4.3 コラボレーション 企 画 4.3.1 2011 年 東 北 地 方 太 平 洋 沖 地 震 津 波 による 建 物 被 害 地 図 東 北 地 方 太 平 洋 沖 地 震 津 波 による 建 物 被 害 地 図 は, 国 土 地 理 院 が 撮 影 した 震 災 前 後 の 航 空 写 真 から, 建 物 の 屋 根 の 存 在 に 着 目 して 目 視 により 流 失 の 有 無 を 調 べ, 住 宅 地 図 上 に 表 示 したものと なる.この 地 図 の 作 成 にあたり, 東 北 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科 災 害 制 御 研 究 センター 越 村 准 教 授 が 中 心 となり, 同 センターの 学 生 等 が 目 視 判 読 を 行 い 地 図 を 作 成 している.ここで 用 いられている 地 図 や 津 波 浸 水 域 範 囲 等 の 協 力 として 東 京 大 学 空 間 情 報 科 学 研 究 センター, 株 式 会 社 ゼンリン, 株 式 会 社 パスコに 協 力 をいただいた. 建 物 被 害 地 図 の 提 供 範 囲 は, 宮 城 県 沿 岸 部 を29 地 区 に 分 けて 提 供 している. 図 4.3.1-1 は, 石 巻 市 街 ( 東 部 )の 建 物 被 害 地 図 である. 残 存 建 物 を 水 色, 流 失 建 物 を 赤 色, 津 波 浸 水 域 を 灰 色 で 表 現 している.なお,サイトの 詳 細 については 次 の URL を 参 照 されたい: 2011 年 東 北 地 方 太 平 洋 沖 地 震 津 波 による 建 物 被 害 地 図, http://www.tsunami.civil.tohoku.ac.jp/tohoku2011/mapping_damage.html 図 4.3.1-1 2011 年 東 北 地 方 太 平 洋 沖 地 震 津 波 による 建 物 被 害 地 図 4.3.2 車 載 型 360 度 カメラによる 東 日 本 大 震 災 の 継 続 的 な 記 録 東 日 本 大 震 災 の 地 震 直 後 から 復 旧 復 興 過 程 を 継 続 的 に 記 録 するために, 車 載 型 360 度 カメラに よる 記 録 を 行 っている. 記 録 は, 南 相 馬 から 宮 古 までの 沿 岸 部 を 中 心 に 約 400km の 撮 影 を 行 った. 撮 影 ルートは,なるべく 海 岸 線 に 近 い 道 路 かつ 通 行 可 能 な 道 路 とした.また, 市 街 地 など, 特 徴 的 な 部 分 については 重 点 的 に 撮 影 を 行 っている.2011 年 度 の 撮 影 は, 震 災 から 4 ヶ 月 後 の 6 月 と 震 災 から 9 ヶ 月 後 の 11 月 の 2 回 で 実 施 した.どちらも 南 相 馬 から 宮 古 までの 撮 影 を 行 っている. 本 撮 影 には, 株 式 会 社 山 形 測 器 社, 株 式 会 社 トプコンソキアポジショニングジャパンに 協 力 して 114
いただいた. 撮 影 された 画 像 の 利 活 用 としては, 建 物 の 被 災 状 況 の 確 認 や 瓦 礫 撤 去 の 状 況 確 認, 復 旧 復 興 過 程 の 記 録 などに 利 用 することを 考 えている. 図 4.2-1 車 載 型 360 度 カメラによる 東 日 本 大 震 災 の 継 続 的 な 記 録 (サンプル) 4.3.3 2011 年 東 北 地 方 太 平 洋 沖 地 震 に 関 するウェブ 情 報 の TR 解 析 東 日 本 大 震 災 に 関 するテキストデータを 収 集 して 東 日 本 大 震 災 コーパス を 構 築 し, 解 析 を 行 い, 災 害 対 応 関 係 者 や 研 究 者 に 対 する 状 況 認 識 を 支 援 するプロジェクト( 佐 藤 ら,2011)を 実 施 した( 図 1). 画 面 構 成 は, 今 日 の 画 面 を 図 -4 に 示 す.A は 読 むべき 記 事 トップ 5,B はそれ らの 記 事 の 本 文,C はキーワードのトップ 30 のリストである.D は,キーワードトップ 10 につ いて, 時 系 列 的 なふるまいをグラフ 化 したもので 構 成 されている.また,1)サブテーマの 設 置, 2) 英 文 による 配 信,という 試 みを 行 い, 京 都 大 学 防 災 研 究 所 巨 大 災 害 研 究 センターと 東 北 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科 附 属 災 害 制 御 研 究 センターの 共 同 運 営 の 特 設 のポータルサイトを 立 ち 上 げている. 前 者 は, 東 日 本 大 震 災 に 関 するすべてのウェブニュース 記 事 を 対 象 にした 解 析 のほか, 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 の 事 故 に 関 する 被 害 と 対 応, 岩 手 県 の 被 害 対 応, 宮 城 県 の 被 害 対 応, 福 島 県 の 被 害 対 応 といった 4 つのサブテーマを 立 て,それぞれに 関 連 するニュース 記 事 を 対 象 にした 個 別 の 解 析 結 果 を 公 開 している. 東 日 本 大 震 災 に 関 する 記 事 は, 最 初 の 2 ヶ 月 間 で 4 万 件 を 超 えて いるだけでなく,この 震 災 に 関 する 様 々なトピックが 立 ち 上 がっている. 過 去,1 つの 災 害 に 対 して 1 つにトピックが 慣 例 であったが, 規 模 の 大 きさや 事 象 の 多 面 性 のためか, 東 日 本 大 震 災 に 関 連 する 80 を 超 えるトピックが 立 ち 上 がっている.このような 事 態 を 受 けて, 全 ニュースをまと めた 解 析 のほか, 以 上 のようなサブテーマを 設 け, 個 別 の 対 象 を 解 析 するサブテーマを 設 けた. 後 者 は, 今 回 の 震 災 について 海 外 の 関 心 が 高 いことから, 読 むべき 記 事 の 見 出 しのみを 翻 訳 ボラ ンティアによって 英 訳 を 行 い, 同 時 に 公 開 しているものである.なお,サイトの 詳 細 については 次 の URL を 参 照 さ れ た い : 東 北 地 方 太 平 洋 沖 地 震 に 関 す る TR 解 析 ポ ー タ ル, http://www.trendreader.jp/tr_analysis/2011tohoku_eq_portal.html 115
図 4.3-1 2011 年 東 北 地 方 太 平 洋 沖 地 震 に 関 するウェブ 情 報 の TR 解 析 ポータル( 上 ) A C B D 図 4.3-2 画 面 構 成 ( 上 ) 4.3.4 東 北 大 研 究 者 による 復 興 写 真 マップ 東 北 大 学 研 究 者 による 復 興 写 真 マップは, 東 北 大 学 災 害 制 御 研 究 センターに 在 籍 している 教 員 研 究 員 の 7 名 による 震 災 直 後 から 継 続 的 に 撮 影 している 記 録 を 公 開 している. 撮 影 者 のプロ フィールを 表 4.3.4-1 に 示 す. 研 究 者 は, 津 波 工 学, 建 築 工 学, 災 害 社 会 情 報 学 などの 研 究 分 野 の 視 点 から 撮 影 を 行 っており, 研 究 者 からの 目 線 の 写 真 となる.そのため, 一 般 的 な 写 真 とは 異 な 116
り, 今 回 の 震 災 の 被 災 要 因 の 解 明 のために 撮 影 された 写 真 となる.2012 年 2 月 現 在 までに 公 開 し ている 写 真 枚 数 は,17,232 枚 となり, 撮 影 された 範 囲 は, 北 は 久 慈 市 から 南 は 相 馬 までの 範 囲 と なっている. 公 開 している WebGIS システムは, 株 式 会 社 インフォマティクスの 協 力 により 提 供 されており, システムの 中 で 使 用 している 地 図 は, 株 式 会 社 昭 文 社 の 協 力 により 提 供 されている. システム 画 面 を 図 4.3.4-1 に 示 す. 撮 影 に 使 われたカメラは, 全 て GPS が 内 蔵 されているデジカ メを 利 用 しており, 撮 影 位 置 と 撮 影 方 向 ( 撮 影 方 位 が 記 録 されてないデジタルカメラもあるため, 撮 影 方 位 無 しの 写 真 もある)がわかるようになっている. 撮 影 された 時 期 は, 月 毎 にアイコンで 色 分 けがなされており,レイヤ 切 替 により, 撮 影 時 期 を 絞 って 表 示 することも 可 能 になっている. お,サイトの 詳 細 については 次 の URL を 参 照 されたい: http://www.informatix-inc.com/top/disaster_photomap.html 表 4.3.4-1 東 北 大 学 研 究 者 による 復 興 写 真 マップに 協 力 している 撮 影 者 プロフィール 東 北 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科 災 害 制 御 研 究 センター 津 波 工 学 研 究 分 野 教 授 今 村 文 彦 主 な 研 究 内 容 津 波 に 対 する 総 合 減 災 工 学 数 値 シミュレーション 防 災 情 報 と 教 育 災 害 時 での 避 難 行 動 東 北 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科 災 害 制 御 研 究 センター 津 波 工 学 研 究 分 野 准 教 授 越 村 俊 一 主 な 研 究 内 容 津 波 の 数 値 解 析 津 波 の 被 害 予 測 と 軽 減 策 リスクマネ ージメント 総 合 的 津 波 防 災 システム 東 北 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科 災 害 制 御 研 究 センター 津 波 工 学 研 究 分 野 今 井 健 太 郎 助 教 主 な 研 究 内 容 海 岸 林 を 利 用 した 津 波 低 減 技 術 古 地 震 津 波 調 査 研 究 東 北 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科 災 害 制 御 研 究 センター 地 震 地 域 災 害 研 究 分 野 助 教 柴 山 明 寛 主 な 研 究 内 容 震 動 域 及 び 津 波 域 の 木 造 建 物 被 災 要 因 の 解 明 地 震 直 後 の 被 害 情 報 の 収 集 伝 達 共 有 東 北 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科 災 害 制 御 研 究 センター プロジェクト 推 進 室 佐 藤 翔 輔 助 教 主 な 研 究 内 容 危 機 管 理 災 害 情 報 システム 災 害 社 会 情 報 解 析 東 北 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科 災 害 制 御 研 究 センター 津 波 工 学 研 究 分 野 菅 原 大 助 研 究 員 主 な 研 究 内 容 津 波 堆 積 物 に 基 づく 古 津 波 の 研 究 古 津 波 の 数 値 解 析 サッパシー アナワ 東 北 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科 災 害 制 御 研 究 センター 津 波 工 学 研 究 分 野 ット 研 究 員 (Suppasri 主 な 研 究 内 容 津 波 の 数 値 解 析 津 波 による 人 的 被 害 117
Anawat) 図 4.3.4-1 東 北 大 学 研 究 者 による 復 興 写 真 マップ 4.3.5 3D 映 像 記 録 東 日 本 大 震 災 株 式 会 社 NHKメディアテクノロジーは20 年 余 りにわたって 立 体 映 像 実 用 化 への 取 り 組 み をおこない, 数 多 くの3D 作 品 を 制 作 してきた.このたびの 未 曾 有 の 大 地 震 と 大 津 波 災 害 に 際 して, 最 新 の3D 映 像 技 術 と 蓄 積 してきたノウハウを 使 って 被 災 地 の 惨 状 を 映 像 記 録 し 後 世 に 残 すことこそ, 会 社 の 使 命 であると 考 えた. そこで4 月 上 旬, 取 材 班 を 被 災 地 に 派 遣,7 地 域 を 選 んで 重 点 的 に 取 材 し 3D 東 日 本 大 震 災 ~ 津 波 の 傷 跡 ~ (16 分 日 本 語 版 英 語 版 )を 制 作 した. また 半 年 後 の9 月 上 旬,ふたたび 被 災 地 を 訪 れて, 動 き 始 めた 復 興 への 歩 みを3D 映 像 で 記 録 し 3D 東 日 本 大 震 災 ~ 復 興 への 歩 み~ (13 分 )を 制 作 した. 株 式 会 社 NHKメディアテクノロジーは,これらの3D 映 像 を 東 北 大 学 による 東 日 本 大 震 災 アーカイブプロジェクト みちのく 震 録 伝 に 提 供 することにした.この3D 映 像 記 録 が, 東 北 大 学 での 研 究 を 通 して 防 災 施 設 や 教 育 関 係 等 でも 広 く 活 用 され, 今 後 の 復 興 と 防 災 減 災 の 一 助 として 寄 与 することができればと 期 待 している. 株 式 会 社 NHK メディアテクノロジーは 東 日 本 大 震 災 の 被 災 地 について, 今 後 も 復 興 への 道 のりを 含 めて 継 続 的 に3D 取 材 を 続 けていく. ( 詳 細 ) 震 災 から1カ 月 後, 半 年 後 の 岩 手, 宮 城 両 県 の 被 災 地 に 取 材 班 を 派 遣 して 約 5 時 間 の3D 収 録 を 行 った. 現 地 派 遣 スタッフは,3D 撮 影 カメラマン,3D 収 録 担 当 のステレオグラファー, 現 場 取 118
材 統 括 の3 名. 取 材 カメラはパナソニックの 小 型 3D 一 体 型 カメラ AG-3DA1 で,P2カードにL ( 左 目 ) R( 右 目 ) 用 の 映 像 を 別 系 統 で 収 録 し,3D 専 用 の BLAZE 編 集 室 で 編 集 制 作. 震 災 1 か 月 後 東 日 本 大 震 災 ~ 津 波 の 傷 跡 ~ (16 分 ) 東 日 本 大 震 災 の 発 生 から 約 1 か 月 後, 東 北 地 方 沿 岸 部 の 被 災 各 地 を 訪 れて3Dで 映 像 記 録 したル ポルタージュ ( 国 際 3D 協 会 2012 Creative Arts Awards 特 別 審 査 員 賞 受 賞 ) 取 材 :2011 年 4 月 7 日 ~13 日 取 材 地 : 宮 古 市, 陸 前 高 田 市, 気 仙 沼 市, 南 三 陸 町, 石 巻 市, 東 松 島 市, 仙 台 市 若 林 区 ほか 震 災 半 年 後 東 日 本 大 震 災 ~ 復 興 への 歩 み~ (13 分 ) 震 災 発 生 から 半 年 たった 被 災 地 を 再 訪, 復 興 をめざしてかすかな 歩 みをはじめた 被 災 地 を 3Dで 映 像 記 録 したルポルタージュ 取 材 :2011 年 8 月 ~9 月 陸 前 高 田 市, 気 仙 沼 市, 南 三 陸 町, 石 巻 市, 東 松 島 市, 仙 台 平 野 ほか さらに1 年 目 の 状 況 を3Dで 映 像 記 録 し, 現 在 編 集 中 である. 4.3.6 エアクルーズ 特 別 企 画 震 災 の 画 像 配 信 東 北 大 学 およびグローバル サーベイ 株 式 会 社 は, 東 日 本 大 震 災 の 被 災 地 の 記 録 画 像 を 公 開 し ているサイト エアクルーズ 震 災 の 画 像 記 録 を 公 開 した. 本 サイトは, 今 回 の 震 災 の 被 災 地 を 中 心 にして, 同 社 技 術 によって 東 日 本 大 震 災 の 被 災 地 である 宮 城 県 の 女 川 町 や 石 巻 市 雄 勝 周 辺 の 道 路 走 行 画 像 を 撮 影 処 理 して 公 開 するものである. 特 に 閲 覧 者 の 制 限 を 設 けず,インターネッ トに 接 続 できる 環 境 であれば,だれでも 閲 覧 可 能 である. 震 災 発 生 直 後 の 状 況 を 記 憶 に 留 めると ともに,そこから 復 旧 復 興 に 至 る 状 況 を 地 図 上 で 見 ることができ, 被 災 地 の 観 光 の 復 興 などに 寄 与 することをねらいとしている. エアクルーズ 震 災 後 の 画 像 記 録 URL:http://global-survey.net/AirCruise/ 本 サイトの 特 徴 被 害 の 激 しかった 青 森 岩 手 宮 城 の 海 岸 線 付 近 20km~30km の 道 路 を 撮 影 した 写 真 を 掲 載. 撮 影 距 離 10,580km を 5m 毎 に 360 度 撮 影 を 行 い, 前 後 パノラマ 表 示 している 為, 全 方 位 を 見 渡 すことが 可 能. 画 像 を 掲 載 している 道 路 を 地 図 上 に 強 調 表 示. 画 像 掲 載 道 路 クリック 後 に 再 生 ボタンを 押 下 することにより,360 度 画 像 を 動 画 のように 閲 覧 することが 可 能. 1 Yahoo! 地 図 Web サービス 2 を 利 用 し,1 被 災 後 航 空 写 真,2 航 空 写 真,3 地 図,の 3 つ の 地 図 に 切 り 替 えが 可 能 で, 現 在 表 示 地 点 をアイコン 表 示 することが 可 能. 現 在 2011/12~2012/01 のスケジュールで, 第 二 次 調 査 走 行 中. 完 了 次 第, 反 映 予 定. 1 一 回 の 再 生 経 路 を 1km に 設 定 しています. 2 Yahoo! 地 図 Web サービスに 関 する 詳 細 については,http://developer.yahoo.co.jp/map/ をご 覧 下 119
さい. 図 4.3-3 画 面 の 例 ( 上 ) 4.3.7 聞 き 書 き 震 災 体 験 東 北 大 学 90 人 が 語 る 3.11 本 書 は, 東 北 大 学 の とうしんろく( 東 北 大 学 震 災 体 験 記 録 ) の 記 録 集 です.このプロジェク トは, 本 学 の 東 北 アジア 研 究 センター 高 倉 浩 樹 准 教 授, 文 学 研 究 科 木 村 敏 明 が 世 話 人 をつと めるもので, 東 北 大 学 の 関 係 者 ( 学 生, 教 員, 出 入 り 業 者 など)がどのようなかたちで 3 月 11 日 を 経 験 し, 現 在 までの 過 程 を 経 てきたのか, 個 人 的 で 主 観 的 な 体 験 と 記 憶 を 共 有, 記 録 していく プロジェクトである. とうしんろくは,みちのく 震 録 伝 の 賛 同 協 力 プロジェクトです.みちのく 震 録 伝 から, 災 害 制 御 研 究 センターの 今 村 文 彦 教 授 と 佐 藤 翔 輔 助 教 がとうしんろくに 参 画 している.また, 本 書 内 で 被 災 地 を 紹 介 する 被 災 地 地 図 は,みちのく 震 録 伝 でアーカイブされた 各 種 のデータを 用 いて 作 成 された( 協 力 : 東 北 地 方 太 平 洋 沖 地 震 津 波 合 同 調 査 グループ, パスコ,ESRI ジャパン 株 式 会 社 ). 本 書 中 の 聞 き 書 き 部 分 の 記 録 は,400 字 詰 め 原 稿 用 紙 にして 600 枚 ほどになっている. 大 学 と いう 一 つの 組 織 に 関 わる 人 々の 多 様 な 体 験 をまとめたものとして, 重 要 な 記 録 である. 詳 細 は 以 下 を 参 照 されたい:http://toushinroku.blog.fc2.com/ 120
図 4.3-4 聞 き 書 き 震 災 体 験 : 東 北 大 学 90 人 が 語 る 3.11( 新 泉 社 ) 4.3.8 LVSquare みちのく 被 災 地 の 現 地 写 真 と 航 空 写 真 全 周 囲 (360 ) 映 像 みちのく 震 録 伝 とのコラボレーション 企 画 として, 賛 同 機 関 であるアジア 航 測 株 式 会 社 が 震 災 直 後 から 被 災 地 の 復 興 状 況 を 撮 影 した 現 地 写 真 や 航 空 写 真, 全 周 囲 (360 ) 映 像 をアジア 航 測 株 式 会 社 が 提 供 する 情 報 共 有 プラットフォーム LVSquare(エルヴイスクエ ア)にて 2012 年 3 月 12 日 に LVSquare みちのく として 公 開 提 供 を 行 った. LVSquare みちのく では, 岩 手 県 宮 城 県 福 島 県 の 津 波 浸 水 域 において, 東 北 大 学 防 災 科 学 研 究 拠 点 の 研 究 者 が 撮 影 した 現 地 写 真 と,アジア 航 測 株 式 会 社 が 撮 影 した 被 災 後 の 航 空 写 真 現 地 写 真 多 時 期 の 車 載 型 360 カメラ 映 像 を 集 約 し, 地 図 と 連 動 して 重 ね 合 わ せて 閲 覧 可 能 としている. LVSquare みちのく を 公 開 することで 東 北 大 学 およびアジア 航 測 株 式 会 社 の 持 つ 多 時 期 かつ 視 点 の 違 う 写 真 等 を 比 較 し, 震 災 発 生 直 後 の 状 況 を 記 憶 に 留 めるとともに, 防 災 減 災 教 育 や 研 究 等 への 利 活 用 ならびに 被 災 地 の 復 興 に 向 けた 様 々な 活 動 に 寄 与 することをね らいとしている. 121
LVSquare みちのく URL:https://sites.google.com/site/lvsquaremichinoku/ LVSquare みちのく の 特 徴 東 北 大 学 防 災 科 学 研 究 拠 点 の 研 究 者 による 岩 手 県 宮 城 県 福 島 県 の 津 波 被 害 が 激 しかった 沿 岸 部 の 現 地 写 真 約 8 千 枚 を 掲 載. アジア 航 測 株 式 会 社 が 撮 影 した 宮 城 県 ( 七 ヶ 浜, 仙 台 市 沿 岸, 仙 台 空 港 周 辺, 利 府 町, 名 取 市, 塩 釜 市, 多 賀 城 市, 女 川 町, 東 松 山 市, 石 巻 市 )の 全 周 囲 (360 ) 映 像 を 掲 載. アジア 航 測 株 式 会 社 の 撮 影 した 斜 め 航 空 写 真 ( 福 島 ~ 宮 城 沿 岸 ) 46 枚 を 掲 載. アジア 航 測 株 式 会 社 で IKONOS 衛 星 画 像 から 浸 水 地 域 を 解 析 した 画 像 1 枚 を 掲 載. GoogleMap を 利 用 して, 現 地 写 真 や 全 周 囲 (360 ) 映 像 の 位 置 関 係 を 把 握 しながら, 自 由 なレイアウトで 閲 覧 することが 可 能. 4.3.9 東 日 本 大 震 災 ライブラリー 津 波 再 現 シミュレーション 被 災 範 囲 の 推 定 賛 同 協 力 機 関 である 国 際 航 業 株 式 会 社 とのコラボレーション 企 画 の 概 要 を 以 下 に 報 告 する. 1) 経 緯 国 際 航 業 株 式 会 社 は( 以 下, 国 際 航 業 ), 東 日 本 大 震 災 発 災 直 後 から, 航 空 写 真 や 衛 星 画 像 を 用 いた 被 災 状 況 の 調 査, 津 波 再 現 シミュレーション, 被 災 範 囲 の 推 定 など, 多 彩 な 空 間 情 報 技 術 を 活 用 して 災 害 情 報 を 収 集 し, 解 析 した 結 果 を 国 際 航 業 グループのホームページで 公 開 している(http://www.kk-grp.jp/csr/disaster/201103_touhoku-taiheiyo/index.html). また 国 際 航 業 は, みちのく 震 録 伝 の 賛 同 協 力 機 関 であり,これらの 保 有 しているコンテ ンツ 提 供 を 今 後 進 めていく 予 定 であるが,それに 先 行 して 現 在 公 開 されているコンテンツの 一 部 ( 津 波 シミュレーション 動 画 )と, 新 たなコンテンツ( 斜 め 航 空 写 真 )を 加 えた 専 用 ぺ ージ 製 作 し,インターネット 上 で 公 開 した. URL:http://www.kk-grp.jp/csr/disaster/201103_touhoku-taiheiyo/michinoku/index.html 122
2) 公 開 コンテンツの 内 容 斜 め 航 空 写 真 1 2011 年 3 月 27 日,4 月 5 日 に 撮 影 した 斜 め 航 空 写 真. 斜 め 航 空 写 真 2 2011 年 5 月 25 日,6 月 6 日,6 月 7 日,6 月 9 日 に 撮 影 した 斜 め 航 空 写 真. 斜 め 航 空 写 真 3 2011 年 9 月 27 日,10 月 4 日,10 月 8 日,10 月 9 日 に 撮 影 した 斜 め 航 空 写 真. 津 波 シミュレーション 東 北 地 方 太 平 洋 沖 地 震 による 津 波 の 震 源 モデルを 用 いた 津 波 CG 動 画. 津 波 の 遡 上 の 様 子 や, 引 き 波, 第 一 波 に 続 いて 第 二 波, 第 三 波 が 押 し 寄 せる 様 子 などが 把 握 でき る.なお 本 動 画 は, 震 災 直 後 の 少 ない 情 報 で 作 成 した 速 報 版 であり,その 後 の 痕 跡 調 査 結 果 や 波 源 についての 最 新 の 研 究 内 容 等 を 反 映 させたものではない. 3) ページ 構 成 図 4.3-5 津 波 シミュレーションCG( 上 ) 図 4.3-6 斜 め 航 空 写 真 ( 上 ) 4.3.10 七 郷 市 民 センター あの 時 を 忘 れない- 震 災 の 記 憶 支 援 活 動 I. 活 動 概 要 仙 台 市 若 林 区 の 七 郷 市 民 センターでは, あの 時 を 忘 れない- 震 災 の 記 憶 ( 地 域 の 絆 づく り 推 進 事 業 )を 進 めている. 主 な 事 業 概 要 としては, 七 郷 地 区 町 内 会 長 及 び 住 民 等 にインタ ビューを 行 い,その 内 容 を 文 章 化 し, 証 言 集 としてまとめることである. 東 北 大 学 みちのく 震 録 伝 では,インタビュー 計 画 の 作 成, 実 施 のための 指 導, 証 言 集 の 作 成 に 関 わる 相 談 提 案 などを 支 援 している. II. 関 係 メンバー(2012 年 3 月 末 現 在 ) 活 動 には, 七 郷 市 民 センター, 若 林 区 役 所, 東 北 大 学 (みちのく 震 録 伝 )の 他,せんだい メディアテーク(3 がつ11 にちをわすれないためにセンター)が 同 インタビューを 映 像 記 録 123
として 撮 影 している. 所 属 機 関 役 職 氏 名 仙 台 市 七 郷 市 民 センター 児 童 館 館 長 阿 部 富 雄 仙 台 市 七 郷 市 民 センター 児 童 館 職 員 丹 野 仙 台 市 若 林 区 役 所 まちづくり 推 進 地 域 活 動 係 主 任 鈴 木 誠 東 北 大 学 准 教 授 柴 山 明 寛 東 北 大 学 助 教 佐 藤 翔 輔 科 学 技 術 振 興 機 構 ( 東 北 大 学 ) 震 災 プロジェクト 担 当 主 任 調 岩 崎 雅 宏 せんだいメディアテーク 企 画 活 動 支 援 室 北 野 央 せんだいメディアテーク 地 域 アーカイブ 班 佐 藤 貴 宏 せんだいメディアテーク 地 域 アーカイブ 班 長 崎 由 幹 III. 活 動 成 果 (2012 年 3 月 末 現 在 ) 荒 浜 5 地 区 の 各 町 内 会 ヒアリングの 実 施 (a)2012 年 3 月 15 日 ( 木 ) 1 第 1 回 ヒアリング 荒 浜 南 町 内 会, 荒 浜 東 町 内 会 : 各 会 長 2 第 2 回 ヒアリング 荒 浜 新 町 町 内 会 : 前 会 長, 会 長, 民 生 委 員 (b)2012 年 3 月 28 日 ( 水 ) 1 第 3 回 ヒアリング 荒 浜 西 町 内 会 : 前 会 長, 会 長 2 第 4 回 ヒアリング 荒 浜 北 町 内 会 : 会 長,( 副 会 長 欠 席 ) 3 第 5 回 ヒアリング 荒 浜 東 町 内 会 : 会 長, 副 会 長, 庶 務 ( 新 年 度 も 継 続 的 な 活 動 を 予 定 ) 124