することとな っている 一 般 的 な 会 議 等 の 出 張 とは 異 なり 今 回 のケースは 審 査 請 求 に 関 する 用 務 であることを 考 えれば これを 公 開 することは 個 人 に 関 す る 情 報 であって 特 定 の 個 人 を 識 別 することができることとなり 条 例 6 条 1 項 1 号 本 文 に 該 当 する - 4 -
また 同 文 書 における 帰 着 地 は 在 勤 公 所 又 は 居 住 地 となり 勤 務 時 間 を 超 える 場 合 は 居 住 地 への 帰 着 が 認 められている この 場 合 帰 着 地 には 当 該 職 員 の 住 所 地 を 記 載 することとなっている 同 号 ただし 書 ( 二 )においては 当 該 公 務 員 等 の 職 氏 名 は 公 開 することとなってい るが 住 所 は 公 開 するとはされていない よって 同 号 本 文 に 該 当 する 異 議 申 立 人 は 同 号 ただし 書 ( 二 ) 及 び( 三 )により 公 開 すべきとしてい るが 公 務 員 等 の 出 張 における 用 務 先 名 称 及 び 帰 着 地 は 前 段 で 述 べた 理 由 により 同 号 ただし 書 ( 二 )の 職 務 遂 行 情 報 にはあたらない また 同 号 ただし 書 ( 三 )は 予 算 の 執 行 を 伴 う 事 務 又 は 事 業 に 関 わる 情 報 にお いて 公 務 員 等 以 外 の 者 の 氏 名 等 であっても その 権 利 利 益 を 不 当 に 害 するおそれがないと 認 められる 場 合 は これを 公 開 することとした 規 定 であり 該 当 しない 以 上 述 べた 理 由 により 実 施 機 関 の 部 分 公 開 決 定 は 妥 当 なものであると 考 える 第 4 調 査 審 議 の 経 過 当 審 査 会 は 本 件 諮 問 事 件 について 次 のとおり 調 査 審 議 を 行 った (1) 平 成 19 年 5 月 18 日 諮 問 の 受 け 付 け (2) 同 年 6 月 29 日 諮 問 庁 から 非 公 開 理 由 説 明 書 を 収 受 (3) 同 年 8 月 7 日 諮 問 庁 が 意 見 陳 述 (4) 同 年 10 月 11 日 審 議 (5) 同 年 11 月 8 日 審 議 - 5 -
第 5 審 査 会 の 判 断 の 理 由 1 本 件 対 象 文 書 について 本 件 対 象 文 書 は 健 康 福 祉 部 長 寿 社 会 課 が 作 成 した 文 書 であり 文 書 の 名 称 非 公 開 とした 部 分 及 びその 理 由 は 別 紙 記 載 のとおりである 2 非 公 開 情 報 該 当 性 の 検 討 (1) 審 査 請 求 書 等 における 処 分 庁 の 名 称 について 当 審 査 会 において 本 件 審 査 請 求 書 等 を 見 分 したところ 審 査 請 求 人 の 住 所 氏 名 財 産 生 活 心 身 社 会 活 動 に 関 する 情 報 等 私 生 活 に 関 す る 内 容 が 記 載 されており これらの 個 人 に 関 する 情 報 については 非 公 開 とされていることが 認 められる 実 施 機 関 は 国 民 健 康 保 険 においては 原 則 としてその 市 町 村 内 に 住 所 を 有 する 者 は 法 律 上 当 然 にその 市 町 村 国 民 健 康 保 険 の 被 保 険 者 とな ることから 処 分 庁 名 称 を 公 開 することは 審 査 請 求 人 の 住 所 地 を 市 町 村 単 位 で 特 定 できることとなり 他 の 情 報 と 結 びつけることにより 特 定 の 個 人 を 識 別 される 可 能 性 があると 主 張 する しかしながら 処 分 庁 の 名 称 については 実 施 機 関 の 主 張 するとおり 審 査 請 求 人 の 住 所 の 一 部 をなすものであるが 本 件 審 査 請 求 書 等 におい ては 審 査 請 求 人 の 個 人 に 関 する 情 報 は 非 公 開 とされており 公 開 され ている 情 報 その 他 容 易 に 取 得 できる 他 の 情 報 を 組 み 合 わせることによっ ても 特 定 の 個 人 を 識 別 することができることとなるとは 認 められず 公 開 すべきである なお 異 議 申 立 人 は 公 開 すべき 理 由 として 条 例 6 条 1 項 1 号 ただし 書 ( 一 ) 及 び( 二 )に 該 当 すると 主 張 しているが 当 審 査 会 では 同 号 本 文 に - 6 -
該 当 し 公 開 すべきとしたことから 異 議 申 立 人 の 主 張 する 条 項 への 該 当 性 については 判 断 しない (2) 旅 行 命 令 伺 等 における 用 務 先 名 称 及 び 帰 着 地 について ア 用 務 先 名 称 について 本 件 旅 行 命 令 伺 等 に 記 載 された 用 務 先 名 称 は (1)と 同 様 の 理 由 により 公 開 すべきである イ 帰 着 地 について 当 審 査 会 において 本 件 旅 行 命 令 伺 等 を 見 分 したところ 帰 着 地 には 勤 務 地 又 は 職 員 の 居 住 地 である 市 町 村 名 が 記 載 されていることが 認 められる 帰 着 地 として 記 載 される 職 員 の 住 所 地 は 住 所 そのものではな いが 本 件 旅 行 命 令 伺 等 に 記 載 された 職 員 の 氏 名 と 一 体 として 特 定 の 個 人 を 識 別 することができる 情 報 にあたり 条 例 6 条 1 項 1 号 本 文 の 非 公 開 情 報 に 該 当 するものと 認 められる 異 議 申 立 人 は 同 号 ただし 書 ( 二 )により 公 開 すべきと 主 張 する し かし この 規 定 は 公 務 員 等 の 職 務 に 係 る 情 報 については 個 人 に 関 する 情 報 に 該 当 するものではあるが 行 政 の 諸 活 動 を 説 明 する 責 務 を 全 うするという 観 点 から 公 開 することとしたものである 本 件 旅 行 命 令 伺 等 に 記 載 された 職 員 の 住 所 地 は 当 該 職 員 個 人 の 住 居 という 私 事 に 関 する 情 報 であり 公 務 員 等 の 職 務 の 遂 行 に 係 る 情 報 であるとは 認 められず 異 議 申 立 人 の 主 張 は 採 用 できない また 異 議 申 立 人 は 同 号 ただし 書 ( 三 )により 公 開 すべきと 主 張 す る しかし この 規 定 は 予 算 の 執 行 を 伴 う 事 務 又 は 事 業 に 係 る 情 報 は 県 政 の 公 正 さと 透 明 性 を 確 保 する 上 でも また 実 施 機 関 がその 諸 活 動 を 説 明 する 責 務 を 全 うするという 観 点 からも 公 益 上 公 開 する - 7 -
必 要 性 が 高 いことから 当 該 情 報 に 含 まれる 公 務 員 等 以 外 の 者 の 氏 名 等 であっても その 権 利 利 益 を 不 当 に 害 するおそれがないと 認 められ る 場 合 は これを 公 開 することとしたものであり 異 議 申 立 人 の 主 張 は 採 用 できない 第 6 答 申 に 関 与 した 委 員 区 分 氏 名 職 名 会 長 小 賀 野 晶 一 千 葉 大 学 大 学 院 専 門 法 務 研 究 科 教 授 会 長 代 理 柴 田 一 宏 弁 護 士 佐 藤 了 子 聖 霊 女 子 短 期 大 学 講 師 本 田 雅 子 ノースアジア 大 学 経 済 学 部 準 教 授 ( 平 成 19 年 10 月 11 日 の 審 議 まで) 三 浦 清 弁 護 士 - 8 -
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