吉 田 (1) 吉 田 兼 倶 のプロフィール 1 人 物 像 : 室 町 時 代 中 期 の 人 (1435~1511)で 吉 田 の 大 成 者 最 終 冠 位 従 二 位 神 祇 権 大 副 ( 吉 田 家 では 異 例 の 出 世 ) 2 家 柄 : 神 祇 氏 族 といわれ 神 祇 を 以 って 代 々 大 和 朝 廷 に 仕 えた 家 柄 3 神 祇 氏 族 の 系 統 天 児 屋 根 命 天 布 刀 玉 命 中 臣 氏 卜 部 氏 忌 部 氏 藤 原 家 大 中 臣 家 吉 田 家 ( 吉 田 神 社 ) 九 鬼 家 ( 熊 野 別 当 ) 天 岩 屋 戸 神 話 岩 戸 の 前 で 祝 詞 を 唱 えたのが 天 児 屋 根 命 (あめのこやねのみこと) 天 照 大 神 が 岩 戸 を 少 し 開 いたときに 鏡 を 差 し 出 したのが 天 児 屋 根 命 と 天 布 刀 玉 命 (あめのふとだまのみこと) 4 神 祇 氏 族 としての 役 割 : 卜 占 (ぼくせん)による 吉 凶 判 断 5 神 祇 氏 族 の 順 位 :1 位 ( 中 臣 ) 2 位 ( 忌 部 ) 3 位 ( 卜 部 ) 6 吉 田 神 社 : 清 和 天 皇 貞 観 元 年 4 月 ( 西 暦 859 年 ) 中 納 言 藤 原 山 蔭 卿 (ふ じはらやまかげきょう)が 春 日 の 四 神 を 勧 請 (かんじょう)し 平 安 京 の 鎮 守 神 として 吉 田 山 に 創 建 された 神 社 斎 場 所 大 元 宮 御 祭 神 : 式 内 神 3,132 座 ( の 三 十 三 間 堂 ) 神 龍 社 御 祭 神 : 吉 田 兼 倶 ( 明 治 13 年 創 建 ) 宗 家 としての 象 徴 1
(2) 元 本 宗 源 1 元 本 宗 源 とは ( 唯 一 名 法 要 集 ) 元 とは 陰 陽 不 測 の 元 々を 明 かす 本 とは 故 に 頌 に 曰 く 元 を 元 として 元 初 に 入 り 本 を 本 として 本 心 に 任 す 宗 とは 一 気 未 分 の 元 神 を 明 かす 故 に 万 法 純 一 の 元 初 に 帰 す 是 を 宗 とい う 源 とは 和 光 同 塵 の 神 化 を 明 かす ゆえに 一 切 利 物 の 本 基 を 開 く 是 を 源 と 云 う 故 に 頌 に 曰 く 宗 とは 万 法 一 に 帰 するなり 源 とは 諸 縁 基 を 開 くなり 吾 国 開 闢 以 来 の 唯 一 是 なり 2 語 句 の 説 明 a) 陰 陽 不 測 の 元 々を 明 かす( 元 ) 一 念 未 生 の 本 々を 明 かす( 本 ) 天 地 開 闢 神 話 にこの 世 の 始 まり が 記 されており それは 神 ( 国 常 立 尊 )の 御 仕 業 による ( 参 考 ) 天 地 開 闢 ( 日 本 書 紀 ) 天 地 未 だ 剖 れず 陰 陽 分 かれざりしとき ( 省 略 ) 天 地 の 中 に 一 つ の 物 生 れり 状 葦 牙 の 如 し 便 ち 神 と 化 為 る 国 常 立 尊 と 号 す b) 元 を 元 として 元 初 に 入 り 神 ( 国 常 立 尊 )の 御 心 を 自 らの 心 と 本 を 本 として 本 心 に 任 す し それに 全 てを 委 ねよ! c) 元 本 とは( 教 義 ) この 世 のことは 全 て 神 の 御 仕 業 であるから 人 は 神 の 御 心 を 自 らの 心 と し それに 全 てを 委 ねて 生 きて 行 くことが 大 切 であり これが 究 極 の 極 致 である d) 宗 とは とは 己 の 心 の 神 を 祭 ること 一 気 未 分 の 元 神 を 明 かす 天 地 開 闢 では 神 が 全 ての 根 本 で あることを 明 かしている ( 注 1) 万 法 純 一 の 元 初 に 帰 す 万 法 ( 仏 教 儒 教 老 荘 思 想 etc)は 全 て 神 から 始 まった ( 注 1) 天 地 開 闢 の 天 地 とは 全 世 界 のことを 指 している 2
e) 源 とは 和 光 同 塵 の 神 化 を 明 かす 一 切 利 物 の 本 基 を 開 く 仏 菩 薩 の 根 本 は 神 である( 反 本 地 垂 迹 説 こそがこの 世 の 真 理 ) 釈 迦 や 孔 子 や 老 子 は 神 の 意 志 に よってその 基 を 開 いた f) 宗 源 とは( 教 相 判 繹 : 正 当 性 の 証 明 ) も 仏 教 ( 密 教 )も 儒 教 も 老 荘 思 想 もその 内 実 はほとんど 変 わらな い これは 神 の 意 思 が 釈 迦 や 孔 子 や 老 子 に 働 いたことに 他 ならない ( が 万 法 の 根 本 で 仏 教 ( 密 教 )も 儒 教 も 老 荘 思 想 はその 枝 葉 ) g) 吾 国 開 闢 以 来 の 唯 一 是 なり 本 迹 縁 起 ( 伊 勢 ) ( 反 発 ) の 分 類 両 部 習 合 ( 密 教 系 ) 天 児 屋 根 命 以 来 吉 田 家 元 本 宗 源 ( 吉 田 ) に 伝 わる 吾 国 開 闢 以 来 の であり 唯 一 の である (3) 林 羅 山 の 兼 倶 批 判 1) 兼 倶 批 判 の 構 造 官 名 詐 称 家 柄 詐 称 人 物 批 判 伊 勢 家 からの 批 判 兼 倶 批 判 ( 教 祖 的 人 物 に 付 きものの 批 判 ) 儒 学 者 からの 批 判 家 康 は 一 向 一 揆 に 苦 しめられた キリスト 教 禁 教 国 外 追 放 徳 川 家 康 の 宗 教 政 策 仏 教 ( 批 判 の 中 心 ) 末 端 統 治 組 織 への 組 み 込 み 寺 請 制 度 檀 家 制 度 宗 教 か ら 信 仰 色 を 排 除 する 両 部 (70%) 吉 田 (30%) 宗 教 論 争 ( 恫 喝 ) 2) 林 羅 山 の 兼 倶 批 判 1 兼 倶 何 為 者 哉 若 し 神 事 の 宗 源 を 主 らば 宜 しく 異 端 を 排 し 仏 僧 を 忌 むべし 兼 倶 は 当 時 の 都 人 から 絶 大 な 支 持 受 けた 家 であり 後 世 の 家 や 儒 2 我 名 法 要 集 及 び 吉 田 家 の 家 説 を 見 るに ( 省 略 ) 亦 彼 の 両 部 習 合 と 学 者 から 痛 烈 な 批 判 を 浴 びた 家 でもあるのです 兼 倶 批 判 は 大 きく 分 けて 云 う 者 を 剽 掠 して 以 って 己 が 説 となす 3
兼 倶 は 自 らの を 天 児 屋 根 命 以 来 吉 田 家 に 伝 わる と 述 べて いるが それは 全 くのデタラメで 天 児 屋 根 命 が 仏 教 ( 密 教 )の 影 響 を 受 けているはずがないではないか つまり 兼 倶 のいう とは 両 部 の 一 部 を 自 説 にすり 替 えて 吉 田 と 称 しているに 過 ぎない 村 岡 典 嗣 ( 明 治 時 代 の 宣 長 研 究 の 第 一 人 者 ) 兼 倶 は 密 教 の 一 宗 派 を 開 こうとした これが 定 説 になり 兼 倶 は 完 全 に 否 定 された 存 在 になってしまった 兼 倶 以 降 の 学 者 仏 教 学 者 儒 学 者 は 神 仏 習 合 思 想 を 上 からしか 見 ていない 中 国 密 教 日 本 人 の 信 仰 ( ) 兼 倶 は 神 仏 習 合 思 想 を 横 から 見 ていた だから 密 教 に が 分 解 されて 取 り 込 まれてしまったとしか 見 えない 中 国 密 教 これが 両 部 といわれる ( 両 部 とは 仏 教 ) 兼 倶 は 神 仏 習 合 思 想 を 横 から 見 ていたために 天 児 屋 根 命 以 来 吉 田 家 に 伝 わる と 日 本 密 教 がそ の 本 質 部 分 で 類 似 性 が 高 いことに 気 がついた これが 根 本 枝 葉 果 実 説 の 出 発 点 で 吉 田 の 中 核 思 想 ( 吉 田 は 仏 教 のまがいものではない) 現 在 の 界 はこの 区 別 が 付 いていないため 信 仰 の 実 態 と 掛 け 離 れた 論 を 展 開 し 人 々の 支 持 が 得 られなくなっている 羅 山 のいう 宗 家 にふさわしい とは 個 人 の 信 仰 に 伴 う 1 吉 田 2 両 部 3 伊 勢 国 家 の 祭 祀 としての 兼 倶 は 無 視 した 白 川 家 (= 神 祇 官 )で 行 わ 羅 山 はこれを 神 れていた ( 律 令 ) 道 と 呼 んだ 儒 学 者 の 考 える 国 家 の 繁 栄 や 社 会 の 安 寧 秩 序 を 保 つためのもの 4
3) 林 羅 山 のプロフィール 曲 学 阿 世 の 徒 ( 井 沢 元 彦 ) 方 広 寺 の 梵 鐘 銘 国 家 安 康 君 臣 豊 楽 に 言 いがかりをつけ 豊 臣 家 を 滅 亡 に 導 く 原 因 を 作 ったのは 張 本 人 この 背 景 には 家 康 の 意 向 があり 羅 山 は 豊 富 な 学 問 知 識 を 濫 用 ( 曲 解 )して 言 いがかりをつけ 豊 臣 家 に 反 乱 を 起 こさせようとした この 功 により 林 家 は 代 々 幕 府 筆 頭 の 儒 学 者 として 君 臨 できた 羅 山 の 兼 倶 批 判 にはこれと 同 じ 手 法 が 採 用 されている という 言 葉 の 中 に 国 家 を 統 治 するための 方 策 という 今 までにない 新 しい 概 念 を( 強 引 に) 取 り 込 み 幕 府 の 権 威 を 背 景 に 宗 教 としての を 骨 抜 きにしようとした 吉 田 はなぜ 反 論 しなかったのか? 仏 教 は 幕 府 の 意 向 に 従 ったため 特 権 ( 寺 請 制 度 檀 家 制 度 )を 与 え られた キリスト 教 は 宗 教 ( 信 仰 )にこだわったため 弾 圧 された つまり 反 論 すれば 豊 臣 家 やキリスト 教 と 同 じ 道 を 辿 った 4) 羅 山 はどこを 曲 解 したのか? と 神 祇 の 違 い 天 皇 信 仏 法 尊 ( 日 本 書 紀 ) ( 天 皇 は 仏 法 を 信 じ を 尊 ぴたもう) 仏 法 に 対 比 して と 表 現 し 区 別 した 兼 倶 は 我 が 国 固 有 の 神 々に 対 す る 信 仰 を と 称 していた 吉 田 や 両 部 が と 称 するのはふさわしくない 神 祇 官 ( 律 令 制 度 ) ( 国 事 行 為 としての 祭 祀 を 執 行 する 役 所 ) 祭 祀 を 執 行 することを 神 祇 と 表 現 した 羅 山 は 屁 理 屈 を 並 べて 神 祇 を 神 道 と 読 み 替 えた ( 曲 学 阿 世 ) 国 事 行 為 としての 神 事 ( 白 川 家 )こ そが と 呼 ぶにふさわしい 荻 生 徂 徠 の 定 義 1 巫 祝 (かんなぎ)の 術 (わざ)を 主 体 とした 神 事 ( 吉 田 両 部 ) 2 終 身 斉 家 治 国 平 天 下 の 道 としての ( 儒 家 ) いつの 間 にか 言 葉 の 使 い 方 が 逆 になってしまった 我 が 国 を 太 平 洋 戦 争 に 導 いた 根 本 原 因 の 一 つに 国 家 があるのならそのA 級 戦 犯 は 林 羅 山 5
(4) 兼 倶 の 思 想 1) 神 観 念 ( 吉 田 兼 倶 ) ( 日 本 神 話 ) 1 国 常 立 尊 とは 無 形 の 形 無 名 の 名 此 れを 虚 無 太 元 尊 神 と 名 付 く ( 省 略 ) 何 ぞ 況 や 森 羅 万 象 蠢 動 含 霊 すべて 一 ノ 神 ( 国 常 立 尊 )の 元 より 始 まり て 天 地 の 霊 気 を 感 ずるに 至 りて 生 成 無 窮 なり 2 神 明 ( 国 常 立 尊 )は 宇 宙 の 宗 廟 なり 3 国 常 立 の 一 神 が 八 百 万 神 となり 八 百 万 神 が 国 常 立 の 一 神 に 帰 す ムスビの 機 能 1 高 御 産 巣 日 神 2 神 御 産 巣 日 神 天 御 中 主 神 根 源 の 神 と 八 百 万 の 神 々との 関 係 2) 論 とは 心 を 守 る 道 なり 心 動 く 時 は 魂 魄 乱 れ 心 静 まる 時 は 魂 魄 穏 なり 此 れを 守 る 時 は 鬼 神 鎮 なり 是 を 守 らざる 時 は 鬼 神 乱 れて 災 難 起 こる ただ 己 の 心 の 神 を 祭 るに 過 ぎたるはなし ( 吉 田 ) ( 日 本 神 話 ) とは 心 を 守 る 道 な 穢 れ は 人 の 心 の 中 にある 鬼 神 乱 れて 災 難 起 こる 己 の 心 の 神 を 祭 る ( 解 説 ) 禍 津 日 神 ( 罪 )が 出 現 する 禊 祓 え の 実 践 鬼 神 乱 れて 災 難 起 こる とは 禍 津 日 神 ( 罪 )の 出 現 をさしており その 原 因 である 穢 れ は 人 の 心 の 中 に 存 在 する( とは 心 を 守 る 道 なり) それ ゆえ 自 らの 心 が 神 の 御 心 と 一 体 になることによって( 己 の 心 の 神 を 祭 るに 過 ぎ たるはなし) 禍 津 日 神 の 出 現 を 阻 止 することが 出 来 る 6
3) 随 身 の 三 宝 加 持 祭 政 一 致 の 社 会 とは? 神 ( 一 体 の 存 在 ) 秘 儀 秘 法 巫 女 ( 巫 祝 ) ( 神 の 声 ) 絶 対 的 信 頼 がな 王 ければ 祭 政 一 致 ( 命 令 ) の 社 会 は 成 り 立 人 民 たない 秘 儀 秘 法 1 天 皇 家 に 伝 わっていたのが 禊 祓 え 2 中 臣 忌 部 卜 部 にも 禊 祓 え に 類 するものが 伝 わっていたはず 兼 倶 は 卜 部 氏 に 伝 わる 秘 儀 秘 法 を 随 身 の 三 宝 加 持 と 称 した 随 身 の 三 宝 加 持 の 目 的 1 寿 命 2 無 病 3 福 禄 天 照 大 神 = 卑 弥 呼 説 1 高 天 原 と 邪 馬 台 国 の 描 写 に 類 似 点 が 多 い 2 天 照 大 神 は 高 天 原 の 巫 女 3 卑 弥 呼 ( 中 国 式 表 記 )を 日 本 式 表 記 に 直 すと 日 御 子 又 は 日 巫 女 邪 馬 台 国 の 巫 女 の 系 図 ( 天 皇 家 ) ( 天 皇 家 以 外 の 神 祇 氏 族 ) 1 卑 弥 呼 3 壱 代 2 男 王 ( 追 放 ) 中 臣 忌 部 卜 部 いずれか であった 可 能 性 が 高 い つまり 中 臣 忌 部 卜 部 は 天 皇 家 に 取 って 代 わる 可 能 性 のあった 氏 族 兼 倶 が 吾 国 開 闢 以 来 の 唯 一 と 称 したのもあながち 誇 張 とはいえない 4) 神 国 日 本 日 本 は 仏 の 国 ではなく 神 の 国 ( 本 来 の 意 味 ) そもそも 本 朝 は 三 界 の 根 本 にして 神 明 を 以 って 元 祖 と 為 す 也 神 明 は 宇 宙 の 宗 廟 也 我 国 開 闢 の 初 め 天 地 と 共 に 神 明 現 われ 玉 へり 故 に 国 を 神 国 と 云 い 道 を と 云 う 也 平 田 篤 胤 ( 神 国 ) 日 本 は 神 に 守 られた 特 別 な 国 本 居 宣 長 ( ) 可 畏 きや 高 御 産 巣 日 神 の 御 霊 により て 神 祖 伊 邪 那 岐 大 神 伊 邪 那 美 大 神 の 始 めたまひて 天 照 大 神 の 受 けた まひたもちたまひ 伝 へ 賜 ふ 道 なり 国 家 神 である 天 皇 が 治 める 世 界 に 冠 たる 国 日 本 7
5) 根 本 枝 葉 果 実 説 兼 倶 の 疑 問 インドで 始 まり 中 国 を 経 て 我 国 に 伝 わった 仏 教 ( 密 教 )や 中 国 で 始 まり 我 国 に 伝 わった 儒 教 ( 朱 子 学 )と 我 が 国 固 有 の 宗 教 である とは 名 前 こそ 違 え その 内 実 はほとんど 同 じではないか 根 本 枝 葉 果 実 説 ( 解 答 ) 吾 が 日 本 は 種 子 を 生 じ 震 旦 は 枝 葉 を 現 し 天 竺 は 果 実 を 開 く 故 に 仏 教 は 万 物 の 果 実 為 り 儒 教 は 万 物 の 枝 葉 為 り は 万 法 の 根 本 為 り 彼 の 二 教 は 皆 是 れ の 分 化 也 枝 葉 果 実 を 以 ってその 根 源 を 顕 わす 花 落 ちて 根 に 帰 る 故 に 今 此 の 仏 法 東 漸 す 吾 が 国 三 国 の 根 本 たることを 明 かさんが 為 め 也 万 物 の 根 本 は 神 なのか 仏 ( 大 日 如 来 )なのか? 神 主 仏 従 ( 反 本 地 垂 迹 説 ) 我 が 国 は 神 の 国 仏 は 後 から 入 って 来 た 仏 主 神 従 ( 本 地 垂 迹 説 ) 真 理 は 一 つ 仏 教 はインド 中 国 日 本 で 信 仰 されている( 三 国 伝 来 ) 宗 教 や 思 想 の 世 界 では 普 遍 性 ( 真 理 )が 最 も 重 視 される 日 本 でしか 通 用 しない 宗 教 ある 時 期 だけ 熱 病 のように 流 行 った 宗 教 より 時 代 を 超 えて 全 世 界 の 人 々に 信 仰 されている 宗 教 の 方 が 優 れている 兼 倶 以 前 の では 三 国 伝 来 に 対 抗 できなかった 三 国 伝 来 に 対 抗 するために 提 唱 したのが 根 本 枝 葉 果 実 説 天 帝 ( 儒 教 )を 超 える 存 在 が 仏 であり 仏 を 超 える 存 在 が 大 日 如 来 その 大 日 如 来 を 超 える 絶 対 的 存 在 が 神 1 儒 教 社 会 の 基 本 構 造 ( 天 帝 とは 儒 教 社 会 を 構 成 する 根 本 理 念 ) 天 命 説 王 朝 交 代 のルール 徳 治 政 治 天 帝 ( 宇 宙 の 根 本 ) 星 の 運 行 など 宇 宙 に 起 こる 諸 現 象 を 司 る 存 在 皇 帝 天 命 を 受 けて 皇 帝 が 中 華 を 統 治 する 人 民 占 星 術 宇 宙 に 起 こる 諸 現 象 が 人 や 社 会 の 運 命 と 深 く 係 わっている 天 壇 皇 帝 が 天 帝 を 祭 る ために 設 ける 祭 壇 8
2 釈 迦 の 根 本 思 想 輪 廻 の 思 想 この 世 に 存 在 する 全 ての 生 命 は 輪 廻 の 連 環 の 中 で 誕 生 し 死 滅 する そ の 連 環 を 断 ち 切 らない 限 り 人 は 苦 しみから 抜 け 出 ることはできない 仏 とは 輪 廻 の 鎖 を 断 ち 切 った 人 ( 動 物 ) 真 理 を 会 得 した 人 兼 倶 の 解 釈 天 帝 は 単 なる 理 念 にすぎないから 天 帝 より 仏 の 方 が 上 それでも 仏 は 人 の 延 長 線 上 にある 存 在 に 過 ぎないのであるから 到 底 神 には 及 ばない 3 密 教 の 根 本 思 想 大 日 如 来 全 ての 仏 菩 薩 を 超 越 した 絶 対 的 存 在 絶 対 無 絶 対 智 兼 倶 の 解 釈 それでも 仏 が 神 の 領 域 に 限 りなく 近 づいたに 過 ぎない ( 注 ) 菩 薩 : 衆 生 を 救 済 するために 仏 になることを 拒 否 した 存 在 大 乗 仏 教 の 象 徴 的 存 在 6) 論 理 思 考 の 合 理 性 根 本 枝 葉 果 実 説 仏 教 儒 教 を 比 較 の 優 位 性 を 証 明 吾 国 開 闢 以 来 の 唯 一 1 本 迹 縁 起 2 両 部 習 合 3 元 本 宗 源 4 元 本 宗 源 の 優 位 性 を 証 明 随 身 の 三 宝 加 持 中 臣 忌 部 卜 部 を 比 較 卜 部 の 優 位 性 を 証 明 兼 倶 の 主 張 1 反 本 地 垂 迹 説 こそがこの 世 の 真 理 2 元 本 宗 源 こそが 吾 国 開 闢 以 来 の 唯 一 3 吉 田 家 こそが 宗 家 にふさわしい 9
(5) 吉 田 は 何 故 現 在 の 界 で 評 価 されないのか 1) 構 造 的 問 題 神 社 本 庁 の 教 義 1 伊 勢 神 宮 は 日 本 の 総 鎮 守 2 天 皇 は 総 神 主 天 照 大 神 は の 最 高 神 吉 田 国 常 立 の 一 神 が 八 百 万 神 となり 八 百 万 神 が 国 常 立 の 一 神 に 帰 す 国 常 立 尊 が の 真 の 神 ( 天 照 大 神 の 上 位 神 が 存 在 する) 吉 田 を 認 めることは 神 社 本 庁 の 否 定 に 繋 がる 現 在 の 界 の 持 つ 構 造 的 問 題 や 信 仰 を 語 れないという 致 命 的 問 題 を 天 皇 との 結 びつきを 実 態 以 上 に 強 調 することで 補 っている 界 における 役 割 分 担 神 社 本 庁 の 役 割 天 皇 との 結 びつきを 強 める 個 々の 神 社 の 役 割 や 信 仰 を 広 める このことが 露 呈 したのが 今 回 の 富 田 メモ ( 昭 和 天 皇 は) 靖 国 神 社 は 重 視 しておられたが 松 平 宮 司 を 選 んだ 神 官 を 始 めとする 靖 国 人 脈 には 不 信 感 を 抱 いておられた 2) 教 義 上 の 問 題 ( 信 仰 の 基 本 的 枠 組 み) 本 質 細 分 化 御 利 益 商 売 の 神 様 や 信 仰 を 語 るという ことは 日 本 人 の 信 仰 に ついて 語 ること 日 本 人 の 信 仰 学 問 の 神 様 交 通 の 神 様 神 社 の 由 緒 や 御 利 益 につ いて 語 ることではない 結 びつかない (exp) 稲 荷 の 神 は 元 々その 土 地 ( 伏 見 )の 神 様 で 商 売 の 神 様 ではない 兼 倶 は 日 本 人 の 信 仰 について 語 っている 本 質 を 明 らかにすれば 結 びつか ない という 矛 盾 が 露 呈 する 吉 田 を 評 価 しない 10
講 座 テキスト ( 第 8 回 ) 平 成 18 年 10 月 1 日 ( 日 ) 新 熊 野 神 社 11