15 分 間 我 慢 できたらマシュマロをもう 1 個 あげる 途 中 で 食 べたくなったら ベルを 押 せ ば 食 べられる ことを 伝 え 子 どもを 部 屋 に 1 人 にする 実 験 結 果 は 15 分 待 てた 子 どもは 全 体 の 3 分 の 1 以 下 我 慢 できた 子 は 手



Similar documents
慶應義塾利益相反対処規程

< F2D8E518D6C B83678C8B89CA >

学校法人日本医科大学利益相反マネジメント規程

任意整理について | 多重債務Q&A | 公益財団法人 日本クレジットカウンセリング協会

答申書

スライド 1

(Microsoft Word - \221\346\202P\202U\201@\214i\212\317.doc)

1.3. 距 離 による 比 較 距 離 による 比 較 を 行 う ( 基 本 的 に 要 求 される 能 力 が 違 うと 思 われるトラック 別 に 集 計 を 行 った ) 表 -3 に 距 離 別 の 比 較 を 示 す 表 -3 距 離 別 比 較

Microsoft Word - 公表用答申422号.doc

二 資本金の管理

ていることから それに 先 行 する 形 で 下 請 業 者 についても 対 策 を 講 じることとしまし た 本 県 としましては それまでの 間 に 未 加 入 の 建 設 業 者 に 加 入 していただきますよう 28 年 4 月 から 実 施 することとしました 問 6 公 共 工 事 の

Taro-2220(修正).jtd

為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

リング 不 能 な 将 来 減 算 一 時 差 異 に 係 る 繰 延 税 金 資 産 について 回 収 可 能 性 がないも のとする 原 則 的 な 取 扱 いに 対 して スケジューリング 不 能 な 将 来 減 算 一 時 差 異 を 回 収 できることを 反 証 できる 場 合 に 原 則

4 教 科 に 関 する 調 査 結 果 の 概 況 校 種 学 年 小 学 校 2 年 生 3 年 生 4 年 生 5 年 生 6 年 生 教 科 平 均 到 達 度 目 標 値 差 達 成 率 国 語 77.8% 68.9% 8.9% 79.3% 算 数 92.0% 76.7% 15.3% 94

スライド 1

<4D F736F F D203193FA8AD45F95CA8E86325F89898F4B315F94F093EF8AA98D AD97DF914F82CC8FEE95F182CC8EFB8F C28E8B89BB2E646F63>

Microsoft Word - 諮問第82号答申(決裁後)

2. ど の 様 な 経 緯 で 発 覚 し た の か ま た 遡 っ た の を 昨 年 4 月 ま で と し た の は 何 故 か 明 ら か に す る こ と 回 答 3 月 17 日 に 実 施 し た ダ イ ヤ 改 正 で 静 岡 車 両 区 の 構 内 運 転 が 静 岡 運

第1章 簿記の一巡

<8BB388F58F5A91EE82A082E895FB8AEE967B95FB906A>

回 答 Q3-1 土 地 下 落 の 傾 向 の 中 固 定 資 産 税 が 毎 年 あがるのはなぜですか? 質 問 : 土 地 下 落 の 傾 向 の 中 土 地 の 固 定 資 産 税 が 毎 年 あがるのはなぜですか? 答 : あなたの 土 地 は 過 去 の 評 価 替 えで 評 価 額 が

<4D F736F F D A94BD837D836C B4B92F62E646F6378>

共 通 認 識 1 官 民 較 差 調 整 後 は 退 職 給 付 全 体 でみて 民 間 企 業 の 事 業 主 負 担 と 均 衡 する 水 準 で あれば 最 終 的 な 税 負 担 は 変 わらず 公 務 員 を 優 遇 するものとはならないものであ ること 2 民 間 の 実 態 を 考

地域支援心理研究センター 紀要 第10号

Ⅰ 調 査 の 概 要 1 目 的 義 務 教 育 の 機 会 均 等 その 水 準 の 維 持 向 上 の 観 点 から 的 な 児 童 生 徒 の 学 力 や 学 習 状 況 を 把 握 分 析 し 教 育 施 策 の 成 果 課 題 を 検 証 し その 改 善 を 図 るもに 学 校 におけ

158 高 校 講 座 習 モ 現 ラ 習 モ 距 離 置 示 終 向 据 示 唆 与 取 ょ 第 7576 回 第 :

(3) 小 単 元 の 指 導 と 評 価 の 計 画 小 単 元 第 11 章 税 のあらまし の 指 導 と 評 価 の 計 画 ( 四 次 確 定 申 告 制 度 抜 粋 ) 関 心 意 欲 態 度 思 考 判 断 技 能 表 現 知 識 理 解 小 単 元 の 評 価 規 準 税 に 関 す

1 変更の許可等(都市計画法第35条の2)

1 平 成 27 年 度 土 地 評 価 の 概 要 について 1 固 定 資 産 税 の 評 価 替 えとは 地 価 等 の 変 動 に 伴 う 固 定 資 産 の 資 産 価 値 の 変 動 に 応 じ その 価 格 を 適 正 で 均 衡 のとれたものに 見 直 す 制 度 である 3 年 ご

平 成 27 年 11 月 ~ 平 成 28 年 4 月 に 公 開 の 対 象 となった 専 門 協 議 等 における 各 専 門 委 員 等 の 寄 附 金 契 約 金 等 の 受 取 状 況 審 査 ( 別 紙 ) 専 門 協 議 等 の 件 数 専 門 委 員 数 500 万 円 超 の 受

Taro-1-14A記載例.jtd

自 己 紹 介 HN:お 餅 TwitterID:omochi64 同 人 ゲームサークル Studio Rice Cake プログラマ

<4D F736F F D F8D828D5A939982CC8EF68BC697BF96B38F9E89BB82CC8A6791E52E646F63>

神の錬金術プレビュー版

を 行 わなければならない 適 正 な 運 用 方 針 を 厳 格 に 運 用 することによっては じめて 人 がみだりにその 容 ぼう 等 を 撮 影 されない 自 由 や 権 利 の 保 護 と 犯 罪 発 生 の 抑 止 という 防 犯 カメラの 設 置 目 的 との 調 和 が 実 現 され

Microsoft Word - 20年度(行個)答申第2号.doc

News Letter Issue 9

 

●幼児教育振興法案

1 リーダーシップと 意 思 決 定 1-1 事 業 所 が 目 指 していることの 実 現 に 向 けて 一 丸 となっている 評 価 項 目 事 業 所 が 目 指 していること( 理 念 基 本 方 針 )を 明 確 化 周 知 している 1. 事 業 所 が 目 指 していること

一 方 でも 自 分 から 医 師 に 症 状 の 変 化 について 伝 えている 割 合 は シーズン 前 では 満 足 な と 同 じ %でしたが シーズン 開 始 直 後 から 高 くなり シーズン 後 半 では の 31%を 上 回 り 42%となっています (グラフ 3) ギャップ 3:

PowerPoint プレゼンテーション

国 家 公 務 員 の 年 金 払 い 退 職 給 付 の 創 設 について 検 討 を 進 めるものとする 平 成 19 年 法 案 をベースに 一 元 化 の 具 体 的 内 容 について 検 討 する 関 係 省 庁 間 で 調 整 の 上 平 成 24 年 通 常 国 会 への 法 案 提

しかし 主 に 欧 州 の 一 部 の 回 答 者 は 受 託 責 任 について 資 源 配 分 の 意 思 決 定 の 有 用 性 とは 独 立 の 財 務 報 告 の 目 的 とすべきであると 回 答 した 本 ED に 対 する ASBJ のコメント レターにおける 意 見 経 営 者 の 受

検 討 検 討 の 進 め 方 検 討 状 況 簡 易 収 支 の 世 帯 からサンプリング 世 帯 名 作 成 事 務 の 廃 止 4 5 必 要 な 世 帯 数 の 確 保 が 可 能 か 簡 易 収 支 を 実 施 している 民 間 事 業 者 との 連 絡 等 に 伴 う 事 務 の 複 雑

2 県 公 立 高 校 の 合 格 者 は このように 決 まる (1) 選 抜 の 仕 組 み 選 抜 の 資 料 選 抜 の 資 料 は 主 に 下 記 の3つがあり 全 高 校 で 使 用 する 共 通 の ものと 高 校 ごとに 決 めるものとがあります 1 学 力 検 査 ( 国 語 数

Microsoft Word - 第74号 結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税

異 議 申 立 人 が 主 張 する 異 議 申 立 ての 理 由 は 異 議 申 立 書 の 記 載 によると おおむね 次 のとおりである 1 処 分 庁 の 名 称 の 非 公 開 について 本 件 審 査 請 求 書 等 について 処 分 庁 を 非 公 開 とする 処 分 は 秋 田 県

第 3 四 半 期 運 用 状 況 の 概 要 第 3 四 半 期 末 の 運 用 資 産 額 は 2,976 億 円 となりました 第 3 四 半 期 の 修 正 総 合 収 益 率 ( 期 間 率 )は +1.79%となりました なお 実 現 収 益 率 は +0.67%です 第 3 四 半 期

私立大学等研究設備整備費等補助金(私立大学等

<947A957A8E9197BF C E786C73>

主要生活道路について

社会保険加入促進計画に盛込むべき内容

学校安全の推進に関する計画の取組事例

難 病 医 療 費 助 成 制 度 における 療 機 関 と のための Q&A 管 理 票 8 管 理 票 9 管 理 票 7 のとき 同 日 中 に 再 度 来 院 された 場 合 はど う したらよいか 管 理 票 7 のとき 2 回 目 の 来 院 時 にも 管 理 票 を 忘 れた 場 合

( 別 途 調 査 様 式 1) 減 損 損 失 を 認 識 するに 至 った 経 緯 等 1 列 2 列 3 列 4 列 5 列 6 列 7 列 8 列 9 列 10 列 11 列 12 列 13 列 14 列 15 列 16 列 17 列 18 列 19 列 20 列 21 列 22 列 固 定

ニュースリリース

_si00421

中 間 利 払 日 とし 預 入 日 または 前 回 の 中 間 利 払 日 からその 中 間 利 払 日 の 前 日 までの 日 数 および 通 帳 または 証 書 記 載 の 中 間 利 払 利 率 によって 計 算 した 中 間 利 払 額 ( 以 下 中 間 払 利 息 といいます )を 利

スライド 1

( 別 紙 ) 以 下 法 とあるのは 改 正 法 第 5 条 の 規 定 による 改 正 後 の 健 康 保 険 法 を 指 す ( 施 行 期 日 は 平 成 28 年 4 月 1 日 ) 1. 標 準 報 酬 月 額 の 等 級 区 分 の 追 加 について 問 1 法 改 正 により 追 加

(1)1オールゼロ 記 録 ケース 厚 生 年 金 期 間 A B 及 びCに 係 る 旧 厚 生 年 金 保 険 法 の 老 齢 年 金 ( 以 下 旧 厚 老 という )の 受 給 者 に 時 効 特 例 法 施 行 後 厚 生 年 金 期 間 Dが 判 明 した Bは 事 業 所 記 号 が

Microsoft Word - H22.4.1市費産休・育休臨任要綱.doc

様 式 5 平 成 28 年 度 NOSAI 夏 期 臨 床 実 習 事 前 アンケート * 申 込 をした 方 に を 付 けてください スタンダード 編 ステップアップ 編 氏 名 所 属 大 学 学 年 1. NOSAI 夏 期 臨 床 実 習 への 参 加 を 希 望 する 理 由 動 機

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 23 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 号 給 の 給 料 月 額 最 高 号 給 の 給 料 月 額 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 ( 単 位 : ) 6 級 7 級 8 級 135, , ,900 2

Speed突破!Premium問題集 基本書サンプル

(5 ) 当 該 指 定 居 宅 介 護 事 業 所 の 新 規 に 採 用 し た 全 て の 居 宅 介 護 従 業 者 に 対 し 熟 練 し た 居 宅 介 護 従 業 者 の 同 行 に よ る 研 修 を 実 施 し て い る こ と (6 ) 当 該 指 定 居 宅 介 護 事 業

<4D F736F F D208E52979C8CA78E598BC68F5790CF91A390698F9590AC8BE08CF D6A2E646F6378>

<4D F736F F D B3817A8E9096E291E D86939A905C>

Microsoft Word - 通達(参考).doc

2 1.ヒアリング 対 象 (1) 対 象 範 囲 分 類 年 金 医 療 保 険 雇 用 保 険 税 備 考 厚 生 年 金 の 資 格 喪 失 国 民 年 金 の 加 入 老 齢 給 付 裁 定 請 求 など 健 康 保 険 の 資 格 喪 失 国 民 健 康 保 険 の 加 入 健 康 保 険

疑わしい取引の参考事例

安 芸 太 田 町 学 校 適 正 配 置 基 本 方 針 の 一 部 修 正 について 1 議 会 学 校 適 正 配 置 調 査 特 別 委 員 会 調 査 報 告 書 について 安 芸 太 田 町 教 育 委 員 会 が 平 成 25 年 10 月 30 日 に 決 定 した 安 芸 太 田

1

- 1 - 総 控 負 傷 疾 病 療 養 産 産 女 性 責 帰 べ 由 試 ~ 8 契 約 契 約 完 了 ほ 契 約 超 締 結 専 門 的 知 識 技 術 験 専 門 的 知 識 高 大 臣 専 門 的 知 識 高 専 門 的 知 識 締 結 契 約 満 歳 締 結 契 約 契 約 係 始

Microsoft PowerPoint - 報告書(概要).ppt

文部科学省規制に関する評価書-平成19年度- 学校安全に関する規制(評価結果)

自 分 にあった 健 康 保 険 を 見 つけよう! それぞれの 健 康 保 険 の 特 徴 を 踏 まえ 自 分 にあった 健 康 保 険 を 選 ぶようにしましょう! 今 までの 収 入 扶 養 家 族 の 有 無 によって どの 健 康 保 険 に 加 入 するとメリットがあるか 参 考 にし

<4D F736F F F696E74202D2082C882E982D982C DD8ED88EE688F882CC82B582AD82DD C668DDA9770>

<4D F736F F D BB8FCF956982CC8D7793FC88D38CFC92B28DB85F838A838A815B83585F834A B5F2E646F63>

大学病院治験受託手順書

の 属 性 等 を 用 いることができるからだ (インターネットによるアンケート 調 査 の 利 点 は 同 じ 回 答 者 に 対 して 繰 り 返 し 調 査 を 行 えるところにある ) 1-2 アンケート 調 査 のデザイン 以 下 では 平 成 21 年 度 地 震 保 険 消 費 者 ア

. 負 担 調 整 措 置 8 (1) 宅 地 等 調 整 固 定 資 産 税 額 宅 地 に 係 る 固 定 資 産 税 額 は 当 該 年 度 分 の 固 定 資 産 税 額 が 前 年 度 課 税 標 準 額 又 は 比 準 課 税 標 準 額 に 当 該 年 度 分 の 価 格 ( 住 宅


養 老 保 険 の 減 額 払 済 保 険 への 変 更 1. 設 例 会 社 が 役 員 を 被 保 険 者 とし 死 亡 保 険 金 及 び 満 期 保 険 金 のいずれも 会 社 を 受 取 人 とする 養 老 保 険 に 加 入 してい る 場 合 を 解 説 します 資 金 繰 りの 都

<4D F736F F D C93FA967B91E5906B8DD082D682CC91CE899E2E646F6378>

Microsoft Word - 佐野市生活排水処理構想(案).doc

(Microsoft Word MR22\226{\225\266\215\305\217I)

<4D F736F F D208C6F D F815B90A BC914F82CC91CE899E8FF38BB582C982C282A282C42E646F63>

( 質 問 5)[ 論 点 2-2] 履 行 義 務 の 充 足 支 配 の 考 え 方 及 び 顧 客 が 財 又 はサービスの 支 配 を 獲 得 している 指 標 は 実 態 に 応 じた 判 断 を 行 うために 十 分 であると 考 えますか 不 十 分 であるとすれば どのような 考 え

「節電に対する生活者の行動・意識

65 歳 以 上 の 介 護 保 険 料 が 健 康 保 険 に 含 まれていた 時 より 高 額 になったと 思 うのですが 40 歳 から64 歳 までの 健 康 保 険 に 含 まれる 介 護 保 険 分 は 会 社 での 健 康 保 険 のルールに 基 づき 会 社 での 月 額 報 酬 等

国立大学法人 東京医科歯科大学教職員就業規則

[2] 控 除 限 度 額 繰 越 欠 損 金 を 有 する 法 人 において 欠 損 金 発 生 事 業 年 度 の 翌 事 業 年 度 以 後 の 欠 損 金 の 繰 越 控 除 にあ たっては 平 成 27 年 度 税 制 改 正 により 次 ページ 以 降 で 解 説 する の 特 例 (

1 変更の許可等(都市計画法第35条の2)

問1.xls

った 場 合 など 監 事 の 任 務 懈 怠 の 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 減 算 する (8) 役 員 の 法 人 に 対 する 特 段 の 貢 献 が 認 められる 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 加 算 することができる

本 校 の 沿 革 昭 和 21 年 昭 和 49 年 昭 和 54 年 昭 和 60 年 平 成 9 年 平 成 11 年 平 成 18 年 北 海 道 庁 立 農 業 講 習 所 として 発 足 北 海 道 立 農 業 大 学 校 に 改 組 修 業 年 限 を1 年 制 から2 年 制 に 改

3. 選 任 固 定 資 産 評 価 員 は 固 定 資 産 の 評 価 に 関 する 知 識 及 び 経 験 を 有 する 者 のうちから 市 町 村 長 が 当 該 市 町 村 の 議 会 の 同 意 を 得 て 選 任 する 二 以 上 の 市 町 村 の 長 は 当 該 市 町 村 の 議

Transcription:

連 続 講 演 会 東 京 で 学 ぶ 京 大 の 知 シリーズ 15 こころの 未 来 - 私 たちのこころは 何 を 求 めているのか- 第 2 回 自 分 の 意 思 で 決 めるとはどういうことか? 心 理 学 と 脳 科 学 の 視 点 から 京 都 大 学 が 東 京 品 川 の 京 都 大 学 東 京 オフィス で 開 く 連 続 講 演 会 東 京 で 学 ぶ 京 大 の 知 のシリーズ 15 こころの 未 来 私 たちのこころは 何 を 求 めているのか 6 月 4 日 の 第 2 回 講 演 では こころの 未 来 研 究 センター 上 廣 こころ 学 研 究 部 門 の 阿 部 修 士 特 定 准 教 授 が 自 分 の 意 思 で 決 めるとはどういうことか? 心 理 学 と 脳 科 学 の 視 点 から と 題 して 私 たちがどのように 迷 い 決 断 をしているのか そのメカニズムに 迫 った 第 2 回 のディ スッカサントはこころの 未 来 研 究 センターの 河 合 俊 雄 教 授 が 務 め テーマを 深 掘 りした 理 性 と 感 情 のバランス 2 つのこころを 支 える 脳 のシステム 脳 とこころのメカニズムを 科 学 的 に 研 究 する 認 知 神 経 科 学 を 専 門 とする こころの 未 来 研 究 センタ ーの 阿 部 修 士 特 定 准 教 授 が 本 日 のテーマに 選 んだ のは 意 思 決 定 のメカニズムである 意 思 決 定 を 司 るのは 理 性 と 感 情 だが 両 者 の 葛 藤 が 意 思 決 定 を 困 難 にさせる 限 界 点 のあるこころと 脳 のシステムを 知 った 上 で 現 代 社 会 での 上 手 なこころの 持 ち よう 脳 の 使 い 方 を 考 えたい と 阿 部 特 定 准 教 授 データを 示 したいと 思 います 心 理 学 研 究 では 理 性 と 感 情 の 働 きを 二 重 過 程 理 論 として 素 早 く 自 動 的 無 意 識 的 な 心 理 過 程 と 遅 く 制 御 的 意 識 的 な 心 理 過 程 と の 対 立 あるいは 統 合 のプロセスを 想 定 している こうした 感 情 と 理 性 というこころを 支 える 脳 のシステムが 本 当 に 存 在 しているか 実 験 による 最 も 著 名 なのがマシュマロ 実 験 である 最 初 の 実 験 は 1960 年 代 に 行 われた 実 験 内 容 は 次 のとおりだ 4 歳 児 の 目 の 前 にマシュマロを 置 く 今 食 べてもいいけど 1

15 分 間 我 慢 できたらマシュマロをもう 1 個 あげる 途 中 で 食 べたくなったら ベルを 押 せ ば 食 べられる ことを 伝 え 子 どもを 部 屋 に 1 人 にする 実 験 結 果 は 15 分 待 てた 子 どもは 全 体 の 3 分 の 1 以 下 我 慢 できた 子 は 手 で 目 を 覆 う 部 屋 の 隅 に 立 ってマシュマロを 見 ない など 意 図 的 に 関 心 をそらしていた さらに その 後 の 追 跡 調 査 によって 1 分 以 内 にベルを 押 した 子 どもは 学 校 や 家 庭 で の 問 題 行 動 が 認 められる 割 合 が 比 較 的 高 い 15 分 間 待 てた 子 こどもは SAT( 大 学 進 学 適 性 試 験 )の 点 数 が 高 い という 結 果 が 得 られた この 実 験 がすごいのは 40 年 後 実 験 に 参 加 した 24 人 を 対 象 に MRI を 使 用 して 脳 の 活 動 パターンを 測 定 していること 参 加 者 にはさまざまな 顔 写 真 が 呈 示 され 悲 しい 顔 だ とボタンを 押 し 笑 顔 だとボタンを 押 さないという 課 題 を 行 ってもらった これは 行 動 をする 前 に 感 情 の 制 限 が 必 要 な 課 題 である その 結 果 40 年 前 に 我 慢 できなかった 参 加 者 は 笑 顔 を 見 た 時 腹 側 線 条 体 の 活 動 がよ り 高 かった 腹 側 線 条 体 は 主 に 感 情 や 意 欲 の 表 出 に 関 わる 辺 縁 系 の 一 部 である 一 方 我 慢 できた 参 加 者 は 笑 顔 を 見 た 時 下 前 頭 回 の 活 動 がより 高 かった 下 前 頭 回 は 前 頭 前 野 と 呼 ばれる 領 域 の 一 部 前 頭 前 野 は 主 に 自 己 制 御 や 合 理 的 思 考 に 関 わる 理 性 を 司 る 領 域 の 1 つとされる あくまで 傾 向 の 話 ではありますが 理 性 と 感 情 を 実 にうまく 描 出 した 実 験 であり 理 性 と 感 情 を 支 える 脳 の 仕 組 みが 確 かに 備 わっていることを 示 すものです 道 徳 的 判 断 における 理 性 と 感 情 さらに 複 雑 な 意 思 決 定 を 要 する 場 面 での こころと 脳 の 働 きを 調 べるために 2000 年 代 に 行 われたのが 道 徳 的 判 断 実 験 である 使 用 される 問 題 は 次 の 2 つだ トロッコジレンマの 問 題 は 制 御 不 能 になったトロッコが 近 づいており このままだと 5 人 の 作 業 員 がひき 殺 されてしまう あなたは 分 岐 器 の 近 くにおり トロッコの 進 路 を 切 り 替 えれば 5 人 は 助 かるが 切 り 替 わる 進 路 の 先 にも 1 人 の 作 業 員 がおり その 作 業 員 はひ き 殺 されてしまう あなたが 進 路 を 切 り 替 えることは 道 徳 的 に 許 されるか 参 加 者 に 問 うたところ 許 されると 思 う 人 が 大 半 を 占 めた 2

歩 道 橋 ジレンマの 問 題 は 制 御 不 能 になったトロッ コが 近 づいており このままだと 5 人 の 作 業 員 がひき 殺 されてしまう あなたは 線 路 の 上 の 歩 道 橋 に 立 って おり そばに 体 の 大 きな A さんがいる A さんを 突 き 落 とせばトロッコは 止 まり 5 人 は 助 かるが A さ んは 死 んでしまう あなたが A さんを 突 き 落 とすこ とは 道 徳 的 に 許 されるか こちらも 参 加 者 に 問 うたところ 逆 に ほぼ 全 員 が 許 されないと 答 えた トロッコジレンマ 歩 道 橋 ジレンマ 道 徳 的 判 断 利 得 と 損 失 が 関 わる 意 思 決 定 など 参 加 者 たちもそれぞ 2 種 類 の 問 題 でなぜ 考 え 方 が 違 うのか 科 学 的 に 証 れ 選 択 しながら 講 演 は 進 んだ 明 しようと 考 えたジョシュア グリーンという 研 究 者 は 道 徳 的 判 断 に 関 わる 脳 活 動 を 調 べる 実 験 を 行 った その 結 果 歩 道 橋 ジレンマの 道 徳 的 判 断 を 行 う 際 は 辺 縁 系 の 活 動 が 高 く 感 情 の 働 き によって 5 人 を 助 けるために 1 人 を 犠 牲 にすべきではない と 判 断 している 可 能 性 が 示 唆 された 一 方 トロッコジレンマの 際 は 前 頭 前 野 の 活 動 が 高 く 理 性 的 論 理 的 な 思 考 によって 1 人 を 犠 牲 にしても 5 人 を 助 ける と 判 断 している 可 能 性 が 示 唆 されている 前 頭 前 野 と 辺 縁 系 の 活 動 のバランスによって 意 思 決 定 がコントロールされているこ とが 明 らかになったわけですが 両 者 のバランスが 崩 れるとどうなるでしょうか 代 表 的 なのが 辺 縁 系 に 作 用 して 感 情 の 働 きを 抑 制 する 抗 不 安 薬 を 使 った 実 験 だ 結 果 は 抗 不 安 薬 を 多 く 服 用 しているほど 1 人 を 犠 牲 にすることを 許 容 できる と 判 断 する 割 合 が 高 かった 薬 剤 の 作 用 で 感 情 が 抑 制 されることで 理 性 の 働 きが 強 くなり 合 理 的 な 判 断 にシフトした 可 能 性 を 示 しています さらに 認 知 熟 考 テスト という 冷 静 に 考 えないと 答 えられない 問 題 を 解 いた 後 に 歩 道 橋 ジレンマの 道 徳 的 判 断 を 行 うグループと 逆 に 道 徳 的 判 断 の 後 に 認 知 熟 考 テストを 行 うグループを 比 べた 実 験 では 前 者 のグループのほうが 1 人 を 犠 牲 にすることを 許 容 で きる と 判 断 直 前 の 論 理 的 思 考 を 通 じて 前 頭 前 野 の 機 能 を 十 分 に 使 うことで 合 理 的 な 判 断 にシフトしたと 考 えられます 理 性 と 感 情 のバランスが 崩 れる 時 実 は 理 性 と 感 情 は 常 にバランスが 取 れているわけではありません 3

心 身 共 に 健 康 で 物 質 による 依 存 でなくても 理 性 が 機 能 しないことがある その 例 が 利 得 と 損 失 が 関 わる 意 思 決 定 だ 問 1 1 もれなく 8 万 円 が 当 たるくじ 2 80%の 確 率 で 10 万 円 が 当 たるが 残 り 20% の 確 率 で 何 ももらえないくじ のどちらを 選 ぶかとなれば ほとんどの 人 は1を 選 ぶ 問 2 3 もれなく 8 万 円 の 罰 金 を 払 うくじ 4 80%の 確 率 で 罰 金 は 10 万 円 になるが 残 り 20%の 確 率 で 罰 金 が 0 円 になるくじ となると ほとんどの 人 は4を 選 ぶ 問 1 も 問 2 も 金 額 と 確 率 は 同 じで 利 益 か 損 失 かの 違 いだけ もし 人 が 利 益 と 損 失 を 合 理 的 に 考 えられるなら どちらも 同 じ 側 つまり1と3か 2と4かを 選 ぶはず なぜ こんなことが 起 こるのか ノーベル 経 済 学 賞 受 賞 者 であるダニエル カーネマンという 研 究 者 は 損 失 回 避 性 と して ヒトは 同 額 の 利 益 と 損 失 とでは 損 失 の 方 を 過 大 評 価 する 傾 向 がある 特 に 損 失 を 回 避 しようという 動 機 が 強 く 働 く と 説 明 している 2007 年 の 研 究 では 腹 側 線 条 体 の 活 動 の 個 人 差 が 損 失 回 避 性 の 個 人 差 と 密 接 に 関 連 していることが 示 されている 問 1 と 問 2 なら 5 回 に 4 回 の 割 合 で 起 こるのだから 2を 選 んだほうが 得 だし 3を 選 んだほうが 損 をしない でも このように 説 明 され 頭 で 理 解 しても 回 答 が 変 わらない 人 は 多 い 理 性 がうまく 機 能 していないことを 如 実 に 示 す 例 です 次 に 理 性 が 邪 魔 することを 示 す 実 験 結 果 がある 4 つの 車 から 一 番 優 れた 車 を 選 ぶ 課 題 で 実 験 参 加 者 を 情 報 量 の 多 少 と 思 考 時 間 の 有 無 によって 4 つのグループに 分 ける 結 果 情 報 量 が 少 ない 場 合 は 考 える 時 間 があ ったほうが 正 答 率 は 高 いのに 対 し 情 報 量 が 多 い 場 合 考 える 時 間 のあったグループの 正 答 率 が 4 つのうち 最 も 低 く 考 える 時 間 のなかったほうの 正 答 率 は 非 常 に 高 かった 理 性 で 処 理 しきれない 膨 大 な 情 報 を 提 示 されて 頭 が 混 乱 している 状 態 では 直 感 的 な 判 断 が 論 理 的 な 思 考 に 勝 ることもあるのです この 実 験 に 関 しては 再 現 できないという 報 告 もあるが 他 にも 論 理 的 思 考 が 意 思 決 定 を 遅 らせるという 研 究 結 果 もあり 理 性 の 機 能 はプラスの 側 面 ばかりでないと 考 えられる こころと 脳 の 使 い 方 への 提 案 理 性 と 感 情 のバランスが 取 れないのは こころと 脳 の 中 には 限 界 点 が 存 在 するという 4

ことであり 私 たちのこころは 現 代 社 会 に 追 いついてない 可 能 性 があります では どうこころと 脳 を 使 えばいいのか ジョシュア グリーンは 私 たちのこころは カメラのようなもの として 次 のように 主 張 している カメラのオートフォーカスとマ ニュアルフォーカスをこころにたとえるなら 前 者 が 感 情 後 者 が 理 性 普 段 は 自 動 で 撮 影 するほうが 早 くて 便 利 だが 状 況 によってはマニュアルフォーカスのほうが 適 している ように 状 況 に 応 じて 理 性 を 使 うのだ と 意 識 することが 重 要 である 彼 の 説 は 理 性 と 感 情 のバランスが 取 れていることが 前 提 だから 私 は 1 つ 付 け 加 えた いと 思 います と 阿 部 特 定 准 教 授 常 にバランスは 取 れていないからこそ 取 扱 説 明 書 が 必 要 だ と 取 扱 説 明 書 には 理 性 と 感 情 のメカニズムや 脳 とこころには 限 界 があることなどが 書 か れている それらを 正 しく 理 解 することが 主 体 性 を 持 った 意 思 決 定 の 実 現 につながるの だと 思 います 阿 部 特 定 准 教 授 の 講 演 の 結 びは こころと 脳 の 使 い 方 への 提 案 であった ディスカッサントとして 臨 床 心 理 を 専 門 とするこころの 未 来 研 究 センターの 河 合 俊 雄 教 授 ( 左 ) が 参 加 河 合 主 体 性 を 持 つ 過 程 では 反 抗 期 に 代 表 さ れるような 否 定 の 機 能 が 重 要 であり 合 理 的 に 考 えられることだけが 要 因 ではないと 思 う 阿 部 マシュマロ 実 験 はああいう 局 面 での 反 応 を 見 るものだが その 後 の 傾 向 を 見 る 上 で そう した 否 定 の 機 能 をはじめ 教 育 環 境 などの 要 素 は 切 り 離 せない 特 に 前 頭 前 野 の 発 達 は 他 の 領 域 に 比 べて 遅 く 教 育 などにより 理 性 をうまく 使 え る 状 況 に 持 って 行 くことは 可 能 だろう 心 理 療 法 もその 役 割 を 果 たせるものではないか 河 合 理 性 と 感 情 の 葛 藤 がある 人 葛 藤 のない 人 がいる 葛 藤 のある 人 はオーソドックスな 心 理 療 法 の 対 象 になるが 葛 藤 のない 人 は 難 しい 脳 のメカニズムや 他 者 との 関 係 性 など 幅 広 い 視 点 を 踏 まえながら 対 応 していく 必 要 がある 5